(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
かかる昇降装置の従来例が、特開平05−092894号公報(特許文献1)に記載されている。このような昇降装置は、接続装置の第1調節部(チェーン緊張力調整用ナット17)の被接続部(支持部材4)に対する上下方向の位置を変更することで、索状体(荷台昇降用チェーン8)の張力を調節できるようになっている。
そして、昇降装置を製造工場から昇降装置を設置する設備に出荷するときは、接続装置には索状体は接続されておらず、保持体によりスプリングを圧縮状態に保持している場合がある。
【0003】
具体的には、例えば、保持体は、
図5に示すように構成されている場合がある。この
図5に示す保持体100は、第1規制体101と第2規制体102とで構成されている。第1規制体101は、上下方向において昇降体103の上フレーム部104と第1調節部105の間に設置されて、スプリング106の付勢力により被接続部107が上方に移動することを規制している。第2規制体102は、昇降体103の下フレーム部108にボルトやビス等の締結部材により固定されており、被接続部107の下端部107Aに対して上方から接触することで、スプリング106の付勢力により被接続部107が上方に移動することを規制している。
【0004】
このような保持体100によりスプリング106が圧縮状態で保持されている場合において、被接続部107に索状体を接続して保持体100を取り外す場合は、次のようにする。
まず、被接続部107の下端部107Aに索状体を接続する。
次に、第1調節部105を被接続部107に対して相対的に上方に移動させる。このように第1調節部105を相対的に上方に移動させることで、第1調節部105により被接続部107を下方に押し下げて、被接続部107の下端部107Aと第2規制体102との間に上下方向に隙間を形成し、第2規制体102を下フレーム部108から取り外す。
そして、第1調節部105を被接続部107に対して相対的に下方に移動させる。このように第1調節部105を下方に移動させることで、索状体の張力を高め、被接続部107及びこれに取り付けられている第1調節部105を、スプリング106の付勢力に抗して索状体の張力により下方に移動させて、上フレーム部104と第1調節部105との上下方向の間隔を大きくし、第1規制体101を取り外す。
このように、第1規制体101と第2規制体102とを取り外した後、第1調節部105を被接続部107に対して上下に移動させて、索状体の張力を適正な張力に調節する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような保持体100によりスプリング106が圧縮状態で保持されている場合、上述の如く、チェーンの張力調整用の第1調節部105の操作を行った後、第1規制体101を取り外すことになるが、手順を間違えて、第1調節部105を操作する前、又は、第1調節部の操作が不十分であるために、被接続部107の下端部107Aと第2規制体102との間に上下方向に隙間が形成されていない状態で、第1規制体101を取り外してしまう場合がある。このような場合では、スプリング106の付勢力により被接続部107が上方に移動しようとする力を第2規制体のみで規制する状態となるため、第2規制体が破損し、スプリング106の付勢力により被接続部107や第1調節部105が上方に跳ね上がる可能性がある。
このように、保持部を取り外す手順を間違うことで、スプリングの付勢力により被接続部や第1調節部が上方に跳ね上がる状態が生じるため、改善の余地があった。
【0007】
そこで、スプリングの付勢力により被接続部や第1調節部が上方に跳ね上がることを未然に防止できる昇降装置、及び、その索状体接続方法が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る昇降装置の特徴構成は、昇降体と、前記昇降体に接続される索状体と、前記索状体をその長手方向に沿って移動させる駆動装置と、保持体と、を備え、前記索状体における前記長手方向の一方側の端部を第1端部とし、前記索状体における前記長手方向の他方側の端部を第2端部とし、前記索状体における前記第1端部と前記第2端部との間に位置する部分を中間部として、前記中間部は、前記昇降体の昇降範囲より上方に設置された第1巻回体及び前記昇降体の昇降範囲より