(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
無線通信機能を有する可搬型通信装置との間で通信を行う通信部を有し、該可搬型通信装置との通信に応じて車両のドアのロックを制御する車両ドアロック制御装置において、
前記可搬型通信装置との通信の有無に応じて前記ドアをロックする第1ドアロック制御部と、
前記車両の周辺に係る情報を取得する周辺情報取得部と、
前記車両のドアの開閉を検知するドア開閉検知部と、
該周辺情報取得部が取得した情報に基づいて前記ドアをロックする第2ドアロック制御部と
を備え、
前記周辺情報取得部は、前記車両の周辺をカメラで撮像した画像を取得し、
前記第2ドアロック制御部は、前記ドアが閉じられたことを前記ドア開閉検知部が検知した際に前記周辺情報取得部が取得した画像に含まれる人物を正規ユーザとし、以後に前記周辺情報取得部が取得した画像に含まれる前記正規ユーザ以外の人物が前記車両へ近付く場合に、前記ドアをロックすること
を特徴とする車両ドアロック制御装置。
前記第2ドアロック制御部は、前記ドア開閉検知部の検知結果に基づき、前記車両の全てのドアが閉じられた後に、前記周辺情報取得部が取得した情報に基づく前記ドアのロック制御を開始すること
を特徴とする請求項4に記載の車両ドアロック制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のドアロック制御装置は、携帯機を所持したユーザが車両から所定距離(携帯機と車載機との無線通信が成立しなくなる距離)以上離れるまでドアのロックがなされないという問題がある。このため、ユーザが車両から所定距離以上離れるまでの間、車両内への不審者などの侵入がなされる虞がある。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、車両内への不審者などの侵入を防止し得る車両ドアロック制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両ドアロック制御装置は、無線通信機能を有する可搬型通信装置との間で通信を行う通信部を有し、該可搬型通信装置との通信に応じて車両のドアのロックを制御する車両ドアロック制御装置において、前記可搬型通信装置との通信の有無に応じて前記ドアをロックする第1ドアロック制御部と、前記車両の周辺に係る情報を取得する周辺情報取得部と、
前記車両のドアの開閉を検知するドア開閉検知部と、該周辺情報取得部が取得した情報に基づいて前記ドアをロックする第2ドアロック制御部とを備え
、前記周辺情報取得部は、前記車両の周辺をカメラで撮像した画像を取得し、前記第2ドアロック制御部は、前記ドアが閉じられたことを前記ドア開閉検知部が検知した際に前記周辺情報取得部が取得した画像に含まれる人物を正規ユーザとし、以後に前記周辺情報取得部が取得した画像に含まれる前記正規ユーザ以外の人物が前記車両へ近付く場合に、前記ドアをロックすることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る車両ドアロック制御装置は、前記第1ドアロック制御部が、前記可搬型通信装置との通信を行うことができない場合に前記ドアをロックすることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る車両ドアロック制御装置は、前記第2ドアロック制御部が、前記車両へ近付く人又は物がある場合に前記ドアをロックすることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る車両ドアロック制御装置は
、前記第2ドアロック制御部は、前記ドア開閉検知部の検知結果に基づき、ドアの開閉が行われていない側の前記車両の周辺に係る情報に基づいて前記ドアをロックすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る車両ドアロック制御装置は、前記第2ドアロック制御部が、前記ドア開閉検知部の検知結果に基づき、前記車両の全てのドアが閉じられた後に、前記周辺情報取得部が取得した情報に基づく前記ドアのロック制御を開始することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る車両ドアロック制御装置は、該周辺情報取得部が取得した情報に基づいて通知を行う通知部を更に備えることを特徴とする。
