(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
二酸化塩素発生剤を有する包装体であって、包装材として吸着層、アルミニウム箔層、基材層を有するアルミニウムラミネートフィルムを用いること、及び包装体中が乾燥空気、又は窒素が充填されていることを特徴とする包装体。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
本発明の包装体は、未使用時には二酸化塩素の発生を抑えることができ、使用時に、包装材を取ることにより、空気中の水蒸気や水と接触させることにより、二酸化塩素ガスを徐々に発生させ、安定した二酸化塩素水溶液を調製することができる。
【0020】
包装材としては、吸着層、アルミニウム箔層、基材層を有するアルミニウムラミネートフィルムを用いることができる。アルミニウムラミネートフィルムの厚みは100〜300μmであることが好ましい。
【0021】
(吸着層)
本発明のアルミニウムラミネートフィルムにおける吸着層は吸着剤、更に必要であれば樹脂をインフレーション法、Tダイ法、共押出等によってフィルム状またはシート状に形成したものが好適に用いられる。
吸着層の厚さは、十分な量の水分、ガスを吸着させるため、30〜100μmとすることが好ましい。
【0022】
吸着層に用いられる吸着剤としては、物理吸着系吸着剤、化学吸着系吸着剤が用いられる。
【0023】
物理吸着系吸着剤としては、例えば、ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ、活性炭等が挙げられる。一般に、物理吸着系吸着剤は吸着速度が速いため水分を素早く吸着させることができる。この物理吸着系吸着剤のなかでも、ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナであることが好ましく、ゼオライトが吸着能力の点でより好ましい。
【0024】
化学吸着系吸着剤としては、例えば、酸化カルシウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化バリウム、五酸化リン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、臭化カリウム、臭化カルシウム、硫酸銅、塩化亜鉛、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。なかでも酸化カルシウムはハンドリング性が高いため、より好ましい。一般に、化学吸着系吸着剤は、上記の物理吸着系吸着剤に比べると水分の吸着速度は遅いが徐々に吸着し、一度吸着すると吸着成分が分離することがないため、二酸化塩素発生剤の劣化を防止することができる。
【0025】
さらに、物理吸着系吸着剤と化学吸着系吸着剤を組み合わせることにより、相乗効果を高めることができる。具体的には、酸化カルシウムは水分の吸収により水酸化カルシウムとなり、酸性物質と反応して吸着、中和するので酸性物質の除去が可能となる。更に、物理吸着系吸着剤は高温時での水分を放出させるが、放出された水分が化学系吸着剤に移行し、保存環境によらず水分の放出を防止することができ、良好な保存状態を維持することができる。
【0026】
吸着層に使用される樹脂としては、高メルトフローレートであり、かつ低融点、低温ドローダウン性に優れた樹脂であることが好ましい。
【0027】
このような樹脂としては、例えばLDPE(低密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、塩素化ポリエチレン、飽和ポリエステル、EAA(エチレン−アクリル酸共重合体)、EMAA(エチレン−メタクリル酸共重合体)、EEA(エチレン−エチルアクリレート共重合体)、EMA(エチレン−メチルアクリレート共重合体)、EMMA(エチレン−メチルメタクリレート共重合体)等が挙げられる。
【0028】
(アルミニウム箔)
