(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両制御装置と携帯機を相互に無線通信可能として構成された車両制御システムであって、前記車両制御装置から無線送信された応答要求信号に基づいて前記携帯機が応答信号を無線送信し、当該応答信号を受信したことを条件の少なくとも一つとして前記車両制御装置が車両の所定機器を制御する車両制御システム、を介して前記所定機器を遠隔操作する車両遠隔操作システムであって、
前記車両制御装置と通信可能な車載中継機と、
前記携帯機と通信可能な携帯中継機と、を備え、
前記車載中継機は、前記車両制御装置から送信された前記応答要求信号を受信して前記携帯中継機に無線送信すると共に、前記携帯中継機から無線送信された前記応答信号を受信して前記車両制御装置に送信する送受信手段、を備え、
前記携帯中継機は、前記車載中継機から無線送信された前記応答要求信号を受信して前記携帯機に送信すると共に、前記携帯機から前記応答要求信号に基づいて送信された前記応答信号を受信して前記車載中継機に無線送信する送受信手段、を備え、
前記車両制御装置は、第1レベルの信号と、前記第1レベルとは異なる第2レベルの信号とを、前記応答要求信号として送信するものであって、前記携帯中継機の前記送受信手段は、前記車載中継機から無線送信された前記応答要求信号を受信して、前記第1レベルに対応する第1中継レベルの信号と、前記第2レベルに対応する第2中継レベルの信号とを、前記応答要求信号として前記携帯機に送信し、前記携帯中継機の前記送受信手段は、前記第1レベルの信号の終端の位置を特定し、当該特定した位置に基づいて前記第2中継レベルの信号を送信し、
又は、
前記携帯機は、第3レベルの信号と、前記第3レベルとは異なる第4レベルの信号とを、前記応答信号として送信するものであって、前記車載中継機の前記送受信手段は、前記携帯中継機から無線送信された前記応答信号を受信して、前記第3レベルに対応する第3中継レベルの信号と、前記第4レベルに対応する第4中継レベルの信号とを、前記応答信号として前記車両制御装置に送信し、前記車載中継機の前記送受信手段は、前記第3レベルの信号の終端の位置を特定し、当該特定した位置に基づいて前記第4中継レベルの信号を送信する、
車両遠隔操作システム。
車両制御装置と携帯機を相互に無線通信可能として構成された車両制御システムであって、前記車両制御装置から無線送信された応答要求信号に基づいて前記携帯機が応答信号を無線送信し、当該応答信号を受信したことを条件の少なくとも一つとして前記車両制御装置が車両の所定機器を制御する車両制御システム、を介して前記所定機器を遠隔操作する車両遠隔操作システム、を構成する携帯中継機であって、
前記車両遠隔操作システムは、
前記車両制御装置と通信可能な車載中継機と、
前記携帯機と通信可能な前記携帯中継機と、を備え、
前記車載中継機は、前記車両制御装置から送信された前記応答要求信号を受信して前記携帯中継機に無線送信すると共に、前記携帯中継機から無線送信された前記応答信号を受信して前記車両制御装置に送信する送受信手段、を備え、
前記携帯中継機は、前記車載中継機から無線送信された前記応答要求信号を受信して前記携帯機に送信すると共に、前記携帯機から前記応答要求信号に基づいて送信された前記応答信号を受信して前記車載中継機に無線送信する送受信手段、を備え、
前記車両制御装置は、第1レベルの信号と、前記第1レベルとは異なる第2レベルの信号とを、前記応答要求信号として送信するものであって、前記携帯中継機の前記送受信手段は、前記車載中継機から無線送信された前記応答要求信号を受信して、前記第1レベルに対応する第1中継レベルの信号と、前記第2レベルに対応する第2中継レベルの信号とを、前記応答要求信号として前記携帯機に送信し、前記携帯中継機の前記送受信手段は、前記第1レベルの信号の終端の位置を特定し、当該特定した位置に基づいて前記第2中継レベルの信号を送信する、
携帯中継機。
車両制御装置と携帯機を相互に無線通信可能として構成された車両制御システムであって、前記車両制御装置から無線送信された応答要求信号に基づいて前記携帯機が応答信号を無線送信し、当該応答信号を受信したことを条件の少なくとも一つとして前記車両制御装置が車両の所定機器を制御する車両制御システム、を介して前記所定機器を遠隔操作する車両遠隔操作システムを構成する車載中継機であって、
前記車両遠隔操作システムは、
前記車両制御装置と通信可能な前記車載中継機と、
前記携帯機と通信可能な携帯中継機と、を備え、
前記車載中継機は、前記車両制御装置から送信された前記応答要求信号を受信して前記携帯中継機に無線送信すると共に、前記携帯中継機から無線送信された前記応答信号を受信して前記車両制御装置に送信する送受信手段、を備え、
前記携帯中継機は、前記車載中継機から無線送信された前記応答要求信号を受信して前記携帯機に送信すると共に、前記携帯機から前記応答要求信号に基づいて送信された前記応答信号を受信して前記車載中継機に無線送信する送受信手段、を備え、
前記携帯機は、第1レベルの信号と、前記第1レベルとは異なる第2レベルの信号とを、前記応答信号として送信するものであって、前記車載中継機の前記送受信手段は、前記携帯中継機から無線送信された前記応答信号を受信して、前記第1レベルに対応する第1中継レベルの信号と、前記第2レベルに対応する第2中継レベルの信号とを、前記応答信号として前記車両制御装置に送信し、前記車載中継機の前記送受信手段は、前記第1レベルの信号の終端の位置を特定し、当該特定した位置に基づいて前記第2中継レベルの信号を送信する、
車載中継機。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、この発明の各実施の形態を詳細に説明する。ただし、各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
〔実施の形態〕
以下に添付図面を参照して、この発明の実施の形態を詳細に説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
(概要)
最初に、本実施の形態に係る車両遠隔操作システムの概要について説明する。
図1は、本実施の形態に係る車両遠隔操作システム1を車両制御システム100と共に示すブロック図である(なお、
図1において、有線通信経路は直線矢印で示し、無線通信経路は折れ線矢印で示す)。
【0024】
「車両遠隔操作システム」1は、車両の所定機器を制御する車両制御システム100を介して、当該所定機器を遠隔操作するためのシステムである。ここで、「車両制御システム」100は、車両制御装置110と携帯機120とを相互に無線通信可能として構成されたシステムである。「車両制御装置」110は、車両の所定機器を制御するために車内に設置された装置であり、例えば、ECU(Engine Control Unit)に対してCAN(Controller Area Network)等にて通信可能に有線接続された装置である。「携帯機」120は、車両制御装置110を介して車両の所定機器を制御するために運転者が携帯することが可能なものであり、いわゆるリモコンキーである。ここで、「所定機器」の具体的な種類や、この所定機器に対する具体的な制御内容は、任意であり、例えば、エンジンの始動や停止、エアコンの始動や停止、ドアのロックやアンロック、セキュリテーシステムの起動や解除、車内の室温等の各種の車両情報の出力等が該当する。以下では、「エンジンの始動」を行う場合について例示する。
【0025】
このエンジンの始動を行うための公知の処理として、車両制御システム100は、以下の処理を行うものとする。すなわち、この処理では、車両制御装置110が車内における携帯機120の存在を確認するための「起動シーケンス」と、車両制御装置110が携帯機120を認証するための「認証シーケンス」が、順次実行される。
【0026】
