(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記燃料移送ケーブル内に配置された変換素子をさらに備え、前記変換素子は、前記燃料移送ケーブルを通って移送されている前記燃料の性状を実質的に変化させ、それは前記燃料の前記移送に関連する損失または減衰を上回る、請求項1
に記載の電子デバイス用燃料移送ケーブル。
前記第1または第2のコネクタの少なくとも1つは、前記コネクタが前記燃料供給源および燃料電池に流体接続されるまで燃料の流れを遮断する流れ制御素子を備える、請求項1に記載の電子デバイス用燃料移送ケーブル。
前記流れ制御素子が、開いている状態と閉じている状態を有する弁を備え、前記燃料供給源および前記燃料電池との前記接続中、前記弁が開いている状態になる、請求項10に記載の電子デバイス用燃料移送ケーブル。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、どちらかのエンドコネクタまたは両方のエンドコネクタに設けられた弁を有する相互接続ケーブルに関する。弁は好適には、相互接続ケーブルが、燃料供給源またはカートリッジ、あるいは燃料電池または電子デバイスにおける相手側コネクタに接続されると作動する。
【0007】
相互接続ケーブルは、その中に配置された変換素子を含んでよい。変換素子は好適には、燃料供給源から燃料移送ケーブルを通って燃料電池またはデバイスへ移送されている燃料の性状を好適に変化させ、それは上記燃料の移送に関連する損失または減衰を上回るものである。
【0008】
本発明はまた、燃料および/または電力を移送することに加えて、1または複数の機能の運転を開始または停止するように燃料カートリッジまたは燃料電池またはその両方に指示するために燃料電池とカートリッジとの間で制御信号を伝達することもできる、燃料供給源と燃料電池とを接続するコネクタまたはケーブルにも関する。制御信号は、電気信式、流体/水圧信号、および/または機械信号であってよい。
【0009】
本発明はまた、燃料電池によって生成された電力を、電子デバイスに電力供給するために、および/またはカートリッジの部品に電力供給するためまたはバッテリを再充電するために燃料カートリッジへ移送し得るケーブルにも関する。1つの実施形態において、ケーブルは、複数の燃料電池、燃料カートリッジ、および電子デバイスを互いに装着させ合うために用いられ得る少なくとも1つのユニバーサルコネクタを有する。燃料供給源および/または燃料電池へのケーブルの挿入が、一方または両方のデバイスの運転を開始してもよい。
【0010】
本発明の他の実施形態は、燃料供給減に接続するように適合された第1のコネクタ、燃料電池に接続するように適合された第2のコネクタ、燃料供給源における燃料が燃料電池へ移送されるように第1のコネクタと第2のコネクタとを流体接続する細長いチューブ、および燃料の移送を停止するための少なくとも1つの弁を備える燃料移送ケーブルに関する。燃料移送ケーブルは、燃料移送ケーブル内に配置された変換素子をさらに備え、変換素子は、燃料移送ケーブルを通って移送されている上記燃料の性状を変化させ、それは上記燃料の移送に関連する損失または減衰を上回る。変換素子は、コネクタの1つを含むケーブル内のどこにあってもよい。
【0011】
変換素子はドライヤであってよく、ドライヤは燃料の含水量を変化させる。変換素子は受動圧力調整器であってよく、受動圧力調整器は燃料の圧力を変化させる。変換素子は、燃料から少なくとも1つの汚染物質を除去し得るゲッタまたはフィルタであってよい。燃料電池は好適には、アノード燃料室およびカソード空気(非燃料)室を備え、他に燃料室は備えない。
【0012】
本発明の他の実施形態は、燃料供給源に接続するように適合された第1のコネクタ、および電子デバイスのための電力を生成する燃料電池に接続するように適合された第2のコネクタを備える流体および電気移送併用ケーブルに関する。細長い複数導管チューブは、燃料供給源における燃料が細長いチューブ内の第1の流体導管を通って燃料供給源から燃料電池へ移送されるように、第1のコネクタと第2のコネクタとを接続し、燃料電池によって生成される電力が細長いチューブ内の第2の電気導管を通って電子デバイスへ移送されるように、燃料電池と電子デバイスとを電気接続する。
【0013】
好適には、第1または第2のコネクタの少なくとも1つは、コネクタが燃料供給源および燃料電池に流体接続されるまで燃料の流れを閉ざす流れ制御素子を備える。流れ制御素子は通常閉じている弁を備え、燃料供給源と燃料電池との接続中、通常閉じている弁が開く。移送ケーブルは好適には、移送ケーブルを通って移送されている燃料の少なくとも1つの性状を変化させる少なくとも1つの変換素子を有する。変換素子は、ドライヤ、圧力調整器、圧力解放装置、またはフィルタの少なくとも1つであってよい。
【0014】
細長いチューブは好適には、燃料を移送するための少なくとも1つの流体導管、燃料電池によって生成された電力を移送するための少なくとも1つのユーティリティ導管、および電気信号を伝送するための少なくとも1つの信号導管を備える。流体および電気移送ケーブルは、耐タンパ素子をさらに備えてよい。任意選択的に、コネクタの1つはガルバニ半電池を備え、燃料供給源または燃料電池の1つは対応するガルバニ半電池を備え、接続されると2つのガルバニ半電池はガルバニ電池を形成する。
【0015】
本発明の他の実施形態は、燃料供給源に接続するように適合された第1のコネクタ、燃料電池に接続するように適合された第2のコネクタ、燃料供給源における燃料が燃料電池へ移送されるように第1のコネクタと第2のコネクタとを流体接続する細長いチューブ、および耐タンパ素子を備える燃料移送ケーブルに関する。耐タンパ素子は、アクチュエータによって開いた状態に維持される通常閉じている弁を備え、アクチュエータが破壊または切断されると第2の通常閉じている弁が閉じる。アクチュエータは、細長いチューブ内の加圧された作動流体を含む導管を備える。アクチュエータは、被覆管および被覆管内に含まれる可動ロッドを備えてよい。第2のコネクタと燃料電池との接続中、通常閉じている弁を開くようにロッドが被覆管に対して動かされる。
【0016】
