特許第6514758号(P6514758)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 花王株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6514758
(24)【登録日】2019年4月19日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】液体洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/08 20060101AFI20190425BHJP
   C11D 1/10 20060101ALI20190425BHJP
   C11D 1/06 20060101ALI20190425BHJP
   C11D 1/90 20060101ALI20190425BHJP
   C11D 1/92 20060101ALI20190425BHJP
   C11D 1/74 20060101ALI20190425BHJP
   C11D 17/04 20060101ALI20190425BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20190425BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20190425BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20190425BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20190425BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20190425BHJP
【FI】
   C11D17/08
   C11D1/10
   C11D1/06
   C11D1/90
   C11D1/92
   C11D1/74
   C11D17/04
   A61Q19/10
   A61K8/44
   A61K8/39
   A61K8/86
   A61K8/46
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-238980(P2017-238980)
(22)【出願日】2017年12月13日
(62)【分割の表示】特願2014-117967(P2014-117967)の分割
【原出願日】2014年6月6日
(65)【公開番号】特開2018-48348(P2018-48348A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2018年1月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】對間 秀利
(72)【発明者】
【氏名】関 幹
【審査官】 山本 悦司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−26795(JP,A)
【文献】 特開2012−240962(JP,A)
【文献】 特開平7−315463(JP,A)
【文献】 特開平8−230961(JP,A)
【文献】 特開2005−193972(JP,A)
【文献】 特開2015−98463(JP,A)
【文献】 特開2015−151360(JP,A)
【文献】 特開2013−193968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 17/08
C11D 1/10
C11D 1/06
C11D 1/90
C11D 1/92
C11D 1/74
C11D 17/04
A61Q 19/10
A61K 8/44
A61K 8/39
A61K 8/86
A61K 8/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)ならびに(D):
(A)N−アシル酸性アミノ酸またはその塩 2.5〜15質量%、
(B)下記一般式(1)で表されるアルキルエーテルカルボン酸またはその塩 0.3〜8質量%、
1−O−(CH2CH2O)n−CH2−COOM (1)
(上記一般式(1)中、R1は炭素数4〜22のアルキル基を示し、nは0〜20の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムを示す。)
(C)炭素数8〜14のアルキル基を有するアルキルアミドプロピルベタインおよび炭素数8〜14のアルキル基を有するアルキルヒドロキシスルホベタインからなる群から選ばれる1種または2種以上の両性界面活性剤 0.2〜5質量%
D)水、ならびに
(E)アルキル基の炭素数が12〜22であるポリオキシエチレン脂肪酸エステル、アルキル基の炭素数が12〜22であるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキル基の炭素数が12〜22であるポリオキシエチレングリセリンモノ脂肪酸エステル、アルキル基の炭素数が12〜22であるポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、および、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種または2種以上であって、HLBが11〜20の非イオン性活性界面剤
を含む液体洗浄剤組成物であって、
前記成分(A)に対する前記成分(B)および前記成分(C)の合計量[(B)+(C)]の割合が、質量比で、[(B)+(C)]/(A)×100=15〜120 であり、
前記成分(A)に対する前記成分(C)の割合が、質量比で、(C)/(A)×100=5〜70 であり、
成分(E)の含有量が、当該液体洗浄剤組成物全体に対して0.2〜5質量%である、液体洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記成分(E)が、アルキル基の炭素数が14〜18であるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、および、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種または2種以上である、請求項に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記成分(E)がモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンを含む、請求項またはに記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記成分(A)がN−アシルグルタミン酸塩を含む、請求項1乃至いずれか1項に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
