特許第6516274号(P6516274)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6516274
(24)【登録日】2019年4月26日
(45)【発行日】2019年5月22日
(54)【発明の名称】荷役作業割当システム
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20190513BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20190513BHJP
【FI】
   B66F9/24 A
   B65G1/04 555B
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-46586(P2018-46586)
(22)【出願日】2018年3月14日
(62)【分割の表示】特願2017-64896(P2017-64896)の分割
【原出願日】2017年3月29日
(65)【公開番号】特開2018-167991(P2018-167991A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2018年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 絢介
【審査官】 有賀 信
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6066241(JP,B1)
【文献】 特開2012−153466(JP,A)
【文献】 特開2012−136324(JP,A)
【文献】 特開平05−286511(JP,A)
【文献】 特開平07−315794(JP,A)
【文献】 特開2015−052887(JP,A)
【文献】 特開2003−306210(JP,A)
【文献】 特開2013−061736(JP,A)
【文献】 特開平11−085277(JP,A)
【文献】 特開2002−006951(JP,A)
【文献】 特開平09−152914(JP,A)
【文献】 特開2010−222108(JP,A)
【文献】 特許第6087455(JP,B1)
【文献】 特許第6076525(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00─11/04
B65G 1/00─ 1/133
B65G 1/14─ 1/20
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有人運転モードと無人運転モードとを切り替え可能な複数の有人無人兼用車の各々に対して、複数の荷役作業から1つ以上の荷役作業を選定して割り当てる荷役作業割当システムであって、
前記複数の荷役作業に係る情報を記憶する作業情報記憶部と、
前記作業情報記憶部に記憶されている前記複数の荷役作業から、前記複数の有人無人兼用車のうち前記有人運転モードで動作する有人車に対して割り当てる有人作業を選定するとともに、前記作業情報記憶部に記憶されている前記複数の荷役作業から、前記複数の有人無人兼用車のうち前記無人運転モードで動作する無人車に対して割り当てる無人作業を選定する作業選定部と、
前記有人作業に係る情報を前記有人車に送信し、前記無人作業に係る情報を前記無人車に送信する作業情報送信部とを備え、
前記作業選定部は、全ての前記有人車が前記有人作業を行うために走行する有人車走行エリアと、全ての前記無人車が前記無人作業を行うために走行する無人車走行エリアとが、前記複数の荷役作業に係る作業内容に基づいて区切られるように、前記有人作業および前記無人作業を選定する
ことを特徴とする荷役作業割当システム。
【請求項2】
前記作業情報記憶部は、複数列のラック間に設けられた通路のうち荷役作業時に利用される利用通路に係る情報を記憶し、
前記作業選定部は、前記利用通路に係る情報に基づき、前記複数列のラック間に設けられた通路において前記有人車走行エリアと前記無人車走行エリアとが重複しないように、前記有人作業および前記無人作業を選定する
ことを特徴とする請求項1に記載の荷役作業割当システム。
【請求項3】
前記作業選定部は、前記有人車および前記無人車の台数に基づいて、前記有人車走行エリアと前記無人車走行エリアとの境界を変化させる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の荷役作業割当システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の有人無人兼用車に対して荷役作業を割り当てる荷役作業割当システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
