(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜
図8は本実施形態に係る眼鏡装用画像解析装置の構成について説明する図である。なお、以下の説明において、被検者の左右方向をX軸方向、被検者の上下方向をY軸方向、被検者の前後方向をZ軸方向として説明する。
【0012】
<概要>
本発明の実施形態に係る眼鏡装用画像解析装置1の概要について説明する。本実施形態に関わる眼鏡装用画像解析装置1は、照明光学系110、測定光学系(例えば、遠用測定光学系200、近用測定光学系300等)、光路切換ユニット400と、制御部70と、を主に備える。
【0013】
例えば、眼鏡装用画像解析装置1は、眼鏡を装用した被検者の画像を解析し、被検者の眼鏡装用パラメータを測定するために用いられる。
【0014】
例えば、測定光学系は、被検者の画像を撮影するために用いられる。
【0015】
例えば、眼鏡装用画像解析装置1は、取得手段と、制御手段と、を備える。例えば、本実施形態において、取得手段と、制御手段と、は兼用される。もちろん、別途、取得手段と、制御手段と、がそれぞれ設けられる構成としてもよい。なお、本実施形態においては、制御部70が、取得手段と、制御手段と、として用いられる。
【0016】
例えば、取得手段は、眼鏡フレームタイプ情報を取得する。例えば、眼鏡フレームタイプとしては、眼鏡フレームの形状、眼鏡フレームの材料、眼鏡フレームの色、眼鏡フレームのデザイン、眼鏡フレームの構成情報等が設定される構成が挙げられる。例えば、眼鏡フレームの形状としては、フルリム(Full lim)、ツーポイント(Two point)、ナイロール(Nylor)等の形状が挙げられる。また、例えば、眼鏡フレームの構成情報としては、眼鏡フレームの玉型形状、眼鏡フレームのそり角度、眼鏡フレームの前傾角度等が挙げられる。
【0017】
例えば、眼鏡フレームタイプ情報を取得する構成としては、眼鏡装用画像解析装置1において検者の操作によって、入力される構成が挙げられる。例えば、検者による入力としては、眼鏡フレームタイプの情報を直接入力する構成や、眼鏡装用画像解析装置1のメモリ72に記憶されている眼鏡フレームタイプより選択する構成が挙げられる。また、例えば、眼鏡フレームタイプ情報を取得する構成としては、被検者の眼鏡装用パラメータを取得する前に、眼鏡装用画像解析装置1において、眼鏡フレームを検出し、検出結果(例えば、眼鏡フレームの厚み等)に基づいて、眼鏡フレームタイプを設定する構成が挙げられる。また、例えば、眼鏡フレームタイプ情報を取得する構成としては、別途異なる装置で入力された画像を受信する構成が挙げられる。
【0018】
例えば、制御手段は、眼鏡フレームタイプ情報に基づいた制御動作を行う。このような構成とすることによって、眼鏡フレームタイプに対応した制御動作を行うことができ、眼鏡フレームを装用した状態の被検者を好適に撮影及び測定することができる。
【0019】
例えば、眼鏡フレームタイプ情報に基づいた制御動作としては、眼鏡フレームタイプ情報が装置の各部材を制御する際に用いられる構成が挙げられる。例えば、眼鏡フレームタイプ情報が装置の各部材を制御する際に用いられる構成としては、各光学系の光源の光量調整、各光学系の撮像素子のゲイン調整、各光学系の位置の調整、被検者を撮影する撮影方向の切り換え等が挙げられる。
【0020】
また、例えば、眼鏡フレームタイプ情報に基づいた制御動作としては、眼鏡装用パラメータを取得する際に、眼鏡フレームタイプ情報が用いられる構成が挙げられる。この場合、制御手段は、眼鏡フレームタイプ情報に基づいて、眼鏡装用パラメータを取得する制御を行う。眼鏡フレームタイプに基づいて、眼鏡装用パラメータを取得することができるため、眼鏡フレームタイプに対応した眼鏡装用パラメータを取得することができる。
【0021】
例えば、眼鏡装用パラメータとは、瞳孔情報(例えば、瞳孔位置、瞳孔径等)およびフレーム情報(例えば、フレームの幅、フレーム位置等)等が挙げられる。また、例えば、眼鏡装用パラメータとは、瞳孔情報およびフレーム情報から求められるような、瞳孔間距離、アイポジション高さ(フィッティングポイント高さ)等が挙げられる。また、例えば、側方画像からフレーム部位を抽出することによって、算出される眼鏡装用パラメータ(例えば、フレーム前傾角度、眼鏡装用距離等)もありうる。
【0022】
例えば、眼鏡フレームタイプ情報に基づいて、眼鏡装用パラメータを取得する制御としては、眼鏡フレームタイプ情報に基づいて、眼鏡を装用した被検者の画像を解析処理するための解析処理方法を選択し、選択した解析処理方法に基づいて、画像を解析する制御を行う構成が挙げられる。例えば、眼鏡フレームタイプ情報に基づく、異なる解析処理方法としては、各部位(例えば、眼鏡フレーム、被検者の瞳孔等)のエッジ検出の際の閾値が異なる解析処理方法が挙げられる。また、例えば、第1解析処理方法と第2解析処理方法で、各部位を検出する際の演算処理方法が異なる解析方法を用いる構成としてもよい。また、例えば、第1解析処理方法は、眼鏡フレームの検出が容易であるため、処理速度の速い解析処理方法を用いて、第2解析処理方法は、眼鏡フレームの検出が困難であるため、処理速度よりも検出精度の高い解析処理方法を用いるようにする構成であってもよい。このように、各部位を検出する上で、重視する点(例えば、検出速度、検出精度等)に応じた解析処理方法が、眼鏡フレームタイプに応じて選択されるようにすることによって、好適に眼鏡装用パラメータを取得することができる。
【0023】
また、例えば、眼鏡フレームタイプ情報に基づいて、眼鏡装用パラメータを取得する制御としては、眼鏡フレームタイプ情報に基づいて、眼鏡装用パラメータを補正する制御を行う構成が挙げられる。このような構成とすることによって、眼鏡フレームタイプに対応した眼鏡装用パラメータを取得できるため、眼鏡レンズ加工装置等に取得したデータを送信した際に、眼鏡フレームタイプを考慮したレイアウトデータ等を取得することが可能となる。すなわち、検者は、外部装置において、各種の眼鏡装用パラメータや眼鏡フレームタイプ等の情報を設定する必要がなくなり、レンズ加工装置等での作業がスムーズになる。また、検者は、眼鏡フレームタイプに対応した好適なレンズ加工等を行うことができる。
【0024】
なお、上記記載の眼鏡フレームタイプに基づいて、眼鏡装用パラメータを取得する構成としては、複数の処理を組み合わせて実施する構成としてもよい。眼鏡装用パラメータに基づいて選択された解析処理方法を用いて画像処理を行うに加えて、画像解析処理によって取得した眼鏡装用パラメータを眼鏡装用パラメータに基づいて補正する構成としてもよい。
【0025】