本発明で使用するアルミラミネートフィルムのアルミニウム箔は、純アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔のいずれであってもよい。さらに、アルミニウム箔にPP(ポリプロピレン)系等の樹脂をコーティングしたものであってもよい。
また、アルミ箔の厚さは、良好な成形性を保持するとともに、容器の耐湿性、遮光性を保ち、さらに適度な剛性、および成形性を付与するため、10〜60μmとすることが好ましい。
【0029】
(基材層)
本発明で使用するアルミラミネートフィルムの基材層としては、延伸フィルムが用いられる。延伸フィルムの材料としてはPET(ポリエチレンテレフタレート)やポリスチレン等が挙げられる。強度や耐二酸化塩素ガス性の観点からPETが好ましい。延伸は一軸、又は二軸延伸いずれでもかまわない。
基材層の膜厚は、加工性や耐久性の観点から10〜100μmであることがこのましい。
【0030】
(シーラント層)
本発明で使用するアルミラミネートフィルムには、加熱等によりシールすることができるシーラント層を有することが好ましい。シーラント層には、特に限定されないが、熱可塑性樹脂等を用いることができる。
シーラント層の膜厚は、接着性や封止性の観点から10〜50μmであることがこのましい。
【0031】
このような樹脂としては、例えばLDPE(低密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、塩素化ポリエチレン、飽和ポリエステル、EAA(エチレン−アクリル酸共重合体)、EMAA(エチレン−メタクリル酸共重合体)、EEA(エチレン−エチルアクリレート共重合体)、EMA(エチレン−メチルアクリレート共重合体)、PMMA、アイオノマー、カルボン酸変性ポリエチレン、カルボン酸変性ポリプロピレン、カルボン酸変性EVA、PVC(ポリ塩化ビニル)、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、およびナイロン等のポリアミド等から選ばれる少なくとも1種、またはこれらを組み合わせて用いることができる。なかでも二酸化塩素ガスに対する耐性からポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、PMMAが好ましい。
【0032】
吸着層、アルミニウム箔層、基材層を有するアルミニウムラミネートフィルムは、基材層、アルミニウム箔、吸着層(要すれば、シーラント層)の順で積層されることが好ましく、密着層を有してもよい。
【0033】
(密着層)
本発明で使用するアルミラミネートフィルムの各層間に密着層を設けてもよい。
密着層に使用される樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。
【0034】
次に、本発明で包装材に包装される二酸化塩素発生剤について具体的に説明する。二酸化塩素発生剤は、水中に添加することにより二酸化塩素水を調製することができる二酸化塩素水調製錠剤、空気との接触により二酸化塩素ガスを発生させる二酸化塩素ガス発生剤等が挙げられる。
【0035】
本発明の二酸化塩素水調製錠剤の具体例としては、金属亜塩素酸塩、水と接触したときに塩素を放出する塩素放出化合物、固体酸源を含有する錠剤である。また、本発明の錠剤は、水に溶解した際に二酸化塩素の溶液を迅速に生成する錠剤であることが好ましい。
【0036】
本発明の二酸化塩素水調製錠剤に用いることのできる金属亜塩素酸塩は、通常、用いることのできるものであれば、特に制限なく使用することができる。具体的には、亜塩素酸のアルカリ金属塩である亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸リチウムなどを例示することができ、経済性および実用性の面から亜塩素酸ナトリウムが最も好ましい。錠剤中の亜塩素酸塩の添加量は、錠剤全体重量に対して、1重量%以上で有効であるが、25重量%を超えると劇物に該当するため、1重量%以上25重量%以下が好ましく、5重量%以上20重量%以下であることがより好ましい。
【0037】