オペレータの手動操作により動作する有人運転モードと、オペレータの手動操作によらず自律して動作する無人運転モードとを切り替え可能な有人無人兼用車が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、有人無人兼用車であるフォークリフトを用いた作業効率の良い搬送システムが記載されている。具体的には、特許文献1には、有人車走行エリアである倉庫外においては、有人運転モードで動作するフォークリフトで荷物を搬送し、かつ、無人車走行エリアである倉庫内においては、無人運転モードで動作するフォークリフトで荷物を搬送するように構成された搬送システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−136324号公報
【発明の概要】
【0005】
ところで、上記特許文献1では、無人運転モードで動作する有人無人兼用車(無人車)と有人運転モードで動作する有人無人兼用車(有人車)とが同一のエリアを走行しないようにすることを目的として、有人車走行エリアおよび無人車走行エリアは予め定められている。このため、無人車が行う予定の荷役作業を、無人車に代わって有人車が行うことはできないという問題がある。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、無人車が行う予定の荷役作業を無人車に代わって有人車が行うことができ、かつ、有人車と無人車とが同一のエリアを走行する機会を低減することが可能な荷役作業割当システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の荷役作業割当システムは、有人運転モードと無人運転モードとを切り替え可能な複数の有人無人兼用車の各々に対して、複数の荷役作業から1つ以上の荷役作業を選定して割り当てる荷役作業割当システムであって、前記複数の荷役作業に係る情報を記憶する作業情報記憶部と、前記作業情報記憶部に記憶されている前記複数の荷役作業から、前記複数の有人無人兼用車のうち前記有人運転モードで動作する有人車に対して割り当てる有人作業を選定するとともに、前記作業情報記憶部に記憶されている前記複数の荷役作業から、前記複数の有人無人兼用車のうち前記無人運転モードで動作する無人車に対して割り当てる無人作業を選定する作業選定部と、前記有人作業に係る情報を前記有人車に送信し、前記無人作業に係る情報を前記無人車に送信する作業情報送信部とを備え、前記作業選定部は、全ての前記有人車が前記有人作業を行うために走行する有人車走行エリアと、全ての前記無人車が前記無人作業を行うために走行する無人車走行エリアとが、前記複数の荷役作業に係る作業内容に基づいて区切られるように、前記有人作業および前記無人作業を選定することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の荷役作業割当システムは、請求項1に記載の荷役作業割当システムにおいて、前記作業情報記憶部は、複数列のラック間に設けられた通路のうち荷役作業時に利用される利用通路に係る情報を記憶し、前記作業選定部は、前記利用通路に係る情報に基づき、前記複数列のラック間に設けられた通路において前記有人車走行エリアと前記無人車走行エリアとが重複しないように、前記有人作業および前記無人作業を選定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の荷役作業割当システムは、請求項1または2に記載の荷役作業割当システムにおいて、前記作業選定部は、前記有人車および前記無人車の台数に基づいて、前記有人車走行エリアと前記無人車走行エリアとの境界を変化させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、無人車が行う予定の荷役作業を無人車に代わって有人車が行うことができ、かつ、有人車と無人車とが同一のエリアを走行する機会を低減することが可能な荷役作業割当システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る荷役作業割当システムの概要図である。
図2】同実施形態に係る有人無人兼用車および管理装置の概略構成を示すブロック図である。
図3】同実施形態に係る荷役作業が行われるエリアを示す平面図である。