なお、本実施形態において、さらに、眼鏡フレームタイプ情報とともに、眼鏡装用パラメータを外部の装置へ送信するため送信手段を設ける構成としてもよい。例えば、本実施形態において、取得手段と、制御手段と、送信手段は兼用される。もちろん、別途、取得手段と、制御手段と、送信手段と、がそれぞれ設けられる構成としてもよい。なお、本実施形態においては、制御部70が、送信手段として用いられる。例えば、外部装置としては、レンズ加工装置、トレーサー、ブロッカー等が挙げられる。このように、取得した眼鏡装用パラメータとともに、眼鏡フレームタイプ情報を外部装置に送信できることで、検者は、外部装置において、各種の眼鏡装用パラメータや眼鏡フレームタイプ等の情報を設定する必要がなくなる。このため、例えば、次の操作への移行がスムーズになる。
【0026】
なお、例えば、本実施形態において、眼鏡装用画像解析装置1は、第1眼鏡クレームタイプに対応する第1制御動作を行う制御手段であって、第1眼鏡フレームタイプと異なる眼鏡フレームタイプである第2眼鏡フレームタイプに対応する、第1制御動作とは異なる第2制御動作を行う制御手段を備える装置であってもよい。例えば、第1眼鏡フレームタイプ及び第2眼鏡フレームタイプとしては、上記記載のように、眼鏡フレームの形状、眼鏡フレームの材料、眼鏡フレームの色、眼鏡フレームのデザイン等が設定される構成が挙げられる。
【0027】
例えば、第1制御動作及び第2制御動作としては、装置の各部材を制御する構成が挙げられる。この場合、例えば、装置の各部材を制御する構成としては、各光学系の光源の光量調整、各光学系の撮像素子のゲイン調整、各光学系の位置の調整等が挙げられる。
【0028】
また、例えば、第1制御動作及び第2制御動作としては、眼鏡装用パラメータを取得する構成が挙げられる。例えば、眼鏡装用パラメータを取得する構成としては、眼鏡フレームタイプに対応する解析処理方法を選択し、選択した解析処理方法に基づいて、画像を解析する制御を行う構成が挙げられる。また、例えば、眼鏡装用パラメータを取得する制御としては、取得した眼鏡装用パラメータを眼鏡フレームタイプに対応する眼鏡装用パラメータに補正する制御を行う構成が挙げられる。
【0029】
<実施例>
図1は、本実施例に係る眼鏡装用画像解析装置1の外観の概略構成図である。
図2は、本実施例に係る眼鏡装用画像解析装置1に収納される光学系の概略構成図である。以下、
図1及び
図2を参照して、本実施例に係る眼鏡装用画像解析装置1の構成について説明する。
図1に示されるように、眼鏡装用画像解析装置の装置本体3の内部には、後述する種々の測定光学系、駆動系、制御系等が備わる。装置本体3の被検者側には呈示窓6が備わる。呈示窓6は、被検者に固視標を呈示する際に、固視光束を通過させる窓である。同じく装置本体3の被検者側には顔支持ユニット5が備わる。顔支持ユニット5は、被検者の顔を支持するためのユニットである。装置本体3の検者側には操作ユニット(操作部)10が備わる。
【0030】
<操作ユニット>
操作ユニット10は、入力された操作指示に応じた信号を後述する制御部70に出力する。本実施例における操作ユニット10は、タッチパネル式の表示部15が用いられる。すなわち、本実施例においては、操作ユニットと表示部が兼用される。もちろん、操作ユニットと表示部が別に設けられた構成であってもよい。例えば、操作ユニット10には、マウス、ジョイスティック、キーボード等の操作手段の少なくともいずれかを用いる構成が挙げられる。例えば、表示部15は、眼鏡装用パラメータ測定装置1の本体に搭載されたディスプレイであってもよいし、本体に接続されたディスプレイであってもよい。もちろん、タッチパネル式でなくともよい。例えば、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」という。)のディスプレイを用いてもよい。また、例えば、複数のディスプレイが併用されてもよい。表示部15には、撮影された遠方視及び近方視状態の正面画像又は側方画像を含む各種画像が表示されてもよい。
【0031】
<顔支持ユニット>
顔支持ユニット5は、被検者の額を支持する。そして、顔支持ユニット5は、後述する測定光学系(例えば、遠用測定光学系200,近用測定光学系300,反射ミラー410等)と被検者との距離を一定にする。また、顔支持ユニット5は、被検者の左右方向に回転可能であり、被検者の顔の向きを調整することができる。これによって、被検者の顔の向きが左右方向のいずれかにずれている場合、被検者の顔が正面を向くように、顔支持ユニット5を回転させることができる。
【0032】
顔支持ユニット5は、当節部31、作動距離調節部40、左右回転調節部50を主に備える。当接部31は、被検者の顔に接触する部分である。作動距離調節部40は、被検者と後述の測定光学系との距離を調節するために当接部31の位置をZ軸方向に調節する。例えば、本実施例において、検者によって作動距離調節部40の調節ノブ41が操作されることによって、当接部31のZ軸方向(作動距離方向)における位置が調節される。水平回旋調節部50は、被検者の顔が正面を向くように、当接部31の左右方向の角度を調節する。例えば、本実施例において、検者によって左右回転調整部50の調節ノブ51が操作されることによって、当接部31の左右方向の位置が調節される。
【0033】
なお、顔支持ユニット5は本実施形態の構成に限定されない。本実施例においては、被検者の額を支持するものとして説明したが、被検者のあごでもよいし、頬、鼻などでもよい。被検者の顔を支持する構成であればよい。また、本実施例において、顔支持ユニット5は、検者が調節ノブ41,51を操作することによって、当接部31の位置が調節される構成としたがこれに限定されない。顔支持ユニット5は、モータ等の駆動部を有し、操作ユニット10の操作等によって、電動で当接部31の位置が調整される構成としてもよい。
【0034】
<光学系>
次に、
図2を参照して、本実施例に係る眼鏡装用画像解析装置1に収納される光学系について説明する。本実施例の眼鏡装用画像解析装置1は、照明光学系110、遠用測定光学系200、近用測定光学系300、光路切換ユニット400と、側方撮影光学系500、を主に備える。
【0035】
本実施例において、眼鏡パラメータを測定するために眼鏡を装用した被検者の画像を撮影するための撮影手段を有する測定光学系として、少なくとも、遠用測定光学系200、近用測定光学系300のいずれかが用いられる。本実施例において、遠用測定光学系200、近用測定光学系300は、被検者の正面画像を撮影するために用いられる。また、側方撮影光学系500は、被検者の側方画像を撮影するために用いられる。
【0036】
<照明光学系>
照明光学系110は、4つの光源110R,110L,111R,111L(
図2では、110L、111Lを省略)を主に備える。照明光学系110は、光源110R,110L,111R,111Lによって、四方向から被検者の顔を照明する。もちろん、照明光学系100は上記の構成に限らない。光源の数はいくつでもよく、配置も任意でよい。照明光学系110は、光源によって被検者の顔を照明することができればよい。例えば、照明光学系110は、顔支持ユニット5の下部、呈示窓6の上部に設けられてもよい。
【0037】
