特許第6516241号(P6516241)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6516241
(24)【登録日】2019年4月26日
(45)【発行日】2019年5月22日
(54)【発明の名称】ジェスチャ入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20190513BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20190513BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20190513BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20190513BHJP
【FI】
   G06F3/01 510
   G06F3/01 570
   B60R16/02 630Z
   B60R11/02 C
   B60K35/00 Z
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-212366(P2015-212366)
(22)【出願日】2015年10月28日
(65)【公開番号】特開2017-84136(P2017-84136A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】今西 俊一
【審査官】 酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/095671(WO,A1)
【文献】 特開2011−242729(JP,A)
【文献】 特開2002−149304(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/086919(WO,A2)
【文献】 特開2012−181658(JP,A)
【文献】 特開2005−234676(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/013215(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
B60K 35/00
B60R 11/02
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザのジェスチャによる入力を受け付けるジェスチャ入力装置であって、
ディスプレイと、
ディスプレイの表示画面の前方に位置する所定の面である操作受付面の周辺において行われるユーザのジェスチャを認識し、認識したジェスチャが行われた位置に応じて前記表示画面に対する操作を受け付けるジェスチャ入力受付手段と、
前記操作受付面の上に、前記ディスプレイの表示画面を見るユーザに対して、前記ディスプレイの表示画面の境界の少なくとも一部を表す像を結像する映像結像手段とを有することを特徴とするジェスチャ入力装置。
【請求項2】
請求項1記載のジェスチャ入力装置であって、
前記映像結像手段は、前記ディスプレイの表示画面を見るユーザに対して、前記ディスプレイの表示画面の外枠を表す像を、前記操作受付面の上に結像することを特徴とするジェスチャ入力装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のジェスチャ入力装置であって、
前記ディスプレイの表示画面を見るユーザの視点の位置を検出する視点位置検出手段を備え、
前記映像結像手段は、前記視点位置検出手段が検出した視点の位置に応じて、前記像の前記操作受付面上の結像位置を調整することを特徴とするジェスチャ入力装置。
【請求項4】
請求項1、2または3記載のジェスチャ入力装置であって、
ユーザの手が前記操作受付面の周辺に位置するか否かを検出するユーザ検出手段を備え、
前記映像結像手段は、前記ユーザ検出手段が、ユーザの手が前記操作受付面の周辺に位置していることを検出している期間と、検出していない期間とで、前記像の輝度もしくは色を異ならせることを特徴とするジェスチャ入力装置。
【請求項5】
請求項1、2または3記載のジェスチャ入力装置であって、
ユーザの手が前記操作受付面の周辺に位置するか否かを検出するユーザ検出手段を備え、