本発明の二酸化塩素水調製錠剤に用いることのできる水と接触したときに塩素を放出する塩素放出化合物は、通常、用いることのできるものであれば、特に制限なく使用することができる。具体的には、ナトリウムジクロロイソシアヌレート、カリウムジクロロイソシアヌレート、ナトリウムN−クロロ−p−トルエンスルホンアミド、ナトリウムN−クロロベンゼンスルホンアミド、次亜塩素酸カルシウムなどを例示することができる。経済性および実用性の面からナトリウムジクロロイソシアヌレートが最も好ましい。なお、上記化合物は、目的とする塩素放出率、および対応する二酸化塩素発生率に応じて、適宜選択することができる。錠剤中の、水と接触したときに塩素を放出する塩素放出化合物の添加量は、錠剤全体重量に対して、1重量%以上30重量%以下の範囲であればよい。
【0038】
本発明の二酸化塩素水調製錠剤に用いることのできる固体酸源としては、通常、用いることのできるものであれば、特に制限なく使用することができる。具体的には、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム等の無機酸塩、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硝酸セリウム、硫酸鉄等の強酸のアニオンと弱塩基のカチオンを含んでなる塩、クエン酸、フマル酸、マロン酸、ステアリン酸、ピルビン酸、フタル酸、リンゴ酸、マレイン酸、アコニット酸、シュウ酸、コハク酸、酢酸、プロピオン酸、アスコルビン酸、乳酸、安息香酸、酒石酸、ケイ皮酸、イタコン酸、スルファミン酸、無水酢酸、無水クエン酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水安息香酸等の有機固体酸を例示することができる。安全性、反応性、作業性の各観点から硫酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、クエン酸、コハク酸、マレイン酸が特に好ましい。錠剤中の固体酸源の添加量は、錠剤全体重量に対して、1重量%以上40重量%以下の範囲であればよい。
【0039】
本発明の二酸化塩素水調製錠剤は、乾燥度合い(含水率)が二酸化塩素溶液を調製するための錠剤の性能に極めて大きな影響を与える。即ち、錠剤の含水率が高いと、金属亜塩素酸塩は塩素酸塩を生成する分解反応が促進される。また、生成した二酸化塩素が含有する水分でトラップされるためかは不明であるが、錠剤中の含水率が高いと発生する二酸化塩素量が少なくなる。以上の理由より、錠剤中の含水率は10重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがさらに好ましい。
【0040】
本発明の二酸化塩素水調製錠剤は、必要に応じて、発泡剤、高分子系崩壊剤、滑材等を適宜用いても良い。
【0041】
本発明の二酸化塩素水調製錠剤は、金属亜塩素酸塩、水と接触したときに塩素を放出する塩素放出化合物、固体酸源等を混合し、圧縮法によって打錠され成型加工されたものを例示できる。
【0042】
本発明で使用される二酸化塩素ガス発生剤は、空気中の水分との接触により、二酸化塩素ガスを発生させ得る物質である限り、特に限定されるものではない。
【0043】
このような二酸化塩素ガス発生剤として亜塩素酸塩を含有する物質が使用される。亜塩素酸塩は酸性物質との接触により二酸化塩素ガスを発生させることが知られているところ、空気中の少なくとも水蒸気を用いて酸性物質を生成させ、該酸性物質を亜塩素酸塩と接触させることにより、二酸化塩素ガスを発生させることができる。
【0044】
亜塩素酸塩としては、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、及び亜塩素酸リチウムのような亜塩素酸のアルカリ金属塩、並びに亜塩素酸マグネシウム、及び亜塩素酸カルシウムのような亜塩素酸のアルカリ土類金属塩などが挙げられる。中でも、低コストで、かつ市販品が汎用されている点で、アルカリ金属塩が好ましく、亜塩素酸ナトリウムがより好ましい。
【0045】
