(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記搬送ユニットは、前記原稿を前記透明部材まで導く搬送ガイドを備え、前記搬送ガイドの前記透明部材に対向する位置に前記第1の基準部材を配置したことを特徴とする請求項3又は5記載の読取装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、本発明による画像読取装置を採用した実施の形態1の複合装置1の外観斜視図であり、
図2は、ADFユニット41を閉じた状態における、複合装置1の画像読取装置30の要部構成を説明するための概略構成図である。尚、
図1に示す複合装置1を、正面(矢印A方向)からみて、複合装置1に対する上下左右前後の方向を特定する場合がある。
【0009】
図1に示すように、複合装置1は、下部に配置された画像印刷部10とその上方に、一対の左ステイ21、右ステイ22を介して配置された画像読取装置30とを備える。画像読取装置30は、画像読み取りユニット31とその上方に配置された自動原稿搬送装置(以後、ADFユニットと称す)41とを備え、ADFユニット41は、画像読み取りユニット31によって、ADF回動軸44回りに回動自在に保持されている。即ち、ADFユニット41は、左右方向に延在するADF回動軸44を中心に、
図1に示す開角が0度で閉じた閉位置と、例えば開角60度程度開いた開位置との間で回動自在に構成されている。
【0010】
図2に示すように、給送ユニットとしてのADFユニット41には、載置部としての原稿トレイ106、ピックアップローラ108、分離ローラ109、分離パッド110、レジストローラ対としてのレジストローラ127及びプレッシャーローラ128、排出ローラ118、これと対をなすプレッシャーローラ119、レジストセンサ132、原稿検出器としてのスキャンセンサ134、コイルスプリング117、搬送路112、原稿押さえ部材116、第1の基準部材としての第1基準部材135、及びスタッカ122が配設され、画像読み取り部としての画像読み取りユニット31には、透明部材としてのADF用読み取りガラス115及びFB(フラットベッド)用読み取りガラス123、読み取り部としての読み取りセンサ120、及び原稿すくい上げ部材121が配設されている。
【0011】
尚、ピックアップローラ108、分離ローラ109、レジストローラ127、排出ローラ118、及び用紙搬送路112が搬送部に相当する。
【0012】
原稿トレイ106には、読み取り原稿107がセットされ、セットされた読み取り原稿107は、原稿トレイ106に備えられた原稿センサ113によって検出され、その検出情報が後述する制御部201(
図9)に送信される。ピックアップローラ108は、原稿トレイ106に重ねて載置された読み取り原稿107の最上部の原稿を、ADFユニット41内の用紙搬送路112に向かって送り出す。用紙搬送方向におけるピックアップローラ108の下流側に、ピックアップローラ108により繰出された読み取り原稿107を共働して1枚ずつ分離搬送するための分離ローラ109及び分離パッド110が設けられている。このため分離パッド110は、分離ローラ109が当接可能な位置に対向して配置されている。
【0013】
ADFユニット41は、外装部材111を備え、内部に形成された読み取り原稿107の搬送路112には、用紙搬送方向における分離ローラ109の下流側にレジストローラ127が配置され、その対向位置にはレジストローラ127に圧接して従動し、読み取り原稿107に搬送力を与えるプレッシャーローラ128が設けられている。
【0014】
画像読み取りユニット31の上部には、第1の主面(例えば、表面)115a及び第2の主面(例えば、裏面)115bを有する板状の透明部材からなるADF用読み取りガラス115が水平方向に配置されている。原稿押さえ部材116は、上方に備えたスプリング117によりADF用読み取りガラス115に付勢されており、搬送路112に沿って搬送される読み取り原稿107を、ADF用読み取りガラス115に押圧する。また、原稿押さえ部材116とADF用読み取りガラス115の間に隙間を設けて通過する読み取り原稿107の移動を円滑にするため、原稿押さえ部材116の下部面の原稿通過領域外に所定厚のフィルムを貼り付けても良い。
【0015】
