(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0021】
〈燃焼システムの構成〉
図1は、本実施の形態に係る燃焼制御装置を備えた燃焼システムの構成を示す図である。
同図に示される燃焼システム500は、燃焼炉2の燃焼を燃焼室毎に制御するシステムである。燃焼システム500としては、脱臭炉および加熱炉等の小型の工業用燃焼炉や、プラント等における鉄鋼炉等の大型の工業用燃焼炉を例示することができる。
【0022】
具体的に、燃焼システム500は、複数の燃焼室20A,20Bを備えた燃焼炉2と、燃焼室毎に設けられ、対応する燃焼室の燃焼を制御する燃焼制御装置1A、1Bと、各燃焼制御装置1A、1Bを制御する制御装置4と、各燃焼室に設けられたバーナに燃料(ガス)を供給するための燃料流路3等を備えている。
【0023】
ここで、燃焼室(ゾーン)とは、上述したように、温度や圧力等が同一の条件(パラメータ)で燃焼が制御される空間を言い、燃焼室同士が互いに物理的に分離されている構造を有するもののみならず、燃焼室同士が互いに物理的に分離されていない構造を有するものも含まれる。例えば、燃焼炉2内の燃焼室20A、20Bは、加熱処理の対象物(ワーク)がベルトコンベア等によって複数の燃焼室間を移動できるように、隣接する燃焼室同士の壁の一部が開放された構造を有してもよい。すなわち、燃焼室20Aと燃焼室20Bとは、温度や圧力等を別個に制御することが可能な空間であればよく、物理的に分離されているか否かは問わない。
【0024】
本実施の形態では、一例として、燃焼炉2が燃焼室20Aと燃焼室20Bとの間の壁の一部が開放された構造を有するものとし、ベルトコンベア等によってワークが燃焼室20A、燃焼室20Bの順に移動することにより、一つのワークに対して複数の異なる加熱処理を行うことが可能になっているものとする。
【0025】
なお、上記ワークとしては、鉄やアルミ等の素材や、浸炭対象としての鋼、乾燥処理の対象物としての車体、焼成対象のセラミック等の加工対象物を例示することができる。
【0026】
各燃焼室20A、20Bには、N(Nは2以上の整数)個のバーナと、N個の火炎検出器と、その他の燃焼制御に必要な装置(例えば、点火装置(イグナイタ)、温度センサ等)とが設けられている。例えば、
図1に示されるように、燃焼室20A内には、4本のバーナ21A〜24Aと、4つの火炎検出器25A〜28Aとが設けられ、燃焼室20B内には、4本のバーナ21B〜24Bと、4つの火炎検出器25B〜28Bとが設けられている。なお、
図1において、点火装置、温度センサ等のその他の燃焼制御に必要な装置については、図示を省略している。
【0027】
また、本実施の形態では、上述のように、各燃焼室20A、20Bに4本(N=4)のバーナが設けられる場合を一例として説明するが、各燃焼室20A、20Bに設けられるバーナの本数に特に制限はない。例えば、燃焼室20A、20Bに各5本のバーナを設けてもよいし、燃焼室20Aに3本のバーナを、燃焼室20Bに2本のバーナを夫々設けてもよい。
【0028】
バーナ21A〜24Aは、燃焼室20A内を加熱する機器であり、バーナ21B〜24Bは、燃焼室20B内を加熱する機器である。バーナ21A〜24A、21B〜24Bは、バーナ毎に点火が制御される。例えば、バーナ21A〜24A、21B〜24B毎に対応して設けられた点火装置によって点火されることにより、対応するバーナ21A〜24A、21B〜24Bが着火する。
【0029】
火炎検出器25A〜28A、25B〜28Bは、バーナ21A〜24A,21B〜24B毎に対応して設けられ、対応するバーナによる火炎の有無を検出する機器である。例えば、火炎検出器25Aは、バーナ21Aの火炎の有無を検出し、火炎検出器25Bは、バーナ21Bの火炎の有無を検出する。火炎検出器25A〜28Aによる火炎の有無の検出結果(火炎検出信号)は、後述する燃焼制御装置1Aに入力され、火炎検出器25B〜28Bによる火炎の有無の検出結果は、後述する燃焼制御装置1Bに入力される。
【0030】
燃料流路3は、燃焼炉2に燃料を供給するための流路である。燃料流路3は、外部から燃料が供給される主流路から複数の流路に分岐し、分岐した流路が各バーナ21A〜24A、21B〜24Bに接続されている。これにより、外部から燃料流路3に供給された燃料が各バーナ21A〜24A、バーナ21B〜24Bに送出されることとなる。また、燃料流路3の主流炉から分岐した各流路には、対応するバーナ21A〜24A、21B〜24B毎に、安全遮断弁31A〜34A、31B〜34Bが設けられている。例えば、燃焼室20A内に設けられたバーナ21A〜24Aは、例えば燃焼制御装置1Aによって弁の開閉が制御され、燃焼室20B内に設けられたバーナ21B〜24Bは、例えば燃焼制御装置1Bによって弁の開閉が制御される。
【0031】
なお、図示はしないが、燃焼システム500には、燃料流路3とは別に、燃焼炉2に空気(エアー)を供給するための空気流路が設けられており、ブロアから吐出されたエアーが空気流路を介して各バーナ21A〜24A、21B〜24Bに供給されるようになっている。
