(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
<第1実施形態>
[概略構成]
本発明の一実施形態における表示装置は、OLEDを用いた有機EL(Electro−Luminescence)表示装置である。この例での有機EL表示装置は、白色光を放出するOLEDを用いる。このOLEDからの白色光を、カラーフィルタに通過させてカラー表示を得る。
【0010】
表示装置は第1基板と第2基板とが貼り合わされた構成になっている。第1基板には、OLEDの発光状態を制御するための薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)等の駆動素子が配置されている。第2基板には、カラーフィルタ等が形成されている。第1基板と第2基板との間には、空隙を埋めるように充填材が設けられていてもよい。
【0011】
第1基板に配置されたOLEDからの光は、第1基板側とは反対側に放出され、第2基板に配置されたカラーフィルタを通してユーザに視認されるトップエミッション方式が用いられている。
【0012】
なお、この例においては、トップエミッション方式の有機EL表示装置を、実施形態の一例として説明しているが、所定の積層構造(詳細は後述する)を有する画素電極を用いる表示装置であれば、どのような表示装置であってもよい。例えば、ボトムエミッション方式の有機EL表示装置であってもよいし、液晶を用いた表示装置であってもよい。
【0013】
本発明の一実施形態における表示装置では、以下に説明するとおり、所定の積層構造を有する画素電極において表示不良が発生することを抑制することができる。
【0014】
[表示装置1000の外観構成]
図1は、本発明の一実施形態における表示装置の概略構成を示す図である。表示装置1000は、表示領域D1および走査線駆動回路103が配置された第1基板1と、表示領域D1および走査線駆動回路103を覆うように配置された第2基板2とを備えている。また、表示装置1000は、第1基板1に取り付けられたドライバIC104およびFPC(Flexible printed circuits)106を備える。第2基板2には、カラーフィルタ等が配置されている。
【0015】
表示領域D1には、走査線101、および走査線101と垂直に交わるデータ信号線102が配置されている。走査線101とデータ信号線102との交差部に対応する位置には、画素105が配置されている。画素105は、マトリクス状に配置されている。なお、
図1においては、1つの画素105につき、走査線101またはデータ信号線102に沿った方向に延びる信号線が1本であるが、複数であってもよい。また、表示領域D1には電源線等の所定の電圧を供給する配線が配置されてもよい。
【0016】
走査線駆動回路103は、走査線101に制御信号を供給する。ドライバIC104はデータ信号線102にデータ電圧を供給し、また、走査線駆動回路103を制御する。なお、表示領域D1の周囲に、その他の駆動回路がさらに設けられていてもよい。
【0017】
各画素105には、制御信号およびデータ電圧に基づいて発光を制御するための画素回路と、画素回路によって発光が制御される発光素子(OLED)とを含む表示素子が配置されている。画素回路は、例えば、薄膜トランジスタおよびコンデンサを含み、制御信号およびデータ電圧によって薄膜トランジスタを駆動して、発光素子の発光を制御する。この発光の制御によって、表示領域D1に画像が表示される。
【0018】
[表示装置1000の断面構成]
続いて、表示装置1000の断面構成について説明する。以下では、表示領域D1における画素回路等の断面構造を説明する。
【0019】
図2は、本発明の第1実施形態における表示装置の表示領域における断面構成を示す模式図である。以下に説明する断面構成は、いずれにおいても端面図として表している。第1基板1における第1支持基板10および第2基板2における第2支持基板20は、ガラス基板である。なお、第1支持基板10および第2支持基板20の一方または双方が、フレキシブル性を有する樹脂基板であってもよい。
【0020】
第1基板1の構成について説明する。第1支持基板10上に、薄膜トランジスタ110が配置されている。薄膜トランジスタ110を覆うように、層間絶縁層200が配置されている。層間絶縁層200上には画素電極300が配置されている。層間絶縁層200は、例えば、感光性のアクリル樹脂を塗布し、露光、現像、および焼成を経て、所望のパターンが形成された層である。層間絶縁膜200は、画素電極300を形成するに先立ち、表面を平坦化する役目も有しているため、アクリル樹脂等が好適であるが、無機材料で形成されてもよい。なお、
