【文献】
Ando, W. et al.,Reaction of enaminosilane. Selective C-acylation of enaminosilanes with acid chlorides,Tetrahedron Letters,1982年,23(30),pp. 3073-3076
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0005】
3,5−ビス(フルオロアルキル)ピラゾール類が、ビスパーフルオロアルキルジケトン類(例えば、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトン)をヒドラジン類と反応させることで製造され(Pashkevich et al., Zhurnal Vsesoyuznogo Khimicheskogo Obshchestva im. D. I. Mendeleeva(1981), 26(1), 105−7参照)、その収率は27から40%しかない。ポリフルオロアルキルジケトン類の合成、単離および精製は、その化合物が通常、非常に揮発性で毒性が高いことから非常に複雑である。
【0006】
上記の先行技術を考慮すると、本発明の目的は、上記の欠点を持たないことから、高収率で3,5−ビス(ハロアルキル)ピラゾール誘導体を与える経路を提供する方法を提供することにある。
【0007】
上記の目的は、下記式(Ia)および(Ib)の3,5−ビス(ハロアルキル)ピラゾール:
【化1】
【0008】
[式中、
R
1およびR
3はそれぞれ独立に、C
1−C
6−ハロアルキルから選択され;
R
2は、H、ハロゲン、COOH、(C=O)OR
5、CNおよび(C=O)NR
6R
7から選択され;
R
4は、H、C
1−C
8アルキル、アリール、ピリジルから選択され;
R
5は、C
1−12−アルキル、C
3−8−シクロアルキル、C
6−18−アリール、C
7−19−アリールアルキルおよびC
7−19−アルキルアリールから選択され;
R
6およびR
7はそれぞれ独立に、C
1−12−アルキル、C
3−8−シクロアルキル、C
6−18−アリール、C
7−19−アリールアルキルおよびC
7−19−アルキルアリールから選択され、または
R
6およびR
7が、それらが結合している窒素原子とともに、4員、5員もしくは6員環を形成していても良い。]の製造方法において、
段階(A)で、下記式(II)の酸誘導体:
【化2】
【0009】
[式中、
R
1は上記で定義の通りであり;
XはF、Cl、Brまたは−OC(O)R
1である。]を、下記式(III)の化合物:
【化3】
【0010】
[式中、
R
8はC
1−12−アルキル、C
3−8−シクロアルキル、C
6−18−アリール、C
7−19−アリールアルキルおよびC
7−19−アルキルアリール、OR
9から選択され;
R
9は、C
1−12−アルキル、C
3−8−シクロアルキル、C
6−18−アリール、C
7−19−アリールアルキル、C
7−19−アルキルアリールから選択され;
R
2およびR
3は上記で定義の通りである。]と反応させて、下記式(IV)の化合物:
【化4】
【0011】
[式中、
R
1、R
2、R
3、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9は上記で定義の通りである。]を生成し、
段階(B)で、(V)NH
2NHR
4(R
4は上記で定義の通りである。)の存在下での(IV)の環化を行って、(Ia)および(Ib)を生成することを特徴とする方法によって達成された。
【0012】
好ましいものは、式(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)および(V)における基が、下記のように定義される本発明による方法である。
【0013】
R
1およびR
3はそれぞれ独立に、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1−フルオロエチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−クロロ−2−フルオロエチル、2−ジフルオロエチル、2,2−ジクロロ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、テトラフルオロエチル(CF
3CFH)、ペンタフルオロエチルおよび1,1,1−トリフルオロプロパ−2−イルから選択され;
R
2はH、F、Cl、Br、COOCH
3、COOC
2H
5、COOC
3H
7、CNおよびCON(CH
3)
2、CON(C
2H
5)
2から選択され;
R
4はH、C
1−C
8アルキル、アリール、ピリジルから選択され;
R
8はそれぞれ独立に、メチル、エチル、n−、イソ−プロピル、n−、イソ−、sec−およびt−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、フェニルエチル、トリル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジメチルフェニルから選択され;
XはF、Clまたは−O(CO)R
1から選択される。
【0014】
より好ましいものは、式(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)および(V)における基が下記で定義されている本発明による方法である。
【0015】
R
1およびR
