(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の基板用コネクタでは、抜止係止爪がピンのディップ部に対向している。このため、ケーブルの操作等により、コネクタの端部に上向きの強い力が作用すると、ピンの基板への固定部分を支点とする回動によりハウジングがケーブル側に引っ張られて、抜止係止爪の基板との係合が浅くなり、その後抜止係止爪が基板から外れ、係合が解除されてしまうという問題がある。
【0006】
特許文献2に記載のコネクタは、一対の弾性係止片が基板の2カ所に係合している状態で係留(装着)効果を発揮する。しかし、一対の弾性係止片の一方が取りつけ対象物から外れてしまうと、他方の係合も解除されてしまうという問題がある。
【0007】
このように、従来のコネクタは、基板等の取り付け対象物から外れ易いという問題がある。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、基板から外れにくい基板用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明に係る基板用コネクタは、
第1貫通穴と第2貫通穴とを有する基板に取り付けられる基板用コネクタであって、
前記第1貫通穴に挿入される挿入部と該挿入部に直交する方向へ延在する接続部とから
成るL字形状のピン端子と、
前記接続部の少なくとも端部を収容し、前記接続部に接続されるケーブルが挿通される
開口を有する、前記基板の一主面に配置されるハウジングと、
前記ハウジングに一体に形成され、前記第2貫通穴を通って前記基板の他主面から突出
し
、前記挿入部を向く方向とは逆方向へ延在し、さらに前記基板に向かって延在するJ字形状のボス部と、
を備え、
前記ボス部は、
前記ハウジングに連なり、前記第2貫通穴に挿入される基端部と、
前記基端部に連なり、前記基板の他主面から突出する突出部と、
前記突出部に連なり、前記挿入部を向く方向とは逆方向へ延在するとともに前記基板に
向かって反転する反転部と、
前記反転部に連なり、前記基板に向かって延在する先端部と、を有し、
前記突出部と前記先端部との間に空間が形成され、
前記反転部及び前記先端部は、前記ハウジングよりも、前記
挿入部を向く方向とは逆方向に突出する。
【0011】
前記先端部は、前記反転部に近づくにしたがって、前記挿入部を向く方向とは逆方向の厚さ寸法が小さくなる形状を有してもよい。
【0012】
前記ボス部は、前記ハウジングの、前記接続部が延在する方向の端部に配置されていてもよい。
【0013】
前記ピン端子は、前記挿入部に直交し、且つ、前記接続部に直交する方向に互いに間をあけて複数配置され、
前記ボス部は、前記ピン端子が配置された方向に互いに間をあけて複数配置されていてもよい
。
【発明の効果】
【0014】
上記構成により、本発明に係る基板用コネクタは、基板から外れにくくなる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る基板用コネクタ1について、
図1〜
図7を用いて説明する。なお、理解を容易にするために、−Z軸方向を、後述するピン端子10の挿入部11の延在方向、+Y軸方向を、ピン端子10の導体かしめ部12の延在する方向とするXYZ直交座標系を設定し、適宜参照する。
【0017】
図1に示すように、基板用コネクタ1は、XY平面に配置されたプリント基板2の一方の主面(+Z側の面)に実装される。基板用コネクタ1は、ピン端子10と、ハウジング20と、ボス部50とを有する。
【0018】
図2に示すように、ピン端子10は、導体、例えば、銅、アルミニウム等の導電性の板材を曲げ加工することにより形成されている。ピン端子10は、
図2に示すように、L字形状に成型され、−Z軸方向へ延在する挿入部11と、+Y軸方向へ延在する導体かしめ部(接続部)12とを有する。ピン端子10の導体かしめ部12は、被覆かしめ部13を介して、ケーブル14の芯線導体に電気的に接続される。
【0019】
被覆かしめ部13は、ピン端子10と一体の部材から構成され、ピン端子10の導体かしめ部12を介して挿入部11に連結されている。また、被覆かしめ部13は、絶縁被覆が除去されて芯線導体が露出したケーブル14の端部に連結される。これにより、ピン端子10とケーブル14の芯線導体とが固定されると共に電気的に接続される。
