(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
  この種の充電式電気機器には、充放電可能なバッテリが設けられることから、そのバッテリを利用して、外部機器(例えば、携帯電話やスマートフォン等の携帯機器)へ電力供給を行い、外部機器内の二次電池を充電できるようにすることが考えられる。
【0006】
  そして、このためには、充電式電気機器に、USB(Universal Serial Bus)プラグを差し込むためのソケット等、外部機器へ所定のケーブルを介して電力供給を行うためのコネクタを設け、このコネクタを介して外部機器へ電力供給できるようにすればよい。
【0007】
  しかし、この場合、充電式電気機器に設けられた電源回路にコネクタを接続して、充電式電気機器への電力供給と外部機器への電力供給とを共通の電源回路から同時に実施するようにすると、電源回路からの出力が大きくなって、発熱等の不具合が発生する。
【0008】
  そこで、本発明は、バッテリから電力供給を受けて動作する充電式電気機器に、外部機器へ電力供給を行うコネクタを設けた場合に、発熱等の不具合を発生させることなく、外部機器へ電力供給を行うことができるようにすることを目的とする。
 
【課題を解決するための手段】
【0009】
  かかる目的を達成するためになされた本発明の充電式電気機器においては、当該電気機器自身に電力供給するための第1電源部と、コネクタを介して外部機器へ電力供給するための第2電源部と、が備えられている。そして、制御部が、各電源部から各機器への電力供給を個別に制御する。
【0010】
  このため、当該電気機器自身への電力供給と、外部機器への電力供給とを、共通の電源回路を用いて同時に実施するように構成した場合に比べ、各電源部からの出力を低減し、電源部が過熱状態になるのを抑制できる。
【0011】
  ここで、制御部は、少なくとも、各電源部から各機器への電力供給を個別に遮断できるように構成してもよい。
  このようにすれば、例えば、当該電気機器自身への電力供給が不要なときや、外部機器への電力供給が不要なときに、電力供給が不要な機器や電源部毎に電力供給を遮断させることができるので、各電源部の動作によって生じる不要な電力消費を抑制することが可能となる。
【0012】
  また、制御部は、各電源部から各機器への供給電力の合計が所定電力を越えた場合に、第2電源部から外部機器への電力供給を遮断するよう構成してもよい。
  このようにすれば、充電式電気機器自身の動作を継続させた状態で、バッテリからの放電電力を制限して、バッテリからの放電電流の増大に伴い発熱等の異常が発生するのを抑制できる。
【0013】
  また、制御部は、バッテリの残容量が所定の閾値まで低下した場合に、各電源部から各機器への電力供給を遮断するよう構成してもよい。
  この場合、バッテリの残容量を判定する閾値を過放電判定用の閾値とすることで、バッテリを過放電から保護することができる。
【0014】
  また、この場合、制御部が第1電源部から当該電気機器への電力供給を遮断する際の残容量の閾値を、制御部が第2電源部から外部機器への電力供給を遮断する際の残容量の閾値よりも小さい値に設定してもよい。
【0015】
  このようにすれば、バッテリの残容量が低下している際に、まず、外部機器への電力供給を遮断し、その後、当該電気機器への電力供給を遮断する、といったことができ、当該充電式電気機器を、より長く動作させることが可能となる。
【0016】
