(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6515094
(24)【登録日】2019年4月19日
(45)【発行日】2019年5月15日
(54)【発明の名称】針の挿入のためのシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/34 20060101AFI20190425BHJP
A61B 34/30 20160101ALI20190425BHJP
【FI】
A61B17/34
A61B34/30
【請求項の数】31
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-521362(P2016-521362)
(86)(22)【出願日】2014年10月7日
(65)【公表番号】特表2016-538013(P2016-538013A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(86)【国際出願番号】IL2014050890
(87)【国際公開番号】WO2015052718
(87)【国際公開日】20150416
【審査請求日】2017年10月5日
(31)【優先権主張番号】61/887,634
(32)【優先日】2013年10月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508041105
【氏名又は名称】テクニオン リサーチ アンド ディベロップメント ファンデーション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】グロズマン、 ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ダスカル、 ゴネン
(72)【発明者】
【氏名】ショハム、 モシェ
(72)【発明者】
【氏名】アラド、 マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ピンスキー、 ヨアヴ
【審査官】
木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−517659(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0190981(US,A1)
【文献】
特開2005−334650(JP,A)
【文献】
特表2007−527733(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/049483(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/027228(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/02
A61B 17/34
A61B 34/00 ― 34/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に針(10)を挿入するためのシステムであって、
前記針(10)又は前記針を保持するように構成されているホルダー(11)のいずれかを交互に把持及び解放するように構成されている捕捉ユニット機構を備えた捕捉ユニット(16)と、
一連の別個の挿入ステップで患者に前記針を挿入するように適合されている制御可能な駆動機構(72)であって、前記捕捉ユニットが挿入ステップ中に前記針(10)又は前記ホルダー(11)を把持し且つ挿入ステップの合間に前記針又は前記ホルダーを解放するように、前記捕捉ユニット機構と同期されている制御可能な駆動機構と、
前記捕捉ユニットに対する前記針又は前記ホルダーの位置を測定するための追跡システムと
を含み、
前記制御可能な駆動機構は、各把持動作が前記針又は前記ホルダーのそれぞれの解放位置と実質的に同じ空間内の位置で前の挿入ステップに続いて行われるように、前記針又は前記ホルダーのいずれかの把持を可能にするべく配置されるように構成されている、システム。
【請求項2】
前記針又は前記ホルダーは、前記捕捉ユニットの所定の繰り返し可能な位置で把持される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記追跡システムはエミッター(36)のセット及びセンサー(12)のセットを含み、前記エミッターのセットと前記センサーのセットのうちの一方が前記針又は前記ホルダーに配置され、前記エミッターのセットと前記センサーのセットのうちの他方が前記捕捉ユニットに配置されている、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御可能な駆動機構(72)は、前記捕捉ユニットが患者の呼吸周期における所定の時点で前記針又は前記ホルダーを把持するように指令されることができるように、前記挿入ステップを患者の呼吸周期と同期させるように適合されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
患者の呼吸周期を監視するために少なくとも1つの呼吸追跡センサー(73)を更に含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの呼吸追跡センサーは外部の呼吸追跡システムの一部である、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記患者の呼吸周期における所定の時点は人工呼吸器から得られる信号から得られる、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記捕捉ユニット(16)は、前記患者の呼吸周期における前記針又は前記ホルダーの前の解放時点と同じ前記呼吸周期の一般的な時点で前記針又は前記ホルダーを把持するように指令される、請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御可能な駆動機構(72)は、前記捕捉ユニットに取り付けられたロボットアクチュエーター、又は前記捕捉ユニットに対して前記針又は前記ホルダーを移動させるように適合されている運動機構のいずれかである、請求項1から8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記ホルダーは、概ね円筒形の形状を有する突起(61)を含み、
前記捕捉ユニットは、機械的なクランプジョー(60)を含み、
前記システムは、前記ホルダーが前記捕捉ユニットによってクランプされるように、前記クランプジョー(60)を前記突起(61)上で閉じるように適合されている作動機構を更に含み、