図2において、層間絶縁層200は、単層で表されているが、複数の絶縁膜の積層であってもよい。この場合、複数の絶縁膜の間に配線が設けられていてもよい。この例では、層間絶縁層200は、アクリル樹脂だけでなく、その表面側、すなわち画素電極300と接する面側に、窒化シリコン膜(SiN)を含む積層構造である。
【0021】
画素電極300は、層間絶縁層200に設けられたコンタクトホール250を介して薄膜トランジスタ110の導電層115に接続されている。画素電極300は、OLEDのアノード電極として用いられる。ここで、表示装置1000は、トップエミッション方式で画像を表示するため、画素電極300は光透過性を有しなくてもよい。したがって、画素電極300は、OLEDが放出した光を反射する層を含んでいてもよい。この例では、画素電極300は、光反射性を有する反射層(この例では、銀:Ag)と、この反射層を挟むように光透過性を有するインジウム酸化物など金属酸化物を含む導電層(この例では、ITO:Indium Tin Oxide)とが積層された積層構造を有している。反射層は、Ag、Al等の可視光領域に高い反射率を有する材料が用いられることが望ましい。
【0022】
OLED側の金属酸化物導電層は、OLEDとの関係で有利な仕事関数を有するために用いられる一方、光の反射を妨げるべきではない。さらには、膜厚を所定の値に制御することによって、良好な干渉効果によってOLEDからの光を効率的に外部に放出させることもできる。このような効果を得るためには、他の膜に比べて薄い層が求められている。一方、層間絶縁層200側の金属酸化物導電層については、層間絶縁層200との密着性の良さ、薄膜トランジスタ110の導電層との接続の良さ等、製造工程の関係性によって用いられている。反射層に積層される金属酸化物導電層は、このような特徴を有する膜であることが望ましい。なお、層間絶縁層200側の金属酸化物導電層は存在しなくてもよい。
【0023】
保護層350は、画素電極300の外周端部において、この外周端部を覆うように配置されている。保護層350は、無機絶縁材料(酸化シリコン:SiO
2、窒化シリコン:SiN等)または無機導電材料(チタン:Ti、タンタル:Ta等)で形成されている。この例では、無機絶縁材料の酸化シリコンによって、保護層350が形成されている。
【0024】
図3は、本発明の第1実施形態における画素電極と保護層との位置関係を示す模式図である。画素電極300は、
図3における網掛け部分である。破線部分が画素電極300の端部300Eである。保護層350は、端部300Eを覆い、画素電極300の一部を露出するように環状に配置されている。すなわち、保護層350の外側端部350E1は、画素電極300の端部300Eと同じ位置またはさらに外側に位置している。保護層350の内側端部350E2は、画素電極300の端部300Eの内側に位置している。保護層350の内側とは、画素電極300が露出されている側に対応する。画素電極300および保護層350の断面構造の詳細は後述する。
【0025】
図2に戻って説明を続ける。バンク層400は、画素電極300の端部300Eおよび隣接する画素間を覆い、画素電極300の一部を露出する開口部を備えている。また、この例では、バンク層400は、保護層350の内側端部350E2の側壁を露出し、外側端部350E1を覆っている。バンク層400は、保護層350の上面の全てを覆っていてもよいし、上面のうち内側端部350E2側の一部を露出していてもよい。バンク層400が保護層350の上面の全てを覆っている場合には、バンク層400の表面と保護層350の内側端部350E2の側壁とが、連続的につながっているといえる。このように連続的につながっている状態において、バンク層400の表面と内側端部350E2の側壁とは、それぞれの傾きが同じであってもよいし、異なっていてもよい。バンク層400は、アクリル樹脂等の有機絶縁材料で形成されている。
【0026】
発光層500は、OLEDであり、画素電極300とバンク層400とを覆って、これらの構成と接触する。このとき、保護層350の内側端部350E2の側壁についても発光層500と接触する。光透過性電極600は、発光層500を覆い、OLEDのカソード電極(画素電極300に対する対向電極)を形成する。光透過性電極600は、OLEDからの光を透過する電極であり、例えば、ITO、IZOなどの金属酸化物、または光が透過する程度に薄い金属層等が適用される。封止層700は、発光層500への水分、ガス等の発光層を劣化させる成分の到達を抑制するための層であり、光透過性電極600を覆う窒化シリコン等の無機絶縁層である。