「起動シーケンス」においては、運転者又は任意の事象に基づく所定の起動操作(以下では、運転者による車内のエンジン始動スイッチの操作)が行われると、車両制御装置110は起動応答要求信号を応答要求周波数で無線送信する。ここで、「起動応答要求信号」は、車両制御装置110から携帯機120に対して応答を要求するための信号であり、そのフォーマットや情報内容は任意である。また、「応答要求周波数」は、例えば、送信範囲が車内のみとなるように調整可能な周波数であり、この場合には、運転者が保有する携帯機120が車両制御装置110に対する所定範囲内(代表的には、車内)に存在する場合にのみ、この起動応答要求信号が携帯機120にて受信される。
【0027】
この起動応答要求信号を受信した携帯機120は、起動応答信号を応答周波数で無線送信する。ここで、「起動応答信号」は、車両制御装置110から送信された起動応答要求信号を正当な携帯機120が受信したことを、携帯機120から車両制御装置110に報知するための信号であり、そのフォーマットや情報内容は任意であって、例えば、携帯機120に記憶された認証情報を起動応答信号に含めて送信することができる。この起動応答信号を受信した車両制御装置110は、当該起動応答信号を解析し、所定の認証シーケンス開始条件が満たされているか否かを判定し、所定の認証シーケンス開始条件が満たされている場合にのみ、認証シーケンスに移行する。
【0028】
「認証シーケンス」は、起動シーケンスと同様の通信を行うものであり、特記しない点については、起動シーケンスの説明における「起動」を「認証」に読み替えたものとして説明することができる。すなわち、車両制御装置110は認証応答要求信号を応答要求周波数で無線送信する。この認証応答要求信号を受信した携帯機120は、認証応答信号を応答周波数で無線送信する。認証応答信号を受信した車両制御装置110は、当該認証応答信号を解析し、所定の制御条件が満たされているか否かを判定し、所定の制御条件が満たされている場合にのみ、エンジンを始動するための所定制御を行う。
【0029】
「制御条件」の具体的内容は任意であるが、以下では、1)車両のエンジン始動スイッチ(イグニッションスイッチ)の操作とブレーキの操作とが行われており、2)認証応答信号に含まれる認証情報が車両制御装置110に予め記憶された認証情報と一致しており、かつ、3)起動応答要求信号を送信してから所定時間(例えば、1秒。以下、「条件充足時間」と称する)以内に、上記1)と2)の条件の充足を確認できたこと、を制御条件として説明する。なお、上記2)の条件に関しては、実際には、公知のローリングコード方式並びにチャレンジレスポンス方式等により認証情報が毎回変更される場合があり、本発明はこのような場合にも同様に適応可能なものであるが、以下では認証情報が固定されている場合について説明する。
【0030】
一方、
図1において、「車両遠隔操作システム」1は、上述したように、車両の所定機器を制御する車両制御システム100を介して、当該所定機器を遠隔操作するためのシステムである。この車両遠隔操作システム1は、車載中継機10と携帯中継機20とを相互に無線通信可能として構成されたシステムである。これら各機の詳細については後述する。
【0031】
以下の説明において、複数の機器の相互間における信号や情報の通信、送信、又は受信に関して、無線にて行う場合には、「無線通信」、「無線送信」、又は「無線受信」と特記するが、この特記がない場合には、無線と有線のいずれで行うこともできるものとする。また、複数の機器の相互間における無線通信方式に関して、「単信方式」とは、一方の機器から他方の機器への一方向の通信のみを一つの周波数を使用して行う方式を意味し、「半復信方式」とは、一方の機器から他方の機器への方向の通信とその逆方向の通信を一つの周波数を使用して行う方式を意味し、「復信方式」とは、一方の機器から他方の機器への方向の通信とその逆方向の通信を2つの周波数を使用して行う方式を意味するものとする。また、「起動応答要求信号」と「認証応答要求信号」を相互に特に区別する必要がない場合には、これらを「応答要求信号」と総称する。同様に、「起動応答信号」と「認証応答信号」を相互に特に区別する必要がない場合には、これらを「応答信号」と総称する。
【0032】
(構成−車両制御システム−車両制御装置)
次に、車両制御システム100と車両遠隔操作システム1の構成について説明する。最初に、車両制御システム100の構成について説明する。車両制御システム100の車両制御装置110は、基本送受信回路111を備えて構成されている。この基本送受信回路111は、応答要求信号及び応答信号の送受信を行うための基本送受信手段であり(以下、後述する基本送受信回路13、23、121についても同じ)、応答要求信号を応答要求周波数で無線送信する応答要求信号送信回路112と、応答周波数で送信された応答信号を受信する応答信号受信回路113を備えている。また、図示は省略するが、車両制御装置110は、当該車両制御装置110の各部を制御するMPU(Micro Processing Unit)と、認証情報を不揮発的に記憶する記憶部と、無線通信を行うためのアンテナと、車両の各種の機器から有線出力を受け付ける接点端子を備える。この接点端子としては、車両のエンジン始動スイッチが操作された場合の出力(以下、エンジン始動操作出力)を受け付けるエンジン操作接点端子と、車両のブレーキが操作された場合の出力(以下、ブレーキ操作出力)を受け付けるブレーキ操作接点端子が設けられている。ただし、車両制御装置110は従来と同様に構成することができるので、その詳細な説明は省略する。
【0033】
(構成−車両制御システム−携帯機)
車両制御システム100の携帯機120は、基本送受信回路121を備えて構成されている。この基本送受信回路121は、応答要求周波数で送信された応答要求信号を受信する応答要求信号受信回路122と、応答信号を応答周波数で無線送信する応答信号送信回路123を備えている。また、図示は省略するが、携帯機120は、当該携帯機120の各部を制御するMPUと、認証情報を不揮発的に記憶する記憶部と、無線通信を行うためのアンテナと、電源となる電池を備える。ただし、携帯機120は従来と同様に構成することができるので、その詳細な説明は省略する。
【0034】
(構成−車両遠隔操作システム−車載中継機)
次に、車両遠隔操作システム1の構成について説明する。車両遠隔操作システム1の車載中継機10は、車両制御装置110及び携帯中継機20と通信するための送受信回路11と、出力部12を備えて構成されている。
【0035】
送受信回路11は、具体的には、基本送受信回路13と、中継送受信回路14を備える。基本送受信回路13は、車両制御装置110との間で無線通信を行う基本送受信手段であって、車両制御装置110から応答要求周波数で無線送信された応答要求信号を受信する応答要求信号受信回路15と、携帯中継機20から送信された応答信号を応答周波数で車両制御装置110に無線送信する応答信号送信回路16を備える。中継送受信回路14は、携帯中継機20との間で無線通信を行う中継送受信手段であって、携帯中継機20から所定の第1中継周波数で無線送信された操作信号及び応答信号を受信する第1中継受信回路17と、応答要求信号受信回路15にて受信された応答要求信号を第1中継周波数で携帯中継機20に無線送信する第1中継送信回路18を備える。
【0036】
出力部12は、車両の所定機器に対する制御条件を構成する条件出力を車両制御装置110に行う出力手段であり、本実施の形態では、エンジン始動操作出力とブレーキ操作出力を出力する。より具体的には、図示は省略するが、車載中継機10には、エンジン始動操作出力を行うためのエンジン操作接点端子と、ブレーキ操作出力を行うためのブレーキ操作接点端子が設けられており、このエンジン操作接点端子は車両制御装置110のエンジン操作接点端子に有線接続されると共に、ブレーキ操作接点端子は車両制御装置110のブレーキ操作接点端子に有線接続されている。そして、出力部12は、エンジン操作接点端子を介してエンジン始動操作出力を出力し、ブレーキ操作接点端子を介してブレーキ始動操作出力を出力する。また、図示は省略するが、車載中継機10は、当該車載中継機10の各部を制御するMPUと、認証情報を不揮発的に記憶する記憶部と、無線通信を行うためのアンテナを備える。なお、車載中継機10に対する電源は、車両から公知の方法で取得される。