前記機械的なクランプジョーは、前記ホルダーが前記捕捉ユニットによってクランプされていないときに前記ホルダーの動きを周囲バリア内に制限するために、前記ホルダーに対する周囲バリアを形成する、請求項1から9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記ホルダーは、位置決め特徴物の第1セット(34)を備えたベースと、位置決めスピゴットとを含み、
前記捕捉ユニットは、前記ホルダーにある前記位置決め特徴物の第1セット(34)と結合するように適合されている位置決め特徴物の第2セット(32)と、前記スピゴット上で閉じるように適合されているクランプシステム(43)とを含み、
前記システムは、前記ホルダーが前記捕捉ユニットによってクランプされるように、前記位置決め特徴物の第1セット及び第2セットが結合された後に、前記クランプシステム(43)を前記スピゴット上で閉じるように適合されている作動機構(42)を更に含む、請求項1から9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記ホルダーは、位置決め特徴物の第1セット(34、35)を備えたベースと、強磁性部とを含み、
前記捕捉ユニットは、前記ホルダーにある前記位置決め特徴物の第1セット(34、35)と結合するように適合されている位置決め特徴物の第2セット(32)と、切り替え可能な磁場の源(33)とを含み、
前記システムは、前記位置決め特徴物の第1セット及び第2セットが結合され、且つ前記ホルダーの前記強磁性部が前記捕捉ユニットの前記切り替え可能な磁場の源によってクランプされるように、前記磁場を切り換えるように適合されている作動機構を更に含む、請求項1から9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記ホルダー(51)は、前記ホルダーに取り付けられた可撓コード(52)を含み、
前記捕捉ユニットは、
前記可撓コードが前記ホルダーから離れて取り付けられ、且つ作動時に前記可撓コードを引き込むように適合されているアクチュエーター(53)と、
前記可撓コードが引き込まれたときに前記ホルダーがしっかりと嵌合するように成形されているドッキングポートと、
前記ドッキングポートの両側に配置され、且つ前記ホルダーの動きをそれらの間に制限するように構成されている一対のアーム(50)と
を含む、請求項1から9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記制御可能な駆動機構はレール(82)のセットを有するスライドベース(81)を更に含み、患者に前記針(10)を挿入するために、前記制御可能な駆動機構の運動機構によって前記捕捉ユニット(62)の基部を前記レールのセットに沿って駆動することができる、請求項1から13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
患者に針(10)を挿入するためのシステムであって、
前記針(10)又は前記針を保持するように構成されているホルダー(11)のいずれかを交互に把持及び解放するように構成されている捕捉ユニット機構を備えた捕捉ユニット(16)と、
一連の別個の挿入ステップで患者に前記針を挿入するように適合されている制御可能な駆動機構(72)であって、前記捕捉ユニットが挿入ステップ中に前記針(10)又は前記ホルダー(11)を把持し且つ挿入ステップの合間に前記針又は前記ホルダーを解放するように、前記捕捉ユニット機構と同期されている制御可能な駆動機構と
を含み、
前記制御可能な駆動機構は、各把持動作が前記針又は前記ホルダーのそれぞれの解放位置と実質的に同じ空間内の位置で前の挿入ステップに続いて行われるように、前記針又は前記ホルダーのいずれかの把持を可能にするべく配置されるように構成され、
前記制御可能な駆動機構(72)は、前記捕捉ユニットが患者の呼吸周期における所定の時点で前記針又は前記ホルダーを把持するように指令されることができるように、前記挿入ステップを患者の呼吸周期と同期させるように適合されている、システム。
【請求項16】
前記捕捉ユニットに対する前記針又は前記ホルダーの位置を測定するための追跡システムを更に含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記追跡システムはエミッター(36)のセット及びセンサー(12)のセットを含み、前記エミッターのセットと前記センサーのセットのうちの一方が前記針又は前記ホルダーに配置され、前記エミッターのセットと前記センサーのセットのうちの他方が前記捕捉ユニットに配置されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
患者の呼吸周期を監視するために少なくとも1つの呼吸追跡センサー(73)を更に含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つの呼吸追跡センサーは外部の呼吸追跡システムの一部である、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記患者の呼吸周期における所定の時点は人工呼吸器から得られる信号から得られる、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記捕捉ユニット(16)は、前記患者の呼吸周期における前記針又は前記ホルダーの前の解放時点と同じ前記呼吸周期の一般的な時点で前記針又は前記ホルダーを把持するように指令される、請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
前記制御可能な駆動機構(72)は、前記捕捉ユニットに取り付けられたロボットアクチュエーター、又は前記捕捉ユニットに対して前記針又は前記ホルダーを移動させるように適合されている運動機構のいずれかである、請求項15から21のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記ホルダーは、概ね円筒形の形状を有する突起(61)を含み、
前記捕捉ユニットは、機械的なクランプジョー(60)を含み、
前記システムは、前記ホルダーが前記捕捉ユニットによってクランプされるように、前記クランプジョー(60)を前記突起(61)上で閉じるように適合されている作動機構を更に含み、
前記機械的なクランプジョーは、前記ホルダーが前記捕捉ユニットによってクランプされていないときに前記ホルダーの動きを周囲バリア内に制限するために、前記ホルダーに対する周囲バリアを形成する、請求項15から22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
