(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記キャップ部材は、そのn頂点のうち4頂点が前記センサICの対角同士を結ぶ直線上に位置するように前記センサICに被せられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧力分布センサ。
前記m個の感圧素子は、そのうち4個が前記センサチップの中心点と前記センサチップの4頂点とを結ぶ線分上に位置するように、前記センサチップ上で環状に配置されていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の圧力分布センサ。
前記m個の感圧素子は、前記センサチップ上で各々の長手方向を前記センサチップの中心に向けた放射状に形成されていることを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれか一項に記載の圧力分布センサ。
前記センサチップは、各感圧素子相互間の接続ノードを各々チップ外部に引き出すための複数のパッドを有することを特徴とする請求項5〜請求項8のいずれか一項に記載の圧力分布センサ。
前記センサチップは、各感圧素子毎の両端ノードを各々チップ外部に引き出すための複数のパッドを有することを特徴とする請求項5〜請求項8のいずれか一項に記載の圧力分布センサ。
前記板状部材は、その外縁端部が前記筐体または前記プリント配線基板若しくは当接部材と接触することによりその傾斜量が制限されていることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の入力装置。
前記筐体は、前記プリント配線基板を前記圧力分布センサの搭載位置背面側で一点支持する突起部を備えていることを特徴とする請求項11〜請求項14のいずれか一項に記載の入力装置。
前記パッド切替部は、前記感圧素子群の分割パターン毎に、前記ブリッジ回路の第1出力端と第2出力端とを相互に反転させることを特徴とする請求項18に記載の入力装置。
前記m個の感圧素子は、前記センサチップの中心点を中心として概ね均等な間隔で環状に設けられていることを特徴とする請求項5〜請求項8のいずれか一項に記載の圧力分布センサ。
前記センサICは、パッケージの上面が正方形状であり、前記パッケージの4頂点は、前記センサチップの中心点と前記センサチップの4頂点とを結ぶ線分の延長線上に位置していることを特徴とする請求項5〜請求項8のいずれか一項に記載の圧力分布センサ。
前記キャップ部材は、その上面がn角形状であり、前記キャップ部材のn頂点のうち4頂点は、前記センサチップの中心点と前記センサチップの4頂点とを結ぶ線分の延長線上に位置していることを特徴とする請求項5〜請求項8のいずれか一項に記載の圧力分布センサ。
前記キャップ部材は、その上面がm角形状であり、前記キャップ部材のm頂点は、前記センサチップの中心点と前記m個の感圧素子とを各々結ぶ線分の延長線上に位置していることを特徴とする請求項5〜請求項8のいずれか一項に記載の圧力分布センサ。
前記圧力分布センサと前記板状部材は、各々の上面がいずれもn角形状であり、かつ、前記圧力分布センサの頂点と前記板状部材の頂点は、上面視において、それぞれ360/2n度ずつずれた方向に向けられていることを特徴とする請求項11に記載の入力装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方向入力装置では、複数の圧力センサが必要となるので、装置の小型化やコストダウンが難しく、また、圧力センサ相互間のキャリブレーションなども必要となっていた。
【0006】
本明細書中に開示されている発明は、本願の発明者により見出された上記の問題点に鑑み、複数の圧力センサを要することなく圧力分布を正しく検出することのできる圧力分布センサ、これを用いた入力装置及び電子機器、並びに、これに用いられるセンサチップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書中に開示されている圧力分布センサは、その上面が4角形状のパッケージ内にm個(ただしmは4以上の整数)の感圧素子を封止して成るセンサICと、その上面がn角形状(ただしnは4よりも大きい整数)または円形状であって前記センサICの上面及び側面に密着するように前記センサICに被せられるキャップ部材と、を有する構成(第1の構成)とされている。
【0008】
なお、上記第1の構成から成る圧力分布センサにおいて、前記m及び前記nは、それぞれ、8以上の4の倍数である構成(第2の構成)にするとよい。
【0009】
また、上記第1または第2の構成から成る圧力分布センサにおいて、前記キャップ部材は、そのn頂点のうち4頂点が前記センサICの対角同士を結ぶ直線上に位置するように前記センサICに被せられている構成(第3の構成)にするとよい。
【0010】
また、上記第1〜第3いずれかの構成から成る圧力分布センサは、前記4頂点が上下左右方向と各々対応するようにプリント配線基板上に搭載される構成(第4の構成)にするとよい。
【0011】
また、上記第1〜第4いずれかの構成から成る圧力分布センサにおいて、前記m個の感圧素子は、単一のセンサチップに集積化されている構成(第5の構成)にするとよい。
【0012】
また、上記第5の構成から成る圧力分布センサにおいて、前記m個の感圧素子は、いずれも同一形状に形成されている構成(第6の構成)にするとよい。
【0013】
また、上記第5または第6の構成から成る圧力分布センサにおいて、前記m個の感圧素子は、そのうち4個が前記センサチップの中心点と前記センサチップの4頂点とを結ぶ線分上に位置するように、前記センサチップ上で環状に配置されている構成(第7の構成)にするとよい。
【0014】
また、上記第5〜第7いずれかの構成から成る圧力分布センサにおいて、前記m個の感圧素子は、前記センサチップ上で各々の長手方向を前記センサチップの中心に向けた放射状に形成されている構成(第8の構成)にするとよい。
【0015】
また、上記第5〜第8いずれかの構成から成る圧力分布センサにおいて、前記センサチップは、各感圧素子相互間の接続ノードを各々チップ外部に引き出すための複数のパッドを有する構成(第9の構成)にするとよい。
【0016】
また、上記第5〜第8いずれかの構成から成る圧力分布センサにおいて、前記センサチップは、各感圧素子毎の両端ノードを各々チップ外部に引き出すための複数のパッドを有する構成(第10の構成)にするとよい。
【0017】
また、本明細書中に開示されている入力装置は、筐体と、前記筐体に支持されるプリント配線基板と、前記プリント配線基板上に搭載される上記第1〜第10いずれかの構成から成る圧力分布センサと、ユーザの方向入力操作に応じた向きへ傾斜するように前記圧力分布センサの上面上に載置された板状部材を有する構成(第11の構成)とされている。
【0018】
なお、上記第11の構成から成る入力装置において、前記板状部材は、その上面が前記圧力分布センサの上面を相似拡大した形状である構成(第12の構成)にするとよい。
【0019】
また、上記第11または第12の構成から成る入力装置において、前記板状部材は、その外縁端部が前記筐体または前記プリント配線基板若しくは当接部材と接触することによりその傾斜量が制限されている構成(第13の構成)にするとよい。
【0020】
また、上記第11〜第13いずれかの構成から成る入力装置は、前記圧力分布センサを被覆するとともに前記板状部材を担持する弾性部材をさらに有する構成(第14の構成)にするとよい。