【0020】
ハウジング20は、絶縁素材である高分子樹脂から直方体状に形成され、ピン端子10と、被覆かしめ部13と、ケーブル14の端部を収容して保護する。ハウジング20は、天板21と、2つの側壁22、23と、2つの仕切壁24、25とを有している。側壁22は、天板21の、−X軸方向の側部に設けられている。また、側壁23は、天板21の、+X軸方向の側部に設けられている。2つの仕切壁24、25は、2つの側壁22、23間に配置され、2つの側壁22、23間の領域をX軸方向に3分割している。
【0021】
また、
図3に示すように、ハウジング20は、側壁22の底部(−Z軸方向の端部)から+X軸方向に延びる底板26と、仕切壁24の底部から+X軸方向に延びる底板27と、仕切壁25の底部から+X軸方向に延びる底板28とを有している。底板26と仕切壁24との間、底板27と仕切壁25との間、及び、底板28と側壁23との間には、ピン端子10の挿入部11は組立時に通過可能だが、導体かしめ部12は通過できない幅のスリット29がそれぞれ形成されている。
【0022】
図4に示すように、天板21と側壁22と底板26と仕切壁24とで囲われた領域、天板21と仕切壁24と底板27と仕切壁25とで囲われた領域、及び、天板21と仕切壁25と底板28と側壁23とで囲われた領域は、それぞれ、被覆かしめ部13とケーブル14の端部と導体かしめ部12の端部とが収容される収容領域30を形成する。ハウジング20は、+Y軸方向の端部に、収容領域30に通じる開口31を有している。
【0023】
図2に示すように、ハウジング20は、−Y軸方向の端部に、ピン端子10の導体かしめ部12及び被覆かしめ部13を収容領域30に係止するためのストッパ35、ランス36、ストッパ37を有している。ストッパ35は、天板21に一体に形成され、−Z軸方向に突出している。ストッパ35は、ピン端子10をハウジング20に挿入する際のストッパとして機能する。ランス36は、側壁22または仕切壁24、25に一体に形成され、+Y軸方向へ延在している。ランス36は、ピン端子10をハウジング20に挿入した後に押圧することにより、ピン端子10がハウジング20から抜けないように、ピン端子10を押して固定する。また、ストッパ37は、底板26、27、28に一体に形成され、+Z軸方向に突出している。ストッパ37は、ストッパ35と共に、ピン端子10をハウジング20に挿入する際のストッパとして機能する。
図2に示すように、ピン端子10と被覆かしめ部13とケーブル14とは、連結された状態で、ハウジング20の開口31(
図4参照)へ挿入される。この際、ピン端子10の挿入部11をスリット29へ通しながら、被覆かしめ部13を収容領域30に挿入する(
図3参照)。導体かしめ部12がランス36に固定され、
図3に示すように被覆かしめ部13とケーブル14の端部と導体かしめ部12の端部とが収容領域30に収容された状態となる。全ての収容領域30に被覆かしめ部13が収容されると、ピン端子10は、挿入部11及び導体かしめ部12に直交する方向であるX軸方向に互いに間をあけて3つ配置される。
【0024】
図3、
図4に示すように、ボス部50は、ハウジング20に一体に形成され、ハウジング20の、+Y軸方向の端部に配置されている。ボス部50は、X軸方向に互いに間をあけて2つ配置されている。
図5に示すように、ボス部50は、J字形状に形成され、基端部51と、突出部52と、反転部53と、先端部54とを有している。
【0025】
基端部51は、ハウジング20の底板26または底板28に連なり、−Z軸方向へ延在している。突出部52は、基端部51に連なり、−Z軸方向へ延在している。基端部51の、−Y軸方向の側面と、突出部52の、−Y軸方向の側面とは、面一となるように形成されている。突出部52の、+Y軸方向の寸法は、基端部51の、+Y軸方向の寸法よりも小さくなっており、基端部51の、+Y軸方向の側面と、突出部52の、+Y軸方向の側面との間に段差55が形成されている。
【0026】
反転部53は、突出部52に連なり、挿入部11を向く方向D1とは逆方向D2へ延在するとともに+Z軸方向へ反転している。ここで、方向D1は、−Y方向と同じ方向であり、逆方向D2は、+Y方向と同じ方向である。先端部54は、反転部53に連なり、+Z軸方向へ延在している。突出部52と先端部54との間には、空間56が形成されている。なお、反転部53及び先端部54は、ハウジング20の、+Y軸方向の側面よりも+Y軸方向に突出して形成されている。