3はそれぞれ独立に、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、ジフルオロクロロメチル、ペンタフルオロエチルから選択され;
R
2はH、Cl、CN、COO(C
2H
5)
2から選択され;
R
4はH、メチル、エチル、n−、イソプロピル、n−、イソ−、sec−およびt−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、1,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、アリールから選択され;
R
8はメチル、エチル、n−、イソ−プロピル、n−、イソ−、sec−およびt−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジルから選択され;
XはF、Clまたは−OC(O)R
1から選択される。
【0016】
さらにより好ましいものは、式(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)および(V)における基が下記で定義されている本発明による方法である。
【0017】
R
1およびR
3はそれぞれ独立に、CF
2H、CF
3から選択され;
R
2はHまたはCOOC
2H
5から選択され;
R
4はH、メチル、エチル、フェニルから選択され;
R
8はエチル、n−、イソ−プロピル、n−、シクロペンチル、シクロヘキシル、ベンジルから選択され;
XはClまたはFである。
【0018】
最も好ましいものは、式(Ia)、(Ib)、(II)、(III)、(IV)および(V)における基が下記で定義されている本発明による方法である。
【0019】
R
1およびR
3はそれぞれ独立に、CF
2H、CF
3から選択され;
R
2はHであり;
R
4はH、メチル、フェニルから選択され;
R
8はイソ−プロピル、ベンジルから選択され;
XはClまたはFである。
【0020】
驚くべきことに、式(I)のピラゾール類は、良好な収率および高純度で本発明の条件下で製造することができ、それは本発明による方法が先行技術で既報の製造方法の上記欠点を克服するものであることを意味している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
一般的定義
本発明の文脈において、「ハロゲン」(Hal)という用語は、異なって定義されていない限り、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素、好ましくはフッ素、塩素および臭素、より好ましくはフッ素および塩素を含む群から選択される要素を含む。
【0022】
置換されていても良い基はモノ置換もしくは多置換されていても良く、多置換の場合の置換基は同一であるか異なっていることができる。
【0023】
ハロアルキル:1から6個、好ましくは1から3個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基(上記で記載の通り)(これらの基における水素原子の一部および全てが上記のようにハロゲン原子によって置き換わっていても良い。)、例えばクロロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1−クロロエチル、1−ブロモエチル、1−フルオロエチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−クロロ−2−フルオロエチル、2−クロロ,2−ジフルオロエチル、2,2−ジクロロ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、ペンタフルオロエチルおよび1,1,1−トリフルオロプロパ−2−イルなどのC
1−C
3−ハロアルキ(これらに限定されるものではない)。この定義は、別段の定義がない限り、複合置換基、例えばハロアルキルアミノアルキルなどの一部としてのハロアルキルにも適用される。好ましいものは、1以上のハロゲン原子によって置換されたアルキル基、例えばトリフルオロメチル(CF
3)、ジフルオロメチル(CHF
2)、CF
3CH
2、CF
2ClまたはCF
3CCl
2である。
【0024】
本発明の文脈におけるアルキル基は、異なって定義されていない限り、直鎖もしくは分岐の飽和ヒドロカルビル基である。定義C
1−C
12−アルキルは、アルキル基について本明細書で定義の最も広い範囲を包含する。具体的には、この定義は、例えばメチル、エチル、n−、イソプロピル、n−、イソ−、sec−およびt−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、1,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、n−ヘプチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシルまたはn−ドデシルの意味を包含する。
【0025】
シクロアルキル:3から8、好ましくは3から6個の炭素環員を有する単環式飽和ヒドロカルビル基、例えばシクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル(これらに限定されるものではない)。この定義は、別段の定義がない限り、複合置換基、例えばシクロアルキルアルキルなどの一部としてのシクロアルキルにも適用される。
【0026】