図4】(A)は、作業情報記憶部に記憶されている荷役作業に係る情報の一例を示す表であり、(B)は、稼働情報記憶部に記憶されている有人無人兼用車の稼働情報の一例を示す表である。
図5】(A)は、有人無人兼用車に割り当てられた荷役作業の一例を示す表であり、(B)は、(A)に応じた無人車走行エリアを示す平面図である。
図6】(A)は、更新された荷役作業に係る情報の一例を示す表であり、(B)は、更新された有人無人兼用車の稼働情報の一例を示す表である。
図7】(A)は、荷物の搬送距離に係る情報に基づいて有人無人兼用車に割り当てられた荷役作業の一例を示す表であり、(B)は、(A)に応じた有人車走行エリアおよび無人車走行エリアを示す平面図である。
図8】(A)は、作業揚高に係る情報に基づいて有人無人兼用車に割り当てられた荷役作業の一例を示す表であり、(B)は、(A)に応じた有人車走行エリアおよび無人車走行エリアを示す平面図である。
図9】(A)は、作業所要時間に係る情報に基づいて有人無人兼用車に割り当てられた荷役作業の一例を示す表であり、(B)は、(A)に応じた有人車走行エリアおよび無人車走行エリアを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
図1に示すように、荷役作業割当システムSは、複数のフォークリフト1と、管理装置2とを備えている。荷役作業割当システムSは、管理装置2を利用してフォークリフト1の各々に実施すべき荷役作業を割り当てる。
【0013】
フォークリフト1は、当該フォークリフト1に搭乗しているオペレータ(図示略)の手動操作により動作する有人運転モードと、手動操作によらずに自律して動作する無人運転モードとを切り替え可能な有人無人兼用車である。フォークリフト1は、管理装置2により割り当てられた荷役作業に係る情報を受信する。フォークリフト1は、有人運転モードにおいては、荷役作業に係る情報をオペレータに提示し、オペレータが荷役作業に係る情報に従ってフォークリフト1を操作することで、当該フォークリフト1に割り当てられた荷役作業を行う。また、フォークリフト1は、無人運転モードにおいては、荷役作業に係る情報に基づいて自律して動作することで、当該フォークリフト1に割り当てられた荷役作業を行う。
【0014】
管理装置2は、荷役作業割当装置2Aと無線通信装置2Bとにより構成されている。荷役作業割当装置2Aは、複数のフォークリフト1の各々に対して、複数の荷役作業から1つ以上の荷役作業を選定して割り当てる。無線通信装置2Bは、フォークリフト1に割り当てられた荷役作業に係る情報を当該フォークリフト1に無線で送信する。
【0015】
本実施形態においては、フォークリフト1に割り当てられる荷役作業は、所定の荷積場所Pで荷物Nを受け取り、荷積場所Pから所定の荷卸場所まで荷物Nを搬送し、ラックR内の所定の位置に荷物Nを載置する入庫作業である。フォークリフト1は、複数の荷役作業を行うために、荷積場所Pと荷卸場所とを往復する。なお、無人運転モードで動作するフォークリフト1は、荷積場所Pへ移動する前に、当該フォークリフト1にオペレータが搭乗できるように所定の待機場所Q(図3参照)で所定時間だけ待機する。
【0016】
図2は、フォークリフト1および管理装置2の機能ブロック図を示している。
図2に示すように、複数のフォークリフト1の各々には、送受信部11と、作業計画記憶部12と、作業計画提示部13と、有人運転用操作部14と、制御部15と、モード切替スイッチ16と、運転モード検出部17とが設けられている。
【0017】
送受信部11は、管理装置2と無線で通信する。送受信部11は、管理装置2から送信された荷役作業に係る情報を受信する作業情報受信部である。送受信部11が受信する荷役作業に係る情報には、搬送対象の荷物Nの情報、その荷物Nの荷取位置の情報、その荷物Nの荷卸場所の情報、および、荷役作業時の利用通路の情報が含まれ、これらの情報が荷役作業ごとに関連付けられている。
【0018】
また、送受信部11は、管理装置2にフォークリフト1の稼働情報を送信する稼働情報送信部でもある。送受信部11が送信するフォークリフト1の稼働情報には、フォークリフト1の作業状況の情報、および、運転モードの情報が含まれる。フォークリフト1の作業状況は、フォークリフト1が荷役作業の動作を開始するとき、および、フォークリフト1が荷役作業の動作を完了するときに送信され、フォークリフト1の運転モードの情報は、後述する運転モード検出部17によって有人運転モードと無人運転モードとの切り替えが検出されたときに送信される。