本発明のまた他の実施形態は、ガス流が通過するサイズおよび寸法の細長いチャネルを備える除湿装置すなわちドライヤに関し、チャネルの少なくとも1つの表面がイオン交換材料を備え、ガス流から水が選択的にイオン交換材料を通過してガス流から除去される。細長いチャネルは好適には、蛇行した経路を備える。細長いチャネルは、本体に設けられた螺旋状経路であってもよく、本体は、イオン交換材料で作られた膜によって被覆される。
【0017】
本発明の他の実施形態は、燃料電池、燃料供給源、および燃料移送ケーブルを有する燃料電池システムを運転するための方法に関し、方法は、燃料供給源から燃料電池への燃料の流れを開始し、燃料電池システムにおけるオン/オフボタンを作動させずに燃料電池によって発電するために、燃料移送ケーブルを燃料供給源に接続するステップ、および燃料移送ケーブルを燃料電池に接続するステップを備える。
【0018】
本明細書の一部を成し、本明細書と併読すべき添付図面において、様々な図における類似要素を示すために類似した参照番号が用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】燃料カートリッジ、様々な燃料電池、および電子デバイスとともに本発明の多機能またはスマートケーブルの斜視図を示す。
【
図1B】燃料カートリッジ、様々な燃料電池、および電子デバイスとともに本発明の多機能またはスマートケーブルの斜視図を示す。
【
図2】2つのエンドコネクタを有する本発明の多機能ケーブルの平面図を示す。
【
図3】本発明のケーブルに関連し、または接続された様々な機能部品の概略図である。
【
図4】内部導管および任意選択のワイヤを示す本発明のケーブルの切断面図である。
【
図5】電子デバイスのカバーアクセサリ内に組み込まれた燃料電池に燃料カートリッジを接続する本発明のケーブルの斜視図である。
【
図6A】本発明のケーブルに関連し、または接続された追加の機能的特徴の概略図である。
【
図7A】本発明のケーブルの任意選択のハブ部分の概略図である。
【
図7B】任意選択のハブを有する
図2のケーブルの平面図である。
【
図7C】任意選択のハブを有する
図2のケーブルの平面図である。
【
図8A】耐タンパ部材を有する本発明のケーブルの概略図である。
【
図9】機械、電気、磁気または流体アクティベータを有する本発明のケーブルのコネクタの概略図である。
【
図10A】互いに接続し開き合う一連の2つのポペット弁の断面図である。
【
図10B】互いに接続し開き合う一連の2つのポペット弁の断面図である。
【
図10C】互いに接続し開き合う一連の2つのポペット弁の断面図である。
【
図10D】中空チューブによって開くことができる、通常閉じている弁の断面図である。
【
図11A】
図11A〜Dは本発明のケーブルと燃料カートリッジおよび燃料電池との間の適切な接続を確実にするための機能的特徴の様々な実施形態の概略図である。
【
図11B】
図11A〜Dは本発明のケーブルと燃料カートリッジおよび燃料電池との間の適切な接続を確実にするための機能的特徴の様々な実施形態の概略図である。
【
図11C】
図11A〜Dは本発明のケーブルと燃料カートリッジおよび燃料電池との間の適切な接続を確実にするための機能的特徴の様々な実施形態の概略図である。
【
図11D】
図11A〜Dは本発明のケーブルと燃料カートリッジおよび燃料電池との間の適切な接続を確実にするための機能的特徴の様々な実施形態の概略図である。
【
図12A】
図12A〜Bはそれぞれ典型的なカートリッジコネクタの斜視図および斜視断面図である。
【
図12B】
図12A〜Bはそれぞれ典型的なカートリッジコネクタの斜視図および斜視断面図である。
【
図12C】典型的な燃料電池コネクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の多機能ケーブル10が
図1Aおよび1Bに示される。ケーブル10は、燃料カートリッジ14の出口に接続されるようなサイズおよび寸法を有するカートリッジコネクタ12、および燃料電池18の入口に接続されるようなサイズおよび寸法を有する燃料電池コネクタ16を有する。単一の導管または複数の導管を有してよいチューブ11は、カートリッジコネクタ12を燃料電池コネクタ16に接続する。
図1Aに示すように、燃料電池18は、電子デバイス20に電力を供給する。
図1Bは、複数の燃料電池18に接続され得る多機能ケーブル10の汎用的な特徴を示す。1つの燃料カートリッジ14のみが示されるが、燃料供給源が、カートリッジコネクタ12に接続し得る一般的または汎用的な出口を有する限り、複数の様々な燃料供給源が用いられ得る。好適な実施形態において、燃料電池18は、1または複数の個々の燃料電池のアノード側に燃料が供給されるアノード燃料室を含み、他の燃料室は含まない。ただし、燃料電池18は、燃料ではなくケーブル10によって移送されない空気すなわち酸素を含むカソード室を含む。同様に、電子デバイス20は、燃料電池18が電子デバイス20の一部である場合、アノード燃料室以外の燃料室を含まない。
【0021】
本発明のケーブル10は、燃料カートリッジ14と燃料電池18との間で水素燃料を移送するように構成されてよく、また、燃料カートリッジ14、燃料電池18および/または電子デバイス20の間で電力または電気信号またはその両方を移送するように構成され得る。本発明のケーブル10は水素燃料、電力、および/または信号を移送することができ、構造的に構成されるが、以下に示すように、実際にはケーブル10は、水素のみ、電力のみ、信号のみ、またはそれらの任意の組み合わせを移送するために用いられ得る。
【0022】
好適な実施形態において、本発明のケーブル10は、水素燃料または他の燃料電池燃料の性状を変更、修正、または変換するトランスフォーマを備える。一例において、燃料の給湿度がケーブル10によって修正、変換、または変更され得る。他の例において、燃料の圧力、流量、および/または最大流量がケーブル10によって移送されることにより変換、修正、または変更される。これらの変化は、ケーブル10を通る燃料の移送に関連する摩擦損失または他の自然発生的損失に起因するあらゆる圧力降下または減速を上回る。
【0023】