また、本発明に係る車両ドアロック制御装置は、無線通信機能を有する可搬型通信装置との間で通信を行う通信部を有し、該可搬型通信装置との通信に応じて車両のドアのロックを制御する車両ドアロック制御装置において、前記可搬型通信装置との通信の有無に応じて前記ドアをロックする第1ドアロック制御部と、前記車両の周辺に係る情報を取得する周辺情報取得部と、該周辺情報取得部が取得した情報に基づいて前記ドアをロックする第2ドアロック制御部と、前記車両のドアの開閉を検知するドア開閉検知部とを備え、前記第2ドアロック制御部は、前記ドア開閉検知部の検知結果に基づき、ドアの開閉が行われていない側の前記車両の周辺に係る情報に基づいて前記ドアをロックすることを特徴とする。
【0013】
本発明において車両ドアロック制御装置は、ユーザが所持する可搬型通信装置との無線を介した通信の有無(可否)に応じて車両のドアをロックする制御を行う。例えば車両ドアロック制御装置は、可搬型通信装置との通信を行うことができない場合に車両のドアをロックする。これにより、可搬型通信装置を所持するユーザが車両から離れ、可搬型通信装置との通信を行うことができなくなった場合に車両のドアを自動的にロックすることができる。
また車両ドアロック制御装置は、例えばカメラ、センサ又はレーダ等による車両周辺の情報を取得し、取得した情報に基づいて異常の有無を判定する。異常があると判定した場合、車両ドアロック制御装置は、車両のドアをロックする。これにより、例えばユーザが車両から離れる途中、このユーザが所持する可搬型通信装置との通信が可能な状況において、車両の周辺に異常があると判断される場合には、車両のドアを自動的にロックし、不審者による車両内への侵入を防止することができる。
【0014】
車両ドアロック制御装置が行う異常判定は、例えば車両へ近付く人又は物の有無を判定することで行うことができる。これにより、車両のドアがロックされていない状況で、車両へ不審者などが近づいた場合に、ドアを自動的にロックすることができる。
【0015】
また本発明において車両ドアロック制御装置は、車両のドアの開閉を検知し、ドアの開閉が行われていない側の車両の周辺について異常の有無を判定する。また車両ドアロック制御装置は、車両の全てのドアが閉じられた後に異常の有無の判定を開始する。これらにより、車両から降車した又は降車しようとしている乗員を不審者と誤判定することを防止できる。
【0016】
また本発明において車両ドアロック制御装置は、車両の周辺に異常があると判定した場合に通知を行う。通知は、例えば音声出力又はランプ点灯等の方法で行うことができ、また例えば他の乗員が所持する携帯電話機又は警備会社のサーバ装置等へのメッセージの送信などの方法で行うことができる。これにより、車両の盗難などを防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明による場合は、車両周辺に異常があると判定した場合にドアをロックする構成とすることにより、車両内への不審者などの侵入を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本実施の形態に係る車両ドアロックシステムの概要を説明するための模式図である。本実施の形態に係る車両ドアロックシステムは、車両1に搭載された無線通信装置と、ユーザ101が所持する無線式のキー3とが無線通信を行い、無線通信の可否及び内容等に基づいて車両1に搭載されたボディECUがドアのロック/アンロックの制御を行う構成である。本実施の形態に係る車両ドアロックシステムは、いわゆるキーレスエントリシステム又はスマートエントリシステム等の名称で呼ばれ得るシステムである。
【0020】
本実施の形態に係る車両ドアロックシステムは、キー3を所持するユーザ101が車両1から降車し、更に車両1から離れる方向へ移動して車両1及びキー3の無線通信範囲(
図1において破線の円として図示する)から外へ出た場合、車両1のドアを自動的にロックする機能を備えている。また本実施の形態に係る車両ドアロックシステムは、車両1から降車したユーザ101が無線通信範囲から外へ出るまでの間、カメラ又はレーダ等を利用した車両1の周辺(
図1において監視範囲を一点鎖線の円として図示する)の監視を行い、車両1の周辺に不審者105が存在するなどの異常を検知した場合に車両1のドアを自動的にロックする機能を備えている。
【0021】
図2は、本実施の形態に係る車両ドアロック制御装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る車両ドアロック制御装置は、車両1に搭載され、キー3との無線通信に応じた車両1のドアのロック/アンロックの制御を行う装置であり、例えばボディECU(Electronic Control Unit)10として実現される。ボディECU10は、車両1に搭載された無線通信装置11を介してユーザが所持するキー3との通信を行い、キー3との通信の可否及び内容等に基づいてドアロック機構15への制御信号を出力することによって、ドアのロック/アンロックを制御する。
【0022】