前記映像結像手段は、前記ユーザ検出手段が、ユーザの手が前記操作受付面の周辺に位置していることを検出している期間にのみ、前記像を結像することを特徴とするジェスチャ入力装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5記載のジェスチャ入力装置であって、
前記映像結像手段は、所定形状の光源と、前記光源の実像を前記操作受付面の上に結像する2面コーナーリフレクタアレイとを含んで構成されることを特徴とするジェスチャ入力装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4または5記載のジェスチャ入力装置であって、
前記ディスプレイは自動車のメータクラスタ内に配置されており、
前記操作受付面は、前記自動車の中立位置にあるときのステアリングホイールの上部のリムとスポークとの間のステアリングホイールの面と平行な面であることを特徴とするジェスチャ入力装置。
【請求項8】
請求項7記載のジェスチャ入力装置であって、
前記ステアリングホイールが中立位置にあるか否かを検出するステアリングホイール監視手段を備え、
前記映像結像手段は、前記ステアリングホイール監視手段が、前記ステアリングホイールが中立位置にないことを検出している期間には、前記像の結像を行わないことを特徴とするジェスチャ入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザのジェスチャ入力を受け付ける技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ユーザのジェスチャ入力を受け付ける技術としては、自動車のステアリングホイールの開口部においてユーザが手で行ったジェスチャを認識し、認識したジェスチャに応じた処理を行うシステムが知られている(たとえば、特許文献1、2)。
【0003】
また、自動車のメータクラスタ内に配置したディスプレイに速度などを表示すると共に、ディスプレイの手前の空間に、2面コーナーリフレクタアレイを用いた実鏡映像結像光学系により結像させた経路案内用の画像を表示する技術も知られている(たとえば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3979002公報
【特許文献2】特開2013-86750号公報
【特許文献3】特開2011-242729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した自動車のステアリングホイールの開口部におけるジェスチャを認識する技術によって、メータクラスタ内に配置したディスプレイの表示画面に対するジェスチャ操作を受け付けるユーザインタフェースを構築する場合、ユーザが、ジェスチャ操作を行うべき位置を把握し難いという問題が生じる。すなわち、たとえば、メータクラスタ内に配置したディスプレイに複数のアイコンを配置した表示画面を表示し、個々のアイコンに対する操作をユーザのジェスチャに応じて受け付けるユーザインタフェースにおいては、所望のアイコンを操作するために、ステアリングホイールの開口部内の、どの位置に対してジェスチャを行うべきか、ユーザが直感的に把握することは難しい。
【0006】
そこで、本発明は、ディスプレイの表示画面に対する操作を、ディスプレイの前方の面上でのジェスチャによって受け付けるジェスチャ入力装置において、ジェスチャを行うべき位置をユーザが容易に把握できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題達成のために、本発明は、ユーザのジェスチャによる入力を受け付けるジェスチャ入力装置に、ディスプレイと、ディスプレイの表示画面の前方に位置する所定の面である操作受付面の周辺において行われるユーザのジェスチャを認識し、認識したジェスチャが行われた位置に応じて前記表示画面に対する操作を受け付けるジェスチャ入力受付手段と、前記操作受付面の上に、前記ディスプレイの表示画面を見るユーザに対して、前記ディスプレイの表示画面の境界の少なくとも一部を表す像を結像する映像結像手段とを備えたものである。
【0008】
ここで、このようなジェスチャ入力装置は、前記映像結像手段において、前記ディスプレイの表示画面を見るユーザに対して、前記ディスプレイの表示画面の外枠を表す像を、前記操作受付面の上に結像するように構成してもよい。
【0009】