【0027】
先端部54は、Z軸に直交する平面541を有している。平面541と基端部51の段差55までの距離Lは、プリント基板2の厚さよりもやや小さく形成されている。このため、例えば、基板用コネクタ1がプリント基板2に実装される際、平面541と基端部51の段差55との間に、プリント基板2の一部が入り込むことがなく、基端部51は、プリント基板2の貫通穴2b(
図1参照)にスムーズに挿入される。
また、平面541からハウジング20の底板26,27,28(−Z側の面)までの距離L’、即ち、平面541からプリント基板2の下面までの距離L’は、プリント基板2の厚さよりもわずかに大きくなるように設けられている。
【0028】
また、先端部54の、反転部53に隣接した部分は、弾性変形可能な弾性変形部542となっている。先端部54は、−Z軸方向へ進むにしたがって、即ち、反転部53に近づくにしたがって、+Y軸方向の厚さ寸法が小さくなる形状を有している。先端部54の+Y軸方向の側面は、−Z軸方向へ進むにしたがって−Y軸方向へ進む傾斜面となっている。従って、先端部54はプリント基板2の貫通穴2bへのボス部50の挿入の際、弾性変形部542付近を起点として、突出部52へ近づく方向(−Y軸方向)へ傾倒可能である。
【0029】
図1に示すように、プリント基板2は、貫通穴(第1貫通穴)2aと、貫通穴(第2貫通穴)2bとを有している。貫通穴2aは、ピン端子10の挿入部11用の穴であり、ピン端子10の挿入部11を挿入可能な径寸法を有している。貫通穴2aの縁部には、導体パターン2cが形成されている。貫通穴2aは、全てのピン端子10の挿入部11が挿入されるように、X軸方向にピン端子10と同一のピッチで3つ配置されている。
【0030】
貫通穴2bは、ボス部50用の穴であり、ボス部50の基端部51よりわずかに大きく、基端部51を挿入可能な径寸法を有している。貫通穴2bは、X軸方向に、ボス部50の間隔と同一の間隔をあけて2つ配置されている。
【0031】
貫通穴2aの中心と貫通穴2bの中心とのY軸方向の距離は、ピン端子10の挿入部11の中心からボス部50の中心までのY軸方向の距離とほぼ等しい。
【0032】
次に、プリント基板2への基板用コネクタ1の取り付け方法について説明する。
【0033】
まず、
図2に示すように、ピン端子10の導体かしめ部12とケーブル14の導体の端部とを被覆かしめ部13により接続する。次に、ピン端子10を先頭にしてケーブル14をハウジング20の開口31(
図4参照)へ挿入する。この際、ピン端子10の挿入部11をスリット29へ通しながら、被覆かしめ部13を収容領域30に挿入する。挿入し終わると、導体かしめ部12が、ランス36に固定され、
図3に示すように被覆かしめ部13とケーブル14の端部と導体かしめ部12の端部とが収容領域30に収容された状態となる。
【0034】
次に、
図6(A)に示すように、ピン端子10の挿入部11をプリント基板2の貫通穴2aに挿入するとともに、ボス部50をプリント基板2の貫通穴2bに挿入する。このとき、
図6(B)に示すように、ボス部50の先端部54が貫通穴2bの縁部に当接する。ただし、先端部54は、弾性変形部542を有しており、また、突出部52と先端部54との間に空間56がある。よって、先端部54は、
図6(C)に示すように突出部52へ近づく方向へ傾倒する。そして、先端部54が貫通穴2bから抜けると、先端部54は、
図6(D)に示すように元の姿勢に戻る。
【0035】
続いて、挿入部11と貫通穴2aの縁部に形成された導体パターン2cとがハンダ付けされ、ピン端子10の挿入部11がプリント基板2に形成された回路に接続される。
【0036】
この状態では、
図7(A1)、(A2)に示すように、基板用コネクタ1は、ハンダ付けされた挿入部11とボス部50によりプリント基板2に固定されている。
【0037】
この状態で、ケーブル14が持ち上げられた場合等、ハウジング20の+Y軸方向の端部に+Z軸方向の力が作用すると、ピン端子10の、プリント基板2に固定された部分を支点として、または、屈曲部分を支点として、ハウジング20が、
図7(B1)の矢印Kで示す方向へ回動する。すると、