ノンガスフォーマー容器に充填してなる、請求項1乃至いずれか1項に記載の液体洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄剤組成物に関する技術として、特許文献1〜3に記載のものがある。
特許文献1(特開平6−25695号公報)には、特定のポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩と特定のN−アシルアスパラギン酸塩とを含有する洗浄剤組成物について記載されている。そして、同文献に記載の洗浄剤組成物は、優れた洗浄力を有し、皮膚に対する作用も温和であり、更に洗い上がり後の感触が、ぬる付くことがなく、使用感の良好なものであるとされている。
【0003】
特許文献2(特開2011−140464号公報)には、N−アシルグルタミン酸塩、両性界面活性剤、および特定のポリオキシエチレン鎖を有する特定のエーテル化合物を組み合わせて用いるフォーマー容器入り洗浄剤について記載されている。そして、N−アシルグルタミン酸塩と両性界面活性剤とのの合計含有量を特定の量とすることにより、十分な泡量及びクリーミーで弾力性のある泡質を有する一方で、洗浄後にしっとり感が得られ、つっぱり感、ぬるつき感及びきしみ感が少ない十分な泡量及びクリーミーで弾力性のある泡質を有する一方で、洗浄後にしっとり感が得られ、つっぱり感、ぬるつき感及びきしみ感が少なく、優れた低温安定性を有し、かつ良好なポンプの押し出し性を有するフォーマー容器入り洗浄剤を提供されるとされている。
【0004】
特許文献3(特開2014−24875号公報)には、N−アシルアミノ酸又はその塩、両性界面活性剤、グリセリンおよび特定の分子量のポリエチレングリコールを特定の割合で組み合わせて用いるノンガスフォーマー容器入り液体洗浄剤について記載されている。そして、N−アシルアミノ酸又はその塩と両性界面活性剤との含有量の質量比、グリセリンおよび上記ポリエチレングリコールの含有量の合計、ならびに粘度について特定の条件を満たす構成とすることにより、高性能な泡を実現して、洗いあがりの皮膚にも良好な使用感をもたらすとともに、吐出性にも優れる液体洗浄剤が得られるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−25695号公報
【特許文献2】特開2011−140464号公報
【特許文献3】特開2014−24875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上述した技術を用いても、低温での貯蔵安定性、泡性能、洗浄による肌の刺激感の低減および洗い上がりの肌のつるつるした感じや保護感についての性能のバランスの点で、なお改善の余地があった。
本発明は、低温での貯蔵安定性に優れると共に、濃厚でありつつも皮膚に伸ばしやすく持続性の高い泡性能を有し、すすぎやすいにもかわらず、洗い上りの肌がつるつるして保護感があり、洗浄による肌の刺激感が低減された液体洗浄剤に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
次の成分(A)、(B)、(C)ならびに(D):
(A)N−アシル酸性アミノ酸またはその塩 2.5〜15質量%、
(B)下記一般式(1)で表されるアルキルエーテルカルボン酸またはその塩 0.3〜8質量%、
1−O−(CH2CH2O)n−CH2−COOM (1)
(上記一般式(1)中、R1は炭素数4〜22のアルキル基を示し、nは0〜20の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムを示す。)
(C)炭素数8〜14のアルキル基を有するアルキルアミドプロピルベタインおよび炭素数8〜14のアルキル基を有するアルキルヒドロキシスルホベタインからなる群から選ばれる1種または2種以上の両性界面活性剤 0.2〜5質量%、ならびに
(D)水
を含む液体洗浄剤組成物であって、
前記成分(A)に対する前記成分(B)および前記成分(C)の合計量[(B)+(C)]の割合が、質量比で、[(B)+(C)]/(A)×100=15〜120 であり、
前記成分(A)に対する前記成分(C)の割合が、質量比で、(C)/(A)×100=5〜70 である、液体洗浄剤組成物が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、低温での貯蔵安定性に優れると共に、濃厚でありつつも皮膚に伸ばしやすく持続性の高い泡性能を有し、すすぎやすいが、洗い上りの肌がつるつるして保護感があり、洗浄による肌の刺激感が低減された液体洗浄剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、説明する。
本実施形態において、液体洗浄剤組成物は、次の成分(A)、(B)、(C)ならびに(D)を含む。
(A)N−アシル酸性アミノ酸またはその塩 2.5〜15質量%、
(B)下記一般式(1)で表されるアルキルエーテルカルボン酸またはその塩 0.3〜8質量%、
1−O−(CH2CH2O)n−CH2−COOM (1)
(上記一般式(1)中、R1は炭素数4〜22のアルキル基を示し、nは0〜20の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムを示す。)
(C)炭素数8〜14のアルキル基を有するアルキルアミドプロピルベタインおよび炭素数8〜14のアルキル基を有するアルキルヒドロキシスルホベタインからなる群から選ばれる1種または2種以上の両性界面活性剤 0.2〜5質量%、ならびに
(D)水。
そして、成分(A)に対する成分(B)および成分(C)の合計量[(B)+(C)]の割合が、質量比で、[(B)+(C)]/(A)×100=15〜120である。また、成分(A)に対する成分(C)の割合が、質量比で、(C)/(A)×100=5〜70である。
【0010】
(成分(A))
成分(A)はN−アシル酸性アミノ酸またはその塩である。
N−アシル酸性アミノ酸またはその塩を構成する脂肪酸は、泡立ち性と使用感を向上させる観点から、飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖を有する脂肪酸であることが好ましく、飽和の直鎖または分岐鎖を有する脂肪酸であることがより好ましく、その脂肪酸の炭素数は、8〜18が好ましく、8〜16がより好ましく、10〜14がさらに好ましい。このような脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられる。これら脂肪酸のなかでも、泡質及び低温貯蔵安定性を向上させる観点から、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸が好ましく、ラウリン酸がより好ましい。また、N−アシルアミノ酸のアシル基は、上記の脂肪酸の混合脂肪酸を由来としたもの、たとえば、ヤシ油、パーム核油などを原料にして得られたものであってもよい。なかでも、ヤシ油脂肪酸やパーム核脂肪酸を原料にして得られたものが好ましく、ヤシ油脂肪酸を原料にして得られたものがより好ましい。