本発明の文脈におけるアリール基は、異なって定義されていない限り、O、N、PおよびSから選択される1個、2個若しくはそれ以上のヘテロ原子を有していることができる芳香族ヒドロカルビル基である。定義C
6−18−アリールは、5から18個の骨格原子を有するアリール基について本明細書で定義の最も広い範囲を包含し、炭素原子はヘテロ原子に代わっていることができる。具体的には、この定義は、例えば、フェニル、シクロヘプタトリエニル、シクロオクタテトラエニル、ナフチルおよびアントラセニル;2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル、5−ピラゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イルおよび1,3,4−トリアゾール−2−イル;1−ピロリル、1−ピラゾリル、1,2,4−トリアゾール−1−イル、1−イミダゾリル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,3,4−トリアゾール−1−イル;3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、2−ピラジニル、1,3,5−トリアジン−2−イルおよび1,2,4−トリアジン−3−イルの意味を包含する。
【0027】
本発明の文脈におけるアリールアルキル基(アラルキル基)は、異なって定義されていない限り、アリール基によって置換されており、1個のC
1−8−アルキレン鎖を有していても良く、アリール骨格において、O、N、PおよびSから選択される1以上のヘテロ原子を有していても良いアルキル基である。定義C
7−19−アラルキル基は、骨格およびアルキレン鎖において合計7から19個の原子を有するアリールアルキル基について本明細書で定義の最も広い範囲を包含する。具体的には、この定義は、例えば、ベンジルおよびフェニルエチルの意味を包含する。
【0028】
本発明の文脈におけるアルキルアリール基(アルカリール基)は、異なって定義されていない限り、アルキル基によって置換されており、1個のC
1−8−アルキレン鎖を有していても良く、アリール骨格において、O、N、PおよびSから選択される1以上のへテロ原子を有していても良いアリール基である。定義C
7−19−アルキルアリール基は、骨格およびアルキレン鎖において合計7から19個の原子を有するアルキルアリール基について本明細書で定義の最も広い範囲を包含する。具体的には、この定義は、例えば、トリルまたは2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジメチルフェニルの意味を包含する。
【0029】
本発明の文脈で使用される中間体という用語は、本発明による方法で生じ、さらなる化学処理のために製造され、そこで消費もしくは使用されて別の物質に変換される物質を説明するものである。その中間体は多くの場合、単離および中間貯蔵でき、またはその後の反応段階で事前の単離なしに用いられる。「中間体」という用語は、多段階反応(段階的反応)で一時的に生じ、反応のエネルギープロファイルにおける極小値を割り当てることができる概して不安定で短寿命の中間体も包含する。
【0030】
本発明の化合物は、いずれか異なる可能な異性体型の、特別には立体異性体、例えばEおよびZ異性体、トレオおよびエリトロ異性体、および光学異性体の、さらには適切な場合は互変異体の混合物として存在することができる。トレオおよびエリトロ異性体、さらには光学異性体、これら異性体のいずれかの混合物、さらには可能な互変異体型のように、E異性体およびZ異性体の両方が開示および特許請求される。
【0031】
方法の説明
その方法を
図式1で説明している。
【0034】
段階A:
段階Aにおいて、式(II)の酸誘導体を、塩基の存在下に、式(III)の化合物と反応させる。
【0035】
好ましい一般式(II)の化合物は、トリフルオロアセチルクロライド、トリフルオロアセチルフルオリド、ジフルオロアセチルフルオリド、ジフルオロアセチルクロライド、トリフルオロセチルブロマイドである。例えばトリフルオロ酢酸、ピバロイルクロライドおよびピリジンを用いて、イン・サイツで式(II)の化合物を得ることも可能である(WO2003/051820参照)。
【0036】
本発明による式(IV)の化合物の合成は、0℃から+120℃の温度で、好ましくは+20℃から+100℃の温度で、より好ましくは20℃から+60℃で、標準圧下に行う。代表的な塩基は、トリアルキルアミン類、ピリジン、アルキルピリジン類、ピコリン類、DBUである。好ましいものは、塩基としてのピリジンである。
【0037】
反応時間はあまり重要ではなく、バッチ規模および温度に従って、数分から数時間の範囲内で選択することができる。
【0038】
段階Aにおいて、1から2モル、好ましくは1から1.5モル、最も好ましくは1から1.2モルの式(II)の酸誘導体を、1モルの式(III)の化合物と反応させる。
【0039】