亜塩素酸塩を担持させた無機多孔質担体においては、該無機多孔質担体の孔の中に空気中の二酸化炭素と水蒸気が吸収されて炭酸が生成するので、当該孔の中において当該炭酸(弱酸性物質)と亜塩素酸塩とが接触し、二酸化塩素ガスが発生する。
【0046】
亜塩素酸塩を担持させた無機多孔質担体は好ましくはアルカリ剤も担持している。アルカリ剤を担持させることにより、二酸化塩素ガスを長期にわたって安定した量で発生させることができる。
【0047】
無機多孔質担体の種類は特に限定されず、公知の無機多孔質担体を制限なく使用できる。公知の無機多孔質担体として、例えば、セピオライト、パリゴルスカイト、モンモリロナイト、シリカゲル、珪藻土、ゼオライト、及びパーライト等が挙げられる。中でも、亜塩素酸塩の分解が抑えられる点で、濃度10重量%で水に懸濁させた懸濁液がアルカリ性、即ちpH8以上を示すものが好ましく、ゼオライト、パリゴルスカイト、及びセピオライトがより好ましく、ゼオライト、セピオライトが特に好ましい。
【0048】
亜塩素酸塩の担持量は、二酸化塩素ガス発生剤の全量に対して、1重量%以上が好ましく、3重量%以上がより好ましく、5重量%以上がさらにより好ましい。この範囲であれば、十分に二酸化塩素を発生させることができる。また、亜塩素酸塩の担持量は、二酸化塩素ガス発生剤の全量に対して、25重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましい。この範囲であれば、発生剤の劇物指定を回避できる。
亜塩素酸塩の担持量は、無機多孔質担体100重量部に対して、亜塩素酸塩1〜40重量部が好ましく、3〜25重量部がより好ましく、5〜20重量部がさらにより好ましい。
【0049】
アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化リチウムのような水酸化物、並びに炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、及び炭酸リチウムのような炭酸塩などが挙げられる。中でも、経済性の面から、水酸化ナトリウム、及び炭酸ナトリウムが好ましく、発生剤の保存安定性が良い点で、水酸化ナトリウムがより好ましい。
【0050】
アルカリ剤の担持量は、亜塩素酸塩(mol)に対して、0.7モル当量より多いのが適当であり、0.73モル当量以上がより好ましく、0.75モル当量以上がさらにより好ましい。この範囲であれば、担持された亜塩素酸塩が常温で分解され難い。また、過剰量の二酸化塩素を短期間に発生させてしまうことがなく、消毒などの二酸化塩素の効果を発揮できるだけの二酸化塩素を長期間安定して発生することができる。
また、二酸化塩素ガス発生剤のアルカリ剤の担持量は、亜塩素酸塩(mol)に対して、2モル当量以下が適当である。1.7モル当量以下がより好ましく、1.4モル当量以下がさらにより好ましい。この範囲であれば、二酸化塩素の発生が確保される。また、二酸化塩素ガス発生剤の危険物指定を避けることができ、過剰量の二酸化塩素ガスの発生などの危険性を避けることもできる。
【0051】
無機多孔質担体に、亜塩素酸塩または亜塩素酸塩およびアルカリ剤を担持させる方法は特に限定されない。例えば、含浸法、及びスプレー法などが挙げられる。二酸化塩素の発生量が多くなり、又は二酸化塩素を安定して発生させることができる点で、スプレー法の方が好ましい。以下、亜塩素酸塩およびアルカリ剤を担持させる場合について説明するが、アルカリ剤を担持させない場合には、アルカリ剤を使用しないこと以外、以下の説明と同様である。
【0052】
含浸法では、乾燥状態の無機多孔質担体に、亜塩素酸塩溶液およびアルカリ剤溶液をそれぞれ含浸させてもよく、亜塩素酸塩及びアルカリ剤を含む溶液を含浸させてもよい。無機多孔質担体への均一な担持を行える点で、亜塩素酸塩及びアルカリ剤を含む溶液を含浸させるのが好ましい。各溶液を含浸させる場合は、何れを先に含浸させてもよいが、アルカリ剤を先に含浸させるのが好ましい。
