【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、この種の一般的なシステム、特に、トラッキング精度が高くおよび/または小さな横方向力を受けるシステムは、最も簡単な実施形態において、牽引部材を備えたエネルギーガイドチェーンが移動可能な電源として設けられ、このシステムは、牽引部材に伸長アームを接続する機械的結合が片側に配され、伸長アームに設けられたプラグコネクタと、牽引部材に設けられたソケットとからなる機械的結合が反対側に配されたことを特徴とする。
機械的カップリングは、主として、伸長アームの先端部の結合ピースと、牽引部材の結合対向部材とからなり、結合ピースは、位置決めのために結合部材と共働する。
エネルギーガイドチェーンとドッキング装置の間のケーブルは、前記プラグコネクタとこれに対応するソケットからなるプラグ式接続により結合されている。
【0011】
提案された構造は、供給を受ける機械が、正確にエネルギーガイドチェーンの長手方向と正確に平行な方向に移動することが必ずしも必要でない場合であっても、特に、実績のある方式で製造されたエネルギーガイドチェーンの使用を許容する。
ここで、機械的カップリングは、エネルギーガイドチェーンの牽引部材に伸長アームを確実に接続しその後またそれと同時に、例えば電源供給ラインやデータ伝送ラインなどの必要な供給ラインが、プラグ式接続によって接続される。
【0012】
軌道とエネルギーガイドチェーンの長手方向の走行路との間に、より大きなずれがあり、および/または、大きな横力が作用する移動性機械のための独立した解決手段としては移動可能な電源となる牽引部材を備えたエネルギーガイドチェーンが提供され、伸長アームの一端に設けられた結合部材と、エネルギーガイドチェーンの牽引部材に設けられて前記結合部材と協働する結合対向部材が、機械的結合を形成している。
ずれを解消しおよび/または望まない横方向の力の作用を受容するため、本発明による別の解決手段は、牽引部材が、結合対向部材に装着したフローティング部を形成し、すなわち、後者は、エネルギーガイドチェーンに対し、水平方向のすきまを有しかつ浮いた状態で、横方向に装着されている。
【0013】
夫々の用途に応じて、チェーンでの望ましくない横方向の力を回避することができ、またはたとえはRTGのように軌道からのずれを解消することができる。
【0014】
提案された双方のシステムでは、いずれも、移動性消費機械への電力供給のための導電軌道や接触ラインに代えて、エネルギーガイドチェーンを使用することができる。
【0015】
国際公開WO2010/054852A2、ドイツ特許出願公開102008024572A1に記載されているような導電軌道を有する高価なラインは必要がない。
また、特別な集電トロリーも必要がない。
ここで提案されるシステムは、例えば米国特許公開2012/043291A1に記載のシステムとは異なって方向安定性を備えた別の軌道を用いることもない。
【0016】
双方のシステムにおいて、特に軌道からの大きなずれのある場合には、片側の牽引部材に誤差感知部材と協働する前進制御装置を設け、アクチュエータとしてのドッキング装置の横方向前進ユニットを反対側に設けることが有利である。
前進制御装置は、エネルギーガイドチェーンがその経路に従って移動している間、例えば、牽引部材が適切な水平方向のあそびを超えないように、伸長アームの水平姿勢を必要ならば新たに調節し、あるいは、再度調節することがきるように構成されている。
エネルギーガイドチェーンの走行方向と走行路の間の小さなずれは、浮動性取付部を形成することにより補償される。
何らかの形で設けられる水平前進装置は、浮動性取付部を形成しても許容することができない大きなずれを許容するため、あるいは、より小さな寸法取りを可能にするために、さらに利用される。
【0017】
全体として、前記前進制御装置により、強固で実績のあるエネルギーガイドチェーン、特に、それ自体として牽引部材に水平方向のいかなる自由度も許容しないエネルギーガイドチェーンを使用することが可能になる。
【0018】
特に、前進装置のないシステムにおいては、そのシステムに、エネルギーガイドチェーンが配置され、エネルギーガイドチェーンの走行経路をあらかじめ設定しあるいは画定するガイドチャンネルを備えていることは好ましい。
特に、前記走行経路は、ほとんど直線的にあるいは線形とすることができる。
適切なガイドチャンネルの構造それ自体は公知である。
これは特に、それ自体で、望ましくない外部の影響に対してエネルギーガイドチェーンを保護する。
【0019】
特に、屋外用途の場合、ガイドチャンネルが例えば屋根のような天候保護機構を備えた構造を有するという利点がある。
この場合、ドッキング装置がエネルギーガイドチェーンの牽引装置にアクセスすることができる通路となる長手方向の隙間を形成する必要がある。
【0020】