図2は、多機能ケーブル10の他の実施形態を示し、コネクタ22は、後述するようにユニバーサルコネクタ22が流体燃料、好適には水素または液体燃料電池燃料も導くという点を除き、一般的なUSBコネクタの「A」接続と類似する。USB、USB2.0、およびUSB3.0ケーブルならびにミニ/マイクロUSBにおいて、「A」接続は同一であり、本発明の好適な実施形態において、コネクタの1つはUSB「A」コネクタと類似する。コネクタ12またはコネクタ14のいずれかは、「A」型USBコネクタ22を備え得る。他方のコネクタは、2つの面取り角を有する四角形である「B」型USBコネクタ28を備え得る。「A」コネクタは、挿入の方向付けを導くようにその末端にプラスチック片を有する。コネクタ22において、このプラスチック片24は、燃料カートリッジ14から燃料電池18へ燃料を搬送するために内部に形成された1または複数の流体導管26を有し、部材24はなお「A」コネクタの方向付けの助けとして使用可能である。構成されると、本発明の多機能ケーブル10は、燃料電池燃料が移送されない、すなわち流体導管26に移送すべき燃料がなくそれがアイドル状態である時、電気デバイス20と自身の周辺電子機器とを接続するためにも用いられ得る。後述する他の実施形態において、安全機構によって流体導管26は合致する流体接続がない限り開かない。特に、各コネクタ12、16は好適には、コネクタが燃料カートリッジ14および/または燃料電池18に適切に接続されない限り開かない、通常閉じている弁を含む。
【0024】
他の実施形態において、ケーブル10は、たとえば非USBケーブル/コネクタまたは他の非USB規格コネクタなどの非標準的電気コネクタ、および流体導管を伴うまたは伴わない電気導管を備えてよい。ケーブル10は、流体接続とは無関係に電気または電子接続を提供してよい。非USBコネクタおよび導管の例は、たとえばプリンタ、モニタ、キーボードなどの周辺機器をコンピューティングデバイスに接続するために一般的に用いられる専用ピンを有する従来のシリアルポートケーブルおよびパラレルポートケーブルを含む。典型的な非標準的ケーブル10の例は特に前述の
図1A〜1Bおよび後述の
図12A〜Fに示される。なお、図のいくつかは標準的なUSB接続を示すが、当該接続は、任意の非標準的形状または任意の非USB規格の形状を想定してよく、本発明は、任意の標準的コネクタまたは導管に限定されない。
【0025】
流体機能素子のいくつかが
図3に図示される。多機能ケーブル10は、これらの流体機能素子の1または複数を含んでよい。これらの素子は好適には、コネクタ12、コネクタ16の中、またはそれらの導管内に含まれ得る。あるいはそれらは、任意選択のハブ29に含まれ得る。任意選択のハブ29は、
図7Bに示すようにケーブル10に直接または一体的に接続されてよく、あるいは任意選択のハブ29は独立型部品であってよく、その場合、複数のケーブル10は
図7Aに図示するように取外し可能に装着される。好適には、流体または電気機能素子は、ハブ29を用いずに直接ケーブル10に組み込まれる。これらの流体機能素子は、湿気や水蒸気を除去するためのドライヤ30すなわち除湿装置30、圧力調整器32、フィルタ34、および他の流体機能素子36を含むがそれらに限定されない。他の流体機能素子36は、パージガス圧力解放弁のための通気孔、他の任意の弁または圧力解放装置(PRD)を含んでよい。適切なPRDは、第8,196,894号、第2011/0189574号などに開示されるものを含む。これらの参照文献は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。他の流体機能素子36は、ケーブル10を通って移送される流体内の不純物を吸収するためのゲッタを含んでよい。
【0026】
ドライヤ30は、水素流の流れから水蒸気を除去するように設計される。存在する場合、好適には、ドライヤに近接するコネクタ12/16またはチューブ11の部分は、たとえばチューブ11またはコネクタ12/16の被覆材料に穿孔することによって排出される。任意選択的に、ドライヤから水蒸気を追い出すためにヒータも設けられる。たとえば水酸化ホウ素ナトリウム、水酸化ホウ素カリウム、アンモニアボラン、ナトリウムアラネート(または水酸化アルミニウムナトリウム)などのケミカルハイドライド燃料のように、加水分解反応を用いる水素の生成は、水との発熱反応で熱を生じる。生じた熱は、フィンまたは熱伝導体(不図示)を通り、熱伝導でドライヤ30に伝達し得る。好適にはドライヤ30および/またはその任意選択のヒータは、カートリッジ14内の発熱反応に近接するようにコネクタ12内にある。好適な実施形態において、ドライヤ30は、Nafion(登録商標)またはAmberlite150(登録商標)またはAmberlyst15(登録商標)イオン交換樹脂などの商標名で使用可能なパーフルオロ化ポリマーなどのプロトン交換部材/膜によって少なくとも部分的に構成される中空チューブまたはアーチ状チャネルである。水または水蒸気は、そのようなプロトン交換部材に自然に引き寄せられチューブを通り抜けるが、一方、水素ガスはプロトン交換部材を通り抜けられず、後に示すようにチューブを通して運ばれる。ドライヤ30は、プロトン交換膜で作られる場合、ヒータを必要としない。
【0027】
圧力調整器32は、広範囲の様々な入口燃圧に対処し、入口圧力を、燃料電池18の運転に適切なほぼ一定の出口圧力に低減することができる。適切な圧力調整器は通常、可動シャトルが間に設けられた2つの隔壁を含み、共同所有の参照文献第12/053,374号、第13/371,089号、第8,002,853号、第2010/0104481号、第2011/0189574号、第13/832,528号、第13/836,789号において説明される。好適には圧力調整器は、たとえば第12/053,374号において説明されるもののように、マイクロ流体調整器であり、特徴層から成る。これらの参照文献は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0028】
フィルタ34は、様々な物質を除去するために複数の機能を実行し得る。1つの実施形態において、フィルタ34は、水素流から生じる高いpHの水蒸気を中和するための酸性成分を含む。たとえば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの塩基性安定剤が多くの場合、水酸化ホウ素ナトリウムと水との反応速度を制御するために用いられ、カートリッジ14を離れる水蒸気は高いpHを有し、それが酸性フィルタによって中和され得る。他の実施形態において、フィルタ32は、たとえばNafion(登録商法)、またはAmberlite150(登録商標)またはAmberlyst15(登録商標)イオン交換樹脂などのプロトン交換膜/部材(PEM)を含む。そのようなPEMフィルタは、燃料電池18の上流でイオンまたは金属イオンを引き寄せ得る。イオンフィルタは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,655,331号および第7,655,147号において説明される。