スプレー法でも、乾燥状態の無機多孔質担体に、亜塩素酸塩溶液及びアルカリ剤溶液をそれぞれスプレーしてもよく、亜塩素酸塩及びアルカリ剤を含む溶液をスプレーしてもよい。無機多孔質担体への均一な担持を行える点で、亜塩素酸塩及びアルカリ剤を含む溶液をスプレーするのが好ましい。各溶液をスプレーする場合は、何れを先にスプレーしてもよいが、アルカリ剤を先に含浸させるのが好ましい。
【0053】
含浸又はスプレーする溶液は、通常、水溶液であるが、亜塩素酸塩及びアルカリ剤を溶解させることができれば有機溶媒を含んでいてもよい。
亜塩素酸塩及びアルカリ剤を含む溶液を含浸又はスプレーする場合、無機多孔質担体100重量部に対して、亜塩素酸塩を1〜46重量%、及びアルカリ剤を1〜60重量%含む溶液を、10〜100重量部含浸又はスプレーすればよい。
【0054】
無機多孔質担体に、亜塩素酸塩、及びアルカリ剤を含ませた後は、必要に応じて、乾燥すればよい。含浸又はスプレーと乾燥とを複数回繰り返すこともでき、それにより、亜塩素酸塩、及びアルカリ剤の担持量を増大させることができる。
乾燥方法は特に限定されないが、真空乾燥機、流動乾燥機、棚段乾燥機、回転式乾燥機、又は減圧乾燥器等を用いて乾燥させることができる。また、乾燥条件も特に限定されないが、30〜150℃、好ましくは70〜130℃で、0.5〜10時間、好ましくは0.5〜5時間の条件が例示される。
【0055】
本発明の包装体は乾燥空気、又は窒素により充填されている点も特徴である。本発明においては、乾燥空気は空気中の水分を低減させたものであり、水分量が1重量%以下であることが好ましい。窒素や乾燥空気を充填することにより、包装体中の水分の影響を少なくすることが可能となる。
【0056】
本発明の包装体の製造方法は、二酸化塩素発生剤を包装材である吸着層、アルミニウム箔層、基材層を有するアルミニウムラミネートフィルムで収納する工程、乾燥空気、又は窒素を封入する工程、二酸化塩素発生剤を包装材である吸着層、アルミニウム箔層、基材層を有するアルミニウムラミネートフィルムで密封する工程を有する。
【0057】
二酸化塩素発生剤を包装材である吸着層、アルミニウム箔層、基材層を有するアルミニウムラミネートフィルムで収納する工程においては、二酸化塩素発生剤、及び包装材は上述したものを用いることができる。包装材である吸着層、アルミニウム箔層、基材層を有するアルミニウムラミネートフィルムの形状は、特に限定されないが、袋状であることが好ましい。
【0058】
乾燥空気、又は窒素を封入する工程においては、包装体を乾燥空気、又は窒素で充填することができれば、封入する方法は特に限定されることはない。また、上述の二酸化塩素発生剤を包装材である吸着層、アルミニウム箔層、基材層を有するアルミニウムラミネートフィルムで収納する工程と同時に行ってもよい。
【0059】
二酸化塩素発生剤を包装材である吸着層、アルミニウム箔層、基材層を有するアルミニウムラミネートフィルムで密封する工程においては、二酸化塩素発生剤を包装材で密封し、包装体を形成することができれば、特に限定されない。包装材にシーラント層を更に有する、即ち、シーラント層、吸着層、アルミニウム箔層、基材層を有するアルミニウムラミネートフィルムを包装材として用いることにより、熱等でシールすることにより、アルミニウムラミネートフィルムで二酸化塩素発生剤を有する包装体を製造することができる。
【0060】
本発明の二酸化塩素発生剤を有する包装体について以下、実施例、比較例を用いてさらに具体的に説明するがこれらに限定されるものではない。
【0061】
作製例1(二酸化塩素水調製錠剤の作製)
以下で示される組成の成分をあらかじめ70℃で1時間乾燥したのち各成分を、混合機を用いて混合した。混合した成分7gを直径20mmの金型に入れ、菊水製作所製連続打錠機で錠剤硬度が30kgになるように圧力をかけて錠剤成型を行なった。
錠剤の組成
亜塩素酸ナトリウム 1.050g
ナトリウムジクロロイソシアヌレート 0.525g
コハク酸 1.820g
無水塩化マグネシウム 2.100g
硫酸ナトリウム 0.749g
炭酸水素ナトリウム 0.560g
ステアリン酸マグネシウム 0.011g
ポリビニルピロリドン 0.185g
【0062】