また、以上のジェスチャ入力装置は、当該ジェスチャ入力装置に、さらに、前記ディスプレイの表示画面を見るユーザの視点の位置を検出する視点位置検出手段を備え、前記映像結像手段において、前記視点位置検出手段が検出した視点の位置に応じて、前記像の前記操作受付面上の結像位置を調整するように構成してもよい。
【0010】
また、以上のジェスチャ入力装置に、ユーザの手が前記操作受付面の周辺に位置するか否かを検出するユーザ検出手段を備え、前記映像結像手段において、前記ユーザ検出手段が、ユーザの手が前記操作受付面の周辺に位置していることを検出している期間と、検出していない期間とで、前記像の輝度もしくは色を異ならせるように構成してもよい。
【0011】
または、以上のジェスチャ入力装置に、ユーザの手が前記操作受付面の周辺に位置するか否かを検出するユーザ検出手段を備え、前記映像結像手段において、前記ユーザ検出手段が、ユーザの手が前記操作受付面の周辺に位置していることを検出している期間にのみ、前記像を結像するように構成してもよい。
【0012】
また、以上のジェスチャ入力装置において、前記映像結像手段は、所定形状の光源と、前記光源の実像を前記操作受付面の上に結像する2面コーナーリフレクタアレイとを含んで構成されるものであってもよい。
【0013】
また、以上のジェスチャ入力装置は、前記ディスプレイが、自動車のメータクラスタ内に配置され、前記操作受付面を、前記自動車の中立位置にあるときのステアリングホイールの上部のリムとスポークとの間のステアリングホイールの面と平行な面とした車載のジェスチャ入力装置であってもよい。
【0014】
また、この場合、ジェスチャ入力装置に、前記ステアリングホイールが中立位置にあるか否かを検出するステアリングホイール監視手段を備え、前記映像結像手段において、前記ステアリングホイール監視手段が、前記ステアリングホイールが中立位置にないことを検出している期間には、前記像の結像を行わないようにしてもよい。
【0015】
以上のように、本発明に係るジェスチャ入力システムによれば、ユーザのジェスチャの認識を行う操作受付面、すなわち、ジェスチャ入力のためにユーザが、その周辺でジェスチャを行う面に、前記ディスプレイの表示画面を見るユーザに対して、前記ディスプレイの表示画面の境界の少なくとも一部を表す像を結像する。
【0016】
したがって、ユーザは、操作受付面上の像を目安にして、表示画面に対する操作のためにジェスチャ操作を行うべき、操作受付面上の位置を容易に把握できるようになる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、ディスプレイの表示画面に対する操作を、ディスプレイの前方の面上でのジェスチャ操作によって受け付けるジェスチャ入力装置において、ユーザがジェスチャ操作を行うべき位置を容易に把握できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係るジェスチャ入力システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係るジェスチャ入力システムの各部の配置を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係るフレーム像とディスプレイとステアリングホイールの位置関係を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係るフレーム表示装置の構成を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係るフレーム表示装置の表示例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係るフレーム表示装置の他の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に本実施形態に係るジェスチャ入力システムの構成を示す。
ジェスチャ入力システムは、自動車に搭載されるシステムであり、図示するように、運転席のユーザのジェスチャを撮影するジェスチャ撮影カメラ1、ジェスチャ撮影カメラ1で撮影した映像より運転席のユーザのジェスチャを認識するジェスチャ認識部2、運転席のユーザの頭部周辺を撮影する頭部撮影カメラ3、頭部撮影カメラ3で撮影した映像より運転席のユーザの視点の位置を検出する視点位置検出部4、フレーム像表示装置5、フレーム像表示装置5を駆動する駆動部6、ディスプレイ7、ディスプレイ7の表示を制御するディスプレイコントローラ8、制御装置9、1つまたは複数の機能部10を備えている。