【0011】
成分(A)のN−アシル酸性アミノ酸のアミノ酸部分としては、低温貯蔵安定性を向上させる観点から、アスパラギン酸、グルタミン酸が好ましく、グルタミン酸がさらに好ましい。また、成分(A)がN−アシルグルタミン酸またはその塩であることが好ましい。また、これらのアミノ酸部分はD体、L体あるいはD体とL体の混合物のいずれであってもよく、低温貯蔵安定性を向上させる観点及び原料の入手が容易である観点からはL体であるのが好ましい。
【0012】
成分(A)は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、低温貯蔵安定性、泡の肌への伸ばしやすさ及び泡が濃い感じを向上させる観点、並びに、泡の持続性を高め良好な使用感を得る観点から、N−ラウロイルグルタミン酸、N−ミリストイルグルタミン酸、N−ココイルグルタミン酸、N−パーム脂肪酸グルタミン酸、N−ラウロイルアスパラギン酸、またはこれらの塩が好ましく、N−ラウロイルグルタミン酸、N−ミリストイルグルタミン酸、N−ココイルグルタミン酸(N−ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸)、N−ラウロイルアスパラギン酸またはこれらの塩がさらに好ましく、N−ココイルグルタミン酸、N−ラウロイルグルタミン酸、N−ラウロイルアスパラギン酸またはこれらの塩がさらにより好ましく、N−ココイルグルタミン酸またはその塩が特に好ましい。
【0013】
N−アシル酸性アミノ酸またはその塩の塩としては、泡立ち性及び泡質を向上させる観点、肌の刺激感を低減する観点並びに入手容易性の観点から、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム、亜鉛等の他の無機塩;アンモニウム塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3-プロパンジオール等の有機アミン塩;アルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチン等の塩基性アミノ酸塩等の他の有機塩が挙げられる。中でも、泡立ち性及び泡質を向上させる観点及び入手が容易である点で、アルカリ金属塩、トリエタノールアミン塩、アルギニン塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩、アルギニン塩がより好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がさらに好ましく、ナトリウム塩がよりさらに好ましい。
【0014】
成分(A)の含有量は、泡ののばしやすさ、泡が持続する感じ及び泡が濃い感じを得る観点から、液体洗浄剤組成物全体に対して2.5質量%以上であり、3質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることがさらに好ましい。また、肌の刺激感を低減する観点から、成分(A)の含有量は、液体洗浄剤組成物全体に対して15質量%以下であり、8質量%以下であることが好ましい。
【0015】
(成分(B))
成分(B)は、下記一般式(1)で表されるアルキルエーテルカルボン酸またはその塩である。
1−O−(CH2CH2O)n−CH2−COOM (1)
(上記一般式(1)中、R1は炭素数4〜22のアルキル基を示し、nは0〜20の数を示し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムを示す。)
本発明において、アンモニウムは、NH4+および有機アンモニウムを含む。
【0016】
一般式(1)において、R1は炭素数4〜22のアルキル基であり、低温貯蔵安定性および起泡性を向上させ、肌の刺激感を低減する観点から、アルキル基の炭素数は、好ましくは6〜20、さらに好ましくは8〜18、さらにまた好ましくは8〜16、よりいっそう好ましくは10〜16、ことさら好ましくは12〜16である。また、R1のアルキル鎖は、直鎖または分岐鎖のいずれでも良いが、起泡性を向上させる観点から、直鎖アルキル基が好ましい。また、R1の平均炭素数は、低温貯蔵安定性と肌がつるつるして保護された感じを向上させる観点から、10.8〜14.8が好ましく、より好ましくは11.0〜13.5、よりさらに好ましくは11.5〜13.5、とりわけ好ましくは12.3〜13.5である。
また、R1は2種以上のアルキル基を含んでもよい。すなわち、本発明の洗浄剤は、R1のアルキル基の異なる、2種類以上の一般式(1)で表されるアルキルエーテルカルボン酸またはその塩を含んでいてもよい。
【0017】
また、一般式(1)中、nは0〜20の数を示す。肌がつるつるした感じを与え、保護された感じを向上させる観点から、nは、好ましくは0〜15であり、さらに好ましくは1〜15であり、さらにまた好ましくは3〜12であり、よりさらに好ましくは3〜11である。なお、nは、エチレンオシキシドの付加モル数を示し、成分(B)の組成中の平均付加モル数(nの平均値)は、泡性能を向上させる観点、及び、肌がつるつるした感じを与え、保護された感じを向上させる観点からは、好ましくは1.5〜15であり、より好ましくは2.5〜12であり、さらに好ましくは3.0〜11であり、さらにまた好ましくは3.5〜5.0である。
さらに、成分(B)の組成中の一般式(1)中のn=0の成分の割合は、肌がつるつるした感じを与え、保護された感じを向上させる観点から、27%以下が好ましく、15.5%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、9.7%以下がよりさらに好ましく、9.6%以下がことさら好ましい。
【0018】
また、一般式(1)中、Mとしては、水素原子;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;アンモニウム;NH4+、および、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン由来のアンモニウム;アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸由来のカチオン;その他の有機アンモニウムなどが挙げられる。これらの中で、起泡性及び低温貯蔵安定性を向上させ、経時での着色性を低減させる観点から、水素原子、アルカリ金属が好ましい。
【0019】
液体洗浄剤組成物中の成分(B)の含有量は、液体洗浄剤組成物全体に対して、低温貯蔵安定性を良好にする観点から0.3質量%以上8質量%以下であり、0.4質量%以上が好ましく、0.6質量%以上がよりいっそう好ましい。