【0037】
(構成−車両遠隔操作システム−携帯中継機)
車両遠隔操作システム1の携帯中継機20は、操作スイッチ21と、携帯機120及び車載中継機10と通信するための送受信回路22を備えて構成されている。
【0038】
操作スイッチ21は、車両の所定機器に対する操作指示を受け付けるための操作手段であり、本実施の形態においては、車両のエンジンを始動の操作指示を受け付けるためのエンジン始動スイッチであって、例えば、公知の押しボタンスイッチとして構成されている。
【0039】
送受信回路22は、具体的には、基本送受信回路23と、中継送受信回路24を備える。基本送受信回路23は、携帯機120との間で無線通信を行う基本送受信手段であって、車載中継機10から送信された応答要求信号を携帯機120に応答要求周波数で無線送信する応答要求信号送信回路25と、携帯機120から応答要求信号に基づいて応答周波数で無線送信された応答信号を受信する応答信号送信回路26を備える。中継送受信回路24は、車載中継機10との間で無線通信を行う中継送受信手段であって、操作信号及び応答信号を車載中継機10の第1中継受信回路17に第1中継周波数で無線送信する第1中継送信回路27と、車載中継機10の第1中継送信回路18から第1中継周波数で無線送信された応答要求信号を受信する第1中継受信回路28を備える。また、図示は省略するが、携帯中継機20は、実際には、CPU、IC、及び各種のフィルタと、無線通信を行うためのアンテナと、電源となる電池を備える。このように構成された携帯中継機20は、携帯機120と応答要求周波数での無線通信が可能となるように、携帯機120に近い位置で保持される。例えば、このような保持を行うための工夫として、携帯中継機20の筐体には、キーホルダリングを挿通させるための孔が形成されており、携帯機120と携帯中継機20を共通のキーホルダリングで保持することで、携帯中継機20を携帯機120に対して近い位置に容易に保持することが可能となる。
【0040】
(信号レベル)
次に、無線通信に使用する信号の信号レベル(以下、単に「レベル」)について説明する。携帯中継機20から携帯機120に無線送信される応答要求信号のレベルは、車両制御装置110から携帯機120に無線送信される応答要求信号のレベルと同一のレベルに設定されており、車載中継機10から車両制御装置110に無線送信される応答信号のレベルは、携帯機120から車両制御装置110に無線送信される応答信号のレベルと同一のレベルに設定されている。ここで、これら応答要求信号のレベルや応答信号のレベルが、車両のメーカーや車種によって異なる場合には、これらの各レベルを各車両について試験により予め特定しておき、車両遠隔操作システム1を設置する車両のメーカーや車種に応じたレベルを、車載中継機10や携帯中継機20に設定する。ここでは、以下に示す応答要求信号及び応答信号が、車両制御装置110及び携帯機120から無線送信されるものとして説明する。応答要求信号及び応答信号について具体的には、1種類又は2種類以上の信号が含まれている。ここで、「種類」とは、信号のレベルによって分類される信号の種類であり、具体的には、後述する第1レベルの信号に対応する種類、及び後述する第2レベルの信号に対応する種類等である。そして、応答要求信号及び応答信号に含まれている信号の「種類」及び「種類数」については任意であるが、ここでは、以下に示す「種類」及び「種類数」の信号が含まれているものとする。
図2は、車両制御装置110によって無線送信される起動応答要求信号の波形のイメージ図である。この
図2について具体的には、横方向を時間とし、縦方向を信号レベル(以下、単に「レベル」)とした場合の、起動応答要求信号の波形のイメージ図である(
図5及び
図6も同様とする)。車両制御装置110から無線送信される「起動応答要求信号」には、
図2に示すように、第1レベル(例えば、10(V)等)の信号と、第1レベルよりも低いレベルである第2レベル(例えば、5(V)等)の信号との2種類の信号が含まれているものとする。また、車両制御装置110から無線送信される「認証応答要求信号」には、所定レベル(例えば、(5(V))等)の1種類のみの信号が含まれているものとする。また、携帯機120から無線送信される「起動応答信号」及び「認証応答信号」には、所定レベルの1種類のみの信号が含まれているものとする。
【0041】
(周波数)
次に、無線通信に使用する周波数について説明する。車両制御装置110と車載中継機10との相互間や携帯機120と携帯中継機20との相互間における無線通信で使用する応答要求周波数と応答周波数は、それぞれ、車両制御装置110と携帯機120の相互間の無線通信で使用する応答要求周波数と応答周波数と同一の周波数に設定されている。ここで、これら応答要求周波数や応答周波数が、車両のメーカーや車種によって異なる場合には、これらの各周波数を各車両について試験により予め特定しておき、車両遠隔操作システム1を設置する車両のメーカーや車種に応じた周波数を、車載中継機10や携帯中継機20に設定する。以下では、応答要求周波数がLF(具体的には125kHz)であり、応答周波数がUHF(より一般的にはRF(Radio Frequency)であり、具体的には315MHz)であるものとして説明する。
【0042】
(処理)
次に、上記のように構成された車両遠隔操作システム1を用いて行われる車両遠隔操作処理について説明する。
図3及び
図4は、本実施の形態に係る車両遠隔操作処理のフローチャートである。以下の処理の説明において、制御主体を特記しない処理については、車両制御装置110、携帯機120、車載中継機10、又は携帯中継機20のMPUにて実行されるものとし、情報の取得元や取得経路を特記しない場合については、公知のタイミング及び公知の方法にて、各機の記憶部に予め格納されており、あるいは、各機に設けた図示しない操作手段を介して運転者等が入力されるものとする。また、ステップを「S」と略記する。
【0043】
(処理−起動シーケンス)
携帯機120及び携帯中継機20を保有する運手者は、車外において携帯中継機20の操作スイッチ21を押圧することによりエンジンの始動を指示する。携帯中継機20は、操作スイッチ21に対する運転者の操作の有無を監視しており、操作スイッチ21に対する操作を受け付けた場合(SA1)、起動シーケンス(図示は省略)を実行する。具体的には、最初に、携帯中継機20の第1中継送信回路27は、キャリアセンスを行った上で、操作信号を第1中継周波数(例:UHF=920MHz)にて送信する(SA2)。「操作信号」とは、操作するための信号であって、車載中継機10を介して車両制御装置110を始動させることにより、起動シーケンスを開始させるための信号である。
【0044】
この操作信号が車載中継機10の第1中継受信回路17によって受信されると(SA3)、出力部12は条件出力を車両制御装置110に有線出力する(SA4)。この条件出力が車両制御装置110によって受け付けられると(SA5)、車両制御装置110は、このように有線出力された条件出力が、運転者が所定の起動操作を行った場合に行われる出力と同一の出力であることから、所定の起動操作が行われた際の出力を受け付けた場合と同様の処理を行う。すなわち、車両制御装置110の応答要求信号送信回路112は、起動応答要求信号を応答要求周波数で携帯機120に無線送信する(SA6)。なお、このSA6で送信される起動応答要求信号については、
図2に示すように、当該起動応答要求信号中の第1レベルの信号の位置と第2レベルの信号の位置とが、予め一意に定められており(つまり、起動応答要求信号中の第1レベルの信号の位置と第2レベルの信号の位置とが、所定位置に定められており)、SA6を複数回実行したとしても、
図2に示す起動応答要求信号が毎回送信されるものとして、以下説明する。この携帯機120に対する起動応答要求信号は、車外にある携帯機120には到達せず、車内にある車載中継機10の応答要求信号受信回路15により受信される。