【0021】
また、上記第11〜第14いずれかの構成から成る入力装置において、前記筐体は、前記プリント配線基板を前記圧力分布センサの搭載位置背面側で一点支持する突起部を備えている構成(第15の構成)にするとよい。
【0022】
また、上記第11〜第15いずれかの構成から成る入力装置は、前記m個の感圧素子を4つの感圧素子群に分割してブリッジ回路を形成するように前記センサチップのパッド接続状態を切り替えるパッド切替部と、前記ブリッジ回路の出力を検出する出力検出部と、前記出力検出部の検出結果を受けてユーザの入力操作を判別するロジック部と、を有する構成(第16の構成)にするとよい。
【0023】
また、上記第16の構成から成る入力装置において、前記感圧素子群は、圧力未印加時における合算抵抗値が各々同値となるように設計されている構成(第17の構成)にするとよい。
【0024】
また、上記第16または第17の構成から成る入力装置において、前記パッド切替部は前記感圧素子群の分割パターンを順次切り替える構成(第18の構成)にするとよい。
【0025】
また、上記第18の構成から成る入力装置において、前記パッド切替部は、前記感圧素子群の分割パターン毎に、前記ブリッジ回路の第1出力端と第2出力端とを相互に反転させる構成(第19の構成)にするとよい。
【0026】
また、本明細書中に開示されている電子機器は、上記第11〜第19いずれかの構成から成る入力装置を有する構成(第20の構成)とされている。
【0027】
また、本明細書中に開示されている圧力分布センサは、その上面が4角形状のパッケージに加わる圧力の分布を検出するセンサICと、その上面がn角形状(ただしnは8よりも大きい4の倍数)であって前記センサICの上面及び側面に密着するように前記センサICに被せられるキャップ部材と、を有し、前記キャップ部材は、n頂点のうち4頂点が前記センサICの対角同士を結ぶ直線上に位置するように前記センサICに被せられている構成(第21の構成)とされている。
【0028】
また、本明細書中に開示されている入力装置は、m個(ただしmは8以上の4の倍数)の感圧素子を備えた圧力分布センサと、前記m個の感圧素子を4つの感圧素子群に分割してブリッジ回路を形成するように前記センサチップのパッド接続状態を切り替えるパッド切替部と、前記ブリッジ回路の出力を検出する出力検出部と、前記出力検出部の検出結果を受けてユーザの入力操作を判別するロジック部と、を有する構成(第22の構成)とされている。
【0029】
また、本明細書中に開示されているセンサチップは、複数の感圧素子を集積化して成る正方形状であって、前記センサチップの中心点と4頂点とを結ぶ線分上に配置された感圧素子は、その他の位置に配置された感圧素子よりも、前記中心点の近くに設けられている構成(第23の構成)とされている。
【0030】
また、上記第5〜第8いずれかの構成から成る圧力分布センサにおいて、前記m個の感圧素子は、前記センサチップの中心点を中心として概ね均等な間隔で環状に設けられている構成(第24の構成)にするとよい。
【0031】
また、上記第5〜第8いずれかの構成から成る圧力分布センサにおいて、前記センサICは、パッケージの上面が正方形状であり、前記パッケージの4頂点は、前記センサチップの中心点と前記センサチップの4頂点とを結ぶ線分の延長線上に位置している構成(第25の構成)にするとよい。
【0032】
また、上記第5〜第8いずれかの構成から成る圧力分布センサにおいて、前記キャップ部材は、その上面がn角形状であり、前記キャップ部材のn頂点のうち4頂点は、前記センサチップの中心点と前記センサチップの4頂点とを結ぶ線分の延長線上に位置している構成(第26の構成)にするとよい。
【0033】
また、上記第5〜第8いずれかの構成から成る圧力分布センサにおいて、前記キャップ部材は、その上面がm角形状であり、前記キャップ部材のm頂点は、前記センサチップの中心点と前記m個の感圧素子とを各々結ぶ線分の延長線上に位置している構成(第27の構成)にするとよい。
【0034】
また、上記第11の構成から成る入力装置において、前記板状部材は、その上面がn角形状またはそれよりも多角形状である構成(第28の構成)にするとよい。
【0035】
また、上記第11の構成から成る入力装置において、前記圧力分布センサと前記板状部材は、各々の上面がいずれもn角形状であり、かつ、前記圧力分布センサの頂点と前記板状部材の頂点は、上面視において、それぞれ360/2n度ずつずれた方向に向けられている構成(第29の構成)にするとよい。
【0036】
また、上記第11の構成から成る入力装置において、前記圧力分布センサの上面はn角形状であり、前記板状部材の上面は円形状である構成(第30の構成)にするとよい。
【0037】
また、上記第11の構成から成る入力装置において、前記板状部材は、前記圧力分布センサと対向する面に凹部を備える構成(第31の構成)にするとよい。
【0038】
また、本明細書中に開示されている入力装置は、パッケージ上面に加わる圧力の分布を検出するセンサICと、前記センサICのパッケージ上面においてユーザの方向入力操作に応じた圧力の分布を生じさせる付勢部材と、を有し、前記付勢部材は、各々の先端が前記センサICのパッケージ上面に対向する複数の板バネ部と、前記センサICを中心として各板バネ部が放射状に並ぶように各々の根元端を環状に連結する連結部と、を含む構成(第32の構成)とされている。
【0039】
なお、上記第32の構成から成る入力装置において、前記連結部は、前記センサICと共にプリント配線基板に固着されている構成(第33の構成)にするとよい。
【0040】
また、上記第32または第33の構成から成る入力装置において、前記複数の板バネ部は、各々の先端が前記センサICのパッケージ上面に向けて屈曲されている構成(第34の構成)にするとよい。
【0041】
また、上記第32〜第34いずれかの構成から成る入力装置において、前記複数の板バネ部は、それぞれ、先端ほど幅狭となる台形状とされている構成(第35の構成)にするとよい。
【0042】
また、上記第32〜第35いずれかの構成から成る入力装置は、ユーザの方向入力操作を受けて前記複数の板バネ部を撓ませる柱状部材をさらに有する構成(第36の構成)にするとよい。
【発明の効果】
【0043】
本明細書中に開示されている発明によれば、複数の圧力センサを要することなく圧力分布を正しく検出することのできる圧力分布センサ、これを用いた入力装置及び電子機器、並びに、これに用いられるセンサチップを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0045】
<電子機器>
図1は、電子機器Xの一構成例を示す外観図である。本構成例の電子機器Xは、ゲーム機器としてユーザに供されるものであり、方向入力装置X1と、ボタンX2と、表示画面X3と、を有する。なお、電子機器Xには、上記の構成要素以外にも、不図示のマイク、スピーカ、及び、カメラなどを適宜搭載することが可能である。
【0046】
方向入力装置X1は、表示画面X3に表示されるキャラクターやカーソルなどを任意の方向に移動させるためのユーザインタフェイス(十字キーやアナログスティックなど)である。例えば、方向入力装置X1は、ユーザの左手親指によって任意の操作方向(上方向U、下方向D、左方向L、右方向R、左上方向UL、左下方向DL、右上方向UR、右下方向DRなど)に押下される。
【0047】
