【実施例1】
【0021】
まず、機械室の貯蔵室側への突出量を短くするために使用する、圧縮機の高さ方向の寸法を横方向の寸法より小さくできる扁平形状の圧縮機の構成について説明する。
【0022】
本実施形態の圧縮機は、圧縮要素が、シリンダ内においてピストンを径方向に往復動させることで冷媒を圧縮するクランクシャフトと、クランクシャフトを軸支する軸受とを備え、電動要素が、クランクシャフトに固定されるロータと、ロータに回転力を与えるステータとを備え、ピストンの高さ方向の中心からロータの高さ方向の中心までの長さを(S)とし、ロータの半径を(R)としたときに、「R/S≧0.8」とすることで、圧縮機の高さ方向の寸法を横方向の寸法より小さくするものである。
【0023】
図1に示すように、本実施形態で使用する密閉型の偏平圧縮機CMPは、圧縮要素20および電動要素30を密閉容器3内に配置して構成されたいわゆるレシプロ圧縮機である。圧縮要素20および電動要素30は、密閉容器3内において複数のコイルバネ9(弾性部材)を介して弾性的に支持されている。密閉容器3は、略上半分の外郭を構成する上ケース3mと略下半分の外郭を構成する下ケース3nとが溶接などで接合され、内部に圧縮要素20および電動要素30を収容する空間を有している。
【0024】
圧縮要素20は、シリンダ21と、このシリンダ21内においてピストン22を往復動させることで冷媒を圧縮するクランクシャフト23と、このクランクシャフト23を軸支するラジアル軸受25と、を備えている。ラジアル軸受25(軸受)は、シリンダ21およびフレーム24と一体に形成されている。クランクシャフト23は、スラスト軸受26を介してフレーム24に回転自在に支持されている。
【0025】
フレーム24は、略水平方向に延びるベース24aを有し、シリンダ21がベース24aの上部に位置している。また、フレーム24の略中央部には、鉛直方向下方に(下ケース3nの底面に向けて)延びる円筒形状のラジアル軸受25が形成されている。また、フレーム24は、シリンダ21の一部を構成している。
【0026】
シリンダ21は、クランクシャフト23の中心軸Oよりも径方向の外側の偏った位置に形成されている。また、シリンダ21の軸方向の外周側の端部にはヘッドカバー27が取り付けられ、反対側の端部にはピストン22が挿入されている。このように、シリンダ21とヘッドカバー27とピストン22とによって、圧縮室(シリンダ室)Q1が構成されている。なお、シリンダ21とヘッドカバー27との間には、冷媒を吸気する際に開く吸気弁、圧縮した冷媒を吐出する際に開く吐出弁を備えた弁開閉機構が設けられている。
【0027】
ラジアル軸受25は、クランクシャフト23が軸支されるすべり軸受によって構成されている。また、ラジアル軸受25は、フレーム24に形成された貫通孔24bによって構成されている。スラスト軸受26は、ベース24aの上面の貫通孔24bの周囲に円形溝状に形成された凹部24cに配置されている。
【0028】
コネクティングロッド22aの大径側の端部22bは、後記するクランクピン23aと連結され、コネクティングロッド22aの小径側の端部22cは、ピン22dを介してピストン22と連結されている。
【0029】
クランクシャフト23の上端部には、クランクピン23aが形成され、クランクピン23aがクランクシャフト23の回転中心軸Oから偏心した位置に形成されている。また、クランクシャフト23の下端部は、下ケース3nの近傍に位置している。クランクピン23aが回転中心軸Oに対して偏心回転することで、ピストン22がシリンダ21内を往復運動するようになっている。
【0030】
また、クランクシャフト23は、貫通孔24bの上方において、回転中心軸Oに対して直交する方向(水平方向)に延びるフランジ部23bを有している。なお、本実施形態では、フランジ部23bが、バランスウエイトと兼用する構造となっている。バランスウエイトは、圧縮要素20が駆動したときの振動を低減する機能を有している。これにより、圧縮要素20の高さ寸法を低減でき、密閉型の圧縮機CMPの小型化に寄与できる。
【0031】
また、クランクシャフト23には、軸方向の下端から上方に向けて凹形状の中繰り穴23cが形成され、クランクシャフト23内に中空部を有するように構成されている。また、クランクシャフト23には、中繰り穴23cの上端からフランジ部23bの上面に貫通する上部連通孔23dが形成されている。
【0032】
また、クランクシャフト23の外周面には、らせん溝23eがフランジ部23bの近傍まで形成されている。らせん溝23eの上端部は、クランクピン23aに形成された凹形状のピン部中繰り穴23fと、ピン部連通孔23gを介して連通している。