図7(B1)、(B2)に示すように、先端部54の平面541がプリント基板2の他方の主面に当接し、ボス部50がプリント基板2の他方の主面に係止される状態となって、ハウジング20の回動が停止する。さらに、ハウジング20に+Z軸方向の力が作用しても、先端部54がプリント基板2に当接しているため、ハウジング20の回動は制限される。このとき、ボス部50の先端部54には、+Y軸方向への力が作用する。この+Y軸方向への力が作用したことにより先端部54が+Y軸方向へ移動しても、先端部54がプリント基板2から外れることはない。
【0038】
従って、基板用コネクタ1は、+Z軸方向への力が加わっても、プリント基板2から外れることはない。
【0039】
次に、本実施形態に係る基板用コネクタ1と比較するため、特許文献2に記載されたボス部と同様に、一対の弾性係止片を有する比較例のボス部を備える基板用コネクタ100について、
図8、
図9を用いて説明する。なお、理解を容易にするために、
図1〜
図7と同様にXYZの直交座標系を設定し、適宜参照する。また、基板用コネクタ100は、基板用コネクタ1のピン端子10及びハウジング20と同じ構成を有している。
【0040】
図8(A1)、(A2)に示すように、基板用コネクタ100は、一対の弾性係止片を有するボス部150を備える。ボス部150は、ハウジング20に一体に形成され、ハウジング20の、Y軸方向の中央部に配置されている。
図8(A2)に示すように、ボス部150は、基端部151と、突出部152と、反転部153a、153bと、先端部154a、154bとを有している。反転部153a及び先端部154a、反転部153b及び先端部154bによって、一対の弾性係止片が構成される。
【0041】
基端部151は、ハウジング20の底板26または底板28に連なり、−Z軸方向へ延在している。突出部152は、基端部151に連なり、−Z軸方向へ延在している。突出部152の、Y軸方向の寸法は、基端部151の、Y軸方向の寸法よりも小さくなっており、基端部151の、+Y軸方向の側面と、突出部152の、+Y軸方向の側面との間に段差155aが形成され、また、基端部151の、−Y軸方向の側面と、突出部152の、−Y軸方向の側面との間に段差155bが形成されている。
【0042】
反転部153aは、突出部152に連なり、+Y軸方向へ延在するとともに+Z軸方向へ反転している。先端部154aは、反転部153aに連なり、+Z軸方向へ延在している。突出部152と先端部154aとの間には、空間156aが形成されている。反転部153bは、突出部152に連なり、−Y軸方向へ延在するとともに+Z軸方向へ反転している。先端部154bは、反転部153bに連なり、+Z軸方向へ延在している。突出部152と先端部154bとの間には、空間156bが形成されている。
【0043】
先端部154a、154bは、Z軸に直交する(XY面に平行な)平面1541a、1541bを有している。先端部154a、154bは、−Z軸方向へ進むにしたがって、即ち、反転部153a、153bに近づくにしたがって、+Y軸方向の厚さ寸法が小さくなる形状を有している。先端部154a、154bの、反転部153a、153bに隣接した部分は、弾性変形可能な弾性変形部1542a、1542bとなっている。従って、先端部154aは、弾性変形部1542a付近を起点として、突出部152へ近づく方向(−Y軸方向)へ傾倒可能である。また、先端部154bは、プリント基板2の貫通穴2bへのボス部150の挿入の際、弾性変形部1542b付近を起点として、突出部152へ近づく方向(+Y軸方向)へ傾倒可能である。
【0044】
また、先端部154a、154bは、平面1541a、1541bから+Z軸方向へ延在する規制部1543a、1543bを有する。規制部1543aが貫通穴2bの内壁に当接すると、先端部154aの+Y軸方向への移動が規制される。また、規制部1543bが貫通穴2bの内壁に当接すると、先端部154bの−Y軸方向への移動が規制される。
【0045】
図8(A1)、(A2)に示すように、基板用コネクタ100がプリント基板2に取り付けられた状態では、ボス部150の基端部151は、貫通穴2bに挿入され、先端部154a、154bは、プリント基板2に向かって延在する。
【0046】