方向入力装置X1の中央部には、方向入力装置X1に与えられる圧力分布を検知するための手段として、単一の圧力分布センサ1が搭載されている。方向入力装置X1では、圧力分布センサ1のセンサ出力に基づいて、方向入力装置X1の操作状態(上下左右いずれかの方向に押下されている状態、中央部が真下に押下されている状態、或いは、全く押下されていない状態、さらには、押下の度合い(強度)など)を判別することができる。
【0048】
このように、本構成例の方向入力装置X1であれば、複数の操作方向毎に圧力センサを設ける必要がなくなる。従って、装置の小型化やコストダウンが容易となり、また、圧力センサ相互間のキャリブレーションなども不要となる。また、圧力分布センサ1に集積化された複数の感圧素子(詳細は後述)は、いずれも近い特性を示す。従って、各感圧素子相互間のキャリブレーションも容易となる。なお、圧力分布センサ1の構成や圧力分布センサ1への圧力伝達機構については、後ほど詳述する。
【0049】
ボタンX2は、表示画面X3に表示されるキャラクターに任意のアクションを行わせたり、カーソル選択項目の決定やキャンセルなどを行ったりするためのユーザインタフェイスである。例えば、ボタンX2は、ユーザの右手親指によって押下される。
【0050】
表示画面X3は、キャラクターやカーソルなどを表示するためのユーザインタフェイスである。なお、表示画面X3には、ユーザのタップ操作やフリック操作などを受け付けるタッチパネルを実装することが可能である。
【0051】
<圧力分布センサ>
図2は圧力分布センサ1の第1実施形態を示す模式図(a欄は上面図、b欄は側面図)である。なお、本図中の破線は、圧力分布センサ1の上面ないし側面から直接的に観察することのできない内部構造を透過的に描写したものである。本図で示したように、本実施形態の圧力分布センサ1は、センサIC11とキャップ部材12とを有する。
【0052】
センサIC11は、センサチップ10を樹脂封止して成る半導体集積回路装置である。センサチップ10には、方向入力装置X1に与えられる全方位的な圧力分布を検知する手段として、m個の感圧素子R*(ただし*=1、2、…、m)が集積化されている。mは4以上の整数であればよく、特に、mは8以上の4の倍数(8、12、16、…)であることが望ましい。本図の例ではm=8に設計されている。なお、感圧素子R*としては、受ける応力に応じて抵抗値が変化するピエゾ抵抗などを用いればよい。
【0053】
センサチップ10は、半導体ウェハから4角形状(本図の例では正方形状)に切り出される。このような4角形状のセンサチップ10では、その4頂点に応力が集中しやすい。これに鑑み、感圧素子R1〜R8は、そのうち4個(本図の例では、R2、R4、R6、及び、R8)がセンサチップ10の中心点O(本明細書中では、説明の便宜上、センサチップ10の上面視における対角線同士の交点を「中心点O」と称する)とセンサチップ10の4頂点(a2、a4、a6、a8)とを結ぶ線分上に位置するようにセンサチップ10上で環状に配置されている。なお、感圧素子R1〜R8を用いたブリッジ回路の形成動作や検出動作については、後ほど詳述する。
【0054】
ところで、上記のセンサIC11で全方位的な圧力分布を正しく検出するためには、センサIC11のパッケージ上面がn角形状(ただしnは4よりも大きい整数)または円形状に形成されていることが望ましい。しかしながら、センサチップ10が4角形状である以上、これを樹脂封止して成るセンサIC10のパッケージ上面を4角形状以外に形成することは、歩留まり等の面で不利であり現実的でない。
【0055】
そこで、第1実施形態の圧力分布センサ1は、その上面を任意形状とするための手段として、センサIC11にキャップ部材12を被せた構成とされている。より具体的に述べると、キャップ部材12は、その上面がn角形状(本図の例では正8角形状)であり、センサIC11の上面及び側面に密着するようにセンサIC11に被せられている。
【0056】
なお、キャップ部材12は、その8頂点(c1〜c8)のうち4頂点(c2、c4、c6、c8)がセンサIC11の対角同士を結ぶ直線上に位置するように、センサIC11に被せられている。すなわち、キャップ部材12は、その4頂点(c2、c4、c6、c8)がセンサIC11の4頂点(b2、b4、b6、b8)(延いては、センサチップ10の4頂点(a2、a4、a6、a8))と対応付けられるように、センサIC11に被せられている。
【0057】
このような構成とすることにより、キャップ部材12の応力集中位置とセンサIC11の応力集中位置(延いてはセンサチップ10の応力集中位置)とを合わせ込むことができるので、全方位的な圧力分布を正しく検出することが可能となる。
【0058】
また、圧力分布センサ1は、キャップ部材12の4頂点(c2、c4、c6、c8)が上下左右方向(上方向U、左方向L、下方向D、右方向R)と各々対応するように、プリント配線基板上に搭載されている。すなわち、センサチップ10の頂点a2、センサIC11の頂点b2、及び、キャップ部材12の頂点c2は、それぞれ上方向Uに対応付けられている。センサチップ10の頂点a4、センサIC11の頂点b4、及び、キャップ部材12の頂点c4は、それぞれ左方向Lに対応付けられている。センサチップ10の頂点a6、センサIC11の頂点b6、及び、キャップ部材12の頂点c6は、それぞれ下方向Dに対応付けられている。センサチップ10の頂点a8、センサIC11の頂点b8、及び、キャップ部材12の頂点c8は、それぞれ右方向Rに対応付けられている。
【0059】
このような構成とすることにより、検出対象となる全方位的な圧力分布のうち、特に、主方向となる上下左右方向の圧力分布について、正しく検出することが可能となる。
【0060】
図3は圧力分布センサ1の第2実施形態を示す模式図(a欄は上面図、b欄は側面図)である。本実施形態の圧力分布センサ1は、基本的に先の第1実施形態(
図2)と同様であるが、キャップ部材12の上面形状が正n角形状ではなく円形状とされている。
【0061】
本実施形態の圧力分布センサ1であれば、先の第1実施形態(
図2)と異なり、センサIC11の頂点位置とキャップ部材12の頂点位置とを合わせ込んだり、キャップ部材12の頂点位置を上下左右方向と対応付けたりする必要がなくなる。
【0062】
ただし、センサIC11の4頂点(b2、b4、b6、b8)(延いては、センサチップ10の4頂点(a2、a4、a6、a8))については、先の第1実施形態(
図2)と同じく、上下左右方向(上方向U、左方向L、下方向D、右方向R)と各々対応するように、圧力分布センサ1をプリント配線基板上に搭載することが望ましい。
【0063】
<高感度化についての補足>
圧力分布センサ1の高感度化について補足する。センサチップ10の内部において、感圧素子R1〜R8は、センサチップ10の中心点Oを中心として概ね均等な間隔で環状に設けることが望ましい。また、正方形状に切り出されるセンサチップ10では、中心点Oから一番距離の遠い4頂点(a2、a4、a6、a8)が最も曲げ圧力/歪みを強く受ける点(高感度点)となる。そのため、感圧素子R1〜R8については、そのうち4個(R2、R4、R6、及び、R8)を、センサチップ10の中心点Oと4頂点(a2、a4、a6、a8)とを結ぶ4本の線分上に各々配置しておくことが望ましい。また、その上面が正方形状(面取り加工されたものを含む)とされたセンサIC11についても、その4頂点(b2、b4、b6、b8)を上記線分の延長線上に各々位置しておくことが望ましい。さらに、上面n角形状のキャップ部材12についても、n頂点のうち4頂点(例えばc2、c4、c6、c8)を上記線分の延長線上に各々位置しておくことが望ましい。