【0019】
作業計画記憶部12は、送受信部11が受信した荷役作業に係る情報を、作業計画として記憶する。こうして、作業情報記憶部21は、管理装置2が選定した荷役作業に係る情報を記憶する。また、作業情報記憶部21は、管理装置2が荷役作業を選定し直したときには、作業計画を更新する。
【0020】
作業計画提示部13は、有人運転モードにおいて、フォークリフト1に搭乗しているオペレータに対して、作業計画記憶部12に記憶されている作業計画(荷役作業に係る情報)を提示する。有人運転モードにおいては、オペレータは、提示された作業計画を遂行するように、レバー等により構成された有人運転用操作部14を用いてフォークリフト1を操作する。
【0021】
制御部15は、有人運転モードにおいては、オペレータによる有人運転用操作部14の操作に基づいてフォークリフト1の動作を制御し、無人運転モードにおいては、作業計画記憶部12に記憶されている作業計画に基づいてフォークリフト1の動作を制御する。
【0022】
モード切替スイッチ16は、有人運転モードと無人運転モードとを切り替えるためのスイッチであって、フォークリフト1に搭乗したオペレータにより操作される。運転モード検出部17は、有人運転モードと無人運転モードとの切り替えを検出することで、フォークリフト1が有人運転モードおよび無人運転モードのうちのいずれの運転モードで動作するかを検出する。
【0023】
また、図2に示すように、管理装置2には、作業情報記憶部21と、稼働情報記憶部22と、作業選定部23と、送受信部24とが設けられている。
【0024】
作業情報記憶部21は、複数の荷役作業に係る情報を記憶する。作業情報記憶部21には、フォークリフト1が実施すべき荷役作業に係る情報が予め記憶されている。荷役作業に係る情報には、搬送対象の荷物Nの情報、および作業内容の情報等が含まれており、これらの情報が荷役作業ごとに関連付けられている。具体的には、作業情報記憶部21には、下記(情報A)〜(情報C)の少なくとも1つが記憶されている。
(情報A)荷役作業時における荷物Nの搬送距離に係る情報
(情報B)荷役作業時における荷置き時の作業揚高に係る情報
(情報C)荷役作業時における作業所要時間に係る情報
【0025】
稼働情報記憶部22は、複数のフォークリフト1の稼働情報を記憶する。稼働情報記憶部22が記憶するフォークリフト1の稼働情報には、フォークリフト1の作業状況の情報、および、そのフォークリフト1の運転モードの情報が含まれ、これらの情報がフォークリフト1ごとに関連付けられている。
【0026】
作業選定部23は、作業情報記憶部21に記憶されている複数の荷役作業から、有人運転モードで動作するフォークリフト1(有人車)に対して割り当てる荷役作業を有人作業として選定するとともに、無人運転モードで動作するフォークリフト1(無人車)に対して割り当てる荷役作業を無人作業として選定する。このとき、作業選定部23は、全ての有人車が有人作業を行うために走行する有人車走行エリアと、全ての無人車が無人作業を行うために走行する無人車走行エリアとが重複しないように、複数の荷役作業に係る作業内容と荷役作業時に利用される利用通路に係る情報とに基づいて有人作業および無人作業を選定する。具体的には、作業選定部23は、上記(情報A)〜(情報C)のいずれか1つに基づいて、有人作業および無人作業を選定する。作業選定部23は、(情報A)に基づいて有人作業および無人作業を選定する場合には、荷物Nの搬送距離が長い荷役作業を有人作業に選定し、荷物Nの搬送距離が短い荷役作業を無人作業に選定する。また、作業選定部23は、(情報B)に基づいて有人作業および無人作業を選定する場合には、作業選定部23は、荷置き時の作業揚高が高い作業を有人作業に選定し、荷置き時の作業揚高が低い作業を有人作業に選定する。また、作業選定部23は、(情報C)に基づいて有人作業および無人作業を選定する場合には、作業所要時間の長い荷役作業を有人作業に選定し、作業所要時間の短い荷役作業を有人作業に選定する。このようにして、作業選定部23は、倉庫の奥での作業や作業揚高の高い作業等の無人車では作業完了までに時間がかかる荷役作業を有人車に選定する。
【0027】
また、作業選定部23は、有人運転モードで動作することが検出されたフォークリフト1の台数(以下「台数X」という)および無人運転モードで動作することが検出されたフォークリフト1の台数(以下「台数Y」という)に基づいて、有人車走行エリアと無人車走行エリアとが区切られるように、有人作業および無人作業を選定する。具体的には、作業選定部23は、「台数X/(台数X+台数Y)」の値が大きくなると有人作業が多くなるように、有人作業および無人作業を選定する。