【0033】
クランクシャフト23の中空部には、固定軸部材28が挿入されている。固定軸部材28は、図示しない固定具によって、クランクシャフト23の回転時においても回転しないように固定されている。固定軸部材28の外周面には、固定軸らせん溝28aが形成されている。この固定軸らせん溝28aの壁面と中繰り穴23cの壁面とでらせん状の潤滑油通路が形成され、クランクシャフト23の回転による壁面移動に伴い、潤滑油が粘性の効果で壁面に引きずられて固定軸らせん溝28a内を上昇するようになっている。
【0034】
中繰り穴23cを上昇した潤滑油は、上部連通孔23dを通ってフランジ部23b上に吹き出して、スラスト軸受26を潤滑する。また、クランクシャフト23のらせん溝23eを上昇した潤滑油は、クランクシャフト23とラジアル軸受25との間を潤滑するとともに、ピン部連通孔23gを通って、クランクピン23aのピン部中繰り穴23fに向けて流れ込み、コネクティングロッド22aの周辺を潤滑する。なお、スラスト軸受26などを潤滑した潤滑油は、孔24s(
図1参照)を介して、密閉容器3の底に戻るように構成されている。
【0035】
電動要素30は、フレーム24の下側(ベース24aの下方)に配置され、ロータ31およびステータ32を含んで構成されている。
【0036】
ロータ31は、電磁鋼板を積層したロータコアを備えて構成され、クランクシャフト23の下部に圧入などによって固定されている。また、ロータ31は、半径(R)が厚み(T1:軸方向の高さ)よりも大きい扁平形状である。また、ロータ31の厚み(T1:軸方向の高さ)は、ラジアル軸受25の長さ(L:軸受長)の略半分程度に設定されている。
【0037】
ステータ32は、ロータ31の外周に配置され、円筒状のステータコアとこのステータコアの内周に形成された複数のスロットとからなる鉄心32aと、鉄心32aに絶縁体(図示せず)を介して巻回されたコイル32bとを備えて構成されている。また、鉄心32aは、
図4の縦断面視において、径方向の長さ(W)が厚み(T2:軸方向の高さ)よりも長い扁平形状である。コイル32bも、
図1の縦断面視において、径方向の長さが厚み(軸方向の高さ)よりも長い扁平形状である。また、鉄心32aの厚み(T2:軸方向の高さ)は、ロータ31の厚み(T1:軸方向の高さ)と同程度になるように構成されている。このように、ロータ31を扁平にした場合、ステータ32の径も広げて扁平形状にすることで、ロータ31を回転させるためのトルクをかせぐことができる。
【0038】
このようにして圧縮要素20および電動要素30が設けられたフレーム24は、密閉容器3内において複数のコイルバネ9、9を介して弾性支持されている。また、圧縮要素20および電動要素30は、運転時に振動したときに、密閉容器3の内壁面に接触しないように、所定のクリアランスCLが予め設定された状態で設計されている。
【0039】
コイルバネ9は、圧縮要素20の一部を構成するシリンダ21の側(圧縮機室側Q2、
図1の左側)と、シリンダ21の側とは反対側(反圧縮機室側Q3、
図1の右側)に設けられている。なお、本実施形態では、コイルバネ9が、圧縮室側と反圧縮室側のそれぞれにおいて、
図1の紙面に直交する方向の手前側と奥側に計4本設けられている(
図2参照)。なお、すべてのコイルバネ9は、いずれも同一の形状およびばね特性を有している。このように、コイルバネ9を単一種類にすることで、コイルバネ9が異種混在する場合の配置ミスを防止できる。ただし、コイルバネ9の本数は、4本に限定されるものではなく、3本であってもよく、5本以上であってもよい。
【0040】
また、フレーム24は、シリンダ21よりも外周側(径方向外側)に延びる延出部24dを有している。この延出部24dは、ステータ32よりも外周側に延びている。また、延出部24dの下面には、コイルバネ9の上部に嵌合して保持する突起部24eが形成されている。
【0041】
また、フレーム24は、延出部24dとは反対側においても、延出部24dと同程度に延びる延出部24fを有している。この延出部24fも、ステータ32よりも外周側に延びている。また、延出部24fの下面には、コイルバネ9の上部に嵌合して保持する突起部24gが形成されている。
【0042】