なお、本実施例の照明光学系110においては、赤外光源を用いる。赤外光源と、後述する赤外フィルタ等を用いることによって、外乱光(自然光など)の影響を抑えることができる。ただし、赤外光源でなくてもよく、可視光源を用いてもよい。
【0038】
<遠用測定光学系>
図2に基づいて、遠用測定光学系(以下、第1測定光学系とも言う)200について説明する。遠用測定光学系200は、眼鏡フレームに対する遠方視状態における被検眼Eの眼位置を測定するための光学系である。遠用測定光学系200は、第1の固視標投影光学系200aと第1の撮像光学系200bに分けられる。なお、遠用測定光学系200の測定光軸を光軸L1とする。
【0039】
固視標投影光学系200aは、被検者を遠方視状態に固視させるための遠用固視標を被検眼Eに投影する。固視標投影光学系200aは、光源220、ハーフミラー230、凹面ミラー240を主に備える。光源220は、被検眼Eに投影される固視標として機能する。凹面ミラー240は、光源220から出射される固視標光束を略平行光束にして反射する。なお、本実施例においては、光源220から出射される固視標光束は、略平行光束にして反射する構成としたがこれに限定されない。光源220から出射される固視標光束は、所定の遠用呈示距離になるように反射する構成としてもよい。
【0040】
光源220からの出射された固視標光束は、ハーフミラー230によって反射され、光軸L1と同軸とされる。ハーフミラー230によって反射された固視標光束は、凹面ミラー240によって反射される。凹面ミラー240に反射された固視標光束は、後述する反射ミラー410によって反射され、呈示窓6を通過して被検眼Eに入射する。凹面ミラー240は、固視標光束を略平行光束にするように反射する。このため、被検者から見た固視標は、被検眼Eから光源220までの実際の距離よりも遠方にあるように見える。その後、固視標光束は、後述の反射ミラー410によって反射され、呈示窓6を通過して被検眼Eに入射する。
【0041】
撮像光学系200bは、遠方視状態における被検者の顔を正面方向(被検者の顔の正面と対向した位置)から撮影する。本実施例において、撮像光学系200bは、遠方視状態における被検者の顔を正面位置から撮影する。もちろん、撮像光学系200bは、正面方向として、斜め下方向(斜め下の位置)から撮影する構成としてもよい。なお、被検者の顔とは、被検者の顔全体でなくてもよく、少なくとも被検眼Eの周辺領域(例えば、少なくとも左右眼一方の眼及び眼鏡フレームを含む被検者の顔の正面画像であってもよい)を指す。撮像光学系200bは、撮像素子210、撮像レンズ212、絞り214、赤外フィルタ216、ハーフミラー230、凹面ミラー240を主に備える。
【0042】
照明光学系110からの照明光は、被検者の顔によって反射されて、呈示窓6を通過する。呈示窓6を通過した照明光は、反射ミラー410によって反射される。反射ミラー410によって反射された反射光は、凹面ミラー240によって反射された後、ハーフミラー230を通り、赤外フィルタ216を通過する。赤外フィルタ216を通過した赤外光は、絞り214を通過し、撮像レンズ212によって収束された後、撮像素子210の上に像を結ぶ。撮像素子210は瞳と共役な位置関係にある。撮像素子210は、光を検出し、そのときの検出信号を制御部70に出力する。
【0043】
<近用測定光学系>
近用測定光学系(以下、第2測定光学系とも言う)300は、近方視状態における被検眼Eの眼位置を測定するための光学系である。近用測定光学系300は、第2の固視標投影光学系300aと第2の撮像光学系300bに分けられる。
【0044】
固視標投影光学系300aは、被検者を近方視状態に固視させるための近用固視標を斜め下方向から被検眼Eに投影する。固視標投影光学系300aは、光源320、ハーフミラー330、凸レンズ340を主に備える。光源320は、被検眼Eに投影される固視標として機能する。
【0045】
光源320からの出射された固視標光束は、ハーフミラー330によって反射され、光軸L2と同軸とされる。ハーフミラー330によって反射された固視標光束は、凸レンズ340を通過し、収束される。その後、固視標光束は、後述の反射ミラー410によって反射され、呈示窓6を通過して被検眼Eに入射する。
【0046】
撮像光学系300bは、近方視状態における被検者の顔を正面方向(被検者の顔の正面と対向した位置)から撮影する。なお、本実施例において、撮像光学系300bは、近方視状態における被検者の顔を斜め下方向(斜め下の位置)から撮影している。もちろん、撮像光学系300bは、正面方向として、正面位置から撮影する構成としてもよい。撮像光学系300bは、撮像素子310、撮像レンズ312、絞り314、赤外フィルタ316、ハーフミラー330、凸レンズ340を主に備える。
【0047】
被検者の顔を照明する照明光学系110からの照明光は、呈示窓6を通過し、反射ミラー410によって反射される。反射ミラー410によって反射された反射光は凸レンズを通過し、収束される。収束されたこの光束は、ハーフミラー330を通り、赤外フィルタ316を通過する。赤外フィルタ316を通過した赤外光は、絞り314を通過し、撮像レンズ312によって収束された後、撮像素子310の上に像を結ぶ。撮像素子310は、瞳と共役な位置関係にある。撮像素子310は、光を検出し、そのときの検出信号を制御部70に出力する。
【0048】
<光学系移動ユニット>
近用測定光学系300は、光学系移動ユニット350を備える。光学系移動ユニット350は、近用測定光学系300を移動可能に保持する。光学系移動ユニット350は、近用測定のときに、後述する反射ミラー410の角度の変更にともなって、近用測定光学系300の全体を移動させることができる。
【0049】
ところで、後述する光路切換ユニット400によって反射ミラー410の角度が変更されると、固視標投影光学系300aの光路(指標の呈示距離)、及び第2の撮像光学系300bの光路が変化してしまう。そこで、本実施形態の光学系移動ユニット350は、反射ミラー410の角度の変更にともなって、近用測定光学系300の全体を移動させる。これによって、反射ミラー410の角度が変更された場合であっても、近用視標の呈示距離が維持される。また、第2の撮像光学系300bの被検眼Eに対するフォーカス状態が維持される。
【0050】
また、光学系移動ユニット350は、呈示距離を調節するための凸レンズ340と、固視標を投影するための光源320を別々に移動させることが可能である。これによって、光学系移動ユニット350は、凸レンズ340と光源320の相対的な距離を変化させ、固視標の呈示距離を変更することができる。なお、光学系移動ユニット350は、例えば、モータや等の図示無き駆動部を用いて、駆動部を駆動させることによって、光学部材を移動させる。
【0051】
<光路切換ユニット>
図2に戻って、光路切換ユニット400について説明する。光路切換ユニットは、遠用測定用光学系200と、近用測定用光学系300の光路を切り換える。また、光路切り換えユニット400は、近用測定時における被検者の視線方向を変化させる。