好適な溶媒は、例えば、脂肪族、脂環式もしくは芳香族炭化水素、例えば石油エーテル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはデカリン、およびハロゲン化炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタンまたはトリクロロエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、メチルtert−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンまたはアニソールなどのエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリル、n−もしくはイソブチロニトリルまたはベンゾニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドンまたはヘキサメチルホスホルアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類またはスルホランなどのスルホン類である。特に好ましいものは、例えばTHF、アセトニトリル類、エーテル類、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、n−ヘキサン、シクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサンであり、非常に特に好ましいものは、例えば、ジクロロメタン、エーテルまたはジクロロメタンである。式(IV)の化合物は、先に後処理を行うことなく環化段階で用いることができる。あるいは、それらは好適な後処理段階によって単離し、特性決定し、適宜にさらに精製することができる。
【0040】
式(III)の化合物は、アルデヒド類またはケトン類および1級アミン類から製造することができる。その製造は、通常は溶媒なしで、またはトルエン、ジクロロメタンもしくはエーテル類のような有機溶媒中、10から110℃の温度で行う。BF
3、TiCl
4などのルイス酸を用いて、ケチミンの生成を促進することも可能であると考えられる(Roeschentahller et al., J. Fluorine Chem. v.125, n.6, 1039−1049およびTetrahedron, 69(2013), 3878−3884も参照)。
【0041】
段階B:
段階Bは、式(V)の化合物の存在下での式(IV)の化合物の環化反応である。
【0042】
段階Bにおいて、式(IV)の化合物1モルに1モルから2モル、好ましくは1から1.5モルの式(V)のヒドラジンを用いる。
【0043】
段階Bにおける環化は、−40℃から+80℃の温度で、好ましくは+20℃から+70℃の温度で、より好ましくは+60℃で、標準圧下に行う。
【0044】
反応時間はあまり重要ではなく、バッチ規模に従って、比較的広い範囲内で選択することができる。
【0045】
代表的には、環化段階Bは溶媒を変えることなく行う。
【0046】
好適な溶媒は、例えば、脂肪族、脂環式もしくは芳香族炭化水素、例えば石油エーテル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはデカリン、およびハロゲン化炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタンまたはトリクロロエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、メチルtert−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンまたはアニソールなどのエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリル、n−もしくはイソブチロニトリルまたはベンゾニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドンまたはヘキサメチルホスホルアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類またはスルホランなどのスルホン類、メタノール、エタノール、イソプロパノールmブタノールなどのアルコール類である。特に好ましいものは、例えばTHF、アセトニトリル類、エーテル類、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、n−ヘキサン、シクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサン、エタノールであり、非常に特に好ましくは、例えば、アセトニトリル、THF、エーテル、ジクロロメタン、エタノールである。
【0047】
代表的には、式(IV)および(V)の化合物の環化は、酸性条件下に進行する。
【0048】
好ましいものは、鉱酸、例えばH
2SO
4、HCl、HF、HBr、HI、H
3PO
4または有機酸類、例えばCH
3COOH、CF
3COOH、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸である。式(IV)の化合物に対して0.1モルから2モル、好ましくは0.1から1.5モルの酸を用いる。
【0049】