実施例1
作製例1で得られた二酸化塩素水調製錠剤を以下の構成の包装材フィルムF1(基材層、アルミニウム箔、吸着層、シーラント層の順で積層)で貼り合わされた包装袋に乾燥空気とともに入れて、加熱シーラー(富士インパルス社製:V−460G)を用いて熱シールして封止を行い、包装体を作製した。
[包装材フィルムF1の構成]
シーラント層:低密度ポリエチレン(厚さ:20μm)
吸着層:ゼオライト含有低密度ポリエチレン(厚さ:60μm)
アルミニウム箔:純アルミニウム箔(厚さ:20μm)
基材層:延伸PETフィルム(厚さ:25μm)
【0063】
実施例2
作製例1で得られた二酸化塩素水調製錠剤を以下の構成の包装材フィルムF2(基材層、アルミニウム箔、吸着層、シーラント層の順で積層)で貼り合わされた包装袋に乾燥空気とともに入れて、加熱シーラー(富士インパルス社製:V−460G)を用いて熱シールして封止を行い、包装体を作製した。
[包装材フィルムF2の構成]
シーラント層:低密度ポリエチレン(厚さ:25μm)
吸着層:ゼオライトと酸化カルシウム含有低密度ポリエチレン(厚さ:60μm)
アルミニウム箔:純アルミニウム箔(厚さ:30μm)
基材層:延伸PETフィルム(厚さ:25μm)
【0064】
実施例3
作製例1で得られた二酸化塩素水調製錠剤を以下の構成の包装材フィルムF3(基材層、アルミニウム箔、吸着層、シーラント層の順で積層)で貼り合わされた包装袋に乾燥空気とともに入れて、加熱シーラー(富士インパルス社製:V−460G)を用いて熱シールして封止を行い、包装体を作製した。
[包装材フィルムF3の構成]
シーラント層:低密度ポリエチレン(厚さ:20μm)
吸着層:ゼオライトと酸化カルシウム含有ポリプロピレン(厚さ:50μm)
アルミニウム箔:純アルミニウム箔(厚さ:10μm)
基材層:延伸PETフィルム(厚さ:30μm)
【0065】
実施例4
作製例1で得られた二酸化塩素水調製錠剤を以下の構成の包装材フィルムF4(基材層、アルミニウム箔、密着層、吸着層、シーラント層の順で積層)で貼り合わされた包装袋に窒素とともに入れて、加熱シーラー(富士インパルス社製:V−460G)を用いて熱シールして封止を行い、包装体を作製した。
[包装材フィルムF4の構成]
シーラント層:ポリスチレン(厚さ:20μm)
吸着層:ゼオライトと酸化カルシウム含有低密度ポリエチレン(厚さ:50μm)
密着層:低密度ポリエチレン(厚さ10μm)
アルミニウム箔:純アルミニウム箔(厚さ:20μm)
基材層:延伸PETフィルム(厚さ:25μm)
【0066】
比較例1
作製例1で得られた二酸化塩素水調製錠剤を以下の構成の包装材フィルムF5(基材層、アルミニウム箔、吸着層、シーラント層の順で積層)で貼り合わされた包装袋に入れて、加熱シーラー(富士インパルス社製:V−460G)を用いて熱シールして封止を行い、包装体を作製した。
[包装材フィルムF5の構成]
シーラント層:低密度ポリエチレン(厚さ:20μm)
吸着層:ゼオライト含有低密度ポリエチレン(厚さ:60μm)
アルミニウム箔:純アルミニウム箔(厚さ:7μm)
基材層:延伸PETフィルム(厚さ:25μm)
【0067】
比較例2
作製例1で得られた二酸化塩素水調製錠剤を以下の構成の包装材フィルムF6(基材層、アルミニウム箔、シーラント層の順で積層)で貼り合わされた包装袋に入れて、真空に吸引したのち加熱シーラー(富士インパルス社製:V−460G)を用いて熱シールして封止を行い、包装体を作製した。
[包装材フィルムF6の構成]
シーラント層:低密度ポリエチレン(厚さ:20μm)
アルミニウム箔:純アルミニウム箔(厚さ:10μm)
基材層:延伸PETフィルム(厚さ:25μm)
【0068】
比較例3
作製例1で得られた二酸化塩素水調製錠剤を以下の構成の包装材フィルムF7(基材層、アルミニウム箔、シーラント層の順で積層)で貼り合わされた包装袋に入れて、市販の袋入り吸着剤(顆粒状シリカゲル1g)を同封したのち加熱シーラー(富士インパルス社製:V−460G)を用いて熱シールして封止を行い、包装体を作製した。
[包装材フィルムF7の構成]