前記ホルダーは、位置決め特徴物の第1セット(34)を備えたベースと、位置決めスピゴットとを含み、
前記捕捉ユニットは、前記ホルダーにある前記位置決め特徴物の第1セット(34)と結合するように適合されている位置決め特徴物の第2セット(32)と、前記スピゴット上で閉じるように適合されているクランプシステム(43)とを含み、
前記システムは、前記ホルダーが前記捕捉ユニットによってクランプされるように、前記位置決め特徴物の第1セット及び第2セットが結合された後に、前記クランプシステム(43)を前記スピゴット上で閉じるように適合されている作動機構(42)を更に含む、請求項15から22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項25】
前記ホルダーは、位置決め特徴物の第1セット(34、35)を備えたベースと、強磁性部とを含み、
前記捕捉ユニットは、前記ホルダーにある前記位置決め特徴物の第1セット(34、35)と結合するように適合されている位置決め特徴物の第2セット(32)と、切り替え可能な磁場の源(33)とを含み、
前記システムは、前記位置決め特徴物の第1セット及び第2セットが結合され、且つ前記ホルダーの前記強磁性部が前記捕捉ユニットの前記切り替え可能な磁場の源によってクランプされるように、前記磁場を切り換えるように適合されている作動機構を更に含む、請求項15から22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項26】
前記ホルダー(51)は、前記ホルダーに取り付けられた可撓コード(52)を含み、
前記捕捉ユニットは、
前記可撓コードが前記ホルダーから離れて取り付けられ、且つ作動時に前記可撓コードを引き込むように適合されているアクチュエーター(53)と、
前記可撓コードが引き込まれたときに前記ホルダーがしっかりと嵌合するように成形されているドッキングポートと、
前記ドッキングポートの両側に配置され、且つ前記ホルダーの動きをそれらの間に制限するように構成されている一対のアーム(50)と
を含む、請求項15から22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
前記制御可能な駆動機構はレール(82)のセットを有するスライドベース(81)を更に含み、患者に前記針(10)を挿入するために、前記制御可能な駆動機構の運動機構によって前記捕捉ユニット(62)の基部を前記レールのセットに沿って駆動することができる、請求項15から26のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項28】
患者に針(10)を挿入するためのシステムであって、
前記針(10)又は前記針を保持するように構成されているホルダー(11)のいずれかを交互に把持及び解放するように構成されている捕捉ユニット機構を備えた捕捉ユニット(16)と、
一連の別個の挿入ステップで患者に前記針を挿入するように適合されている制御可能な駆動機構(72)であって、前記捕捉ユニットが挿入ステップ中に前記針(10)又は前記ホルダー(11)を把持し且つ挿入ステップの合間に前記針又は前記ホルダーを解放するように、前記捕捉ユニット機構と同期されている制御可能な駆動機構と
を含み、
前記制御可能な駆動機構は、各把持動作が前記針又は前記ホルダーのそれぞれの解放位置と実質的に同じ空間内の位置で前の挿入ステップに続いて行われるように、前記針又は前記ホルダーのいずれかの把持を可能にするべく配置されるように構成され、
前記ホルダーは、概ね円筒形の形状を有する突起(61)を含み、
前記捕捉ユニットは、機械的なクランプジョー(60)を含み、
前記システムは、前記ホルダーが前記捕捉ユニットによってクランプされるように、前記クランプジョー(60)を前記突起(61)上で閉じるように適合されている作動機構を更に含み、
前記機械的なクランプジョーは、前記ホルダーが前記捕捉ユニットによってクランプされていないときに前記ホルダーの動きを周囲バリア内に制限するために、前記ホルダーに対する周囲バリアを形成する、システム。
【請求項29】
患者に針(10)を挿入するためのシステムであって、
前記針(10)又は前記針を保持するように構成されているホルダー(11)のいずれかを交互に把持及び解放するように構成されている捕捉ユニット機構を備えた捕捉ユニット(16)と、
一連の別個の挿入ステップで患者に前記針を挿入するように適合されている制御可能な駆動機構(72)であって、前記捕捉ユニットが挿入ステップ中に前記針(10)又は前記ホルダー(11)を把持し且つ挿入ステップの合間に前記針又は前記ホルダーを解放するように、前記捕捉ユニット機構と同期されている制御可能な駆動機構と
を含み、
前記制御可能な駆動機構は、各把持動作が前記針又は前記ホルダーのそれぞれの解放位置と実質的に同じ空間内の位置で前の挿入ステップに続いて行われるように、前記針又は前記ホルダーのいずれかの把持を可能にするべく配置されるように構成され、
前記ホルダーは、位置決め特徴物の第1セット(34)を備えたベースと、位置決めスピゴットとを含み、
前記捕捉ユニットは、前記ホルダーにある前記位置決め特徴物の第1セット(34)と結合するように適合されている位置決め特徴物の第2セット(32)と、前記スピゴット上で閉じるように適合されているクランプシステム(43)とを含み、
前記システムは、前記ホルダーが前記捕捉ユニットによってクランプされるように、前記位置決め特徴物の第1セット及び第2セットが結合された後に、前記クランプシステム(43)を前記スピゴット上で閉じるように適合されている作動機構(42)を更に含む、システム。
【請求項30】
患者に針(10)を挿入するためのシステムであって、
前記針(10)又は前記針を保持するように構成されているホルダー(11)のいずれかを交互に把持及び解放するように構成されている捕捉ユニット機構を備えた捕捉ユニット(16)と、
一連の別個の挿入ステップで患者に前記針を挿入するように適合されている制御可能な駆動機構(72)であって、前記捕捉ユニットが挿入ステップ中に前記針(10)又は前記ホルダー(11)を把持し且つ挿入ステップの合間に前記針又は前記ホルダーを解放するように、前記捕捉ユニット機構と同期されている制御可能な駆動機構と
を含み、
前記制御可能な駆動機構は、各把持動作が前記針又は前記ホルダーのそれぞれの解放位置と実質的に同じ空間内の位置で前の挿入ステップに続いて行われるように、前記針又は前記ホルダーのいずれかの把持を可能にするべく配置されるように構成され、