【0028】
以上のようにして、作業選定部23は、有人作業および無人作業を選定することで、フォークリフト1の各々に対して1つ以上の荷役作業を割り当てる。また、作業選定部23は、複数のフォークリフト1のいずれかに設けられた運転モード検出部17によって有人運転モードと無人運転モードとの切り替えが検出されたとき、有人作業および無人作業を選定し直す。
【0029】
送受信部24は、フォークリフト1と無線で通信する。送受信部24は、運転モード検出部17により有人運転モードで動作することが検出されたフォークリフト1(すなわち有人車)に、作業選定部23で選定された有人作業に係る情報を送信し、運転モード検出部17により無人運転モードで動作することが検出されたフォークリフト1(すなわち無人車)に、作業選定部23で選定された無人作業に係る情報を送信する。
【0030】
また、送受信部24は、フォークリフト1から送信された当該フォークリフト1の稼働情報を受信する稼働情報受信部でもある。送受信部24がフォークリフト1の稼働情報を受信することで、作業情報記憶部21に記憶されている作業状況の情報が更新されるとともに、稼働情報記憶部22に記憶されているフォークリフト1の作業状況、および、フォークリフト1の運転モードの情報が更新される。
【0031】
荷役作業割当システムSによる荷役作業の割り当ての流れについて、具体例を用いて説明する。本具体例においては、図3に示すように、荷役作業割当システムSは、フォークリフト1として3台のフォークリフト1A,1B,1Cを備えており、フォークリフト1A,1B,1Cは、複数列のラックR1〜R8間に設けられた通路A1〜A6を利用して荷役作業を行うことを前提とする。
【0032】
ラックR1〜R4は、ラックR1〜R4間に通路A1〜A3が形成されるように間隔を空けて並列に設けられている。ラックR5〜R8は、ラックR5〜R8間に通路A4〜A6が形成されるように間隔を空けて並列に設けられ、ラックR1〜R4よりも荷積場所Pの近くに設けられている。ラックR1〜R4間に設けられた通路A1〜A3と、ラックR5〜R8間に設けられた通路A4〜A6とは、一直線状に繋がっており、フォークリフト1A,1B,1Cは、通路A4〜A6を経由して通路A1〜A3に進入するものとする。
【0033】
また、本具体例では、作業情報記憶部21には、図4(A)に示す荷役作業に係る情報が記憶されており、稼働情報記憶部22には、図4(B)に示すフォークリフト1に係る稼働情報が記憶されていることを前提とする。図4(A)において、「荷卸場所」および「荷役作業時の利用通路」の情報は、荷物の搬送距離に係る情報であり、「作業揚高」の情報は、荷置き時の作業揚高に係る情報であり、「作業所要時間」の情報は、過去の無人車での荷役作業において測定された荷取りから荷置きまでの作業所要時間に係る情報である。
【0034】
作業選定部23は、稼働情報記憶部22に記憶されているフォークリフト1の運転モードの情報に基づき、フォークリフト1A,1B,1Cの全てが無人運転モードにより動作していることを把握する。したがって、有人車走行エリアと無人車走行エリアとが重複することはなく、作業選定部23は、複数の荷役作業W1〜W8からフォークリフト1A,1B,1Cに割り当てられる無人作業を適宜選定する。例えば、作業選定部23は、作業情報記憶部21に記憶されている複数の荷役作業W1〜W9から、フォークリフト1Aに割り当てる無人作業として荷役作業W1,W4,W7を選定し、フォークリフト1Bに割り当てる無人作業として荷役作業W2,W5,W8を選定し、フォークリフト1Cに割り当てる無人作業として荷役作業W3,W6,W9を選定する。
【0035】
図5(A)に示すように、荷役作業W1〜W9がフォークリフト1A,1B,1Cに適宜割り当てられると、フォークリフト1A,1B,1Cは無人運転モードで荷役作業W1〜W9を開始する。具体的には、フォークリフト1Aは荷役作業W1,W4,W7を順次行い、フォークリフト1Bは荷役作業W2,W5,W8を順次行い、フォークリフト1Cは荷役作業W3,W6,W9を順次行う。このとき、図5(B)に示すように、無人車であるフォークリフト1A,1B,1Cが走行する無人車走行エリアは、通路A1〜A6の全てを含んでいる。
【0036】