【0045】
このように起動応答要求信号が応答要求信号受信回路15により受信されると(SA7)、第1中継送信回路18は、この起動応答要求信号を第1中継周波数に変調する(SA8)。SA8における変調手法については任意であるが、ここでは、SA7で受信した起動応答要求信号のエンベロープを検出し、当該検出したエンベロープのみを2値のFSK(Frequency Shift Keying)方式にて変調するものとする。そして、第1中継送信回路18は、変調した起動応答要求信号を携帯中継機20に無線送信する(SA9)。
【0046】
この起動応答要求信号が携帯中継機20の第1中継受信回路28によって受信されると(SA10)、第1中継受信回路28は起動応答要求信号を応答要求周波数に復調して応答要求信号送信回路25に送る(SA11)。SA11における復調手法については任意であるが、ここでは、以下に示す手法を用いるものとする。この手法について具体的には、まず、SA8における変調に対応する方式(つまり、2値のFSK)にて、SA10で受信した起動応答要求信号からSA8における変調前のエンベロープを復元する(つまり、検波する)。次に、復元したエンベロープのみをOOK(On Off Keying)方式にて応答要求周波数に変調することにより復調するものとする。
図5は、携帯中継機20の第1中継受信回路28によって復調された起動応答要求信号の波形のイメージ図である。SA11において復調された起動応答要求信号は、
図5に示すように、信号のレベルが例えば50(mV)程度で互いに同様となっており、1種類のみの信号が含まれることになる。このように1種類のみの信号が含まれることになるのは、SA8の変調において2値のFSK方式が用いられているために、信号の有無(つまり、レベルが所定の閾値以上であるか否か)を特定する情報は伝達されるが、信号が有る(つまり、レベルが所定の閾値以上である)場合における当該信号の複数のレベル(例えば、
図2の第1レベル、及び第2レベル等)を特定する情報は伝達されないことに起因している。
【0047】
次に、携帯中継機20の応答要求信号送信回路25は起動応答要求信号のレベルを調整して、当該レベルを調整した起動応答要求信号を、応答要求周波数で携帯機120に無線送信する(SA12)。SA12について具体的には、SA6で無線送信された
図2に示す起動応答要求信号と同一の起動応答要求信号を無線送信するために、SA11で復調された起動応答要求信号のレベルを調整し、当該調整した起動応答要求信号を無線送信する。この起動応答要求信号のレベルを調整する手法については、
図2に示す起動応答要求信号と同一の信号となるように調整できる手法であれば任意であるが、ここでは、以下に示す手法を用いるものとする。この手法について具体的には、応答要求信号送信回路25が、増幅回路、昇圧回路、及び制御回路(いずれも不図示)を備えており、これらの回路を用いて調整するものとする。ここで、「増幅回路」とは、SA11で復調された起動応答要求信号のレベルを増幅する増幅手段であり、具体的には、当該増幅回路に供給される電源電圧のレベルに応じて増幅率を調整することが可能となっている公知の回路であって、例えば、所定のトランジスタ等を含んで構成されている。「昇圧回路」とは、電圧を昇圧する昇圧手段であり、具体的には、携帯中継機20に備えられている電池から供給される電圧を昇圧して、当該昇圧した電圧を電源電圧として増幅回路に供給する公知のDC‐DCコンバータ回路であり、例えば、所定のトランジスタ、コイル、キャパシタ等を含んで構成されている。「制御回路」とは、増幅回路の増幅率を調整する増幅率調整手段であり、具体的には、昇圧回路に関する動作を公知の手法を用いて制御することにより、増幅回路に供給される電源電圧のレベルを調整して当該増幅回路の増幅率を調整する回路であり、例えば、携帯中継機20のMPUに対応している。
図6は、携帯中継機20の応答要求信号送信回路25によって調整された起動応答要求信号の波形のイメージ図である。制御回路は、SA11で復調された起動応答要求信号のレベルが、
図6に示す起動応答要求信号のレベルとなるように、昇圧回路をオンオフして制御する。具体的には、
図6の後述する「第1時間」の間中において昇圧回路をオンし、後述する「第2時間」の間中においてオフして制御する。そして、昇圧回路をオンした場合、昇圧回路で昇圧された電源電圧が増幅回路に供給されて、増幅回路は、SA11で復調された起動応答要求信号のレベルが
図6の後述する「第1中継レベル」となるように、増幅する。また、昇圧回路をオフした場合、昇圧回路で電源電圧の昇圧が行われずに、昇圧されていない電源電圧(つまり、前述の昇圧回路で昇圧された電源電圧よりもレベルが低い電源電圧)が増幅回路に供給されて、増幅回路は、SA11で復調された起動応答要求信号のレベルが
図6の後述する「第2中継レベル」となるように、増幅する。なお、当該昇圧回路を介さずに増幅回路に電源電圧を供給するバイパス回路が設けられており、昇圧回路をオフした場合、このバイパス回路を介して増幅回路に対して電源電圧が供給されるものとしてもよい。また、昇圧回路をオフする時間(つまり、後述する「第2時間」)以外の時間(つまり、後述する「第1時間」を含む時間)においては、昇圧回路をオンしたままの状態としてもよい。
【0048】
ここで、
図6の「第1中継レベル」とは、起動応答要求信号のレベルであり、
図2の第1レベルに対応するレベルであって、具体的には、当該第1レベルと一致するレベルである。また、
図6の「第2中継レベル」とは、起動応答要求信号のレベルであり、
図2の第2レベルに対応するレベルであって、具体的には、当該第2レベルと一致するレベルである。また、
図6の「第1時間」とは、
図2の起動応答要求信号中の第1レベルの信号の位置に対応する時間であり、
図6の「第2時間」とは、
図2の起動応答要求信号中の第2レベルの信号の位置に対応する時間である。ここで、第1レベルの信号の位置及び第2レベルの信号の位置が、前述したように、起動応答要求信号中において予め一意に定められているので、「第1時間」及び「第2時間」も、予め一意に定めることができる。そして、この「第1時間」及び「第2時間」を予め定めて携帯中継機20の記憶部に記憶し、当該記憶部に記憶されているこれらの時間を用いて、前述のようにして昇圧回路をオンオフする。この「第1時間」及び「第2時間」を定める手法については任意であるが、例えば、予め所定の測定装置を用いて
図2の起動応答要求信号を測定することにより、
図2の波形を特定して、当該特定結果に基づいて、
図2における第1レベルの信号における右端のエッジEd1を基準に定めるようにしてもよいし、当該第1レベルの信号左端のエッジEd2を基準に定めるようにしてもよい。また、エッジEd1又はエッジEd2を基準に「第2時間」のみを定めて、起動応答要求信号における「第2時間」以外の時間を「第1時間」と定めてもよい。
【0049】
図3に戻って、SA12で無線送信された起動応答要求信号が携帯機120の応答要求信号受信回路122によって受信されると(SA13)、携帯機120は、このように携帯中継機20から無線送信された起動応答要求信号がSA6において車両制御装置110から無線送信された起動応答要求信号と内容、周波数及びレベルに関して同一の信号であることから、車両制御装置110から送信された起動応答要求信号を直接受信した場合と同様の処理を行う。すなわち、携帯機120は、所定の起動応答信号を生成し、応答信号送信回路123がこの起動応答信号を応答周波数で車両制御装置110に無線送信する(SA14)。
【0050】
