【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある態様は、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片に関し、ここで、
本モノクローナル抗体は、
配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR1、
配列番号28のアミノ酸配列を含むHCDR2および
配列番号29のアミノ酸配列を含むHCDR3、
および/または
配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR1、
配列番号31のアミノ酸配列を含むLCDR2および
配列番号32、配列番号33および配列番号34から選択されるアミノ酸配列を含むLCDR3
から選択される相補性決定領域(CDR)を含む。
【0011】
本発明の実施形態の何れか1つによる、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、
本モノクローナル抗体の重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列は、配列番号6、配列番号10、配列番号14および配列番号18から選択され;
および/または
本モノクローナル抗体の軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列は、配列番号8、配列番号12、配列番号16、配列番号20、配列番号22および配列番号24から選択されるモノクローナル抗体またはその抗原結合断片。
【0012】
本発明の実施形態の何れか1つによる、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、本モノクローナル抗体は、
(1)配列番号6で規定されるVHおよび配列番号8で規定されるVL;
(2)配列番号10で規定されるVHおよび配列番号12で規定されるVL;
(3)配列番号14で規定されるVHおよび配列番号16で規定されるVL;
(4)配列番号18で規定されるVHおよび配列番号20で規定されるVL;
(5)配列番号14で規定されるVHおよび配列番号22で規定されるVL;または
(6)配列番号14で規定されるVHおよび配列番号24で規定されるVL
を含むモノクローナル抗体またはその抗原結合断片。
【0013】
本発明において、上記の群(1)から(6)は、それぞれ8D2/8D2(Re)、8D2H1L1、8D2H2L2、8D2H3L3、8D2H2L15および8D2H2L17の重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列を示す。
【0014】
具体的に、配列番号6、配列番号10および配列番号14の位置18のメチオニン(Met)は、独立に、ロイシン(Leu)、バリン(Val)、イソロイシン(Ile)またはアラニン(Ala)から選択されるアミノ酸で置換される。
【0015】
抗体、特にモノクローナル抗体(MAB)に基づく治療薬は、一部の疾患の処置において優れた効能を達成した。このような治療用抗体を得るための従来法は、抗原で動物に免疫付与し、免疫付与動物からの抗原に対する抗体を得ること、または親和性成熟によって抗原に対する親和性が低い抗体を改善することである。しかし、このような方法は、時間がかかり、労力を要し、抗原上の特異的なエピトープを標的とすることができないことが多い。
【0016】
抗原結合は、軽鎖および重鎖の可変領域に依存し;各鎖の可変領域は、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる3個の超可変領域を含む(重鎖(H)はHCDR1、HCDR2およびHCDR3、軽鎖(L)はLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含み;定義については、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition(1991),Vol.1−3,NIH Publication 91−3242,Bethesda Mdを参照のこと。)。
【0017】
当業者にとって周知の技術的手段によって、例えばVBASE2データベース分析によって、上記実施形態(1)から(6)のモノクローナル抗体配列におけるCDRのアミノ酸配列を分析した。結果を以下で提供する。
【0018】
(1)重鎖可変領域の3個のCDRのアミノ酸配列を以下で示す:
HCDR1:GFTFSDNW (配列番号27)、
HCDR2:IRNKPYNYET (配列番号28)、
HCDR3:TAQFAY (配列番号29)。
【0019】
軽鎖可変領域の3個のCDRのアミノ酸配列を以下で示す:
LCDR1:ENIYGG (配列番号30)、
LCDR2:GAT (配列番号31)、
LCDR3:QNVLRSPFT (配列番号32)。
【0020】
(2)重鎖可変領域の3個のCDRのアミノ酸配列を以下で示す:
HCDR1:GFTFSDNW (配列番号27)、
HCDR2:IRNKPYNYET (配列番号28)、
HCDR3:TAQFAY (配列番号29)。
【0021】
軽鎖可変領域の3個のCDRのアミノ酸配列を以下で示す:
LCDR1:ENIYGG (配列番号30)、
LCDR2:GAT (配列番号31)、
LCDR3:QNVLRSPFT (配列番号32)。
【0022】
(3)重鎖可変領域の3個のCDRのアミノ酸配列を以下で示す:
HCDR1:GFTFSDNW (配列番号27)、
