(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
  以下、本発明の実施の形態やその変更例が、適宜図面に基づいて説明される。当該形態や変更例における前後上下左右は、説明の便宜上定めたものであり、作業の状況や移動する部材の状態等により変化することがある。又、本発明は、下記の形態や変更例に限定されない。
 
【0009】
  図1は電動工具の一例である震動ドライバドリル1の右側面図であり、
図2は背面図であり、
図3は中央縦断面図であり、
図4は本体部の拡大断面図である。震動ドライバドリル1は、中心軸を前後方向とする筒状の本体2と、本体2の下部から下方へ突出するように形成されたハンドル3を有する。本体2の前端には、先端部においてビット(先端工具)を把持可能な先端工具保持部としてのドリルチャック4が設けられる。又、ハンドル3の下端には、電源となるバッテリパック5が装着されている。本体2の後半部分とハンドル3の外郭であるハウジング6は、左右の半割ハウジング6a,6bを、左右方向のネジ7,7・・によって組み付けることで形成されている。尚、
図1,3,4において、右が前となる。
 
【0010】
  本体2の後部内には、ブラシレスモータ8が収容されている。ブラシレスモータ8は、筒状のステータ9と、ステータ9の内部に配置されステータ9に対して回転可能であるロータ10を備えており、インナロータ型となっている。ロータ10は、回転軸11を備えている。ブラシレスモータ8の前方には、ギヤアッセンブリ12が組み付けられている。ギヤアッセンブリ12は、前方へ突出するスピンドル13を備えており、スピンドル13の前部がハウジング6から前方へ出るように配置されていて、スピンドル13の前部にドリルチャック4が取り付けられている。ギヤアッセンブリ12は、ブラシレスモータ8の回転軸11の回転を減速してスピンドル13に伝達する。本体2の下方であってハンドル3の上部には、スイッチ14が収容されている。スイッチ14は、ハウジング6から露出したトリガ15を備えている。スイッチ14の上方には、回転軸11の回転方向を切り替える正逆切り替えボタン16が設けられ、その前方には、ドリルチャック4の前方を照射するLED17が斜め上向きに収容されている。
 
【0011】
  ハンドル3の下端には、バッテリパック5が前方からスライド装着される装着部18が形成され、装着部18には、バッテリパック5が電気的に接続される端子19aを備えた端子台19と、ブラシレスモータ8を制御するマイコンや6個のスイッチング素子等を備えてスイッチ14やブラシレスモータ8のステータ9と電気的に接続される制御回路基板としてのコントローラ20とが収容されている。装着部18の後面には、ネジボスを介してストラップ係止部21が設けられ、装着部18の左右には、吊り下げ用のフックを取り付けるフック取り付け部22,22が設けられる。バッテリパック5には、3本の充電池セルを含み10.8Vの電圧を印加可能である充電池23と、端子24と、抜け止め用のフック25と、フック25の解除操作を行うボタン26が設けられる。
 
【0012】
  ギヤアッセンブリ12は、ブラシレスモータ8の前方に位置する筒状の第1ギヤケース27と、第1ギヤケース27の前方に組み付けられ、大径部29と小径部30との二段筒形状を有する第2ギヤケース28を有する。ブラシレスモータ8の回転軸11の先端部は、軸受31により支持されており、軸受
31より先端側には、ピニオン32が取り付けられていて、第1ギヤケース27は、ピニオン32を受け入れている。
 
【0013】
  ギヤアッセンブリ12の内部には、インターナルギヤ34A〜34C内で公転する複数の遊星ギヤ36A〜36Cを支持するキャリア35A〜35Cを、軸方向に三段配置した遊星歯車減速機構33が収容されており、回転軸11のピニオン32が一段目の遊星ギヤ36Aに噛み合っている。二段目のインターナルギヤ34Bは、回転可能且つ軸方向へ前後移動可能となっており、前進位置では、大径部29内に保持された結合リング37と噛み合い可能となっている。インターナルギヤ34Bには、連結部材38を介して、ハウジング6に前後へスライド可能に設けられた速度切り替えレバー39が連結されている。速度切り替えレバー39を後方へスライドさせると、連結部材38を介してインターナルギヤ34Bが後退し、二段目の遊星ギヤ36Bとの噛み合いを保ったまま一段目のキャリア35Aの外周に噛み合う。よって、二段目の減速がキャンセルされる高速モードとなる。逆に速度切り替えレバー39を前方へスライドさせると、連結部材38を介してインターナルギヤ34Bがキャリア35Aから離れて前進し、二段目の遊星ギヤ35Bとの噛み合いを保ったまま、結合リング37と噛み合って回転規制される。よって、二段目の減速が機能する低速モードとなる。
 
【0014】
  第2ギヤケース28の小径部30の内側には、スピンドル13に軸方向への震動を付与する震動機構が設けられ、小径部30の外側に、スピンドル13への所定の負荷でスピンドル13へのトルク伝達を遮断するクラッチ機構が設けられて、後述する切り替え操作により、スピンドル13が回転のみ行うドリルモード、所定の負荷でスピンドル13へのトルク伝達を遮断するクラッチモード(ドライバモード)がそれぞれ選択可能となっている。
 