下方に設置された第2巻回体に巻回され、前記第2端部は、前記昇降体から下方に延びる姿勢で前記昇降体に接続され、前記第2端部は、前記昇降体から上方に延びる姿勢で前記昇降体に接続され、前記昇降体は、前記第1端部が接続される接続装置を備え、前記接続装置は、前記索状体の前記第1端部が接続される被接続部と、前記昇降体に対して固定状態に設けられると共に前記被接続部における被案内部の上下方向への移動を案内する案内部と、前記被接続部における前記被案内部より上方に位置する部分に取り付けられると共に前記被接続部に対する上下方向の位置を変更自在な第1調節部と、上下方向において前記案内部と前記第1調節部との間に配置されて前記案内部及び前記第1調節部とにより上下方向に圧縮された状態で設置されているスプリングと、を備え、前記昇降体は、前記被接続部より上方に規制部を備え、前記保持体は、前記規制部により前記昇降体に対する上方への移動が規制される被規制部と、前記第1調節部又は前記被接続部に上方から接触して前記スプリングを圧縮状態に保持するための本体部と、上下方向における前記規制部と前記本体部との間隔を調節する第2調節部と、を備えている点にある。
【0009】
この特徴構成によれば、第1調節部又は被接続部に本体部が上方から接触するとともに規制部により被規制部が昇降体に対する上方への移動が規制されている状態で、第2調節部により規制部と本体部との間隔が広くなるように規制部と本体部との間隔を調節することで、本体部が昇降体に対して下方に移動する。そのため、下方に移動する本体部により被接続部を下方に押し下げることができる。このように本体部により被接続部を下方に押し下げることで、被接続部に索状体を接続していない状態でも、スプリングを圧縮状態に保持できる。
そして、被接続部に索状体が接続されていないと共に本体部により被接続部を下方に押し下げてスプリングを圧縮状態で保持している状態から、被接続部に索状体を接続し、第2調節部により規制部と本体部との間隔が狭くなるように規制部と本体部との間隔を調節することで、スプリングの付勢力により第1調節部が上方に移動することが許容される。このとき、規制部と本体部との間隔が徐々に狭くなるに伴って、スプリングの付勢力により第1調節部も徐々に上方に移動し、スプリングの付勢力と索状体の張力とがつり合った状態で第1調節部の上方への移動が止まる。また、更に、規制部と本体部との間隔を狭くすることで、本体部と第1調節部又は被接続部との間に隙間が形成される。
【0010】
そして、上述の如く索条体を接続した場合に、保持体に備えられている第2調節部により、規制部と本体部との間隔が狭くなるように規制部と本体部との間隔を調節することで、スプリングの付勢力と索状体の張力とがつり合った状態となる。つまり、保持体に規制部と本体部との間隔を調節する機能が備えられており、作業者が保持体を取り外すときには、保持体の取り外し作業として規制部と本体部との間隔を狭くする作業が作業者により自然と行われることになる。そのため、規制部と本体部との間隔を調節する作業と保持体を取り外す作業が別個の作業である場合に起こり得る手順の間違いが起こり得ず、スプリングの付勢力により被接続部や第1調節部が上方に跳ね上がることを未然に防止できる。
【0011】
ここで、前記規制部は、軸心が上下方向に沿う雌ネジ部により構成され、前記第2調節部及び前記被規制部は、前記雌ネジ部に螺合する雄ネジ部により構成され、前記本体部は、上下方向において前記雌ネジ部と前記第1調節部又は前記被接続部との間に位置する状態で、前記第1調節部又は前記被接続部に上方から接触して前記スプリングを圧縮状態に保持すると好適である。
【0012】
この構成によれば、雄ネジ部は、雌ネジ部に螺合することで昇降体に対する上方への移動が規制されており、この雄ネジ部を回転操作することで、雌ネジ部と本体部との間隔を調節できる。また、被規制部としての雄ネジ部は、軸心が上下方向に沿う雌ネジ部に螺合しているため、被規制部が横側方に外れることによる、スプリングの付勢力によって被接続部や第1調節部が跳ね上がることを防止できる。
【0013】
また、前記保持体は、前記雄ネジ部と前記本体部とを分離自在に備え、前記本体部は、前記雄ネジ部の挿入部が上方から挿入される被挿入部と、前記挿入部が前記被挿入部に挿入されている状態において前記雄ネジ部の被接触部に対して下方から接触する接触部と、を備え、前記接触部と前記被接触部とのうちの少なくとも一方に、前記接触部と前記被接触部とが前記ネジ軸心周りに相対的に回転することを許容する回転許容体を備えていると好適である。