【0029】
好適な実施形態において、少なくとも1つのコネクタ12または16は、コネクタがカートリッジ14および/または燃料電池18のいずれかに適切に接続されない限り通常は閉じている遮断弁38を備える。他の実施形態において、各コネクタ12および16が遮断弁38を備える。1つの実施形態において、弁38は、たとえばばねによって閉位置にバイアスされたボールまたは剛体を有するボール弁または閉位置にバイアスされたエラストマー体を有する弁などのポペット弁を備える。燃料カートリッジまたは燃料電池からの別のポペット弁またはチューブが、接続中に弁38を開くように弁38を係止し、同時にケーブル10のコネクタ12、16は、
図10A〜Dに関して後述するように燃料カートリッジ14または燃料電池18に接続される。他の適切な遮断弁は、円盤内の穴を通り抜ける中柱に対するシールを生じるエラストマー円盤を含み、弁を開くために中柱から円盤を引き離すように中空チューブが遮断弁内に挿入される。適切な遮断弁38は、第7,537,024号、第7,762,278号、第2008/0145739号、第8,561,695号、第2011/0189574号、第2011/0212374号、第2011/0243836号、第2011/0099904号、第13/836,789号、および第13/837,410号に開示される。これらの参照文献は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。他の実施形態において、遮断機能は、ケーブル10が燃料カートリッジ14および/または燃料電池18に接続されていない時に閉じるたとえば圧力調整器32などの他の流体部品によって実現され得る。
【0030】
図4は、コネクタ12と16との間の複数導管チューブ11内の導管を示す。チューブ11は、保護被覆管40の中に埋め込まれた複数の導管を有する。燃料導管42は、たとえば燃料の中でも特に水素やメタノールなどの燃料電池燃料を燃料カートリッジ14から燃料電池18へ移送するようなサイズおよび寸法である。好適にはチューブ11の長さは、たとえば導管42の壁部との摩擦接触による導管42を通る燃料の圧力降下がコネクタ12における燃料の圧力よりも小さくなり、それによって燃料が燃料電池18に効率的に到達し得るような範囲である。チューブ11は、任意選択の第2の流体導管44を有してよい。導管44は、副産物またはパージガスを蓄積および/または廃棄するために燃料電池18から燃料カートリッジ14に返還するために用いられてよい。パージガスは、チューブ11の途中のどこかから、またはコネクタやハブにおいて放出されてもよい。第2の流体導管44は、燃料電池18がより多くの燃料を必要とする場合に追加の燃料を搬送してもよい。あるいは第2の導管44は、特定の燃料電池構成に関して酸化体または空気を移送してもよい。
【0031】
チューブ11はまた、いくつかの実施形態では省略され得るユーティリティ電気導管46および48も備える。ユーティリティ導管46および48は、燃料電池18によって生成された電力を、たとえばモバイル/スマートフォン20などの電子デバイスへ移送し、または燃料カートリッジに含まれ得る任意の電気部品に電力供給するために燃料カートリッジ14へ返送する。たとえば任意選択のヒータ11は、電気導管46および48を介して燃料電池18によって電力供給され得る。他の例において、導管46および48は、たとえば加水分解など熱を必要とする水素生成プロセスに電力供給するために燃料カートリッジ14に電力を返還する。導管46および48の一方は好適には、燃料電池18の調整回路すなわち燃料電池18の出力を許容可能な電圧にするための回路の正(+)端子に接続され、他方の導管は、負(−)端子に接続される。1つの実施形態において、燃料電池18は電子デバイス内に組み込まれ、燃料電池18の電気出力は電子デバイス内の調整回路に直接配線/接続され、ユーティリティ導管46および48は必要なく、もし存在しても使用されない。
【0032】
図4を参照すると、導管11は、複数の電気信号導管49も有してよい。任意の数の信号導管49があってよい。一例において、USB2.0ケーブルに対応する2つの信号導管49が存在し、他の例において、USB3.0ケーブルに対応する6つの信号導管49が存在する。信号導管49は、たとえば電気回路などの電気デバイス、またはたとえば電磁弁などの電気機械デバイスを作動させるための制御信号を搬送するように設計される。信号導管49はまた、燃料カートリッジ14内のセンサから燃料電池18および/または電子デバイス20へ信号を搬送することもできる。強制的ではないが、たとえばUSBまたはFirewireなどの電気インタフェース規格の遵守は、本発明の範囲内である。
【0033】
本発明の他の実施形態において、信号導管49は、燃料電池カートリッジの充電状態に関する情報を搬送する。充電状態は、燃料または部分的に使用済みの燃料が化学反応によって生成し得る水素の残量を示す。たとえば水酸化ホウ素ナトリウムなどのケミカルハイドライドカートリッジにおいて、水素化物が水と反応して水素ガスが生じた後、残っている水素化物および水と、たとえばホウ酸ナトリウムなどの副産物との総量は目立って減少せず、継続中の反応によって回収可能な残りの水素化物は特定の状況における総量から確実に推測され得る。共同所有されるRosenweig氏らのUS2011/0212374号は、充電の残量状態が、残っている金属水素化物、水、および副産物の電気抵抗または密度から推測され得ることを教示する。一例において、変動する抵抗を計測するために電圧計および抵抗計が組み込まれてよく、その結果が、信号導管49によってコントローラへ搬送され、あるいはたとえば後述するEEPROMなどのメモリ記憶デバイスに書き入れられ得る。同様に、たとえば液体比重計またはピクノメータによって充電状態または変動する密度が計測され、信号導管49によってコントローラまたはメモリへ伝達され得る。Rosenweig氏らのUS2011/0212374号は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。また、共同所有されるMcLean氏らのUS8,166,833号も充電状態を推測する方法を開示し、これもまた参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0034】