  また、この場合、制御部は、第2電源部から外部機器への電力供給を一旦遮断すると、その後、バッテリの残容量判定が過放電判定から過放電ではない判定に回復しても、第2電源部から外部機器への電力供給の遮断を継続するよう構成してもよい。
【0017】
  このようにすれば、制御部が外部機器への電力供給を遮断することにより、バッテリの残容量判定が過放電判定から過放電ではない判定に回復したとしても、外部機器への電力供給が再開されることがないので、その再開により、バッテリの残容量がさらに低下するのを抑制できる。このため、第1電源部から充電式電気機器自身への電力供給を安定して実行することができる。
【0018】
  一方、本発明の充電式電気機器は、当該電気機器のオン・オフ状態を切り替えるためのスイッチを備えるようにしてもよい。
  そして、この場合、スイッチにより当該電気機器がオン状態になると、制御部が、各電源部から各機器への電力供給を開始させ、スイッチにより当該電気機器がオフ状態になると、制御部が、少なくとも第1電源部から当該電気機器への電力供給を遮断させるようにしてもよい。
【0019】
  また、この場合、制御部は、各電源部から各機器への電力供給時には、第1電源部から当該電気機器への供給電力と、第2電源部から外部機器への供給電力との合計が、所定電力を超えないように、当該電気機器への供給電力量を制御するように構成してもよい。
【0020】
  このようにすれば、使用者は、スイッチを操作することにより、充電式電気機器の動作・停止を切り替えることができる。そして、各電源部から各機器への電力供給を実施しているときには、制御部が、その供給電力の合計が所定電力を超えることのないよう当該電気機器への供給電力量を制御するので、外部機器への電力供給を継続しつつ、バッテリからの放電電力を制限して、発熱等の異常が発生するのを抑制できる。
【0021】
  また、この場合、制御部は、スイッチにより当該電気機器がオフ状態になると、各電源部から各機器への電力供給を遮断させ、しかも、各電源部から各機器への電力供給時に、第2電源部から外部機器への供給電力が所定値まで低下したときには、その旨を報知するようにしてもよい。
【0022】
  このようにすれば、当該電気機器がオン状態で、各電源部から各機器に電力供給を行っているときに、第2電源部から外部機器への供給電力が所定値まで低下し、外部機器への電力供給が不要になったときに、その旨を使用者に通知できる。
【0023】
  このため、例えば、外部機器が、携帯電話やスマートフォン等の携帯機器であり、第2電源部から電力供給を受けて、内蔵バッテリを充電するように構成されているような場合に、外部機器の内蔵バッテリへの充電完了を報知できることになる。
【0024】
  次に、充電式電気機器に、当該電気機器のオン・オフ状態を切り替えるためのスイッチが備えられている場合、制御部は、スイッチにより当該電気機器がオン状態になると、第1電源部から当該電気機器への電力供給を実施し、第2電源部から外部機器への電力供給を禁止するよう構成されていてもよい。
【0025】
  そして、このようにすれば、充電式電気機器へ電力供給中は、外部機器への電力供給を禁止することで、充電式電気機器及び外部機器へ同時に電力供給を行うことによって、バッテリから各機器への電力供給系が過熱状態になるのを抑制できる。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0027】
  以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
  