【0020】
ここで、機能部10は、たとえば、自動車の各種状態を計測する計測システムや、バックカメラで自動車後方を撮影するバックカメラシステムや、AVシステムや、ナビゲーションシステムなどである。
【0021】
そして、制御装置9は、ディスプレイコントローラ8を介してディスプレイ7に表示画面を表示し、ジェスチャ認識部2が認識したジェスチャに応じてディスプレイ7の表示画面に対する操作を受け付け、受け付けた操作に応じて、各機能部10の動作を制御する。
【0022】
なお、このような車載システムは、CPUやメモリを備えたコンピュータを用いて構成されるものであってよく、この場合、ジェスチャ認識部2や視点位置検出部4や制御装置9は、コンピュータが所定のコンピュータプログラムを実行することにより実現されるものであってよい。
【0023】
次に、図2aに示すように、ジェスチャ撮影カメラ1は、ステアリングホイールの後方上部よりステアリングホイールと、その周辺を撮影する。そして、中立位置にあるステアリングホイールの上部のリムとスポークとの間のステアリングホイールの面と平行な面を操作受付面として、ジェスチャ認識部2は、ジェスチャ撮影カメラ1で撮影した映像より、運転席のユーザの、操作受付面周辺におけるジェスチャを認識する。そして、ジェスチャ認識部2は、ジェスチャを認識したならば、ジェスチャが行われた、操作受付面上の位置の座標や、行われたジェスチャの種類などをジェスチャ情報として制御装置9に出力する。なお、中立位置とは、回転角度が自動車が直進する回転角度にあるときのステアリングホイールの位置であり、正立しているときのステアリングホイールの位置である。
【0024】
なお、ジェスチャ認識部2は、ユーザのジェスチャが、操作受付面周辺において行われたものであるかどうかをジェスチャ撮影カメラ1が撮影したユーザの手の大きさなどより識別する。
【0025】
すなわち、たとえば、ジェスチャ認識部2は、ジェスチャ撮影カメラ1が撮影したユーザの手がステアリングホイールのリムの上にあるときに、当該手のサイズを基準サイズとして記憶しておく。そして、ジェスチャ撮影カメラ1が撮影した映像中において、ユーザの手が中立位置のステアリングホイールの上部のリムとスポークとの間に位置し、かつ、撮影された手のサイズが、基準サイズより算定される操作受付面に手があるときの手のサイズと近似していれば、ユーザの手が、操作受付面周辺に位置すると判定する。そして、操作受付面周辺に手が位置する期間中にのみジェスチャの認識を行うことにより、操作受付面周辺において行われたジェスチャを認識する。
【0026】
また、頭部撮影カメラ3は運転積の前方上部より運転席のユーザの頭部を含む上半身を撮影し、視点位置検出部4は、頭部撮影カメラ3が撮影した画像より、運転席の頭部の位置を画像認識し、画像認識した頭部の位置より、運転席のユーザの目の位置を推定し、推定した目の位置を視点位置として検出する。ただし、視点位置検出部4においては、頭部撮影カメラ3が撮影した画像より、ユーザの目の位置を画像認識により算定し、算定した目の位置を視点位置として検出するようにしてもよい。
【0027】
また、図2bに示すように、ディスプレイ7はメータクラスタ内に配置される。そして、フレーム像表示装置5は、図2b、図3aに示すように中立位置にあるステアリングホイールの上部のリムとスポークとの間の空間に、フレーム像200を、図2bに示すように、フレーム像200がディスプレイ7の表示面を囲んだフレームとして運転席のユーザに視認されるように結像する。
【0028】
以下、フレーム像表示装置5について説明する。
図4a、b、cに、フレーム像表示装置5の構成を示す。
ここで、図4a1はフレーム像表示装置5の上面を、図4bはフレーム像表示装置5の前面を、図4cはフレーム像表示装置5の後面を、図4d1はフレーム像表示装置5の側面を表す図である。
【0029】
図示するように、フレーム像表示装置5は、上枠用実鏡映像結像光学系51、下枠用実鏡映像結像光学系52、右枠用実鏡映像結像光学系53、左枠用実鏡映像結像光学系54の4つの実鏡映像結像光学系を備えている。
【0030】
そして、各実鏡映像結像光学系は、それぞれ、ディスプレイ7の後方に配置されたライン状光源401と、ディスプレイ7の後方に配置された凹面鏡402と、ディスプレイ7の辺の外側に配置された2面コーナーリフレクタアレイ403を備えている。