【0032】
制御装置4は、燃焼炉2の統括的な制御を行うための、燃焼システム500における上位側の機器である。制御装置4は、オペレータ等(ユーザ)からの入力操作に従って、燃焼室20A、20Bにおける各バーナに対する点火の指示(以下「燃焼要求」と称する。)や、燃焼室20A、20B毎または燃焼炉2全体の運転の停止要求を、燃焼制御装置1A、1Bに対して与える。
制御装置4は、ユーザの操作に応じて燃焼制御装置1A、1Bに対して指示を出す機器であればよい。例えば、ユーザの操作を入力する機能部(操作ボタンやレバー、キーボード等)、モニタ、および燃焼制御装置1A、1Bに対する指示等を出力する機能部等が一体に形成された制御盤を例示することができる。また、例えば、燃焼制御装置1A、1B、モニタ、および中央管理装置等がネットワークを介して接続されたネットワーク制御システムを構築している場合には、上記中央管理装置のように、燃焼制御装置1A、1Bに対して指示を出す機能部が制御装置4となり得る。
【0033】
燃焼制御装置1A、1B(総称する場合には、「燃焼制御装置1」と称する。)は、制御装置4からの燃焼要求や燃焼室20A、20B(燃焼炉2全体)の運転停止要求等に応じて、対応する燃焼室20A、20B内の各バーナの燃焼を制御するための装置である。例えば、燃焼制御装置1Aは、燃焼室20Aにおける各バーナによる燃焼を制御し、燃焼制御装置1Bは、燃焼室20Bにおける各バーナによる燃焼を制御する。
【0034】
また、燃焼制御装置1は、対応する燃焼室に設けられた各バーナの燃焼状態や各リミット・インターロック(図示せず)の状態等を監視することにより、燃焼室内の爆発等を防ぐための各種制御を行う。例えば、燃焼制御装置1は、上記制御の一つとして、対応する燃焼室内に設けられた各バーナの着火状態が所定の条件を満たしたときに、その燃焼室内に設けられたN個のバーナの運転を停止させる制御(以下、「ゾーン・ロックアウト制御」とも称する。)を行う。なお、ゾーン・ロックアウト制御の詳細については後述する。
【0035】
〈燃焼制御装置の構成〉
燃焼制御装置1の具体的な構成について説明する。
なお、燃焼制御装置1Aと燃焼制御装置1Bとは同一の構成を有するため、本明細書では、代表的に燃焼制御装置1Aについて詳細に説明し、燃焼制御装置1Bの詳細な説明については省略する。
【0036】
図1に示されるように、燃焼制御装置1Aは、バーナコントローラ11_1〜11_4と安全制御装置10とから構成されている。
バーナコントローラ11_1〜11_4(総称する場合には、「バーナコントローラ11」と表記する。)は、バーナ毎に対応して設けられ、対応するバーナの運転を制御することにより、燃焼室内の燃焼を制御する装置である。具体的に、バーナコントローラ11は、後述する安全制御装置10からの指示および対応する火炎検出器25A〜28Aからの火炎検出信号に基づいて、対応する安全遮断弁31A〜34Aの開閉と点火装置(図示せず)の起動を制御することにより、設定された点火シーケンスに従って対応するバーナ21A〜24Aの点火を行う。例えば、バーナコントローラ11_1は、安全制御装置10からの指示および火炎検出器25Aからの火炎検出信号に基づいて、安全遮断弁31Aの開閉と対応する点火装置(図示せず)の起動を制御することにより、バーナ21Aの点火を制御する。
【0037】
また、バーナコントローラ11は、安全制御装置10からの指示に基づいて、対応するバーナを点火するとともに、対応する火炎検出器の火炎検出信号に基づいて、バーナによる安定した火炎が発生しているか否かを示す火炎判定情報を生成し、安全制御装置10に出力する。
【0038】
また、バーナコントローラ11は、対応するバーナの不着火や断火等の異常が発生した場合には、対応するバーナをロックアウトする。この場合、例えば、バーナコントローラ11が、対応するバーナがロックアウトしたことを示す異常検出情報を安全制御装置10に対して出力することにより、安全制御装置10はバーナがロックアウトしたことを検出し、制御装置4に対してその旨を通知する。
【0039】
安全制御装置10は、燃焼システム500の安全運転、すなわち燃焼炉2の爆発等を防止するために、各バーナの燃焼状態や各リミット・インターロック(図示せず)の状態等を監視することにより、対応する燃焼室内の各バーナの運転の許可および不許可を各バーナコントローラに指示する安全制御を行う装置である。具体的に、安全制御装置10は、制御部5からのバーナの燃焼要求および遮断要求や、各バーナコントローラ11_1〜11_4から入力される火炎判定情報および異常検出情報等に基づいて、各バーナの運転の許可・不許可を示す信号を生成して各バーナコントローラ11_1〜11_4に与えることにより、バーナコントローラ11を介して各バーナ21A〜24Aの運転(各バーナへの燃料の供給および停止等)を制御する。
【0040】