HCDR2:IRNKPYNYET (配列番号28)、
HCDR3:TAQFAY (配列番号29)。
【0023】
軽鎖可変領域の3個のCDRのアミノ酸配列を以下で示す:
LCDR1:ENIYGG (配列番号30)、
LCDR2:GAT (配列番号31)、
LCDR3:QNVLRSPFT (配列番号32)。
【0024】
(4)重鎖可変領域の3個のCDRのアミノ酸配列を以下で示す:
HCDR1:GFTFSDNW (配列番号27)、
HCDR2:IRNKPYNYET (配列番号28)、
HCDR3:TAQFAY (配列番号29)。
【0025】
軽鎖可変領域の3個のCDRのアミノ酸配列を以下で示す:
LCDR1:ENIYGG (配列番号30)、
LCDR2:GAT (配列番号31)、
LCDR3:QNVLRSPFT (配列番号32)。
【0026】
(5)重鎖可変領域の3個のCDRのアミノ酸配列を以下で示す:
HCDR1:GFTFSDNW (配列番号27)、
HCDR2:IRNKPYNYET (配列番号28)、
HCDR3:TAQFAY (配列番号29)。
【0027】
軽鎖可変領域の3個のCDRのアミノ酸配列を以下で示す:
LCDR1:ENIYGG (配列番号30)、
LCDR2:GAT (配列番号31)、
LCDR3:QNVLSRHPG (配列番号33)。
【0028】
(6)重鎖可変領域の3個のCDRのアミノ酸配列を以下で示す:
HCDR1:GFTFSDNW (配列番号27)、
HCDR2:IRNKPYNYET (配列番号28)、
HCDR3:TAQFAY (配列番号29)。
【0029】
軽鎖可変領域の3個のCDRのアミノ酸配列を以下で示す:
LCDR1:ENIYGG (配列番号30)、
LCDR2:GAT (配列番号31)、
LCDR3:QNVLSSRPG (配列番号34)。
【0030】
本発明の実施形態の何れか1つによる、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、本モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab’)
2、Fd、Fv、dAb、相補性決定領域断片、1本鎖抗体(例えばscFv)、ヒト化抗体、キメラ抗体またはダイアボディから選択されるモノクローナル抗体またはその抗原結合断片。
【0031】
本発明の実施形態の何れか1つによる、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、本モノクローナル抗体は、約10
−5M未満、例えば約10
−6M未満、10
−7M、10
−8M、10
−9Mまたは10
−10M以下のK
DでCTLA4タンパク質と結合するモノクローナル抗体またはその抗原結合断片。
【0032】
本発明の実施形態の何れか1つによる、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であって、本モノクローナル抗体は、非CDR領域を含み、この非CDR領域は、マウス以外の種、例えばヒトの抗体由来であるモノクローナル抗体またはその抗原結合断片。
【0033】
本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、CTLA4に特異的に結合し得る、抗CTLA4モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である。
【0034】
腫瘍の、予防および/または治療および/または補助療法および/または診断での使用のための、本発明の実施形態の何れか1つによる、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片;具体的には、この腫瘍は、メラノーマ、腎臓腫瘍/腎腫瘍、前立腺癌、膀胱癌、結直腸癌、消化管の癌および肝臓癌/肝癌から選択される。
【0035】
B7へのCTLA4の結合を阻止すること、
CTLA4の活性またはCTLA4のレベルを制御(例えば下方制御)すること、
CTLA4による身体における免疫抑制を緩和すること、または
Tリンパ球を活性化するかもしくはTリンパ球におけるIL−2の発現を増加させる薬剤
における使用のための、本発明の実施形態の何れか1つによるモノクローナル抗体。
【0036】
本発明の別の態様は、単離核酸分子に関し、この単離核酸分子は、抗体の重鎖可変領域をコードすることが可能な核酸配列を含み、
抗体の重鎖可変領域は、配列番号27から29のアミノ酸配列を有するCDRを含み;
具体的に、本抗体の重鎖可変領域は、配列番号6、配列番号10、配列番号14または配列番号18で規定されるようなアミノ酸配列を有し;
より具体的には、本核酸分子は、配列番号5、配列番号9、配列番号13または配列番号17で規定されるようなヌクレオチド配列を有する。
【0037】
本発明は、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片をコードする単離核酸分子をさらに提供する。このような核酸分子は、ハイブリドーマ細胞から単離され得るか、または遺伝子操作の組み換え技術もしくは化学合成法の方法を通じて得ることができる。
【0038】
本発明のさらなる態様は、単離核酸分子に関し、この単離核酸分子は、抗体の軽鎖可変領域をコードすることが可能な核酸配列を含み、
本抗体の軽鎖可変領域は、
1)配列番号30から32のアミノ酸配列を有するCDR;
2)配列番号30、配列番号31および配列番号33のアミノ酸配列を有するCDR;または
3)配列番号30、配列番号31および配列番号34のアミノ酸配列を有するCDR;
を含み、