【0027】
画素電極300と光透過性電極600とを介して発光層500に電流が供給されると、画像を表示させる光が光透過性電極600を通して放出される。そのため、バンク層400および保護層350によって露出された画素電極300の領域が発光領域となる。
図2における領域Aを拡大した図が、後述する
図9(d)に示す図に対応する。以上が第1基板1についての説明である。
【0028】
続いて、第2基板2の構成について説明する。第2支持基板20には、遮光層950および赤(R)、緑(G)、青(B)、白(W)に対応するカラーフィルタ900R、900G、900B、900Wが配置されている。
図2においては、カラーフィルタ900B、900Wは省略されている。遮光層950は、金属等の遮光性のある材料で形成されている。また、遮光層950は、この例では、色が異なる画素の境界部分および表示領域D1の外側の領域に配置されている。
【0029】
カラーフィルタ900R、900G、900B、900Wは、各画素の発光領域に対応して配置されている。カラーフィルタ900R、900G、900B、900Wは、各色を呈する顔料を含む感光性の樹脂を塗布し、露光、現像、および焼成を経て、所望のパターンが形成された層である。カラーフィルタ900Wは、顔料を含んでいない樹脂で形成されてもよい。印刷方式、インクジェット方式を用いて形成されてもよい。
【0030】
充填材800は、第1基板1と第2基板2との間に充填される材料であり、例えば、アクリル樹脂である。充填材800が表示領域D1に配置されている場合には、光透過性を有する必要がある。また、第1基板と第2基板とを貼り合わせ固定する部材として、この充填材800が用いられてもよい。
【0031】
[表示装置1000の製造方法]
続いて、上記の表示装置1000の製造方法について、
図4から
図10を用いて説明する。
【0032】
図4は、本発明の第1実施形態における表示装置の製造方法のうち、薄膜トランジスタを形成する工程を説明する図である。
図5は、本発明の第1実施形態における表示装置の製造方法の
図4に続く工程を説明する図である。
図6は、本発明の第1実施形態における表示装置の製造方法の
図5に続く工程を説明する図である。まず、第1支持基板10に薄膜トランジスタ110を形成する(
図4)。ここでは、薄膜トランジスタ110は、ソース、ドレイン、ゲートに接続されたコンタクトホール114を備えた層間絶縁層112、およびこの導電層115を備えている。第1支持基板10と薄膜トランジスタ110との間には、酸化シリコン、窒化シリコン等の絶縁層118が形成されてもよい。この絶縁層によって、水分、ガス等の内部への侵入を抑制してもよい。
【0033】
薄膜トランジスタ110を覆うように、コンタクトホール250を備えた層間絶縁層200を形成する(
図5)。続いて、層間絶縁層200を覆うように、画素電極300に相当する積層導電層と、保護層350に相当する無機絶縁層とを形成する(
図6)。この後に、積層導電層および無機絶縁層をエッチングして、画素電極300および保護層350のパターンを形成する。この工程について、
図6に示す領域A(画素電極300の端部近傍)を拡大して説明する。
【0034】
図7は、本発明の第1実施形態における表示装置の製造方法の
図6に続く工程を、画素電極の端部を拡大して説明する図である。
図7(a)は、
図6の領域Aを拡大した図である。層間絶縁層200上には、第3導電層330、第1導電層310および第2導電層320が順に積層されている。この例では、第1導電層310はAg膜であり、その膜厚が130nm(80nm以上200nm以下であることが望ましい)である。第2導電層320はITO膜であり、その膜厚が15nm(5nm以上25nm以下であることが望ましい)である。特に、第2導電層320は、求められる特性により、第1導電層310よりも薄くなることが多い。第3導電層330はITO膜であり、その膜厚が50nm(20nm以上70nm以下であることが望ましい)である。保護層350はSiO
2膜であり、その膜厚が300nm(150nm以上500nm以下であることが望ましい)である。
【0035】