この起動応答信号が携帯中継機20の応答信号受信回路26によって受信されると(SA15)、第1中継送信回路27は起動応答信号を第1中継周波数に変調し(SA16)、当該変調した起動応答信号を第1中継周波数で車載中継機10に無線送信する(SA17)。この起動応答信号が車載中継機10の第1中継受信回路17によって受信されると(SA18)、第1中継受信回路17は起動応答信号を応答周波数に復調して応答信号送信回路16に送り(SA19)、応答信号送信回路16は起動応答信号を応答周波数で車両制御装置110に無線送信する(SA20)。SA20について具体的には、SA14で無線送信された起動応答信号と同一の起動応答信号を無線送信するために、SA19で復調された起動応答信号のレベルを調整し、当該調整した起動応答信号を無線送信する。この起動応答信号のレベルを調整する手法については任意であるが、ここでは、起動応答信号に1種類のみの信号が含まれているのみであるので、所定の増幅率で信号を増幅する公知の手法を用いることもできる。
【0051】
この起動応答信号が車両制御装置110の応答信号受信回路113によって受信されると(SA21)、車両制御装置110は、このように車載中継機10から無線送信された起動応答信号がSA14において携帯機120から無線送信された起動応答信号と内容、周波数及びレベルに関して同一の信号であることから、携帯機120から送信された起動応答信号を直接受信した場合と同様の処理を行う。すなわち、車両制御装置110は、起動応答信号に基づいて、所定の認証シーケンス開始条件が充足したか否かを判定し(図示省略)、所定の認証シーケンス開始条件が充足したと判定した場合には、認証シーケンスを実行する。なお、車両制御装置110は、認証シーケンス開始条件が一部でも充足していないと判定した場合には、認証シーケンスを実行することなく、車両遠隔操作処理を終了する。
【0052】
(処理−認証シーケンス)
この認証シーケンスにおいて、車両制御装置110の応答要求信号送信回路112は所定の認証応答要求信号を応答要求周波数で携帯機120に無線送信する(SA22)。この携帯機120に対する認証応答要求信号は、車外にある携帯機120には到達せず、車内にある車載中継機10の応答要求信号受信回路15により受信される。
【0053】
このように認証応答要求信号が応答要求信号受信回路15により受信されると(SA23)、第1中継送信回路18は、この認証応答要求信号を第1中継周波数に変調し(SA24)、第1中継周波数で携帯中継機20に無線送信する(SA25)。この認証応答要求信号が携帯中継機20の第1中継受信回路28によって受信されると(SA26)、第1中継受信回路28は認証応答要求信号を応答要求周波数に復調して応答要求信号送信回路25に送り(SA27)、応答要求信号送信回路25は認証応答要求信号を応答要求周波数で携帯機120に無線送信する(SA28)。SA28について具体的には、SA22で無線送信された認証応答要求信号と同一の認証応答要求信号を、SA20の処理と同様にして無線送信する。
【0054】
この認証応答要求信号が携帯機120の応答要求信号受信回路122によって受信されると(SA29)、携帯機120は、このように携帯中継機20から無線送信された認証応答要求信号がSA22において車両制御装置110から無線送信された認証応答要求信号と、内容、周波数及びレベルに関して同一の信号であることから、車両制御装置110から送信された認証応答要求信号を直接受信した場合と同様の処理を行う。すなわち、携帯機120は、例えば認証情報を含む所定の認証応答信号を生成し、応答信号送信回路123がこの認証応答信号を応答周波数で車両制御装置110に無線送信する(SA30)。
【0055】
この認証応答信号が携帯中継機20の応答信号受信回路26によって受信されると(SA31)、第1中継送信回路27は認証応答信号を第1中継周波数に変調し(SA32)、当該変調した認証応答信号を第1中継周波数で車載中継機10に無線送信する(SA33)。この認証応答信号が車載中継機10の第1中継受信回路17によって受信されると(SA34)、第1中継受信回路17は認証応答信号を応答周波数に復調して応答信号送信回路16に送り(SA35)、応答信号送信回路16は認証応答信号を応答周波数で車両制御装置110に無線送信する(SA36)。SA36について具体的には、SA30で無線送信された認証応答信号と同一の認証応答信号を、SA20の処理と同様にして無線送信する。
【0056】
この認証応答信号が車両制御装置110の応答信号受信回路113によって受信されると(SA37)、車両制御装置110は、このように車載中継機10から無線送信された認証応答信号がSA30において携帯機120から無線送信された認証応答信号と内容や周波数に関して同一の信号であることから、携帯機120から送信された認証応答信号を直接受信した場合と同様の処理を行う。すなわち、車両制御装置110は、認証応答信号に基づいて、所定の制御条件が充足したか否かを判定する(SA38)。具体的には、車両制御装置110は、車両のエンジン始動スイッチの操作とブレーキの操作とが行われているか否かを判定するが、SA5において条件出力を既に受信しているため、これらの操作が行われているものと判定する。また、例えば、車両制御装置110は、認証応答信号に含まれる認証情報が自己の記憶部に予め記憶された認証情報と一致するか否かを判定する。さらに、車両制御装置110は、SA6で起動応答要求信号を送信してからその時点までの経過時間が条件充足時間以内であるか否かを判定する。そして、車両制御装置110は、これらの制御条件が全て充足していると判定した場合には、エンジンを始動するための所定の制御を行う(SA39)。例えば、車両制御装置110は、エンジンを始動するための制御条件が充足したことを示す信号をECUに暗号化送信し、この信号を受信して復号化したECUがエンジンのスタータモータを起動することにより、エンジンを始動する。これにて車両遠隔操作処理が終了する。なお、車両制御装置110は、制御条件が一部でも充足していないと判定した場合には、何ら制御を行うことなく、車両遠隔操作処理を終了する。
【0057】
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、第1レベルに対応する第1中継レベルの信号と、第2レベルに対応する第2中継レベルの信号とを、応答要求信号として携帯機120に送信することができるために、例えば、携帯機120が応答信号を送信するための条件を満たすことができるので、車両を確実に遠隔操作することが可能になる。
【0058】
また、第2レベルの信号の位置が、応答要求信号中の所定位置に定められており、第2中継レベルの信号の位置が、前述の所定位置に対応する位置に定められるように、第1中継レベルの信号及び第2中継レベルの信号を送信することができるために、例えば、車両制御装置110から無線送信された応答要求信号のレベルに対応する信号を中継することができるので、携帯機120が応答信号を送信するための条件を確実に満たすことができ、車両を確実に遠隔操作することが可能になる。
【0059】
また、応答要求信号を増幅することにより、第1中継レベルの信号と第2中継レベルの信号とを、送信することができるために、例えば、第1中継レベルの信号と第2中継レベルの信号とを生成するための信号生成回路等を新たに設けることが不必要となり、車両遠隔操作システム1の部品点数を低減することができ、車両遠隔操作システム1のコストを低減させることが可能となる。
【0060】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0061】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、本発明に係る車両遠隔操作システム1による遠隔操作性能が、従来の車両遠隔操作システムと同程度となる場合であっても、本発明に係る車両遠隔操作システム1によって、車両を遠隔操作することが可能になる場合には、本発明の課題が解決されている。
【0062】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散したり統合したりして構成できる。例えば、携帯中継機20における基本送受信回路23と中継送受信回路24を物理的には1つの回路により構成してもよい。また、例えば、車載中継機10における基本送受信回路13と中継送受信回路14を物理的には1つの回路により構成してもよい。
【0063】
(レベルの調整について)