また、泡ののばしやすさ、泡が持続する感じ、濃い感じを良好にする観点から、成分(B)の含有量は、液体洗浄剤組成物全体に対して5%質量以下が好ましく、3.5質量%以下がより好ましく、2.5質量%以下がさらに好ましく、2質量%以下であるのがことさら好ましい。
なお、本発明において、成分(B)の組成物中の含有量は、酸としての含有量である。すなわち、一般式(1)において、Mが水素原子以外の場合、Mを水素原子に置換して換算した量である。
【0020】
また、成分(A)に対する成分(B)の質量割合は、泡が濃い感じを好ましく与える観点から、(B)/(A)×100が150以下であるのが好ましく、100以下であるのがより好ましく、80以下であるのがさらに好ましく、60以下であるのがとりわけ好ましい。また、成分(A)に対する成分(B)の質量割合(B)/(A)×100が、低温貯蔵安定性を向上させる観点から、2以上であるのが好ましく、5であるの以上がより好ましく、10以上であるのがさらに好ましい。
【0021】
(成分(C))
成分(C)は、炭素数8〜14のアルキル基を有するアルキルアミドプロピルベタインおよび炭素数8〜14のアルキル基を有するアルキルヒドロキシスルホベタインからなる群から選ばれる1種または2種以上の両性界面活性剤である。
【0022】
成分(C)のアルキル基の炭素数は、泡ののばしやすさ、泡の濃い感じや持続性を高め、肌の刺激感を低減する観点から、8〜14であり、好ましくは10〜12である。成分(C)はアルキル基の異なる2種類以上のアルキルアミドプロピルベタイン又はアルキルヒドロキシスルホベタインを含んでもよい。
成分(C)としては、泡ののばしやすさ、泡の濃い感じや持続性を高め、肌の刺激感を低減する観点からアルキルヒドロキシスルホベタインが好ましく、中でもラウリルヒドロキシスルホベタインが好ましい。
また、成分(C)のうち、アルキルアミドプロピルベタインの具体例として、ラウリルアミドプロピルベタインが挙げられる。
【0023】
液体洗浄剤組成物中の成分(C)の含有量は、低温貯蔵安定性、泡ののばしやすさおよび泡が持続する感じのバランスを良好にする観点から、液体洗浄剤組成物全体に対して0.2質量%以上であり、0.3質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がよりいっそう好ましく、0.7質量%以上がさらに好ましい。また、すすぎやすさを良好にする観点から、成分(C)の含有量は、液体洗浄剤組成物全体に対して5質量%以下であり、3質量%以下が好ましく、2.5質量%以下がよりいっそう好ましく、2質量%以下がさらに好ましい。
【0024】
成分(A)に対する成分(C)の質量割合である(C)/(A)×100は、泡ののばしやすさ、泡が持続する感じを良好にし、かつすすぎやすい感じを両立する観点から5〜70であり、7〜50が好ましく、12〜40がさらに好ましい。
【0025】
また、成分(A)に対する成分(B)および成分(C)の合計量[(B)+(C)]の割合は、低温貯蔵安定性を向上させる観点から、質量比で、[(B)+(C)]/(A)×100が15〜120であり、26〜100が好ましく、30〜90がより好ましい。
【0026】
(成分(D))
成分(D)は、水である。本実施形態における液体洗浄剤組成物は、たとえば水を媒体として上記成分を溶解または分散させた液体の形態である。水としては、低温貯蔵安定性を向上させる観点から、蒸留水またはイオン交換水を用いるのがよい。
水の含有量には、組成物に配合されるイオン交換水等の精製水のほか、配合される成分に含まれる水の含有量を含む。液体洗浄剤組成物の水の含有量は、たとえば液体洗浄剤組成物中の成分(A)〜(C)および他の成分の残部である。さらに具体的には、液体洗浄剤組成物中の成分(D)の含有量は、液体洗浄剤組成物全体に対してたとえば30〜95質量%であり、好ましくは40〜85質量%、さらに好ましくは50〜80質量%である。
【0027】
本実施形態において、液体洗浄剤組成物は成分(A)〜(D)以外の成分を含んでいてもよい。たとえば、液体洗浄剤組成物が以下の成分(E)をさらに含む構成とすることもできる。
【0028】
(成分(E))
成分(E)は、アルキル基の炭素数が12〜22であるポリオキシエチレン脂肪酸エステル、アルキル基の炭素数が12〜22であるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキル基の炭素数が12〜22であるポリオキシエチレングリセリンモノ脂肪酸エステル、アルキル基の炭素数が12〜22であるポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、および、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種または2種以上であって、HLBが11〜20の非イオン性界面活性剤である。液体洗浄剤組成物が成分(E)を含む構成とすることにより、低温貯蔵安定性、肌が保護された感じ、肌がつるつるした感じをさらに高めることができる。
成分(E)は、さらに具体的には、親水性非イオン界面活性剤であって、親水基としてポリオキシエチレン鎖を有するものであり、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のうち、HLBが11〜20のものであり、低温貯蔵安定性、泡の持続性、濃い泡の感じ、洗い上りの肌がつるつるした感じを与え、保護された感じを良好にする観点から、そのHLBは、好ましくは12〜18であり、さらに好ましくは12〜16である。
成分(E)のHLBが11以上であると、低温貯蔵安定性がさらに向上し、HLBが20以下であれば、洗い上りの肌がつるつるした感じや保護された感じをより高めることができる。
【0029】
ここで、HLB値は、親水性−親油性のバランス(Hydrophile Lipophile Balance)を示す指標であり、本明細書においては、小田および寺村らによる次式により算出した値を用いている。
【0030】
【数1】
【0031】
具体的には、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、炭素数12〜22の脂肪酸を有し、エチレンオキシド(以下、EOと略記する。)の重合度が5〜300のものが好ましく、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられ、具体的にはモノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングルコール等が挙げられる。これらのうち、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸のアルキル基の炭素数としては、洗い上りの肌がつるつるした感じ及び保護された感じをより高める観点から12〜18が好ましく、14〜18がより好ましく、16〜18がさらに好ましい。EOの重合度としては5〜300のものが好ましく、10〜150のものがより好ましい。