具体的に、本抗体の軽鎖可変領域は、配列番号8、配列番号12、配列番号16、配列番号20、配列番号22または配列番号24で規定されるようなアミノ酸配列を有し;
より具体的には、本核酸分子は、配列番号配列番号7、配列番号11、配列番号15、配列番号19、配列番号21または配列番号23で規定されるようなヌクレオチド配列を有する。
【0039】
本発明のさらなる態様は、本発明の実施形態の何れか1つによる単離核酸分子を含むベクターに関する。本発明のベクターは、クローニングベクターまたは発現ベクターであり得る。好ましい実施形態において、本発明のベクターは、例えばプラスミド、コスミド、バクテリオファージ、コエミド(coemid)などである。
【0040】
本発明のさらなる態様は、本発明の実施形態の何れか1つの単離核酸分子または本発明によるベクターを含む宿主細胞に関する。このような宿主細胞としては、原核細胞、例えばE.コリ(E.coli)細胞など、および真核細胞、例えば酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞および動物細胞(例えば、マウス細胞、ヒト細胞などを含む哺乳動物細胞など)が挙げられるが限定されない。本発明の細胞は、293T細胞などの細胞株でもあり得る。
【0041】
本発明のさらなる態様は、本発明の実施形態の何れか1つによる、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片を調製する方法に関し、この方法は、本発明の宿主細胞を適切な条件下で培養し、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片を細胞培養物から回収する段階を含む。
【0042】
本発明のさらなる態様は、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片および複合部分を含む複合物に関し、ここで本モノクローナル抗体は、本発明の実施形態の何れか1つによるモノクローナル抗体またはその抗原結合断片であり、複合部分は検出可能な標識である。具体的に、複合部分は、放射性同位体、蛍光物質、発光性物質、発色物質または酵素(例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ)である。
【0043】
本発明のさらなる態様は、本発明の実施形態の何れか1つによるモノクローナル抗体またはその抗原結合断片または本発明による複合物を含むキットに関し;
具体的に、本キットは、前記のモノクローナル抗体またはその抗原結合断片を特異的に認識する二次抗体をさらに含み;この二次抗体は、検出可能な標識、例えば放射性同位体、蛍光物質、発光性物質、発色物質または酵素(例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ)をさらに含んでいてもよい。
【0044】
本発明のさらなる態様は、試料中のCTLA4の存在またはそのレベルを検出することにおける使用のためのキットの調製における、本発明の実施形態の何れか1つによるモノクローナル抗体またはその抗原結合断片の使用に関する。
【0045】
本発明のさらなる態様は、本発明の実施形態の何れか1つによるモノクローナル抗体またはその抗原結合断片または本発明による複合物を含む医薬組成物に関し、これは、医薬的に許容可能な担体および/または賦形剤をさらに含んでいてもよい。
【0046】
本発明のさらなる態様は、腫瘍の、予防および/または治療および/または補助療法および/または診断における使用のための薬剤の調製における、本発明の実施形態の何れか1つによるモノクローナル抗体またはその抗原結合断片または本発明による複合物の使用に関し;具体的に、この腫瘍は、メラノーマ、腎臓腫瘍/腎腫瘍、前立腺癌、膀胱癌、結直腸癌、消化管の癌および肝臓癌/肝癌から選択される。
【0047】
本発明のさらなる態様は、次の薬剤:
試料中でCTLA4の存在またはそのレベルを検出する薬剤、
B7へのCTLA4の結合を阻止する薬剤、
CTLA4の活性またはCTLA4のレベルを制御(例えば下方制御)する薬剤、
CTLA4による身体における免疫抑制を緩和する薬剤、
Tリンパ球を活性化する薬剤、または
Tリンパ球におけるIL−2の発現を増加させる薬剤
の調製における、本発明の実施形態の何れか1つによるモノクローナル抗体またはその抗原結合断片または本発明による複合物の使用に関する。
【0048】
本発明のさらなる態様は、有効量の本発明の実施形態の何れか1つによるモノクローナル抗体またはその抗原結合断片または本発明による複合物を細胞に投与する段階を含む、インビボまたはインビトロ法に関し、この方法は:
試料中のCTLA4の存在またはそのレベルを検出する方法、
B7へのCTLA4の結合を阻止する方法、
CTLA4の活性またはCTLA4のレベルを制御(例えば下方制御)する方法、
CTLA4による身体における免疫抑制を緩和する方法、
Tリンパを活性化する方法、または
Tリンパ球におけるIL−2の発現を増加させる方法
から選択される。
【0049】
この方法は、診断もしくは治療目的または非診断もしくは非治療目的(例えば試料が、患者からの試料ではなく、細胞試料である場合)のために使用し得る。
【0050】
本発明のさらなる態様は、有効量の本発明の実施形態の何れか1つによるモノクローナル抗体またはその抗原結合断片または本発明による複合物を対象に投与することを含む、腫瘍の、予防および/または治療および/または補助療法および/または診断の方法に関し;具体的に、この腫瘍は、メラノーマ、腎臓腫瘍/腎腫瘍、前立腺癌、膀胱癌、結直腸癌、消化管の癌および肝臓癌/肝癌から選択される。