【0015】
  震動機構において、スピンドル13は、小径部30内で前後の軸受40,41によって支持されると共に、その後端が三段目のキャリア35Cにスプライン結合されている。スピンドル13における軸受40,41間には、前方からリング状の第1カム42,第2カム43がそれぞれ同軸で外装されている。第1カム42は、後面にカム歯を有してスピンドル13にスプライン結合されている。第2カム43は、前面にカム歯を有しており、小径部30内でスピンドル13を囲んだ状態で回転不能に配置されている。
 
【0016】
  更に、第1カム42の前方で軸受40との間には、リング状の受け板44によって複数のスチール製のボール45,45・・が保持されており、ボール45と第1カム42の間には、カム板46が設けられている。又、カム板46から後方へ延びるようにアーム47が設けられている。アーム47は、ハウジング6の前方で大径部29へ回転可能に組み付けられてモード切り替えリング48に、連結板49を介して連結されている。アーム47は、モード切り替えリング48の回転操作に伴う連結板49の回転により、カム板46を介して第1カム42を後方へスライドさせ、第1カム42を第2カム43に噛み合わせたり、カム板46を介して第1カム42を前方へスライドさせ、第1カム42の第2カム43に対する噛み合いを解除させたりする。
 
【0017】
  クラッチ機構において、小径部30の外側であってモード切り替えリング48の前方には、クラッチリング50が回転可能に設けられている。クラッチリング50の内側には、小径部30の外周に形成されたネジ部に合うネジ送り板51が、クラッチリング50と一体回転可能且つ軸方向に移動可能に設けられている。ネジ送り板51の後方には、小径部30に回転規制された状態で軸方向に前後移動可能な前受け板52が設けられている。前受け板52の後方には、大径部29と小径部30との間の閉塞部53の前面に接する押圧板54と、その前方に配置される後受け板55とが設けられる。前受け板52と後受け板55との間には、弾性体である複数のコイルバネ56,56が、周方向で等間隔に配置されている。
 
【0018】
  閉塞部53内であって押圧板54の後方には、複数のスチール製のボール57,57が周方向で等間隔に配置されている。各ボール57は、回転可能に設けられた三段目のインターナルギヤ34Cの前面に接しており、インターナルギヤ34Cの前面から前方へ突出するように設けられた図示しないクラッチカムと周方向で係合可能となっている。ボール57,57や押圧板54、後受け板55を介してコイルバネ56,56の付勢力がインターナルギヤ34Cへ伝わることで、インターナルギヤ34Cは回転規制される。クラッチリング50を回転操作してネジ送り板51及び前受け板52を軸方向にネジ送りしてコイルバネ56,56の軸長を変化させることで、コイルバネ56,56のインターナルギヤ34Cに対する押圧力が変更可能である。
 
【0019】
  各動作モードに関し、カム板46が第1カム42を後方へスライドさせない位相となるモード切り替えリング48の第一の回転位置では、第1カム42は第2カム43より前方にあって第2カム43とは噛み合わない。よって、クラッチリング50の回転操作によってインターナルギヤ34Cへの押圧力が変更可能なクラッチモードとなる。このクラッチモードでトリガ15が押し込み操作されてブラシレスモータ8が駆動すると、回転軸11が回転し、遊星歯車減速機構33を介してスピンドル13が回転し、ドリルチャック4に装着したドライバビットでネジ締め等を行うことができる。ネジ締めが進んで、スピンドル13の負荷が、インターナルギヤ34Cを固定するコイルバネ56の押圧力を超えると、インターナルギヤ34Cのクラッチカムがボール57及び押圧板54、後受け板55を前方へ押し出してインターナルギヤ34Cを空転させ、ネジ締めを終了させる(クラッチ作動)。
 
【0020】
  又、第一の回転位置からモード切り替えリング48を所定角度回転させた第二の回転位置では、モード切り替えリング48に設けられた規制リング58が後受け板55に係合して後受け板55の前進を規制する。よって、コイルバネ56の押圧力の大小にかかわらず押圧板54の前方への移動が常に規制されるドリルモードとなる。このドリルモードでスピンドル13が回転すると、スピンドル13への負荷にかかわらず、ボール57がインターナルギヤ34Cのクラッチカムを乗り越えることがないため、インターナルギヤ34Cの固定状態は変わらず、スピンドル13の回転は継続する。尚、このときも第1カム42は後方へスライドしないため、スピンドル13に震動は発生しない。
 
【0021】
  更に、第二の回転位置からモード切り替えリング48を所定角度回転させた第三の回転位置では、カム板46が第1カム42を後方へスライドさせる。一方、規制リング58と後受け板55との係合は変わらない。よって、第1カム42と第2カム43が噛み合う震動モードとなる。この震動モードでスピンドル13を回転させた場合、スピンドル13と一体回転する第1カム42が、小径部30内で固定される第2カム43と噛み合うため、スピンドル13に震動が発生する。尚、規制リング58による押圧板54の固定状態は変わらないため、スピンドル13への負荷にかかわらずスピンドル13の回転は継続することになる。
 