原稿すくい上げ部材121は、ADF用読み取りガラス115を通過した読み取り原稿107を排出ローラ118へと導くために読み取り原稿107をすくい上げる機能を有している。排出ローラ118とその対向位置に設けられたプレッシャーローラ119とは、読取が完了して原稿すくい上げ部材121によってすくい上げられた読み取り原稿107をADFユニット41の外部へ排出する。スタッカ122は、排出された読み取り原稿107をスタックするためのものであり、その下方には、ADF用読み取りガラス115と面一で画像読み取りユニット31の上部に配置された、FB用読み取りガラス123が対向している。
【0016】
読み取りセンサ120は、画像読み取りユニット31の上部にあって同一平面上に配置されたADF用読み取りガラス115及びFB用読み取りガラス123に覆われるように、画像読み取りユニット31内に配置され、ADF用読み取りガラス115の第1の主面115aと平行(水平方向)に延在するガイド部材155(
図3)によって、このガイド部材155が延在する副走査方向(矢印B、C方向)に移動可能に保持されている。
【0017】
尚、
図2中のX、Y、Zの各軸は、ガイド部材155が延在する方向にX軸をとり、ADF用読み取りガラス115の第1の主面115aと平行でX軸と直交するピックアップローラ108の回転軸方向にY軸をとり、これら両軸と直交する方向にZ軸をとっている。また、他の図においてX、Y、Zの各軸が示される場合、これらの軸方向は、共通する方向を示すものとする。即ち、各図のXYZ軸は、各図の描写部分が、
図1に示す複合装置1を構成する際の配置方向を示している。またここでは、Z軸が略鉛直方向となるように、即ちADF用読み取りガラス115及びFB用読み取りガラス123が水平となるように配置されるものとする。
【0018】
読み取りセンサ120は、光学式反射型イメージセンサで、例えばADF用読み取りガラス115上の読み取り原稿107に光を照射する発光ダイオードと、読み取り原稿107からの反射光を感知して電気信号に変換する受光ダイオードとにより構成され、受光ダイオードが受光した読み取りデータを制御部201(
図9)に送信し、後述する第3駆動モータ206(
図9)によって駆動されて、副走査方向(矢印C方向)とその逆方向(矢印B方向)に平行移動する。
【0019】
ADFユニット41によって搬送される読み取り原稿107を読み取るADF読み取りモード時において、読み取りセンサ120は、
図2に示すように、ADF用読み取りガラス115を挟んで原稿押さえ部材116と対向する所定の原稿読み取り位置P1に停止し、原稿押さえ部材116で押圧されながらADF用読み取りガラス115の第1の主面115a上を搬送方向に移動する読み取り原稿107の画像を読み取る。
【0020】
図3は、
図2に示すADF用読み取りガラス115の周辺を拡大した部分拡大図であり、
図4は、ADFユニット41を閉じた状態においてADFユニット41に設けられている搬送ユニットとしての搬送ガイドユニット124を下方から見た斜視図であり、
図5は、搬送ガイドユニット124がフレームとしてのADFフレーム125に保持された状態を下方から見た斜視図であり、
図6は、ADFユニット41を閉じた状態における搬送ガイド枠126の前側位置決めボス136周辺の断面図である。尚、
図3、
図6では、読み取りセンサ120が、後述する待機位置に待機した状態を示している。
【0021】
ADFユニット41は、骨格を構成するADFフレーム125を備えており、このADFフレーム125には、搬送ガイドユニット124(
図4)が設けられている。この搬送ガイドユニット124は、搬送ガイド枠126、レジストローラ127、プレッシャーローラ128、レジストスプリング129、軸受130a,130b(
図5)、レジストセンサ132、スキャンセンサ134、レジストローラ127近傍で用紙搬送路112を構成する搬送ガイドとしての下側ガイド114、及び第1基準部材135を備えている。
【0022】
尚、ADFユニット41において、搬送ガイド枠126の前後のサイドシャーシ126a,126bが、レジストローラ127及びプレッシャーローラ128の各軸の両端部を軸支する構成、及びADFフレーム125の前後のサイドシャーシ125a,125b(図示せず)が搬送ガイドユニット124の両端部を保持する構成が、前後のサイドシャーシ126a,126bの中間の仮想的な中心面(レジストローラ127の回転軸に対して垂直)に対して略面対称に構成しているため、ここでは前側における各構成のみを図示し、