前記ホルダーは、位置決め特徴物の第1セット(34、35)を備えたベースと、強磁性部とを含み、
前記捕捉ユニットは、前記ホルダーにある前記位置決め特徴物の第1セット(34、35)と結合するように適合されている位置決め特徴物の第2セット(32)と、切り替え可能な磁場の源(33)とを含み、
前記システムは、前記位置決め特徴物の第1セット及び第2セットが結合され、且つ前記ホルダーの前記強磁性部が前記捕捉ユニットの前記切り替え可能な磁場の源によってクランプされるように、前記磁場を切り換えるように適合されている作動機構を更に含む、システム。
【請求項31】
患者に針(10)を挿入するためのシステムであって、
前記針(10)又は前記針を保持するように構成されているホルダー(11)のいずれかを交互に把持及び解放するように構成されている捕捉ユニット機構を備えた捕捉ユニット(16)と、
一連の別個の挿入ステップで患者に前記針を挿入するように適合されている制御可能な駆動機構(72)であって、前記捕捉ユニットが挿入ステップ中に前記針(10)又は前記ホルダー(11)を把持し且つ挿入ステップの合間に前記針又は前記ホルダーを解放するように、前記捕捉ユニット機構と同期されている制御可能な駆動機構と
を含み、
前記制御可能な駆動機構は、各把持動作が前記針又は前記ホルダーのそれぞれの解放位置と実質的に同じ空間内の位置で前の挿入ステップに続いて行われるように、前記針又は前記ホルダーのいずれかの把持を可能にするべく配置されるように構成され、
前記ホルダー(51)は、前記ホルダーに取り付けられた可撓コード(52)を含み、
前記捕捉ユニットは、
前記可撓コードが前記ホルダーから離れて取り付けられ、且つ作動時に前記可撓コードを引き込むように適合されているアクチュエーター(53)と、
前記可撓コードが引き込まれたときに前記ホルダーがしっかりと嵌合するように成形されているドッキングポートと、
前記ドッキングポートの両側に配置され、且つ前記ホルダーの動きをそれらの間に制限するように構成されている一対のアーム(50)と
を含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にロボットによる挿入を用いた、画像誘導下の針挿入のための針保持装置の分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代の臨床診療で用いられる多くの日常的な処置は、例えば生検又は薬物送達のために、針及びカテーテルの経皮挿入を伴う。針挿入作業の目的は、病変、臓器又は血管に適切な針の先端を安全且つ正確に配置することである。針の挿入を必要とする処置の例は、予防接種、血液/体液のサンプリング、局所麻酔、組織生検、カテーテル挿入、極低温切除、電解切除、小線源治療、神経系外科手術、脳深部刺激及び様々な低侵襲手術を含む。
【0003】
オフライン又は術中の画像誘導で針の挿入を行う傾向が強まっている。患者は呼吸をし続け、その結果オフライン画像は実際には過去のものになるため、オフライン画像に基づく針の誘導は欠点を有する。加えて、重力によって腹部の軟部組織は時間と共に変形する。画像スキャンは従って、数秒間しか有効でない。
【0004】
針がリアルタイムで挿入される場合でも、針挿入作業の透視ビジョンは単純なものではなく、熟練した性能を必要とする。また、本出願と共通の共同発明者を有する「柔軟な針の制御された操縦」と題した特許文献1に示されるように、針の先端が同じ軌道を通ることが要求される場合でも、針は様々な方法で挿入されることができる。
【0005】
これらの困難を克服し且つ針の配置精度を改善するために、上記特許文献1に記載されるように、軟部組織における柔軟な針の操作及び制御のためのモデルを使用する。特許文献1に示されるように、針基部に必要とされる操作は、手で行うにはあまりにも複雑である。従って、針の挿入はロボットを用いて行われる。
【0006】
典型的なロボットによる画像誘導下の針挿入作業において、針の挿入は段階的に行われる。針は、安全上の理由で、単一の繰り返しでは挿入されない。通常の方法フローは以下のとおりである。
1.針と標的を有する画像が撮影される。
2.オペレーターが画像を解析し、動きの補正が必要であるか否かを判断する。
3.その結果、ロボットが次のステップによって針を動かすように命令される。
【0007】
画像を撮影し且つどのように進めるか決定するのに数秒から数分かかることがある。この間、患者は、針が彼/彼女の体の内部にある状態で、準周期的にではあるが、その位置が常に変化するように、呼吸を続ける。画像データのみに基づいて、オペレーターのフィードバックなしで作業が行われる場合であっても、準周期的な呼吸運動に加えて、患者は痛み又は咳のために体を移動させることもある。針基部が挿入ロボットによって堅固に保持される場合、固定された針が患者に対して傷害、或いは少なくとも不快感又は痛みを引き起こす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2007/141784号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、挿入作業の危険性を低減し又はなくし、且つ患者への不快感を低減する、自動針挿入システムの必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
明細書のこのセクション及び他のセクションに記載された刊行物の各々の開示内容は、参照によりその全体がそれぞれ本明細書に組み込まれているものとする。
【0011】
本開示は、予め計画され又は連続的に監視される挿入ステップのシーケンスに従って安全且つ許容可能な患者の体への針の挿入を確実にするための新規なシステム及び方法について記載している。システムは、ロボットによる挿入ステップを行うべく針を把持するため、更に次の挿入ステップが開始されるまで、このような挿入ステップの合間に針との硬直した機械的接触を切り離すための装置を含む。これにより、ロボットは、各挿入ステップ中は針を完全に制御するが、患者の動きが損傷も不快感も引き起こさないように、挿入ステップの合間は針を全く拘束しない。把持動作及び挿入ステップは、有利には、挿入ステップが概ね患者の胸部及びそれと共に動く任意の臓器の動きの各周期の同じ部分で行われるように、患者の呼吸周期との同期を保つために一体化したロボット/グリッパー制御システムによって調整されることができる。各挿入ステップの時間が患者の呼吸周期の時間よりも著しく短いと仮定すると、この装置は、ロボットが1又は複数の呼吸周期前に把持を解除した位置とほぼ同じ針の位置でその針の把持を再開することができるという利点も有する。