【0022】
  そして、三相のブラシレスモータ8のステータ9は、半割ハウジング6a,6bの内面に形成されたリブ59,59によって前後方向を軸方向として保持されている。
図5〜8に示すように、ステータ9は、複数の鋼板が積層されて形成されたステータコア60を有している。ステータコア60の前後の端面には、電気絶縁部材であるリング状の前インシュレータ61及び後インシュレータ62が組み付けられている。ステータコア60の内側には、内方へ突出する6個のティース63,63・・が、周方向に等間隔で配置されており、各ティース63には、コイル64が巻かれている。前インシュレータ61の前面には、センサ回路基板65がネジ止めされている。センサ回路基板65には、ロータ10に配置された永久磁石68の位置を検出する3個の回転検出素子としての磁気センサ66,66・・が搭載されている。磁気センサ66,66・・は、センサ回路基板65の後面における貫通孔90の周りに周方向で所定間隔を置いて配置され、ここでは、
図10に示されるように、上,左上,左下に配置される。一方、後インシュレータ62は、リング状の後面から後方へ突出するように複数(6個)形成され周方向に等間隔で配置された案内リブ89,89・・を有している。案内リブ89,89・・は、周方向において、ティース63,63・・の間に配置されている。尚、センサ回路基板65に温度検出素子を搭載して、その温度検出信号がコントローラ20に送信されるようにし、コントローラ20は当該信号を監視して所定温度以上の温度が検出されたことを把握するとブラシレスモータ8の制御を停止させるようにしても良い。この場合、ブラシレスモータ8の温度上昇を抑制することができ、特に10.8Vの震動ドライバドリル1では比較的に温度上昇が起き易いことから効果的に温度上昇を抑制することができる。
 
【0023】
  ロータ10は、回転軸11の周囲に配置され、複数の鋼板が積層されて形成された略円筒状のロータコア67と、ロータコア67の内部に固定される4個の板状の永久磁石(焼結磁石)68,68・・を有する。各永久磁石68は、ロータコア67の横断面で回転軸11を中心とした正方形の四辺にそれぞれ位置するように形成された貫通孔の何れかに挿入されており、接着剤による接着及び圧入の少なくとも一方により固定されている。回転軸11の後端は、ハウジング6の後部内に保持された軸受69により支持され、回転軸11には、軸受69の前方に配置される遠心ファン70が取り付けられている。遠心ファン70の径方向外方におけるハウジング6(左右側面)には、排気口71,71・・が形成されており、ステータ9の径方向外方におけるハウジング6(右側面)には吸気口72,72が設けられている(
図1)。
 
【0024】
  ロータコア67と遠心ファン70の間には、後ストッパ73が設けられている。後ストッパ73は、真鍮製でロータコア67と同じ外径を有する円板で、ロータコア67と同軸で回転軸11に固着されている。一方、ロータコア67と前側の軸受31の間であってセンサ回路基板65の内側には、前ストッパ74が設けられている。この前ストッパ74は、真鍮製でロータコア67よりも小さい外径を有する円板で、ロータコア67と同軸で且つロータコア67との間に隙間を空けた状態で回転軸11に固着されている。但し、前ストッパ74の外径は、4個の永久磁石68,68・・で囲まれる内側円よりも大径となって、各永久磁石68の前方に前ストッパ74が位置するようになっている。
 
【0025】
  以下、ステータ9の構造が、主に
図5〜15に基づいて更に詳述される。尚、
図7〜11では、図における上方は震動ドライバドリル
1における前方である。
 
【0026】
  ステータコア60の外周には、凹みとなる軸方向の溝75,75・・が、周方向で等間隔に6本形成されている。各溝75の前端部には、前インシュレータ61の後部から後方へ突出するように一体形成された複数の圧入片76a,76a・・が圧入されており、各溝75の後端部には、後インシュレータ61の前部から前方へ突出するように一体形成された複数の圧入片76b,76b・・が圧入されていて、前インシュレータ61や後インシュレータ62は、歪みが発生したとしてもその歪みに抵抗するように、ステータコア60に対して強固に一体化している。
 
【0027】
  又、前インシュレータ61の側面であってステータコア60の一つの溝75の延長線の上側には、周囲に対し径方向内方へ窪む係止凹部77が形成されている。係止凹部77は、ハウジング6の内面に設けられた図示しない突起を受け入れて当該突起と係合し、この係合により、ステータ9の回り止め及び前後方向の位置決めの少なくとも一方がなされる。尚、係止凹部77が溝75の延長線の上下に2個設けられるようにする等、係止凹部77の数や配置が適宜変更されて良いし、係止凹部77に代えて、あるいはこれと共にステータ9の外面に突体が設けられるようにし、当該突体がハウジング6の内面に設けられた凹部に係合するようにして、ステータ9の回り止め及び前後方向の位置決めの少なくとも一方がなされるようにしても良い。
 
【0028】
  前インシュレータ61の後部において、ティース63,63・・間には6個のスロット78,78・・が形成される。これらのスロット78,78・・の内、半周部分で隣接する3個のスロット78,78・・の前側には、一相分のコイル64,64のワイヤ79(
図14)と各相の電源線80とをヒュージングするヒュージング端子81を保持するための保持部82,82・・が、前方へ突設されている。各保持部82は、断面がコ字状となる一対の突起83,83を有している。突起83,83は、互いに対向する向きで前インシュレータ61の周方向に並べられ、前インシュレータ61のリング状の前端面よりも前方へ突出している。前インシュレータ61における3個の保持部82,82・・の2つの間に位置する各部分であって、対応するティース63の前側外方には、電源線80を保持するための断面U字状のフック84,84が、周方向外方へ突設されている。各フック84の内側部分の後部は、ステータコア60の対応する溝75に入っている。3本の電源線80の内の2本は、ステータ9寄りの位置でテープ109によって束ねられている。
 