ここで、上枠用実鏡映像結像光学系51において、2面コーナーリフレクタアレイ403はディスプレイ7の上方に設けられており、凹面鏡402は2面コーナーリフレクタアレイ403の下方に設けられており、ライン状光源401は凹面鏡402の後方に、凹面鏡402に向かって光を出射するように配置されている。
【0031】
また、下枠用実鏡映像結像光学系52において、2面コーナーリフレクタアレイ403はディスプレイ7の下方に設けられており、凹面鏡402は2面コーナーリフレクタアレイ403の上方に設けられており、ライン状光源401は凹面鏡402の後方に、凹面鏡402に向かって光を出射するように配置されている。
【0032】
また、右枠用実鏡映像結像光学系53において、2面コーナーリフレクタアレイ403はディスプレイ7の右方に設けられており、凹面鏡402は2面コーナーリフレクタアレイ403の左方に設けられており、ライン状光源401は凹面鏡402の後方に、凹面鏡402に向かって光を出射するように配置されている。
【0033】
また、左枠用実鏡映像結像光学系54において、2面コーナーリフレクタアレイ403はディスプレイ7の左方に設けられており、凹面鏡402は2面コーナーリフレクタアレイ403の右方に設けられており、ライン状光源401は凹面鏡402の後方に、凹面鏡402に向かって光を出射するように配置されている。
【0034】
そして、各実鏡映像結像光学系において、ライン状光源401から出射された光は、凹面鏡402で反射して、2面コーナーリフレクタアレイ403に入射する。そして、2面コーナーリフレクタアレイ403はライン状光源401の実像を、ディスプレイ7の前方の、2面コーナーリフレクタアレイ403に対するライン状光源401の光学的位置と、2面コーナーリフレクタアレイ403の面について面対称な位置に結像する。
【0035】
ここで、各実鏡映像結像光学系の各部の配置は、各実鏡映像結像光学系のライン状光源401の実像の結像位置が操作受付面上の位置となり、かつ、4つの実鏡映像結像光学系が結像した4つのライン状光源401の実像が、操作受付面上で連結してフレーム像200を形成するように設定される。すなわち、上枠用実鏡映像結像光学系51が結像するライン状光源401の実像がフレーム像200の上辺を成す枠部分を形成し、下枠用実鏡映像結像光学系52が結像するライン状光源401の実像がフレーム像200の下辺を成す枠部分を形成し、右枠用実鏡映像結像光学系53が結像するライン状光源401の実像がフレーム像200の右辺を成す枠部分を形成し、左枠用実鏡映像結像光学系54が結像するライン状光源401の実像がフレーム像200の左辺を成す枠部分を形成するように、実鏡映像結像光学系の各部の配置は設定される。
【0036】
次に、駆動部6は、図4a2、図4d2に示すように、各実鏡映像結像光学系において、ライン状光源401と凹面鏡402のセットを2面コーナーリフレクタアレイ403に対して遠近方向に移動する機構を備えており、ライン状光源401と凹面鏡402のセットと、2面コーナーリフレクタアレイ403の距離を変化させることにより、ライン状光源401の像の結像位置までの距離を変化させることができる。
【0037】
また、駆動部6は、図4a3、図4d3に示すように、フレーム像表示装置5の全体を、ディスプレイ7の表示面の左右方向に一致する方向の軸のまわりと、表示面の上下方向に一致する方向の軸のまわりの軸回りに傾ける機構を備えており、フレーム像表示装置5の全体を傾けることによりフレーム像200を結像する方向を変化させることができる。
【0038】
そこで、制御装置9は、視点位置検出部4が検出した視点位置に応じて、駆動部6を介して、各実鏡映像結像光学系におけるライン状光源401と凹面鏡402のセットの位置や、フレーム像表示装置5の傾きなどを制御して、図5aや図5bに示すようにフレーム像200の結像位置を調整し、運転席のユーザの頭部、視点の位置に関わらずに、ディスプレイ7の表示面を囲むフレームとしてフレーム像200が運転席のユーザに視認されるようにする。なお、各、ライン状光源401を、発光させるライン状光源401の部分を任意に制御できるように構成し、四角形のフレーム像200を形成する上で必要な場合には、駆動部6において、各実鏡映像結像光学系のライン状光源401の発光させる部分を、四角形のフレーム像200が形成されるように調整するようにしてもよい。
【0039】
