(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記輝度設定部は、前記光源の輝度設定値を保持し、フレーム毎に、前記変調信号により示される調光率と前記輝度設定値を比較し、該調光率が前記輝度設定値より大きい場合は、前記輝度設定値を所定値だけ増大し、該調光率が前記輝度設定値より小さい場合は、前記輝度設定値を所定値だけ減少し、前記明るさ急変検出部から前記状態を検出したことを示す前記明るさ急変信号を受信すると、前記輝度設定値を前記最大輝度出力の値に設定する、請求項2に記載の画像表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図3は、本発明の一実施形態による画像表示装置の主要部の構成を示すブロック図である。
図3を参照すると、画像表示装置は、光源調光部1、光源駆動部2、表示素子駆動部3、光源4及び表示素子5を有する。光源4には、水銀ランプや、LED(Light Emitting
Diode)等の固体光源を用いることができる。表示素子5は、光源4からの光を空間的に変調して画像を形成する表示素子であって、例えば、液晶表示デバイスやデジタル・マイクロミラー素子(DMD)などである。
光源調光部1は、外部映像供給装置からRGB信号S1を受信し、光源4の輝度(または光量)を制御するための調光信号S2を光源駆動部2に供給し、表示素子5に画像を表示させるためのRGB信号S3を表示素子駆動部3に供給する。外部映像供給装置は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置や、DVDプレーヤやビデオレコーダなどの映像出力装置である。
光源駆動部2は、調光信号S2に従って光源4を駆動する。表示素子駆動部3は、RGB信号S3に従って表示素子5を駆動する。RGB信号S3はRGB信号S1と同じ信号であるが、RGB信号S3と調光信号S2の時間的な対応関係をとるための遅延処理が施されている。
【0011】
図4は、光源調光部1の構成を示すブロック図である。
図4を参照すると、光源調光部1は、調光率算出部101、明るさ急変検出部105及び調光反映時間調整部106を有する。調光率算出部101は、ヒストグラム取得部102、解析部103および調光レベル算出部104を有する。
RGB信号S1は、光の三原色である赤信号R、緑信号G及び青信号Bを含む。ヒストグラム取得部102は、以下の式1に従ってRGB信号S1から輝度信号Yを算出する。
Y=0.299×R+0.587×G+0.114×B ・・・(式1)
また、ヒストグラム取得部102は、輝度信号Y、赤信号R、緑信号G及び青信号Bそれぞれについて、16段階のヒストグラムと4段階のヒストグラムを取得する。換言すると、ヒストグラム取得部102は、2つ以上の統計データを取得する。これらヒストグラムの取得は、1フレーム単位で行われる。
【0012】
以下に、RGB信号S1が8ビットのデジタルデータである場合の16段階のヒストグラムの取得手順を説明する。
ヒストグラム取得部102は、輝度信号Yに関する16段階のヒストグラムを作成すためのレジスタとして16個のHistY[0]〜HistY[15]を有する。これらHistY[0]〜HistY[15]は、フレームの開始時に0にリセットされ、フレームの終了時にカウント値を保持するように構成されている。以下の表1に示す加算条件に従って、輝度信号Yの入力データに応じてHistY[0]〜HistY[15]のうちの対応するレジスタのカウント値が加算される。これにより、輝度信号Yに関する16段階のヒストグラムを取得することができる。
【0014】
ヒストグラム取得部102は、赤信号R用のレジスタである16個のHistR[0]〜HistR[15]、緑信号G用のレジスタである16個のHistG[0]〜HistG[15]及び青信号B用のレジスタである16個のHistB[0]〜HistB[15]を有する。これらHistR[0]〜HistR[15]、HistG[0]〜HistG[15]及びHistB[0]〜HistB[15]も、フレームの開始時に0にリセットされ、フレームの終了時にカウント値を保持するように構成されている。