【0029】
  又、保持部82,82の間に位置する1個のティース63の前側と、そのティース63から周方向に一個置きで位置する2個のティース63,63の前側(仮想的な正三角形の頂点位置)には、センサ回路基板65をネジ止めするための3個のネジボス85,85・・が前方へ突設されている。各ネジボス85の前方への高さは、保持部82よりも低く(ネジボス85前端が保持部82前端より後方にあり)、且つ前インシュレータ61の前端面よりも高い(ネジボス85前端が前インシュレータ61前端面より前方にある)ものとされている。
 
【0030】
  前インシュレータ61における左上と右のネジボス85,85の間に位置する部分であって、対応するティース63の前側には、段付きボス86Aが前方へ突設されている。段付きボス86Aは、ネジボス85と同じ前方への高さの受け面87と、受け面87よりも前方へ突出するボス88Aを有している。又、前インシュレータ61における左上と左下のネジボス85,85の間に位置する部分にも、同様に段付きボス86Bが設けられている。但し、段付きボス86Bのボス88Bは、ボス88Aより小径となっている。更に、3個のネジボス85,85の各中心を通る仮想の円の直径より、段付きボス86A,86B(ボス88A,88B)の各中心を通る仮想の円の直径が小さくなるように、段付きボス86A,86Bが配置されている。尚、これらの仮想の円の中心は一致する。
 
【0031】
  センサ回路基板65は、回転軸11が貫通する貫通孔90を中心に有しており、貫通孔90に向けて湾曲する切り欠き部91,91・・を周方向で等間隔に6個有していて、各切り欠き部91,91間に、径方向に突出する固定片92を備えている。各切り欠き部91は、前側から後方を向いて見た場合、ステータコア60の内周を越えて、各スロット78と重なる位置に達している。又、合計6個の各固定片92の先端(径方向外側部分)は、ステータコア60の外周を越えており、右下(固定片92A)と左下(固定片92B)の固定片92,92は、他の4個の固定片92,92・・よりも長く形成されている。
 
【0032】
  左下の固定片92Bを含む固定片92,92・・(左下,左上,右)の先端部を結ぶ仮想的な正三角形の頂点位置には、ネジボス85,85・・に対応するネジ孔が設けられ、当該ネジ孔を有するセンサ回路基板65は、対応するネジ孔に配置されたネジ93,93・・によって固定されている。又、左上と右のネジ93,93の間に配置される右上の固定片92の先端部には、段付きボス86Aのボス88Aが差し込まれ、左上と左下のネジ93,93の間に配置される左の固定片92の先端部には、段付きボス86Bのボス88Bが差し込まれる。
 
【0033】
  更に、残る右下の固定片92Aの前面には、3個の磁気センサ66,66・・の検出信号を出力する6本のリード線95A,95A・・の各上端を接続する接続部94が設けられている。第1センサ信号線としてのリード線95A,95A・・の下端には、リード線95A,95A・・をまとめるコネクタ96Aが設けられる。一方、下方のコントローラ20からは、第2センサ信号線としての6本のリード線95B,95Bが引き出されており、これらの上端には、これらをまとめるコネクタ96Bが設けられる。そして、コネクタ96A,96Bは着脱自在であり、互いに装着されると、各リード線95Aと、対応するリード線95Bが電気的に接続される。リード線95A,96Aやコネクタ96A,96Bは、
図3,4において省略されており、
図5〜13においてハウジング6内で引き回す前の状態(真っ直ぐな状態)における一部分が示されている。尚、コネクタ96A,96Bは、リード線95A,95Bが接続可能であれば、それぞれ2個以上あっても良く、1個のコネクタ96Aに対して2個あるいは3個以上のコネクタ96Bが接続されるものやその逆等であっても良い。又、例えばコネクタ96Aが2個ある場合に、リード線95Aが3本ずつに分けられても良いし、2本と4本に分けられても良いし、1本と5本に分けられても良い。更に、コネクタ96Aがオス(凸)でコネクタ96Bがメス(凹)であっても良いし、その逆であっても良いし、1個のコネクタにおいてオスメスが混在(凸凹)していても良い。コネクタ96A(96B)が複数ある場合において、互いに異なる大きさや形状として、誤接続が防止されるようにしても良い。
 
【0034】
  各ヒュージング端子81は、帯状の金属板を断面U字状に二つ折りにして形成されており、一方の板部97Aを径方向内側とし、他方の板部97Bを径方向外側とし、カール部99を後方に向けた状態で、保持部82に保持されている。内側の板部97Aの両側には、径方向の内方に曲がった後で周方向の外方に曲がる羽根片98,98が形成されており、各羽根片98が、対応する突起83に差し込まれる。外側の板部97Bの先端部(前端部)には、径方向外側へ折り返された折り返し部100aが形成されている。各ヒュージング端子81のカール部99の内側には、電源線80の上端部が収まる。又、板部97Bにおけるカール部99の上側に位置する部分には折れ曲がり部100が形成されており、その内側にはワイヤ79が収まり、特にU相のヒュージング端子81Uには、ワイヤ79の始端部79aと終端部79bが収まる(
図11)。ヒュージング端子81,81・・は、保持部82,82・・により、ステータ9の下半部(半周部分)の径方向外側に集まって配置される。
 