安全制御装置10としては、工業用燃焼炉に関する安全規格(例えば、工業用燃焼炉の安全通則 JIS B 8415等)に基づいて製造されたリミット・インターロックを監視するためのリミット・インターロックモジュールや、上記安全通則に対応した専用のソフトウェアを設定したプログラマブルロジックコントローラ(所謂安全PLC)等を例示することができる。
【0041】
安全制御装置10は、上記安全制御の一つとして、上述したゾーン・ロックアウト制御を行う。
ここで、安全制御装置10は、ゾーン・ロックアウト制御に用いるゾーン・ロックアウト条件として、何れのバーナも着火していない状態から所望のバーナを点火する起動(以下、「初起動」と称する。)時のゾーン・ロックアウト条件(第1遮断条件)と、初起動によって所望のバーナが正常に着火した後の動作状態(以下、「通常動作状態」と称する。)におけるゾーン・ロックアウト条件(第2遮断条件)とを有しており、初起動時と通常動作状態とにおいて、異なるゾーン・ロックアウト条件に従ったゾーン・ロックアウトの実行が可能となっている。以下、安全制御装置10によるゾーン・ロックアウト制御ついて、詳細に説明する。
【0042】
〈安全制御装置の構成〉
図2は、実施の形態に係る燃焼制御装置における安全制御装置10の構成を示す図である。なお、同図には、安全制御装置10においてゾーン・ロックアウト制御を行うための機能部のみが図示されており、その他の機能部(例えば、リミットやインターロックの監視等を行う機能部等)については、図示を省略している。
なお、図示はしないが、安全制御装置10およびバーナコントローラ11は、外部機器(安全遮断弁31A〜34Aや火炎検出器25A〜28A等)との間で信号の送受信を行うための外部端子や、入力回路、および出力回路等の外部インターフェースを備えているものとする。
【0043】
図2に示されるように、安全制御装置10は、ゾーン・ロックアウト制御のための機能部として、動作モード設定部101、遮断条件選択部102、記憶部103、判定部104、および指示部105を有している。例えば、これらの機能部は、CPUなどのプロセッサと、各種のメモリと、その他の周辺回路とから構成されたマイクロコントローラ(MCU)によって実現される。すなわち、MCUにおける上記プロセッサが上記メモリに記憶されたプログラムに従って各種のデータ処理を実行することにより、動作モード設定部101、遮断条件選択部102、記憶部103、判定部104、および指示部105が実現される。
【0044】
動作モード設定部101は、対応する燃焼室における各バーナの動作モードを設定する機能部である。具体的に、動作モード設定部101は、各バーナコントローラ11_1〜11_4から供給される火炎判定情報および異常検出情報や制御装置5からの燃焼要求等に基づいて、初起動モードと通常動作モードの何れか一方を動作モードとして設定する。
【0045】
ここで、初起動モードとは、プレパージ(ゾーン・プレパージ)を行ってから所望のバーナを点火するための動作モードである。また、通常動作モードとは、通常動作状態において、N個のバーナの運転を制御するための動作モードである。
【0046】
また、所望のバーナとは、初起動時に点火すべきバーナであり、例えば、後述する順次起動の場合には、最初に点火すべき1本目のバーナであり、後述する同時起動の場合には、同時に点火すべき全てのバーナである。
【0047】
例えば、動作モード設定部101は、何れのバーナも着火していない場合には、動作モードを“初起動モード”に設定する。例えば、燃焼システム500が起動した直後の初期動作時や、制御装置4から全てのバーナに対する燃焼要求が無い場合、およびゾーン・ロックアウトが実行された場合(または、ゾーン・ロックアウトが解除(リセット)された場合)には、動作モード設定部101は、動作モードを“初起動モード”に設定する。
【0048】
一方、初起動モードにおいて所望のバーナが正常に着火した場合(後述する同時起動においては同時点火対象の全てのバーナが着火した場合、後述する順次起動においては最初に燃焼要求が出されたバーナが着火した場合)には、動作モード設定部101は、動作モードを“初起動モード”から“通常動作モード”に切り替える。具体的には、動作モード設定部101は、初起動モードにおいて点火が指示されたバーナに対応するバーナコントローラ11からの火炎判定情報が“安定した火炎が発生していること”を示す場合には、動作モードを“初起動モード”から“通常動作モード”に切り替える。
【0049】
遮断条件選択部102は、動作モード設定部101によって選択された動作モードに対応するゾーン・ロックアウト条件を選択する。具体的には、動作モード設定部101によって初起動モードが選択された場合には、第1遮断条件としての初起動時遮断条件を選択する。一方、動作モード設定部101によって通常動作モードが選択された場合には、第2遮断条件としての通常動作時遮断条件を選択する。
【0050】