図2〜
図5を参照しながら説明する。
【0023】
レジストローラ127の回転軸の前側端部は軸受130aを介して前側サイドシャーシ126aに保持され、プレッシャーローラ128の回転軸の前側端部は軸受130bを介して前側サイドシャーシ126aに保持されている。ここで、軸受130aは前側サイドシャーシ126aに固定されているのに対し、軸受130bは軸受130aに対して離間又は接近する方向にスライド可能に保持され、更に、レジストスプリング129によって接近する方向に付勢されている。従って、プレッシャーローラ128は、レジストスプリング129によってレジストローラ127に圧接するように付勢されている。
【0024】
レジストセンサ132を構成するレジストセンサレバー131は、レジストローラ127の上流側の搬送路上に配置され、搬送ガイド枠126に軸支されている。ここを通過する読み取り原稿107によってレジストセンサレバー131が回動し、一体に形成された遮光板150によるレジストセンサ132本体での遮光が解除されると、レジストセンサ132がオフからオンとなって、ここを通過する読み取り原稿107の通過を知らせる通過情報を後述する制御部201(
図9)に送信する。
【0025】
同様に、スキャンセンサ134を構成するスキャンセンサレバー133は、レジストローラ127の下流側の搬送路上に配置され、搬送ガイド枠126に軸支されている。ここを通過する読み取り原稿107によってスキャンセンサレバー133が回動し、一体に形成された遮光板151によるスキャンセンサ134本体での遮光が解除されると、スキャンセンサ134がオフからオンとなって、ここを通過する読み取り原稿107の通過を知らせる通過情報を後述する制御部201(
図9)に送信する。
【0026】
搬送ガイド枠126には、画像読み取りユニット31内に配置された読み取りセンサ120が、ADFユニット41で搬送される読み取り原稿107を読み取るときの読み取り位置の基準となる第1基準部材135が設けられている。この第1の基準部材135は、
図4に示す様に、搬送ガイド枠126の下部面の前側端部にあって長手方向(Y軸方向)に延在して配置され、搬送方向で隣接して白色と黒色に色分けされたシートを貼り付け、色の境界ライン149(
図4)を基準位置としているが、搬送ガイド枠126が白色の場合は黒色のシートを貼り付けたり、搬送ガイド枠126を黒色に塗装したり、黒色のモールド部材を取り付けても良い。
【0027】
尚、搬送ガイドユニット124の下側ガイド114は、レジストローラ127から排出される読み取り原稿107を、ADF用読み取りガラス115の第1の主面115aまで導くが、第1の基準部材135の配置位置は、この下側ガイド114の、ADF用読み取りガラス115に対向する端部位置にも相当する。
【0028】
搬送ガイド枠126の前側サイドシャーシ126aの、上部の左右方向(X軸方向)の両端部近傍には、左右一対のボス141,142が設けられ、それらの中間位置には、水平面を有する板状凸部145が形成されている。一方、搬送ガイドユニット124を保持するADFフレーム125の前側サイドシャーシ125aには、左右一対のボス141,142、及び板状凸部145がそれぞれ遊嵌する左右一対のボス穴143,144、及び長穴161、それから軸受130a,130b等の当接を避けるための切欠孔160が形成されている。尚、これらのボス、ボス穴等は、ADFユニット41の後側においても同様に構成されているものである。
【0029】
従って、これらの各穴に、それぞれ対応する部材が遊嵌してADFフレーム125に搬送ガイドユニット124が装着されたとき、搬送ガイドユニット124は、例えばボス穴143,144にそれぞれ遊嵌するボス141,142が移動できる範囲で、ADFフレーム125に揺動可能に保持される。またこれらの各穴は、搬送ガイドユニット124が装着されたとき、ADFユニット41が閉じた状態において、
図5に示す様に、搬送ガイド枠126の下部面が、後述するように、画像読み取りユニット31のフレーム138(
図3)上部面と対向できるように形成されている。
【0030】