フォークリフト1Cが荷役作業W3を完了すると、作業情報記憶部21に記憶されている荷役作業に係る情報が、図6(A)に示すように更新される。そして、フォークリフト1Cが荷役作業W6を開始する前に待機場所Qで待機している際に、オペレータがフォークリフト1Cに搭乗してフォークリフト1Cの運転モードを無人運転モードから有人運転モードに切り替えると、稼働情報記憶部22に記憶されているフォークリフト1に係る稼働情報が、図6(B)に示すように更新される。このとき、フォークリフト1Cにおいて無人運転モードと有人運転モードとの切り替えが検出されたことに基づいて、作業選定部23は、フォークリフト1A,1Bに割り当てる無人作業を選定し直すとともに、フォークリフト1Cに割り当てる有人作業を選定する。
【0037】
具体的には、作業選定部23は、稼働情報記憶部22に記憶されているフォークリフト1の運転モードの情報に基づき、フォークリフト1A,1Bが無人運転モードで動作し、フォークリフト1Cが有人運転モードで動作していることを把握する。そして、作業選定部23は、有人車であるフォークリフト1Cが走行する有人車走行エリアと、無人車であるフォークリフト1A,1Bが走行する無人車走行エリアとが重複しないように、フォークリフト1A,1B,1Cに割り当てられる有人作業および無人作業を設定する。このとき、作業選定部23は、下記(具体例1)〜(具体例3)のいずれかによって、有人作業および無人作業を選定する。また、作業選定部23は、フォークリフト1の全台数の3分の1が有人運転モードで動作していることを把握し、未作業である6つの荷役作業W4〜W9の3分の1(2つの荷役作業)を有人作業に選定するとともにその他を無人作業に選定する。
【0038】
(具体例1)
作業選定部23は、作業情報記憶部21に記憶されている荷物Nの搬送距離に係る情報に基づいて、未作業の複数の荷役作業W4〜W9から、フォークリフト1Cに割り当てる有人作業として、荷物Nの搬送距離が最も長くなると判断される荷役作業W7と、荷役作業W7において利用する通路A6を利用する荷役作業W8とを選定する。そして、作業選定部23は、その他の荷役作業W4〜W6,W9からフォークリフト1A,1Bに割り当てる無人作業を適宜選定する。例えば、作業選定部23は、フォークリフト1Aに割り当てる無人作業として荷役作業W4,W5を選定し、フォークリフト1Bに割り当てる無人作業として荷役作業W6,W8を選定する。
【0039】
以上のようにして、図7(A)に示すように、荷役作業W4〜W9がフォークリフト1A,1B,1Cに適宜割り当て直されると、フォークリフト1Aは、荷役作業W1の完了後に荷役作業W4,W5を無人運転モードで順次行い、フォークリフト1Bは、荷役作業W2の完了後に荷役作業W6,W9を無人運転モードで順次行う。一方、フォークリフト1Cは、荷役作業W7,W8を有人運転モードで順次行う。このとき、図7(B)に示すように、有人車であるフォークリフト1Cが走行する有人車走行エリアは、荷役作業W7,W8の作業時に利用される通路A3,A6を含んでおり、無人車であるフォークリフト1A,1Bが走行する無人車走行エリアは、荷役作業W4〜W6,W9の作業時に利用される通路A4,A5を含んでいる。したがって、有人車であるフォークリフト1Cと、無人車であるフォークリフト1A,1Bとが、ラックR1〜R8間の通路A1〜A6においてすれ違うことは無い。
【0040】
有人車であるフォークリフト1Cは、無人運転モードで動作する場合に比べて、オペレータがフォークリフト1Cを巧みに操作することで、荷物Nの搬送距離が長い荷役作業W7を迅速に行うことが可能である。このため、フォークリフト1A,1B,1Cの全てが無人運転モードで動作する場合に比べて、荷役作業W1〜W9の速やかな完了を期待できる。
【0041】
(具体例2)
作業選定部23は、作業情報記憶部21に記憶されている荷置き時の作業揚高に係る情報に基づいて、未作業の複数の荷役作業W4〜W9から、フォークリフト1Cに割り当てる有人作業として、作業揚高が最も高い荷役作業W5と、荷役作業W5において利用する通路A4を利用するとともに作業揚高が二番目に高い荷役作業W6とを選定する。そして、作業選定部23は、その他の荷役作業W4,W7〜W9からフォークリフト1A,1Bに割り当てる無人作業を適宜選定する。例えば、作業選定部23は、フォークリフト1Aに割り当てる無人作業として荷役作業W4,W8を選定し、フォークリフト1Bに割り当てる無人作業として荷役作業W7,W9を選定する。
【0042】