この状態において、保護層350の表面にレジストを形成して、保護層350をエッチングし、レジストを剥離する。この例ではドライエッチングを保護層350のエッチングに用いる。このレジストのパターンは、画素電極の300のパターンに対応する。このエッチングによって、保護層350の外側端部350E1が形成される(
図7(b))。一方、この時点では、上述した保護層350の内側端部350E2は形成されていない。すなわち、画素電極300(第2導電層320)は露出されていない。
【0036】
続いて、保護層350をマスクにして、第2導電層320をエッチングする(
図7(c))。この例では、ITOのエッチング液によるウエットエッチングを用いて、第2導電層320をエッチングする。ITOのエッチング液は、例えば、リン酸、硝酸及び酢酸からなる混酸が用いられる。あるいは、シュウ酸を用いてもよい。さらに、保護層350および第2導電層320をマスクにして、第1導電層310をエッチングする(
図7(d))。この例では、Agのエッチング液によるウエットエッチングを用いて、第1導電層310をエッチングする。Agのエッチング液は、例えば、リン酸、硝酸および酢酸からなる混酸が用いられる。このエッチングには、第1導電層310の膜厚が厚いほど、長い時間を要する。また、エッチングを十分行うために、オーバーエッチング時間も十分確保する必要がある。この結果、第1導電層310の横方向へのエッチングも進行し、第2導電層320の端部は、庇のような突出部Pが形成される。
【0037】
さらに、保護層350、第2導電層320および第1導電層310をマスクにして、第3導電層330をエッチングする(
図7(e))。このエッチングは、第2導電層320をエッチングしたときと同様に、ウエットエッチングによって第3導電層330がエッチングされる。この際、第2導電層320の突出部Pについてもエッチング液に曝されることによってエッチングされると考えられるが、実際には、突出部Pは残存することが経験上確認されている。このように残存した突出部Pは15nmと薄いため、外力によって破損しやすい状態になってしまう。一方、この例では、保護層350が突出部Pを支持することで、破損が抑制されている。なお、第3導電層330のエッチングの際に、第3導電層330の端部が第1導電層310の端部よりも内側に位置するようになる。
【0038】
ここで、従来のように、保護層350を用いなかった場合にどのような問題が生じるか、
図12および
図13を用いて簡単に説明する。
【0039】
図12は、従来の表示装置の製造方法において生じる課題の例を説明する図である。上述のような保護層350が存在しない従来の表示装置の場合、画素電極300Zのパターンを形成するために、
図12(a)に示すようにレジストRを用いる。そして、レジストRをマスクにして、上述した場合と同様に、第2導電層320、第1導電層310、および第3導電層330の順にエッチングを行うと、保護層350の支持がない状態で突出部Pが存在する(
図12(b))。そのため、外力が加わることによって、突出部Pの部分が破損して、破損部PDが発生する可能性が大きくなる(
図12(c))。
【0040】
図13は、従来の表示装置の製造方法において生じる課題の例を説明する図である。
図13は、上述した
図3に対応する図である。
図13における網掛け部分が突出部Pに該当する。そのため、破線内側が、第1導電層310が存在する位置に対応する。突出部Pの一部が破損して破損部PDが発生すると、破損部PDが画素電極300Z(第2導電層320Z)の表面に付着する場合がある。単に破損部PDが画素電極300Zの表面に付着するだけでも表示に欠陥を生じる場合があるが、
図13に示すように、破損部PDが隣接間の画素を掛け渡すように付着してしまうと、その隣接間の画素電極がショートしてしまう。そのため、この隣接間の画素が表示の欠陥として現れることになる。このように、突出部Pの破損を防ぐことは、表示の欠陥を低減することに大きく貢献することになる。本実施形態によれば、保護層350の存在によって、突出部Pの破損を防ぐことができるため、画素電極間のショートに起因する表示の欠陥を低減することができる。
【0041】
図8は、本発明の第1実施形態における表示装置の製造方法の
図7に続く工程を説明する図である。
図8は、
図7(e)の状態において、バンク層400となる材料(この例では感光性のアクリル樹脂)を塗布した状態を示している。この後に、バンク層400のパターンを形成し、その後に、保護層350のパターンを形成する。この工程について、
図8に示す領域Aを拡大して説明する。