【0014】
この構成によれば、雄ネジ部と本体部とが分離自在であるため、雄ネジ部を雌ネジ部に対して上方に引き抜くことができる細い形状としながら、本体部における第1調節部又は被接続部に接触する面積を広くできる。第1調節部又は被接続部に対して広い面積で本体部を接触させることで、スプリングを圧縮状態に安定よく保持できる。また、雄ネジ部と本体部とは分離自在であるが、雄ネジ部の挿入部が本体部の被挿入部に上方から挿入されているため、雌ネジ部に螺合している雄ネジ部とともにこの雄ネジ部が挿入されている本体部も横側方に外れない又は外れ難い構成となっている。従って、本体部が横側方に外れることによる、スプリングの付勢力によって被接続部や第1調節部が跳ね上がることを防止できる。
また、本体部の接触部と雄ネジ部の被接触部とのうちの少なくとも一方に回転許容体が備えられているため、雄ネジ部を回転操作したときに雄ネジ部が本体部に対して回転することで、雄ネジ部の回転操作が行い易くなる。
【0015】
また、前記接触部は、前記挿入部の下端部により構成され、前記被接触部は、下方に窪む形状に形成された前記被挿入部における底面部により構成され、前記回転許容体は、前記挿入部の前記下端部に回転自在に備えられている球状体にて構成されていると好適である。
【0016】
この構成によれば、雄ネジ部における挿入部の下端部を接触部とし、本体部における被挿入部の底面部を被接触部とすることで、例えば、雄ネジ部に接触部としての大径部分を備え、その大径部分を被挿入部における被接触部としての上端部に接触するように構成した場合に比べて、雄ネジ部の大型化を抑制できる。
また、回転許容体を、挿入部の下端部に備えられている球状体にて構成することで、ボールベアリング等にて回転許容体を構成した場合に比べて、回転許容体の構成を簡素にできる。
【0017】
また、前記昇降体は、前記雌ネジ部を着脱自在に備えていると好適である。
【0018】
この構成によれば、雌ネジ部のネジ山が潰れた場合でも昇降体における雌ネジ部をのみを交換するだけで済むため、雌ネジ部のネジ山が潰れた場合の対応が容易になる。
【0019】
また、前記昇降体は、上下方向に見て前記被接続部及び前記第1調節部と重複しない位置に保持部を備え、前記挿通部は、前記雄ネジ部を保持可能に構成されていると好適である。
【0020】
この構成によれば、保持体を使用しない場合に、雄ネジ部を保持部に保持しておくことで雄ネジ部を昇降体に保管しておくことができるため、雄ネジ部を紛失することを防止できる。
【0021】
本発明に係る索状体接続方法の特徴構成は、昇降体と、前記昇降体に接続される索状体と、保持体と、を備え、前記索状体におけ
る長手方向の一方側の端部を第1端部とし、前記昇降体は、前記第1端部が接続される接続装置を備え、前記接続装置は、前記索状体の前記第1端部が接続される被接続部と、前記昇降体に対して固定状態に設けられると共に前記被接続部における被案内部の上下方向への移動を案内する案内部と、前記被接続部における前記被案内部より上方に位置する部分に取り付けられると共に前記被接続部に対する上下方向の位置を変更自在な第1調節部と、上下方向において前記案内部と前記第1調節部との間に配置されて前記案内部及び前記第1調節部とにより上下方向に圧縮された状態で設置されているスプリングと、を備え、前記昇降体は、前記被接続部より上方に規制部を備え、前記保持体は、前記規制部により前記昇降体に対する上方への移動が規制される被規制部と、前記第1調節部又は前記被接続部に上方から接触して前記スプリングを圧縮状態に保持するための本体部と、上下方向における前記規制部と前記本体部との間隔を調節する第2調節部と、を備え、前記被接続部に前記索状体の前記第1端部が接続されていない状態であると共に前記規制部と前記第1調節部又は前記被接続部との間に前記本体部が位置する状態で、前記第2調節部を調節して前記規制部と前記本体部との上下方向の間隔を広げる工程である第1工程と、前記第1工程より後に行う工程であり、前記索状体の前記第1端部を、前記昇降体から下方に延びる姿勢となるように前記被接続部に接続する工程である第2工程と、前記第2工程より後に行う工程であり、前記第2調節部の調節により前記規制部と前記本体部との前記上下方向における間隔を狭めて前記索状体の張力と前記スプリングの付勢力とが吊りあった状態とする工程である第3工程と、を有する。