【0032】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、アルキル基の炭素数が12〜22の脂肪酸を有し、EOの重合度が5〜200のものが好ましく、たとえばポリオキシエチレンソルビタンラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンミリスチン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンパルミチン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンイソステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンベヘニン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリステアリン酸エステル、ポリオキシエチレントリイソステアリン酸エステル等が挙げられる。これらのうち、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸のアルキル基の炭素数としては洗い上りの肌がつるつるした感じ及び保護された感じをより高める観点から12〜18が好ましく、14〜18がより好ましく、16〜18がさらに好ましく、18がとりわけ好ましい。EOの重合度としては、5〜100が好ましく、10〜30がより好ましく、10〜20がとりわけ好ましい。さらに、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしてはポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステルが好ましい。これらの中で好ましい具体例としてはポリソルベート40(HLB16)、ポリソルベート60(HLB15)、ポリソルベート80(HLB15)が挙げられ、ポリソルベート40、ポリソルベート60がさらに好ましく、ポリソルベート60がことさら好ましい。
【0033】
ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルとしては、アルキル基の炭素数が12〜22の脂肪酸から構成され、EOの重合度が5〜200のものが好ましく、たとえばモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビット、テトラステアリン酸ポリオキシエチレンソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等が挙げられる。これらのうち、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルを構成する脂肪酸のアルキル基の炭素数としては12〜18が好ましく、14〜18がより好ましく、16〜18がさらに好ましく、18がことさら好ましい。EOの重合度としては、5〜100が好ましく、10〜60がより好ましく、30〜60がさらに好ましく、40〜60がことさら好ましい。
【0034】
ポリオキシエチレングリセリンモノ脂肪酸エステルとしては、アルキル基の炭素数が12〜22の脂肪酸を有し、EOの重合度が5〜60のものが好ましく、たとえば、ポリオキシエチレングリセリンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレングリセリンモノミリスチン酸エステル、ポリオキシエチレングリセリンモノパルミチン酸エステル、ポリオキシエチレングリセリンモノイソステアリン酸エステル、ポリオキシエチレングリセリンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレングリセリンモノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレングリセリンモノベヘニン酸エステル等が挙げられる。これらのうち、ポリオキシエチレングリセリンモノ脂肪酸エステルを構成する脂肪酸のアルキル基の炭素数としては12〜18が好ましく、14〜18がより好ましく、16〜18がさらに好ましく、18がさらにより好ましい。EOの重合度としては、5〜50が好ましく、5〜30がより好ましく、5〜20がさらに好ましい。
【0035】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、EOの重合度がたとえば20〜100、好ましくは40〜80、さらに好ましくは60のものを用いることができる。
【0036】
成分(E)は、アルキル基の炭素数が14〜18であるポリオキシエチレン脂肪酸エステル、アルキル基の炭素数が14〜18であるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、および、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種または2種以上であることが好ましく、アルキル基の炭素数が14〜18であるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、又は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油がより好ましい。
また、成分(E)としては、上述した具体例の中で、低温貯蔵安定性、泡の持続性、濃い泡の感じ、肌がつるつるした感じおよび保護された感じを良好にする観点から、アルキル基の炭素数が12〜18のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルまたはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましく、アルキル基の炭素数が14〜18のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルまたはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油がより好ましく、アルキル基の炭素数が16〜18のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルまたはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油がさらに好ましく、アルキル基の炭素数が16〜18のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルがとりわけ好ましく、さらにより好ましくは炭素数18のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである。