また本実施の形態においては、周辺を監視するための装置として車外カメラ12及びレーダ13が車両1に搭載されている。ボディECU10は、車外カメラ12及びレーダ13から入力される情報に基づいて車両1の周辺の異常の有無を判定する。異常ありと判定した場合、ボディECU10は、ドアロック機構15への制御信号を出力してドアをロックすると共に、通知装置16へ通報命令を与えることによって異常を通報することができる。またボディECU10は、車両1の各ドアに設けられたカーテシスイッチ14の状態が入力されており、これにより各ドアの開閉状態を検知することができる。
【0023】
本実施の形態に係るボディECU10は、処理部20、記憶部21、車内通信部22、入力部23及び出力部24等を備えて構成されている。処理部20は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro-Processing Unit)等の演算処理装置を用いて構成されている。処理部20は、記憶部21又は図示しないROM(Read Only Memory)に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、車両1のドアのロック/アンロックに係る種々の演算処理及び制御処理等を行う。
【0024】
記憶部21は、例えばフラッシュメモリ又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性のメモリ素子を用いて構成されている。記憶部21は、例えば処理部20が実行するプログラム、及び、このプログラムの実行に必要なデータ等を記憶している。本実施の形態において記憶部21は、キー3が正当なものであるか否かを判定するための認証情報などを記憶している。
【0025】
車内通信部22は、例えばCAN(Controller Area Network)などの車内ネットワークを介して他の車載機器との通信を行うことができる。本実施の形態において車内通信部22は、無線通信装置11との間で車内ネットワークを介した通信を行う。車内通信部22は、処理部20から与えられた送信用の情報を無線通信装置11へ送信すると共に、無線通信装置11から受信した情報を処理部20へ与える。無線通信装置11は、キー3へLF(Low Frequency)帯の無線信号を送信すると共に、キー3が送信するUHF(Ultra High Frequency)帯の無線信号を受信することによって、キー3との無線通信を行うことができる。また無線通信装置11は、車両1内の車内ネットワークを介して他の車載機器との通信を行うことができ、本実施の形態においてはボディECU10との通信を行う。これによりボディECU10は、無線通信装置11を介してキー3との通信を行うことができる。
【0026】
入力部23は、車外カメラ12、レーダ13及びカーテシスイッチ14等の情報入力装置が信号線を介して接続され、これらの情報入力装置から入力されるデジタル又はアナログの信号を受け付ける。入力部23は、入力された信号をサンプリングしたデジタルの情報を処理部20へ与える。車外カメラ12は、例えば車両1の前後左右にそれぞれ設けられ、車両1の周辺を略360°に亘って撮像することができる。車外カメラ12は、撮像した画像をボディECU10へ入力する。レーダ13は、電波を放射し、その反射波を検出することによって対象物までの距離を測定する装置である。レーダ13は、例えば車両1の前後左右にそれぞれ設けられ、車両1の周辺に存在する人又は物等の対象物までの距離を測定する。本実施の形態においては、車外カメラ12の撮像範囲及びレーダ13による測定範囲を、
図1に一点鎖線で示した監視範囲とする。カーテシスイッチ14は、車両1のドアに設けられたカーテシランプの点灯/消灯を制御するためのスイッチであり、ドアが開状態又は閉状態のいずれであるかを示す信号をECU10へ入力する。
【0027】
出力部24は、信号線を介してドアロック機構15及び通知装置16等の被制御装置が接続され、処理部20からの命令に応じてこれらの被制御装置に対する制御信号を出力する。ドアロック機構15は、車両1の各ドアに設けられ、ドアをロックするための機械機構と、この機械機構を動作させるモータ又はアクチュエータ等とを備えて構成されている。ドアロック機構15は、ECU10から与えられる動作命令に応じて、ドアのロック/アンロックを行う。通知装置16は、例えば車両1のホーン又はランプ等であってよく、ボディECU10から与えられる動作命令に応じて警告音の出力又は所定パターンでの点滅等を行うことにより、異常が発生した旨の通報を行う。
【0028】
なお本実施の形態においては、ECU10へ信号を入力する装置及びECU10から信号が出力される装置が信号線を介して個別にECU10に接続される構成としたが、これに限るものではない。これらの装置のうちの一又は複数の装置は、例えば車両1の車内ネットワークを介してECU10との通信を行う構成としてよい。