以上のように、ADFフレーム125にフローティング可能な状態で保持された搬送ガイドユニット124は、長穴161から外部に突出するその板状凸部145と、板状凸部145に対向してADFフレーム125に形成されたバネ受け部材146との間に圧縮した状態で架けられたスプリング147(
図5)によって、矢印D方向(ADFユニット41が閉じた状態における鉛直下方)に付勢されている。
【0031】
図8は、揺動可能に保持された搬送ガイドユニット124に配設されたレジストローラ127に、回転力を伝達する伝達機構の一例を示す図である。
【0032】
同図に示す様に、レジストローラ127は、例えば後側端部に同軸で固定配置された受動ギア127aを備える。一方、その先端側に後述する第2駆動モータ205(
図9参照)を固定して保持するモータ支持レバー181は、第2駆動モータ205の回転軸に固定された駆動ギア205aが、レジストローラ127の受動ギア127aと歯合するようにADFフレーム125(
図6)によって回動自在に軸支(181a)されている。更にこのモータ支持レバー181は、ADFフレーム125との間に架けられた付勢部材182によって、駆動ギア205aが受動ギア127aに圧接する矢印E方向に付勢されている。
【0033】
従って、レジストローラ127が、揺動可能に保持された搬送ガイドユニット124に伴って揺動する際にも、第2駆動モータ205の回転力を、安定してレジストローラ127に伝達することが出来る。
【0034】
搬送ガイド枠126の下部面の前後方向(Y軸方向)の両端部近傍には、係合部としての前後一対の位置決めボス136,137が設けられている。一方、画像読み取りユニット31のフレーム138の上面部には、前側位置決めボス136に対応する前側位置決め穴139(
図6)、及び後側位置決めボス137に対応する後側位置決め長穴140(図示せず)が形成されており、
図6に示す様に、ADFユニット41が閉じた状態において、それぞれが嵌合するように構成されている。
【0035】
この嵌合により、搬送ガイドユニット124は、画像読み取りユニット31上おいて、そのレジストローラ127の回転軸と画像読み取りユニット31のガイド部材155(
図3)の延在方向とが正確に直交するように位置決めされる。尚、前側位置決め穴139及び後側位置決め長穴140が被係合部に相当する。
【0036】
このとき、前後一対の位置決めボス136,137は、
図6に示す様にそれぞれADF用読み取りガラス115の第1の主面115aに当接し、搬送ガイドユニット124はADFフレーム125に対してフローティング状態となるように構成されている。
【0037】
従って、搬送ガイドユニット124は、ADFユニット41が閉じた状態において、上下左右方向において、画像読み取りユニット31によって位置決めされ、スプリング147によって、ADF用読み取りガラス115に付勢された状態となる。
【0038】
図7は、
図3における読み取りセンサ120近傍の部分拡大図である。同図に示すように、画像読み取りユニット31のフレーム138の上部面には、読み取りセンサ120がFB用読み取りガラス123の上面である原稿載置面123a(
図2)に置かれた読み取り原稿107を読み取るときの読み取り開始位置P2(
図3)の基準となる第2基準部材148が取り付けられている。この第2基準部材148も、搬送方向で隣接して白色と黒色に色分けされたシートを貼り付け、色の境界ライン171(
図7)を基準位置としている。
【0039】
図9は、主に本発明に係る、画像読取装置30の駆動制御系の要部構成を示すブロック図である。
【0040】
同図中、読み取り指示ボタン210は、画像読取装置30の操作パネル25(
図1)に配置され、操作者による押下操作を受けて、読み取り指示を制御部201に送信する。制御部201は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、入出力ポート、タイマ等によって構成され、指示ボタン210からの読み取り指示、原稿センサ113(
図2参照)からの原稿の載置情報、レジストセンサ132及びスキャンセンサ134から原稿の通過情報、更に読み取りセンサ120からの読み取りデータ等を受信し、画像読取装置30全体をシーケンス制御し、原稿の読み取り動作を行う。
【0041】