上記ゾーン・ロックアウト条件、すなわち、初起動時遮断条件1031および通常動作時遮断条件1032の情報は、記憶部103に記憶されている。遮断条件選択部102は、動作モード設定部101によって選択された動作モードに対応するゾーン・ロックアウト条件の情報を記憶部103から読み出すことにより、ゾーン・ロックアウト条件を決定する。
【0051】
ここで、初起動時遮断条件1031とは、初起動時に、N本のバーナの運転を停止させるためのゾーン・ロックアウト条件である。具体的には、初起動時遮断条件1031は、N本のバーナのうち一つでも着火しなかった場合に、N本のバーナの運転を停止させる条件である。例えば、初起動時遮断条件1031は、初起動時に、燃焼室20A内の4本(N=4)のバーナ21A〜24Aのうち何れか1本のバーナが着火しなかった場合に、燃焼室20A内の4本のバーナ21A〜24Aの運転を停止する条件である。
【0052】
また、通常動作時遮断条件1032とは、通常動作状態において、N本のバーナの運転を停止させるためのゾーン・ロックアウト条件である。具体的には、通常動作状態において、N個のバーナのうちM(MはN以下の整数)個のバーナの火炎が発生しなかった場合に、N個のバーナの運転を停止させる条件である。
【0053】
ここで、通常動作時遮断条件1032における“M”の値は、燃焼システム500の種類や燃焼システム500を使用するユーザの要求等に応じてM≦Nの範囲で任意に設定することが可能である。例えば、通常動作時遮断条件1032を、燃焼室20A内の4本(N=4)のバーナ21A〜24Aのうち2本(M=2)以上のバーナが断火した場合に、燃焼室20A内の全てのバーナ21A〜24Aの運転を停止する条件として、初起動時遮断条件1031と相違させることができる。
【0054】
また、初起動時遮断条件1031および通常動作時遮断条件1032における判定対象のバーナは、燃焼室を加熱するための主バーナでもよいし、主バーナを点火するためのパイロットバーナでもよい。例えば、パイロットバーナを有さず、主バーナを直接点火するダイレクト点火方式の場合には、上記判定対象のバーナは主バーナである。一方、パイロットバーナに点火してから主バーナを点火する一般的な時限パイロットの場合には、上記判定対象のバーナは、例えば、パイロットバーナであってもよい。
【0055】
初起動時遮断条件1031および通常動作時遮断条件1032の情報は、例えば、燃焼制御装置1の製造時または出荷時等においてフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ等に書き込まれ、燃焼制御装置1の起動時等において、上記不揮発性メモリからMPU内のRAM等に展開されることにより、記憶部103に記憶される。
【0056】
判定部104は、N個のバーナによる燃焼状態が、遮断条件選択部102によって選択されたゾーン・ロックアウト条件を満たしているか否かを判定する機能部である。具体的には、各バーナコントローラ11_1〜11_4から出力された火炎判定情報に基づいて、各バーナ21A〜24Aによる燃焼状態が遮断条件選択部102によって選択されたゾーン・ロックアウト条件(初起動時遮断条件または通常動作時遮断条件)を満たしているか否かを判定する。
【0057】
指示部105は、各バーナコントローラ11_1〜11_4に対して、対応するバーナ21A〜24Aの運転の許可・不許可を指示する機能部である。具体的には、判定部104によって、N個のバーナによる燃焼状態がゾーン・ロックアウト条件を満たしている(異常状態)と判定された場合に、N個のバーナの運転停止(ゾーン・ロックアウト)を指示し、N個のバーナの燃焼状態がゾーン・ロックアウト条件を満たしていない(正常状態)と判定された場合に、N個のバーナの運転の継続を許可する。
【0058】
次に、ゾーン・ロックアウト制御時の燃焼システム500の動作について、
図3〜
図7のタイミングチャートを用いて説明する。
【0059】
一般に、燃焼システム500のようなマルチバーナシステムでは、初起動時の点火手法として、燃焼室内の各バーナを順番に点火する“順次起動”と、燃焼室内の各バーナを同時に点火する“同時起動”の2種類の手法が知られている。ここでは、一例として、上記の夫々の点火手法におけるゾーン・ロックアウト制御について説明する。
【0060】
また、以下の説明では、通常動作時遮断条件1032として、燃焼室20A内の4本(N=4)のバーナ21A〜24Aのうち、何れか3本(M=3)のバーナが断火した場合に、燃焼室20A内の4本のバーナ21A〜24Aの運転を停止する条件が設定されているものとする。
【0061】
先ず、順次起動時にバーナが正常に着火しなかった場合のゾーン・ロックアウト制御について説明する。
図3は、実施の形態に係る燃焼制御装置による順次起動時のゾーン・ロックアウト制御を説明するためのタイミングチャートである。
【0062】