赤信号Rの加算条件は、上記表1において、加算すべきレジスタをHistY[0]〜HistY[15]からHistR[0]〜HistR[15]に置き換えたものとなる。この加算条件に従って、赤信号Rの入力データに応じてHistR[0]〜HistR[15]のうちの対応するレジスタのカウント値が加算される。これにより、赤信号Rに関する16段階のヒストグラムを取得することができる。
緑信号Gの加算条件は、上記表1において、加算すべきレジスタをHistY[0]〜HistY[15]からHistG[0]〜HistG[15]に置き換えたものとなる。この加算条件に従って、緑信号Gの入力データに応じてHistG[0]〜HistG[15]のうちの対応するレジスタのカウント値が加算される。これにより、緑信号Gに関する16段階のヒストグラムを取得することができる。
青信号Bの加算条件は、上記表1において、加算すべきレジスタをHistY[0]〜HistY[15]からHistB[0]〜HistB[15]に置き換えたものとなる。この加算条件に従って、青信号Bの入力データに応じてHistB[0]〜HistB[15]のうちの対応するレジスタのカウント値が加算される。これにより、青信号Bに関する16段階のヒストグラムを取得することができる。
【0015】
また、ヒストグラム取得部102は、輝度信号Yに関する4段のヒストグラムを作成するためのレジスタとして4個のHistLY[0]〜HistLY[3]を有する。以下の式2〜5に従って、HistLY[0]〜HistLY[3]にカウント値が加算される。これにより、輝度信号Yについて、16段階のヒストグラムから4段階のヒストグラムを算出することができる。
HistLY[0]=HistY[0]+ HistY[1]+ HistY[2]+ HistY[3] ・・・(式2)
HistLY[1]=HistY[4]+ HistY[5]+ HistY[6]+ HistY[7] ・・・(式3)
HistLY[2]=HistY[8]+ HistY[9]+ HistY[10]+ HistY[11] ・・・(式4)
HistLY[3]=HistY[12]+ HistY[13]+ HistY[14]+ HistY[15]・・・(式5)
【0016】
一例として、
図5に、輝度信号Yについて取得した16段階のヒストグラム及び4段階のヒストグラムを示す。
図5において、上段の分図(a)が16段階のヒストグラムを示し、下段の分図(b)が4段階のヒストグラムを示す。
さらに、ヒストグラム取得部102は、赤信号Rに関する4段のヒストグラムを作成するためのレジスタとして4個のHistLR[0]〜HistLR[3]を有する。以下の式6〜9に従って、HistLR[0]〜HistLR[3]にカウント値が加算される。これにより、赤信号Rについて、16段階のヒストグラムから4段階のヒストグラムを算出することができる。
HistLR[0]=HistR[0]+ HistR[1]+ HistR[2]+ HistR[3] ・・・(式6)
HistLR[1]=HistR[4]+ HistR[5]+ HistR[6]+ HistR[7] ・・・(式7)
HistLR[2]=HistR[8]+ HistR[9]+ HistR[10]+ HistR[11] ・・・(式8)
HistLR[3]=HistR[12]+ HistR[13]+ HistR[14]+ HistR[15]・・・(式9)
【0017】
さらに、ヒストグラム取得部102は、緑信号Gに関する4段のヒストグラムを作成するためのレジスタとして4個のHistLG[0]〜HistLG[3]を有する。以下の式10〜13に従って、HistLG[0]〜HistLG[3]にカウント値が加算される。これにより、緑信号Gについて、16段階のヒストグラムから4段階のヒストグラムを算出することができる。
HistLG[0]=HistG[0]+ HistG[1]+ HistG[2]+ HistG[3] ・・・(式10)
HistLG[1]=HistG[4]+ HistG[5]+ HistG[6]+ HistG[7] ・・・(式11)
HistLG[2]=HistG[8]+ HistG[9]+ HistG[10]+ HistG[11]・・・(式12)
HistLG[3]=HistG[12]+ HistG[13]+ HistG[14]+ HistG[15]・・・(式13)