【0064】
また、センサチップ10に8つの感圧素子R1〜R8が集積化されている場合、4つの感圧素子(R2、R4、R6、R8)を上記4本の線分上に各々配置し、残り4つの感圧素子(R1、R3、R5、R7)を各線分間に挟まれた領域に各々配置することになる。このとき、キャップ部材12の上面が感圧素子R1〜R8の個数に合わせて8角形状とされている場合には、センサチップ10の中心点Oと感圧素子R1〜R8とを結ぶ線分の延長線上にキャップ部材12の8頂点(c1〜c8)を各々位置しておくことが望ましい。
【0065】
<方向入力装置>
図4は、方向入力装置X1の第1実施例を示す縦断面図である。(a)欄は方向入力装置X1に何ら入力操作が行われていない状態、(b)欄は方向入力装置X1に紙面右方向の入力操作が行われている状態、(c)欄は方向入力装置X1に紙面左方向の入力操作が行われている状態を各々示している。
【0066】
本図で示したように、本実施例の方向入力装置X1は、先に説明した圧力分布センサ1のほかに、筐体110と、プリント配線基板120と、板状部材130と、柱状部材140と、を有する。
【0067】
筐体110は、方向入力装置X1を担持するための剛性部材であり、電子機器X(
図1を参照)の筐体がこれに相当する。なお、筐体110の内面には、プリント配線基板120を支持するための支持部110aや、板状部材130の水平ずれを制限するための壁部110bなどが形成されている。
【0068】
プリント配線基板120は、筐体110の支持部110aによって支持されており、その表面上に圧力分布センサ1が搭載されている。
【0069】
板状部材130は、ユーザの方向入力操作に応じた向きへ傾斜するように圧力分布センサ1の上面上に載置されている。従って、圧力分布センサ1には、板状部材130の傾斜に応じた圧力分布が生じることから、そのセンサ出力を検出することにより、方向入力装置X1の操作状態(上下左右いずれかの方向に押下されている状態、中央部が真下に押下されている状態、或いは、全く押下されていない状態など)を判別することができる。
【0070】
なお、板状部材130は、その外縁端部が筐体110またはプリント配線基板120と接触することにより、その傾斜量が制限されている(本図の(b)欄または(c)欄を参照)。若しくは、筐体110の天面やプリント配線基板120と平行(またはほぼ平行)に設置された樹脂製等の当接部材(図示せず)により、板状部材130の傾斜量を制限してもよい。このような当接部材を用いれば、筐体110やプリント配線基板120と板状部材130との直接的な接触を防止することができるので、方向入力装置X1(延いては電子機器X)の耐久性を向上させることが可能となる。また、板状部材130は、筐体110の内面に設けられた壁部110bにより、その水平ずれが制限されている。
【0071】
図5は、キャップ部材12及び板状部材130の一形状例(両者の組み合わせを含む)を示す上面図である。なお、本図中の破線は、板状部材130の上面から直接的に観察することのできない下部構造を透過的に描写したものである。
【0072】
(a)欄において、板状部材130の上面形状は、圧力分布センサ1の上面(延いてはキャップ部材12の上面)を相似拡大した形状とされており、キャップ部材12と板状部材130の各頂点は、それぞれ同じ方向を向けられている。
【0073】
このような組み合わせの場合、例えば、方向入力装置X1を右方向Rへ押下したときの第1状態では、板状部材130の頂点d8がプリント配線基板120に当接し、キャップ部材12の頂点c8に対して最も大きな圧力が加わる。また、方向入力装置X1を右上方向URへ押下したときの第2状態には、板状部材130の頂点d1がプリント配線基板120に当接し、キャップ部材12の頂点c1に対して最も大きな圧力が加わる。
【0074】
次に、上記の第1状態から第2状態へと方向入力装置X1の押下状態が徐々に遷移していく場合、すなわち、方向入力装置X1を押下する指先が右方向Rから右上方向URに向かってゆっくりとリニアに移動されていく場合について考える。この場合、まず、板状部材130の頂点d8がプリント配線基板120に当接した後、頂点d8と頂点d1とを結ぶ辺がプリント配線基板120に当接するまでの間、頂点d8とプリント配線基板120との当接状態が維持される。その後、頂点d8と頂点d1とを結ぶ辺がプリント配線基板120に当接する瞬間を迎えて、さらにその直後から、頂点d1がプリント配線基板120と当接する状態に至る。このとき、キャップ部材12(ないしはセンサIC11)における右方向Rの微小変形分と、プリント配線基板120における右方向Rの微小撓み分とが徐々に開放されて、キャップ部材12に加わる圧力が右方向URへと移行していく。
【0075】
また、(b)欄では、それぞれ正8角形状のキャップ部材12と板状部材130の各頂点がそれぞれ22.5度ずつ(双方を正n角形状として一般化すると360/2n度ずつ)ずれた方向に向けられている。
【0076】
このような組み合わせの場合、例えば、方向入力装置X1を右方向Rへ押下したときには、板状部材130の頂点d7と頂点d8とを結ぶ辺がプリント配線基板120と当接することになる。従って、(a)欄の構造と比べて、右方向Rへの押下を安定に行うことが可能となる。また、頂点d8のみがプリント配線基板120に当接する状態と比べて、キャップ部材12(ないしはセンサIC11)により強く圧力を加えることが可能となる。
【0077】
さらに、方向入力装置X1を押下する指先が右方向Rから右上方向URに向かって移動されていく際には、板状部材130の頂点d8がプリント配線基板120に瞬間的に当接する状態を経た上で、頂点d8と頂点d1との間を結ぶ辺がプリント配線基板120に当接する状態に至る。従って、キャップ部材12(ないしはセンサIC11)に加わる圧力は、頂点d8がプリント配線基板120と当接するタイミングで一旦低下する。
【0078】
上記を鑑みると、(b)欄の組み合わせは、主方向に挟まれた中間方向(例えば右方向Rと右上方向URとの間に挟まれた方向)の入力操作よりも、主方向の入力操作を重視する場合に好適であると言える。
【0079】
また、(c)欄では、キャップ部材12及び板状部材130の上面形状をいずれも円形状とした例が描写されている。このような組み合わせであれば、(a)欄や(b)欄と異なり、キャップ部材12と板状部材130との相対関係(頂点位置の合わせ込み)を考慮する必要がなくなるので、取り扱いが容易となる。
【0080】
また、(d)欄では、キャップ部材12の上面が円形状で、板状部材130の上面が多角形状(ここでは正8角形状)とされている。このような組み合わせであれば、入力操作のクリック感を明確化することができる。
【0081】
なお、(a)欄〜(d)欄は、あくまで、キャップ部材12と板状部材130との組み合わせ例を挙げたものであり、上記以外にも様々な組み合わせ(正8角形+正16角形、正8角形+円形など)が可能であり、各々の組み合わせに応じた操作感が得られる。このように、キャップ部材12と板状部材130とを任意に組み合わせることにより、板状部材130から圧力分布センサ1への圧力伝達を適切に行うことが可能となる。
【0082】
図4に戻って説明を続ける。柱状部材140は、ユーザの指先で上下左右に傾けられる部材であり、筐体110から一部が露出する形で板状部材130に取り付けられている。従って、例えば、柱状部材140が紙面右方向に傾けられたときには、板状部材130も紙面右方向に傾けられ、柱状部材140が紙面左方向に傾けられたときには、板状部材130も紙面左方向に傾けられる。