【0051】
本発明において、別段の指定のない限り、本明細書中で使用される科学用語および技術用語は、当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、本明細書中で使用される細胞培養、分子遺伝学、核酸化学、免疫学の手順は、関連技術分野で広く利用される方法である。一方で、本発明をより理解する目的のために、関連用語の定義および説明を以下で提供する。
【0052】
本明細書中で使用される場合、CTLA4タンパク質(細胞傷害性T−リンパ球抗原4)のアミノ酸配列について申し述べる場合、これは、CTLA4タンパク質の全長またはCTLA4の細胞外断片、CTLA4ECD(配列番号2)またはCTLA4ECDを含む断片を含み;これはまた、CTLA4ECDの融合タンパク質、例えばマウスIgGのFcタンパク質断片(mFc)(配列番号3)と融合される断片も含む。しかし、当業者により理解されるように、突然変異または変異(置換、欠失および/または付加を含むが限定されない。)は、その生物学的機能に影響を及ぼすことなく、CTLA4タンパク質のアミノ酸配列において天然に生じるかまたはCTLA4タンパク質のアミノ酸配列に人工的に導入され得る。したがって、本発明において、「CTLA4タンパク質」という用語は、配列番号2で規定されるような配列ならびにそのネイティブもしくは人工的変異体を含め、全てのこのような配列を含むべきである。さらに、CTLA4タンパク質の配列断片について申し述べる場合、これは配列番号2の配列断片を含むだけでなく、そのネイティブまたは人工的変異体の対応する配列断片も含む。
【0053】
本明細書中で使用される場合、具体的に指定されない限り、B7はB7−1および/またはB7−2を指し;それらの具体的なタンパク質配列は、当技術分野で公知の配列を指す。先行技術またはGenBankの文献、例えばB7−1(CD80、NCBI Gene ID:941)、B7−2(CD86、NCBI Gene ID:942)で開示される配列を参照し得る。
【0054】
本明細書中で使用される場合、EC
50という用語は、最大効果の50%に対する濃度、すなわち最大効果の50%を引き起こす濃度を指す。
【0055】
本明細書中で使用される場合、「抗体」という用語は、一般に2対のポリペプチド鎖(各対は「軽」(L)鎖および「重」(H)鎖を有する。)からなる免疫グロブリン分子を指す。抗体軽鎖は、κおよびλ軽鎖として分類され得る。重鎖はμ、δ、γ、αまたはεとして分類され得、抗体のアイソタイプはそれぞれIgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEとして定められる。軽鎖および重鎖内で、可変領域および定常領域は、約12個以上のアミノ酸の「J」領域を介して連結され、重鎖は約3個以上のアミノ酸の「D」領域をさらに含む。各重鎖は、重鎖可変領域(V
H)および重鎖定常領域(C
H)からなる。重鎖定常領域は、3個のドメイン(C
H1、C
H2およびC
H3)からなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(V
L)および軽鎖定常領域(C
L)からなる。軽鎖定常領域はC
Lドメインからなる。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えばエフェクター細胞)および古典的な補体系(C1q)の第一の構成成分を含め、宿主組織また因子への免疫グロブリンの結合に介在し得る。V
HおよびV
L領域は、比較的保存されるフレームワーク領域(FR)と呼ばれる領域に散在する高い可変性を有する領域(相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。)にさらに細かく分けられ得る。各V
HまたはV
Lは、アミノ末端からカルボキシ末端へと次の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で並んでいる、3個のCDRおよび4個のFRからなる。重鎖/軽鎖の各対の可変領域(V
HおよびV
L)は抗体結合部位をそれぞれ形成する。各領域またはドメインに対するアミノ酸の割り当ては、Kabat,Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1987および1991))またはChothia & Lesk(1987)J.Mol.Biol.196:901−917;Chothiaら(1989)Nature 342:878−883で提供される定義に従う。「抗体」という用語は、抗体を作製するための何らかの具体的な方法に限定されない。例えば、これは、特に、組み換え抗体、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体を含む。抗体は、異なるアイソタイプの抗体、例えばIgG(例えばIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4サブタイプ)、IgA1、IgA2、IgD、IgEまたはIgM抗体であり得る。
【0056】
