【実施例】
【0043】
以下に実施例、及び比較例を挙げるが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0044】
(予備発泡粒子の製造)
篩により所定の粒子径に分級した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を、加圧式予備発泡機「大開工業製、BHP」を用いて、吹き込み蒸気圧0.09〜0.10MPaの条件でかさ倍率45倍への予備発泡し、その後、常温下で1日放置して嵩倍率45倍の予備発泡粒子を得た。
【0045】
(発泡成形体の製造)
得られたスチレン系予備発泡粒子を、成形機「ダイセン製、KR−57」を用いて吹き込み蒸気圧0.10MPaで型内成形を行うことで、厚み50mmで長さ400mm×幅350mmの平板状の発泡成形体を得た。
【0046】
(成形体の表面性)
発泡成形体の表面の状態を目視観察にて評価した。数値が大きいほうが粒子同士の隙間が少ない美麗な表面状態であり、5点満点で表現した3以上を合格とした。
【0047】
5:隙間が見当たらない
4:部分的に隙間があるが、ほとんどわからない
3:ところどころ隙間があるが、全体としては許容できる
2:隙間が目立つ
1:隙間が多い。
【0048】
(動摩擦係数μ
k測定)
得られた発泡成形体を、バーチカルスライサー(桜エンジニアリング製)を用いてそこから長さ60mm幅60mm厚み4mmの片面スキンの試験片を切り出した。
【0049】
試験片を表面性試験機HEIDON Type:14FW(新東科学株式会社製)を使用し、荷重200g、往復距離50mm、摺動速度3000mm/分の条件でポリプロピレン板と10往復擦り合わせ、擦れあわせごとの動摩擦係数μ
kの平均値を求めた。
【0050】
(擦れ音測定)
得られた発泡成形体を、バーチカルスライサー(桜エンジニアリング製)を用いてそこから長さ60mm幅60mm厚み50mmの両面スキンの試験片を切り出した。その後、長さ400mm幅350mm厚み50mmの両面スキンの成形体と切り出した試験片とを、温度23℃、湿度60%の恒温恒湿室に4時間静置した。長さ400mm幅350mm厚み50mmの両面スキンの成形体の上に長さ60mm幅60mm厚み50mmの試験片を載せ、試験片の上に1000gの荷重を載せた。その状態で試験片を幅50mmの区間を3000mm/分の速度で10往復させた。
その際に発生した擦れ音を以下の基準で評価した。
◎:擦れ音が発生しない。
○:最初は擦れ音が発生しないが途中から小さな擦れ音が発生する。
△:最初から小さな擦れ音が発生する。
×:大きな擦れ音が発生する。
【0051】
(実施例1)
撹拌機付き6Lオートクレーブに水96重量部、第3リン酸カルシウム0.17重量部、α−オレフィンスルフォン酸ソーダ0.048重量部、難燃剤として臭素化ブタジエン・スチレン共重合体(ケムチュラ社製「EMERALD 3000」臭素含有量64%)1.2重量部、難燃助剤としてジクミルパーオキサイド0.2重量部、重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.1重量部、t−ブチルパーオキシー2−エチルヘキシルモノカーボネート0.37重量部、及び、可塑剤としてやし油1.4重量部を仕込んだ後、スチレン100重量部を仕込み、98℃まで昇温して5時間重合を行った。続いて片末端メタクリル型ジメチルポリシロキサン「KF−2012(粘度60mm
2/s(25℃))」(信越化学工業株式会社製)2重量部と過酸化ベンゾイル0.05重量部を追加し、更に30分重合した。更に、ノルマルリッチブタン(ノルマルブタン70%、イソブタン30%)8重量部を仕込んで117℃まで昇温し4時間発泡剤の含浸と重合を行った。その後、40℃まで冷却後、洗浄・脱水・乾燥することにより発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
【0052】
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を篩い分けして粒子径0.5〜1.0mmの発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得、更に加圧式予備発泡機「BHP−300(大開工業製)」で予備発泡し嵩倍率45倍の予備発泡粒子を得た。得られた予備発泡粒子を室温で1日養生させた後、成形機「KR−57(ダイセン製)」を用いて300×450×50(t)mmサイズの金型にて発泡成形品を得、成形体の表面性、動摩擦係数、擦れ音を評価した。評価結果は表1に示した。
【0053】