好適な溶媒は、例えば、脂肪族、脂環式または芳香族炭化水素、例えば石油エーテル、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはデカリン、およびハロゲン化炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタンまたはトリクロロエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、メチルtert−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンまたはアニソールなどのエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロパノールまたはブタノールなどのアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル、n−またはイソブチロニトリルまたはベンゾニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドンまたはヘキサメチルホスホルアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類またはスルホランなどのスルホン類である。特に好ましいものは、例えば、アセトニトリル類、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、n−ヘキサン、シクロヘキサンまたはメチルシクロヘキサンであり、非常に特に好ましいものは、例えばアセトニトリル類、THF、トルエンまたはキシレンである。反応終了後、例えば、溶媒を除去し、生成物を濾過によって単離し、または生成物を最初に水で洗浄し、抽出し、有機相を除去し、溶媒を減圧下に除去する。
【0050】
次に、R
2が(CO)OR
5に等しい式(Ia)および(Ib)の化合物を、R
2がCOOHに等しい式(I)のピラゾール酸に変換することができる。
【0051】
アミン(IV)を化合物(III)の製造に再利用することができる。あるいは、反応混合物を酸で洗浄することで、それを捕捉する。
【0052】
下記の実施例によって、本発明を説明する。
【0053】
実施例1
N−(1,1−ジフルオロプロパン−2−イリデン)プロパン−2−アミン、(III−1)
ジフルオロアセトン(94g、1mol)のメチルtert−ブチルエーテル(500mL)中混合物に、イソプロピルアミン(88g、1.5mol)を10℃で加えた。1時間後、BF
3・Et
2O(70g、0.5mol)を加え、混合物をさらに1時間撹拌した。有機溶液を底部シロップから分離し、溶媒を大気圧で留去した。残った液体を減圧下に蒸留して、沸点70から72℃/400mbarのケチミン139gを得た。
【0054】
1H NMR(400MHz、CDCl
3): 5.9(t、1H)、3,7(m、1H)、1,8(s、3H)、1,1(d、6H)ppm。
【0055】
19F(376MHz、CDCl
3) −122(d、2F)ppm。
【0056】
実施例2
N−1,1−ジフルオロプロパン−2−イリデン−1−フェニルメタンアミン、(III−2)
ジフルオロアセトン(94g、1mol)のトルエン(500mL)中混合物に、ベンジルアミン(107g、1mol)を10℃でゆっくり加えた。20℃で6時間後、トルエンを減圧下に留去し、残留液体を精製せずに用いた。170g。
【0057】
1H NMR(400MHz、CDCl
3) 7.2−7.4(m、5H)、5.9(t、1H)、4.5(s、2H)、2.0(s、3H)ppm。
【0058】
19F(376MHz、CDCl
3) −1118(d、2F)ppm。
【0059】
実施例3
N−(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イリデン)プロパン−2−アミン、(III−3)
製造については、実施例2を参照する。沸点80−82℃。
【0060】
実施例4
N−1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イリデン−1−フェニルメタンアミン(III−4)
製造については、実施例2を参照する。沸点90−91℃、1.5mbar。
【0061】
実施例5
3,5−ビス(ジフルオロメチル)ピラゾール、(I−1)
N−(1,1−ジフルオロプロパン−2−イリデン)プロパン−2−アミン10.4(75mmol)およびピリジン12gのジクロロメタン(100mL)中溶液を冷却して0℃とした。無水ジフルオロ酢酸19.5gを、高撹拌下にこの温度で少量ずつ加え、混合物を最後に10℃で6時間撹拌した。HCl 50mL(5%水溶液として)およびヒドラジン水和物20gを、温度を40℃以下に維持するように反応溶液にゆっくり加え、混合物を40℃で5時間撹拌した。水100mLおよびジクロロメタン100mLを加え、有機層を分離し、水で洗浄し、MgSO
4で脱水し、減圧下に濃縮して、油状生成物を得た。92から95℃/1mbarでの真空蒸留によって、純粋な3,5−ビス(ジフルオロメチル)−1H−ピラゾールb)8.8g(70%)を融点70−71℃の白色固体として得た。
【0062】
1H NMR(400MHz、CDCl
3) 12.5(br、1H)、6.77(t、2H、J=54.8Hz)、6.74(s、1H)ppm。
【0063】
実施例6
3−(ジフルオロメチル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール、(I−2)
同様にして、N−(1,1−ジフルオロプロパン−2−イリデン)プロパン−2−アミンおよび無水トリフルオロ酢酸から得た。
【0065】
1H NMR(400MHz、CDCl
3) 12.6(br、1H)、6.81(s、1H)、6.76(t、1H、J=54.5Hz);
13C(101MHz、CDCl
3) 140.7、128.8、120.3(q、J
C−F=266Hz)、108.5(t、J
C−F=237Hz)、103.8;
19F(376MHz、CDCl
3) −61.7(s、3F)、−112.9(d、2F、J=54.7Hz);HRMS(ESI):C
5H
4F
5N
2[M+H]
+の計算値187.029、実測値187.029。