摩耗を防止しまたは減少させるために、牽引部材がそれによってガイド溝内で概ね中心に向かって案内されるスライド条体を両側に設けたガイド溝を用いることがさらに好ましい。
自動的なドッキングのための所定の停止位置を予め設定するために、対応するスライド条体を、少なくとも停止位置あるいは一時停止位置が形成され、その位置に牽引部材が係脱のために配置される。
例えば、ドイツ実用新案公開第202013101457U1あるいはドイツ特許第3930291C1に記載されているように、上側蓋及び下側蓋によって閉鎖されたエネルギーガイドチェーンを使用することにより、案内されるラインの保護を強化することができる。
【0021】
特に、牽引部材にフローティング取付部を装着しないシステム、および/または、前進装置のないシステムにおいては、エネルギーガイドチェーンのガイドチャンネルが牽引部材のための機械的な長手方向ガイド、すなわち、エネルギーガイドチェーンの長手方向のガイドを形成しており、そして例えば移動性機械の走行路の変更により作用する横方向の力を受ける場合に有用である。
この解決手段は、特に、作用する横方向の力が小さい場合に適しており、必要によっては、長手方向ガイドの単なる反力によって位置調整される伸縮可能な伸長アームを備えている。
【0022】
前進装置を備えたシステムでは、検出装置の簡単な具体例が二つの近接スイッチを備え、それらの各々が牽引部材特に牽引部材の浮動取付部が横方向のストッパに近付き過ぎないかどうかを検知するために、牽引部材に対して横方向に特に牽引部材の浮動取付部に設けられている。検知器の装置ドッキング装置のプラグ接続により前進装置に好ましく接続することができる。この目的のためには既存のプラグコネクタを用いても良く、又は別のプラグコネクタを設けてもよい。
【0023】
移動性の機械、例えばRTGのために横方向に十分な範囲を提供するためには、伸縮可能な伸長アームの範囲が牽引部材の水平方向のあそび特に浮動取付部の水平方向のあそびの少なくとも3倍、好ましく10倍であることが好ましい。
この水平方向のあそびそれ自体は好ましくはエネルギーガイドチェーンの幅の25%から200%の範囲以内にある。
【0024】
実績のあるエネルギーガイドチェーンを用いる他に、提案されるシステムはデータ伝送ライン、特に光データ伝送ラインおよび/または機械に液体もしくは気体の媒体を供給するホース管の自動的な結合を可能にする。これらのラインも本発明のエネルギーガイドチェーンを用いて容易に案内することができる。
【0025】
好ましい具体例では、実際の前進プロセスに必要な機能性の他に、前進制御装置が前記補償機能を導入するために、すなわち横断方向の許容距離を越えた場合に再調整するためにおよび/または伸長アームが限界まで伸長又は後退したとき牽引部材の水平方向のあそびを維持するようになされている。制御のために前進制御装置は真の開放ループ制御、すなわち、測定量のフィードバックなしで、又は測定量のフィードバック下で設計することができる。
【0026】
提案されたシステムは移動性機械に対して、たとえば空気タイヤを備えたコンテナスタッカクレーン(RTG)に軌道を保持せずに、またはたとえば軌道拘束形のコンテナスタッカクレーンのある程度の軌道保持あるいは完全な軌道保持による電化または電力供給に特に適している。
【0027】
この発明は、さらに請求項11によるドッキング装置、すなわち、特に移動性の機械、例えば移動可能な供給装置に対するコンテナスタッカクレーンの自動ドッキングのためのドッキング装置に関する。
ドッキング装置はエネルギーガイドチェーンとは別体であって、それ自身の長所によって保護が可能であると考えられる独立した態様を構成する。
前記ドッキング装置は、移動可能な供給装置および移動可能な供給装置を含むシステムとは別のクレームとなる。
【0028】
請求項11の一般的な形式の別のドッキング装置は、両方のシステムに適している。
本発明によれば、ドッキング装置は結合ピースが伸長可能な伸長アームの端部に設けられてこれが牽引部材の協働する結合対向部に接続されることができ、位置決めのために結合対向部と協働することを特徴とする。さらにこのドッキング装置は移動性機械に対して特にエネルギーを供給するためのプラグコネクタを前記端部に設けたことを特徴とする。このプラグコネクタはエネルギーガイドチェーンの牽引部材の協働するソケットと係合し、エネルギーガイドチェーンが供給ラインの結合のために移動性機械にドッキングできるようにする。特にプラグコネクタは移動性機械を移動可能な供給装置に電気的に接続できるが、情報を伝達し又は作動媒体を供給することもできる。
【0029】
従って、相対的位置は前記連結ピースによって固定され、連結ピースは移動性の機械のエネルギー供給のため、または必要であればデータ又は作動媒体の供給のためにプラグコネクタを使用することができる。
【0030】