本明細書中で使用される場合、抗体の「抗原結合断片」という用語は、全長抗体により結合される抗原に特異的に結合し、および/または抗原への特異的な結合について全長抗体と競合する能力を保持する全長抗体の断片を含むポリペプチドを指す。これは、「抗原結合部分」とも呼ばれる。全般的には、全ての目的に対してその全体において参照により本明細書中に組み込まれる、Fundamental Immunology,Ch.7(Paul,W.ed.,Second Edition,Raven Press,N.Y.(1989))を参照のこと。抗体の抗原結合断片は、組み換えDNA技術またはインタクトな抗体の酵素的もしくは化学的切断により作製され得る。いくつかの場合において、抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab’)
2、Fd、Fv、dAbおよび相補性決定領域(CDR)断片、1本鎖抗体(例えばscFv)、キメラ抗体、ダイアボディおよび、ポリペプチドに特異的抗原結合能を付与するのに十分な抗体の少なくとも一部を含むこのようなポリペプチドを含む。
【0057】
本明細書中で使用される場合、「Fd断片」という用語は、V
HおよびC
H1ドメインからなる抗体断片を指し;「Fv断片」という用語は、抗体のシングルアームのV
LおよびV
Hドメインからなる抗体断片を指し;「dAb断片」という用語は、V
Hドメインからなる抗体断片を指し(Wardら、Nature 341:544−546(1989));「Fab断片」という用語は、V
L、V
H、C
LおよびC
H1ドメインからなる抗体断片を指し;「F(ab’)
2断片」という用語は、ヒンジ領域においてジスルフィド架橋により連結される2つのFab断片を含む抗体断片を指す。
【0058】
いくつかの場合において、抗体の抗原結合断片は、1本鎖抗体(例えばscFv)であり、ここでV
LおよびV
Hドメインは互いに対して、1価分子を形成させるために1本のポリペプチド鎖の生成を可能にするリンカーを介して対形成する(例えば、Birdら、Science 242:423−426(1988)およびHustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883(1988)を参照のこと。)。このようなscFv分子は、一般構造:NH
2−V
L−リンカー−V
H−COOHまたはNH
2−V
H−リンカー−V
L−COOHを有し得る。先行研究からの適切なリンカーは、反復GGGGSアミノ酸配列またはその変異体からなる。例えば、アミノ酸配列(GGGGS)
4を有するリンカーを使用し得るが、その変異体も使用し得る(Holligerら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448)。本発明において有用な他のリンカーは、Alfthanら(1995)Protein Eng.8:725−731;Choiら(2001)Eur.J.Immunol.31:94−106;Huら(1996)Cancer Res.56:3055−3061;Kipriyanovら(1999)J.Mol.Biol.293:41−56およびRooversら(2001)Cancer Immunolに記載されている。
【0059】
いくつかの場合において、抗体の抗原結合断片は、ダイアボディ(2価抗体)であり、ここでV
HおよびV
Lドメインは、単一ポリペプチド鎖上で発現される。しかし、利用されるリンカーは、短すぎて同じ鎖上の2個のドメインが互いに対形成できず、別の鎖上の相補的なドメインと対形成せざるを得ない。このようにして、2個の抗原結合部位が形成される(例えば、Holliger P.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448(1993)およびPoljak R.J.ら、Structure 2:1121−1123(1994)を参照のこと。)。
【0060】
抗体の抗原結合断片(例えば上記の抗体断片)は、当業者にとって公知の従来技術(例えば、組み換えDNA技術または酵素的もしくは化学的切断法)を用いて、ある種の抗体(例えば本発明において提供されるモノクローナル抗体4B3、13A10、12B9または4H4)から得ることができ、インタクト抗体の場合と同じように特異性についてスクリーニングし得る。
【0061】
本明細書中で、文脈において明らかに指定されない限り、「抗体」という用語について申し述べる場合、インタクトな抗体を含むだけでなく、抗体の抗原結合断片も含む。
【0062】
本明細書中で使用される場合、「mAb」または「モノクローナル抗体」という用語は、非常に均一な抗体分子の集団からの抗体または抗体断片を指し、すなわち、この集団を含む個々の抗体は、可能性のある天然の突然変異を除き、同一である。モノクローナル抗体は、抗原上の単一のエピトープに非常に特異的である。モノクローナル抗体とは対照的に、ポリクローナル抗体調製物は、一般的には、抗原上の異なるエピトープを認識する少なくとも2つ以上の異なる抗体を含む。モノクローナル抗体は、一般に、最初にKohlerらにより記載されたハイブリドーマ技術(Nature,256:495,1975)を用いて得ることができるか、または組み換えDNA技術(例えば米国特許第4,816,567号明細書を参照のこと。)を使用して得ることができる。
【0063】
本明細書中で使用される場合、番号とともに述べられるモノクローナル抗体は、同じ番号の付いたハイブリドーマから得られたモノクローナル抗体と同一である。例えば、モノクローナル抗体4B3(または13A10、12B9または4H4)は、ハイブリドーマ細胞株4B3(または13A10、12B9または4H4)またはそのサブクローンまたは子孫細胞から得られる抗体と同一である。
【0064】