【0012】
方法は、切り離された針が挿入ステップの合間は空間を自由に移動する完全な切り離し、又はグリッパーとの部分的で制限的な結合を残す部分的な切り離しのいずれかを含み、1以上の限られた自由度での針の自由な動きを可能にする。連結機構は、磁気、静電気又は他の引力を使用することができ、或いは機械的コネクターを組み込むことができる。呼吸運動の挿入ステップとの干渉を最小にするように、呼吸周期の時間のごく一部の時間内で動作するべきである。
【0013】
グリッパーは、患者に針を挿入するのに必要な力を針に伝えることができるように、針をしっかりと把持することができなければならない。このため、大部分の針が細径であることから、針を直接把持することは一般に非現実的であり、針は一般に適切に設計されたニードルホルダーに保持される。ニードルホルダーは、その結果、グリッパーによって把持又は解放されるように適合され、またグリッパーに対するその位置の測定を可能にするために検出要素を組み込むことができる。また、把持が行われる肥厚した軸部を備えた針を使用することが実現可能な場合もあり、当然のことながら、本発明は、針自体を把持する方法の物理的性質によって限定されるものではない。本出願と同じ出願人によって出願され且つ米国特許仮出願第61/887634号の優先権を主張する「軸操作による針操縦」と題した同時係属中のPCT出願には、針を把持し且つ患者に挿入するための専用のロボットシステム及びニードルグリッパーが記載されており、このニードルグリッパーも本出願の機能的要素として使用することができる。以下で針の把持に言及する場合、その意味は針自体の把持であるか、或いはより一般的にはニードルホルダーの把持であることを理解すべきである。同様に、針の位置は、文脈に応じて針自体の位置かニードルホルダーの位置のいずれかを意味し得る。
【0014】
装置は、その位置がロボットの制御システムから知られるグリッパーの位置に対する空間内の針又はニードルホルダーの位置を追跡する、光学、磁気、超音波又は他の追跡装置を含むことができる。連結が必要な場合、ロボットは、追跡情報を用いて針の位置の近くにグリッパーを移動させ、その後、捕捉機構を用いて針又はそのホルダーを捕捉する。
【0015】
針の動きは、患者の呼吸或いは咳又は痛みなどによる散発的な動きによって準周期的であり得る。このような場合には空間内の正確な針の位置が予測できないため、針を捕捉するためにロボットを針へと正確に移動させることは一般に困難であろう。従って、捕捉装置は、グリッパーが針と完全に一致しない場合でも針を把持するための能力を有するべきである。このような場合、針への連結は、好ましくは、前回針が残されたのと同じ空間内の領域(少なくとも呼吸同期プロセスによって、呼吸周期の同じ段階に対応するであろう)で行うべきである。ロボットは、それが前に針を残した場所に来て、そこで針を待つ。針の動きを追跡する追跡装置を、患者の呼吸運動を追跡するのにも使用することができる。また、人工呼吸器をつけている患者については、患者の呼吸周期における所定の把持点を決定するのに人工呼吸器からの信号を使用し、それと同期することが可能である。
【0016】
従って、本開示に記載された装置の例示的な実施形態に従って、患者への針の挿入のためのシステムであって、
(i)針又は針を組み込んだホルダーのいずれかを交互に把持及び解放するための機構を含む捕捉ユニットと、
(ii)一連の別個のステップで患者に針を挿入するように適合された制御可能な駆動機構と
を含み、
制御可能な駆動機構は、捕捉ユニットが挿入ステップ中はホルダーを把持し且つ挿入ステップの合間はホルダーを解放するように、捕捉ユニット機構と同期されているシステムが提供される。
【0017】
このようなシステムは、捕捉ユニットに対する針又はホルダーの位置を測定するための追跡システムを更に含むことができる。追跡システムは、エミッター及びセンサーのセットを含むことができ、エミッターのセットとセンサーのセットのうちの一方は針又はホルダーに配置されることができ、エミッターのセットとセンサーのセットのうちの他方は捕捉ユニットに配置されることができる。
【0018】
上記システムのいずれかにおいて、制御可能な駆動機構は、捕捉ユニットが患者の呼吸周期における所定の時点で針又はホルダーを把持するように指令されることができるように、挿入ステップを患者の呼吸周期と同期させるように適合されることができる。このような場合、システムは、患者の呼吸周期を監視するために少なくとも1つの追跡センサーを更に含むことができる。追跡センサーは、このとき、針の挿入点に近い患者の体の位置を測定する。また、少なくとも1つの追跡センサーは、外部の追跡システムの一部、又は針の挿入点に近い患者の体と制御可能な駆動機構と捕捉ユニットの少なくとも一方との間で働く検出システムの一部であることができる。
【0019】
これらの実施形態では、患者の呼吸周期における所定の時点は、人工呼吸器から得られる信号から得ることができる。また、捕捉ユニットは、患者の呼吸周期におけるホルダーの前の解放時点と同じ呼吸周期における大まかな時点で針又はホルダーを把持するように指令されることができる。もしそうであれば、ロボットによって誘導される捕捉ユニットは、前の挿入ステップに続く針又はホルダーの解放位置から、後続の挿入ステップの合間の針又はホルダーの位置を予測することができる。
【0020】
上記システムのいずれかにおいて、制御可能な駆動機構は、捕捉ユニットに取り付けられたロボットアクチュエーター、又は針又はホルダーを捕捉ユニットに対して動かすように適合された運動機構のいずれかであることができる。
【0021】
また、上記システムの代替的な実施形態は、患者への針の挿入のためのシステムであって、
(i)針を保持するためのニードルホルダーであって、突起を有するホルダーと、
(ii)機械的なクランプジョーを有するグリッパー装置と、
(iii)ニードルホルダーがグリッパー装置によってクランプされるように、クランプジョーを突起上で閉じるように適合された作動機構と
を含み、
グリッパー装置は、作動機構が操作されたときにロボットが患者に針を挿入することができるように、ロボットによって保持されるように適合されているシステムを更に含むことができる。
【0022】