【0052】
光路切換ユニット400は、反射ミラー410、ミラー保持部420、駆動部440を主に備える。
【0053】
反射ミラー410は、ミラー保持部420に保持される。ミラー保持部420の上部は、装置に固定された回転シャフト425に保持される。ミラー保持部420は、回転シャフト425の回転軸を中心に回旋可能とされる。このとき、ミラー保持部420は、反射ミラー410と一体的に回旋される。反射ミラー410は、遠用測定光学系200または近用測定光学系300から出射される視標光束を被検眼Eに向けて反射させる。駆動部440は、図示無きリンク機構部によって、ミラー保持部420の裏面と連結される。駆動部440が駆動されることによって、駆動部の駆動力が図示無きリンク機構部を介して、ミラー保持部420に伝達される。ミラー保持部420は、リンク機構部から伝達された駆動力によって回転シャフト425を中心に回旋される。ミラー保持部が回旋されることによって、回転シャフト425を中心に、反射ミラー410が回旋移動をする。
【0054】
反射ミラー410が回旋されることによって、視標光束の光路が変更され、被検眼Eに投影される固視標の呈示位置が変更される。固視標の呈示位置が変更されることで、被検者の視線方向が変更される。例えば、反射ミラーをA方向に回転させる(実線部から点線部へ移動される)ことによって、被検者の撮影を行うための光路が、遠用測定用光学系200の光路から近用測定用光学系300の光路へと切り換えられる。このように、光路切換ユニット400は、反射ミラー410を回旋させることで固視標の呈示位置を変化させ、被検者の視線方向を上下方向に変化させる。
【0055】
<側方撮影光学系>
図3は、側方撮影光学系500の概略構成図を示している。側方撮影光学系500は、被検者を側方から撮影することによって被検者の側方画像を取得する。
図3に示されるように、側方撮影光学系500は、被検者の顔が支持される位置の左右方向に固定されている。
【0056】
本実施例の側方撮影光学系500は、被検者の左側に配置される左方撮影光学系500Lと、被検者の右側に配置される右方撮影光学系500Rに大別される。左方撮影光学系500Lは被検者を左側方から撮影する。右方撮影光学系500Rは、被検者を右側方から撮影する。
【0057】
左方撮影光学系500Lは、ハーフミラー530L、赤外フィルタ540L、絞り550L、撮像レンズ560L、撮像素子570L、を主に備える。
【0058】
同様に、右方撮影光学系500Rは、ハーフミラー530R、赤外フィルタ540R、絞り550R、撮像レンズ560R、撮像素子570R、を主に備える。なお、以下の説明においては、便宜上、赤外フィルタ540L,540R、絞り550L,550R、撮像レンズ560L,560R、撮像素子570L,570Rの各部材をまとめて、撮像部575L,575Rと記載する。
【0059】
赤外フィルタ540L,540Rは可視光を吸収し、赤外光を通過させる。撮像素子570L,570Rには、赤外フィルタ540L,540Rを通過した赤外光が受光される。
【0060】
以下、左方撮影光学系500Lを例に挙げて側方画像の撮像について説明する。照明光学系100からの照明光束は、被検者の顔と眼鏡フレームFに反射される。反射された照明光束は、左方撮影光学系500Lに入射する。その後、照明光束は、ハーフミラー530Lによって反射される。ハーフミラー530Lによって反射された反射光束は、赤外フィルタ540Lを通過する。赤外フィルタ540Lを通過した赤外光は、絞り550Lを通過した後、撮像レンズ560Lによって集光され、撮像素子570Lの撮像面上に像を結ぶ。撮像素子570Lは、検出した撮像画像を制御部70に送信する。このようにして、撮像素子570Lには、被検者の左側の側方画像が撮像される。また、左方撮影光学系500Lと同様にして、右方撮影光学系500Rによって、被検者の右側の側方画像が撮像される。
【0061】
<制御部>
図4は本実施例の制御系を示すブロック図である。制御部70は、CPU(プロセッサ)、RAM、ROM等を備える。制御部70のCPUは、眼鏡装用画像解析装置1の制御を司る。RAMは、各種情報を一時的に記憶する。制御部70のROMには、眼鏡装用画像解析装置1の動作を制御するための各種プログラム、初期値等が記憶されている。
【0062】
制御部70には、不揮発性メモリ(以下、メモリに省略する)72、操作ユニット10、光源110L,110R,111L,111R,220,320、撮像素子210,310,570L,570R、光学系移動ユニット350の駆動部、駆動部440、等が電気的に接続されている。
【0063】
メモリ72は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、および、眼鏡装用画像解析装置1に着脱可能に装着されるUSBメモリ等をメモリ72として使用することができる。メモリ72には、眼鏡装用画像解析装置1による遠方視画像(遠方視状態における正面画像)又は近方視画像(近方視状態における正面画像)、側方画像の撮影を制御するための撮影制御プログラム、遠方視画像又は近方視画像、側方画像を処理する画像処理プログラムが記憶されている。また、メモリ72には、撮影された遠方視画像又は近方視画像、側方画像の撮影位置の情報等、撮影に関する各種情報が記憶される。操作ユニット10には、検者による各種操作指示が入力される。
【0064】
<制御動作>
以下、本実施例における制御動作について、
図5を参照して、説明する。
図5は、本実施例における制御動作の流れについて説明するフローチャートである。なお、本実施例においては、遠方視状態の被検者の画像を例に挙げて制御動作について説明する。もちろん、本発明は、近方視状態の被検者についても同様の制御が行われてもよい。
【0065】
<画像表示(S1)>
検者は操作ユニット10を操作し、遠用撮影モードに設定する。遠用撮影モードでは、遠方視状態の被検者の画像を撮影するために、各種光学系の制御が制御部70によって行われる。
【0066】
遠用撮影モードに設定された場合、制御部70は、駆動部440の駆動を制御することによって、光学切換ユニット400の反射ミラー410の角度θを、遠用撮影モードに対応する角度(例えば、水平面(XZ平面)方向に対して40°等)に設定する。遠用撮影モードに対応する角度に傾斜された反射ミラー410によって、光源220からの固視標光束は、被検眼Eに対して水平に投光される。
【0067】
<アライメント調整(S2)>
検者は、被検者を顔支持ユニット5に位置させる。検者は、眼鏡装用画像解析装置1に対して被検者の顔が所定位置に配置されるように顔支持ユニット5の調整を行う。すなわち、検者は、アライメント調整を行う(S2)。
【0068】