密閉容器3の底面には、ステータ32の外周側において、密閉容器3内に突出するように盛り上がる段差部3aが形成されている。この段差部3aは、下ケース3nの底面の一部と側面の一部とが合わさって凹み形状となることで構成されている。また、段差部3aは、コイルバネ9の位置と対応する位置に設けられている。また、段差部3aの上端には、コイルバネ9の下部が嵌合して保持する突起部3bが形成されている。突起部3bは、ロータ31の下面31aよりも上方に位置している。なお、潤滑油の油面40は、潤滑油がロータ31と浸からないように、ロータ31の下面31aよりも下側に位置するように構成されている。
【0043】
また、各段差部3aの下部には、密閉容器3を弾性支持するゴム座10が設けられている。このゴム座10は、密閉容器3の下ケース3nに固定されたプレート11に支持されている。また、ゴム座10は、鉛直方向(上下方向)においてコイルバネ9と重なる位置に配置されている。
【0044】
図2は、
図1に示す密閉型の圧縮機の横断面図である。なお、
図2では、密閉型の圧縮機CMP内の冷媒の流れについて説明する。
【0045】
図2に示すように、冷蔵庫の冷却器から戻って、密閉容器3を貫通して接続された吸入パイプ3eから導入された冷媒は、吸入サイレンサ41の吸入口(不図示)から吸入された後、ヘッドカバー27などを介して圧縮室Q1(
図1参照)に導入される。また、圧縮室Q1においてピストン22によって圧縮された冷媒は、吐出室空間(不図示)を通って、フレーム24に形成された吐出サイレンサ42a、42bおよびパイプ3fを通って、吐出パイプ3gから冷却器に送られる。
【0046】
図3Aは、本実施形態になる密閉型の圧縮機の作用、効果を説明する模式図であり、
図3Bは、比較例になる従来の密閉型の圧縮機の作用、効果を説明する模式図である。
【0047】
図3Bに示す比較例では、フレーム24Bの上下に圧縮要素20Bと電動要素30Bが配置され、電動要素30Bがコイルバネ9B、9Bを介して密閉容器3B内に弾性支持されている。この場合、内部機構部(圧縮要素20Bおよび電動要素30B)の重心がコイルバネ9B、9Bの上端よりも上方に位置するため、運転時に両矢印方向に振動したときに、振れ角bが大きくなる。
【0048】
これに対して、
図3Aに示す本実施形態では、フレーム24の上部に圧縮要素20、下部に電動要素30が配置され、フレーム24がコイルバネ9、9を介して密閉容器3内に弾性支持されている。この場合、運転時の圧縮要素20と電動要素30がそれぞれ両矢印方向に振動するが、フレーム24の高さ位置(コイルバネ9、9の上端と同程度の位置)に重心が位置するため、振れ角a(<b)小さくなる。
【0049】
このように、密閉型の圧縮機CMPでは、フレーム24の上側に圧縮要素20、フレーム24の下側に電動要素30を配置して、フレーム24がコイルバネ9、9によって弾性支持されることで、内部機構部の振動を低減することが可能になる。さらに、コイルバネ9の位置を、シリンダ21の外周側に配置することで、内部機構部の振動をさらに効果的に抑えることができる。
【0050】
また、本実施形態では、比較例に比べて振動を低減して振れ角aを小さくできることで、内部機構部(圧縮要素20および電動要素30)と密閉容器3との間のクリアランスCL(
図1参照)を短くできる。その結果、密閉容器3を小さくでき、密閉型の圧縮機CMPの小型化を図ることが可能になる。
【0051】
また、各段差部3aの下部には、密閉容器3を弾性支持するゴム座10が設けられている(
図1参照)。このゴム座10は、密閉容器3の下ケース3nに固定されたプレート11に支持されている。また、ゴム座10は、鉛直方向(上下方向)においてコイルバネ9と重なる位置に配置されている。
【0052】
このように段差部3aを形成して、段差部3aにコイルバネ9を配置することにより、コイルバネ9を潤滑油に浸からない高さに設置することが可能になるので、コイルバネ9が潤滑油内で振動する際に生じていた騒音を防止でき、密閉型の圧縮機CMPの静穏化を図ることが可能になる。また、ゴム座10を段差部3aの下部に配置することで、ゴム座10が密閉容器3の下ケース3nから下方に大きく出っ張るのを防止できるので、密閉型の圧縮機CMPの高さが高くなるのを抑制でき、密閉型の圧縮機CMPの小型化を図ることが可能になる。
【0053】
ところで、圧縮機室側Q2にはシリンダ21やピストン22などの重量物が配置されているため、反圧縮機室側Q3(圧縮機室側とは反対側)に比べて重量が重くなり、コイルバネ9に作用する荷重が大きくなる。この場合、コイルバネ9の種類を同じにし、かつ、双方のコイルバネ9の下端が当接する面の高さを同じにすると、圧縮機室側Q2の沈み込み量(縮み量)が多くなり、運転前の初期状態において内部機構部(20、30)が傾いた状態になる。また、密閉容器3と内部機構部との間には、運転時の振動(傾き)を考慮してクリアランス(余裕度)が設けられている。しかし、当接する面の高さを同じにすると、密閉容器3内に内部機構部が衝突する虞があるため、クリアランスを大きく確保する必要性が生じ、圧縮機が大型化する。