【0083】
圧力分布センサ1は、極めて小型(数mm角)に製造することが可能であることから、これをユーザが指先で直接的に操作することは難しい。一方、ユーザの入力操作を受け付けやすいように、圧力分布センサ1(チップサイズ)を単純に大型化してしまうと、歩留まりの低下やコストの上昇を招いてしまう。
【0084】
そこで、本実施例の方向入力装置X1には、圧力分布センサ1上でユーザの入力操作に応じた圧力分布を生じさせるための圧力伝達機構(板状部材130や柱状部材140)が設けられている。このような構成とすることにより、圧力分布センサ1の不要な大型化を招かずに、ユーザの入力操作を圧力分布センサ1で受け付けることが可能となる。
【0085】
図6は、方向入力装置X1の第2実施例を示す縦断面図である。なお、先出の
図4と同じく、(a)欄は方向入力装置X1に何ら入力操作が行われていない状態、(b)欄は方向入力装置X1に紙面右方向の入力操作が行われている状態、(c)欄は方向入力装置X1に紙面左方向の入力操作が行われている状態を各々示している。
【0086】
本実施例の方向入力装置X1は、基本的に先の第1実施例(
図4)と同様であるが、圧力分布センサ1を被覆するとともに板状部材130を担持する弾性部材150をさらに有している。弾性部材150の素材としては、例えばシリコンゴムを好適に用いることができる。なお、板状部材130は、弾性部材150の上面で水平方向にずれないように、その外縁端部130に曲げ加工を施してキャップ状に形成しておくことが望ましい。また、圧力分布センサ1の上面と板状部材130との間に挟まる弾性部材150の厚さをt1とし、板状部材130の外縁端部とプリント配線基板120との距離をt2としたときに、t1≒t2となるように各部材を設計しておくことが望ましい。
【0087】
本実施例の方向入力装置X1であれば、先の第1実施例と同じく、圧力分布センサ1の不要な大型化を招かずに、ユーザの入力操作を圧力分布センサ1で受け付けることが可能となる。また、本実施例の方向入力装置X1であれば、弾性部材150を介してユーザの入力操作を柔軟に受け止めることができるので、先の第1実施例と比べてより心地の良い操作感を提供することが可能となる。また、本実施例の方向入力装置X1であれば、筐体110の内面に設けられていた壁部110bを省略することも可能となる。
【0088】
図7は、方向入力装置X1の第3実施例を示す縦断面図である。なお、先出の
図4や
図6と同じく、(a)欄は方向入力装置X1に何ら入力操作が行われていない状態、(b)欄は方向入力装置X1に紙面右方向の入力操作が行われている状態、(c)欄は方向入力装置X1に紙面左方向の入力操作が行われている状態を各々示している。
【0089】
本実施例の方向入力装置X1は、基本的に先の第1実施例(
図4)と同様であるが、筐体110の底面に突起部110cが設けられている。突起部110cは、プリント配線基板120を圧力分布センサ1の搭載位置背面側で一点支持するように形成された半球状の凸部材である。
【0090】
突起部110cでプリント配線基板120を一点支持する構成であれば、板状部材130の傾斜時にプリント配線基板120が撓みやすくなるので、圧力分布センサ1により大きな歪みを生じさせることが可能となり、延いては、ユーザの入力操作をより正しく検出することが可能となる。
【0091】
なお、本図では、先の第1実施例(
図4)をベースとした構成を例に挙げたが、先の第2実施例(
図6)をベースとして突起部110cを追加することも可能である。
【0092】
<センサチップ及び演算処理チップ>
図8は、センサチップ10と演算処理チップ20の一構成例を示すブロック図である。本構成例の方向入力装置X1は、先出のセンサチップ10のほかに、演算処理チップ20を有している。なお、センサチップ10と演算処理チップ20は、互いに別パッケージに封止することが望ましい。
【0093】
センサチップ10は、環状に配置された感圧素子R1〜R8のほかに、各感圧素子相互間の接続ノードを各々チップ外部に引き出すための外部端子として、8つのパッド(P12、P23、P34、P45、P56、P67、P78、及び、P81)を有する。具体的に述べると、パッドP12は、感圧素子R1及びR2相互間の接続ノードに接続されている。パッドP23は、感圧素子R2及びR3相互間の接続ノードに接続されている。パッドP34は、感圧素子R3及びR4相互間の接続ノードに接続されている。パッドP45は、感圧素子R4及びR5相互間の接続ノードに接続されている。パッドP56は、感圧素子R5及びR6相互間の接続ノードに接続されている。パッドP67は、感圧素子R6及びR7相互間の接続ノードに接続されている。パッドP78は、感圧素子R7及びR8相互間の接続ノードに接続されている。パッドP81は、感圧素子R8及びR1相互間の接続ノードに接続されている。
【0094】
感圧素子R1〜R8は、いずれも同一形状に形成しておくことが望ましい。ただし、各々の特性がアンバランスなケースについても何ら排除するものではない。また、感圧素子R1〜R8は、それぞれ、単一の素子で形成されていてもよいし、或いは、複数の要素素子で形成されていてもよい。なお、感圧素子R1〜R8は、単一のセンサチップ10に集積化されているので、各々の温度特性ばらつきを考慮する必要はない。
【0095】
一方、演算処理チップ20には、パッド切替部21と、出力検出部22と、ロジック部23とが集積化されている。
【0096】
パッド切替部21は、8個の感圧素子R1〜R8を4つの感圧素子群Ra〜Rdに分割してブリッジ回路を形成するようにセンサチップ10のパッド接続状態を切り替える。例えば、パッドP12を第1電源電圧VH(例えばVH=2V)の入力端に接続し、パッドP56を第2電源電圧VL(ただしVL<VH、例えばVL=0V)の入力端に接続し、パッドP34を第1出力電圧V1の出力端に接続し、パッドP78を第2出力電圧V2の出力端に接続した場合には、感圧素子R2及びR3が感圧素子群Raに相当し、感圧素子R4及びR5が感圧素子群Rbに相当し、感圧素子R6及びR7が感圧素子群Rcに相当し、感圧素子R8及びR1が感圧素子群Rdに相当するように、ブリッジ回路が形成された状態となる。なお、感圧素子群Ra〜Rdは、圧力未印加時における合算抵抗値が各々同値(ないしは概ね同値)となるように設計しておくことが望ましい。ただし、製造上は感圧素子群Ra〜Rdの抵抗値が近い値になっても、完全に同値に作り込むことは困難である。そのため、実際には、圧力未印加時における感圧素子群Ra〜Rdの抵抗値をセンサチップ10の外部で適宜補正することになると考えられる。なお、補正値としては、製造段階での誤差を補正するための第1補正値と、その後の使用や環境に起因する特性変動を補正するための第2補正値を挙げることができる。
【0097】
出力検出部22は、第1出力電圧V1及び第2出力電圧V2(ブリッジ回路の出力に相当)を検出する回路部である。出力検出部22としては、例えば、第1出力電圧V1と第2出力電圧V2との差分を増幅する差動アンプなどを用いることが可能である。
【0098】
ロジック部23は、出力検出部22の検出結果を受けてユーザの入力操作を判別する。なお、ロジック部23の入力操作判別手法については、後ほど詳細に説明する。
【0099】
<パッド切替制御>
図9は、パッド切替部21によるパッド切替制御の第1例を示すテーブルである。パッド切替部21は、以下のパッド切替制御により、感圧素子群Ra〜Rdの分割パターンを第1切替フェイズSW1〜第4切替フェイズSW4に亘って順次切り替える。