【0022】
この構成によれば、第1工程では、被接続部に索状体の第1端部が接続されていない状態であると共に第1調節部又は前記被接続部に本体部が上方から接触するとともに規制部により被規制部が昇降体に対する上方への移動が規制されている状態で、第2調節部により規制部と本体部との間隔が広くなるように規制部と本体部との間隔を調節する。これにより、本体部が昇降体に対して下方に移動するため、その本体部により被接続部を下方に押し下げることができる。このように本体部により被接続部を下方に押し下げることで、スプリングを圧縮状態に保持できる。
次に、第2工程により、被接続部に索状体を接続し、その後、第3工程を行う。この第3工程では、第2調節部により規制部と本体部との間隔が狭くなるように規制部と本体部との間隔を調節することで、スプリングの付勢力により第1調節部が上方に移動することが許容される。このとき、規制部と本体部との間隔が徐々に狭くなるに伴って、スプリングの付勢力により第1調節部も徐々に上方に移動して、スプリングの付勢力と索状体の張力とがつり合った状態にできる。
このように、保持体に備えられている第2調節部により、規制部と本体部との間隔が狭くなるように規制部と本体部との間隔を調節することで、スプリングの付勢力と索状体の張力とがつり合った状態となる。つまり、保持体に規制部と本体部との間隔を調節する機能が備えられており、保持体を取り外すときには、保持体の取り外し作業として規制部と本体部との間隔を狭くする作業が自然と行われることになる。そのため、規制部と本体部との間隔を調節する作業と保持体を取り外す作業が別個の作業である場合に起こり得る手順の間違いが起こり得ず、スプリングの付勢力により被接続部や第1調節部が上方に跳ね上がることを未然に防止できる。
【0023】
また、前記規制部は、ネジ軸心が上下方向に沿う雌ネジ部により構成され、前記第2調節部及び前記被規制部は、前記雌ネジ部に螺合する雄ネジ部により構成され、前記第1工程は、前記被接続部に前記索状体の前記第1端部が接続されていない状態であると共に前記雌ネジ部と前記第1調節部又は前記被接続部との間に前記本体部が位置する状態で、前記雌ネジ部に螺合させた前記雄ネジ部の下方への螺進により、前記規制部と前記本体部との上下方向の間隔を広げる工程であり、前記第3工程は、前記雄ネジ部の上方への螺進により前記規制部と前記本体部との前記上下方向における間隔を狭めて前記索状体の張力と前記スプリングの付勢力とが吊りあった状態とする工程であると好適である。
【0024】
この構成によれば、雄ネジ部は、雌ネジ部に螺合することで昇降体に対する上方への移動が規制されており、第1工程や第3工程において、この雄ネジ部を回転操作することで、雌ネジ部と本体部との間隔を調節できる。また、規制部としての雄ネジ部は、軸心が上下方向に沿う雌ネジ部に螺合しているため、第1工程から第3工程の途中において、規制部が横側方に外れることを防止して、スプリングの付勢力によって被接続部や第1調節部が跳ね上がることを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明にかかる昇降装置をスタッカークレーンに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、スタッカークレーン1は、走行レールR上を転動する走行輪Wを支持する走行フレーム10と、当該走行フレーム10の上部に立設された一対のマスト20と、一対のマスト20夫々の上端同士を接続する上部フレーム30と、マスト20に沿って昇降する昇降体40と、昇降体40に接続されるチェーンCと、を備えている。本実施形態では、チェーンCが「索状体」に相当する。
【0027】
一対のマスト20は、走行方向Xに離間した状態で走行フレーム10に立設されている。走行輪Wとして、走行モータM1により駆動される駆動輪W1と、遊転自在な従動輪W2とがあり、駆動輪W1と従動輪W2とは、走行方向Xに離間した状態で走行フレーム10に設けられている。以下、スタッカークレーン1が走行する方向を走行方向Xとし、上下方向Zに見て、走行方向Xに対して直交する方向を左右方向Yとして説明する。
【0028】