水平・垂直の前進ユニットに加えて、前記ドッキング装置は、好ましくは伸長アームの端部が、それによって必要であれば水平/垂直前進ユニットと共に移動可能な供給装置たとえばエネルギーガイドチェーンに対して長手方向に前進することができる長手方向前進ユニットを備えている。この別の長手方向の前進ユニットは結合ピースを結合対向部に接続するために伸長アームの端部の移動方向又は長手方向に対応する動きを生じ得る。伸長アーム端部をドッキングの初期位置に置くために水平および垂直前進ユニットを用いることができる。
【0031】
ドッキングされるエネルギーガイドチェーンに対する端部の水平および垂直位置決めそして、別の長手方向の前進ユニットを設けるときに必要であれば長手方向位置の決定に用いられる位置発信器を設けると完全自動化が容易になる。対応する位置発信器が必要に応じて前進制御装置又は前進制御装置と協働する。このようにして横方向前進ユニットの駆動装置又は垂直方向前進ユニットの駆動装置をドッキング位置に正確に近接させるために制御することができる。
【0032】
好ましくは、そして特に完全自動化された実施態様においては独立した駆動装置、特にプラグコネクタを水平供給位置に平行な方向に前進させるため駆動装置に対してプラグコネクタが作動的に接続される。たとえば機械的結合ピースの最終接続状態の間又は結合ピースの接続後においても、プラグ接続を独立的に行うことができる。
【0033】
牽引部材上に設けられたプラグコネクタのソケットはプラグ接続部を天候の影響に対して保護する保護カバーを備えた天候保護装置を含むことが好ましい。保護カバーはプラグコネクタの移動によって容易に開閉することができる。
【0034】
ここに提案するドッキング装置はエネルギーガイドチェーンに対するドッキングのために特に適している。
【0035】
提案されたシステムおよびそのためのドッキング装置に加えて、本発明はその請求項15の導入部分に記載された機械的結合、すなわち漏斗とこれと協働する結合ヘッドとして構成された結合対向部とからなる。提案された機械的結合は専用的なものではないが前記のようなドッキング装置又はシステムに適している。これは別の独立した特色であってそれ自体の長所について保護をうけられるものと考えられる。
【0036】
本発明によれば提案された機械的カップリングは、結合ヘッドがそれに沿って漏斗に導入される長手方向に固定するために形状―係止状態でカップリングの漏斗および/または係止ボルトと協働する少なくとも一つの延設体からなることを特徴とする。長手方向に対する垂直な方向での固定は軸システムの二つの主要な方向または軸に関して行われる。さらに提案された機械的な結合は係止ボルトが前記少なくとも一つの延設体と協働することを特徴とする。さらに本発明によれば、結合は係止後に前記結合ヘッドが漏斗の所定の固定位置に固定されるように設計されている。
【0037】
結合ピースと結合対向部との間の固定した相対的位置を予め設定することにより、とりわけエネルギーガイドチェーンの牽引部材と伸長アームの端部との間に別々のプラグ接続による電気的結合がひきつづいて形成される。
【0038】
代わりの又は別の具体例として、電気的結合は機械的結合の部材たとえば係止ボルトおよび一つ以上の延設体の接点を用いて得ることもできる。
【0039】
機械的結合は漏斗が少なくとも一つの延設体を特に軸システムの全ての軸に関して漏斗がねじりに対して固定するシート領域を有するように構成されていることが好ましい。対応する形態に構成された漏斗、たとえばエネルギーガイドチェーンの牽引部材はドッキングされる機械部分の回転に対して完全に固定できる。
【0040】
好ましい構成形態においては、夫々が上端にふくらみのある二つの杭状の延設体が設けられている。このふくらみはノブ状、冠状、とさか状、球状などである。双方の延設体はシートと共に形状―係止係合部となされている。この構成により漏斗と結合ヘッドとの間に安定で、誤差のない、回転を拘束された接続が与えられる。必要によっては電流の供給のための電気接点の包含も容易になる。
【0041】
また係止ボルトの係合のための貫孔を有するT字形のフランジのような異なった形状の延設体も考えられ、これも本発明の範囲内である。
【0042】
機械的結合は少なくとも一つの延設体が長手方向に沿って部分的に又は全体的に漏斗に挿入できるように構成することが好ましい。ここで延設体を挿入するための向心的な斜面を漏斗に設けることが好ましい。
【0043】
結合又はドッキング装置に関する前記の特色はこれらの特色が関連する構成部分に関する限り、システムおよび装置に適用することができる。したがって前記好ましい実施態様はシステム、ドッキング装置、そして適用可能であれば機械的結合部にも関連するものとして請求項に記載される。
【0044】
本発明のより詳細な内容、長所および特色は添付図面を参照する発明の好ましい例示的で非制限的な実施態様についての以下の記載により明らかとなるであろう。