導管49は、力または圧力波/信号がケーブル10を通って伝送され得るような、後述する導管64または72と同様の水圧導管または機械導管であってよい。
【0035】
他の実施形態において、
図5に示されるように、燃料電池18は電子デバイスのアクセサリ内に組み込まれる。図示するように、燃料電池18は、たとえばスマートフォン、ラップトップコンピュータ、またはコンピュータタブレット20などの電子デバイス20のカバー50に組み込まれる。この例では、燃料電池18を有するカバーまたはアクセサリ50は、電子デバイス20とは別に製造され、燃料電池18の電気出力は、電子デバイス20に直接接続されない。この場合、燃料電池18の電気出力はたとえば電気コネクタ52などの出力を介して電子デバイス20に直接接続されるか、またはより好適には、
図6Aに示すようにケーブル10の燃料電池コネクタ16または任意選択のハブ29に導かれ得る。図示するように、ユーティリティ電力導管46および48は燃料電池18からの電気出力を受け取り、たとえば従来のUSBケーブルなど他のユーティリティ電力ケーブルを受け入れるようなサイズおよび寸法のポート54に接続される。信号導管49もポート54に接続され得る。好適にはポート54は、たとえばUSB、USB2.0、USB3.0、ミニUSB、マイクロUSB、またはUSBピンコネクタなどUSBケーブルのコネクタ「A」を受け入れるように適合されたユニバーサルポートである。なお、USBピンコネクタは通常、任意の数のピンを有し電力および電気信号を伝送し得るピンコネクタおよびUSBコネクタ「A」を備える。好適にはピンコネクタは、たとえばアップル社製のLightning(登録商標)コネクタなどの8ピンコネクタ、またはやはりアップル社製の30ピンコネクタであってよい。
【0036】
図6Bに示す他の実施形態において、コネクタ16は、ポート54ではなく、USB、USB2.0、USB3.0ケーブルのコネクタ「B」、ミニまたはマイクロUSBコネクタ、または前段落に記載したピンコネクタであってよいコネクタ56を有し得る。コネクタ56は、電子デバイス20の充電ポートに直接接続され得る。
【0037】
再び
図6Aを参照すると、信号導管49は、コネクタ12内の電気部品または電気機械部品に接続される。たとえば信号導管49は電磁弁58に接続され、電磁弁58は、電磁弁58を開閉するために燃料または流体導管42、44にも接続され、燃料または流体導管を開閉してよい。信号導管49は電磁回路60にも接続されてよく、電磁回路60は、燃料カートリッジ、燃料電池、またはケーブル10においてセンサを制御および読取りし、センサから収集したデータを燃料電池18または電子デバイス10へ伝送するように設計され得る。電気回路60は、たとえばEEPROMなどのメモリデバイスおよびメモリデバイスを読み取りおよびメモリデバイスに書き入れるためのプロセッサを備え得る。追加のセンサが配置され、信号導管49に接続されてよい。1つの典型的なセンサは、たとえば水素などの燃料の圧力を燃料電池18に到達する前に計測するために燃料電池コネクタ16内にある圧力センサであってよい。他の典型的なセンサは、起こりうる漏出を監視するためのたとえば水素センサなどの燃料検出センサである。燃料カートリッジセンサ、メモリデバイスを有するスマートカートリッジは、第7,655,331号および第7,642,742号において説明される。これらの参照文献は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0038】
なお、上述した任意の機能素子、機能素子の全てまたは任意の組み合わせまたは部分的組み合わせは、
図7Aに図示するようにカートリッジコネクタ14、燃料電池コネクタ16、または任意選択のハブ29内にあってよい。好適には、流体または電気機能素子は、ハブ29を用いずにケーブル10に直接組み込まれる。ハブ29が用いられる場合、
図7Bおよび7Cに示すように、ケーブル10、ハブ29、およびコネクタ12および16が単一の分離不可能なユニットを形成するようにハブ29はチューブ11によってコネクタ12および16に直接接続されてよい。あるいは任意選択のハブ29は、
図7Aに最適に示されるように、他のケーブル10に接続するためのコネクタ62を有する別個すなわち独立型のユニットであってよい。あるいはケーブル10は、ハブ29を有さず、
図7Cの実施形態に類似した「Y」字形状を有してよい。
【0039】
再び
図4を参照すると、ケーブル10は、耐タンパ導管64を含んでもよい。耐タンパ導管64は、ケーブル10が切断された場合に燃料の漏洩に抗うように設計される。
図8Aに最適に示されるように、耐タンパ導管64は、圧力、好適には僅少な圧力をかけられた作動流体で満たされる。カートリッジコネクタ12内にある通常は閉じている弁66に導管64内の水圧がかけられる。耐タンパ導管64が無傷である限り、弁66は開いたままである。導管64内の圧力は弁66を開いた状態に維持するために十分でなくてはならず、好適にはこのレベルを大幅に超えてはならない。導管64が決壊、損傷、または破断すると、導管64内の圧力が解放され、通常は閉じている弁66が閉じることによって燃料の流れを遮断する。図示するように、コネクタ12と燃料カートリッジ14との接続によって弁38が開いたままであっても導管64が決壊した場合に弁66が燃料の流れを止めるように、弁66はコネクタ内の弁38の下流にある。作動流体は、放出されても燃料電池、電子機器、または環境に害がないように、不活性ガス、または非毒性液または油であってよい。
【0040】
あるいは導管64は、水素を搬送する燃料導管42と同一であり、圧力調整器32に流体連通される。圧力調整器32は、下流の圧力がゼロまたは大気圧とほぼ等しくなると閉じるように設計または設定されてよく、圧力調整器32は閉じる。したがって、チューブ11が切断されると圧力調整器32は自動的に閉じ、燃料の流れを遮断する。そのような圧力調整器は好適には、後述する受動調整器である。