昇降体40は、走行方向Xに離間して配置された一対のアップライト部41(第1アップライト部41A、第2アップライト部41B)と、当該一対のアップライト部41の下端部同士を接続する物品載置部42とを備えている。物品載置部42は、移載対象箇所(図示省略)との間で物品Bを移載する移載装置Fを支持している。
【0029】
図2に示すように、昇降体40には、下フレーム部44と上フレーム部45とが備えられている。下フレーム部44は、一対のアップライト部41の夫々に備えられており、上フレーム部45は、下フレーム部44より上方に位置するように一対のアップライト部41の夫々に備えられている。下フレーム部44には、チェーンCや被接続部51が上下方向Zに通過可能な下孔44Aが形成されるとともに枠体46が立設されている。上フレーム部45には、後述の雄ネジ部61が上下方向Zに通過可能な上孔45Aが形成されるとともに雄ネジ部61が螺合する雌ネジ部47が設置されている。この雌ネジ部47は、被接続部51より上方に設置されている。
【0030】
〔チェーンの接続〕
次に、昇降体40に対するチェーンCの接続について説明する。
図1に示すように、チェーンCの第1端部C1は、昇降体40から下方に延びる姿勢で昇降体40に接続されている。チェーンCの第2端部C2は、昇降体40から上方に延びる姿勢で昇降体40に接続されている。チェーンCの中間部C3は、昇降体40の昇降範囲より上方に設置された第1巻回体(上部第1スプロケットP2又は上部第2スプロケットP4)及び昇降体40の昇降範囲より下方に設置された第2巻回体(下部第1スプロケットP3又は下部第2スプロケットP5)に巻回されている。チェーンCにおける長手方向の一方側の端部を第1端部C1とし、チェーンCにおける長手方向の他方側の端部を第2端部C2とし、チェーンCにおける第1端部C1と第2端部C2との間に位置する部分を中間部C3としている。
【0031】
説明を加えると、スタッカークレーン1には、チェーンCとして、第1チェーンCAと第2チェーンCBとが備えられている。第1アップライト部41Aの下端には、第1チェーンCAの第1端部C1が接続され、第1アップライト部41Aの上端には、第1チェーンCAの第2端部C2が接続されている。また、第2アップライト部41Bの下端には、第2チェーンCBの第1端部C1が接続され、第2アップライト部41Bの上端には、第2チェーンCBの第2端部C2が接続されている。
【0032】
第1チェーンCAの中間部C3及び第2チェーンCBの中間部C3の夫々は、複数のスプロケットPに巻き掛けられている。複数のスプロケットPのうちの1つとして、昇降モータM2によって回転駆動される駆動スプロケットP1を備えている。昇降モータM2によって駆動スプロケットP1を回転させることで、駆動スプロケットP1に巻き掛けられたチェーンC(第1チェーンCA、第2チェーンCB)が、当該チェーンCの長手方向に沿って移動する。尚、本実施形態では、昇降モータM2が、「駆動装置」に相当する。
【0033】
また、複数のスプロケットPとして、上部第1スプロケットP2、下部第1スプロケットP3、上部第2スプロケットP4、下部第2スプロケットP5を備えている。上部第1スプロケットP2及び上部第2スプロケットP4は、上部フレーム30に回転自在に支持されている。下部第1スプロケットP3及び下部第2スプロケットP5は、走行フレーム10に回転自在に支持されている。
【0034】
第1チェーンCAの中間部C3は、上部第1スプロケットP2により下向きに案内されて、第1チェーンCAの第2端部C2が第1アップライト部41Aの上端部に接続されている。また、第1チェーンCAの中間部C3は、下部第1スプロケットP3により上向きに案内されて、第1チェーンCAの第1端部C1が第1アップライト部41Aの下端部に接続されている。
第2チェーンCBの中間部C3は、上部第2スプロケットP4により下向きに案内されて、第2チェーンCBの第2端部C2が第2アップライト部41Bの上端部に接続されている。また、第2チェーンCBの中間部C3は、下部第2スプロケットP5により上向きに案内されて、第2チェーンCBの第1端部C1が第2アップライト部41Bの下端部に接続されている。
【0035】
上部第1スプロケットP2及び上部第2スプロケットP4は、昇降体40の昇降範囲より上方に設置されており、本実施形態では、上部第1スプロケットP2が、第1チェーンCAに対する「第1巻回体」に相当し、上部第2スプロケットP4が、第2チェーンCBに対する「第1巻回体」に相当する。また、下部第1スプロケットP3及び下部第2スプロケットP5は、昇降体40の昇降範囲より下方に設置されており、本実施形態では、下部第1スプロケットP3が、第1チェーンCAに対する「第2巻回体」に相当し、下部第2スプロケットP5が、第2チェーンCBに対する「第2巻回体」に相当する。