【0054】
そこで、本実施形態では、圧縮機室側Q2(シリンダ21側、
図4の左側)のコイルバネ9の下端が当接する当接面3cの高さは、反圧縮機室側Q3(
図1の右側)のコイルバネ9の下端が当接する当接面3dの高さよりも高くなるように構成したものである。なお、前記したように、すべてのコイルバネ9は、同一(形状および特性)の種類のもので構成されている。当接面3cの高さと当接面3dの高さの差分は、コイルバネ9で支持したときに、運転前の初期状態において内部機構部が水平状態となる値に設定される。
【0055】
このように、密閉型の圧縮機CMPでは、当接面3cの高さを当接面3dの高さよりも高くしておくことにより、運転前の初期状態において、内部機構部を水平な状態で支持することが可能になるので、運転時の内部機構部の傾きを小さく抑えることができる。その結果、密閉容器3と内部機構部との間におけるクリアランスCL(
図1参照)を小さく設定することが可能になり、密閉型の圧縮機CMPの小型化を実現することが可能になる。
【0056】
なお、上述した説明では、当接面3cの高さと当接面3dの高さとが異なる場合を例に挙げて説明したが、当接面3c、3dを同じ高さにして、フレーム24の延出部24d、24fの下面の高さについて、圧縮機室側Q2の延出部24dの高さ位置が反圧縮機室側Q3の延出部24fの高さ位置より高くなるようにしてもよい。
【0057】
図4は、[軸受内損失]と[軸受長/軸径]との関係を示すグラフである。なお、「軸受内損失」は、圧縮機を同一運転で運転し、圧縮機の入力(消費電力)の比較を行うことで得られる。ここでの同一運転条件とは、圧縮機の吸込み及び吐出流体の圧力、温度、圧縮機の回転速度や周囲温度等をいう。
【0058】
圧縮機の入力は、「冷媒を圧縮する際に必要となる理論的な動力」と、「熱流体損失」(冷媒の過熱やポンプの漏れに起因する損失)と、「モータ損失」(電力を回転力に変換する際の損失)と、「機械損失」(摺動部(軸受等)の摩擦力)とを加算することで得られる。軸受仕様のみを変更し、同一運転条件で得られた実験結果により、入力の小さいものが、より優れていると判断することができる。
【0059】
また、必要により、冷力も加味したCOP(冷力/入力)を用いて比較してもよい。また、「軸受長L」は、クランクシャフト23の周面(側面)を支持するラジアル軸受25の軸方向の長さであり(
図4参照)、「軸径D」は、クランクシャフト23の直径である(
図1参照)。
【0060】
ところで、圧縮機を小型化することは、特に製品(例えば、冷蔵庫)組み込み時のメリットが大きいが、高さの低い圧縮機を開発する場合において、以下の課題があった。
【0061】
圧縮機の高さを抑制するためには、軸受長さ(軸受長)を従来に比べて短縮する必要がある。しかしながら、軸受長と、軸径(クランクシャフト23の直径)と、の間では、最適とされる比率が存在している。一般的な軸受において、軸受長/軸径(以下、αとする)が、2.0以上の場合、軸受の設計としての潤滑が良好となることが知られている。
【0062】
これは、
図4の破線で示すように、軸が軸受内で平行に保たれる平行軸受が前提での理論となっている。一方、レシプロ圧縮機などの軸受では、クランクピンが偏心回転して運転状態により軸の傾きが生じることから、
図4の実線で示すように、α<2.5の場合において、αが増加するにつれて軸受内の損失が減少し、α≧2.5において、αが増加したとしても軸受内の損失が低い値に保たれる。このことから、α<2.5の範囲で前記した課題が生じることが実験的にも確認されている。
【0063】
ちなみに、
図4の実線において、α<2.0の場合は、軸受と軸の固体同士が接触する「金属接触」の領域であり、α≧2.5の場合は、潤滑膜(油膜)を挟んで軸受と軸の固体同士が接触する「流体潤滑」の領域であり、2.0≦α<2.5の場合は、潤滑膜の厚みが十分ではなく、軸受と軸が部分的に固体接触する「境界潤滑」の領域である。
【0064】
このような課題が生じる技術的な原因としては、軸受と軸の隙間は、経済的に実現可能な加工公差の範囲もあり、軸受長が短くなったとしても、極端に狭めることができず、軸受の設計上、現実的ではない。
【0065】