【0035】
  電源線80は、撚り線を含む導線部と、これを被覆する絶縁体の被覆部を有している。電源線80の上端部(先端部)は、対応するヒュージング端子81やその周辺(前インシュレータ61)の形状に合わせて曲げられており、当該上端部において、最上端部(最先端部)には被覆部を残存させた被覆残存部80aが設けられ、被覆残存部80aの下側に、導線部が露出した所定長さの導線露出部(撚り線露出部)80bが設けられる。導線露出部80bの長さは、ヒュージング端子81(カール部99)の幅(周方向での大きさ)より僅かに長いものとされている。電源線80における導線露出部80bより下方(基端側)の部分は、絶縁被覆部付きの導線部となっている。被覆残存部80aが設けられることにより、導線露出部80bにおいて撚り線が分散する事態を防止することができ、導線をまとめることができる。尚、導線をまとめる手段(撚り線分散防止手段)は、被覆残存部80aの設置に代えて、又はこれと共に、熱収縮チューブにより導線部の最先端部(の一部)が被覆されたり、スプライス端子で先端がかしめられたり、ハンダや溶接、熱硬化性樹脂で当該最先端部が固められたり、これらの組合せが採用されたりするものであって良い。
 
【0036】
  又、ステータ9から引き出される各電源線80の先(下部)には、接続端子としてのギボシ端子101が設けられる。一方、下方のバッテリパック5の装着部18の端子19aから上方へ引き出される図示しない3本の電源線が設けられ、これらの電源線にもそれぞれ接続端子としてのギボシ端子が設けられる。そして、各電源線80のギボシ端子101と、対応する装着部18からの電源線のギボシ端子とは、互いに着脱自在であり、装着されることで、各電源線80と、対応する装着部18からの電源線が電気的に接続される。第1電源線としての各電源線80は、コイル64,64・・に接続されており、第2電源線としてのコントローラ20の各電源線は、対応する電源線80を介してコイル64,64・・に給電するため、装着部18の端子19aを介してバッテリパック5に接続されている。
図3,4において、ギボシ端子101,101・・やこれらより下方の各電源線は省略されている。尚、コネクタ96A,96Bと同様、ギボシ端子101,101・・の個数や接続態様(オスメスや誤接続防止等)が変更されて良い。又、電源線80,80・・と装着部18からの電源線を着脱可能とするためのギボシ端子101,101・・、あるいはリード線95A,95Bを着脱可能とするためのコネクタ96A,96Bの一方が省略されても良い。更に、電源線80,80・・と装着部18からの電源線を着脱可能とするためにコネクタ96A,96Bが設けられても良いし、リード線95A,95Bを着脱可能とするためにギボシ端子101,101・・が設けられても良い。
 
【0037】
  全部で3個の各ギボシ端子101は、導電端子部101aと絶縁被覆部101bを備えており、装着部18からの電源線のギボシ端子も同様である。これらの装着は、導電端子部同士を接続し、その接続部にそれぞれの絶縁被覆部を被せることでなされ、脱除(取り外し)は絶縁被覆部を移動させて導電端子部同士の接続を解除することでなされる。尚、絶縁被覆部は何れか一方の電源線に配置されても良いし、最も外側の導電端子部のみに配置されても良いし、複数の導電端子部に共通するものとされても良い。
 
【0038】
  上述の通りセンサ回路基板65はネジ93,93・・によって固定されており、又コイル64,64・・に給電する各電源線80ないし装着部18からの各電源線にはギボシ端子101等が介装されて各電源線80と装着部18からの各電源線が互いに着脱可能とされており、更にセンサ回路基板65の磁気センサ66,66・・と接続されるリード線95A,95A・・ないしコントローラ20からのリード線95B,95B・・にはコネクタ96A,96Bが介装されてリード線95A,95Bが互いに着脱可能とされている。よって、各ギボシ端子101の接続を解除して電源線80と装着部18からの電源線を分離すると共に、コネクタ96A,96Bの接続を解除してリード線95A,95Bを分離することにより、ブラシレスモータ8をバッテリパック5の装着部18やコントローラ20等から分離して取り出すことができる。そして更にネジ93,93・・を外すことによって、センサ回路基板65をステータ9から分離することができ、各リード線95Aの付いたセンサ回路基板65を単体で取り出すことができる。又、取り出したブラシレスモータ8やセンサ回路基板65は、電源線80と装着部18からの電源線の装着やコネクタ96A,96Bの装着により、再び装着部18やコントローラ20と容易に接続することができ、又新しいブラシレスモータ8やセンサ回路基板65も、装着部18やコントローラ20と容易に接続することができる。尚、電源線80と装着部18からの電源線が分離されなくても、リード線95A,95Bが分離され、ネジ93,93・・が外されれば、センサ回路基板65を取り出すことができる。又、リード線95A,95Bが分離されなくても、電源線80と装着部18からの電源線が分離され、ネジ93,93・・が外されれば、ブラシレスモータ
8(センサ回路基板65以外の部分)を取り出すことができる。
 