ちなみに、本実施形態における昇降体40の昇降範囲は、上下方向Zにおいて、昇降体40を昇降範囲の最も上方に移動させたときに昇降体40の上下方向Zの中央が存在している位置から、昇降体40を昇降範囲の最も下方に移動させたときに昇降体40の上下方向Zの中央が存在している位置までの範囲である。
【0036】
〔接続装置〕
図2に示すように、昇降体40は、チェーンCの第1端部C1が接続される接続装置43を備えている。昇降体40には、接続装置43として、第1チェーンCAの第1端部C1が接続される接続装置43と、第2チェーンCBの第1端部C1が接続される接続装置43とを備えている。
【0037】
接続装置43は、被接続部51と、案内部52と、第1調節部53と、スプリング54と、を備えている。
被接続部51は、上下方向Zに延びる棒状に形成されており、被接続部51の下端部51AにチェーンCの第1端部C1が接続されている。
【0038】
案内部52は、昇降体40の下フレーム部44に立設された枠体46に固設されており、案内部52は、昇降体40に対して固定状態に設けられている。また、案内部52は、被接続部51を上下方向Zに挿通する挿通孔52Aを備えており、被接続部51の上下方向Zへの移動を案内する。説明を加えると、被接続部51における下端部51Aと上端部51Bとの間の部分を被案内部51Cとしており、被接続部51における被案内部51Cが挿通孔52Aに挿通されている。そして、案内部52は、被接続部51における被案内部51Cを上下方向Zに案内するように構成されている。
【0039】
第1調節部53は、被接続部51における被案内部51Cより上方に位置する部分に取り付けられると共に被接続部51に対する上下方向Zの位置を変更自在に構成されている。本実施形態では、被接続部51の上端部51Bには、ネジ軸心が上下方向Zに沿う雄ネジが形成されており、第1調節部53は、被接続部51の上端部51Bに螺合されている雌ネジ体53Aと、この雌ネジ体53Aとスプリング54との間に設置される介在体53Bとで構成されている。このように、第1調節部53は被接続部51の上端部51Bに取り付けられており、雌ネジ体53Aの回転操作により雌ネジ体53Aが被接続部51に対して上方又は下方に螺進することで、第1調節部53の被接続部51に対する上下方向Zの位置を変更できるようになっている。
【0040】
スプリング54は、上下方向Zにおいて案内部52と第1調節部53との間に配置されて案内部52と第1調節部53とにより上下方向Zに圧縮された状態で設置されている。このスプリング54による第1調節部53を上方に押し上げる付勢力により、チェーンCに張力が付与されている。
接続装置43は、第1調節部53の被接続部51に対する上下方向Zの位置を変更することで、チェーンCの張力を調節できるように構成されている。
【0041】
〔保持体〕
図2及び
図3に示すように、スタッカークレーン1には、スプリング54を圧縮状態に保持するための保持体60が備えられている。
図2は、保持体60を昇降体40に保管している保持体60の保管状態を示しており、
図3は、保持体60によりスプリング54を圧縮状態に保持している保持体60の使用状態を示している。
【0042】
保持体60は、雌ネジ部47に螺合する雄ネジ部61と、上下方向Zにおいて雄ネジ部61と被接続部51との間に位置する状態で被接続部51に上方から接触してスプリング54を圧縮状態に保持する本体部62と、を備えている。
雄ネジ部61は、雌ネジ部47に螺合していることで昇降体40に対する上方への移動が規制されている。本実施形態では、雌ネジ部47が、「規制部」に相当し、雄ネジ部61が、規制部により昇降体40に対する上方への移動が規制される「被規制部」に相当する。
また、雄ネジ部61は、当該雄ネジ部61を回転操作により雄ネジ部61が昇降体40に対して上方又は下方に螺進することで、上下方向Zにおける雌ネジ部47と本体部62との間隔を調節可能に構成されている。本実施形態では、雌ネジ部47に螺合する雄ネジ部61が、「第2調節部」に相当する。
【0043】