本明細書中で使用される場合、「キメラ抗体」という用語は、標的抗原への結合のための活性を保持する限り、軽鎖および/または重鎖の部分が(特定の種由来であり得るかまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属し得る)抗体由来であり、一方で軽鎖および/または重鎖の別の部分が、(同一であるまたは異なる種由来であり得るか、または同一であるまたは異なる抗体クラスもしくはサブクラスに属し得る)別の抗体由来であるような抗体を指す(Cabillyらに対する米国特許第4,816,567号明細書;Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851−6855(1984))。
【0065】
本明細書中で使用される場合、「ヒト化抗体」という用語は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)の全てのまたは一部のCDRを非ヒト抗体(ドナー抗体)のCDRで置き換えた後に得られる抗体または抗体断片を指し、ドナー抗体は、所望の特異性、親和性または反応性を有する非ヒト(例えばマウス、ラットまたはウサギ)抗体であり得る。さらに、レシピエント抗体のフレームワーク領域(FR)の一部のアミノ酸残基は、抗体の性能をさらに向上させるかまたは最適化するために非ヒト抗体の対応するアミノ酸残基または他の抗体のアミノ酸残基で置き換えられ得る。ヒト化抗体に関するより詳細な説明については、例えばJonesら、Nature,321:522−525(1986);Reichmannら、Nature,332:323−329(1988);Presta,Curr.Op.Struct.Biol.,2:593−596(1992);およびClark,Immunol.Today 21:397−402(2000)を参照のこと。
【0066】
本明細書中で使用される場合、「中和抗体」は、標的ウイルスの病原性(例えば細胞に感染する能力)を取り除き得るかまたは顕著に低下させ得る、抗体または抗体断片を指す。
【0067】
本明細書中で使用される場合、「エピトープ」という用語は、免疫グロブリンまたは抗体により特異的に結合される抗原上の部分(prat)を指す。当技術分野において、「エピトープ」は「抗原決定基」とも呼ばれる。エピトープまたは抗原決定基は一般に、分子の化学的に活性のある表面基、例えばアミノ酸または炭水化物化合物または糖側鎖からなり、一般に特異的な三次元構造特性および特異的な電荷特性を有する。例えば、エピトープは一般に、別個の(distince)空間的な高次構造において、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15個の連続または非連続アミノ酸を含む。これは、「直鎖状」または「高次構造的」エピトープであり得る。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,Vol.66,G.E.Morris,Ed.(1996)を参照のこと。直鎖状エピトープにおいて、タンパク質と相互作用分子(例えば抗体)との間の相互作用点は全て、タンパク質の一次アミノ酸配列に沿って一列に存在する。高次構造的エピトープにおいて、相互作用点は、互いから離れているタンパク質のアミノ酸残基にわたるように存在する。
【0068】
本明細書中で使用される場合、「単離される」という用語は、人工的手段によってネイティブ状態から得られていることを意味する。「単離される」物質または構成成分が天然に生じる場合、その天然の環境が変化しているか、またはその物質が天然の環境から単離されているか、またはその両方であると考えられる。例えば、単離されていないポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、インビボで生きている動物中に天然に存在し、このような天然の状態から単離される高純度の同一であるポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、「単離されている」ものとされる。「単離される」という用語は、人工的または合成物質との混合物を排除せず、物質の活性に影響を与えない他の不純物の存在を排除しない。
【0069】
本明細書中で使用される場合、「E.コリ(E.coli)発現系」という用語は、E.コリ(E.coli)(ステイン(stain))およびベクターからなる発現系を意味し、E.コリ(E.coli)(株)は、例えば市販の株由来であるが、GI698、ER2566、BL21(DE3)、B834(DE3)およびBLR(DE3)に限定されない。
【0070】
本明細書中で使用される場合、「ベクター」という用語は、ポリヌクレオチドが挿入され得る核酸保有ツールを指す。ベクターが、挿入されたポリヌクレオチドによりコードされるタンパク質の発現を可能にする場合、そのベクターは、発現ベクターと呼ばれる。ベクターは、ベクターにより保有される遺伝物質構成要素が宿主細胞で発現されるように、形質転換、形質導入または遺伝子移入によって宿主細胞に導入することができる。ベクターは、当業者にとって周知であり、プラスミド;ファージミド;コスミド;人工染色体、例えば酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)またはP1−由来人工染色体(PAC);バクテリオファージ、例えばλファージまたはM13ファージならびに動物ウイルスなどが含まれるが限定されない。ベクターとして使用し得る動物ウイルスとしては、レトロウイルス(レンチウイルスを含む。)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス(例えば単純ヘルペスウイルス)、ポックスウイルス、バキュロウイルス、パピローマウイルス、パポバウイルス(例えばSV40)が挙げられるが限定されない。ベクターは、プロモーター配列、転写開始配列、エンハンサー配列、選択構成要素およびレポーター遺伝子を含むが限定されない、発現を調節するためのいくつかの構成要素を含み得る。さらに、ベクターは、複製開始部位も含み得る。