【0039】
  センサ回路基板65と6個のコイル64,64・・の間には、金属製の放熱リング103が設けられている。放熱手段としての放熱リング103は、磁気センサ66の配置領域の径よりも大きい内径を有していて、6個のコイル64,64・・に亘っており、各コイル64の前端部に対し、熱伝導性を有し絶縁性を有する接着剤によって接着されている。放熱リング103には、周方向において等間隔に透孔103a,103aが複数(6個)設けられており、スロット78を通過する空気の流量が確保されるし、放熱リング103と空気との接触面積を増やして放熱効果が向上している。尚、
図5,6において、放熱リング103の図示が省略されている。又、放熱手段は、放熱リング103のようなリング状の部材が1個設置されるものに代えて、複数のコイル64に亘る円弧状の部材が単数又は複数設置されるものとされても良いし、単数又は複数のコイル64に個別に設けられた部材とされても良いし、少なくとも何れかの部材においてフィンが単数又は複数設けられたものとされても良いし、ステータ9の前側に代えてあるいは前側と共に、後側に配置されても良い。
 
【0040】
  6個のコイル64,64・・は、1本のワイヤ79を各ティース63,63へ順番に巻くことで形成される。コイル64,64・・は、相に応じてそれぞれヒュージング端子81に結線される。一相分の対向するコイル64,64は、後インシュレータ62側に配置される渡り線102によって結線されている。以下、コイル64,64・・の巻き方法について説明する。U,V,Wの三相を区別する場合、構成要素の符号にU,V,Wの何れかの符号が付加され、同じ相における一対のティース63やコイル64を区別する場合、63U1,63U2,64U1,64U2というように、更に符号(数字)1,2が付加される。
 
【0041】
  図14(A)は、前インシュレータ61側におけるコイル64,64・・の巻き方法を示す模式図であり、
図14(B)は後インシュレータ62側における同模式図であって、これらの図中、丸内に×を付した記号は、紙面の垂線上で紙面手前から紙面奥への向きにおいてワイヤ79が巻かれることを示し、丸内に黒点を付した記号は、紙面の垂線上で紙面奥から紙面手前への向きにおいてワイヤ79が巻かれることを示す。尚、丸内に×を付した記号は、
図14(A)において震動ドライバドリル1の後方への向きを示し、
図14(B)において震動ドライバドリル1の前方への向きを示す。
 
【0042】
  ワイヤ79の巻き方法において、まずU相の電源線80Uが仮固定されたヒュージング端子81Uにワイヤ79の始端部79a(
図11参照)が仮固定され、その右側に位置するティース63U1にワイヤ79が左側から巻かれてコイル64U1が形成される。次いで、ワイヤ79が後インシュレータ62側でティース63U1の左側から引き出され、後インシュレータ62の案内リブ89,89・・の外面に沿って、実線矢印で示す渡り線102Uとして左上方へ(後インシュレータ62の後から前方を見た
図14(B)における時計回りで)略半周引き回され、ティース63U1に対向するティース63U2に下側から巻かれ、コイル64U2が形成される。更に、前インシュレータ61側でワイヤ79がティース63U2の下側から引き出され、W相の電源線80Wを仮固定したヒュージング端子81Wに仮固定される。
 
【0043】
  続いて、ヒュージング端子81Wの下側に位置するティース63W1にワイヤ79が左上側から巻かれてコイル64W1が形成される。次いで、ワイヤ79が後インシュレータ62側でティース63W1の左上側から引き出され、点線矢印で示す渡り線102Wが案内リブ89,89・・の外側において右方へ略半周引き回され、ティース63W1に対向するティース63W2に上側から巻かれてコイル64W2が形成される。更に、後インシュレータ62側でワイヤ79がティース63W2の下側から引き出され、点線矢印で示す渡り線102Wとして案内リブ89,89・・の外側において左方へ略半周引き回された後、前インシュレータ61側でワイヤ79がティース63W1の右側に引き出され、V相の電源線80Vを仮固定したヒュージング端子81Vに仮固定される。つまり、W相のコイル64W1,64W2の間のワイヤ79は、後インシュレータ62側で略半周分ずつ計2回渡る渡り線102W,102Wとなる。
 
【0044】
  更に、ヒュージング端子81Vの右側に位置するティース63V1にワイヤ79が左側から巻かれてコイル64V1が形成される。次いで、ワイヤ79が後インシュレータ62側でティース63V1の左側から引き出され、一点鎖線矢印で示す渡り線102Vが案内リブ89,89・・の外側において上方へ略半周引き回され、ティース63V1に対向するティース63V2に左側から巻かれ、コイル64V2が形成される。更に、後インシュレータ62側でワイヤ79がティース63V2の右側から引き出され、一点鎖線矢印で示す渡り線102Vとして案内リブ89,89・・の外側において下方へ略半周引き回された後、前インシュレータ61側でワイヤ79がティース63V1の右側に引き出され、ヒュージング端子81Uにワイヤ79の終端部79bが仮固定される。つまり、V相のコイル64V1,64V2の間のワイヤ79は、後インシュレータ62側で略半周分ずつ計2回渡る渡り線102V,102Vとなる。渡り線102U,102W,102Vは、案内リブ89,89・・の径方向外側で軸方向に重なるように配置される。そして、各ヒュージング端子において電源線80とワイヤ79がヒュージングされることで、
図15に示すように、ステータ9において、相毎に一対のコイル64,64が直列に結線され、各相がデルタ結線されることとなる。
 