【0100】
第1切替フェイズSW1では、パッドP12が第1電源電圧VHの入力端に接続され、パッドP34が第1出力電圧V1の出力端に接続され、パッドP56が第2電源電圧VLの入力端に接続され、パッドP78が第2出力電圧V2の出力端に接続される。なお、その余のパッド(P23、P45、P67、P81)は、いずれもオープン状態とされる。このようなパッド切替制御により、第1切替フェイズSW1では、感圧素子R2及びR3が感圧素子群Raに相当し、感圧素子R4及びR5が感圧素子群Rbに相当し、感圧素子R6及びR7が感圧素子群Rcに相当し、感圧素子R8及びR1が感圧素子群Rdに相当するように、ブリッジ回路が形成された状態となる。
【0101】
第2切替フェイズSW2では、パッドP23が第1電源電圧VHの入力端に接続され、パッドP45が第1出力電圧V1の出力端に接続され、パッドP67が第2電源電圧VLの入力端に接続され、パッドP81が第2出力電圧V2の出力端に接続される。なお、その余のパッド(P12、P34、P56、P78)は、いずれもオープン状態とされる。このようなパッド切替制御により、第2切替フェイズSW2では、感圧素子R3及びR4が感圧素子群Raに相当し、感圧素子R5及びR6が感圧素子群Rbに相当し、感圧素子R7及びR8が感圧素子群Rcに相当し、感圧素子R1及びR2が感圧素子群Rdに相当するように、ブリッジ回路が形成された状態となる。
【0102】
第3切替フェイズSW3では、パッドP34が第1電源電圧VHの入力端に接続され、パッドP56が第1出力電圧V1の出力端に接続され、パッドP78が第2電源電圧VLの入力端に接続され、パッドP12が第2出力電圧V2の出力端に接続される。なお、その余のパッド(P23、P45、P67、P81)は、いずれもオープン状態とされる。このようなパッド切替制御により、第3切替フェイズSW3では、感圧素子R4及びR5が感圧素子群Raに相当し、感圧素子R6及びR7が感圧素子群Rbに相当し、感圧素子R8及びR1が感圧素子群Rcに相当し、感圧素子R2及びR3が感圧素子群Rdに相当するように、ブリッジ回路が形成された状態となる。
【0103】
第4切替フェイズSW4では、パッドP45が第1電源電圧VHの入力端に接続され、パッドP67が第1出力電圧V1の出力端に接続され、パッドP81が第2電源電圧VLの入力端に接続され、パッドP23が第2出力電圧V2の出力端に接続される。なお、その余のパッド(P12、P34、P56、P78)は、いずれもオープン状態とされる。このようなパッド切替制御により、第4切替フェイズSW4では、感圧素子R5及びR6が感圧素子群Raに相当し、感圧素子R7及びR8が感圧素子群Rbに相当し、感圧素子R1及びR2が感圧素子群Rcに相当し、感圧素子R3及びR4が感圧素子群Rdに相当するように、ブリッジ回路が形成された状態となる。
【0104】
図10は、パッド切替制御の第2例を示すテーブルである。本例のパッド切替制御は、基本的に先の第1例(
図9)と同様であるが、パッド切替部21は、第1切替フェイズSW1〜第4切替フェイズSW4毎に(延いては、感圧素子群Ra〜Rdの分割パターン毎に)、ブリッジ回路の第1出力端と第2出力端とを相互に反転させる。
【0105】
例えば、第1切替フェイズSW1において、パッドP34を第1出力電圧V1の出力端に接続し、パッドP78を第2出力電圧V2の出力端に接続した場合を考える。ここで、パッドP34に現れる電圧をV34とし、パッドP78に現れる電圧をV78とし、出力検出部22として用いられる差動アンプの入力オフセットをVofsとすると、出力検出部22の出力信号OUT1は、次の(1)式で表すことができる。
【0106】
OUT1=(V1−V2)+Vofs
=(V34−V78)+Vofs … (1)
【0107】
一方、同じく第1切替フェイズSW1において、パッドP78を第1出力電圧V1の出力端に接続し、パッドP34を第2出力電圧V2の出力端に接続した場合、すなわち、第1出力電圧V1と第2出力電圧V2の正負極性を相互に反転させた場合を考える。このとき、出力検出部22の出力信号OUT2は、次の(2)式で表すことができる。
【0108】
OUT2=(V1−V2)+Vofs
=(V78−V34)+Vofs … (2)
【0109】
上記の(1)式及び(2)式から分かるように、出力信号OUT1及びOUT2には、それぞれ、差動アンプの入力オフセットVofsが含まれており、センサ出力の検出精度を悪化させる要因となる。
【0110】
そこで、ロジック部23では、出力信号OUT1から出力信号OUT2を差し引くことで出力信号OUT3を算出し、その算出結果に基づいてユーザの入力操作を判別する。なお、出力信号OUT3は、次の(3)式で表すことができる。
【0111】
OUT3=OUT1−OUT2
={(V78−V34)+Vofs}−{(V34−V78)+Vofs}
=2×(V78−V34) … (3)
【0112】
上記の(3)式から分かるように、出力信号OUT3には、差動アンプの入力オフセットVofsが含まれていないので、センサ出力の検出精度を高めることが可能となる。
【0113】
なお、第2切替フェイズSW2〜第4切替フェイズSW4についても、上記と同様の正負反転処理を行うことにより、上記と同様の効果を享受することが可能である。
【0114】
<入力操作判定手法>
次に、ロジック部23における入力操作の判定手法について、先出の
図8ないし
図9を適宜参照しながら具体的に説明する。なお、以下では、第1電源電圧VHが2Vであり、第2電源電圧VLが0Vであり、何ら応力が加えられていない感圧素子R1〜R8の抵抗値がいずれも100Ωであるものとして説明を行う。
【0115】
感圧素子R1〜R8に対して何ら応力が加えられていない場合、或いは、感圧素子R1〜R8に対して各々均等に応力が加えられている場合、第1切替フェイズSW1にて得られる第1出力電圧V1及び第2出力電圧は、それぞれ、次の(4)式及び(5)式で表すことができる。
【0116】
V1=VL+(VH−VL)×{(R4+R5)/(R2+R3+R4+R5)}
=1V …(4)
【0117】
V2=VL+(VH−VL)×{(R6+R7)/(R6+R7+R8+R1)}
=1V …(5)
【0118】
上記と同様、感圧素子R1〜R8に対して何ら応力が加えられていない場合、或いは、感圧素子R1〜R8に対して各々均等に応力が加えられている場合、第2切替フェイズSW2〜第4切替フェイズSW4にて得られる第1出力電圧V1及び第2出力電圧V2は、いずれも1Vとなる。
【0119】
このように、第1切替フェイズSW1〜第4切替フェイズSW4の検出結果において、第1出力電圧V1及び第2出力電圧V2が全て同一の電圧値(VH+VL)/2を示した場合には、R1=R2=R3=R4=R5=R6=R7=R8であることが分かる。その結果、感圧素子R1〜R8は、いずれも応力を受けていないか、若しくは、いずれも均等に応力を受けた結果として同じ抵抗値を示しているか、のいずれかであることが判る。
【0120】
ここで、例えば、第1切替フェイズSW1でパッドP12からパッドP56に流れる電流値が10mAであった場合には、両パッド間の合成抵抗値が200Ωであると算出される。従って、感圧素子R1〜R8の抵抗値がそれぞれ100Ωであると算出されるので、感圧素子R1〜R8は、いずれも応力を受けていない状態であったということが判る。
【0121】