同様の観点から、成分(E)中のアルキル基の炭素数が14〜18であるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の含有量割合は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上が好ましく、98質量%以上が好ましく、実質100質量%が更に好ましい。
【0037】
また、成分(E)のHLBは11〜20であり、同様の観点から、好ましくはHLBが12以上であり、好ましくは18以下であり、より好ましくは16以下である。
さらに具体的には、成分(E)として、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート40、HLB16)、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60、HLB14.9)、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート80、HLB15)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.、HLB12.5)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.、HLB14.0)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(80E.O.、HLB15.0)が好ましく、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート40)、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)がより好ましく、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(ポリソルベート60)がことさら好ましい。
【0038】
成分(E)の含有量は、低温貯蔵安定性、肌が保護された感じ、肌がつるつるした感じをさらに高める観点から、液体洗浄剤組成物全体に対してたとえば0.2〜5質量%であり、0.5〜3質量%が好ましく、1〜3質量%がより好ましく、1.5〜2.2質量%がさらに好ましい。
また、本実施形態において、成分(E)が、アルキル基の炭素数が14〜18であるポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、および、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種または2種以上であって、成分(E)の含有量が、液体洗浄剤組成物全体に対して0.2〜5質量%が好ましく、0.5〜3質量%がより好ましく、1〜3質量%がさらに好ましく、1.5〜2.2質量%がよりさらに好ましい。
【0039】
また、成分(E)について、低温貯蔵安定性をさらに高め、肌が保護された感じ、肌がつるつるした感じを良好にする点から、(E)/(A)×100が0より大きいことが好ましく、5以上であることがより好ましく、15以上であることがさらに好ましく、また、80以下であることが好ましく、70以下であることがより好ましく、60以下であることがさらに好ましい。
【0040】
また、本実施形態において、本発明の効果を損ねない範囲で以下の成分(F)をさらに含んでもよい。
(F)下記一般式(2)で表されるアルキル硫酸塩またはポリオキシエチレンアルキル硫酸塩
2−O−(CH2CH2O)m−SO3Y (2)
(上記一般式(2)中、R2は炭素数8〜22のアルキル基またはアルケニル基を示し、mは0〜20の数を示し、且つmの平均が3以下であり、Yは水素原子、または、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム(NH4+)、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウムおよびグルクアンモニウムから選ばれるカチオンを示す。)
【0041】
一般式(2)中、R2は炭素数8〜22のアルキル基またはアルケニル基であり、直鎖または分岐鎖のいずれでもよく、好ましくは炭素数12〜18、より好ましくは炭素数12〜14のアルキル基である。
また、式中、mは0〜20の数を示し、0〜12がより好ましい。mは、エチレンオシキシドの付加モル数を示し、成分(F)の組成中の平均付加モル数(mの平均値)は、1〜3であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、2であることがよりさらに好ましい。
【0042】
また、Yとしては、水素原子;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウム、グルクアンモニウムが挙げられる。これらのうち、水への溶け易さ、なじみやすさの点から、アルカリ金属、アンモニウムが好ましい。
【0043】
成分(F)としては、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸アンモニウム等が好ましく、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウムがより好ましい。
また、エマール 227、エマール 0、エマール 10、エマール 125A、エマール125HP、エマール 170J(以上、花王社製)等の市販品を使用することができる。
【0044】
成分(F)は、1種または2種以上を用いることができ、起泡性および泡量を向上させる観点から、全組成中に成分(F)を0.1〜30質量%含有するのが好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%がさらに好ましく、2〜7.5質量%がよりさらに好ましい。
また、成分(F)と成分(A)との質量割合((F)/(A))は、すすぎやすい感じを良好にする観点から、0より大きく、また、2.5以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1以下がさらに好ましい。
【0045】
また、本実施形態の液体洗浄剤組成物は、貯蔵安定性、泡質、及び使用感を向上させる観点から、エタノ−ル、イソプロパノ−ル、n−プロパノ−ル、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、1,3−ブチレングリコ−ル、1,3−プロパンジオール、グリセリン、ポリグリセリン、イソプレングリコール等のアルコ−ル類やポリオール類を含有することが好ましい。なかでも、低温貯蔵安定性、泡の伸ばしやすさ、泡が濃い感じや泡の持続性を向上させる観点から、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコールから選ばれる1種または2種以上のポリオール類を含有することが好ましく、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオールら選ばれる1種または2種以上のポリオール類を含有することがより好ましい。