以上のようにして、図8(A)に示すように、荷役作業W4〜W9がフォークリフト1A,1B,1Cに適宜割り当て直されると、フォークリフト1Aは、荷役作業W1の完了後に荷役作業W4,W8を無人運転モードで順次行い、フォークリフト1Bは、荷役作業W2の完了後に荷役作業W7,W9を無人運転モードで順次行う。一方、フォークリフト1Cは、荷役作業W5,W6を有人運転モードで順次行う。このとき、図8(B)に示すように、有人車であるフォークリフト1Cが走行する有人車走行エリアは、荷役作業W5,W6の作業時に利用される通路A4を含んでおり、無人車であるフォークリフト1A,1Bが走行する無人車走行エリアは、荷役作業W4,W7〜W9の作業時に利用される通路A3,A5,A6を含んでいる。したがって、有人車であるフォークリフト1Cと、無人車であるフォークリフト1A,1Bとが、ラックR1〜R8間の通路A1〜A6においてすれ違うことは無い。
【0043】
有人車であるフォークリフト1Cは、無人運転モードで動作する場合に比べて、オペレータがフォークリフト1Cを巧みに操作することで、荷置き時の作業揚高が高い荷役作業W5,W6を迅速に行うことが可能である。このため、フォークリフト1A,1B,1Cの全てが無人運転モードで動作する場合に比べて、荷役作業W1〜W9の速やかな完了を期待できる。
【0044】
(具体例3)
作業選定部23は、作業情報記憶部21に記憶されている過去の作業所要時間に係る情報に基づいて、未作業の複数の荷役作業W4〜W9から、フォークリフト1Cに割り当てる有人作業として、荷役作業時に同じエリアを利用するとともに合計の作業所要時間が最も長い荷役作業W4,W9を選定する。そして、作業選定部23は、その他の荷役作業W5〜W8からフォークリフト1A,1Bに割り当てる無人作業を適宜選定する。例えば、作業選定部23は、フォークリフト1Aに割り当てる無人作業として荷役作業W5,W8を選定し、フォークリフト1Bに割り当てる無人作業として荷役作業W6,W7を選定する。
【0045】
以上のようにして、図9(A)に示すように、荷役作業W4〜W9がフォークリフト1A,1B,1Cに適宜割り当て直されると、フォークリフト1Aは、荷役作業W1の完了後に荷役作業W5,W8を無人運転モードで順次行い、フォークリフト1Bは、荷役作業W2の完了後に荷役作業W5,W7を無人運転モードで順次行う。一方、フォークリフト1Cは、荷役作業W4,W9を有人運転モードで順次行う。このとき、図9(B)に示すように、有人車であるフォークリフト1Cが走行する有人車走行エリアは、荷役作業W4,W9の作業時に利用される通路A5を含んでおり、無人車であるフォークリフト1A,1Bが走行する無人車走行エリアは、荷役作業W5〜W8の作業時に利用される通路A3,A4,A6を含んでいる。したがって、有人車であるフォークリフト1Cと、無人車であるフォークリフト1A,1Bとが、ラックR1〜R8間の通路A1〜A6においてすれ違うことは無い。
【0046】
有人車であるフォークリフト1Cは、無人運転モードで動作する場合に比べて、オペレータがフォークリフト1Cを巧みに操作することで、過去に無人車での作業所要時間が長かった荷役作業W4,W9を迅速に行うことが可能である。このため、フォークリフト1A,1B,1Cの全てが無人運転モードで動作する場合に比べて、荷役作業W1〜W9の速やかな完了を期待できる。
【0047】
上記実施形態では以下の効果が得られる。
(1)管理装置2を用いて、全ての有人車(有人運転モードで動作するフォークリフト1)が有人作業を行うために走行する有人車走行エリアと、全ての無人車(無人運転モードで動作するフォークリフト1)が無人作業を行うために走行する無人車走行エリアとが重複しないように、有人作業および無人作業を選定することができる。したがって、無人車が行う予定の荷役作業を、無人車に代わって有人車が行うことができ、かつ、無人車と有人車とが同一のエリアを走行する機会を低減することが可能となる。その結果、複数のフォークリフト1による荷役作業W1〜W9の作業効率を向上させるとともに、有人車と無人車とが衝突することを抑制することができる。また、有人車走行エリアと無人車走行エリアとが、複数の荷役作業に係る作業内容に基づいて区切られるように、有人作業および無人作業が選定されるため、無人車では作業完了までに時間がかかる荷役作業を有人車に割り当てることで、荷役作業W1〜W9の作業効率のさらなる向上が期待できる。
【0048】
(2)作業情報記憶部21は、通路A1〜A6のうち荷役作業時に利用される利用通路に係る情報を記憶し、作業選定部23は、その利用通路に係る情報に基づき、ラックR1〜R8間に設けられた通路A1〜A6において有人車走行エリアと無人車走行エリアとが重複しないように、有人作業および無人作業を選定する。このため、有人車であるフォークリフト1Cと、無人車であるフォークリフト1A,1Bとが、ラックR1〜R8間の通路A1〜A6で衝突することを抑制することができる。