図6は、表示部15における表示画面の一例について示す図である。例えば、本実施例においては、被検眼Eの角膜頂点を表示部15上の所定位置に表示させるように、被検者と眼鏡装用画像解析装置1の距離が調節される。なお、本実施例においては、側方撮影光学系500によって撮影された画像の中心を示すための基準線V,Hが表示部15の側方画面上に表示される。本実施形態では、基準線V,Hの交点と角膜頂点とが合致されたとき、アライメント位置が適正となるように設定されている。検者は、表示部15に表示された被検者の顔(被検顔)の画像を確認し、アライメントを行う。
【0069】
<眼鏡フレームタイプ設定(S3)>
ここで、検者は、眼鏡フレームタイプの設定を行う(S3)。例えば、制御部70は、設定された眼鏡フレームタイプに基づいて、眼鏡装用パラメータを取得する制御を行う(詳細は後述する)。
【0070】
以下、眼鏡パラメータの設定について説明する。例えば、制御部70は、表示部15上において、被検者の顔画像を表示するとともに、眼鏡フレームタイプを設定するための眼鏡フレーム設定スイッチ85を表示する。検者は、操作ユニット10を操作し、眼鏡フレーム設定スイッチ85を選択する(
図6参照)。
【0071】
操作ユニット10の操作によって、眼鏡フレームタイプ設定スイッチが選択されると、制御部70は、眼鏡フレームタイプ(眼鏡フレームの種類)を入力可能にする。例えば、制御部70は、表示部15上に、少なくとも2つ以上の眼鏡フレームタイプを並べて表示する。
【0072】
例えば、眼鏡フレームタイプとしては、眼鏡フレームの形状、眼鏡フレームの材料(例えば、メタル(Metal)、プラスチック(Plastic)、オプチル(Optyl)等)、眼鏡フレームの色(例えば、赤、青、黄、黒、グレー等)、眼鏡フレームのデザイン(例えば、ドット、ボーダー等)、眼鏡フレームの構成情報(例えば、眼鏡フレームの玉型形状、眼鏡フレームのそり角度、眼鏡フレームの前傾角度等)等が設定される構成が挙げられる。例えば、眼鏡フレームの形状としては、フルリム(Full lim)、ツーポイント(Two point)、ナイロール(Nylor)等の形状が挙げられる。例えば、フルリムとしては、全体にリム(縁)があるタイプの眼鏡フレームが挙げられる。また、例えば、ツーポイントとしては、テンプルやブリッジが眼鏡レンズに直接ついているような、リムのない眼鏡フレームが挙げられる。また、例えば、ナイロールとしては、一部分のリムがないタイプの眼鏡フレームが挙げられる。この場合、リムのない部分は、ナイロン糸などで眼鏡レンズが固定される。
【0073】
なお、眼鏡フレームタイプとしては、眼鏡フレームの形状、眼鏡フレームの材料、眼鏡フレームの色、眼鏡フレームのデザイン等の少なくとも1つが設定される構成であればよい。例えば、眼鏡フレームタイプが各項目別に設定されるようにしてもよい。この場合、眼鏡フレーム形状としてはナイロール、眼鏡フレーム材料としてはメタル、眼鏡フレームの色としてはグレー(灰色)等の設定がされるようにしてもよい。
【0074】
また、所定の眼鏡フレームタイプが選択された際には、選択された眼鏡フレームタイプの他に、その他の項目の眼鏡フレームタイプが設定される構成としてもよい。例えば、メタル、プラスチック、オプチルのいずれかの眼鏡フレームの材料が選択された場合には、眼鏡フレームの形状は、フルリムとして設定されるようにしてもよい。この場合、予め、眼鏡フレームタイプ間の対応づけをしておくとよい。
【0075】
なお、眼鏡フレームタイプとしては、これらのタイプに限定されず、様々なタイプの眼鏡フレームを設定することができる。もちろん、眼鏡フレームタイプは、検者によって、任意に追加又は削除することが可能な構成としてもよい。
【0076】
本実施例において、眼鏡フレームタイプとして、フルリム、ツーポイント、ナイロールのいずれかが眼鏡フレームタイプとして設定される場合を例に挙げて説明する。なお、本実施例においては、眼鏡フレームタイプの設定スイッチ85が操作された際に、制御部70は、眼鏡フレームタイプとして、メタル、プラスチック、オプチル、ツーポイント、ナイロールの眼鏡フレームタイプの表示をする。本実施例において、メタル、プラスチック、オプチルの眼鏡フレームの材料は、眼鏡フレーム形状であるフルリムと対応づけされている。例えば、メタル、プラスチック、オプチルのいずれかの眼鏡フレームタイプが選択された場合、眼鏡フレーム形状としては、フルリムとして設定される。すなわち、メタル、プラスチック、オプチル、ツーポイント、ナイロールのいずれかの眼鏡フレームタイプが選択されることによって、フルリム、ツーポイント、ナイロールのいずれかが眼鏡フレームタイプとして設定される。
【0077】
検者は、表示部15に表示された、眼鏡フレームタイプの中から、被検者が装用している眼鏡フレームタイプを選択する。制御部70は、検者によって、選択された眼鏡フレームタイプを、被検者が装用している眼鏡フレームタイプとして設定する。以上のようにして、眼鏡フレームタイプが設定される。
【0078】
なお、本実施例においては、制御部70は、眼鏡フレームタイプを設定するために、眼鏡フレームタイプを並べて表示し、その表示された眼鏡フレームタイプの中から選択する構成を例に挙げたがこれに限定されない。眼鏡フレームタイプが設定可能な構成であればよい。例えば、眼鏡フレームタイプは、検者によって操作部10が操作され、入力される構成としてもよい。この場合、制御部70は、検者によって入力された眼鏡フレームタイプ情報に基づいて、眼鏡フレームタイプを設定する。
【0079】
<画像取得(S4)>
被検者の顔の位置調整及び眼鏡フレームタイプ設定が完了すると、検者は、表示部15に表示された図示無き撮影ボタンをタッチする。撮影ボタンがタッチされると、制御部70は、遠方視状態の被検者の画像(正面画像及び側方画像)を撮影する(S4)。以上のようにして、遠方視状態の画像が取得される。
【0080】
<画像解析処理(S5)及び眼鏡装用パラメータ取得(S6)>
画像が取得されると、制御部70は、取得した画像の解析処理を行う(S5)。本実施例において、制御部70は、設定された眼鏡フレームタイプに基づいて、眼鏡装用パラメータを取得する制御を行う。例えば、本実施例において、制御部70は、設定された眼鏡フレームタイプに基づいて、眼鏡を装用した被検者の画像を解析処理するための解析処理方法を選択し、選択した解析処理方法に基づいて、画像を解析する。
【0081】
例えば、制御部70は、画像解析において、眼鏡のフレーム情報や被検者の瞳孔情報等を検出する。そして、制御部70は、検出結果に基づいて、眼鏡フレームに対する被検眼Eの眼鏡パラメータを算出する(詳細は後述する)。なお、本実施例においては、画像が取得されると、画像の解析が開始される構成としたがこれに限定されない。例えば、検者によって解析の開始が設定される構成としてもよい。例えば、検者は、操作ユニット10を操作し、図示無き画像解析モードを選択する。検者によって画像解析モードが選択されると、制御部70は、画像の解析を開始する。
【0082】