同様の観点から、上記のアルコ−ル類及びポリオール類の含有量は、本発明の液体洗浄剤組成物中に、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%、さらに好ましくは5〜25質量%、よりさらに好ましくは10〜25質量%である。
さらに、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の上述したもの以外の非イオン性界面活性剤;染料等の着色剤;植物エキス類;防腐剤;キレート剤;ビタミン剤;グリチルレチン酸、グリチルリチン酸およびこれらの誘導体、アラントイン等の抗炎症剤;香料;紫外線吸収剤;酸化防止剤等を本発明の効果を損なわない範囲で液体洗浄剤組成物に含有させることができる。
【0046】
また、本実施形態の液体洗浄剤組成物は、アニオン性、非イオン性、またはカチオン性の高分子増粘剤を本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。高分子増粘剤の含有量は、泡質を良好にする観点から、液体洗浄剤組成物全体に対して0.2質量%未満であることが好ましく、0.1質量%未満であることがより好ましく、0.01質量%以下であることがさらに好ましく、実質的に高分子増粘剤を含有しないことが好ましい。これらの高分子増粘剤としては、カラギーナン、キサンタンガム、ゼラチン、グアーガム、セルロースガム、ベントナイト、カチオン化グアーガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化セルロースおよびアクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体などから選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
【0047】
本実施形態において、液体洗浄剤組成物のpHは、成分(A)の良好な泡立ちと肌の刺激感を低減する観点から、pH4.5〜8.0の範囲であるのが好ましく、pH5.0〜7.5がより好ましく、pH5.5〜6.5がさらに好ましく、pH6.0〜6.5がさらにより好ましい。かかるpHは、液体洗浄剤組成物100mLをビーカーに充填し、25℃の恒温槽内にて25℃に調整した後に、pH測定用電極を3分間浸し測定することができる。
本実施形態における液体洗浄剤組成物はpH調整剤を含んでもよく、pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、アンモニア、リシン、アルギニン、ヒスチジン等の塩基や、塩酸、硫酸、リン酸、蟻酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、コハク酸等の酸を使用することができる。
【0048】
本実施形態における液体洗浄剤組成物は、上述した各成分を用い、常法に従って製造することができる。また、かかる液体洗浄剤組成物は頭皮を含む皮膚の洗浄剤として用いることができ、好ましくは頭皮を除く皮膚の洗浄剤として用いられ、ボディウォッシュ、ハンドウォッシュ、洗顔料として用いられるのが好適である。このとき、本実施形態の液体洗浄剤組成物は、一般的な皮膚洗浄方法によって皮膚を洗浄するために用いられる。洗浄方法としては、手で洗う方法、コットン等の天然繊維やナイロン等の化学繊維から成るスポンジ、タオル、たわし等を使って洗う方法があり、肌の刺激感を低減する観点および液体洗浄剤組成物の泡性能と使用感を効果的に発揮する観点から、皮膚を洗浄剤とともに直接手で洗う方法のために用いられることが好ましい。また、本実施形態における液体洗浄剤組成物は、泡の伸ばしやすさ、泡が濃い感じ、泡が持続する感じに優れ、すすぎやすい感じ、洗浄による肌の刺激感が少なく、洗い上りの肌のつるつるした感じや保護感が良好であるため、敏感肌、乾燥肌、混合肌および角層の薄い乳幼児の肌から選ばれる皮膚の洗浄に好適であり、敏感肌、乾燥肌、および乳幼児の肌から選ばれる皮膚の洗浄により好適である。ここで、本明細書における敏感肌とは、神経線維が表皮内、および角層直下まで伸長しており、感覚刺激を認知し易くなっている知覚過敏状態の肌をいう。具体的には、知覚神経が過敏であるため僅かな外部刺激(温度、湿度、ホコリ、アレルゲン等)に対しても影響を受けやすく、化粧品の使用や外部刺激により、ぴりぴり、チクチク、むずむず感といったような感覚刺激を訴える肌を意味する。また、乳幼児は、乳児と幼児を意味し、乳児は生後0日から満1歳未満の子供を意味し、幼児は1歳以上就学前の子供を意味し、本実施形態では5歳以下の幼児により好適である。
【0049】
本実施形態における液体洗浄剤組成物は、たとえば当該組成物をいずれの形態の容器に充填されてなるものでもよいが、好ましくは泡で吐出するタイプのノンガスフォーマー容器に充填されてなる。本実施形態における液体洗浄剤組成物をノンガスフォーマー容器に充填し容器から吐出した場合、吐出性に優れるだけでなく、肌に伸ばしやすく、泡が濃い感じでしかも持続する良好な泡質の使用感にすることができる。また、吐出した泡を手にとり、たとえば、直接手で肌を擦って、または撫でて洗うことで刺激感を感じることなく、洗い上り肌がつるつるして保護された感じが良好な使用感をより強く実感できる。
【0050】
ノンガス型の泡吐出容器としては、空気と混合して泡として吐出できるものであればいずれのものでも用いることができるが、たとえば、ポンプヘッドを押すことで吐出するポンプフォーマー容器や胴体部分を押すことで吐出するスクイズフォーマー容器が挙げられる。これらのフォーマーは泡のサイズを細かくして泡質を良好にする観点から、吐出流路に細かいサイズの孔が開いた多孔質膜フィルターを備え、洗浄剤組成物と気体の混合物が多孔質膜フィルターを通過するものが一般的である。多孔質膜フィルターは、キメの細かく良好な泡質を得る観点から、好ましくは100〜400メッシュのフィルター、より好ましくは200〜400メッシュのフィルター、さらに好ましくは200〜305メッシュのフィルターが用いられる。
【0051】
しかし、洗浄剤成分の多くは、特にN−アシル酸性アミノ酸またはその塩は水に溶解して、これらのフォーマーから良好な泡が吐出するが、低温で貯蔵された場合、結晶化などして析出しやすく、析出物が多孔質フィルターの孔に詰まって泡質が低下したり、流路を塞いで吐出しなくなることがあった。
一方、本実施形態の液体洗浄剤組成物では、特定の成分(A)〜(D)を特定の割合で組み合わせて用いることにより、−5℃から−10℃の極低温でたとえば2日以上の長時間にわたって貯蔵されても沈殿物や不溶物を生じず透明に維持し続けることも可能となり、品質上格段に改善されている。
【0052】