図1〜
図3に示すように、本実施形態の充電式ライト2は、使用者が把持可能な棒状に形成された把持部4と、把持部4の長手方向一端側に設けられたライト部6と、把持部4の長手方向他端側に着脱自在に装着されたバッテリパック8と、を備える。
 
【0028】
  ライト部6は、把持部4の長手方向一端側(
図1〜
図3における上方)に形成された連結部5を介して、把持部4に対し
図1,
図3に矢印で示す方向に揺動可能、且つ、把持部4に対し折り畳み可能、に設けられている。
 
【0029】
  そして、ライト部6において、把持部4に対し折り畳んだ際に把持部4と対向する面には、
図4に示す複数の発光素子(LED)10が分散配置され、各発光素子10からの光を周囲に放射するようになっている。
 
【0030】
  また、ライト部6の発光素子10とは反対側の面には、充電式ライト2を周囲の木や構造物に引っかけるためのフック7が収納されている。
  次に、バッテリパック8には、リチウムイオン電池等の充放電可能なバッテリ12(
図4参照)が内蔵されている。また、バッテリパック8は、把持部4の長手方向他端側(
図1〜
図3における下方)に形成された装着部9に、着脱可能に装着される。
 
【0031】
  そして、バッテリパック8が装着部9に装着されると、バッテリ12が、装着部9に設けられた接続端子14、15(
図4参照)を介して、把持部4内の回路基板30(
図3参照)に接続される。
 
【0032】
  図3に示すように、把持部4は、中空で、使用者が把持しやすい形状に形成された合成樹脂製のケース16内に、回路基板30等を収納することにより構成されている。そして、回路基板30は、把持部4において、ライト部6を折り畳んだ際にライト部6と対向するケース16の壁面とは反対側の壁面に沿って配置されている。
 
【0033】
  なお、以下の説明では、把持部4において、ライト部6を折り畳んだ際にライト部6と対向するケース16の壁面側を充電式ライト2の前方、これとは反対側を充電式ライト2の後方、という。
 
【0034】
  そして、把持部4の後方で、回路基板30と対向するケース16の壁面には、使用者が押下することにより、当該充電式ライト2のオン・オフ状態を切り替えるための操作スイッチ18が設けられている。なお、操作スイッチ18は、回路基板30に接続されている。
 
【0035】
  また、把持部4下方の装着部9において、後方側には、USBケーブルを介して電力供給可能な外部機器(例えば、携帯電話やスマートフォン等)に対し電力供給を行うためのUSBコネクタ20が設けられている。
 
【0036】
  このUSBコネクタ20は、USBプラグを差し込むためのソケットであり、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠した端子構造となっている。つまり、
図4に示すように、USBコネクタ20は、正負一対の電源端子(5V、GND)と、通信端子(D−、D+)を備える。
 
【0037】
  そして、本実施形態では、このUSBコネクタ20を、外部機器への電力供給に利用することから、通信端子(D−、D+)は互いに接続され、通信端子を挟む電源端子(5V、GND)が、電力供給用端子として利用される。
 
【0038】
  また、
図2、
図3に示すように、装着部9には、USBコネクタ20に外部機器が接続されないときにUSBコネクタ20を保護するキャップ22が設けられている。なお、キャップ22は、USBコネクタ20に差し込まれるキャップ本体23と、キャップ本体23を装着部9に取り付けるためのベルト部24と、キャップ本体23をUSBコネクタ20から外す際に使用者が指先で操作できるようにするための突起25と、を備える。
 
【0039】
  また、装着部9の前方側には、例えばバッテリ12の残容量の低下等、充電式ライト2の状態を報知するための報知用LED28が設けられている。
  そして、USBコネクタ20及び報知用LED28は、ケース16内の配線(図示せず)を介して、回路基板30に接続されている。
 
【0040】
  図4に示すように、回路基板30には、接続端子14を介してバッテリ12の正極側に接続される正の電源ライン31、及び、接続端子15を介してバッテリ12の負極側に接続される負の電源ライン(つまりグランドライン)32が形成されている。
 
【0041】
  そして、回路基板30には、定電流回路36、電圧変換回路40、電流検出回路44、外部機器検出回路46、バッテリ電圧測定回路48、制御回路50、及び、電源電圧生成回路52が設けられている。
 
【0042】
  ここで、定電流回路36は、スイッチング素子34がオン状態にあるとき、電源ライン31−32間に接続されて、ライト部6内の発光素子10に定電流を供給して、ライト部6を点灯させるものである。
 
【0043】
  また、電圧変換回路40は、スイッチング素子38がオン状態にあるとき、電源ライン31−32間に接続されて、USBコネクタ20の正の電源端子に所定の電源電圧(5V)を供給するためのものであり、例えば、DC−DCコンバータにて構成されている。
 
【0044】
  なお、電圧変換回路40からUSBコネクタ20への電源電圧(5V)の出力経路には、スイッチング素子42が設けられている。これは、スイッチング素子38がオフ状態で電圧変換回路40が動作を停止しているときに、USBコネクタ20に接続された外部機器から電圧変換回路40に電流が流れ込むのを防止できるようにするためである。
 