【0041】
他の実施形態において、耐タンパ導管64は、
図8Aに示すように被覆管70内で動くことができるフレキシブルロッド68を備える。フレキシブルロッド68は燃料電池コネクタ16から突出し、コネクタ16が燃料電池18に装着されると、この接続がロッド68を押し出す。この動きは、ロッド68の反対側端部を通常閉じている弁66に向かって押し出してこの弁を開き、開いた状態に維持する。導管64が損傷または破断すると、ロッド68に加えられた力が消え、通常閉じている弁66は閉じる。ロッド68/被覆管70の実施形態の他の利点は、燃料電池コネクタ16が燃料電池18に接続されない限り、弁66は閉じたままであり燃料が流れ得ない点である。この特定の例において、燃料電池コネクタ16が適切に接続されるまで弁66が閉じているので、遮断弁38はカートリッジコネクタ12から省略されてよい。この例において、燃料電池コネクタ16と燃料電池18との1つの接続がコネクタ12および16の両方を開く。
【0042】
図8Bに示すこの実施形態の変化例において、ロッド68/被覆管70は耐タンパ導管64の両端に配置されてよく、水圧管路72によって水圧で接続される。水圧管路72はプラグまたはプランジャ74によって各端部にシールされ、弁66を開くように、燃料電池コネクタ16のロッド68
1がプランジャ74
1を押して動かし、反対側のプランジャ74
2が反対側にあるカートリッジコネクタ12のロッド68
2を押して動かすことができる。燃料電池コネクタ16と燃料電池18との接続によって加わる力はロッド68
1を押し出し、水圧管路を通って導管64の反対側端部のロッド68
2に伝送され、弁66を開く。好適には、燃料電池コネクタ16が燃料電池18から外されるとプランジャ74
2を未接続の位置に戻すことによって通常閉じている弁66が閉じ得るように、ばね76はカートリッジコネクタ12に近接して導管64内にある。
【0043】
また他の変化例において、両端が燃料電池18に電気的に接続された形状記憶アロー(SMA)ワイヤが被覆管70またはチューブ11内に挿入され、SMAワイヤは通常閉じている弁66を取り巻くか、あるいはその長さの半分が弁66に接続される。燃料電池が運転状態であり電力を生成すると、燃料電池はSMAワイヤを加熱し、ワイヤを収縮させる。この収縮によってSMAワイヤは通常閉じている弁66を開き、開いた状態に維持する。燃料電池18がオフになると、SMAワイヤは弛緩し、通常閉じている弁66は閉じられる。被覆管70および/またはチューブ11がタンパまたは破断した場合はSMAワイヤも破断し、弁66を開いた状態に維持する力が解放されて弁66は閉じる。
【0044】
他の実施形態において、燃料カートリッジ14は、たとえば固体の水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化ホウ素カリウムなどのケミカルハイドライドと、たとえば水やアルコールなどの液体との反応によって水素燃料を生成するように設計される。この例において、2つの反応物質がカートリッジ14内の別の室に蓄積され、カートリッジコネクタ12は、液体燃料を固体ケミカルハイドライド燃料へ移送するための外部流体経路を含む。したがって、コネクタ12がカートリッジ14に適切に接続されない限り、2つの燃料は離れた状態に維持され水素の発生は起こり得ない。この実施形態は、液体燃料をカートリッジ内の液体室からレシーバへ送り出し、かつケミカルハイドライドと反応するようにカートリッジ内の反応室へ送り戻すための流体導管および弁を有するレシーバを開示する米国特許第7,727,293号に開示される。この‘293号特許は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0045】
他の耐タンパ抵抗機構は、ケーブル10内に組み込まれ得る。適切な抵抗機構は、共同所有の第7,537,024号、第2008/0145739号、および第8,561,695号に開示され、これらは参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。第2008/0145739号を出典とする
図9を参照すると、燃料カートリッジ14または燃料電池18の弁78に合致すなわち嵌合する遮断弁38を左側に有するコネクタ12または16が示される。なお、弁78は、第2011/0121220号を出典とする
図10Dに示すように通常閉じている弁38を開く簡易なチューブであってよい。一例において、弁38は、ポペット弁またはボール弁またはエラストマーシールによって閉じられた弁であり、チューブ78が弁38に入ってそれを開く。他の例において、第7,537,024号を出典とする
図10A〜Cに示すように、弁78は別のポペット弁であり、接続中、弁38および弁78は互いに開き合う。そのような弁は第7,537,024号、第7,762,278号、第8,561,695号に開示される。
【0046】
コネクタ12、16は、弁38を被覆するようにばね82によってバイアスされた任意選択のゲート80を有してよい。接続前に、ユーザはゲート80を動かして弁38を露出させ、接続のためにゲート80を開いた状態に保つ。あるいは、ばね82によって加わる
力を減衰してゲート80を閉じるためのダンパ84が設けられる。これは、弁38が再び被覆されるまでのダンパによって供給される接続に短時間の期間を設ける。なお、ゲート80、ばね82、およびダンパ84は、弁75へのアクセスを制限するために燃料カートリッジまたは燃料電池に設けられ得る。
【0047】
コネクタ12、16はまた、凹部88内に受け入れられるサイズおよび寸法を有する、たとえば突起86などのアラインメント機構も有してよい。ケーブル10と燃料カートリッジ14および/または燃料電池18との接続は、突起86が凹部88と整合した時しか起こり得ない。他の実施形態において、突起86および凹部88は一対の電気センサまたは電極に置き換えられ、一方のセンサ/電極はコネクタ12、16にあり、他方はカートリッジ14または燃料電池18にある。
図11Aに示すように、これらの電気センサ/電極90は電気回路の一部であり、ケーブル10、カートリッジ14、および燃料電池18の間の接続が適切に行われると、電気センサ/電極90は互いに接触してこの回路を完成させ、適切な接続が行われたことをシステムのコントローラ92へ知らせ、運転が開始してよい。好適にはこの電気回路は、回路の一部としてケーブル10内の単一の導管49を用い、回路は、小型バッテリまたは太陽電池によって、あるいは後述するガルバニ電池によって電力供給される。