このような実施形態では、突起は概ね円筒形の形状を有することができ、機械的なクランプジョーは、ニードルホルダーがグリッパー装置によってクランプされていないときにニードルホルダーの動きを周囲バリア内に制限するために、ニードルホルダーに対する周囲バリアを形成することができる。上記実施形態のいずれかは、エミッター及びセンサーのセットを更に含むことができ、グリッパー装置に対するニードルホルダーの位置を測定することができるように、エミッターのセットとセンサーのセットのうちの一方はニードルホルダーに配置され、エミッターのセットとセンサーのセットのうちの他方はグリッパー装置に配置されている。システムは、このとき、グリッパー装置に対するニードルホルダーの位置を測定することができるように、ニードルホルダー及びグリッパー装置の位置を測定するための外部の追跡システムを更に含むことができる。
【0023】
別の例示的な実施形態は、患者への針の挿入のためのシステムであって、
(i)針を保持するためのニードルホルダーであって、位置決め特徴物の第1セットを備えたベースと、位置決めスピゴットとを有するホルダーと、
(ii)ニードルホルダーにある位置決め特徴物の第1セットと結合するように適合された位置決め特徴物の第2セットと、スピゴット上で閉じるように適合されたクランプシステムとを有するグリッパー装置と、
(iii)ニードルホルダーがグリッパー装置によってクランプされるように、第1及び第2位置決め特徴物が結合した後に、クランプシステムをスピゴット上で閉じるように適合された作動機構と
を含み、
前記グリッパー装置は、作動機構が操作されたときにロボットが患者に針を挿入することができるように、ロボットによって保持されるように適合されているシステムを提供する。システムは、このとき、エミッター及びセンサーのセットを更に含むことができ、グリッパー装置に対するニードルホルダーの位置を測定することができるように、エミッターのセットとセンサーのセットのうちのいずれか一方がニードルホルダー上に配置され、エミッターのセットとセンサーのセットのうちの他方がグリッパー装置に配置されることができる。また、システムは、グリッパー装置に対するニードルホルダーの位置を測定することができるように、ニードルホルダーとグリッパー装置の位置を測定するための外部の追跡システムを更に含むことができる。
【0024】
本開示に記載される患者への針の挿入のためのシステムの更に別の例示的な実施形態は、
(i)針を保持するためのニードルホルダーであって、位置決め特徴物の第1セットを備えたベースと、強磁性部とを有するホルダーと、
(ii)ニードルホルダーの位置決め特徴物の第1セットと結合するように適合された位置決め特徴物の第2セットと、切り替え可能な磁場の源とを有するグリッパー装置と、
(iii)第1及び第2位置決め機能が結合され、且つニードルホルダーの強磁性部がグリッパー装置の磁場によってクランプされるように、磁場を切り換えるように適合された作動機構と
を含むことができ、
前記グリッパー装置は、作動機構が操作されたときにロボットが患者に針を挿入することができるように、ロボットによって保持されるように適合されている。
【0025】
このようなシステムは、エミッター及びセンサーのセットを更に含むことができ、グリッパー装置に対するニードルホルダーの位置を測定することができるように、エミッターのセットとセンサーのセットのうちのいずれか一方がニードルホルダーに配置され、エミッターのセットとセンサーのセットのうちの他方がグリッパー装置に配置される。システムはまた、有利には、グリッパー装置に対するニードルホルダーの位置を測定することができるように、ニードルホルダー及びグリッパー装置の位置を測定するための外部の追跡システムを更に含むことができる。
【0026】
更に他の例示的な実施形態は、患者への針の挿入のためのシステムであって、針を保持するためのニードルホルダーであって、ホルダーに取り付けられた可撓コードを有するホルダーと、グリッパー装置とを含み、グリッパー装置は、
(i)可撓コードがニードルホルダーから離れて取り付けられることができ、且つ作動時に可撓コードを引き込むように適合されたアクチュエーターと、
(ii)可撓コードが引き込まれたときにニードルホルダーがしっかりと嵌合するように成形されたドッキングポートと、
(iii)ニードルホルダーの動きをそれらの間に制限するようにドッキングポートの両側に配置された一対のアームと
を含み、
グリッパー装置は、作動機構が操作されたときにニードルホルダーがドッキングポートにしっかりとドッキングされ、且つロボットが患者に針を挿入することができるように、ロボットによって保持されるように適合されているシステムを含む。
【0027】
このシステムは、エミッター及びセンサーのセットを更に含むことができ、グリッパー装置に対するニードルホルダーの位置を測定することができるように、エミッターのセットとセンサーのセットのうちのいずれか一方がニードルホルダーに配置され、エミッターのセットとセンサーのセットのうちの他方がグリッパー装置に配置される。或いは、システムは、グリッパー装置に対するニードルホルダーの位置を測定することができるように、ニードルホルダーとグリッパー装置の位置を測定するための外部の追跡システムを更に含むことができる。
【0028】
別の例示的な実施形態は、患者への針挿入方法であって、
(i)針を組み込んだホルダーを提供することと、
(ii)ホルダーを制御可能に把持及び解放するための捕捉ユニットを提供することと、
(iii)一連の別個のステップで患者に針を挿入するように捕捉ユニットをロボットによって誘導することと
を含み、
一連の別個のステップは、
(a)針の挿入ステップ中にホルダーを捕捉ユニット内に把持するステップと、
(b)挿入ステップの合間にホルダーを捕捉ユニットから解放するステップと
を含む方法を含むことができる。
【0029】
このような方法では、挿入ステップは、捕捉ユニットが患者の呼吸周期における所定の時点でホルダーを把持するように指示されることができるように、患者の呼吸周期と同期させることができる。この方法は、そういうわけで、追跡センサーを用いて患者の呼吸周期を監視するステップを更に含むことができ、又は人工呼吸器から得られる信号を用いて患者の呼吸周期を監視するステップを更に含むことができる。追跡センサーは、針の挿入点に近い患者の体の位置を測定することができる。或いは、本方法は、患者の呼吸周期におけるホルダーの前の解放時点と同じ呼吸周期における大まかな時点でホルダーを把持するように捕捉ユニットに指示するステップを更に含むことができる。最後に、これらの方法のいずれかにおいて、ロボットにより誘導される捕捉ユニットは、前の挿入ステップに続くホルダーの解放位置から後続の挿入ステップの合間のホルダーの位置を予測するように構成されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明は、図面と併せて参照される以下の詳細な説明からより完全に理解及び認識されるであろう。
【
図1a】機械的クランプの実施を用いる第1の例示的なグリッパーを模式的に示す。