【0045】
  かように結線が完了してセンサ回路基板65を取り付けたステータ9において、各電源線80は、センサ回路基板65を介さずにコイル64,64・・に接続される。又、センサ回路基板65は、ネジボス85の上面及び段付きボス86A,86Bの受け面87,87により、前インシュレータ61のリング状の前端面よりも前方の位置でステータ9の軸線と直交するように支持される。このとき、フック84,84の先端(前端)は、固定片92A,92Bの下面に接して、固定片92A,92Bを支持する。各相のコイル64,64間の渡り線102,102・・は、後インシュレータ62側に配置されるので、前インシュレータ61とセンサ回路基板65の間には隙間が形成される。又、各保持部82及び各ヒュージング端子81はセンサ回路基板65の切り欠き部91を貫通してセンサ回路基板65よりも前方へ突出し、前側から後方を見た場合にスロット78は周方向において切り欠き部91と重なる位置に配置されている。
 
【0046】
  更に、電源線80はフック84と固定片92で保持されており、配線後の移動が防止されるし、フック84に掛けることで容易に配線することができる。又、磁気センサ66のリード線95Aが接続される固定片92Aは、フック84により支持されるため、リード線95Aが断線し難くなる。更に、ブラシレスモータ8の軸心からボス88Aの中心までの径方向の距離は、当該軸心からネジ93の中心までの径方向の距離よりも小さいため、センサ回路基板65の振動が抑制される。
 
【0047】
  かような震動ドライバドリル1では、トリガ15が押し込み操作されてスイッチ14がオンとされると、コントローラ20のマイコンが、センサ回路基板65の磁気センサ66,66・・から出力されるロータ10の永久磁石68,68・・の位置を示す回転検出信号を得てロータ10の回転状態を取得し、取得した回転状態に応じて各スイッチング素子のオンオフを制御し、ステータ9の各相のコイル64,64に対し順番に励磁電流を流すことでロータ10を回転させる。よって、回転軸11が回転し、遊星歯車減速機構33を介してスピンドル13やドリルチャック4が選択された動作モードに従い回転し、ドリルチャック4に装着され回転されたビットが被加工材に適用される。
 
【0048】
  回転軸11の回転に伴って遠心ファン70が回転すると、ハウジング6の側面の吸気口72から外気が吸い込まれ、ステータ9の外側及び内側(ロータ10との間)を通って排気口71から排出され、ブラシレスモータ8が冷却される。このとき、ステータ9では、センサ回路基板65の切り欠き部91によって、スロット78が前側から後方を見た場合において露出しており、又センサ回路基板65と前インシュレータ61との間に渡り線102が配線されないことから、ステータ9の内側を通る空気は、センサ回路基板65や渡り線102によって阻害されることなく、各コイル64の両側でスムーズにスロット78を通過することができる。よって、各コイル64は、効果的に冷却される。又、各ヒュージング端子81は、固定片92の間に位置しているので、切り欠き部91を通過する空気によって効果的に冷却される。更に、ロータ10では、前後に前ストッパ74と後ストッパ73が設けられているため、各永久磁石68の前後方向の移動が規制され、ロータコア67からの脱落が効果的に防止される。
 
【0049】
  そして、以上の震動ドライバドリル1では、コイル64,64・・を有するステータ9と、ステータ9に取り付けられ、磁気センサ66,66・・が設けられるセンサ回路基板65と、ステータ9に対して回転可能なロータ10と、ロータ10により駆動されるドリルチャック4と、コイル64,64・・に給電するための電源線80,80・・と、を備えており、電源線80,80・・は、センサ回路基板65を介さずにコイル64,64・・に接続される。よって、電源線80,80・・の接続を保ったままセンサ回路基板65を取り外し可能とすることができる。又、センサ回路基板65上の磁気センサ66,66・・やリード線95A,95A・・やその接続部94に対する電源線80,80・・(内の電流)の影響を低減することができ、磁気センサ66,66・・ないしその信号の作動の信頼性がより一層高まる。
 
【0050】
  又、コイル64,64・・を有するステータ9と、ステータ9に対しネジ93,93・・によって取り付けられ、磁気センサ66,66・・が設けられるセンサ回路基板65と、ステータ9に対して回転可能なロータ10と、ロータ10により駆動されるドリルチャック4と、を備えており、センサ回路基板65は、ネジ93,93・・を外すことによりステータ9から取り外される。よって、センサ回路基板65がステータ9から再接続の容易な状態で分離され、センサ
回路基板65やステータ9のメンテナンス等が容易で低コストになる。
 