【0045】
  このため、スイッチング素子42は、後述する制御回路50の動作によって、スイッチング素子38と連動してオン・オフ状態が切り替えられる。また、スイッチング素子34、38、42は、それぞれ、制御回路50からの指令によってオン・オフ状態を切り替えることができるように、FET等の半導体素子にて構成されている。
 
【0046】
  次に、グランドライン32は、USBコネクタ20の負の電源端子(GND)に接続されており、電流検出回路44は、そのグランドライン32を流れる電流、つまり、バッテリ12からUSBコネクタ20に接続された外部機器に供給される電流、を検出する。
 
【0047】
  また、外部機器検出回路46は、スイッチング素子42がオフ状態であるときにUSBコネクタ20の正の電源端子に流れ込む電流、もしくはその電源端子の電圧変化から、USBコネクタ20に外部機器が接続されたことを検出するためのものである。
 
【0048】
  また、バッテリ電圧測定回路48は、電源ライン31−32間に設けられて、接続端子14,15に接続されたバッテリ12の出力電圧(バッテリ電圧)を測定するためのものである。
 
【0049】
  そして、電流検出回路44、外部機器検出回路46、及び、バッテリ電圧測定回路48からの検出信号や、操作スイッチ18からの入力信号は、制御回路50に入力される。
  制御回路50は、これら各部から入力される信号に基づき、ライト部6を点灯させたり、外部機器へ電力供給を行うためのものであり、MCU(Micro Control Unit)にて構成されている。
 
【0050】
  また、電源電圧生成回路52は、制御回路50や外部機器検出回路46に動作用の電源電圧(直流定電圧)Vccを供給するためのものであり、正・負の電源ライン31、32を介してバッテリ12から供給される電力にて、電源電圧Vccを生成する。
 
【0051】
  次に、制御回路50にて実行される制御処理を、
図5に示すフローチャートに沿って説明する。
  
図5に示す制御処理は、電源電圧生成回路52から電源電圧Vccが供給されて、制御回路50が動作しているときに、メインルーチンの一つとして実行される処理である。
 
【0052】
  この制御処理では、まずS110(Sはステップを表す)にて、スイッチング素子38、42をオンすることで、電圧変換回路40への通電を開始すると共に、電圧変換回路40への通電により生成される電源電圧を、USBコネクタ20から外部機器に出力させる。つまり、USBコネクタ20に接続された外部機器の電源をオンし、外部機器への電力
供給を開始する。
 
【0053】
  次に、S120では、スイッチング素子34をオンすることで、定電流回路36への通電を開始する。この結果、定電流回路36は、ライト部6の発光素子(LED)10に所定の定電流を流し、ライト部6を点灯させる。
 
【0054】
  なお、定電流回路36がライト部6に供給する電流の値(換言すればライト部6からの照射光量)は、制御回路50により制御される。つまり、制御回路50は、操作スイッチ18を介して指定される明るさに応じて、定電流回路36からライト部6への供給電流を設定する。
 
【0055】
  次に、S130では、電流検出回路44を介して、USBコネクタ20から外部機器への供給電流を測定する。そして、続くS140では、その測定した外部機器への供給電流と、定電流回路36からライト部6への供給電流とから、外部機器及びライト部6へ供給している総電力を求め、総電力が予め設定された規定電力以上になったか否かを判断する。
 
【0056】
  S140にて、総電力が規定電力未満であると判断された場合には、バッテリ12からの放電電力が許容範囲内にあるので、S150に移行する。そして、S150では、バッテリ電圧測定回路48を介してバッテリ電圧を測定し、バッテリ電圧が予め設定された閾値K1以上であるか否かを判断する。
 
【0057】
  S150にて、バッテリ電圧が閾値K1以上であると判断された場合、バッテリ12の残容量は充分あり、外部機器及びライト部6への電力供給は継続可能であると判断して、再度、S130に移行する。
 