例えば、眼鏡装用パラメータとしては、瞳孔情報(例えば、瞳孔位置、瞳孔径等)および眼鏡フレーム情報(例えば、フレームの幅、フレーム位置等)等が挙げられる。また、例えば、眼鏡装用パラメータとしては、瞳孔情報およびフレーム情報から求められるような、瞳孔間距離、アイポジション高さ(フィッティングポイント高さ)等が挙げられる。また、例えば、側方画像からフレーム部位を抽出することによって、算出される眼鏡装用パラメータ(例えば、フレーム前傾角度、眼鏡装用距離等)もありうる。
【0083】
以下、本実施例における画像解析処理について、説明をする。なお、本実施例においては、遠方視状態の被検者の画像を例に挙げて、画像解析処理(S5)について説明する。もちろん、本発明は、近方視状態の被検者の画像解析についても適用可能である。
【0084】
図7は、眼鏡フレームタイプに基づく、画像解析処理について説明するフローチャートである。例えば、制御部70は、設定された眼鏡フレームタイプに基づいて、眼鏡を装用した被検者の画像を解析処理するための解析処理方法を選択する。なお、本実施例においては、眼鏡フレームタイプに基づいて、被検者の画像を解析処理することによって、眼鏡フレーム位置を検出する場合を例に挙げて説明する。もちろん、本実施例に開示の技術は、被検者の画像における他の部分(例えば、瞳孔位置、眉毛等)を検出する際においても、適用可能である。
【0085】
本実施例において、例えば、制御部70は、画像処理によって眼鏡フレームの位置の検出が容易であるか否かに基づいて、解析処理方法を選択する(S51)。制御部70は、選択した解析処理方法に基づいて、画像を解析処理する。
【0086】
例えば、フルリムのように、全体にリムがあるタイプ(全周に渡ってリムがあるタイプ)の眼鏡フレームの場合、眼鏡フレームの厚みがあるため、眼鏡フレーム部分(眼鏡フレーム境界)がわかりやすい。このため、画像処理によって検出を行った場合に、眼鏡フレームの位置を検出することが容易である。また、例えば、ツーポイント又はナイロールのように、リムのない、又は、一部分のリムがないタイプの眼鏡フレームの場合、レンズの端部が眼鏡フレームの境界部分となる場合がある。このため、画像処理によって検出を行った場合に、眼鏡フレームの位置を検出することが困難となる。
【0087】
このため、本実施例においては、例えば、眼鏡フレームタイプがフルリムであるか否かに基づいて、解析処理方法が選択される。例えば、制御部70は、眼鏡フレームタイプがフルリムであった場合、第1解析処理方法を選択し、第1解析処理方法に基づいて、撮影画像の解析処理を行う(S52)。また、例えば、制御部70は、眼鏡フレームタイプがフルリムでない場合、第2解析処理方法を選択し、第2解析処理方法に基づいて、撮影画像の解析処理を行う(S53)。
【0088】
以下、解析処理方法について説明する。例えば、初めに、制御部70は、被検者の画像をXY方向に順にスキャンを行い、画像における輝度分布を取得する。制御部70は、取得した輝度分布より眼鏡フレームのエッジを検出する。例えば、制御部70は、取得した輝度分布において、隣り合う画素間での輝度変化量が所定の閾値を越えているか否かに基づいて、エッジを検出する。もちろん、各画素での輝度値が所定の閾値を越えているか否かに基づいて、エッジを検出する構成としてもよい。例えば、制御部70は、輝度変化量が所定の閾値を越えている場合に、眼鏡フレームのエッジとして検出する。制御部70は、検出したエッジを眼鏡フレーム位置として検出する(S55)。
【0089】
ここで、例えば、本実施例において、第1解析処理方法と第2解析処理方法とでは、眼鏡フレームのエッジを検出する際に、異なる閾値によって検出を行う。例えば、第1解析処理方法において用いられる閾値は、第2解析処理方法において用いられる閾値よりも高く設定される。すなわち、フルリムのように眼鏡フレームの位置を検出することが容易である眼鏡フレームの場合、閾値を高く設定した場合であっても、輝度値の変化(輝度変化量)が大きいため、検出が容易である。このため、制御部70は、閾値を高く設定した場合であっても、眼鏡フレームのエッジを検出することができる。この場合、閾値が高いことによって、眼鏡フレーム部分の周辺でのノイズは検出されづらくなり、より好適に眼鏡フレームを検出することができる。
【0090】
一方、第2解析処理方法において用いられる閾値は、第1解析処理方法において用いられる閾値よりも低く設定される。すなわち、ツーポイント又はナイロールのように、眼鏡フレームの位置を検出することが困難である眼鏡フレームの場合、輝度値の変化が小さくなる。このため、第1解析処理方法のように、眼鏡フレームのエッジを検出する際に高い閾値を用いる解析処理方法において、眼鏡フレームのエッジの検出が困難となる場合がある。本実施例においては、眼鏡フレームのエッジ検出時における閾値が低く設定された第2解析処理方法を用いることによって、制御部70は、眼鏡フレームのエッジを好適に検出することができる。
【0091】
以上のようにして、眼鏡フレームタイプに基づいた画像解析処理が行われ、眼鏡フレーム位置が好適に検出される。
【0092】
なお、第1解析処理方法及び第2解析処理方法において、用いられる閾値は、眼鏡フレームが検出できるような値であればよい。例えば、閾値は、予め、種々の眼鏡フレームタイプの眼鏡フレームを装用させ、撮影した画像に対して、眼鏡フレーム部分による輝度値の変化が検出できるような閾値を算出することによって、設定される。例えば、本実施例において、第1解析処理方法の閾値の設定は、種々のフルリムの眼鏡フレームを被検者に装用させ、撮影した画像より、眼鏡フレーム部分による輝度値の変化が検出できるような閾値を算出することによって、設定される。また、例えば、本実施例において、第2解析処理方法の閾値の設定は、種々のツーポイント又は種々のナイロールの眼鏡フレームを被検者に装用させ、撮影した画像より、眼鏡フレーム部分による輝度値の変化が検出できるような閾値を算出することによって、設定される。なお、閾値は任意の値に適宜変更することができるようにしてもよい。
【0093】
なお、本実施例においては、解析処理方法として、エッジ検出の際の閾値が異なる解析処理方法を選択して画像処理を実施する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、眼鏡フレームタイプに基づいて、解析処理方法を選択して画像処理を行う構成であればよい。例えば、第1解析処理方法と第2解析処理方法で、演算処理方法が異なる解析方法を用いる構成としてもよい。また、例えば、第1解析処理方法は、眼鏡フレームの検出が容易であるため、処理速度の速い解析処理方法を用いて、第2解析処理方法は、眼鏡フレームの検出が困難であるため、処理速度よりも検出精度の高い解析処理方法を用いるようにする構成であってもよい。このように、眼鏡フレームタイプに応じて、解析処理方法を選択することによって、より好適に眼鏡装用パラメータを取得することができる。
【0094】
図8は、撮影画像の解析終了後において表示部15上に表示される画面の一例を示す図である。