【0049】
(3)搬送距離に係る情報に基づいて有人作業および無人作業が選定されることによって、無人車では作業完了までに時間のかかる倉庫の奥での荷役作業を有人車に割り当てることができる。
【0050】
(4)作業揚高に係る情報に基づいて有人作業および無人作業が選定されることによって、無人車では作業完了までに時間のかかる作業揚高の高い荷役作業を有人車に割り当てることができる。
【0051】
(5)作業所要時間に係る情報に基づいて有人作業および無人作業が選定されることによって、過去の荷役作業では無人車では作業完了までに時間のかかった荷役作業を有人車に割り当てることができる。
【0052】
(6)作業選定部23は、有人車の台数および無人車の台数に基づいて、有人作業および無人作業を選定する。このため、有人車および無人車の台数に見合った荷役作業を有人作業および無人作業として選定することができる。
【0053】
(7)作業選定部23は、運転モード検出部17によって有人運転モードと無人運転モードとの切り替えが検出されたとき、有人作業および無人作業を選定し直す。このため、作業選定部23は、有人運転モードと無人運転モードとの切り替えに応じて、有人作業および無人作業を柔軟に選定することができる。
【0054】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記構成を適宜変更することもできる。例えば、上記実施形態を、以下のように変更して実施してもよく、以下の変更を組み合わせて実施してもよい。
【0055】
・フォークリフト1が待機場所Qで待機しなくてもよい。この場合、通路A1〜A6を走行中のフォークリフト1を強制的に停車させることで、フォークリフト1にオペレータが搭乗してもよい。
【0056】
・作業情報記憶部21は、荷役作業時に利用される利用通路に係る情報を記憶していなくてもよい。すなわち、通路A1〜A6のうち荷役作業時に利用される利用通路は、管理装置2が荷積場所Pと荷卸場所との情報に基づいて適宜導出することもできる。また、本発明により設定される有人車走行エリアおよび無人車走行エリアは、ラックR1〜R8間の通路A1〜A6に限定されない。
【0057】
・作業情報記憶部21は、有人運転モードで動作することが検出されたフォークリフト1に、有人作業に係る情報を送信するだけでなく、そのフォークリフト1に搭乗したオペレータが他のフォークリフト1が行う荷役作業に係る情報を知得するために、無人作業に係る情報を送信してもよい。すなわち、本発明は、有人運転モードで動作することが検出されたフォークリフト1に無人作業に係る情報を送信することを否定するものではなく、また、無人運転モードで動作することが検出されたフォークリフト1に有人作業に係る情報を送信することを否定するものではない。
【0058】
・フォークリフト1に割り当てられる荷役作業は、ラックR内の荷物をラックR外の所定の荷卸場所まで搬送する出庫作業であってもよい。この場合、作業情報記憶部21に、荷役作業時における荷取り時の作業揚高に係る情報が予め記憶されており、作業選定部23が、荷取り時の作業揚高に係る情報に基づいて、有人作業および無人作業を選定してもよい。また、フォークリフト1に割り当てられる荷役作業は、ラックR内の荷物を他のラックR内に移す移載作業であってもよい。この場合、作業情報記憶部21に、荷役作業時における荷取り時の作業揚高に係る情報が予め記憶されており、作業選定部23が、荷取り時の作業揚高に係る情報と荷置き時の作業揚高に係る情報に基づいて、有人作業および無人作業を選定してもよい。
【0059】
・作業選定部23は、荷物Nの搬送距離に係る情報および作業揚高に係る情報の一方だけではなく、荷物Nの搬送距離に係る情報および作業揚高に係る情報の双方に基づいて、有人作業および無人作業を選定してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1,1A,1B,1C フォークリフト(有人無人兼用車)
2 管理装置
2A 荷役作業割当装置
2B 無線通信装置
17 運転モード検出部
21 作業情報記憶部
23 作業選定部
24 送受信部(作業情報送信部)
A1〜A6 通路
R1〜R8 ラック
S 荷役作業割当システム
図1
図2
図3
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図9