【0018】
さらに、ヒストグラム取得部102は、青信号Bに関する4段のヒストグラムを作成するためのレジスタとして4個のHistLB[0]〜HistLB[3]を有する。以下の式14〜17に従って、HistLB[0]〜HistLB[3]にカウント値が加算される。これにより、青信号Bについて、16段階のヒストグラムから4段階のヒストグラムを算出することができる。
HistLB[0]=HistB[0]+ HistB[1]+ HistB[2]+ HistB[3] ・・・(式14)
HistLB[1]=HistB[4]+ HistB[5]+ HistB[6]+ HistB[7] ・・・(式15)
HistLB[2]=HistB[8]+ HistB[9]+ HistB[10]+ HistB[11]・・・(式16)
HistLB[3]=HistB[12]+ HistB[13]+ HistB[14]+ HistB[15]・・・(式17)
【0019】
ヒストグラム取得部102は、輝度信号Y、赤信号R、緑信号G及び青信号Bそれぞれについて取得した16段階のヒストグラム及び4段階のヒストグラムを含むヒストグラム信号S10を解析部103に供給する。
解析部103は、輝度信号Y、赤信号R、緑信号G及び青信号Bそれぞれに関する4段階のヒストグラムに基づいて光源4の調光制御を行うか否かを判断する。
【0020】
以下に、調光制御実行判断を具体的に説明する。
まず、解析部103は、輝度信号Y、赤信号R、緑信号G及び青信号Bそれぞれに関する4段階のヒストグラムについて、各段階の順位付けを行う。
具体的には、解析部103は、輝度信号Yに関する4段階のヒストグラムのHistLY[0]〜HistLY[3]について、度数(ヒストグラムカウント数)の多いものから順に1番、2番、3番、4番といった順位付けを行う。
【0021】
図5の分図(b)に示した輝度信号Yに関する4段階のヒストグラムを例にとると、HistLY[0]〜HistLY[3]は以下のように順位付けされる。
HistLY[0]:1番
HistLY[1]:2番
HistLY[2]:3番
HistLY[3]:4番
【0022】
輝度信号Yの場合と同様に、解析部103は、赤信号R、緑信号G及び青信号Bそれぞれに関する4段階のヒストグラムについても、度数(ヒストグラムカウント数)に基づく各段階の順位付けを行う。
次に、解析部103は、以下の条件1〜4を満たすか否かを判断する。
(条件1)HistLY[0]〜HistLY[3]の中で、HistLY[0]の順位が1番である。
(条件2)HistLR[0]〜HistLR[3]の中で、HistLR[3]の順位が1番ではない。
(条件3)HistLG[0]〜HistLG[3]の中で、HistLG[3]の順位が1番ではない。
(条件4)HistLB[0]〜HistLB[3]の中で、HistLB[3]の順位が1番ではない。
上記条件1〜4を全て満たした場合に、解析部103は、調光制御を行うと判断する。上記条件1〜4の1つでも条件を満たさなかった場合は、解析部103は、調光制御を行わないと判断する。
【0023】
解析部103は、解析信号S11を調光レベル算出部104に供給し、調光判定フラグS12を明るさ急変検出部105に供給する。解析信号S11は、調光制御実行判断結果および輝度信号Yに関する16段階のヒストグラムを含む。調光判定フラグS12は、調光制御実行判断結果を示す信号であり、調光制御を行う場合は「1」とされ、調光制御を行わない場合は「0」とされる。
調光レベル算出部104は、解析部103から調光制御を行わない旨の調光制御実行判断結果を受信した場合は、光源4が最大輝度出力となるように、調光率として1.0を出力する。調光レベル算出部104は、解析部103から調光制御を行う旨の調光制御実行判断結果及び輝度信号Yに関する16段階のヒストグラムを受信した場合は、その16段階のヒストグラムを用いて調光率を算出する。
【0024】
以下に、調光率の算出手順を具体的に説明する。
まず、調光レベル算出部104は、調光度合を算出する。調光度合とは、光源4の明るさを暗くする度合いを示す指数であり、その値は0から1.0までの範囲内で与えられる。調光度合の値が大きいほど光源4が暗くなり、調光度合の値が小さいほど光源4が明るくなる。