【0058】
  一方、S150にて、バッテリ電圧が閾値K1未満であると判断された場合には、バッテリ12の残容量が低下しているので、S160に移行する。
  また、S140にて、外部機器及びライト部6へ供給している総電力が規定電力以上であると判断された場合には、バッテリ12からの放電電力が許容範囲を超えてしまうので、S160に移行する。
 
【0059】
  そして、S160では、スイッチング素子38、42をオフすることで、電圧変換回路40への通電を停止し、外部機器への電力供給を遮断する。つまり、USBコネクタ20に接続された外部機器の電源をオフし、外部機器への電力供給を遮断する。
 
【0060】
  次に、S170では、バッテリ電圧が予め設定された閾値K2(但し、K2<K1)よりも低いか否かを判断する。そして、S170にてバッテリ電圧が閾値K2以上であると判断された場合には、再度S170の処理を実行することで、バッテリ電圧の低下(換言すれば、残容量の低下)を監視する。
 
【0061】
  一方、S170にて、バッテリ電圧が閾値K2未満であると判断された場合には、ライト部6への放電を継続するとバッテリ12を劣化させてしまうと判断して、S180に移行する。
 
【0062】
  そして、S180では、スイッチング素子34をオフすることで、定電流回路36への通電を停止し、ライト部6への電力供給を遮断する。つまり、S180では、ライト部6の電源をオフし、ライト部6を消灯させる。
 
【0063】
  以上説明したように、本実施形態の充電式ライト2には、自身のライト部6に電力供給
するための定電流回路36と、USBコネクタ20に接続された外部機器に電力供給するための電圧変換回路40とが備えられている。
 
【0064】
  そして、制御回路50は、ライト部6及び外部機器にて消費される総電力が規定電力未満で、且つ、バッテリ電圧が閾値K1以上であれば、定電流回路36及び電圧変換回路40を動作させて、ライト部6及び外部機器への電力供給を許可する。
 
【0065】
  また、制御回路50は、ライト部6及び外部機器にて消費される総電力が規定電力以上になるか、或いは、バッテリ電圧が閾値K1未満になると、電圧変換回路40の動作を停止させて、外部機器への電力供給を遮断する。
 
【0066】
  なお、この状態では、スイッチング素子38により電圧変換回路40への通電経路が遮断されるので、電圧変換回路40への電力供給も停止される。
  この結果、バッテリ12からの放電電流が増加して発熱等の異常が発生するのを抑制できると共に、バッテリ12の残容量が低下している状態でライト部6及び外部機器への電力供給を継続することによってバッテリ12が劣化するのを抑制できる。
 
【0067】
  また、外部機器への電力供給を遮断しても、バッテリ電圧が閾値K2以上であれば、ライト部6への電力供給を継続するので、ライト部6をより長く動作させることができる。
  また、外部機器への電力供給を遮断した後は、定電流回路36への通電を停止するか否か(ライト部6への電力供給を遮断するか否か)を判定するだけであるので、バッテリ電圧が閾値K1以上に復帰したとしても、外部機器への電力供給が再開されることはない。
 
【0068】
  このため、外部機器への電力供給が再開されることにより、バッテリ電圧が変動するのを抑制し、定電流回路36からライト部6への電力供給を安定して実施することができる。
 
【0069】
  なお、本実施形態においては、定電流回路36が、本発明の第1電源部に相当し、電圧変換回路40が、本発明の第2電源部に相当し、制御回路50が、本発明の制御部に相当する。
(変形例)
  ところで、上記実施形態では、操作スイッチ18は、ライト部6の点灯・消灯の切り替え、及び、点灯時の明るさ調整に用いられ、定電流回路36及び電圧変換回路40の駆動・停止は、操作スイッチ18の操作状態にかかわらず制御されるものとして説明した。
 