シーラント層:低密度ポリエチレン(厚さ:20μm)
アルミニウム箔:純アルミニウム箔(厚さ:30μm)
基材層:延伸PETフィルム(厚さ:25μm)
【0069】
得られた実施例1〜4、比較例1〜3の包装体を40℃、80%の環境下に3か月間保存した。
【0070】
溶解性
錠剤の溶解性(溶解時間)は、1錠(7g)を1000mlの蒸留水に投入し30℃で完全に溶解するまでの時間を測定することで評価した。
【0071】
二酸化塩素濃度、亜塩素酸イオン濃度、残留塩素イオン濃度(ヨウ素滴定法)
以下に記載の測定方法により二酸化塩素濃度、亜塩素酸イオン濃度、残留塩素イオン濃度を測定した。
1.容器に指定量の蒸留水を取り、錠剤を投入する。
2.錠剤溶解終了後、均一な溶液になるようにポリ瓶を攪拌する。
3.メスシリンダーを用いて2.で得られた二酸化塩素溶液を10mL秤量し、蒸留水にて希釈する。
試験1
300mL三角フラスコに約200mLの蒸留水を取り、ヨウ化カリウム約0.5gとpH=7の緩衝液約1mLを添加する。上記で調製した10mL量の二酸化塩素溶液を、ピペットにて正確に秤量し、加える。直ちに調整した溶液を「0.01Nチオ硫酸ナトリウム溶液」にて滴定する。この滴定量をA(mL)とする。
A(mL)=Cl
2+1/5ClO
2
上記滴定した溶液に2.3M塩酸を2〜3mLを加え、暗所にて約5分間反応を進行させる。そして、再び「0.01Nチオ硫酸ナトリウム溶液」にて滴定する。この滴定量をB(mL)とする。
B(mL)=4/5ClO
2+ClO
2−
試験2
ガス洗浄ビンの中に、pH=7の緩衝液約1mLを加えた蒸留水約200mLを用意する。上記試験1と同様に、10mL量の二酸化塩素溶液をピペットにて正確に秤量し加える。次に、約10分間、窒素ガスで曝気(0.4L/min)して二酸化塩素を除去する。そして、そのサンプルを300mL三角フラスコに移し替え、ヨウ化カリウム約0.5gを加える。直ちに調整した溶液を「0.01Nチオ硫酸ナトリウム溶液」にて滴定する。
この滴定量をC(mL)とする。
C(mL)=Cl
2
上記滴定した溶液に2.3M塩酸を2〜3mLを加え、暗所にて約5分間反応を進行させる。そして、再び「0.01Nチオ硫酸ナトリウム溶液」にて滴定する。この滴定量をD(mL)とする。
この滴定量D(mL)=ClO
2−
試験3
5%臭化カリウム溶液約1mLと、12N塩酸約10mLとを、50mLガラス栓付フラスコに取る。注意深く、上記で調製した二酸化塩素溶液をピペットにて10mL正確に秤量し、上記フラスコに加える。直ちに栓をしめ、攪拌後、暗所に20〜30分反応させる。ヨウ化カリウム約1gを加え、攪拌する。これを300mL三角フラスコに移し、飽和リン酸ナトリウム溶液25mLを加え、蒸留水にて200mLまで希釈する。「0.01Nチオ硫酸ナトリウム溶液」にて滴定する。このサンプリングを3回繰り返す。さらに、通常の供給水を使って(つまり、二酸化塩素溶液サンプルを添加しないで)、同様の手順で資料調製し測定を行い、ブランク値とする。
結果E(mL)=サンプル滴定量−ブランク滴定量
この滴定量E(mL)=Cl
2+ClO
2+ClO
2−+ClO
3−
計算方法
下記の計算式より各酸化剤の含量を計算する。
亜塩素酸イオンppm=D×F×0.01×16,863/10
二酸化塩素ppm=(B−D)×F×0.01×16,863/10
遊離塩素ppm=[A−(B−D)/4]×F×0.01×35,450/10
塩素酸イオンppm=[E−(A+B)]×F×0.01×13,908/10
F:0.01Mチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
10:サンプル量10mL
【0072】
初期(包装体による3ヶ月保存前)の二酸化塩素水調製用錠剤と実施例1〜4、比較例1〜3の包装体による3ヶ月保存後に包装体を開封し得られた二酸化塩素水調製用錠剤について1000mlに溶解する溶解時間と、溶解させて得られた二酸化塩素水溶液の二酸化塩素濃度、亜塩素酸イオン濃度、残留塩素イオン濃度を、ヨウ素滴定法を用いて測定した。