一方、例えば、第1切替フェイズSW1でパッドP12からパッドP56に流れる電流値が12.5mAであった場合には、両パッド間の合成抵抗値が160Ωであると算出される。従って、感圧素子R1〜R8の抵抗値がそれぞれ80Ωであると算出されるので、感圧素子R1〜R8は、各々の抵抗値が100Ωから80Ωに変化する程度の応力を均等に受けている状態であったということが判る。
【0122】
次に、センサチップ10の中心部より右方向Rに応力が加えられた場合について説明する。この場合、センサチップ10が最も歪むのは感圧素子R8付近であり、次に歪むのは感圧素子R1及びR7付近である。その結果、例えば、感圧素子R8の抵抗値が100Ωから80Ωに変化し、感圧素子R1及びR7の抵抗値が100Ωから90Ωに各々変化しし、その余の感圧素子R2〜R6の抵抗値がいずれも100Ωに維持されたものとする。
【0123】
第1切替フェイズSW1では、パッドP34で得られる第1出力電圧V1が1V(=2V×100Ω/200Ω)となる。従って、感圧素子群Ra(=R2+R3)の合成抵抗値と感圧素子群Rb(=R4+R5)の合成抵抗値との比が1:1であることが判る。また、第1切替フェイズSW1では、パッドP78で得られる第2出力電圧V2が1.06V(=2V×190Ω/360Ω)となる。従って、感圧素子群Rc(=R6+R7)の合成抵抗値と感圧素子群Rd(=R8+R1)の合成抵抗値との比が19:17であることが判る。
【0124】
第2切替フェイズSW2では、パッドP45で得られる第1出力電圧V1が1V(=2V×100Ω/200Ω)となる。従って、感圧素子群Ra(=R3+R4)の合成抵抗値と感圧素子群Rb(=R5+R6)の合成抵抗値との比が1:1であることが判る。また、第2切替フェイズSW2では、パッドP81で得られる第2出力電圧V2が0.94V(=2V×170Ω/360Ω)となる。従って、感圧素子群Rc(=R7+R8)の合成抵抗値と感圧素子群Rd(=R1+R2)の合成抵抗値との比が17:19であることが判る。
【0125】
第3切替フェイズSW3では、パッドP56で得られる第1出力電圧V1が0.97V(=2V×190Ω/390Ω)となる。従って、感圧素子群Ra(=R4+R5)の合成抵抗値と感圧素子群Rb(=R6+R7)の合成抵抗値との比が20:19であることが判る。また、第3切替フェイズSW3では、パッドP12で得られる第2出力電圧V2が0.92V(=2V×170Ω/370Ω)となる。従って、感圧素子群Rc(=R8+R1)の合成抵抗値と感圧素子群Rd(=R2+R3)の合成抵抗値との比が17:20であることが判る。
【0126】
第4切替フェイズSW4では、パッドP67で得られる第1出力電圧V1が0.92V(=2V×170Ω/370Ω)となる。従って、感圧素子群Ra(=R5+R6)の合成抵抗値と感圧素子群Rb(=R7+R8)の合成抵抗値との比が20:17であることが判る。また、第4切替フェイズSW4では、パッドP23で得られる第2出力電圧V2が0.97V(=2V×190Ω/390Ω)となる。従って、感圧素子群Rc(=R1+R2)の合成抵抗値と感圧素子群Rd(=R3+R4)の合成抵抗値との比が19:20であることが判る。
【0127】
これらの検出結果に基づいて演算を行うと、R1:R2:R3:R4:R5:R6:R7:R8=0.9:1:1:1:1:1:0.9:0.8という抵抗比が導出される。この抵抗比から、感圧素子R8に対して最も強い応力が加わっており、次いで感圧素子R8の両端に位置する感圧素子R1及びR7に対して次点の応力が加わっていることが判る。その結果、ロジック部23では、センサチップ10の中心部より右方向Rに応力が加えられたものと判定することができる。
【0128】
同様の例として、R1:R2:R3:R4:R5:R6:R7:R8=0.95:1:1:1:1:1:0.95:0.9という抵抗比が導出された場合には、上記の例よりも弱い応力がセンサチップ10の中心部より右方向Rに加えられたものと判定することができる。逆に、R1:R2:R3:R4:R5:R6:R7:R8=0.85:1:1:1:1:1:0.85:0.7という抵抗比が導出された場合には、上記の例よりも強い応力がセンサチップ10の中心部より右方向Rに加えられたものと判定することができる。
【0129】
なお、上記では、センサチップ10の中心部より右方向Rに応力が加えられた場合を例に挙げて説明を行ったが、その他の方向に応力が加えられた場合についても、上記と同様の抵抗比算出を行うことにより、入力操作の内容を判定することが可能である。
【0130】
また、上記では、例えば、第1切替フェイズSW1において、パッドP34及びP78に各々現れる電圧を計測したが、その他のパッド(P23、P45、P67、P81)に現れる電圧を計測すれば、上記よりも少ない計測回数で最終結果を得ることができる。
【0131】
また、応力分布に偏りが見られ、センサチップ10の中心から外部応力をかけた方向が検出できる場合であっても、前述したように全体の抵抗値が総じて変化している場合などについては、さらに感圧素子を形成した平面に対して垂直方向にも全体的に応力が加わっていると判定することもできる。
【0132】
<出力検出手法の変形例>
図11は、出力検出手法の一変形例を示す模式図である。本変形例の圧力分布センサ200は、4つの感圧素子群Ra〜Rdにより形成されるブリッジ回路200のほかに、定電流回路220と電流検出回路230を有する。
【0133】
感圧素子群Ra〜Rdは、先述の感圧素子R1〜R8を4グループに分割したものである。パッドPaは、感圧素子群Rdと感圧素子群Raとの接続ノードに接続されており、例えば、先述の第1切替フェイズSW1では、パッドP12がこれに相当する。パッドPbは、感圧素子群Raと感圧素子群Rbとの接続ノードに接続されており、例えば、先述の第1切替フェイズSW1では、パッドP34がこれに相当する。パッドPcは、感圧素子群Rbと感圧素子群Rcとの接続ノードに接続されており、例えば、先述の第1切替フェイズSW1では、パッドP56がこれに相当する。パッドPdは、感圧素子群Rcと感圧素子群Rdとの接続ノードに接続されており、例えば、先述の第1切替フェイズSW1では、パッドP78がこれに相当する。
【0134】
定電流回路220は、パッドPaからパッドPcに流れる定電流を生成する。
【0135】
電流検出回路230は、パッドPbとパッドPdとの間に流れる電流を検出する。
【0136】
先述の出力検出手法では、パッドPaに第1電源電圧VHを印加し、パッドPcに第2電源電圧VLを印加した状態で、パッドPb及びPdに各々現れる電圧を計測していた。これに対して、本変形例の出力検出手法のように、例えば、パッドPaからパッドPcに定電流を流した状態で、パッドPb及びPdに各々現れる電圧を計測したり、或いは、パッドPbとパッドPdとの間に流れる電流を計測したりすることでも、各感圧素子の抵抗比率を導出することが可能である。
【0137】
<センサチップの変形例>
図12は、センサチップ10の一変形例を示す模式図である。先の構成(
図2、
図3、
図8などを参照)において、感圧素子R1〜R8は、各々の長手方向と配列方向とが互いに一致するように環状に形成されていた。ただし、感圧素子R1〜R8の形態はこれに限定されるものではなく、例えば、(a)欄の変形例で示したように、感圧素子R1〜R8は、センサチップ10上で各々の長手方向をセンサチップ10の中心に向けた放射状に形成してもよい。すなわち、感圧素子R1〜R8の長手方向と配列方向とは、互いに一致していなくても構わない。
【0138】
また、先の構成(