【
図1b】機械的クランプの実施を用いる第1の例示的なグリッパーを模式的に示す。
【
図1c】機械的クランプの実施を用いる第1の例示的なグリッパーを模式的に示す。
【
図2】可撓性リンクによってロボットに連結されたニードルホルダーを模式的に示す。
【
図3a】異なる等角投影角度から見た磁気グリッパーの図を示す。
【
図3b】異なる等角投影角度から見た磁気グリッパーの図を示す。
【
図4a】
図3a及び3bに示される磁気グリッパーの実施形態と構造が同様であるが、把持が機械的に行われるニードルホルダーの様々な図を示す。
【
図4b】
図3a及び3bに示される磁気グリッパーの実施形態と構造が同様であるが、把持が機械的に行われるニードルホルダーの様々な図を示す。
【
図4c】
図3a及び3bに示される磁気グリッパーの実施形態と構造が同様であるが、把持が機械的に行われるニードルホルダーの様々な図を示す。
【
図4d】
図3a及び3bに示される磁気グリッパーの実施形態と構造が同様であるが、把持が機械的に行われるニードルホルダーの様々な図を示す。
【
図5】ニードルホルダーがグリッパー装置との確実な接触から解放されるが、所定の空間の範囲内に保持され、その外部に移動することができないニードルグリッパーの第2のタイプを示す。
【
図6a】半拘束式ニードルグリッパーアセンブリの更なる実施例を示す。
【
図6b】半拘束式ニードルグリッパーアセンブリの更なる実施例を示す。
【
図6c】
図6a及び6bと同様であるが、針が直接クランプされる構成を示す。
【
図6d】
図6a及び6bと同様であるが、針が直接クランプされる構成を示す。また、グリッパーが患者へ少しずつ針の挿入を進めるためにも使用される更なる実施態様も模式的に示す。
【
図7】CTシステムで撮像されている患者に作動される完全にロボットによる針挿入システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示に記載される針把持機能を行うことができる多くの方法があり、そのような方法の機構は数多くある。本開示に記載される装置及び方法の一般概念を制限することを望まず、単に本発明を実際に実施することができる方法の非限定的な例として、多くのこのような機構をここで説明する。記載されているニードルグリッパー機構のタイプは、2つの主なグループ、
(i)針から完全に切り離されるグリッパーと、
(ii)針連結は解放されるが、針基部は拘束されるグリッパーと
に分けることができる。
【0032】
ここで、これらのグループを以下の別々のセクションで説明する。
【0034】
針が完全に切り離され、ロボットがそのように命令されたときに針を捕捉するために正しい位置に配置されることができるように、センサーが針基部の位置を追跡する。以下の通り、これを達成するための多くの可能な代替的な実施形態が考えられる。
【0035】
機械的なグリッパーを用いて捕捉する。
【0036】
機械的なクランプの実施を用いる第1の例示的なグリッパーを模式的に示す
図1a,1b,1cを参照する。
図1aはグリッパー16の等角図であり、
図1b及び1cはそれぞれ開いているグリッパーと針を把持して閉じているグリッパーとを示す断面図である。針10は軽量のニードルホルダー11に連結され、ニードルホルダー11はそれに取り付けられたボール13の形態のクランプ要素を有する。このボールは、ニードルホルダーグリッパー16によってクランプされることができる。このボールは、クランプ14のわずかに開いたジョー内に位置するように保持されているが、機械的に、空気圧によって又は電磁的に作動することができるアクチュエーター15の操作によってジョーが閉じられた場合にのみ把持される。ニードルホルダーに位置するセンサー12は、ニードルホルダーの位置及び向きをリアルタイムで追跡することができる。ニードルホルダーの位置及び向きを追跡する1つの方法は、針とロボットから離れて取り付けられた外部の追跡システムを用いるものであることができる。より有利な方法は、ロボットアクチュエーターによって保持されている把持機構16に追跡システムのエミッターを取り付けることであり得る。これは、
図3a及び3bの例示的なグリッパーに関連して以下で十分に説明される。追跡機能のためのエミッター/センサーは、超音波近接センサー、赤外線システム、レーザーシステム、磁気システム、静的システム又は物体間の距離又は相対位置を測定する他の任意のシステムであることができる。針に連結する必要がある場合、ロボットは、
図1bに示すように、ニードルキャッチャークランプ14をニードルホルダーのボールの近くに移動させ、ボールが置かれるべき場所を確認するために追跡システムを使用して、
図1cに示すようにニードルホルダーを把持するようにクランプ14を作動させる。
【0037】
要求に応じて固くすることができる柔軟リンクを用いて切り離す。
【0038】
ここで
図2を参照する。ニードルホルダー20は、柔軟リンク(例えば、
図2に示されるように、剛体管22と球状のボールジョイント21とから成るものなど)によってロボットに常に連結されている。柔軟リンクは、ワイヤ23を引っ張ることにより、要求に応じて固くすることができる。この連結を用いて、針はそれがどこにあっても瞬時に把持されることができる。ロボットに対するニードルホルダーの向きは、センサー12から知られている。
【0040】
異なる等角投影角度から見た磁気グリッパーの2つの図を示す
図3a及び3bを参照する。針10は三角形のスパイダー状のベースを有する軽量のニードルホルダー30に連結され、ベースには少なくとも2つの位置決め穴34又は1つの位置決め穴34及び1つの位置決めスロット35が配置されている。
図3a及び3bに示されている実施例には、穴34及びスロット35の実施が示されている。ニードルキャッチャー33は、スパイダーベース開口部34,35と結合するように寸法付けられ且つ間隔を置いて配置された自動配向ピン32を有する。1つ以上のセンサー12がニードルホルダー30をリアルタイムで追跡する。センサー12は、超音波近接センサー、赤外線センサー、レーザーセンサー、磁気センサー、静電気センサー又は物体の距離又は相対位置を測定する他のセンサーとすることができる。
【0041】
外部の追跡システムの使用よりも有利な方法は、ロボットアクチュエーターによって保持されている把持機構16に追跡システムのエミッター36を取り付けることであり得る。エミッター36及びセンサー12はこのとき近くのニードルホルダー11の相互位置を測定することができ、その位置はこのとき捕捉機構16に対して相対的に分かり、又はロボットの姿勢が空間内で絶対的に分かるため、空間内で絶対的に分かる。代替的に、エミッター36がニードルホルダー11にあり且つセンサーが捕捉機構16にあることができ、或いは、エミッター及びセンサーをシステムのこれらの2つの構成部品の一方にある同一パッケージ内に組み込み、反対側の構成要素にある反射器を用いてそれらの感知された相対位置を得ることができる。