【0042】
図9は、本発明の第1実施形態における表示装置の製造方法の
図8に続く工程を、画素電極の端部を拡大して説明する図である。
図9(a)は、
図8に対応している。塗布された感光性アクリル樹脂に対して、露光、現像、焼成をすることによって、所望のパターンのバンク層400が形成される。バンク層400は、保護層350の表面の一部を露出するように形成される(
図9(b))。
【0043】
続いて、バンク層400をマスクとして、露出された領域の保護層350をエッチングして、画素電極300(第2導電層320)の表面を露出させ、内側端部350E2が形成される(
図9(c))。このエッチングは、ドライエッチングによって行われる。エッチングガスには、酸素が添加されて、バンク層400の表面を後退させながら、保護層350がエッチングされていく。この結果、この例では、バンク層400の表面と、保護層350の内側端部350E2の側壁とが、ほぼ連続的につながることになる。
【0044】
また、バンク層400の表面を後退させながら、保護層350がエッチングするため、内側端部350E2の側壁は緩い傾斜を有することになる。そのため、この例では、保護層350は、内側端部350E2の側壁が外側端部350E1の側壁よりも緩い傾斜を有している。なお、内側端部350E2の側壁と外側端部350E1の側壁との傾斜の関係はこの例に限らない。また、保護層350の内側端部350E2から外側端部350E1までの長さLcは、保護層350の膜厚Ltよりも長いことが望ましい。また、保護層350の第1導電層310と重なっている部分の長さがゼロである場合、突出部Pの破損を防ぐ作用は得られないため、少なくとも保護層350は、第1導電層310の上方まで重なるように延在することが望ましい。さらに、保護層350が、第1導電層310の上方に重なる部分の長さが、Lcの1/4以上であることが望ましい。
【0045】
図10は、
図9(c)における全体の構成を説明する図である。バンク層400は、保護層350の内側端部350E2および画素電極300(第2導電層320)の表面の一部を露出する。一方、バンク層400は、この露出部分以外の領域、すなわち、隣接する画素電極300間(保護層350の外側端部350E1および画素電極300の端部300Eを含む)を覆っている。この後に、バンク層400を覆うように、発光層500、光透過性電極600および封止層700を形成すると、
図2に示す第1基板1の構成が実現される。この実施形態における第1基板1によれば、突出部Pが破損することを抑制できるため、画素電極300間のショートに起因する不良を低減することができる。
【0046】
<第2実施形態>
第1実施形態では、保護層350の内側端部350E2を露出するバンク層400を備えていたが、第2実施形態では、内側端部350E2を覆うバンク層400Aを備えている例について説明する。このようなバンク層400Aを備える表示装置の製造方法について説明する。
【0047】
図11は、本発明の第2実施形態における表示装置の製造方法において、
図9に対応する工程を説明する図である。
図11(a)は、
図7(e)と同じである。この後の製造工程から、第1実施形態における製造工程とは異なっている。この例では、バンク層400を形成する前に、保護層350をエッチングすることによって、画素電極300(第2導電層320)の表面の一部を露出させる。このエッチングは、レジストで形成されたマスクを用いて、ウエットエッチングまたはドライエッチングによって行われる。この結果、第2実施形態では、バンク層400Aが形成される前に、予め保護層350の内側端部350E2が形成される(
図11(b))。
【0048】
続いて、画素電極300(第2導電層320)の表面の一部を露出させ、第1実施形態の場合に比べて、さらに保護層350の内側端部350E2を覆うように、バンク層400Aが形成される(
図11(c))。バンク層400Aを覆うように、発光層500、光透過性電極600および封止層700を形成すると、第2実施形態における第1基板の構成が実現される(
図11(d))。
【0049】
<その他の実施形態>
保護層350は、無機導電材料(チタン:Ti、タンタル:Ta等)で形成されていてもよい。この場合には、保護層350のエッチングは、Tiの場合に塩素系のエッチングガスを用い、Taの場合にフッ素系のエッチングガスを用いればよい。
【0050】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。