搬送駆動部202は、制御部201からの指示で、第1駆動モータ204を駆動して、ギア列等の伝達機構を介してピックアップローラ108、分離ローラ109、及び排出ローラ118等の媒体搬送ローラを回転駆動して原稿を用紙搬送路112に沿って下流側に搬送する。更に搬送駆動部202は、制御部201からの指示で第2駆動モータ205を駆動して、レジストセンサ132が、搬送される読み取り原稿107の通過を検出してから後述する所定のタイミングでレジストローラ127を回転駆動する。
【0042】
読み取りセンサ駆動部203は、制御部201からの指示で、第3駆動モータ206を駆動して、ギア列等の伝達機構を介して読み取りセンサ120を、ガイド部材155(
図3)に沿って矢印B,C方向に移動する。この時制御部201は、後述するように、読み取りセンサ120から受信する読み取りデータから検知した第1基準部材135の境界ライン149、或は第2基準部材148の境界ライン171に基づいて読み取りセンサ120の移動を制御する。
【0043】
尚、制御部201、搬送駆動部202、読み取りセンサ駆動部203、第1駆動モータ204、第2駆動モータ205、及び第3駆動モータ206が駆動制御部に相当する。またここでは、レジストローラ127を専用のモータで駆動するように構成したが、ピックアップローラ108等と同一モータで駆動し、クラッチ機構を用いて、必要に応じて回転力を伝達してレジストローラ127の回転を制御するように構成してもよい。
【0044】
以上の構成において、
図1〜
図10を参照しながら画像読取装置30の動作について説明する。
図10は、画像読取装置30の動作説明に供する図である。
【0045】
ADFユニット41を開けた状態で、スプリング147(
図5)によって矢印D方向に付勢されている搬送ガイドユニット124(
図4)は、その左右のボス141,142がそれぞれ遊嵌する左右のボス穴143,144の矢印D方向の縁に圧接して、同方向への移動が規制された状態となっている。
【0046】
この状態でADFユニット41を閉めると、搬送ガイド枠126に配設された前後の位置決めボス136,137が、画像読み取りユニット31のフレーム138に形成された前側位置決め穴139(
図6)、後側位置決め長穴140(図示せず)にそれぞれ嵌入し、やがてADF用読み取りガラス115の第1の主面(上面)115aに当接し、画像読み取りユニット31に対して搬送ガイドユニット124が上下左右方向において位置決めされる。
【0047】
更にADFユニット41が、閉じた状態になる閉位置まで回動する間、搬送ガイドユニット124は静止状態を維持するため、その分、左右のボス141,142がそれぞれ左右のボス穴143,144の縁から離間してスプリング147を更に圧縮する。これにより、搬送ガイドユニット124は、ADFフレーム125に対してフローティング状態となり、同時にスプリング147によってADF用読み取りガラス115に付勢された状態となってしっかりと固定される。尚、これら一連の動きは、ADFユニット41の後側でも同様に行われるものである。
【0048】
制御部201(
図9)は、読み取りセンサ120を、読み取り処理を行わない待機時には
図3に示すように、画像読み取りユニット31内の左端近傍の待機位置に移動し待機させる。この初期状態で、操作者による読み取り指示ボタン210の押下による読み取り指示を受けると、制御部201は、原稿センサ113から受信する原稿の載置情報に基づいて原稿トレイ106に読み取り原稿107が載置されているか否かを判断し、読み取り原稿107が載置されていることを確認すると、ADF読み取りモードを開始する。
【0049】
このADF読み取りモードにおいて制御部201は、先ず読み取りセンサ駆動部203に指示して、読み取りセンサ120を待機位置から所定の速度で矢印C方向に移動する。制御部201は、この矢印C方向への移動中に、読み取りセンサ120から受信する読み取りデータを監視し、第1基準部材135の境界ライン149の通過を検出する。境界ライン149の通過を検出すると、この検出位置から一定距離L1だけ離れた原稿読み取り位置P1(
図10)まで読み取りセンサ120を移動して停止させる。
【0050】
尚、ここでの一定距離L1は、境界ライン149の通過を検出した後の、第2駆動モータ205の駆動時間によって特定しても良いし、第2駆動モータ205がパルスモータであれば、駆動パルス数によって特定しても良いし、読み取りセンサ120の移動量を直接検出して特定してもよい。