上記実施の形態では、
図3のSA12において、増幅回路の増幅率を調整することにより、起動応答要求信号のレベルを調整するものとして説明したが、他の手法を用いて起動応答要求信号のレベルを調整するようにしてもよい。例えば、SA12において起動応答要求信号を無線送信する周波数(具体的には、SA11における復調のために、エンベロープをOOK方式にて変調するための周波数(つまり、応答要求周波数))を、調整することにより、起動応答要求信号のレベルを調整するようにしてもよい。具体的には、
図1の携帯機120のアンテナ及び応答要求信号受信回路122を含む回路の共振周波数に対して、
図3のSA12において起動応答要求信号を無線送信する周波数を調整することにより、
図6に示す起動応答要求信号に対応する起動応答要求信号が、携帯機120の応答要求信号受信回路122において受信されるように調整する。更に具体的には、まず、実施の形態におけるSA11の処理と同様にしてエンベロープを復元する。次に、復元したエンベロープのうちの、
図2における第1レベルの信号に対応する部分をOOK方式にて後述する第1周波数にて変調し、復元したエンベロープのうちの、
図2における第2レベルの信号に対応する部分をOOK方式にて後述する第2周波数にて変調することにより、復調する。次に、復調した起動応答要求信号を、公知の手法を用いて所定の増幅率で増幅することにより、
図6の起動応答要求信号に対応する起動応答要求信号を生成し、当該生成した起動応答要求信号を携帯機120に無線送信する。そして、この起動応答要求信号を受信した携帯機120は、車両制御装置110から送信された起動応答要求信号を直接受信した場合と同様の処理を行う。ここで、「第1周波数」及び「第2周波数」は、起動応答要求信号を無線送信する周波数であり、具体的には、前述の公知の手法を用いて行われる増幅における「所定の増幅率」及び前述の共振周波数との関係において、
図6に示す起動応答要求信号が携帯機120の応答要求信号受信回路122において受信されるように予め定められている周波数である。ここでは、
図6における第1中継レベルが、第2中継レベルよりも高くなるように、例えば、前述の共振周波数に対して第1周波数の方が第2周波数よりも近い周波数となるように定められているものとする。なお、伝送効率を向上させるために、第1周波数=共振周波数となるように定めてもよい。そして、このように構成した場合、周波数を共振周波数に対して調整することにより、第1中継レベルの信号と第2中継レベルの信号とを、送信することができるために、例えば、第1中継レベルの信号と第2中継レベルの信号とを生成するための信号生成回路等を新たに設けることが不必要となり、車両遠隔操作システム1の部品点数を低減することができ、車両遠隔操作システム1のコストを低減させることが可能となる。
【0064】
また、他の手法を用いて起動応答要求信号のレベルを調整するためには、以下の手法を用いることもできる。この手法について具体的には、例えば、
図3のSA10において起動応答要求信号を受信する場合に、携帯中継機20のアンテナ及び第1中継受信回路28を含む回路のインピーダンスを調整することにより、受信する起動応答要求信号にレベル差を生じさせて、起動応答要求信号のレベルを調整するようにしてもよい。
【0065】
また、例えば、携帯中継機20に対して、互いに異なるレベルで信号を受信するアンテナを2個設けて、SA10においてこれらの2個のアンテナの双方において起動応答要求信号を受信し、当該受信した信号を組み合わせることにより、起動応答要求信号のレベルを調整するようにしてもよい。
【0066】
また、例えば、SA12において起動応答要求信号を無線送信するために、携帯中継機20のアンテナに供給される電流量を調整することにより、起動応答要求信号のレベルを調整するようにしてもよい。
【0067】
(信号の位置について)
上記実施の形態では、
図3のSA6において無線送信される起動応答要求信号中の第1レベルの信号の位置と第2レベルの信号の位置とが、予め一意に定められているものとして説明したが、起動応答要求信号中の第1レベルの信号の位置と第2レベルの信号の位置とが定められておらず、SA6を実行する毎にこれらの位置が変動するようにしてもよい。この場合、以下に示す第1の手法〜第3の手法を用いて、
図6の応答要求信号を携帯機120に無線送信するようにしてもよい。
【0068】
第1の手法について具体的には、車両遠隔操作システム1は、
図3のSA7において受信した起動応答要求信号に含まれている信号のレベル及び位置を特定し、当該特定結果に基づいて、起動応答要求信号を無線送信する。この第1の手法について更に具体的には、
図3のSA8において、2値のFSK方式の代わりに所定の多値の変調方式を用いて変調することにより、信号のレベル(
図2の第1レベル及び第2レベル)を特定するレベル特定情報と、各レベルの信号の位置を特定する位置特定情報とを含めて、SA9において起動応答要求信号を無線送信する。ここで、「所定の多値の変調方式」とは、レベル特定情報と位置特定情報とを伝達することが可能な変調方式であり、具体的には、起動応答要求信号に含まれている信号の「種類数」(つまり、レベル数)に応じて選択される変調方式である。ここでは、「所定の多値の変調方式」としては、レベル特定情報と位置特定情報とを伝達することが可能であれば任意の方式を用いることができるが、例えば、4値FSK方式、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式、又はπ/4シフトQPSK方式等を用いてこともできる。そして、所定の多値の変調方式を用いて変調した場合、レベル特定情報と位置特定情報とが伝達されるので、SA11においては、
図2に示す起動応答要求信号に対応する信号を復調することが可能となる(つまり、信号のレベルも復元することが可能となる)。そして、SA12において、この復調した信号を、公知の手法を用いて所定の増幅率で増幅することにより、
図6の起動応答要求信号に対応する起動応答要求信号を生成し、当該生成した起動応答要求信号を携帯機120に無線送信することが可能となる。
【0069】
また、第2の手法について具体的には、
図1の車載中継機10にRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路の如きレベル検出手段を設けて、車両遠隔操作システム1は、当該レベル検出手段を用いて信号のレベル及び位置を特定し、当該特定結果に基づいて、起動応答要求信号を無線送信する。
【0070】
また、第3の手法について具体的には、
図3のSA6において無線送信された起動応答要求信号を、車載中継機10が振幅変調した上で携帯中継機20に無線送信し、携帯中継機20が復調することにより、前述のSA6において無線送信された起動応答要求信号を復元し、この復元した起動応答要求信号を携帯機120に無線送信する。
【0071】
そして、これらの第1の手法〜第3の手法を用いた場合、第2レベルの信号の位置が、応答要求信号中において所定位置に定められておらず、第2レベルの信号の位置を特定する位置特定情報を無線送信することができるので、応答要求信号中の信号の位置が変動する場合においても、第1中継レベルの信号及び第2中継レベルの信号を送信することができるために、例えば、あらゆるタイプの応答要求信号が送信された場合においても、携帯機120が応答信号を送信するための条件を確実に満たすことができ、車両遠隔操作システム1の汎用性を向上させることが可能となる。なお、この変形例に記載の手法については、起動応答要求信号中の第1レベルの信号の位置と第2レベルの信号の位置とが、予め一意に定められている場合においても適用することができる。具体的には、この第2レベルの信号が第1レベルの信号の後に送信されるように定められている起動応答要求信号(つまり、