保持体60は、雄ネジ部61と本体部62とを分離自在に備えている。
本体部62は、雄ネジ部61の挿入部61Aが上方から挿入される被挿入部62Aと、挿入部61Aが被挿入部62Aに挿入されている状態において雄ネジ部61の接触部61Bに対して下方から接触する被接触部62Bと、を備えている。
【0044】
接触部61Bと被接触部62Bとのうちの少なくとも一方に、接触部61Bと被接触部62Bとがネジ軸心周りに相対的に回転することを許容する回転許容体63を備えている。
本実施形態では、接触部61Bは、挿入部61Aの下端部により構成され、被接触部62Bは、下方に窪む形状に形成された被挿入部62Aにおける底面部により構成されている。回転許容体63は、挿入部61Aの下端部に回転自在に備えられている球状体にて構成されている。このように本実施形態では、雄ネジ部61の接触部61Bに、回転許容体63が備えられている。
【0045】
昇降体40は、雌ネジ部47を着脱自在に備えている。詳細な説明は省略するが、雌ネジ部47は、ホルトやビス等の締結部材により上フレーム部45に固定されており、雌ネジ部47のネジ山が潰れたために新たな雌ネジ部47に交換する必要がある場合や雌ネジ部47が必要なくなった場合に、雌ネジ部47を昇降体40から取り外しできるようになっている。
【0046】
昇降体40は、上下方向Zに見て被接続部51及び第1調節部53と重複しない位置に保持部48を備えている。この保持部48には、雄ネジ部61における上端に位置する頭部は挿通できず雄ネジ部61の頭部以外は上下方向Zに挿通可能な大きさの孔が形成されている。保持部48は、雄ネジ部61を上下方向Zに挿通させて保持部48により雄ネジ部61の頭部を下方から支持する状態で、雄ネジ部61を保持するように構成されている。また、本体部62には、被挿入部62Aが凹入する方向(
図3に示すように取り付けられた状態における上下方向Z)に対して直交する方向に貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔は雄ネジ部61を挿通可能な大きさに形成されている。本体部62は、保持部48により保持された雄ネジ部61を貫通孔に挿通させ、雄ネジ部61にナットを螺合して当該ナットにより本体部62を下方から支持することで、雄ネジ部61と共に本体部62を保持できるようになっている。
【0047】
〔チェーン接続方法〕
次に、
図3及び
図4に基づいて、チェーンCの接続方法について説明する。
チェーンCの接続方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、第4工程と、を有する。第2工程は、第1工程の後に行われる。第3工程は、第2工程の後に行われる。第4工程は、第3工程の後に行われる。
図4には、矢印が示す順に、第1状態、第3状態、第4状態が示されており、
図3には、第1状態と第3状態との間の状態である第2状態が示されている。
【0048】
〔第1工程〕
第1工程は、被接続部51にチェーンCの第1端部C1が接続されていない状態であると共に雌ネジ部47と被接続部51との間に本体部62が位置する状態で、雄ネジ部61を調節して雌ネジ部47と本体部62との上下方向Zの間隔を広げる工程である。
説明を加えると、被接続部51にチェーンCの第1端部C1が接続されておらず、本体部62が被接続部51に対して上方から接触するとともに雌ネジ部47により雄ネジ部61の上方への移動が規制されており、雌ネジ部47と被接続部51との間に本体部62が位置している。この状態で、雄ネジ部61が下方に螺進するように雄ネジ部61を回転操作して、雌ネジ部47と本体部62との間隔を広くする。これにより、本体部62が昇降体40に対して下方に移動するため、その本体部62により被接続部51を下方に押し下げることができる。このように本体部62により被接続部51を下方に押し下げることで、スプリング54を圧縮状態に保持できる。これにより、
図4に示す第1状態となる。
【0049】
〔第2工程〕
第2工程は、チェーンCの第1端部C1を、昇降体40から下方に延びる姿勢となるように被接続部51に接続する工程である。この第2工程により、チェーンCの第1端部C1を被接続部51に接続することで、
図3に示す第2状態となり、チェーンCの張力により被接続部51を下方に引き下げる力が働く。
【0050】
〔第3工程〕