【0051】
制御部201は、この読み取りセンサ駆動部203の制御と同時に、搬送駆動部202を制御して第1駆動モータ204を駆動し、ピックアップローラ108を回転させて読み取り原稿107をADFユニット41内に繰出す。繰出された読み取り原稿107は、分離ローラ109と分離パッド110との相互作用、即ち読み取り原稿107に対する、分離パッド110側でのブレーキ作用、及び分離ローラ109側での繰出し作用による相互作用によって1枚ずつに分離され、レジストローラ127に向かって用紙搬送路112に沿って搬送される。
【0052】
制御部201は、レジストセンサ132から受信する通過情報によって、搬送される読み取り原稿107の通過を検知すると、一定時間後に第2駆動モータ205を駆動して停止中のレジストローラ127を回転させる。これにより、レジストセンサ132を通過した読み取り原稿107は、やがてその先端部が停止中のレジストローラ127とプレッシャーローラ128とのニップ部に当接するため徐々に先端部近傍が撓み始めて先端部のスキューが補正された状態となる。制御部201は、このタイミングでレジストローラ127を回転させ、スキューが補正された状態の読み取り原稿107を先端部から順次ニップ部の下流側に送り出す。
【0053】
制御部201は、スキャンセンサ134から受信する通過情報によって、レジストローラ127とプレッシャーローラ128とで搬送される読み取り原稿107の通過を検知すると、この検出から所定時間経過後、即ちレジストローラ127によって搬送される読み取り原稿107の所定の読み取り開始箇所が、読み取りセンサ120が読み取りを行う原稿読み取り位置P1(
図10)に達するのを予測した読み取りタイミングで、読み取り原稿107の画像の読み取り処理を開始する。
【0054】
尚、この読み取りタイミングは、スキャンセンサ134が搬送される読み取り原稿107の通過を検知するタイミングと同時でも良い。その場合、読み取った画像の先端から一定長さの画像を切り取る処理を行う。
【0055】
読み取り原稿107は、レジストローラ127とプレッシャーローラ128とによって搬送力を得てADF用読み取りガラス115上を移動する。このとき読み取り原稿107は、スプリング117によりADF用読み取りガラス115への付勢力を受けた原稿押さえ部材116の作用によりADF用読み取りガラス115から浮き上がることなく原稿読み取り位置P1を移動するため、安定した画像読み取り処理が可能となる。
【0056】
原稿読み取り位置P1を通過した読み取り原稿107は、原稿すくい上げ部材121によりガイドされて排出ローラ118及びプレッシャーローラ119の方向へ搬送され、スタッカ122上へ排出される。
【0057】
同様にして、順次送り出される、原稿トレイ106上に載置された全ての読み取り原稿107の画像読み込みが終了すると、制御部201は、読み取りセンサ120を再び待機位置まで戻してADF読み取りモードを終了する。
【0058】
次に、制御部201(
図9)が、操作者による読み取り指示ボタン210の押下による読み取り指示を受け、原稿センサ113から受信する原稿の載置情報に基づいて原稿トレイ106に読み取り原稿107が載置されていないことを確認した場合に開始するフラットベッド読み取りモードについて説明する。
【0059】
フラットベッド読み取りモードにおいて制御部201は、操作者がFB用読み取りガラス123上の原稿載置面123a(
図2)に読み取り原稿107をセットして読み取り指示ボタン210を押下したものと判断してフラットベッド読み取りモードを開始する。
【0060】
このフラットベッド読み取りモードで、制御部201は、先ず読み取りセンサ駆動部203に指示して読み取りセンサ120を、待機位置から所定の速度で矢印C方向に移動する。制御部201は、この矢印C方向への移動中に、読み取りセンサ120から受信する読み取りデータを監視し、第2基準部材148の境界ライン171(
図7)の通過を検出する。
【0061】
境界ライン149の通過を検出すると、この検出位置から一定距離L2だけ離れた原稿読み取り開始位置P2(
図2)まで読み取りセンサ120が移動した時点で、同方向(副走査方向)の移動を継続したまま、FB用読み取りガラス123上の原稿載置面123a(