(実施例2)
片末端メタクリル型ジメチルポリシロキサン「KF−2012」の量を5重量部とした以外は実施例1と同様に行った。評価結果は表1に示した。
【0054】
(実施例3)
片末端メタクリル型ジメチルポリシロキサン「KF−2012」をより高粘度の「X−22−2426(粘度200mm
2/s(25℃))」(信越化学工業株式会社製)とした以外は実施例1と同様に行った。評価結果は表1に示した。
【0055】
(実施例4)
片末端メタクリル型ジメチルポリシロキサン「X−22−2426」を5重量部とした以外は実施例3と同様に行った。評価結果は表1に示した。
【0056】
(
参考例5)
片末端メタクリル型ジメチルポリシロキサン「KF−2012」をより低粘度の「X−22−2404(粘度5mm
2/s(25℃))」(信越化学工業株式会社製)とした以外は実施例1と同様に行った。評価結果は表1に示した。
【0057】
(実施例6)
片末端メタクリル型ジメチルポリシロキサン「KF−2012」の量を0.8重量部とした以外は実施例1と同様に行った。評価結果は表1に示した。
【0058】
(実施例7)
片末端メタクリル型ジメチルポリシロキサン「KF−2012」の量を7重量部とした以外は実施例1と同様に行った。発泡倍率が45倍に到達しなかったため、発泡倍率42倍で評価を行った。評価結果は表1に示した。
【0059】
(実施例8)
片末端メタクリル型ジメチルポリシロキサン「KF−2012」を両末端メタクリル型ジメチルポリシロキサン「X−22−164E(粘度190mm
2/s(25℃))」(信越化学工業株式会社製)とした以外は実施例1と同様に行った。評価結果は表1に示した。
【0060】
(実施例9)
撹拌機付属の6Lのオートクレーブに、純水重量92重量部、第3リン酸カルシウム0.38重量部、α―オレフィンスルフォン酸ソーダ0.01重量部、塩化ナトリウム0.1重量部、粒子径が0.4〜0.5mmのスチレン系樹脂種粒子20重量部を仕込んだ後、攪拌を開始した。続いて、90℃まで昇温させた後、ベンゾイルパーオキサイド30%溶液0.22重量部を5時間、スチレン単量体80重量部を5時間30分かけて反応器中に仕込みながら重合した。この際、スチレン添加4時間45分目に1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.064重量部を、5時間20分目にジビニルベンゼン0.012重量部を仕込んだ。更にスチレン単量体の追加終了後に片末端メタクリル型ジメチルポリシロキサン「KF−2012」2重量部と過酸化ベンゾイル0.1重量部を仕込み、30分間90℃を保持した。その後、シクロヘキサン0.5重量部、ノルマルリッチブタン(ノルマルブタン70%、イソブタン30%)8重量部を仕込み更に120℃に昇温して2時間保持した後、40℃まで冷却した。懸濁液を取り出し脱水・乾燥・分級して、粒子径が0.6〜1.15mmの発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
【0061】
実施例1と同様に予備発泡、成形を行い、成形体の表面性、動摩擦係数、擦れ音を評価した。評価結果は表1に示した。
【0062】
(実施例10)
片末端メタクリル型ジメチルポリシロキサン「KF−2012」の量を5重量部とした以外は実施例9と同様に行った。評価結果は表1に示した。
【0063】
(実施例11)
片末端メタクリル型ジメチルポリシロキサン「KF−2012」2重量部を追加するスチレン80重量部とあらかじめ混合し、混合液を5時間30分かけて追加するようにした以外は実施例9と同様に行った。評価結果は表1に示した。
【0064】
(実施例12)
片末端メタクリル型ジメチルポリシロキサン「KF−2012」の量を5重量部とした以外は実施例11と同様に行った。評価結果は表1に示した。
【0065】
(比較例1)
片末端メタクリル型ジメチルポリシロキサン「KF−2012」を使用しなかった以外は実施例1と同様に行った。評価結果は表1に示した。
【0066】
(比較例2)
片末端メタクリル型ジメチルポリシロキサン「KF−2012」を使用しなかった以外は実施例9と同様に行った。評価結果は表1に示した。
【0067】
(比較例3)
片末端メタクリル型ジメチルポリシロキサン「KF−2012」をスチレン追加終了後でなく、初期(90℃への昇温の前)に追加した以外は実施例9と同様に行った。評価結果は表1に示した。
【0068】
(比較例4)
片末端メタクリル型ジメチルポリシロキサン「KF−2012」の量を5重量部とした以外は比較例3と同様に行った。評価結果は表1に示した。
【0069】
【表1】