一方で、軸受長が短くなることで、同じ隙間を有しているとすると、軸が傾く角度が増加することから、結果として圧縮機の軸(クランクシャフト)の傾きが大きくなり、軸受内の損失が増加するとともに、軸受での摩擦係数が大きくなり、軸の円滑な回転を阻害し、振動が増加する傾向が確認されている。
【0066】
そこで、軸受の短縮化に伴い、軸が傾く範囲が増加することにより生じる問題であるので、軸の傾きを抑制することができれば課題を解決することができる。このため、本実施形態では、ロータ31の外径(2R)を、従来よりも大きくすることで、独楽(こま)に代表されるようなジャイロ効果を得て課題を解決するものである。
【0067】
図5は、「振動」と「ロータ半径/(ピストンの高さ中心−ロータの高さ中心)」との関係を示すグラフである。なお、「振動」は、圧縮機を同一運転で運転し、圧縮機の振動の比較を行うことで得られる。ここでの同一運転条件とは、圧縮機の吸込み及び吐出流体の圧力、温度、圧縮機の回転速度や周囲温度等をいう。一般には、圧縮機を冷凍サイクルに接続して運転する。また、組み込み対象製品である冷蔵庫や、製品での仕様を模擬した冷凍装置に接続して(いわゆる冷媒運転にて)検証してもよい。簡便な方法として、吸込みと吐出を大気開放した状態(いわゆる空気運転)で運転して検証してもよい。
【0068】
振動の測定は、運転中の圧縮機の外郭や取り付け脚近傍、あるいは製品との接続パイプ近傍、圧縮機を搭載する部品等、圧縮機の振動の影響がある部位に、振動測定手段を設置して測定できる。また、圧縮機のケース内の圧縮機構部に振動測定手段を設けて測定する方法でもよい。また、振動測定の評価方法については、ばねの伸縮に伴ういわゆる上下方向の振動に加え、前後左右方向に相当する圧縮機構部が傾く方向での振動で評価してもよく、さらにそれらを組み合わせた2次元乃至3次元の振動を合成したもので評価してもよい。
【0069】
また、「ロータ半径R」は、ロータ31の半径であり(
図1参照)、「ピストンの高さ中心H1」は、ピストン22の高さの二分の一の高さ位置であり(
図1参照)、「ロータの高さ中心H2」は、ロータ31の高さの二分の一の高さ位置である(
図1参照)。また、以下では、ロータ半径R/(ピストンの高さ中心H1−ロータの高さ中心H2)=R/Sをβとする。
【0070】
図5に示すように、α<2.5の場合とα≧2.5の場合とに分けることができる。α≧2.5の場合、
図5の「▲」で示す従来仕様の圧縮機では、β(=R/S)を0.5〜1.2まで変化させた場合でも、振動値に大きな変化が見られなかった。これは、軸受長L(
図1参照)が十分に長いことから、軸の傾きが生じ難く、ロータ31の径の違いの影響が小さいものであると考えられる。
【0071】
一方、α<2.5の場合、
図5の「●」で示す圧縮機では、軸受長が短くなったため、β=0.5のときに従来仕様の圧縮機よりも振動値が悪化している。また、βの値を0.5から1.2まで変化させると、ジャイロ効果が増加し、振動値が漸減することが分かる。また、β≧0.8では、従来の圧縮機に対して有意差を持って振動値を低減できることが確認された。
【0072】
よって、本実施形態では、高さを抑制した扁平形状の圧縮機を実現する上で、不可避となる軸受長Lの抑制により生じ得る軸受の傾きを抑制して、低損失で、かつ信頼性の高い軸受を持つ圧縮機を実現できる。
【0073】
ところで、レシプロ圧縮機の軸は、条件により、やや傾いて摺動することが一般的である。このため、軸受と軸とが接触しないように、軸受長Lを確保する必要があり、小型化が困難であった。そこで、密閉型の圧縮機CMPでは、β(=R/S)≧0.8とすることで、扁平形状のロータ31によるジャイロ効果により、圧縮機運転中の軸(クランクシャフト23)の傾きを抑制することができ、軸受(ラジアル軸受25)と軸(クランクシャフト23)の角度を従来よりも平行に近づける効果を得ることができる。
【0074】
また、密閉型の圧縮機CMPでは、α(=L/D)<2.5として、軸受(ラジアル軸受25)の長さ(軸受長L)を大幅に短縮した場合において、従来の形状の(軸方向に長い)ロータを組み合わせると振動が増加するが、β≧0.8とすることで、振動が抑制され、より小型化が可能になる。
【0075】
以上のような構成によって、本実施形態では圧縮機CMPの高さ寸法を短くでき、しかもこれに付随して圧縮機の重量を軽くできるようになる。従来の圧縮機では重量が7〜8kgあったが、本実施形態では約6kg以下に抑えることが可能となった。
【0076】