【0070】
  しかし、操作スイッチ18がオン状態であるときに、定電流回路36及び電圧変換回路40からライト部6及び外部機器への電力供給を許可し、操作スイッチ18がオフ状態であるときに、定電流回路36及び電圧変換回路40からの電力供給を遮断するようにしてもよい。
 
【0071】
  そして、この場合、定電流回路36及び電圧変換回路40からライト部6及び外部機器への電力供給を許可しているときには、総電力が規定電力を越えることのないよう、ライト部6への供給電力を制御するようにするとよい。
 
【0072】
  そこで、このように定電流回路36及び電圧変換回路40を制御する場合の制御処理を、上記実施形態の変形例として説明する。
  なお、以下の説明では、USBコネクタ20に接続される外部機器は、携帯電話やスマートフォン等の携帯機器であり、第2電源部としての電圧変換回路40は、その携帯機器の充電に用いられるものとして説明する。
 
【0073】
  図6に示すように、この変形例の制御処理では、S200にて、操作スイッチ18がオン状態になっているか否かを判断する。そして、操作スイッチ18がオン状態になっていなければ、後述のS310に移行し、操作スイッチ18がオン状態になっていれば、S210に移行する。
 
【0074】
  S210では、上述のS110と同様、スイッチング素子38、42をオンすることで、電圧変換回路40への通電を開始すると共に、電圧変換回路40への通電により生成される電源電圧を、USBコネクタ20から外部機器に出力させる。
 
【0075】
  また、続くS220では、上述のS120と同様、スイッチング素子34をオンすることで、定電流回路36への通電を開始し、ライト部6を点灯させ、続くS230では、上述のS130と同様、外部機器への供給電流を測定する。
 
【0076】
  また、S240では、上述の140と同様、S230で測定した外部機器への供給電流と、定電流回路36からライト部6への供給電流とから、外部機器及びライト部6へ供給している総電力を求め、総電力が予め設定された規定電力以上になったか否かを判断する。
 
【0077】
  S240にて、総電力が規定電力未満であると判断されると、S250に移行して、S230での測定結果から、電圧変換回路40から外部機器へ電流が流れているか否か(外部機器への供給電流があるか否か)を判断する。
 
【0078】
  そして、S250にて、外部機器への供給電流はないと判断されると、S260に移行して、報知用LED28を点灯させることで、外部機器への充電が完了した旨を報知し、S270に移行する。また、S250にて、外部機器への供給電流はあると判断されると、そのままS270に移行する。
 
【0079】
  S270では、操作スイッチ18がオン状態になっているか否かを判断し、操作スイッチ18がオン状態であれば、S230に移行し、操作スイッチ18がオン状態でなければ(つまり、オフ状態であれば)、S310に移行する。
 
【0080】
  次に、S240にて、総電力が規定電力以上であると判断されると、S280に移行し、定電流回路36からライト部6への出力電流が、ライト部6を点灯させるのに要する最低電流になっているか否かを判断する。
 
【0081】
  S280にて、定電流回路36からの出力電流が最低電流になっていると判断された場合、定電流回路36からの出力電流を更に低下させて(換言すればライト部6の点灯を暗くして)、総電力を規定電力未満に低下させることはできないと判断して、S290に移行する。
 
【0082】
  そして、S290では、スイッチング素子34をオフすることで、定電流回路36への通電を停止して、ライト部6への電力供給を遮断し、S270に移行する。
  また、S280にて、定電流回路36からの出力電流は最低電流になっていないと判断された場合には、S300に移行して、定電流回路36からの出力電流を予め設定された一段階下げることで、ライト部6への供給電力を低下させ、S230に移行する。
 
【0083】
  つまり、本変形例では、総電力が規定電力以上になると、定電流回路36からライト部6への供給電流を所定の一段階下げることで(換言すればライト部6の点灯を暗くすることで)、総電力を低下させる。
 