図2、
図3、
図8などを参照)において、センサチップ10は、その外部端子数を少なくし、かつ、圧力分布の計測誤差を低減するために、各感圧素子相互間を配線で接続し、各感圧素子相互間の接続ノードを各々チップ外部に引き出すための複数のパッド(P12、P23、P34、P45、P56、P67、P78、及び、P81)を有する構成とされていた。
【0139】
ただし、センサチップ10の形態はこれに限定されるものではなく、例えば、(b)欄の変形例で示すように、センサチップ10は、各感圧素子毎の両端ノードを各々独立にチップ外部に引き出すための複数のパッドP*a及びP*b(ただし*=1、2、…、8)を有する構成とし、センサチップ10の外部で必要に応じて各パッドを任意に接続する形態としてもよい。
【0140】
<キャップ部材を要しないセンサチップ>
図13は、キャップ部材12を要しないセンサチップ10の一構成例を示す模式図である。先にも述べたように、正方形状に切り出されるセンサチップ10では、中心点Oから一番距離の遠い4頂点(a2、a4、a6、a8)が最も曲げ圧力/歪みを強く受ける点(応力集中点)となる。
【0141】
従って、仮に、全ての感圧素子R1〜R8がセンサチップ10の中心点Oから等距離となる位置に設けられていた場合、センサチップ10の中心点Oと4頂点(a2、a4、a6、a8)とを結ぶ線分上に設けられた感圧素子(R2、R4、R6、R8)は、その他の位置(例えばセンサチップ10の中心点Oを通り、かつ、センサチップ10の4辺に垂直な直線上)に設けられた感圧素子(R1、R3、R5、R7)よりも高感度となる。
【0142】
先の例では、センサIC11にキャップ部材12を被せることにより、感圧素子R1〜R8毎の感度を均一化していた。一方、本構成例のセンサチップ10では、感圧素子(R2、R4、R6、R8)から中心点Oまでの距離dxと、感圧素子(R1、R3、R5、R7)から中心点Oまでの距離dyとの間に差を付けることにより、感圧素子R1〜R8毎の感度を均一化している。具体的には、感圧素子R1〜R8を中心点Oに近付けるほど感度が低下する(感圧素子R1〜R8が歪みにくくなる)ことに鑑み、dx<dyとなるように、感圧素子R1〜R8が配置されている。
【0143】
このように、センサチップ10上での応力集中に起因する感度差に対して、中心点Oからの距離に応じた感度差を掛け合わせることにより、キャップ部材12を要することなく感圧素子R1〜R8毎の感度を均等化することが可能となる。ただし、キャップ部材12には、ユーザが方向入力装置X1を操作したときに、入力方向毎の操作感触が異ならないようにする(カクカクしないようにする)という働きもある。そのため、滑らかな操作感を重要視する場合には、センサチップ11にキャップ部材12を被せることが望ましい。
【0144】
また、上記した感圧素子の配置手法を採用しないセンサチップであっても、これを用いた方向入力装置を組み立てた後、各方向に均等な圧力を加えたときのセンサ出力値をそれぞれ比較した上で、各々が均等となるように感度補正値を求めて不揮発性メモリに格納しておけばよい。そして、方向入力装置の実使用時には、上記の感度補正値を用いてセンサ出力値を補正することにより、見掛け上の感度を均一化することが可能となる。
【0145】
<板状部材の変形例>
図14は、板状部材130の一変形例を示す縦断面図である。先の
図7では、プリント配線基板120の裏面側(下面側)で、圧力分布センサ1の中心点直下(延いては、センサチップ10の中心点直下)となる位置に、プリント配線基板120を一点支持する突起部110cを設ける構造を提案した。このような構造を採用すれば、圧力によるセンサチップ10の変形を促すことができるという利点については、先にも述べた通りである。
【0146】
また、上記と同様の利点を享受するためには、本図で示したように、板状部材130の裏面(圧力分布センサ1と対向する面)に凹部130aを設けることも効果的である。なお、筐体110の突起部110cと板状部材130の凹部130aについては、両方を用いてもよいし、或いは、各々を単独で用いてもよい。
【0147】
<付勢部材の適用例>
図15は、付勢部材160の一適用例を示す図である。上段には付勢部材160の上面図が描写されており、下段には付勢部材160の縦断面図(α1−α2断面図)が描写されている。
【0148】
付勢部材160は、センサIC11のパッケージ上面においてユーザの方向入力操作に応じた圧力の分布を生じさせるための部材であり、先出の板状部材130に代えて用いることができる。本構成例の付勢部材160は、複数(本図では8枚)の板バネ部160aと、連結部160bと、から成る菊割れ形状とされている。
【0149】
板バネ部160aは、上面視において、先端ほど幅狭となる台形状(または三角形状)であり、その先端がセンサIC11のパッケージ上面に対向するように配置されている。なお、板バネ部160aの先端は、センサIC11のパッケージ上面に向けて下側に屈曲されている。すなわち、板バネ部160aが撓むことにより、センサIC11のパッケージ上面に対して圧力が加えられる。
【0150】
連結部160bは、センサIC11を中心として各板バネ部160aが放射状に並ぶように各々の根元端を環状に連結する。なお、連結部160bは、センサIC11と共にプリント配線基板120に固着されている。
【0151】
なお、付勢部材160の加工に際しては、例えば、一枚の金属板を打ち抜き加工することにより、複数の板バネ部160aと連結部160bを一体的に形成することができる。
【0152】
図16は、付勢部材160への圧力伝達に適した柱状部材140の断面形状を示す図である。上段には、付勢部材160の上面図が描写されており、下段には付勢部材160や柱状部材140の縦断面図(α1−α2断面図)が描写されている。
【0153】
柱状部材140は、ユーザの方向入力操作を受けて複数の板バネ部160aを撓ませる部材であり、当接部140aと、係止部140bと、を含む。
【0154】
当接部140aは、柱状部材140の中央部下面(付勢部材160との対向面)に設けられており、複数の板バネ部160aに対して各先端付近でそれぞれ当接するように、傾斜を持った形状(中央部が窪んだ凹形状)に加工されている。
【0155】
係止部140bは、ユーザの方向入力操作時に筐体110やプリント配線基板120と接触する。このような構成とすることにより、柱状部材140の傾斜量に上限を持たせるとともに前後左右方向のずれを抑制することが可能となる。また、係止部140bを設けることにより、柱状部材140が筐体110から上方向に抜けてしまうことも防止することが可能となる。
【0156】
例えば、ユーザの方向入力操作が行われると、柱状部材140が傾くので、その傾斜方向に対応する板バネ部160aが撓む。その結果、センサIC11のパッケージ上面においては、ユーザの操作方向に対応する周辺部分が板バネ部160aの先端により押下される状態となるので、ユーザの方向入力操作に応じた圧力の分布が生じる。このような構成によれば、先述のキャップ部材12は不要となる。
【0157】
なお、筐体110の底部は、プリント配線基板120をその周辺部とセンサIC11の直下部で支持する。一方、筐体110の底部では、プリント配線基板120の撓みが期待される部分について、抜き加工(=プリント配線基板120の不支持部分を設けた加工)が施されている。
【0158】
<その他の変形例>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。