図3には、最上段からバーナ11_1、11_2、11_3、11_4の順に、各バーナ11_1〜11_4の燃焼要求の有無、点火動作の有無、安全遮断弁31A〜34Aの開閉状態、および対応するバーナ11_1〜11_4の火炎の有無の各タイミングが示されている。また、各バーナ11_1〜11_4のタイミングの下段には、動作モードと、燃焼室20Aにおけるゾーン・ロックアウトの有無とが示されている。また、
図3において、燃焼要求の出力されている期間、点火動作が行われている点火期間(イグニッショントライアル期間)、安全遮断弁31A〜34Aが開いている期間、および火炎が発生している期間を、ハッチングを付して示している。なお、これらの
図3に関する各種情報は、後述する
図4〜
図7においても同様である。
【0063】
図3に示されるように、例えば、時刻t0において燃焼システム500が起動すると、動作モード設定部101が“初起動モード”を選択し、それに応じて、遮断条件選択部102が初起動時遮断条件1031を選択する。その後、制御装置4が、順次起動の点火シーケンスに従って、燃焼室20Aに対する点火指示を燃焼制御装置1Aに対して出力する。具体的には、例えば時刻t1において、制御装置4がバーナ11_1の燃焼要求を出力する。当該燃焼要求を受け取った燃焼制御装置1Aの安全制御部10は、先ず、燃焼室20A内のプレパージを開始する。所定のプレパージ期間の経過後、燃焼制御装置1Aにおける安全制御部10が、バーナコントローラ11_1に対してバーナ21Aの点火を指示することにより、バーナ21Aの点火動作が開始される。このとき、バーナコントローラ11_1が安全遮断弁31Aを開けることにより、バーナ21Aに燃料が供給される。ここでは、バーナ21Aが着火しなかったとする。
【0064】
バーナ21Aの点火期間の経過後、バーナコントローラ11_1はロックアウトし、火炎が発生していないことを示す火炎判定情報を安全制御装置10に対して出力する。この火炎判定情報を受け取った安全制御装置10は、判定部104によって、燃焼室20A内のバーナの燃焼状態が初期時遮断条件1031を満たした(異常)と判定し、指示部105によって各バーナコントローラ11_1〜11_4に対してバーナの運転を停止させる指示(ゾーン・ロックアウトの指示)を与える。これにより、例えば、時刻t4において、各バーナ21A〜24Aが停止し、燃焼室20Aはゾーン・ロックアウトとなる。
【0065】
次に、順次起動時にバーナが正常に着火した場合のゾーン・ロックアウト制御について説明する。
図4は、実施の形態に係る燃焼制御装置による順次起動時のゾーン・ロックアウト制御を説明するための別のタイミングチャートである。
【0066】
図4に示されるように、時刻t0における燃焼システム500の起動後、プレパージが完了する時刻t2までは
図3の場合と同様の手順で処理が行われる。
時刻t2において、プレパージが完了すると、燃焼制御装置1Aにおける安全制御装置10が、バーナコントローラ11_1に対してバーナ21Aの点火を指示することにより、バーナ21Aの点火動作が開始される。このとき、バーナコントローラ11_1が安全遮断弁31Aを開けることにより、バーナ21Aに燃料が供給される。ここでは、バーナ21Aが着火し、火炎が安定したとする。
引き続き、例えば時刻t3において、制御装置4がバーナ22Aの燃焼要求を出力すると、安全制御装置10が、バーナコントローラ11_2に対してバーナ22Aの点火を指示することにより、バーナ22Aの点火動作が開始される。
【0067】
バーナ21Aの点火期間の経過後、バーナコントローラ11_1は、火炎が発生したことを示す火炎判定情報を安全制御装置10に対して出力する。この火炎判定情報を受け取った安全制御装置10は、判定部104によって、燃焼室20A内のバーナの燃焼状態が初期時遮断条件1031を満たしていない(正常)と判定し、各バーナコントローラ11_1〜11_4に対してバーナの運転を許可する。
【0068】
また、安全制御装置10は、動作モード設定部101によって、初起動時に1本のバーナが正常に着火した(初起動時遮断条件1031を満たさなかった)と判定し、例えば時刻t4において、動作モードを“初起動モード”から“通常動作モード”に切り替える。これに伴い、安全制御装置10は、遮断条件選択部102によって、ゾーン・ロックアウト条件を初起動時遮断条件1031から通常動作時遮断条件1032に切り替える。
【0069】
この場合に、例えばバーナ22Aが正常に着火しなかったとすると、バーナ22Aの点火期間の経過後、バーナコントローラ11_2は、火炎が発生しなかったことを示す火炎判定情報を安全制御装置10に対して出力する。この火炎判定情報を受け取った安全制御装置10は、判定部104によって、燃焼室20A内のバーナの燃焼状態が通常動作時遮断条件1032を満たしていない(正常)と判定し、各バーナコントローラ11_1〜11_4に対してバーナの運転の継続を許可する。すなわち、この場合には、バーナ21Aの燃焼が継続される。
【0070】