また、制御装置9は、図3に示すように、視点位置検出部4が検出した視点位置に応じて、ジェスチャ認識部2が出力したジェスチャ情報が表す、ジェスチャ操作が行われた、操作受付面上の座標(x、y)に対応するディスプレイ7の表示画面上の座標(X、Y)を算出し、算出した座標に対する、ジェスチャ情報が表すジェスチャ種別に応じた操作を受け付ける。
【0040】
ここで、ジェスチャ操作が行われた位置に応じた座標(x、y)に対応するディスプレイ7の表示画面上の座標(X、Y)とは、運転席のユーザから見て、操作受付面上の座標(x、y)に重なるディスプレイ7の表示画面上の位置である。また、表示画面上の座標(X、Y)に対する操作とは、たとえば、ユーザが行ったジェスチャのジェスチャ種別がポインティングジェスチャ(指さし動作)であれば、表示画面の、座標(X、Y)を含む座標範囲に表示しているアイコンの選択操作などである。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明した。
なお、以上の実施形態では、フレーム像200としてディスプレイ7の表示面を囲む矩形形状の像を用いたが、フレーム像200としては、図6aに示すようにディスプレイ7の表示面の左右の端部のみを囲む像や、図6bに示すようにディスプレイ7の表示面のコーナ部分のみを囲む像など、ディスプレイ7の表示面の境界をユーザに対して表す像であれば、他の形状の像を用いるようにしてもよい。
【0042】
また、以上の実施形態において、ジェスチャ認識部2が、ユーザの手が操作受付面周辺に位置すると判定している期間と他の期間とで、フレーム像200の表示形態を変化させるようにしてもよい。
【0043】
すなわち、たとえば、制御装置9において、駆動部6を介して、フレーム像表示装置5の各ライン状光源401を制御し、ジェスチャ認識部2が、ユーザの手が操作受付面周辺に位置すると判定している期間中は、図5aに示すように高輝度でフレーム像200を表示し、他の期間中は図5bに示すように輝度を下げてフレーム像200を表示するようにしてもよい。
【0044】
または、制御装置9において、ユーザの手が操作受付面周辺に位置すると判定している期間中と、その他の期間中で、異なる色でフレーム像200を表示するようにしてもよい。
【0045】
または、制御装置9において、ジェスチャ認識部2が、ユーザの手が操作受付面周辺に位置すると判定している期間中のみ、フレーム像200を表示するようにしてもよい。
【0046】
また、以上の実施形態においては、機能部10としてステアリングホイールの回転角を検出する計測システムを設け、制御装置9において、ステアリングホイールが中立位置にない期間には無条件にフレーム像200を表示しないようにしてもよい。
【0047】
また、以上の実施形態は、フレーム像200の結像位置を固定として実施するようにしてもよい。この場合、上述した駆動部6の、各実鏡映像結像光学系のライン状光源401と凹面鏡402のセットを移動する機構や、フレーム像表示装置5の全体を傾ける機構は設ける必要はない。
【0048】
また、以上の実施形態では、メータクラスタ内のディスプレイ7の表示画面に対するジェスチャ操作を受け付けるジェスチャ入力システムへの適用について説明したが、以上の実施形態は、ディスプレイ7の前方に設定した面上でディスプレイ7の表示画面に対するジェスチャ操作を受け付ける任意のジェスチャ入力システムに同様に適用可能である。
【0049】
以上のように本実施形態によれば、ユーザのジェスチャの認識を行う面、すなわち、ジェスチャ入力のためにユーザが、その周辺でジェスチャを行う面に、表示画面を見るユーザに対して、表示画面の境界を表す像を結像する。したがって、ユーザは、当該像を目安にして、表示画面に対する操作のためにジェスチャ操作を行うべき、当該面上の位置を容易に把握できるようになる。
【符号の説明】
【0050】
1…ジェスチャ撮影カメラ、2…ジェスチャ認識部、3…頭部撮影カメラ、4…視点位置検出部、5…フレーム像表示装置、6…駆動部、7…ディスプレイ、8…ディスプレイコントローラ、9…制御装置、10…機能部、51…上枠用実鏡映像結像光学系、52…下枠用実鏡映像結像光学系、53…右枠用実鏡映像結像光学系、54…左枠用実鏡映像結像光学系、200…フレーム像、401…ライン状光源、402…凹面鏡、403…2面コーナーリフレクタアレイ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6