【0029】
また本実施の形態に係るECU10の処理部20には、記憶部21に記憶されたプログラムを実行することにより、ドアロック制御部31、周辺情報取得部32、異常判定部33、通知部34及びドア開閉検知部35等がソフトウェア的な機能ブロックとして実現される。ドアロック制御部31は、無線通信装置11を介したキー3との無線通信の結果に応じて、ドアロック機構15へ車両1のドアのロック/アンロックを行う制御信号を出力する処理を行う。例えばドアロック制御部31は、車両1から降車したユーザ101が所持するキー3との無線通信を行うことができなくなった場合に、車両1のドアを自動的にロックする処理を行う。また例えばドアロック制御部31は、キー3を所持するユーザ101が車両1へ近付いた場合又はドアなどに設けられたアンロック用の操作部に対する操作が行われた場合等に、無線通信装置11を介してキー3との通信を行って認証処理などを行い、キー3が正当なものであると判定した場合に車両1のドアをアンロックする処理を行う。また本実施の形態に係るドアロック制御部31は、異常判定部33が異常ありと判定した場合に、車両1のドアを自動的にロックする処理を行う。
【0030】
周辺情報取得部32は、車外カメラ12が撮像した画像、及び、レーダ13が測定した距離等の情報を周辺情報として取得し、取得した周辺情報を記憶部21又は図示しないRAM(Random Access Memory)等に蓄積する処理を行う。なお蓄積した周辺情報は、例えば所定時間が経過した後に消去してよい。
【0031】
異常判定部33は、周辺情報取得部32が取得して蓄積した周辺情報に基づいて、車両1の周辺の異常の有無を判定する。本実施の形態において異常判定部33は、車外カメラ12が撮像した画像に基づいて、例えば車両1のドアが閉じられた際に撮像された画像に含まれる人物を正規のユーザとして認識し、その後に正規のユーザ以外の人物を撮像画像から検出した場合に、この人物を不審者の候補とする。異常判定部33は、その後に撮像される画像に基づいて、不審者の候補とした人物が更に車両1へ近付いてきた場合に、この人物を不審者と確定し、異常ありと判定する。
【0032】
また本実施の形態において異常判定部33は、レーダ13が測定した距離情報に基づいて、車両1へ近付く人又は物等の有無を判定することにより、車両1へ近付く不審者の有無を判定する。このときに異常判定部33は、近づく人又は物等の移動速度を考慮して判定を行ってもよい。異常判定部33は、車両1へ近付く不審者が存在する場合、異常ありと判定する。なお異常判定部33は、車外カメラ12及びレーダ13を組み合わせて利用してもよく、例えば車外カメラ12の撮像画像から不審者の候補と判定した人物について、レーダ13による距離測定を行い、この人物が車両1へ近付いている場合に異常ありと判定する構成とすることができる。
【0033】
通知部34は、異常判定部33が異常ありと判定した場合に、通知装置16への動作命令を出力することにより、警告音の出力又はランプの点滅等の通知を行う。なお本実施の形態においては、車両1のホーン又はランプ等の通知装置16を用いて異常を通知する構成とするが、これに限るものではなく、例えばユーザ101が所持する携帯電話機又は警備会社のサーバ装置等の車両1外の装置へ携帯電話網又は無線LAN(Local Area Network)等を介して異常を通知する構成としてもよい。
【0034】
ドア開閉検知部35は、カーテシスイッチ14から入力される信号に基づいて、車両1の各ドアの開閉を検知することにより、車両1からのユーザの降車の有無を判定する処理を行う。例えばドア開閉検知部35は、車両1のドアが閉状態から開状態へ変化した後、更に開状態から閉状態へ変化した場合に、車両1からユーザが降車したと判定する。なおこのときに車両1の各座席に設けられた着座センサによるユーザの着座の有無の検知結果を併用して、ユーザの降車を判定する構成としてもよい。本実施の形態において周辺情報取得部32による周辺情報の取得及び異常判定部33による異常判定の処理は、車両1からユーザが降車して全てのドアが閉じられた場合に開始される。
【0035】
図3は、ボディECU10が行うドアロック制御処理の手順を示すフローチャートである。なお本処理は、車両1が停車し、その後に少なくとも一つのドアが開状態となったことをドア開閉検知部35が検知した後に行われる。ボディECU10の処理部20のドア開閉検知部35は、カーテシスイッチ14から入力される情報に基づいて、車両1の全てのドアが閉状態となったか否かを判定する(ステップS1)。車両1の少なくとも1つのドアが開状態である場合(S1:NO)、処理部20は、全てのドアが閉状態となるまで待機する。全てのドアが閉状態となった場合(S1:YES)、処理部20は、内蔵のタイマ機能などを利用して、タイムアウト時間の計時を開始する(ステップS2)。また処理部20は、車両1の周辺の監視処理、即ち周辺情報取得部32による周辺情報の取得及び異常判定部33による異常判定の処理を開始する(ステップS3)。