【0084】
  また、このとき、定電流回路36からライト部6への供給電流が最低電流になっている場合には、ライト部6への供給電流を更に下げると、ライト部6を点灯させることができなくなるので、定電流回路36からライト部6への電力供給を遮断させる。
 
【0085】
  次に、S200又はS270にて操作スイッチ18がオフ状態であると判断されたときに実行されるS310では、スイッチング素子38、42をオフすることで、電圧変換回路40への通電を停止し、外部機器への電力供給を遮断する。
 
【0086】
  また、続くS320では、スイッチング素子34をオフすることで、定電流回路36への通電を停止し、ライト部6への電力供給を遮断し、続くS330にて、報知用LED28を点灯させることで、外部機器への充電が完了した旨を報知する。そして、S330の処理実行後は、再度S200に移行することで、当該制御処理を繰り返し実行する。
 
【0087】
  このように、本変形例では、定電流回路36及び電圧変換回路40からライト部6及び外部機器への電力供給を実施するか遮断するかを、操作スイッチ18のオン・オフ状態に応じて切り替える。そして、ライト部6及び外部機器への電力供給を実施しているときには、総電力が規定電力を越えることのないよう、ライト部6への供給電力を制御する。
 
【0088】
  このため、本変形例によれば、外部機器への供給電力が増加したときに、バッテリ12からの放電電力を制限することにより、発熱等の異常を発生させることなく、外部機器への電力供給を継続することができる。
 
【0089】
  また、外部機器への充電が完了すると、報知用LED28を点灯させて、その旨を報知することから、外部機器充電時の使い勝手を向上できる。
  なお、本変形例では、操作スイッチ18がオフ状態になると、ライト部6及び外部機器への電力供給を遮断するものとして説明したが、ライト部6への電力供給だけを遮断し、外部機器への電力供給は継続するようにしてもよい。
 
【0090】
  また、本変形例では、操作スイッチ18のオン・オフ状態に応じて、ライト部6及び外部機器への電力供給を開始又は停止するものとして説明した。これに対し、ライト部6及び外部機器への電力供給をそれぞれ切り替えるための二つの操作スイッチを設け、その操作スイッチのオン・オフ状態に応じて、ライト部6及び外部機器への電力供給を個々に切り替えるようにしてもよい。
 
【0091】
  また、操作スイッチ18がオン状態であるときには、定電流回路36からライト部6への電力供給を実施させて、電圧変換回路40から外部機器への電力供給は遮断し、操作スイッチ18がオフ状態であるときにだけ、電圧変換回路40から外部機器への電力供給を許可するようにしてもよい。
 
【0092】
  以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて、種々の態様をとることができる。
 
【0093】
  例えば、上記実施形態では、本発明を充電式ライトに適用したものについて説明したが、本発明は、充電式電動工具や、充電式園芸工具、充電式扇風機、充電式ラジオ等、充放電可能なバッテリを備えた充電式電気機器であれば、上記実施形態と同様に適用できる。
 
【0094】
  また、上記実施形態では、充電式電気機器として、バッテリを備えたバッテリパックを着脱自在に装着可能なものについて説明したが、バッテリは、電気機器に内蔵されていて、外部の充電器を接続することで充電できるようになっていてもよい。
 
【0095】
  また、上記実施形態では、バッテリ電圧をバッテリ12の残容量を表すパラメータとして検出し、バッテリ電圧が閾値以上か否かで、残容量が所定値以上か否かを判定するものとして説明したが、バッテリ12の残容量は、バッテリ12の満充電後の放電電流の積算値等から検出するようにしてもよい。
 
【0096】
  また、上記実施形態では、受電式電気機器自身に電力供給を行う第1電源部は、定電流回路36にて構成され、外部機器に電力供給を行う第2電源部は、電圧変換回路40にて構成されるものとして説明した。しかし、第1電源部及び第2電源部は、電力供給の対象となる内部機器及び外部機器にそれぞれ電力供給できるものであればよく、一般に電源回路として利用される回路であればよい。