【0048】
他の実施形態において、ケーブル10、カートリッジ14、および燃料電池18の間の接続が適切であるか否かを示すために永久磁石および金属コイル/ワイヤが用いられる。既知のように、金属コイルまたはワイヤが磁界に晒されると、磁界がコイルまたはワイヤ内に電流を生じる。
図11Bに最適に示されるように、2つの永久磁石94が設けられ、一方はコネクタ12、16にあり、他方はカートリッジ14または燃料電池18にある。コネクタが適切に整合され互いに近づけられると、磁石94の両極の間に磁界96が形成される。金属ワイヤが磁界96に晒されると回路内に電流が生じ、それがコントローラ92によって、あるいは電圧計または電流計によって検出可能である。好適には、チューブ11のワイヤ49が回路を構成するために用いられる。あるいは
図11Cに示すように、磁界96を形成するために単一の永久磁石が用いられる。この実施形態の利点は、接続が適切に行われると磁石および金属ワイヤが信号を自己生成する点である。
【0049】
他の実施形態において、コネクタ12、16と燃料カートリッジ14および/または燃料電池18との接続においてガルバニ電池が用いられる。ガルバニ電池は2つの半電池を備える。各半電池は、電極材料の陽イオンおよび陽イオンの電荷と釣り合うような陰イオンを含む溶液に沈められた1つの固体金属電極を備える。半電池は互いに異なる金属電極を備える。一例において、1つの亜鉛電極が硫酸亜鉛溶液に沈められ、1つの銅電極が硫酸銅(II)溶液に沈められる。ワイヤが2つの電極を接続し、塩橋または多孔板が2つの溶液を接続してイオンを伝導すると、回路が形成される。
図11Dに示すように、半電池98
1は燃料カートリッジ14、燃料電池18、またはその両方に配置され、半電池98
2はコネクタ12または16、またはその両方に配置される。一例において、一方の半電池は硫酸亜鉛溶液に沈められた亜鉛電極を備え、他方の半電池は硫酸銅(II)溶液に沈められた銅電極を備える。適切に接続されると、電極100が接触し、2つの半電池における2つの電極、コントローラ92、および信号導管49を含む電気回路を完成させる。また塩橋102も、ガルバニ電池を完成させるようにイオンが中を通過できるように接続される。回路が完成すると、プロセッサ92は、接続が適切に行われたことを示すためにガルバニ電池によって生成された電流を検出することができる。この実施形態の利点は、ガルバニ電池はそのサイズに依存して、燃料電池が電気生成の安定した状態に達するまで、システムの始動プロセスに電力供給するために十分な電流を生成することができる点である。あるいは、カートリッジ14が交換または補充される時に消耗部品が交換され得るように、たとえば硫酸塩溶液などの消耗部品および2つの半電池は互いに離されてカートリッジ上にあってよく、たとえば電極100および/または塩橋102などの非消耗部品はケーブル10上にあってよい。コントローラ92は、カートリッジコネクタ12、燃料電池コネクタ16、ハブ29、アクセサリ50/燃料電池18、カートリッジ14、または電子デバイス20内にあってよい。
【0050】
燃料電池の発電を制御および/または調整するために追加の機能素子が必要であってよく、ケーブル10、コネクタ12および/または16、および任意選択のハブ29に組み込まれ得る。1つのそのような素子は、燃料電池18のアノードに近接するように燃料電池コネクタ16内に組み込まれ得る、非水素ガスを含むガスを燃料電池18のアノード側から定期的に除去するためのパージシステムである。他の機能素子は、DC−DCコンバータ、電力調整素子、電気調整器、および燃料電池18によって生成される電力を調整し、調整された電力を電子デバイス20へ供給するために必要な他の電気部品を含むが、それらに限定されない。さらに、燃料電池18からカートリッジ14へ返還される電力または信号は、同様の電気部品によって調整または処理されてよい。また、たとえばLEDバーなど充電状態または充電残量状態の視覚インジケータがケーブル10、コネクタ12および/または16、または任意選択のハブ29に設けられ得る。燃料電池の発電を制御および/または調整するための機能素子は、共同所有の2013年3月15日に出願された“Methods for Operating a Fuel Cell System”と題された米国特許出願第13/837,410号および2013年3月15日に出願された“Fluidic Interface Module for a Fuel Cel System”と題された米国特許出願第13/836,789号、第13/836,789号および第13/837,410号において詳しく説明される。これらの参照文献は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0051】
システムの始動時、燃料電池18のアノードは、たとえば水蒸気および空気などあらゆる古いガスを除去するためにパージされることが好ましい。US13/837,410号および13/836,789号におけるパージ弁システムの説明と同様に、コネクタ16が燃料電池18に接続されると、この動きがパージ弁を開き、オン/オフスイッチを作動させる必要なく形状記憶合金(SMA)ワイヤを延伸する。一例において、水素ガスがアノードに流れ込み古いガスと入れ換わると、燃料電池18が電流を生成し始め、それがSMAワイヤを加熱するために用いられる。既定の時点で、SMAワイヤは元の形状に戻り、パージ弁を閉じる。すると燃料電池18からの電流はSMAワイヤとの接続を絶たれる。好適には、第2の流体導管44がパージシステムの一部として用いられる。パージガスはカートリッジ14へ移送されて排出されるか、あるいは燃料電池コネクタ16、任意選択のハブ29、またはカートリッジコネクタ12において排出されてよい。パージガスはチューブの途中で排出されてもよい。
【0052】
流体機能素子および電子制御素子を含む機能素子を燃料電池コネクタ16、任意選択のハブ29、またはカートリッジコネクタ12内に設置することの利点は、それによって燃料電池を電子デバイス20またはたとえばタブレットカバーなどのアクセサリ50に組み込むことが容易になる点である。コンピュータデバイス内の空間は限られており、アクセサリ内ではさらに限られる。これらのデバイスの外部に機能素子を有することにより、燃料電池の埋込みまたは組込みの複雑性およびサイズが最小限になる。