図7に示されるように、例えば、制御部70は、正面画像620と、左側方画像621と、右側方画像622等の撮影画像を表示する。
【0095】
正面画像620は、例えば、被検者の両眼、及び眼鏡フレームの正面画像が含まれる。もちろん、正面画像620としては、左右眼の一方の眼及び眼鏡フレームが含まれた状態の正面画像であってもよい。
【0096】
左側方画像621は、側方撮像光学系500Lによって撮像された被検者の顔の左側方画像(側面画像)である。逆にいえば、左側方画像621は、被検者と対面する検者にとって右手方向から被検者を見たときの画像である。左側方画像621には、被検者の左眼、及び眼鏡フレームの左側方画像が含まれる。
【0097】
右側方画像622は、側方撮像光学系500Rによって撮像された被検者の顔の右側方画像(側面画像)である。逆にいえば、右側方画像622は、被検者と対面する検者の左手方向から被検者を見たときの画像である。右側方画像622には、被検者の右眼、及び眼鏡フレームの右側方画像が含まれる。
【0098】
例えば、制御部70は、表示部15に、画像解析結果として、画像解析において検出された検出結果に基づいて、撮影画像上に眼鏡フレーム位置に指標を重畳表示させる。また、制御部70は、画像解析処理によって被検者の瞳孔位置を検出し、撮影画像上に被検者の瞳孔位置に指標を重畳表示させる。例えば、制御部70は、眼鏡フレーム位置を示す指標(眼鏡フレーム位置指標)、被検者の瞳孔位置を示す指標(瞳孔位置指標)P等を表示させる。例えば、各指標は、表示部15において、十字マーク、線表示等の種々の表示形態で表示される。なお、本実施例において、眼鏡フレーム位置として、眼鏡フレームの内の所定部位であるレンズ下端LTを表示する場合を例に挙げている。もちろん、眼鏡フレーム位置としては、レンズ下端に限定されない。眼鏡フレーム位置としては、眼鏡フレームに関する部分であれば適用することができる。例えば、眼鏡フレーム位置としては、眼鏡フレーム全体の位置が挙げられる。また、例えば、眼鏡フレーム位置としては、眼鏡フレームの内の所定部位である、レンズの上端(眼鏡フレームの上端)、眼鏡フレームのブリッジ等の位置が挙げられる。
【0099】
また、例えば、表示部15には、検出結果に基づいて算出されたアイポジション高さを示す指標(アイポジション高さ指標)BT、遠方視状態における瞳孔間距離を示す指標(瞳孔間距離指標)PD等が撮影画像の重畳表示される。例えば、瞳孔間距離PDは、左右の瞳孔中心間の距離である。また、例えば、検出結果に基づいて算出されたアイポジション高さ、瞳孔間距離等は、指標で表示される他に、その測定値が表示部15の表示画面上に表示される。例えば、表示部15に表示された測定値表示欄80には、アイポジション高さ、瞳孔間距離等の測定値が示されている。解析によって取得された眼鏡装用パラメータは、メモリ72に記憶される。以上のようにして、眼鏡装用パラメータが取得される。
【0100】
以上のように、眼鏡装用パラメータを取得する際に解析処理方法において、眼鏡フレームタイプに基づいて、眼鏡装用パラメータを取得することによって、好適に眼鏡装用パラメータを取得することができる。
【0101】
なお、検者は、図示無き送信スイッチを選択することによって、取得したデータ(例えば、眼鏡装用パラメータ、眼鏡フレームタイプ等)を外部装置へ送信することができる。例えば、制御部70は、検者によって、送信スイッチが選択されると、取得した眼鏡装用パラメータとともに、眼鏡フレームタイプ(眼鏡フレームタイプ情報)を外部装置に送信する。もちろん、制御部70は、眼鏡装用パラメータの取得が完了するとともに、取得したデータを外部装置へ送信するようにしてもよい。
【0102】
例えば、外部装置としては、レンズ加工装置、トレーサー、ブロッカー等が挙げられる。このように、外部装置に眼鏡装用パラメータとともに、眼鏡フレームタイプが送信されることによって、検者は、外部装置において、各種の眼鏡装用パラメータや眼鏡フレームタイプ等の情報を設定する必要がなくなる。このため、例えば、次の操作への移行がスムーズになる。なお、外部装置のメモリに記憶されている眼鏡フレームタイプと、眼鏡装用画像解析装置に記憶されている眼鏡フレームタイプと、で共通の眼鏡フレームタイプが記憶されていると、装置間での対応付けがしやすいため、より好ましい。
【0103】
なお、例えば、外部の装置に送信するための構成としては、眼鏡装用画像解析装置と接続する構成、無線等によって通信可能な構成、フラッシュROM、USBメモリ等を用いて外部装置に受信させる構成、等が挙げられる。この場合、例えば、フラッシュROM、USBメモリ等を用いる場合、検者は、外部の装置に、取得されたデータが記憶されたフラッシュROM、USBメモリ等を接続し、外部装置にデータを取得させ、外部装置のメモリに取得したデータを記憶させる。
【0104】
<変容例>
なお、本実施例においては、眼鏡装用パラメータを取得する際に、眼鏡フレームタイプ情報を用いることができる構成を例に挙げて説明をしたがこれに限定されない。眼鏡フレームタイプに基づいて、制御動作を行う構成であればよい。例えば、眼鏡フレームタイプ情報が装置の各部材を制御する際に用いられる構成や、眼鏡装用パラメータを取得する際に眼鏡フレームタイプ情報が用いられる構成等が挙げられる。このような構成とすることによって、眼鏡フレームタイプに対応した制御動作を行うことができ、眼鏡フレームを装用した状態の被検者を好適に撮影及び測定することができる(詳細は後述する)。
【0105】
例えば、眼鏡フレームタイプ情報を装置の各部材を制御する際に用いる場合、例えば、各光学系の光源の光量調整、各光学系の撮像素子のゲイン調整、各光学系の位置の調整等が挙げられる。例えば、眼鏡フレームタイプ情報に基づいて、各光学系の光源の光量調整を行う場合、制御部70は、眼鏡フレームタイプがフルリムではない場合には、少なくともいずれかの光学系の光源の光量を増加させ、眼鏡フレーム部分が明確になるように調整するようにしてもよい。例えば、眼鏡フレームタイプ情報に基づいて、各光学系の撮像素子のゲイン調整を行う場合、制御部70は、眼鏡フレームタイプがフルリムではない場合には、少なくともいずれかの光学系の撮像素子のゲインを増加させ、眼鏡フレーム部分による輝度変化を取得できるように調整してもよい。例えば、眼鏡フレームタイプ情報に基づいて、各光学系の位置の調整を行う場合、制御部70は、被検者が装用した眼鏡フレームが好適に撮影できるように、反射ミラー410の角度の調整を行うようにしてもよい。このように、眼鏡フレームタイプ情報に基づいて眼鏡装用画像解析装置の各部材を制御することによって、好適に、各種画像の取得、眼鏡装用パラメータの算出等が可能となる。
【0106】