図2の起動応答要求信号)にも、第2レベルの信号が第1レベルの信号の前に送信されるように定められている起動応答要求信号にも、第2レベルの信号が第1レベルの信号の間において送信されるように定められている(つまり、第1レベルの信号、第2レベルの信号、第1レベルの信号の順で送信されるように定められている)起動応答要求信号にも、適用することができる。また、第2レベルが第1レベルよりも高くなるよう定められている起動応答要求信号にも適用することができる。
【0072】
(2種類の信号について)
上記実施の形態では、
図2に示すように、車両制御装置110から無線送信される「起動応答要求信号」に2種類の信号が含まれているものとして説明したが、「認証応答要求信号」に2種類の信号が含まれているものとしてもよい。この場合、
図4のSA22〜SA36において、
図3のSA6〜SA20と同様な処理を行うことにより、車両遠隔操作処理を行うことが可能となる。また、「起動応答信号」に2種類の信号が含まれているものとしてもよい。この場合、SA14〜SA20において、SA6〜SA12の処理と同様な処理を行うことにより、車両遠隔操作処理を行うことが可能となる。なお、この場合における、SA14において無線送信される起動応答信号に含まれている2種類の信号のレベル各々が、第3レベル及び第4レベルに対応し、SA20において無線送信される起動応答信号に含まれている2種類の信号のうちの前述の第3レベル及び第4レベル各々に対応するレベルが第3中継レベル及び第4中継レベルに対応する。また、「認証応答信号」に2種類の信号が含まれているものとしてもよい。この場合、「起動応答信号」に2種類の信号が含まれている場合と同様な処理を行うことにより、車両遠隔操作処理を行うことが可能となる。また、「起動応答要求信号」、「認証応答要求信号」、「認証応答信号」又は「起動応答信号」の全てに、2種類の信号が含まれているものとしてもよく、これらの各信号のうちの一部の信号にのみ2種類の信号が含まれているものとしてもよい。
【0073】
(信号の種類数について)
上記実施の形態では、
図2に示すように、車両制御装置110から無線送信される「起動応答要求信号」、「認証応答要求信号」、「認証応答信号」又は「起動応答信号」に、3種類以上の信号が含まれるようにしてもよい。また、これら各信号には、互いに異なる種類及び種類数の信号が含まれているものとしてもよい。これら場合、変形例及び実施の形態に記載されている処理を組み合わせて用いることにより、車両遠隔操作処理を行うことが可能となる。
【0074】
(車両について)
車両の種類や構成は任意であり、四輪自動車の他、クレーン車や二輪自動車を含む。また、制御対象とする機器が原動機以外である場合には、原動機のない車両を対象としてもよく、例えば、二輪自転車を対象としてもよい。
【0075】
(車両制御システムの構成について)
車両制御システム100の構成は任意である。例えば、上記実施の形態では、車両制御装置110がECUに有線接続されるものとして説明したが、車両制御装置110自体がECUであってもよい。また、車両制御装置110が行うものとして説明した機能をECUに持たせてもよく、あるいはECUが行うものとして説明した機能を車両制御装置110に持たせてもよい。例えば、制御条件の充足判定の一部については、車両制御装置110ではなく、車両制御装置110に接続されたECUで行うようにしてもよい。また、車両制御装置110には、上記説明した機能以外にも公知の機能を持たせることができ、例えば、応答要求信号を送信してから所定時間以内に応答信号を受信できない場合には、応答要求信号を再送信するリトライ機能を持たせてもよい。このようにリトライを行う場合においても、上記のように接続確立を行った後、この接続を車両遠隔操作処理が終了するまで維持することで、リトライのための応答要求信号の再送信等に起因する遅延を最小化することができる。さらに、「起動シーケンス」と「認証シーケンス」のいずれか一方のみを行う場合や、さらに他のシーケンスを行う場合においても、本発明は同様に適応可能であり、この場合には、車両遠隔操作システムにおいても「起動シーケンス」と「認証シーケンス」のいずれか一方のみを行ったり、さらに他のシーケンスを行うための通信の中継を行ったりすることができる。
【0076】
(車両遠隔操作システムの構成について)
上記実施の形態では、車両遠隔操作システム1が車載中継機10と携帯中継機20により構成される例について説明したが、その他の機器を含めて車両遠隔操作システム1を構成してもよく、例えば、車両から極めて遠い場所から遠隔操作を行うような場合に、車載中継機10と携帯中継機20との無線通信を中継する中継機をさらに設置してもよい。また、1台の車載中継機10に対して複数台の携帯中継機20を通信可能としてもよい。また、必要に応じて、車載中継機10を車両制御装置110以外の機器に無線又は有線で接続するようにしてもよい。なお、車両遠隔操作システム1の配置に関して、各実施の形態では、携帯中継機20を携帯機120と共に車外に配置した状態で操作するものとして説明したが、携帯中継機20を携帯機120と車内に配置してもよい。
【0077】
上記実施の形態では、車両遠隔操作システム1が車載中継機10と携帯中継機20とが第1中継周波数にて無線通信する例について説明したが、他の周波数にて無線通信するようにしてもよい。例えば、第2中継周波数(例えば、429MHz)にて無線通信するようにしてもよく、第1中継周波数及び第2中継周波数にて無線通信するようにしてもよい。
【0078】
(接続形態について)
上記実施の形態では、車両制御装置110と車載中継機10との相互間の通信(出力部12からの出力を除く)や、携帯機120と携帯中継機20との相互間の通信を、無線通信で行うものとして説明したが、有線接続してもよい。
【0079】
(周波数について)
上記の説明において数値にて示した周波数はあくまで例示であり、他の周波数を採用してもよい。また、起動シーケンスに使用する中継周波数と認証シーケンスに使用する中継周波数を相互に異なる周波数としてもよい。
【0080】
(処理について)
上記説明した処理の順序やタイミングは、適宜変更することが可能である。例えば、上記実施の形態では、携帯中継機20からの操作信号をトリガとして、車両制御装置110が起動応答要求信号を送信する場合について説明したが、操作信号の有無に関わらず、車両制御装置110が所定間隔で起動応答要求信号を送信するように構成されている場合には、操作信号の送信に関する処理に先立って、起動応答要求信号の中継に関する処理を行うようにしてもよい。
【0081】
(付記)
付記1の車両遠隔操作システムは、車両制御装置と携帯機を相互に無線通信可能として構成された車両制御システムであって、前記車両制御装置から無線送信された応答要求信号に基づいて前記携帯機が応答信号を無線送信し、当該応答信号を受信したことを条件の少なくとも一つとして前記車両制御装置が車両の所定機器を制御する車両制御システム、を介して前記所定機器を遠隔操作する車両遠隔操作システムであって、前記車両制御装置と通信可能な車載中継機と、前記携帯機と通信可能な携帯中継機と、を備え、前記車載中継機は、前記車両制御装置から送信された前記応答要求信号を受信して前記携帯中継機に無線送信すると共に、前記携帯中継機から無線送信された前記応答信号を受信して前記車両制御装置に送信する送受信手段、を備え、前記携帯中継機は、前記車載中継機から無線送信された前記応答要求信号を受信して前記携帯機に送信すると共に、前記携帯機から前記応答要求信号に基づいて送信された前記応答信号を受信して前記車載中継機に無線送信する送受信手段、を備え、前記車両制御装置は、第1レベルの信号と、前記第1レベルとは異なる第2レベルの信号とを、前記応答要求信号として送信するものであって、前記携帯中継機の前記送受信手段は、前記車載中継機から無線送信された前記応答要求信号を受信して、前記第1レベルに対応する第1中継レベルの信号と、前記第2レベルに対応する第2中継レベルの信号とを、前記応答要求信号として前記携帯機に送信し、又は、前記携帯機は、第3レベルの信号と、前記第3レベルとは異なる第4レベルの信号とを、前記応答信号として送信するものであって、前記車載中継機の前記送受信手段は、前記携帯中継機から無線送信された前記応答信号を受信して、前記第3レベルに対応する第3中継レベルの信号と、前記第4レベルに対応する第4中継レベルの信号とを、前記応答信号として前記車両制御装置に送信する。