その後、安全制御装置10が、制御装置4に対してバーナ22Aが着火しなかったことを通知する。その通知を受けた制御装置4は、例えば、ユーザからバーナ22Aに対する再点火の指示が入力されると、例えば時刻t5においてバーナ22Aの燃焼要求を燃焼制御装置1Aに対して出力する。燃焼要求を受け取った燃焼制御装置1Aにおける安全制御装置10は、バーナコントローラ11_2に対してバーナ22Aの点火を指示することにより、再び、バーナ22Aの点火動作が開始される。
【0071】
次に、同時起動時にバーナが正常に着火しなかった場合のゾーン・ロックアウト制御について説明する。
図5は、実施の形態に係る燃焼制御装置による同時起動時のゾーン・ロックアウト制御を説明するためのタイミングチャートである。
【0072】
図5に示されるように、例えば、時刻t0において燃焼システム500が起動すると、
図3、4の場合と同様に、動作モード設定部101によって“初起動モード”が選択され、遮断条件選択部102によって初起動時遮断条件1031が選択される。 その後、制御装置4が、同時起動の点火シーケンスに従って、燃焼室20Aに対する点火指示を燃焼制御装置1Aに対して出力する。具体的には、例えば時刻t1において、制御装置4がバーナ11_1〜11_4の燃焼要求を出力する。当該燃焼要求を受け取った燃焼制御装置1Aの安全制御部10は、先ず、燃焼室20A内のプレパージを開始する。
【0073】
所定のプレパージ期間の経過後、燃焼制御装置1Aにおける安全制御装置10が、各バーナコントローラ11_1〜11_4に対してバーナ21A〜24Aの点火を指示することにより、各バーナ21A〜24Aの点火動作が開始される。このとき、バーナコントローラ11_1〜11_4が対応する安全遮断弁31A〜34Aを開けることにより、バーナ21A〜24Aに燃料が供給される。
【0074】
ここでは、
図5に示されるように、燃焼室内の4本のバーナのうち3本のバーナ22A〜24Aは着火したが、残り1本のバーナ21Aが着火しなかったとする。
この場合、着火した3本のバーナ22A〜24Aに対応するバーナコントローラ11_2〜11_4は、点火期間の経過後、火炎が発生したことを示す火炎判定情報を安全制御装置10に対して出力する。一方、着火しなかったバーナ21Aに対応するバーナコントローラ11_1は、点火期間の経過後、火炎が発生しなかったと判定してロックアウトし、火炎が発生しなかったことを示す火炎判定情報を安全制御装置10に対して出力する。
【0075】
各バーナコントローラ11_1〜11_4からの火炎判定情報を受け取った安全制御装置10は、判定部104によって、燃焼室20A内のバーナの燃焼状態が初期時遮断条件1031を満たした(異常)と判定し、指示部105によって各バーナコントローラ11_1〜11_4に対してバーナの運転を停止させる指示(ゾーン・ロックアウトの指示)を与える。これにより、例えば時刻t4において、各バーナ21A〜24Aが停止し、燃焼室20Aはゾーン・ロックアウトとなる。
【0076】
次に、同時起動時にバーナが正常に着火した場合のゾーン・ロックアウト制御について説明する。
図6は、実施の形態に係る燃焼制御装置による同時起動時のゾーン・ロックアウト制御を説明するための別のタイミングチャートである。
【0077】
図6に示されるように、時刻t0における燃焼システム500の起動後、プレパージが完了し、各バーナ21A〜24Aの点火動作が開始される時刻t2までは
図5の場合と同様の手順で処理が行われる。
【0078】
ここでは、
図6に示されるように、燃焼室20A内の全てのバーナ21A〜24Aが着火したとする。この場合、着火した各バーナ21A〜24Aに対応するバーナコントローラ11_1〜11_4は、点火期間の経過後、火炎が発生したことを示す火炎判定情報を安全制御装置10に対して出力する。
各バーナコントローラ11_1〜11_4からの火炎判定情報を受け取った安全制御装置10は、判定部104によって、燃焼室20A内の各バーナの燃焼状態が初期時遮断条件1031を満たしていない(正常)と判定し、各バーナコントローラ11_1〜11_4に対してバーナの運転を許可する。
【0079】
また、安全制御装置10は、動作モード設定部101によって、初起動時に所望のバーナが正常に着火した(初起動時遮断条件を満たさなかった)と判定し、例えば時刻t4において、動作モードを“初起動モード”から“通常動作モード”に切り替える。これに伴い、安全制御装置10は、遮断条件選択部102によって、ゾーン・ロックアウト条件を初起動時遮断条件1031から通常動作時遮断条件1032に切り替える。その後は、各バーナ21A〜24Aによる燃焼が継続される。
【0080】
次に、通常動作モードにおいてバーナが断火した場合のゾーン・ロックアウト制御について説明する。
図7は、実施の形態に係る燃焼制御装置による通常動作モードにおけるゾーン・ロックアウト制御を説明するためのタイミングチャートである。
【0081】
図7に示されるように、例えば時刻t0において、燃焼室20Aにおいて、通常動作モード(通常動作時遮断条件)で正常な燃焼が行われているとする。この場合に、例えば何等かの理由で、例えば、時刻t1においてバーナ21Aが断火し、時刻t2においてバーナ22Aが断火し、時刻t3においてバーナ23Aが断火したとする。