図2)に載置された読み取り原稿107の読み取りを開始し、所定域の副走査方向移動(矢印C方向)によって原稿読み取りを終了した後、再び読み取りセンサ120を待機位置まで戻してフラットベッド読み取りモードを終了する。
【0062】
尚、本実施の形態では、ADFフレーム125に対して揺動可能な搬送ガイドユニット124にレジストローラ127、プレッシャーローラ128、スキャンセンサ134、及び第1基準部材135を配備したが、これに限定されるものではなく、ADFフレーム125自体にこれらの各部材を配設してもよいなど、種々の態様を取り得るものである。
【0063】
以上説明した本実施の形態の画像読取装置30によれば、搬送ガイドユニット124に配設された第1基準部材135の境界ライン149からL1の距離にADF読み取りモード時での原稿読み取り位置P1を定めるため、搬送路におけるスキャンセンサ134から原稿読み取り位置P1までの距離が、ADFユニット41の閉じ位置での状態に係らず常に一定となるので、読み取り原稿の読み取り先端位置のばらつきを抑制できる。
また、搬送ガイドユニット124が画像読み取りユニット31に対して精度よく位置決めされるため、原稿読み取り位置P1での、読み取り時の原稿のスキュー等の走行精度が増すので読み取り精度を向上させることができる。
【0064】
実施の形態2.
図11は、本発明による実施の形態2の画像読取装置330において、ADFユニット341を閉じた状態における画像読取装置330の要部構成を説明するための概略構成図である。
【0065】
この画像読取装置330が前記した
図2〜
図10に示す実施の形態1の画像読取装置30と主に異なる点は、搬送ガイドユニット424の構成である。従って、この画像読取装置330が前記した画像読取装置30と共通する部分には同符号を付して或は図面を省いて説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。
【0066】
ここでは、レジストローラ427が、ADFフレーム425によって保持されて回転駆動されるように構成され、搬送ユニットとしての搬送ガイドユニット424の搬送ガイドプレート426もまた、レジストローラ427と同軸上で、ADFフレーム425によって回動可能に保持されている。
【0067】
この搬送ガイドプレート426には、レジストローラ427に圧接して従動する位置に配置されたプレッシャーローラ428、レジストローラ427とプレッシャーローラ428とによって搬送される読み取り原稿107が通過するのを検出するスキャンセンサ134、ADFユニット341で搬送される読み取り原稿107を読み取るときの読み取り位置の基準となる第1基準部材135が設けられている。
【0068】
搬送ガイドプレート426は、ADFフレーム425との間に圧縮した状態で架けられた圧縮スプリング411によって矢印方向Fに付勢されている。また搬送ガイドプレート426は、ADFフレーム425に植立するガイドポスト410が嵌入する円弧状長孔412を備え、その回動がガイドされると共に回動範囲を規制している。
【0069】
以上の構成において、ADF読み取りモード時には、第1基準部材135の境界ライン149から一定距離L1だけ離れた原稿読み取り位置P1(
図10)まで読み取りセンサ120を移動して停止させ、スキャンセンサ434によって、レジストローラ427とプレッシャーローラ428とでここを通過する読み取り原稿107を検出すると、この検出から所定時間経過後、即ちレジストローラ427によって搬送される読み取り原稿107の所定の読み取り開始箇所が、読み取りセンサ120が読み取りを行う原稿読み取り位置P1に達するのを予測した読み取りタイミングで、読み取り原稿107の画像の読み取り処理を開始する。
【0070】
以上のように、本実施の形態の画像読取装置330によれば、搬送ガイドユニット424に配設された第1基準部材135の境界ライン149からL1の距離にADF読み取りモード時での原稿読み取り位置P1を定めるため、搬送路におけるスキャンセンサ434から原稿読み取り位置P1までの距離が、ADFユニット41の閉じ位置での状態に係らず常に一定となるので、読み取り原稿の読み取り先端位置のばらつきを抑制できる。
また、レジストローラ427をADFフレーム425に設けるため、レジストローラ427への特別な駆動伝達機構が不要となり、構成を簡素化できる。