そして、本実施形態では冷蔵庫に使用する圧縮機CMPの適切な仕様として、高さ寸法を約130mm以下とし、その重量を約6kg以下、望ましくは5kg以下としている。更に、圧縮機の高さ方向の寸法と横方向の寸法の比率である扁平率(高さ寸法/横寸法)を約70%以下としている。この新たな圧縮機CMPにおいては、圧縮機の横寸法(Wp)に対して高さ寸法(Tp)が小さく構成された扁平形状であるので、機械室の冷蔵室側への突出量を短くでき、最上段載置棚の収納容積を充分大きくすることができる。尚、扁平率(Ob)は、「Ob=Tp/Wp×100」で表している。また、横寸法(Wp)、高さ寸法(Tp)は、横方向及び高さ方向の最大寸法でも良いし、平均寸法でも良いものである。
【0077】
次に、圧縮機の高さ方向の寸法を横方向の寸法より小さくした扁平形状の圧縮機を機械室に配置して、機械室の下側まで最上段載置棚を延長することで、最上段載置棚の収納容積の容量を増やすことができるようにした、具体的な冷蔵庫の実施形態を
図6に基づき説明する。
【0078】
図6は、上述した高さ寸法を約130mm以下、重量を約6kg以下、扁平率を約70%以下とした扁平圧縮機を使用した冷蔵庫を示している。尚、参照番号は従来例である
図10とは異なった参照番号を付している。
【0079】
図6は、機械室を断熱箱体の天面から背面に亘って形成した冷蔵庫の縦断面図である。冷蔵庫は、上方から冷蔵室70、製氷室71及び上部冷凍室72、下部冷凍室73、野菜室74を有する。ここで、製氷室71と上部冷凍室72は、冷蔵室70と下部冷凍室73との間に左右に並べて設けている。尚、上部冷凍室72は下部冷凍室73より容積が小さく形成されており、少量の食品が冷凍、貯蔵されるものである。
【0080】
そして、各貯蔵室の温度は、一例として、冷蔵室70はおよそ+3℃、野菜室74はおよそ+3℃〜+7℃の冷蔵温度帯の貯蔵室である。また、製氷室71、上部冷凍室72及び下部冷凍室73は、およそ−18℃の冷凍温度帯の貯蔵室である。
【0081】
冷蔵室70は前方側に、左右に分割された観音開き(いわゆるフレンチ型)の冷蔵室扉70a、70bを備えている。製氷室71、上部冷凍室72、下部冷凍室73、野菜室74は夫々引き出し式の製氷室扉71a、上部冷凍室扉72a、下部冷凍室扉73a、野菜室扉74aを備えている。
【0082】
また、各扉の貯蔵室側の面には、各扉の外縁に沿うように磁石が内蔵されたパッキン(図示せず)を設けており、各扉の閉鎖時、鉄板で形成された冷蔵庫外箱のフランジや後述の各仕切り鉄板に密着し貯蔵室内への外気の侵入、及び貯蔵室からの冷気の漏れを抑制する構成とされている。
【0083】
ここで、冷蔵庫本体75の上部には機械室76が形成され、この中に圧縮機77が内蔵されている。冷却器収納室78は凝縮水排水パイプ79によって凝縮水パン80に連通され、冷却器81の凝縮水が排出できるようになっている。
【0084】
冷蔵庫本体75の庫外と庫内は、内箱82と外箱83との間に発泡断熱材84(発泡ポリウレタン)を充填することにより形成される断熱箱体85により隔てられている。また冷蔵庫本体75の断熱箱体85は複数の真空断熱材86を実装している。断熱箱体85の底面壁、側面壁(両側)、背面壁、及び天面壁には、真空断熱材86が配置されており、庫内の冷熱が庫外に漏れないようにしている。
【0085】
また、冷蔵庫本体75は、上側断熱仕切壁87により冷蔵室70と上部冷凍室72及び製氷室71とが区画され、下側断熱仕切壁88により下部冷凍室73と野菜室74とが区画されている。
【0086】
また、下部冷凍室73の上部には横仕切部を設けている。横仕切部は、製氷室71及び上部冷凍室72と下部冷凍室73とを上下方向に仕切っている。また、横仕切部の上部には、製氷室71と上部冷凍室72との間を左右方向に仕切る縦仕切部を設けている。
【0087】
横仕切部は、下側断熱仕切壁88の前面及び左右側壁前面と共に、下部冷凍室扉73aの貯蔵室側の面に設けたパッキン(図示せず)と接触する。製氷室扉71aと上部冷凍室扉72aの貯蔵室側の面に設けたパッキン(図示せず)は、横仕切部、縦仕切部、上側断熱仕切壁87及び冷蔵庫本体75の左右側壁前面と接することで、各貯蔵室と各扉との間での冷気の移動をそれぞれ抑制している。
【0088】
上部冷凍室72、下部冷凍室73及び野菜室74は、それぞれの貯蔵室の前方に備えられた扉72a、73a、74aが取り付けられている。また、上部冷凍室72には上部冷凍貯蔵容器89が収納、配置され、下部冷凍室73には上段冷凍貯蔵容器90、下段冷凍貯蔵容器91が収納、配置されている。更に、野菜室74には上段野菜貯蔵容器92、下段野菜貯蔵容器93が収納、配置されている。
【0089】