第3工程は、雄ネジ部61の調節により雌ネジ部47と本体部62との上下方向Zにおける間隔を狭めてチェーンCの張力とスプリング54の付勢力とが吊りあった状態とする工程である。
説明を加えると、第3工程では、雄ネジ部61が上方に螺進するように雄ネジ部61を回転操作して雌ネジ部47と本体部62との間隔が狭くなるように雌ネジ部47と本体部62との間隔を調節することで、スプリング54の付勢力により第1調節部53が上方に移動することが許容される。このとき、雌ネジ部47と本体部62との間隔が徐々に狭くなるに伴って、スプリング54の付勢力により第1調節部53も徐々に上方に移動し、この第1調節部53及び被接続部51の上方への移動は、スプリング54の付勢力とチェーンCの張力とがつり合った状態で止まる。
【0051】
〔第4工程〕
第4工程は、雄ネジ部61と本体部62とを昇降体40から取り外す工程である。
この第4工程では、スプリング54の付勢力とチェーンCの張力とがつり合った状態で、更に、雄ネジ部61を上方に螺進するように回転操作する。これにより、本体部62の高さは維持されたまま雄ネジ部61のみが上方に移動するため、雄ネジ部61と本体部62とが上下方向Zに分離し、
図4の中央に示す第3状態となる。この第3状態にすることで、本体部62を昇降体40から取り外すことができ、また、雄ネジ部61の回転操作を継続して行うことで、雄ネジ部61を昇降体40から上方に取り外すことができる。取り外した雄ネジ部61及び本体部62は、
図2に示すように昇降体40に保管することができる。
【0052】
このように、被接続部51にチェーンCを接続し、その後、雄ネジ部61により雌ネジ部47と本体部62との間隔が狭くなるように雌ネジ部47と本体部62との間隔を調節してスプリング54の付勢力とチェーンCの張力とがつり合った状態とすることで、保持体60を昇降体40から取り外すときにスプリング54の付勢力により被接続部51や第1調節部53が上方に跳ね上がることを回避できる。
【0053】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、保持体を、雄ネジ部と本体部とで構成したが、保持体の構成はこれに限定されない。すなわち、保持体を、シリンダやジャッキ等にて構成してもよい。ちなみに、例えば、保持体をシリンダにて構成した場合は、上フレームと被接続部との間にシリンダを設置してスプリングを圧縮状態に保持する。そして、シリンダにおける上フレームに接触する部分が被規制部となり、上フレームにおけるシリンダが接触する部分が規制部となる。また、シリンダにおける第1調節部又は被接続部に接触する部分が本体部となり、シリンダにおけるシリンダ本体が第2調節部となる。そして、シリンダを上下方向に伸縮させることで、雌ネジ部と本体部との間隔を調節できる。
【0054】
(2)上記実施形態では、索状体をチェーンとし、第1巻回体及び第2巻回体をスプロケットとしたが、索状体や巻回体の構成はこれに限定されない。すなわち、索状体を、ベルトやワイヤーにて構成してもよく、第1巻回体及び第2巻回体をプーリにて構成してもよい。
【0055】
(3)上記実施形態では、本体部を、被接触部に上方から接触させてスプリングを圧縮状態に保持したが、本体部を、第1調節部に上方から接触させてスプリングを圧縮状態に保持してもよい。
【0056】
(4)上記実施形態では、雄ネジ部と本体部とを分離可能に構成したが、雄ネジ部と本体部とを一体形成してもよい。この場合、本体部の太さを、雌ネジ部を挿通可能な太さに形成して、雌ネジ部を通して本体部を抜き取り可能な構成としてもよい。
【0057】
(5)上記実施形態では、雄ネジ部の接触部に回転許容体を備えたが、本体部の被接触部に回転許容体を備えてもよい。
また、雄ネジ部の下端部により接触部を構成し、本体部の被挿入部の底面部により被接触部を構成したが、接触部や被接触部の位置はこれに限定されない。すなわち、例えば、雄ネジ部の下端部より上方の部分を大径に形成し、この大径部分を本体部の被挿入部の上端部に接触するように構成して、雄ネジ部の大径部により接触部を構成し、本体部の被挿入部の上端部により被接触部を構成してもよい。
【0058】
(6)上記実施形態では、昇降装置をスタッカークレーンに適用した例を示したが、昇降装置の適用例はこれに限定されない。すなわち、例えば、昇降装置を走行不能な固定台に設置してもよい。この場合、昇降装置の昇降体により、移載装置を走行方向に移動自在に支持してもよい。