ケーブル14が持ち上げられる等の理由により、ハウジング20の+Y軸方向の端部に+Z軸方向の力が作用すると、ハウジング20が、
図8(B1)の矢印Kで示す方向へ回動する。続いて、先端部154a、154bの平面1541a、1541bがプリント基板2の−Z側の平面に当接し、ボス部150がプリント基板2に係合する状態となって、ハウジング20及びボス部150の回動が停止する。
【0047】
さらに、ハウジング20に+Z軸方向の力が作用すると、規制部1543bが貫通穴2bの内壁に当接し、先端部154bの−Y軸方向への移動が規制されるとともに、突出部152が先端部154bに近づく。突出部152が先端部154bに近づくと、それに伴って先端部154aが−Y軸方向へ移動し、
図8(B2)に示すように先端部154aがプリント基板2から外れる。そして、ハウジング20が、
図9(A1)の矢印Kで示す方向へ回動し、
図9(A2)に示すようにボス部150の先端部154bの平面1541bが傾き、
図9(B1)、(B2)に示すように、先端部154bが+Y軸方向へずれてプリント基板2から外れてしまう。
【0048】
このように、比較例のボス部150を備える基板用コネクタ100では、先端部154aがプリント基板2から外れてしまうと、先端部154bもプリント基板2から外れてしまい、プリント基板2への係合が解除されてしまう。
【0049】
また、上述したように、ボス部150は、ハウジング20の、Y軸方向の中央部に配置されている。このため、ケーブル14が持ち上げられた場合には、ハウジング20の、+Y軸方向の端部が力点となり、ピン端子10の、プリント基板2に固定された部分が支点となり、または、屈曲部分が支点となり、ボス部150の基端部が作用点となる。このため、ハウジング20の、+Y軸方向の端部に作用する力よりも大きな力が、ボス部150に作用する。したがって、ハウジング20に作用する力が小さい場合でも、先端部154a、154bがプリント基板2から外れてしまい、プリント基板2への係合が解除されてしまうおそれがある。
【0050】
このことからも、本実施の形態の基板用コネクタ1がプリント基板2から外れにくいことが理解できる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る基板用コネクタ1は、プリント基板2の貫通穴2aに挿入される挿入部11と該挿入部11に直交する方向(+Y軸方向)へ延在する導体かしめ部12とから成るL字形状のピン端子10と、導体かしめ部12の少なくとも端部を収容し、導体かしめ部12に接続されるケーブル14が挿通される開口31を有する、プリント基板2の一方の主面に配置されるハウジング20と、を備えている。また、基板用コネクタ1は、ハウジング20に一体に形成され、プリント基板2の貫通穴2bを通ってプリント基板2の他方の主面から突出し、挿入部11を向く方向D1とは逆方向D2(+Y軸方向)へ延在し、さらにプリント基板2に向かって延在するJ字形状のボス部50を備えている。このため、ケーブル14の不用意な操作や振動などで、ハウジング20に+Z軸方向の力が作用しても、ボス部50のプリント基板2への係合が解除されてしまうのを防止することができる。
【0052】
また、本発明の実施形態に係る基板用コネクタ1においては、ボス部50は、ハウジング20に連なり、プリント基板2の貫通穴2bに挿入される基端部51と、基端部51に連なり、プリント基板2の他方の主面から突出する突出部52と、突出部52に連なり、挿入部11を向く方向D1とは逆方向D2(+Y軸方向)へ延在するとともにプリント基板2に向かって反転する反転部53と、反転部53に連なり、プリント基板2に向かって延在する先端部54と、を備えている。そして、突出部52と先端部54との間に空間56が形成されている。このため、ハウジング20に+Z軸方向の力が作用しても、先端部54がプリント基板2の他方の主面に当接し、ボス部50のプリント基板2への係合が解除されてしまうのを防止することができる。
【0053】
また、本発明の実施形態に係る基板用コネクタ1においては、先端部54は、反転部53に近づくにしたがって、挿入部11を向く方向D1とは逆方向D2(+Y軸方向)の厚さ寸法が小さくなる形状を有している。このため、先端部54の、反転部53に隣接した部分が弾性変形部542となり、ボス部50をプリント基板2の貫通穴2bに挿入するときに、先端部54が突出部52へ近づく方向へ傾倒するので、先端部54が邪魔になることがなく、ボス部50をプリント基板2の貫通穴2bに挿入することができる。