【0036】
次いで処理部20は、計時している時間が所定のタイムアウト時間に達したか否かを判定する(ステップS4)。なおボディECU10は、タイムアウト時間として例えば数十秒〜数分程度の値を記憶部21に記憶しており、ステップS4にてこの値を読み出して判定を行う。計時した時間がタイムアウト時間に達した場合(S4:YES)、処理部20のドアロック制御部31は、ドアロック機構15への制御信号を出力することにより車両1のドアをロックする(ステップS8)。その後、処理部20は、タイムアウト時間に関する計時を終了すると共に(ステップS9)、車両1の周辺の監視処理を終了して(ステップS10)、ドアロック制御処理を終了する。
【0037】
計時した時間がタイムアウト時間に達していない場合(S4:NO)、処理部20は、車両周辺監視処理において異常判定部33が異常ありと判定したか否かを調べる(ステップS5)。異常ありと判定された場合(S5:YES)、処理部20のドアロック制御部31は、ドアロック機構15への制御信号を出力することにより車両1のドアをロックする(ステップS8)。その後、処理部20は、タイムアウト時間に関する計時を終了すると共に(ステップS9)、車両1の周辺の監視処理を終了して(ステップS10)、ドアロック制御処理を終了する。
【0038】
車両周辺監視処理において異常なしと判定された場合(S5:NO)、処理部20は、無線通信装置11へ動作命令を与えることにより、キー3へのLF信号の送信を行う(ステップS6)。処理部20は、このLF信号に対するキー3からのUHF信号による応答を無線通信装置11が受信したか否かを判定する(ステップS7)。キー3からの応答を受信した場合(S7:YES)、処理部20は、ステップS4へ処理を戻す。キー3からの応答を受信しない場合(S7:NO)、処理部20のドアロック制御部31は、ドアロック機構15への制御信号を出力することにより車両1のドアをロックする(ステップS8)。その後、処理部20は、タイムアウト時間に関する計時を終了すると共に(ステップS9)、車両1の周辺の監視処理を終了して(ステップS10)、ドアロック制御処理を終了する。
【0039】
図4は、ボディECU10が行う車両周辺監視処理の手順を示すフローチャートである。なお本処理は、
図3に示したドアロック制御処理がステップS3に至った場合に開始され、このドアロック制御処理とは並行的に行われ、ドアロック制御処理がステップS10に至った場合に終了される。ボディECU10の処理部20の周辺情報取得部32は、入力部23へ入力されるレーダ13からの信号をサンプリングして取得することにより、レーダ13による対象物までの距離の測定結果を取得し(ステップS21)、取得した測定結果を記憶部21又はRAM等に記憶する(ステップS22)。処理部20の異常判定部33は、記憶部21又はRAM等に記憶された複数の測定結果を比較し(ステップS23)、車両1に対して接近する物体の有無を判定する(ステップS24)。
【0040】
車両1に対して接近する物体がない場合(S24:NO)、処理部20の周辺情報取得部32は、車外カメラ12から入力される車両1の周辺の画像を取得し(ステップS25)、取得した画像を記憶部21又はRAM等に記憶する(ステップS26)。処理部20の異常判定部33は、記憶部21又はRAM等に記憶された複数の画像を比較し(ステップS27)、車両1の周辺に不審者が存在するか否かを判定する(ステップS28)。不審者が存在しない場合(S28:NO)、異常判定部33は、車両1の周辺に異常がないと判定し(ステップS29)、ステップS21へ処理を戻す。
【0041】
ステップS24にて車両1に対して接近する物体がある場合(S24:YES)、又は、ステップS28にて車両1の周辺に不審者が存在する場合(S28:YES)、異常判定部33は、車両1の周辺に異常があると判定する(ステップS30)。処理部20の通知部34は、通知装置16に対する動作命令を出力することによって、警告音の出力又はランプの点滅等による異常の通知を行い(ステップS31)、処理を終了する。
【0042】
以上の構成の本実施の形態に係る車両ドアロックシステムは、ユーザが所持するキー3と無線通信装置11との通信の有無に応じてボディECU10が車両1のドアのロック/アンロックの制御を行う構成である。ボディECU10は、キー3との通信を行うことができない場合に、車両1のドアをロックする制御を行うことにより、キー3を所持するユーザが車両1から離れる場合にドアを自動的にロックすることができる。