【0082】
先ず、時刻t1においてバーナ21Aが断火した場合、バーナコントローラ11_1が対応する安全遮断弁31Aを閉じて、バーナ21Aをロックアウトするとともに、バーナ21Aがロックアウトしたことを示す異常判定情報と、バーナ21Aによる火炎が発生していないことを示す火炎判定情報を安全制御装置10に対して出力する。この火炎判定情報を受け取った安全制御装置10は、判定部104によって、各バーナの燃焼状態が通常動作時遮断条件1032を満たしているか否かを判定する。時刻t1の時点では、4本のバーナのうち、バーナ21Aのみが断火し、残りの3本のバーナ22A〜24Aは正常に燃焼しているため、安全制御装置10は、判定部104によって各バーナの燃焼状態が通常動作時遮断条件1032を満たしていない(正常)と判定し、残りの3本のバーナ22A〜24Aの運転を許可する。
【0083】
次に、時刻t2においてバーナ22Aが断火した場合、バーナコントローラ11_2が対応する安全遮断弁32Aを閉じて、バーナ22Aをロックアウトするとともに、バーナ22Aがロックアウトしたことを示す異常判定情報と、バーナ22Aによる火炎が発生していないことを示す火炎判定情報を安全制御装置10に対して出力する。この火炎判定情報を受け取った安全制御装置10は、判定部104によって、各バーナの燃焼状態が通常動作時遮断条件1032を満たしているか否かを判定する。時刻t2の時点では、4本のバーナのうち、バーナ21A、22Aが断火し、残りの2本のバーナ23A、24Aは正常に燃焼しているため、安全制御装置10は、判定部104によって各バーナの燃焼状態が通常動作時遮断条件1032を満たしていない(正常)と判定し、残りの2本のバーナ23A、24Aの運転を許可する。
【0084】
その後、時刻t3において、バーナ23Aが更に断火した場合、バーナコントローラ11_3が対応する安全遮断弁33Aを閉じて、バーナ23Aをロックアウトするとともに、バーナ23Aがロックアウトしたことを示す異常判定情報と、バーナ23Aによる火炎が発生していないことを示す火炎判定情報を安全制御装置10に対して出力する。この火炎判定情報を受け取った安全制御装置10は、判定部104によって、各バーナの燃焼状態が通常動作時遮断条件1032を満たしているか否かを判定する。時刻t3の時点では4本のバーナのうち3本のバーナ21A〜23Aが断火しているため、安全制御装置10は、判定部104によって各バーナの燃焼状態が通常動作時遮断条件1032を満たした(異常)と判定し、例えば時刻t4において、燃焼室20Aにおける正常に動作しているバーナ24Aを含めた全てのバーナの運転を停止させる(ゾーン・ロックアウト)。
【0085】
なお、動作モードの“通常動作モード”から“初起動モード”への切り替えは、次の初起動時に“初起動モード”であればよく、その切り替えのタイミングは特に制限されない。例えば、判定部104(または動作モード設定部101)が、通常動作モード時に4本中3本のバーナが断火した(通常動作時遮断条件1032を満たした)と判定した時点で“初起動モード”に切り替えてもよいし、制御装置4を介してゾーン・ロックアウトが解除(リセット)された時点で、“初起動モード”に切り替えてもよい。
【0086】
最後に、燃焼制御装置1によるゾーン・ロックアウト制御の処理の流れについて説明する。
図8は、実施の形態に係る燃焼制御装置によるゾーン・ロックアウト制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【0087】
図8に示されるように、ゾーン・ロックアウト制御では、先ず、動作モード設定部101によって動作モードが決定される(S1)。次に、遮断条件選択部102が、ステップS1で選択された動作モードを判定し、判定結果に応じてゾーン・ロックアウト条件を選択する(S2)。具体的には、ステップS1で選択された動作モードが初起動モードであった場合には、遮断条件選択部102が初起動時遮断条件1031を選択する(S3)。一方、ステップS1で選択された動作モードが初起動モードでなかった場合、すなわち通常動作モードであった場合には、遮断条件選択部102が通常動作時遮断条件1032を選択する(S3)。
【0088】
その後、制御装置4からバーナの燃焼要求が出力されると、燃焼制御装置1がその燃焼要求に基づいて、対応するバーナの燃焼を制御する(S5)。具体的には、前述したように、安全制御装置10が受け取った燃焼要求のバーナに対する点火指示を、対応するバーナコントローラ11に対して出力するとともに、バーナコントローラ11が対応するバーナによる火炎の有無(安定した火炎の有無)を火炎判定情報として安全制御装置10に対して出力する。
【0089】