【0071】
本明細書中で使用される場合、「宿主細胞」という用語は、ベクターの導入のために使用し得る細胞を指し、原核細胞、例えばE.コリ(E.coli)またはバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)など、真菌細胞、例えば酵母細胞またはアスペルギルス(Aspergillus)など、昆虫細胞、例えばS2ショウジョウバエ細胞もしくはSf9など、または動物細胞、例えば線維芽細胞、CHO細胞、COS細胞、NSO細胞、HeLa細胞、BHK細胞、HEK293細胞またはヒト細胞が含まれるが限定されない。
【0072】
本明細書中で使用される場合、「同一性」という用語は、2つのポリペプチド間または2つの核酸間で一致する配列を述べるために使用される。比較した2つの配列における対応する位置に同じ塩基またはアミノ酸モノマーサブユニットが存在する場合(例えば、2つのDNA分子における対応する位置に両方ともアデニンが存在するか、または2つのポリペプチドにおける対応する位置に両方ともリジンが存在する場合)、これらの分子はその位置で同一である。2つの配列間の「パーセント同一性」は、これらの2つの配列が共有する、一致する位置の数を比較した位置の数で除して100をかけた関数である。例えば、2つの配列の10カ所の位置のうち6カ所が一致する場合、これらの2つの配列は60%同一性を有する。例えば、DNA配列CTGACTおよびCAGGTTは、50%同一性を共有する(全体で6カ所のうち3カ所が一致する。)。一般に、アライメント後に2つの配列を比較して、同一性が最大になるようにする。例えば、このようなアライメントは、Needlemanら(1970)J.Mol.Biol.48:443−453の方法により、コンピュータプログラム、例えばAlignプログラム(DNAstar,Inc.)を用いて都合よく達成され得る。さらに、2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性を決定するために、PAM120ウエイトレジデューテーブル(weight residue table)、12のギャップ長ペナルティーおよび4のギャップペナルティーを用いて、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれる、E.MeyersおよびW.Millerのアルゴリズム(Comput.Appl.Biosci.,4:11−17(1988))を使用し得る。さらに、GCGパッケージ(www.gcg.comで利用可能)のGAPプログラムに組み込まれるNeedlemanおよびWunschのアルゴリズム(J MoI Biol.48:444−453(1970))は、Blossum62マトリクスまたはPAM250マトリクス、ギャップウェイト(gap weight)16、14、12、10、8、6または4および長さウェイト(length weight)1、2、3、4、5または6を用いて、2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性を決定するために使用し得る。
【0073】
本明細書中で使用される場合、「保存的置換」という用語は、不都合な影響を及ぼさないかまたはそのアミノ酸配列を含むタンパク質/ポリペプチドの必須の特性を変更しないアミノ酸置換を指す。例えば、保存的置換は、当技術分野で公知の標準的技術、例えば部位特異的突然変異誘発およびPCR介在型突然変異誘発などにより導入し得る。保存的アミノ酸置換としては、アミノ酸残基が、同様の側鎖を有するアミノ酸残基、例えば、物理または機能について対応するアミノ酸残基(例えば、同様のサイズ、形態、電荷、共有結合または水素結合の形成能を含む化学的特性などを有する。)と同様の残基で置換されるものが挙げられる。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニンおよびヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパラギン酸およびグルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システインおよびトリプトファン)、非極性側鎖(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニンおよびメチオニン)、ベータ−分岐状側鎖(例えばスレオニン、バリンおよびイソロイシン)および芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。したがって、対応するアミノ酸残基を同じ側鎖ファミリーからの別のアミノ酸残基で置換することが好ましい。アミノ酸保存的置換を同定する方法は当技術分野で周知である(例えば、参照により本明細書中に組み込まれる、Brummellら、Biochem.,32:1180−1187(1993);Kobayashiら、Protein Eng.12(10):879−884(1999);およびBurksら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94:412−417(1997)を参照のこと)。
【0074】