また、例えば、眼鏡フレームタイプ情報を眼鏡装用パラメータを取得する際に用いる場合としては、上記記載のように、眼鏡フレームタイプに基づいて、画像解析処理の解析処理方法を選択する構成が挙げられる。また、例えば、眼鏡フレームタイプに基づいて、眼鏡装用パラメータを補正するような構成が挙げられる。この場合、例えば、制御部70は、眼鏡フレームタイプに基づいて、アイポジション高さ(例えば、レンズ下端から瞳孔位置までの距離)を補正する。例えば、フルリムの場合には、眼鏡レンズをリムにはめるためのヤゲン部分がレンズに形成されていることが必要となるため、レンズの下端は、ヤゲン部分の長さだけ長くすることが好ましい。このため、眼鏡フレームタイプがフルリムの場合には、ヤゲン部分を考慮して、アイポジション高さを補正するようにしてもよい。もちろん、眼鏡フレームタイプに基づいて補正を行う眼鏡装用パラメータとしては、これに限定されない。眼鏡フレームタイプに基づく眼鏡装用パラメータの補正は、眼鏡フレームタイプの情報に基づいて、位置や距離が変更されるようなものであれば、適用することができる。例えば、レンズ上端から瞳孔位置までの距離、レンズの左右端(例えば、眼鏡フレームとレンズとの左右側の境界位置)、瞳孔間距離PD等であってもよい。このように、眼鏡フレームタイプの情報に基づいて、眼鏡装用パラメータを取得することができる。このため、例えば、眼鏡レンズ加工装置等に取得したデータを送信した際に、眼鏡フレームタイプを考慮したレイアウトデータ等を取得することが可能となる。すなわち、検者は、外部装置において、各種の眼鏡装用パラメータや眼鏡フレームタイプ等の情報を設定する必要がなくなり、レンズ加工装置等での作業がスムーズになる。また、検者は、眼鏡フレームタイプに対応した好適なレンズ加工等を行うことができる。
【0107】
なお、本実施例においては、眼鏡フレームタイプを設定するタイミングとしては上記記載の構成に限定されない。例えば、眼鏡フレームタイプの設定は、画像表示(S1)、アライメント調整(S2)等の前であってもよい。また、例えば、画像取得取得(S4)、画像解析(S5)、眼鏡装用パラメータ取得(S6)の後であってもよい。この場合、例えば、制御部70は、取得された眼鏡装用パラメータを、設定された眼鏡フレームタイプに基づいて、補正するような構成としてもよい。
【0108】
なお、本実施例においては、眼鏡装用画像解析装置によって取得した各種データを送信する構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、取得した各種データを印刷するようにしてもよい。
【0109】
なお、眼鏡装用パラメータの取得に用いられる正面画像及び側方画像は、1つの画像から、眼鏡フレーム及び被検者の眼が検出される構成に限定されない。複数の撮影画像から眼鏡フレームと被検者の眼が検出されて、眼鏡装用パラメータが取得される構成としてもよい。この場合、例えば、正面画像として、複数の正面画像(左眼正面画像、右眼正面画像等)が撮影され、左眼と右眼の眼鏡装用パラメータがそれぞれ取得される構成が挙げられる。また、例えば、眼鏡フレームを撮影した撮影画像と、被検者の眼を撮影した撮影画像と、の複数の撮影画像が取得され、眼鏡フレーム情報と、被検者の瞳孔情報と、をそれぞれ取得し、眼鏡装用パラメータを取得する構成が挙げられる。
【0110】
なお、本実施例において、眼鏡装用パラメータは、画像解析によって自動で検出される構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、眼鏡装用パラメータは、手動及び自動によって検出される構成としてもよい。手動及び自動で検出される場合、自動で撮影画像の画像解析が行われ、
図7に示されるように撮影画像上に検出結果に基づいた指標が表示される。ここで、検者は、撮影画像に表示された指標を表示された位置から、操作ユニット10を操作することによって指標を移動させ、指標が移動された位置での結果を眼鏡装用パラメータとして取得する。すなわち、指標の移動に連動して、測定値表示欄80の測定値も変更される。
【0111】
なお、本実施例において、眼鏡装用パラメータを示す各指標が、撮影画像に重畳表示される場合を例に挙げて説明したがこれに限定されない。眼鏡装用パラメータを示す各指標は、表示部15の表示画面上に表示される構成であればよい。
【0112】
なお、本実施例においては、反射ミラー410の角度を変更させることによって、固視標の呈示位置を変更する光学系を用いて撮影した画像に対して、画像解析処理を行う構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本実施例の画像解析処理は、眼鏡を装用した被検者を撮影した画像に対して適用することができる。すなわち、画像を撮影するための光学系としては、本実施例の光学系に限定されず、種々の光学系を適用してもよい。
【0113】
なお、本実施例においては、左右側の側方画像を取得するために、側方撮影光学系500として、被検者の左側に配置される左方撮影光学系500Lと、被検者の右側に配置される右方撮影光学系500Rをそれぞれ備える構成としたがこれに限定されない。1つの撮影光学系が兼用される構成としてもよい。例えば、左右側の側方画像を取得するために、1つの側方撮影光学系が用いられている構成であってもよい。この場合、例えば、反射ミラーの駆動等によって左右の側方を撮影する構成、側方撮影光学系が移動をすることによって左右の側方を撮影する構成、等が挙げられる。また、例えば、正面画像撮影用の測定光学系を用いて、左右側の側方画像が取得される構成としてもよい。この場合、例えば、正面画像撮影用の光学系が移動されることによって、左右側の側方画像が取得される構成が挙げられる。
【0114】
なお、本実施例においては、遠用測定光学系200と近用測定光学系300が別途設けられる構成としたがこれに限定されない。少なくとも一方の光学系を用いて、遠方視状態又は近方視状態の画像が撮影される構成としてもよい。この場合、例えば、遠方視状態又は近方視状態の画像の一方から取得された眼鏡装用パラメータに基づいて、他方の眼鏡装用パラメータを取得するようにしてもよい。
【0115】
なお、本実施例に開示の技術は、アタッチメントやシール等を眼鏡フレーム取り付け、眼鏡装用パラメータを取得する装置においても、適用することができる。例えば、アタッチメントやシール等が眼鏡フレーム取り付けられ、撮影された撮影画像において、それらの目印を検出する際に、本実施例に開示の技術を用いる。
【0116】
なお、本実施例の眼鏡装用画像解析装置1は、複数の撮像光学系を備え、被検者の画像を撮影するものとした。しかしながら、この構成に限らない。例えば、撮像光学系を備えていなくともよい。この場合、装置外部の撮像光学系によって撮影された被検者の画像データを種々のデータ通信手段によって受信する。そして、受信した画像を基に、被検者の眼鏡装用パラメータを測定してもよい。
【0117】
なお、本発明においては、本実施例に記載した装置に限定されない。例えば、上記実施例の機能を行う眼鏡装用画像解析ソフトウェア(プログラム)をネットワークや各種記憶媒体を介して、システムあるいは装置に供給する。そして、システムあるいは装置のコンピュータ(例えば、CPU等)がプログラムを読み出し、実行することも可能である。