安全制御装置10は、バーナコントローラ11から受け取った火炎判定情報に基づいて、各バーナの燃焼状態の判定を行う(S6)。具体的には、前述したように、各バーナの燃焼状態がステップS3(またはステップS4)で選択したゾーン・ロックアウト条件を満たしているか否かの判定を行う(S7)。安全制御装置10は、判定部104によって各バーナの燃焼状態がステップS3(またはステップS4)で選択したゾーン・ロックアウト条件を満たしている(異常)と判定した場合には、燃焼制御装置1による制御対象の燃焼室におけるN本のバーナの運転を停止するように、各バーナコントローラ11に対して通知する(S8)。これにより、燃焼制御装置1による制御対象の燃焼室はゾーン・ロックアウトされる(S9)。
【0090】
一方、ステップS7において、安全制御装置10が、判定部104によって各バーナの燃焼状態がステップS3(またはステップS4)で選択したゾーン・ロックアウト条件を満たしていない(正常)と判定した場合には、制御対象の燃焼室における各バーナの運転を許可する(S10)。
【0091】
〈燃焼制御装置による効果〉
以上、本発明に係る燃焼制御装置によれば、初起動時のゾーン・ロックアウト条件(初起動時遮断条件1031)と、通常動作時のゾーン・ロックアウト条件(通常動作時遮断条件1032)とを有しているので、初起動時と通常動作時とにおいて異なるゾーン・ロックアウト条件に従ったゾーン・ロックアウトの実行が可能となる。これによれば、従来のように1つのゾーン・ロックアウト条件しか有していない燃焼制御装置に比べて、燃焼システムにおける燃焼の安全性と燃焼の安定性(継続性)の双方を向上させることが可能となる。
【0092】
具体的には、上述したように、初起動時遮断条件1031として、“N本のバーナのうち何れか一つのバーナが着火しなかった場合にN本のバーナの運転を停止させる条件”を設定し、通常動作時遮断条件1032として、“N本のバーナのうちM本のバーナが断火(不着火)した場合にN本のバーナの運転を停止する条件”を設定することにより、初起動時には安全性を優先させ、且つ通常動作時には燃焼室内の全バーナが停止することによる燃焼室内の温度低下をできるだけ回避するように燃焼の継続性(安定性)を優先させた燃焼制御を実現することが可能となる。
【0093】
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0094】
例えば、上記実施の形態では、燃焼室20Aの燃焼を制御するための燃焼制御装置1Aによるゾーン・ロックアウト制御について説明したが、燃焼室20Bの燃焼を制御するための燃焼制御装置1Bも、同様のゾーン・ロックアウト制御を行うことができる。
【0095】
また、上記実施の形態では、一つの燃焼室のゾーン・ロックアウト条件を初起動時と通常動作時で分ける場合について説明したが、これに限られず、複数の燃焼室から成る一つの燃焼炉のロックアウト条件を初起動時と通常動作時で分ける場合にも、同様に本実施の形態に係る燃焼制御を適用することができる。
【0096】
例えば、1つまたは複数のバーナを有する燃焼室をP(Pは2以上の整数)個有する燃焼炉を備えた燃焼システムにおいて、その燃焼炉全体のロックアウトを行う燃焼炉ロックアウト条件として、何れの燃焼室のバーナも着火していない状態から所望の燃焼室のバーナを点火する初起動時のロックアウト条件と、初起動時に所望の燃焼室のバーナが正常に着火した後の通常動作時のロックアウト条件とを夫々別個に設定する。具体的には、初起動時の燃焼炉ロックアウト条件として、1つの燃焼室がロックアウトした場合にP個全ての燃焼室をロックアウトする条件を設定し、通常動作時の燃焼炉ロックアウト条件として、P個の燃焼室のうちS(S<P)個の燃焼室がロックアウトした場合にP個全ての燃焼室をロックアウトする条件を設定する。この場合、例えば、P個の燃焼室毎に設けられた燃焼制御装置(上記燃焼制御装置1A、1Bに相当)を制御する上位側の装置(例えば制御装置4に相当)が、動作モードに応じた燃焼炉ロックアウト条件の選択と、選択した燃焼炉ロックアウト条件に従った燃料炉ロックアウトの判定を行い、その判定結果に応じて各燃焼制御装置を制御する。
【0097】
これによれば、上記実施の形態の場合と同様に、燃焼システムにおける燃焼の安全性と燃焼の安定性の双方を向上させることが可能となる。
【0098】
また、上記実施の形態において、燃焼システム500における燃焼炉2が2つの燃焼室20A、20Bを有する場合を一例として説明したが、燃焼炉2の燃料室の個数は、特に制限されない。例えば、燃焼炉2が1つの燃焼室のみを有していてもよいし、3つ以上の燃焼室を有していてもよい。
【0099】
また、上記実施の形態において、初起動時遮断条件1031および通常動作時遮断条件1032の情報が、燃焼制御装置1の製造時または出荷時等においてフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ等に書き込まれるものとして説明したが、例えば、燃焼システムの構築時や燃焼システムのメンテナンス時等の燃焼制御装置1の製造後においても、初起動時遮断条件1031および通常動作時遮断条件1032の情報が書き換えられるようにしてもよい。