【0053】
図12A〜Fは、この変化例においては主に水素を移送する水素ケーブル10の他の実施形態を示す。
図12A〜Bに示すカートリッジコネクタ12は、燃料カートリッジ14に接続するための接続部104を有する。接続部104は、燃料カートリッジ14の表面チャネルに受け入れられるサイズおよび寸法であり、中空チューブ18は、燃料カートリッジの遮断弁を開くようなサイズおよび寸法である。接続部104および中空チューブ108ならびに遮断弁は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる第8,561,695号、第2011/0189574号、第2011/0212374号、第2011/0099904号、第2011/0104021号、第13/836,789号、および第13/837,410号に開示される。カートリッジ14からの水素は、中空チューブ18を通ってカートリッジコネクタ12へ流れ込む。そこから、水素は内部チャネル110を通ってドライヤ30へ流れ込み、ドライヤ30は、好適には螺旋経路である、蛇行した、すなわちアーチ状の経路112を備える。アーチ状経路は、水素ガスから水または水蒸気を乾燥させるためのより長い空間すなわち距離を提供する。経路112はチャネル110との交差点から始まり、出口チャネル114と交差するまでコネクタ12の周囲を螺旋状に上昇する。水素はコネクタ12から出て、導管11、詳しくは燃料導管42に入る。ドライヤ30は、アーチ状経路112を取り巻くプロトン交換膜またはイオン交換膜(PEM)116をさらに備える。水または水蒸気は、好適にはポリマーを備えるPEM116を通過する性向を有する。PEM燃料電池において水蒸気はPEMを通過し、それは浸透効果によって生じ得ることが観察されている。この効果は、本発明において水素ガスを乾燥させるために利用される。好適にはPEM116は、自身の構造的一体性を維持するために役立つスクリーンまたは他の支持部材を備える。
図12Aに最適に示されるように、カートリッジコネクタ12は、ドライヤ30によって除去された水蒸気を大気中へ排出することができるように通気孔118を有する。
【0054】
あるいは蛇行した経路112は、米国特許第7,481,858号の
図11に示され、そこで説明されている、バッフル経路すなわち複数のバッフルを含む経路を備えてよい。‘858号特許は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0055】
図12C〜Dは、チューブ11に流体接続および/または電気接続された典型的な燃料電池コネクタ16を示す。燃料電池コネクタ16は、末端部に遮断弁38を備える。弁38は通常、上述した中柱38aおよびシール部材38bを備える。シール部材38bは、柱38aの外側表面にシールを提供する。中空チューブは一般に、燃料電池デバイスから、柱38aを取り巻く弁38内に挿入され、弁38を開くためにシール38bを柱38aから押し出す。好適には、燃料電池コネクタ16は、上述したような圧力調整器32をさらに備える。図示したように、圧力調整器は、2つの柔軟な膜32aおよびそれらの間に配置された可動本体32bを備える。好適には本体32bは、図示したようにばねによって離される2片を備える。ばねの付勢力を用いて、2つの膜の相対表面積および基準圧力、とりわけ圧力調整器32は、導管42/11からの高圧力の水素ガスを調整し、より低いほぼ定圧のガスを、遮断弁38を介して燃料電池に排出する。
図12Dに示す圧力調整器は、共同所有の第13/836,789号および第13/837,410号に開示されるものと実質的に同様である。他の適切な圧力調整器は、第12/053,374号、第13/371,089号、第8,002,853号、第2010/0104481号、第2011/0189574号、および第13/832,528号において説明される。これらの参照文献は全て、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0056】
なお、圧力調整器32および/またはドライヤ30は、コネクタ12または16のいずれかにあってよく、導管11内にあってもよい。また、圧力調整器は好適には、プロセッサまたはコンピュータによって制御される必要がなく、自動的に圧力を調整する。そのような圧力調整器は、当該技術において受動圧力調整器として既知である。
【0057】
図1Aを参照すると、調整された水素は燃料電池コネクタを離れ、燃料電池18によって受け取られる。燃料電池からの電気出力は、たとえばDC/DCコンバータによって、電子デバイス20に電力供給するために必要な所望の電圧および電流になるように処理される。1つの実施形態において、処理された電気出力は、
図12Cに示すように弁38の外側表面に配置される電気接点120を介して燃料電池コネクタ16に返還される。しかし電気接点120は、燃料電池コネクタ16のどこにあってもよい。
図12Eに示すように典型的なL字形を有する電気接点120は、燃料電池コネクタ16の内側に伸長する。コネクタ16内で、電気接点120はさらに、任意選択の接点122および任意選択の電気パッド124に電気的に接触する。燃料電池18からの処理された電気出力は最終的に、上述したコネクタ54、56と同様に電子デバイス20の充電ポートに直接接続され得る電気コネクタへ移送される。この電気コネクタの非限定的な例は、USBミニまたはマイクロコネクタ、Lighting(登録商標)コネクタなどであってよい。
【0058】
本発明のケーブルは、運転中に衝撃によって燃料供給源すなわち燃料源が損傷することに関連する機械的問題を取り除く方法としても機能し得る。そのような状況は、米国特許公報第2008/0199759号に開示される。
【0059】
本明細書に開示される本発明の例示的な実施形態は上述した目的を果たすものであることは明らかであるが、多数の変形例および他の実施形態が当業者によって考案され得ることが理解される。したがって、以下の特許請求の範囲は、本発明の主旨および範囲の内に収まるものであるそのような変形例および実施形態の全てを包含することが意図されていることが理解されるであろう。