【0043】
またボディECU10は、車外カメラ12及びレーダ13による車両周辺情報を取得し、取得した情報に基づいて車両1の周辺の異常の有無を判定する。異常があると判定した場合、ボディECU10は、車両1のドアをロックする制御を行う。これにより、例えばユーザが車両1から離れる途中、このユーザが所持するキー3と車両1の無線通信装置11とが通信可能な状況において、車両1の周辺に異常があると判断される場合には、車両1のドアを自動的にロックし、不審者による車両1内への侵入を防止することができる。
【0044】
またボディECU10は、車外カメラ12及びレーダ13にて取得した車両周辺情報に基づいて、車両1へ近付く人又は物の有無を判定することにより、車両1の周辺の異常の有無を判定する。これにより、車両1のドアがロックされていない状況で、車両1へ不審者などが近づいた場合に、ドアを自動的にロックすることができる。またボディECU10は、カーテシスイッチ14からの入力信号に基づいて車両1のドアの開閉を検知し、車両1の全てのドアが閉じられた後に車両の周辺監視処理を開始する。これにより、車両1から降車した又は降車しようとしている正規のユーザを不審者と誤判定することを防止できる。またボディECU10は、車両1の周辺に異常があると判定した場合、通知装置16による警告音の出力又はランプの点滅等の通知を行う。これにより、車両1の盗難などを防止することができる。
【0045】
なお本実施の形態においては、車外カメラ12及びレーダ13を用いて車両周辺の監視を行う構成としたが、これに限るものではない。例えば車外カメラ12又はレーダ13のいずれか一方のみを用いて車両周辺の監視を行う構成としてもよく、また例えば車外カメラ12及びレーダ13以外の装置を用いて監視を行う構成としてもよい。また車外カメラ12及びレーダ13を用いた異常判定の方法は、上述の方法に限らず、これ以外の種々の方法を採用してよい。またボディECU10は、車両1の周辺に異常があると判定した場合に、通知装置16による異常の通知を行う構成としたが、これに限るものではなく、通知を行わない構成であってもよい。
【0046】
また本実施の形態においては、無線通信装置11とボディECU10とを別装置としたが、これに限るものではなく、無線通信装置11の機能とボディECU10の機能とを兼ね備える1つの装置として実現されてもよい。同様にボディECU10及び通知装置16を1つの装置として実現してもよい。本実施の形態において複数の装置が行うとして説明した処理及び機能等は、一つの装置に統合されて実現されてもよい。また、本実施の形態において一つの装置が行うとして説明した処理及び機能等は、複数の装置の協働により実現されるものであってよい。
【0047】
(変形例1)
上述の実施の形態においては、車両1の全てのドアが閉状態となった場合に、車両周辺情報の取得及び異常有無の判定等の車両周辺監視処理を開始する構成としたが、これに限るものではない。車両周辺監視処理を開始するタイミングは、全てのドアが閉状態となった場合以外のタイミングであってよい。例えば変形例1に係る車両ドアロックシステムでは、
図1に示すように車両周辺監視処理の監視範囲を、車両1の無線通信装置11及びユーザ101が所持するキー3の無線通信範囲よりも狭く設定する。変形例1に係るボディECU10は、車両1の全てのドアが閉じられた後、キー3を所持するユーザ101が監視範囲より外へ出たことを車外カメラ12及びレーダ13にて検知した場合に、車両周辺監視処理を開始する。これにより、車両1から降車したユーザ101を不審者105と誤判定することを防止できる。
【0048】
(変形例2)
図5は、変形例2に係る車両ドアロックシステムの概要を説明するための模式図である。変形例2に係る車両ドアロックシステムでは、車外カメラ12及びレーダ13を用いた車両周辺の監視範囲が、車両1の前側、後側、左側及び右側の4つに分けられている。変形例2に係るボディECU10は、例えば車両1が停車した後にいずれのドアが開かれたかを記憶しておく。全てのドアが閉じられた場合、ボディECU10は、開かれたドアが設けられた側の監視範囲を監視対象外とし、開かれなかったドアが設けられた側の監視範囲のみで車両周辺監視処理を行う。
【0049】
例えば右側のドアが開かれて車両1からユーザ101が降車し、このドアが閉じられた場合、ボディECU10は、車両1の右側を監視対象外とし、車両1の前側、後側及び左側を監視対象として車両周辺監視処理を行う。これにより、変形例2に係る車両ドアロックシステムでは、車両1から降車したユーザ101を不審者105と誤判定することを防止できる。