【0042】
針基部は、電磁石33によって駆動されるアクチュエーター31の磁気吸引力によってニードルキャッチャーへの連結が保持されているが、ソレノイド駆動式の可動磁石を用いてもよい。針基部は位置合わせピン32によって位置合わせした状態に維持される。針から切り離す必要がある場合、磁気力は除去され、針は離れて空間内を自由に移動することができ、一方、センサー12は針の位置を追跡する。針に連結する必要がある場合、ロボットは、配向ピンがスパイダーベースにある関連する開口部と一致するように、ニードルホルダーの位置の近くにニードルキャッチャーを移動させ、スパイダーベースをキャッチャーと接触するように引き寄せる磁気力が加えられる。
【0044】
図3a及び3bに示される磁気グリッパーの実施形態に構造が類似しているが、
図3a及び3bの磁気クランプの代わりに、ニードルホルダー40内の支柱要素に固定する、ソレノイド又はモータ42によって作動されるクランプ43を用いて把持が機械的に行われる、ニードルホルダーの異なる図を示す
図4aから4dを参照する。
図4a及び4bは把持機構のすべての側面を示すために2つの異なる方向から見たグリッパー41及びニードルホルダー40の全体的な等角図であり、一方、
図4c及び4dは機械的なクランプ動作が行われる様子を示す断面図である
【0045】
(ii)針の連結を解放するが針を拘束する。
【0046】
ここで、ロボットによりグリッパーをニードルホルダーの領域に移動させ且つ次いでニードルホルダーを再び保持することを効率的且つ迅速に行うことができるように、ニードルホルダーがグリッパー装置とのあらゆる形状嵌め接触から解放されているが、所定の空間の範囲内に保持され、その外部に移動することができない、ニードルグリッパーの第2のタイプの第1実施例を示す
図5を参照する。
図5に示される実施例では、ニードルホルダー51は、張力をかけたワイヤ52によってグリッパー装置の所定の繰り返し可能な位置で把持される。ニードルホルダーが解放されたとき、ニードルホルダーは、可撓性ワイヤ52と、針の位置をその範囲内に拘束する固定されたジョー50とによって拘束されている。針の位置と向きは、センサー12と解放されたワイヤ52の長さによって追跡することができる。再連結が必要な場合、ワイヤはアクチュエーター53によってニードルキャッチャー内に引き戻される。
【0047】
ここで、半拘束式ニードルグリッパーアセンブリの更なる実施例を示す
図6a及び6bを参照する。ニードルホルダー61は、完全に切り離されているが、クランプアーム60によって作られた円形構造によって拘束されている。針の捕捉が必要な場合には、キャッチャー62は、針基部がクランプ60によって作られた円の中心に位置するように、ロボットによって移動される。その後、
図6bに示されるように、クランプアームが閉じられる。
【0048】
図6c及び6dは、同様の装置であるが、針が、
図6a及び6bのように把持するために増大した直径を有するシャンクを介してではなく、直接クランプされる装置を示す。
【0049】
図6dはまた、グリッパーが患者へ少しずつ針の挿入を進めるのにも使用される、本開示のニードルグリッパーの更なる実施態様を示す。グリッパーは、グリッパー自体が針又はニードルホルダーを少しずつ進めることを可能にする挿入機構を組み込んでいる。これは、完全にロボットによる挿入の代わりに、又はロボットによる挿入に加えて(例えば、ロボットが最初の位置決めに又は大きな挿入ステップに使用され、
図6dの挿入機構の実施形態が小さな漸進的挿入ステップに使用される場合など)使用することができる。この例示的な実施形態では、運動機構が、ニードルグリッパーに関連付けられ、グリッパーが針又はニードルホルダーをそのグリップ内にしっかりと捕捉すると針を所定量だけ遠位側に移動させるように適合されている。運動機構は、任意の制御可能なタイプであることができ、最も好都合には、例えば機械的なスライドとリードスクリューを用いる電気機械の機構、或いはリニアソレノイドを用いる電磁気の機構、或いは従動ピストンを用いる油圧又は空気圧の機構であることができる。ニードルグリッパーに与えられる運動の範囲は、医療従事者によって選択されたステップサイズに応じて、制御システムによって与えられる信号により決定される。
図6dに示される実施形態では、挿入機構は、ロボット配置アームのエンドエフェクタに取り付けることができるスライドベース81と、レール82のセットとで構成され、ニードルグリッパー62のベースが、
図6dにピストン80として示される運動機構の影響を受けて、レール82に沿って走行する。ベース81は、好ましくは、ロボットエフェクタアームの端部によって保持されることができる。
図6dの運動挿入機構は、
図6c及び
図6dに示すように針10自体又は本出願の前の図面に示されるようにニードルグリッパーのいずれかを漸次的に挿入するために適用されることができる。
【0050】
ここで、本開示の装置の使用によって可能になる全体的な特徴のいくつかを示している、完全なロボットによる針挿入システムを示す
図7を参照する。
図7には、CTシステムによって撮像されている患者74が示されている。この例示的なシステムでは、針10の挿入のために使用されるロボット72は、CTベッドサイドによって取り付けられたシリアルロボットである。しかしながら、針挿入のための任意の適切なロボット、特に「軸操作による針操縦」と題した本出願人の同時係属中のPCT特許出願に示されるタイプの小型ロボットを等しく良好に使用することができることを理解すべきである。
図7には模式的にしか示されていないが、針10は、ロボットアームによって解放可能なグリッパー装置(例えば、その運用モデルが本開示に記載されているタイプのものなど)内に保持されている。運動又は呼吸センサー73が、患者の呼吸周期に関するデータを提供するために患者の体に取り付けられている。このセンサーからのデータは、システムコントローラ71に入力され、そこで針の挿入と針の把持及び解放動作の少なくとも一方を呼吸周期の時点と同期させるために使用される。
【0051】
本発明が以上に詳細に示され且つ記載されたものに限定されないことは、当業者によって理解される。むしろ、本発明の範囲は、本明細書に記載された様々な特徴のコンビネーションとサブコンビネーションの両方と、当業者が上記記載を読めば思いつく従来技術ではない変形及び修正とを含む。