そして、製氷室扉71a、上部冷凍室扉72a、下部冷凍室扉73a及び野菜室扉74aは、それぞれ図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより、製氷貯蔵容器(図示せず)、上部冷凍貯蔵容器89、下段冷凍貯蔵容器91、下段野菜貯蔵容器93が引き出せるようになっている。
【0090】
詳しくは、下段冷凍貯蔵容器91は冷凍室扉内壁に取り付けられた支持アームに下段冷凍貯蔵容器91の側面上部のフランジ部が懸架されており、冷凍室扉73aを引き出すと同時に下段冷凍貯蔵容器91のみが引き出される。上段冷凍貯蔵容器90は冷凍室73の側面壁に形成された凹凸部(図示しない)に載置されており前後方向にスライド可能になっている。
【0091】
下段野菜貯蔵容器93も同様にフランジ部が野菜室扉74aの内壁に取り付けられた支持アームに懸架され、上段野菜貯蔵容器92は野菜室側面壁の凹凸部に載置されている。また、この野菜室74には断熱箱体85に固定された電熱ヒーターが設けられており、この電熱ヒーターによって野菜室74の温度が冷やし過ぎにならないように、野菜の貯蔵に適した温度になるようにしている。尚、この電熱ヒーターは必要に応じて設けられれば良いものであるが、本実施例では野菜の貯蔵がより適した雰囲気で行えるように電熱ヒーターを設けるようにしている。
【0092】
次に冷蔵庫の冷却方法について説明する。冷蔵庫本体には冷却器収納室78が形成され、この中に冷却手段として冷却器81を備えている。冷却器81(一例として、フィンチューブ熱交換器)は、下部冷凍室73の背部に備えられた冷却器収納室78内に設けられている。また、冷却器収納室78内であって冷却器81の上方には送風手段として送風機94(一例として、プロペラファン)が設けられている。
【0093】
冷却器81で熱交換して冷やされた空気(以下、冷却器81で熱交換した低温の空気を「冷気」と称する)は、送風機94によって冷蔵室冷却風路95、冷凍室冷却風路96、及び図示しない製氷室冷却風路を介して、冷蔵室70、製氷室71、上部冷凍室72、下部冷凍室73、野菜室74の各貯蔵室へそれぞれ送られる。
【0094】
各貯蔵室への送風は、冷蔵温度帯の冷蔵室70への送風量を制御する第一の送風制御手段(以下、冷蔵室ダンパ97という)と、冷凍温度帯の上部冷凍室72、下部冷凍室73への送風量を制御する第二の送風量制御手段(以下、冷凍室ダンパ98という)とにより制御される。ちなみに、冷蔵室70、製氷室71、上部冷凍室72、下部冷凍室73、及び野菜室74への各冷却風路は、冷蔵庫本体75の各貯蔵室の背面側に設けられている。
【0095】
具体的には、冷蔵室ダンパ97が開状態、冷凍室ダンパ98が閉状態のときには、冷気は、冷蔵室冷却風路95を経て多段に設けられた冷気吹出口99から冷蔵室70に送られる。冷蔵室70には、最下段載置棚103a、第1中段載置棚103b、第2中段載置棚103c、最上段載置棚103dから構成されている。
【0096】
また、冷蔵室70を冷却した冷気は、冷蔵室70の下部に設けられた冷蔵室戻り口から冷蔵室−野菜室連通ダクトを経て、下側断熱仕切壁88の下部に設けた野菜室吹出口から野菜室74へ送風される。野菜室74からの戻り冷気は、下側断熱仕切壁84の下部前方に設けられた野菜室戻りダクト入口から野菜室戻りダクト100を経て、冷却器収納室78の下部に戻る。
【0097】
冷却器収納室78の前方には、各貯蔵室と冷却器収納室78との間を仕切る仕切部材101が設けられている。仕切部材100には、上下に冷気吹出口が形成されており、冷凍室ダンパ98が開状態のとき、冷却器81で熱交換された冷気が送風機94により図示を省略した製氷室冷却風路や上段冷凍室冷却風路を経て冷気吹出口からそれぞれ製氷室71、上部冷凍室72へ送風される。また、下段冷凍室冷却風路102を経て冷気吹出口から下部冷凍室73へ送風される。
【0098】
また、冷蔵庫本体75の背面側にCPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した制御装置が設けられており、外気温度センサ(図示せず)、冷却器温度センサ(図示せず)、冷蔵室温度センサ(図示せず)、野菜室温度センサ(図示せず)、冷凍室温度センサ(図示せず)、扉70a、70b、71a、72a、73a、74aの各扉の開閉状態をそれぞれ検知する扉センサ(図示せず)、冷蔵室70内壁に設けられた図示しない温度設定器等と接続し、ROMに予め搭載されたプログラムにより、圧縮機77のON、OFF等の制御、冷蔵室ダンパ97及び冷凍室ダンパ98を個別に駆動するそれぞれのアクチュエータの制御、送風機94のON/OFF制御や回転速度制御、扉開放状態を報知するアラームのON/OFF等の制御を行うようになっている。