【0054】
また、本発明の実施形態に係る基板用コネクタ1においては、ボス部50は、ハウジング20の、挿入部11を向く方向D1とは逆方向D2(+Y軸方向)の端部に配置されている。このため、ハウジング20の、+Y軸方向の端部に+Z軸方向の力が作用しても、この力よりも大きな力がボス部50に作用してしまうことを防止することができる。
【0055】
また、本発明の実施形態に係る基板用コネクタ1においては、ピン端子10は、挿入部11に直交し、且つ、導体かしめ部12に直交する方向(X軸方向)に互いに間をあけて配置されている。ボス部50は、ピン端子10が配置された方向(X軸方向)に互いに間をあけて配置されている。このため、ハウジング20が、全体としてY軸方向よりもX軸方向に長い直方体に形成されていたとしても、ボス部50のプリント基板2への係合が解除されてしまうのを防止することができる。
【0056】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態によって限定されるものではない。
【0057】
上記実施の形態では、ピン端子10を挿入部11と導体かしめ部12とを有するL字型のものとしたが、ピン端子10は、ケーブル14と基板上の回路パターンとを接続できれば、どのような構成でもよい。
【0058】
上記実施の形態では、ピン端子10と被覆かしめ部13とは、互いに一体となったピン付き接続端子であるものとして説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、ピン端子10と被覆かしめ部13とは、別部材であってもよい。
【0059】
上記実施の形態では、ピン端子10と被覆かしめ部13とケーブル14とが連結された状態で、ピン端子10を先頭にしてケーブル14をハウジング20の開口31へ挿入する構成としたが、本発明は、これに限定されない。例えば、ハウジング20の天板21の、−Y軸方向の側部に側壁を備え、この側壁にピン端子10の導体かしめ部12を貫通させて固定してもよい。そして、導体かしめ部12に嵌合する接続端子を連結したケーブル14を開口31へ挿入し、接続端子を導体かしめ部12に嵌合させることにより、ピン端子10とケーブル14の芯線導体とが電気的に接続されるようにしてもよい。
【0060】
ハウジング20は、ピン端子10と被覆かしめ部13とケーブル14の接続部分を収容して支持できれば、その構成は任意である。
【0061】
上記実施の形態では、
図5に示すように、ボス部50を、基端部51と突出部52と反転部53と先端部54とにより構成したが、本発明は、これに限定されない。ボス部50は、貫通穴2bを通ってプリント基板2の他方の主面から突出し、挿入部11を向く方向とは逆方向(+Y軸方向)へ延在し、さらにプリント基板2に向かって延在するJ字形状ものであればよい。例えば、ボス部50は、−Z軸方向へ延在し、+Y軸方向へ直角に曲がった後に+Y軸方向へ延在し、さらに+Z軸方向へ直角に曲がった後に+Z軸方向へ延在するものであってもよい。このようなボス部50の形状もJ字形状という。
【0062】
また、XY面に平行な平面541を備える先端部54を例示したが、外力が加わった際に、プリント基板2に係合可能ならば、その形状は任意である。例えば、平面541はXY面に平行でなくてもよく、あるいは、平坦でなくてもよい。
【0063】
上記実施の形態では、ピン端子10をX軸方向に3つ配置し、ボス部50をX軸方向に2つ配置した。本発明は、これに限定されず、ピン端子10及びボス部50の数は任意である。例えば、ピン端子10の数を2つまたは4つ以上とし、ボス部50の数を3つ以上としてもよい。また、ピン端子10とボス部50との数を、同一にしてもよいし、異ならせてもよい。ピン端子10の数とボス部50の数とを、1つにしてもよい。また、ピン端子10の数を複数とし、ボス部50の数を1つとしてもよいし、ピン端子10の数を1つとし、ボス部50の数を複数としてもよい。
【0064】
その他、上述した材質、形状及びサイズは一例であり、限定されるものではない。
【0065】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。