【0082】
付記2の車両遠隔操作システムは、付記1に記載の車両遠隔操作システムにおいて、前記第2レベルの信号の位置は、前記応答要求信号中の所定位置に定められており、前記携帯中継機の前記送受信手段は、前記第2中継レベルの信号の位置が、前記応答要求信号中の位置であって前記所定位置に対応する位置に定められるように、前記第1中継レベルの信号と前記第2中継レベルの信号とを、前記応答要求信号として前記携帯機に送信する。
【0083】
付記3の車両遠隔操作システムは、付記1に記載の車両遠隔操作システムにおいて、前記第2レベルの信号の位置は、前記応答要求信号中において所定位置に定められておらず、前記車載中継機の前記送受信手段は、前記応答要求信号中における前記第2レベルの信号の位置を特定し、当該特定した前記第2レベルの信号の位置を特定する位置特定情報を前記携帯中継機に無線送信し、前記携帯中継機の前記送受信手段は、前記第2中継レベルの信号の位置が、前記応答要求信号中の位置であって、前記車載中継機から無線送信された前記位置特定情報が特定する位置に対応する位置に定められるように、前記第1中継レベルの信号と前記第2中継レベルの信号とを、前記応答要求信号として前記携帯機に送信する。
【0084】
付記4の車両遠隔操作システムは、付記1から3のいずれか一項に記載の車両遠隔操作システムにおいて、前記携帯中継機の前記送受信手段は、受信した前記応答要求信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段の増幅率を調整する増幅率調整手段と、を備え、前記増幅率調整手段は、前記第1中継レベルの信号と前記第2中継レベルの信号とが、前記応答要求信号として送信されるように、前記増幅率を調整する。
【0085】
付記5の車両遠隔操作システムは、付記1から4のいずれか一項に記載の車両遠隔操作システムにおいて、前記携帯中継機の前記送受信手段は、前記応答要求信号を無線送信する無線送信手段と、前記応答要求信号を無線送信するための周波数を調整する周波数調整手段と、を備え、前記周波数調整手段は、前記第1中継レベルの信号と前記第2中継レベルの信号とが、前記応答要求信号として無線送信されるように、前記周波数を調整する。
【0086】
付記6の携帯中継機は、車両制御装置と携帯機を相互に無線通信可能として構成された車両制御システムであって、前記車両制御装置から無線送信された応答要求信号に基づいて前記携帯機が応答信号を無線送信し、当該応答信号を受信したことを条件の少なくとも一つとして前記車両制御装置が車両の所定機器を制御する車両制御システム、を介して前記所定機器を遠隔操作する車両遠隔操作システム、を構成する携帯中継機であって、前記車両遠隔操作システムは、前記車両制御装置と通信可能な車載中継機と、前記携帯機と通信可能な前記携帯中継機と、を備え、前記車載中継機は、前記車両制御装置から送信された前記応答要求信号を受信して前記携帯中継機に無線送信すると共に、前記携帯中継機から無線送信された前記応答信号を受信して前記車両制御装置に送信する送受信手段、を備え、前記携帯中継機は、前記車載中継機から無線送信された前記応答要求信号を受信して前記携帯機に送信すると共に、前記携帯機から前記応答要求信号に基づいて送信された前記応答信号を受信して前記車載中継機に無線送信する送受信手段、を備え、前記車両制御装置は、第1レベルの信号と、前記第1レベルとは異なる第2レベルの信号とを、前記応答要求信号として送信するものであって、前記携帯中継機の前記送受信手段は、前記車載中継機から無線送信された前記応答要求信号を受信して、前記第1レベルに対応する第1中継レベルの信号と、前記第2レベルに対応する第2中継レベルの信号とを、前記応答要求信号として前記携帯機に送信する。
【0087】
付記7の車載中継機は、車両制御装置と携帯機を相互に無線通信可能として構成された車両制御システムであって、前記車両制御装置から無線送信された応答要求信号に基づいて前記携帯機が応答信号を無線送信し、当該応答信号を受信したことを条件の少なくとも一つとして前記車両制御装置が車両の所定機器を制御する車両制御システム、を介して前記所定機器を遠隔操作する車両遠隔操作システムを構成する車載中継機であって、前記車両制御装置と通信可能な前記車載中継機と、前記携帯機と通信可能な携帯中継機と、を備え、前記車載中継機は、前記車両制御装置から送信された前記応答要求信号を受信して前記携帯中継機に無線送信すると共に、前記携帯中継機から無線送信された前記応答信号を受信して前記車両制御装置に送信する送受信手段、を備え、前記携帯中継機は、前記車載中継機から無線送信された前記応答要求信号を受信して前記携帯機に送信すると共に、前記携帯機から前記応答要求信号に基づいて送信された前記応答信号を受信して前記車載中継機に無線送信する送受信手段、を備え、前記携帯機は、第1レベルの信号と、前記第1レベルとは異なる第2レベルの信号とを、前記応答信号として送信するものであって、前記車載中継機の前記送受信手段は、前記携帯中継機から無線送信された前記応答信号を受信して、前記第1レベルに対応する第1中継レベルの信号と、前記第2レベルに対応する第2中継レベルの信号とを、前記応答信号として前記車両制御装置に送信する。
【0088】
(付記の効果)
付記1に記載の車両遠隔操作システム、付記6に記載の携帯中継機、又は付記7に記載の車載中継機によれば、第1レベルに対応する第1中継レベルの信号と、第2レベルに対応する第2中継レベルの信号とを、応答要求信号として携帯機に送信することができ、又は、第3レベルに対応する第3中継レベルの信号と、第4レベルに対応する第4中継レベルの信号とを、応答信号として車両制御装置に送信することができるために、例えば、携帯機が応答信号を送信するための条件、又は、車両制御装置が車両を制御するための条件を満たすことができるので、車両を確実に遠隔操作することが可能になる。
【0089】
付記2に記載の車両遠隔操作システムによれば、第2レベルの信号の位置が、応答要求信号中の所定位置に定められており、第2中継レベルの信号の位置が、前述の所定位置に対応する位置に定められるように、第1中継レベルの信号及び第2中継レベルの信号を送信することができるために、例えば、車両制御装置から無線送信された応答要求信号のレベルに対応する信号を中継することができるので、携帯機が応答信号を送信するための条件を確実に満たすことができ、車両を確実に遠隔操作することが可能になる。
【0090】
付記3に記載の車両遠隔操作システムによれば、第2レベルの信号の位置が、応答要求信号中において所定位置に定められておらず、第2レベルの信号の位置を特定する位置特定情報を無線送信することができるので、応答要求信号中の各信号の位置が変動する場合においても、第1中継レベルの信号及び第2中継レベルの信号を送信することができるために、例えば、あらゆるタイプの応答要求信号が送信された場合においても、携帯機が応答信号を送信するための条件を確実に満たすことができ、車両遠隔操作システムの汎用性を向上させることが可能となる。
【0091】
付記4に記載の車両遠隔操作システムによれば、応答要求信号を増幅することにより、第1中継レベルの信号と第2中継レベルの信号とを、送信することができるために、例えば、第1中継レベルの信号と第2中継レベルの信号とを生成するための信号生成回路等を新たに設けることが不必要となり、車両遠隔操作システムの部品点数を低減することができ、車両遠隔操作システムのコストを低減させることが可能となる。
【0092】
付記5に記載の車両遠隔操作システムによれば、周波数を調整することにより、第1中継レベルの信号と第2中継レベルの信号とを、送信することができるために、例えば、第1中継レベルの信号と第2中継レベルの信号とを生成するための信号生成回路等を新たに設けることが不必要となり、車両遠隔操作システムの部品点数を低減することができ、車両遠隔操作システムのコストを低減させることが可能となる。