本明細書中で使用される場合、「免疫原性」という用語は、特異的な抗体を産生させるために、またはリンパ球を感作するために身体を刺激する能力を指す。これは、免疫細胞の、活性化、増殖および分化ならびに最終的には抗体などの免疫エフェクター物質の産生を誘導するために特異的な免疫細胞を刺激し得、リンパ球を感作し得る抗原の特性を指すだけでなく、抗原による身体の刺激後に、抗体を産生させるかまたはTリンパ球を感作するための、身体の免疫系による特異的な免疫反応も指す。免疫原性は、抗原の最も重要な特性である。抗原が宿主における免疫反応の誘導に成功し得るか否かは、3つの要因:抗原の性質、宿主の反応性および免疫付与方式に依存する。
【0075】
本明細書中で使用される場合、「特異的な結合」という用語は、2つの分子間の非無作為結合反応、例えば抗体とその標的抗原との間の反応などを指す。いくつかの実施形態において、抗原に特異的に結合する抗体(または抗原に特異的な抗体)は、抗体が約10
−5M未満、例えば約10
−6M未満、10
−7M、10
−8M、10
−9Mまたは10
−10M以下の親和性(K
D)で抗原に結合することを意味する。
【0076】
本明細書中で使用される場合、「K
D」という用語は、特定の抗体−抗原相互作用の解離平衡定数を指し、これは、抗体と抗原との間の結合親和性を述べるために使用される。平衡解離定数が小さいほど、抗体−抗原結合が堅固であり、抗体と抗原との間の親和性が高い。一般に、抗体(例えば、本発明のモノクローナル抗体4B3、13A10、12B9または4H4)は、BIACORE機器上で表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して決定した場合、約10
−5M未満、例えば約10
−6M未満、10
−7M、10
−8M、10
−9Mまたは10
−10M以下の解離平衡定数(K
D)で抗原(例えばL1タンパク質)と結合する。
【0077】
本明細書中で使用される場合、「モノクローナル抗体」および「mAb」という用語は同じ意味を有し、交換可能に使用され得る。また、「ポリクローナル抗体」および「pAb」という用語は同じ意味を有し、交換可能に使用され得る。また、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は同じ意味を有し、交換可能に使用され得る。さらに、本発明において、アミノ酸は一般に、当技術分野で周知の、1文字または3文字略号により表される。例えば、アラニンはAまたはAlaで表し得る。
【0078】
本明細書中で使用される場合、「ハイブリドーマ」および「ハイブリドーマ細胞株」という用語は、交換可能に使用され得る。さらに、「ハイブリドーマ」または「ハイブリドーマ細胞株」という用語について申し述べる場合、これは、ハイブリドーマのサブクローンおよび子孫細胞も含む。例えば、ハイブリドーマ細胞株4B3について申し述べる場合、これは、ハイブリドーマ細胞株4B3のサブクローンおよび子孫細胞も含む。
【0079】
本明細書中で使用される場合、「医薬的に許容可能なベクターおよび/または賦形剤」という用語は、薬理学および/または生理学において対象および活性のある構成要素に適合するベクターおよび/または賦形剤を指し、これらは当技術分野で周知であり(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences.Gennaro AR編,19th ed.Pennsylvania:Mack Publishing Company,1995を参照のこと。)、これらには、pH調整剤、界面活性剤、アジュバント、イオン強度促進剤が含まれるが限定されない。例えば、pH調整剤としてはリン酸緩衝液が挙げられるが限定されず;界面活性剤としては陽イオン性、陰イオン性または非イオン性界面活性剤、例えばTween−80が挙げられるが限定されず;イオン強度促進剤としては塩化ナトリウムが挙げられるが限定されない。
【0080】
本明細書中で使用される場合、「アジュバント」という用語は、非特異的な免疫促進剤を指し、これは、抗原に対する身体の免疫反応を促進し得るかまたは抗原と一緒にもしくは身体に予め送達される場合、免疫反応のタイプを変化させ得る。アルミニウムアジュバント(例えば水酸化アルミニウム)、フロイントアジュバント(例えば完全フロイントアジュバントおよび不完全フロイントアジュバント)、コリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium parvum)、リポ多糖類、サイトカインなどを含むが限定されない多くのアジュバントがある。フロイントアジュバントは、現在のところ動物試験において最も一般的に使用されるものであり、水酸化アルミニウムは臨床実験で広く使用されるものである。
【0081】
本明細書中で使用される場合、「有効量」という用語は、所望の効果を達成するかまたは少なくとも一部達成するのに十分な量を指す。例えば、疾患(例えば、B7へのCTLA4の過剰な結合またはCTLA4活性が関連する疾患、例えば腫瘍など)に対する予防的有効量は、疾患(例えば、B7へのCTLA4の過剰な結合またはCTLA4活性が関連する疾患、例えば腫瘍など)の発症を防ぐか、抑止するかまたは遅延させるのに十分である量を指し;疾患に対する治療的有効量は、疾患に罹患している患者において疾患およびその合併症を治癒させるか少なくとも部分的に抑止するのに十分な量を指す。このような有効量を決定することは十分に当業者の技術の範囲内である。例えば、治療的有効量は、処置しようとする疾患の重症度、患者の免疫系の全般的状況、患者の全般的状況、例えば年齢、体重および性別、薬剤の投与形式、同時に行われる他の治療などに依存する。