ノンガスフォーマー容器としては、たとえば、特開平7−315463号公報、特開平8−230961号公報および特開2005−193972号公報等に記載されたフォーマー容器を使用することもできる。なかでも、液体洗浄剤を使用する環境における利便性の観点から、ポンプヘッドを押すことで吐出するポンプフォーマー容器が好ましく、泡質をさらに良好にする観点から、吐出流路に多孔質膜フィルターを備えるものが好ましい。このような多孔質膜フィルターは、さらにキメの細かく良好な泡質を得る観点から、100〜400メッシュのフィルターが好ましく、200〜400メッシュのフィルターがより好ましく、200〜305メッシュのフィルターがさらに好ましく、かかる多孔質フィルターを吐出流路に1〜3枚配置するものが好ましく、2枚配置するものがさらに好ましい。また、ポンプフォーマー容器における液体洗浄剤と空気の混合比は、吐出される泡の密度(液体洗浄剤の質量/空気の体積)が、良好な泡量と肌を洗いやすい泡質を得る観点から、好ましくは0.03〜0.14g/cm3であり、より好ましくは0.05〜0.11g/cm3である。
【0053】
本実施形態においては、上述した成分(A)〜(D)を組み合わせて用いるとともに、成分(A)〜(C)の含有量、成分(A)、(B)および(C)の割合、ならびに、成分(A)および(C)の割合について特定の条件を満たす構成となっている。このため、本実施形態の液体洗浄剤組成物は、低温での貯蔵安定性に優れるとともに、泡の伸ばしやすさ、濃い泡が持続する感じ、洗浄による肌の刺激感の低減、および、洗い上りの肌のつるつるした保護感の泡性能のバランスに優れている。また、本実施形態の液体洗浄剤組成物は、ノンガスフォーマー容器に充填から吐出して用いるのに好適である。
【実施例】
【0054】
以下の例において、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。また、表中に特に示さない限り、原料の純分は100%である。
【0055】
(実施例1〜29、比較例1〜10)
表1〜表5に示す組成に従い、各例の液体洗浄剤組成物を常法により製造し、後述する方法に従ってpHを測定するとともに各評価を行った。結果を表1〜表5にあわせて示す。また、表6に、成分(B)の構成を示す。
【0056】
(pHの測定方法)
各例で得られた液体洗浄剤組成物100mLをビーカーに充填し、25℃の恒温槽内にて25℃に調整した。恒温に調整された試料にpH測定用電極を3分間浸し、pHを測定した。
【0057】
(低温貯蔵安定性の評価方法)
各例で得られた組成物を110mLの透明ガラス容器(ガラス製スクリュー管瓶、JSV-110、ニッコーハンセン社製)に85mL入れて密封し、−10℃の冷凍庫にそれぞれ表1〜表5に記載の期間保存した。また、一部の例については、得られた組成物を110mLの透明ガラス容器(規格瓶#11、東京硝子器械社)に80mL入れて密封して−5℃の冷凍庫にそれぞれ表1〜表5に記載の期間保存した。これらの組成物の保存後の外観を目視による視覚判定により下記の基準で判定し、低温貯蔵安定性を評価した。
○:透明であり、沈殿物や不溶物は確認されない
×:沈殿物や不溶物が確認される
【0058】
(官能評価方法)
(泡の伸ばしやすさ、泡が濃い感じ、泡が持続する感じ、肌の刺激感がない感じ、すすぎやすい感じ、肌が保護された感じ、肌がつるつるした感じ)
各例で得られた液体洗浄剤組成物について、専門パネラー5名により、次の使用方法により以下の基準で評価した。5名の平均点を求め、以下の基準で各項目について評価を判定した。
(判定基準)
◎:平均点が3.5点以上
○:平均点が2.5点以上3.5点未満
△:平均点が1.5点以上2.5点未満
×:平均点が1.5点未満
【0059】
表1〜表5に評価結果を示す。
液体洗浄剤組成物の使用方法は、室温25℃、相対湿度40%の部屋にて、実施例および比較例の液体洗浄剤を、ポンプヘッドを押すことで吐出する吉野工業所社製ポンプフォーマー容器(吐出流路に設けた多孔質膜フィルターのメッシュサイズは、200メッシュ1枚と305メッシュ1枚)に充填し、2プッシュ分(1プッシュの吐出量約1mL、約13cm3)を利き手の手の平に吐出させ、吐出した泡で利き手ではない側の腕(肘〜指先)を利き手の手の平で洗浄した。その後、上水道水(30℃)で十分濯ぎ、乾いたタオルでふき取った。
評価は、洗浄時の泡の伸ばしやすさ、泡が濃い感じ、泡が持続する感じおよび肌の刺激感がない感じについて、すすぎ時のすすぎやすい感じについて、ならびに、洗い上がりの肌が保護された感じおよび肌がつるつるした感じについておこなった。評価基準は各項目について以下のとおりである。
【0060】
(1)吐出した泡を肌にのせて伸ばすときの泡の伸ばしやすさ(表1〜表5中、「泡の伸ばしやすさ」)
4点:泡がとても伸ばしやすい
3点:泡が伸ばしやすい
2点:泡がやや伸ばしやすい
1点:泡が伸ばしやすくない
【0061】
(2)泡が濃い感じがする(表1〜表5中、「泡が濃い感じ」)
4点:泡がとても濃いと感じる
3点:泡が濃いと感じる
2点:泡がやや濃いと感じる
1点:泡が濃いとは感じられない
【0062】
(3)肌を洗っているときの泡が持続する感じ(表1〜表5中、「泡が持続する感じ」)
4点:泡の持続がとてもよいと感じる
3点:泡の持続が良いと感じる
2点:泡の持続がやや良いと感じる
1点:泡の持続が良くないと感じる
【0063】
(4)洗浄時の肌の刺激感がない感じ(表1〜表5中、「刺激感がない感じ」)
4点:刺激感を感じない
3点:刺激感をほとんど感じない
2点:刺激感を少し感じる
1点:刺激感を感じる
【0064】
(5)水で流すときすすぎやすい感じがする(表1〜表5中、「すすぎやすい感じ」)
4点:とてもすすぎやすいと感じる
3点:すすぎやすいと感じる
2点:ややすすぎやすいと感じる
1点:すすぎやすくないと感じる
【0065】
(6)洗い上がりの肌が保護された感じ(表1〜表5中、「肌が保護された感じ」)
4点:肌が保護されている感じがする
3点:やや肌が保護されている感じがする
2点:若干肌が保護されている感じがする
1点:泡が保護されている感じがしない
【0066】
(7)洗い上りの肌がつるつるする感じがする(表1〜表5中、「肌がつるつるした感じ」)
4点:肌がとてもつるつるすると感じる
3点:肌がつるつるすると感じる
2点:肌がややつるつるすると感じる
1点:肌がつるつるしないと感じる
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
【表5】
【0072】
【表6】
【0073】
表1〜表5より、各実施例で得られた液体洗浄剤組成物は、各比較例で得られたものに比べて、−10℃で2日間以上の貯蔵安定性に優れるとともに、泡の伸ばしやすさ、泡が濃い感じ、泡が持続する感じ、すすぎやすい感じ、洗浄による肌の刺激感の低減、および、洗い上りの肌のつるつるした保護感の各性能のバランスに優れていた。また、一部の実施例における液体洗浄剤組成物では、たとえば−10℃で4日以上、または、−5℃で4か月以上の貯蔵安定性に優れたものを得ることもできた。
【0074】
(実施例31、32)
表7に、液体洗浄剤組成物の組成例を示す。
【0075】
【表7】