【0051】
  更に、コイル64,64・・を有するステータ9と、ステータ9に取り付けられ、磁気センサ66,66・・が設けられるセンサ回路基板65と、ステータ9に対して回転可能なロータ10と、ロータ10により駆動されるドリルチャック4と、ロータ10の回転を制御するコントローラ20と、磁気センサ66,66・・に接続されるリード線95A,95A・・と、コントローラ20に接続されるリード線95Bと、を備えており、リード線95Aと、リード線95Bは、互いに着脱可能とされている。よって、リード線95A,95Bの脱除により、センサ回路基板65がコントローラ20から再接続の容易な状態で分離され、センサ回路基板65やコントローラ20のメンテナンス等が容易で低コストになる。又、リード線95A,95B・・には、コネクタ96A,96Bが介装されており、これらがシンプルな構成で着脱可能となる。
 
【0052】
  又更に、コイル64,64・・を有するステータ9と、ステータ9に対して回転可能なロータ10と、ロータ10により駆動されるドリルチャック4と、コイル64,64・・に給電するためのバッテリパック5の装着部18からの電源線と、コイル64,64・・に接続される電源線80,80・・と、を備えており、装着部18からの電源線と電源線80,80・・は、互いに着脱可能とされている。よって、装着部18からの電源線と電源線80,80・・の脱除により、ステータ9が装着部18から再接続の容易な状態で分離され、ステータ9や装着部18のメンテナンス等が容易で低コストになる。又、装着部18からの電源線と電源線80,80・・には、ギボシ端子101,101・・が介装されており、これらがシンプルな構成で着脱可能となる。
 
【0053】
  加えて、コイル64,64・・を有するステータ9と、ステータ9に対して回転可能なロータ10と、ロータ10により駆動されるドリルチャック4と、ステータ9に固定され、コイル64,64・・と接続されるヒュージング端子81,81・・と、撚り線(導線露出部
80b)を有しており、コイル64,64・・に給電するための電源線80,80・・と、を備えており、電源線80,80・・は、ヒュージング端子81,81・・に、撚り線(導線露出部
80b)の分散を防止する撚り線分散防止手段を有する状態で接続されている。よって、撚り線が分散することで電源線80,80・・の配線が困難となったり所望のヒュージング端子81以外に電源線80が接続されたりする事態を防止することができる。又、電源線80,80・・は、撚り線を被覆する被覆部を有しており、前記撚り線分散防止手段は、撚り線が露出しており何れかのヒュージング端子81に接続される導線露出部80bより先端側において前記被覆部を残存させた被覆残存部80aを含んでいるので、前記撚り線分散防止手段がシンプルに構成される。
 
【0054】
  尚、本発明の形態は上記形態に限定されず、例えば上記形態に対して次のような変更を適宜施すことができる。ステータの前後方向の位置決めや回り止めに関し、前インシュレータの係止凹部に代えて、あるいはこれと共に、ステータコアの外面に突起部が設けられるようにして、ハウジング内面の凹み部にその突起部が係合されるようにしても良い。又、ブラシレスモータに関し、複数本のワイヤでコイルが形成されても良いし、各相のコイルがY結線されても良いし、極数やスロットの数が増減されても良いし、ロータは永久磁石を埋め込むIPM方式に代えて永久磁石を表面に配置するSPM方式で形成されても良いし、ロータの磁石は平板状のものに代えて回転方向に沿って湾曲したものであっても良い。電源線は、センサ回路基板を介してステータ(コイル)に接続されても良い。センサ回路基板を取り付けるためのネジには、圧入ピンや爪付きピン等が含まれて良い。センサ回路基板における磁気センサの配置は、全周に亘るものを始めとして様々に変更することができる。磁気センサのリード線は、ステータの軸方向に延ばしても良いし、スロットの延長線に沿うように配置しても良い。センサ回路基板に、インバーター回路を形成するスイッチング素子が設けられても良い。この場合、スイッチング素子は、軸方向で磁気センサに重なる位置に配置しても良いし、軸方向で重ならない位置に配置しても良い。
 
【0055】
  ファンは、ステータよりも前方に配置しても良い。バッテリは、14.4V、18V(最大20V),18V,25.2V,28V,36V等の18〜36Vの任意のリチウムイオンバッテリを用いることができ、10.8V未満あるいは36Vを超える電圧のリチウムイオンバッテリを用いることもできるし、他の種類のバッテリを用いることもできる。ハウジングの区分の数や遊星歯車の設置数、減速機構の段数やボール・ローラの数、各種突体・突片・ネジの数、磁気センサの数を増減したり、スイッチレバーのスイッチの形式を変更したり、永久磁石をコイル(電磁石)としたり、スチール製のボールを真鍮製とする等、各種部材の数や形式、材質、配置、大きさ等を適宜変更することができる。
 
【0056】
  又、出力軸(先端工具保持部)の方向が動力部の方向(モータのロータ軸の方向やその回転力を伝達する機構の伝達方向)と異なる(略90度となる)アングル電動工具にも、本発明を適用することができる。更に、商用電源で駆動されるものを始めとする充電式(バッテリ駆動)でないドライバドリルや、インパクトドライバやグラインダ、マルノコ、ハンマ、ハンマドリル等の他の電動工具や、クリーナ、ブロワ、あるいは園芸用トリマをはじめとする園芸工具等に、本発明を適用することができる。