結果を表1に示す。
【0074】
表1に示すように、実施例1〜4の包装体で保存された二酸化塩素水調製用錠剤は、高温高湿下の長期保存においても、初期とほぼ同様の溶解性を有し、安定した二酸化塩素濃度を有する溶液を調製するとともに、亜塩素酸イオンや残留塩素イオンをほぼ含有しない安全性の高い溶液を得ることができた。
なお、比較例2では真空吸引してシールしたために包装袋の一部にクラックが発生していた。
【0075】
作製例2(二酸化塩素ガス発生剤の作製)
セピオライト(近江鉱業社製「ミラクレーG−13F」、粒径1〜3mm)を700℃前後で25時間焼成した後、冷却した。
25重量%の亜塩素酸ナトリウム水溶液および25重量%の水酸化ナトリウム水溶液を所定の割合で混合した溶液70重量部を、スプレー法により、上記セピオライト100重量部に噴射により含ませた後、70℃で2時間にわたって真空乾燥し、NaClO
2=6.0重量%、NaOH=2.0重量%、水=3.0重量%およびセピオライト=89.0重量%の組成を示す二酸化塩素ガス発生剤を得た。NaClO
2に対するNaOHのモル当量数は1.33であった。
【0076】
実施例5
作製例2で得られた二酸化塩素ガス発生剤を以下の構成の包装材フィルムF8(基材層、アルミニウム箔、吸着層、シーラント層の順で積層)で貼り合わされた包装袋に乾燥空気とともに入れて、加熱シーラー(富士インパルス社製:V−460G)を用いて熱シールして封止を行った。
[包装材フィルムF8の構成]
シーラント層:低密度ポリエチレン(厚さ:20μm)
吸着層:ゼオライト含有低密度ポリエチレン(厚さ:60μm)
アルミニウム箔:純アルミニウム箔(厚さ:20μm)
基材層:延伸PETフィルム(厚さ:25μm
)
【0077】
実施例6
作製例2で得られた二酸化塩素ガス発生剤を以下の構成の包装材フィルムF10(基材層、アルミニウム箔、吸着層、シーラント層の順で積層)で貼り合わされた包装袋に乾燥空気とともに入れて、加熱シーラー(富士インパルス社製:V−460G)を用いて熱シールして封止を行った。
[包装材フィルムF10の構成]
シーラント層:低密度ポリエチレン(厚さ:20μm)
吸着層:ゼオライトと酸化カルシウム含有低密度ポリエチレン(厚さ:60μm)
アルミニウム箔:純アルミニウム箔(厚さ:10μm)
基材層:延伸PETフィルム(厚さ:25μm)
【0078】
比較例4
作製例2で得られた二酸化塩素ガス発生剤を以下の構成の包装材フィルムF11(基材層、アルミニウム箔、シーラント層の順で積層)で貼り合わされた包装袋に入れて、市販の袋入り吸着剤(顆粒状シリカゲル1g)を同封したのち加熱シーラー(富士インパルス社製:V−460G)を用いて熱シールして封止を行った。
[包装材フィルムF11の構成]
シーラント層:低密度ポリエチレン(厚さ:20μm)
アルミニウム箔:純アルミニウム箔(厚さ:7μm)
基材層:延伸PETフィルム(厚さ:25μm)
【0079】
得られた実施例5、6、比較例4の包装体を40℃、80%の環境下に3か月間保存した。
【0080】
(二酸化塩素ガス発生評価)
初期(包装体による3ヶ月保存前)の二酸化塩素ガス発生剤と実施例5〜7、比較例4の包装体による3ヶ月保存後に包装体を開封し得られた二酸化塩素ガス発生剤を、300mlガラス製充填塔 (直径50×高さ150mm)に入れ温度25℃、湿度60%において空気を1L/minで5時間通気させ、出口ガスをリン酸緩衝液でpH=7調整したヨウ化カリウム溶液に吸収させ二酸化塩素により遊離したヨウ素をチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定して二酸化塩素ガスの発生量を調べ、表2に示す結果を得た。単位は、二酸化塩素ガス発生剤1gあたりの二酸化塩素ガス発生量mg/g/hで表した。
【0082】
表1に示すように、実施例5、6の包装体で保存された二酸化塩素ガス発生剤は高温高湿下の長期保存においても、初期とほぼ同様のガス発生量であり、包装体中の二酸化塩素ガス発生剤を安定した品質で保つことができることを確認できた。