【0099】
以上のような構成において、本実施形態では、圧縮機として扁平型圧縮機77が機械室76に配置されている。機械室76は冷蔵室70の背面上部に形成されており、機械室76の天面76uは、外箱83の天面とほぼ同じ高さであり、機械室76の天面76uと外箱83の天面はほぼ同一の平面を構成している。機械室76は、底面壁76bと側面壁76sが冷蔵室70内に突出するように臨んでいる。底面壁76bと側面壁76sとの交差角は約直角であり、底面壁76bは最上段載置棚103dの上側に吹き出される冷蔵室冷却風路95からの冷気の流れを案内する機能も備えている。
【0100】
機械室76に配置される扁平型圧縮機77は上述した通り、高さ寸法を約130mm以下とし、その重量を約6kg以下としている。更に、圧縮機の高さ方向の寸法と横方向の寸法の比率である扁平率(高さ寸法/横寸法)を約70%以下としている。したがって、機械室76はこの扁平型圧縮機77を収納すれば良いので、機械室76の冷蔵室70の下側への突出量(Lp)は扁平型圧縮機77の高さ寸法に合わせて短くすることができる。
【0101】
図10に示す従来の圧縮機の全高は、通常では190mm前後であり、このため、機械室の下側への突出量(Lc)も190mm程度である。これに対して、
図6に示す本実施形態の圧縮機の全高は、130mm以下であり、このため、機械室の下側への突出量(Lp)も130mm程度である。したがって、本実施形態の機械室76の突出量(Lp)は上側に60mm程度短くできる。
【0102】
このため、機械室76の底面壁76bは、最上段載置棚103dの配置位置から上側に後退するので、最上段載置棚103dの奥行側端部103eを、機械室76の底面壁76bの下側に延長することができる。したがって、この最上段載置棚103dの奥行側端部103eは、冷蔵室冷却風路95に接近するように延ばすことができる。
【0103】
このように、扁平圧縮機77を使用して機械室76の冷蔵室70への突出量(Lp)を短くしたので、最上段載置棚103dを、最下段載置棚103a、第1中段載置棚103b、第2中段載置棚103cと同様に、冷蔵室冷却風路95に近づけることができる。これによって、最上段載置棚103dと機械室76の底面壁76bとの間に、今まで存在しなかった新たな空間を形成することができ、この空間を有効に活用することができるようになる。
【0104】
更に、
図10に示す従来の冷却風路は、機械室58の底面壁58bから側面壁58sに沿って屈曲して設けられているが、本実施形態では冷蔵室冷却風路95は、機械室76の底面壁76bまでしか延びていないので、従来のような屈曲部分の冷却風路を省略でき、最上段載置棚103dの収納容積を更に拡大できるようになる。
【0105】
本実施形態によれば、圧縮機の横寸法に対して高さ寸法が小さい扁平形状の偏平圧縮機77を使用して機械室76の下側への突出量を短くし、この短くなった機械室76の底面壁76bの下側まで最上段載置棚103dを奥行方向に延長したため、最上段載置棚103dの収納容積を拡大することができるようになる。
【0106】
また、本実施形態によれば、冷蔵室冷却風路95は、機械室76の底面壁76bの下側付近まで屈曲しないでほぼ直線状に延び、最上段載置棚103dと機械室76の底面壁76bの間の収納空間に冷気吹出口99から冷気が吹出されている。冷蔵室冷却風路95は、機械室76の底面壁76b付近までしか延びていないので、従来例のように冷却風路を機械室76の形状に沿って屈曲させる必要がなく、ほぼ直線状に形成することができる。このため、冷蔵室冷却風路95の風路抵抗を少なくでき、充分な量の冷気を最上段載置棚に供給できる。更に、冷気の量が多いので、最上段載置棚103dに載置された食品を素早く冷却することが可能となる。
【0107】
このように本実施形態によれば、圧縮機の横寸法に対して高さ寸法が小さい扁平形状の偏平圧縮機を使用して機械室の突出量を短くし、この短くなった機械室の底面壁の下側まで最上段載置棚を奥行方向に延長すると共に、冷却風路を機械室の下側まで屈曲しないように延ばし、機械室の底面壁の下側と最上段載置棚の間の冷却風路から最上段載置棚に冷気を吹き出すようにした。
【0108】
これによって、最上段載置棚を機械室の下側まで延長できるので収納容積を拡大できるようになる。またこれに加えて、最上段載置棚と機械室の下側の間から冷気を吹き出しているので、冷却通路をほぼ直線状とすることができ、風路抵抗を少なくして充分な量の冷気を最上段載置棚に供給できるようになる。