調光レベル算出部104は、輝度信号Yに関する16段階のヒストグラムのHistY[0]、HistY[1]、HistY[2]及びHistY[3]を用いて調光度合を算出する。調光度合の算出に当たり、調光レベル算出部104は、HistY[0]、HistY[1]、HistY[2]及びHistY[3]それぞれについて、全画面中の割合とするための最適化の演算を行う。具体的には、調光レベル算出部104は、HistY[0]、HistY[1]、HistY[2]及びHistY[3]それぞれについて、度数(ヒストグラムカウント数)を全画面の画素数で除算することで最適化する。これにより、Hist[0]、Hist[1]、Hist[2]及びHist[3]それぞれが取りうる値の最大値が1となる。調光レベル算出部104は、最適化の値を保持するレジスタとしてHist[0]、Hist[1]、Hist[2]及びHist[3]を有する。これらHist[0]、Hist[1]、Hist[2]及びHist[3]には、HistY[0]、HistY[1]、HistY[2]及びHistY[3]それぞれの最適化した値が保持される。
【0025】
例えば、表示素子5がVGA(Video Graphics Array)の解像度を有する画面を備え、RGB信号S1として、640×480の画像データが入力された場合は、調光レベル算出部104は、以下の式18〜式21に従って最適化の演算を行う。
Hist[0]=HistY[0]÷(640×480) ・・・(式18)
Hist[1]=HistY[1]÷(640×480) ・・・(式19)
Hist[2]=HistY[2]÷(640×480) ・・・(式20)
Hist[3]=HistY[3]÷(640×480) ・・・(式21)
【0026】
次に、調光レベル算出部104は、Hist[0]〜Hist[3]を用いて調光度合を算出する。具体的には、画面全体に占める暗い画素の割合に比例して調光を行うため、調光レベル算出部104は、以下の式22により調光度合を算出する。
【数1】
【0027】
次に、調光レベル算出部104は、算出した調光度合に基づいて調光率を以下の式23により算出する。
調光率=1.0−(調光度合×最大調光ゲイン)・・・(式23)
調光率が0である場合、光源4は完全に消灯することになる。通常、光源4を完全に消灯させてしまうと、再点灯した際に光源4の輝度が安定するまでに時間を要するなどの不具合を生じる。このため、本実施形態では、光源4が消灯しないように、すなわち、調光率が0にならないように、最大調光ゲインが設定されている。
【0028】
図6に、入力画像の明るさと調光率の関係を示す。横軸は入力画像の明るさを表し、左側に向かうほど暗い画素が多い画像であることを示す。縦軸は調光率を示し、下側に向かうほど調光率が低くなって光源が暗くなることを示し、反対に、上側に向かうほど調光率が高くなって光源が明るくなることを示す。
光源4が消灯しないように、最低調光レベル301が設定されている。調光特性302は、最低調光レベル301から最大調光レベルへ変化する一次関数の直線であり、入力画像に含まれる暗い画素が多いほど調光率が低くなり、明るい画素が多いほど調光率が高くなることを示す。最大調光レベルから最低調光レベル301を差し引いたレベル範囲が最大調光ゲイン303である。上記式23によれば、最大調光ゲイン303の間の調光率を使用するため、光源4は消灯しない。
調光レベル算出部104は、算出した調光率を示す調光信号S13を明るさ急変検出部105および調光反映時間調整部106に供給する。
【0029】
明るさ急変検出部105は、解析部103からの調光判定フラグS12と調光レベル算出部104からの調光信号S13とに基づいてRGB信号S1の明るさが急変した否かを判定し、その判定結果を示す明るさ急変信号S14を調光反映時間調整部106に供給する。
明るさ急変検出部105は、調光判定フラグS12に基づいて、調光制御を行わないフレームが連続して所定数だけ続いたか否かを判定するとともに、調光信号S13に基づいて、調光率が閾値より小さいフレームが連続して所定数だけ続いたか否かを判定する。明るさ急変検出部105は、調光率が閾値より小さいフレームが所定数だけ連続した後に、調光制御を行わないフレームが所定数だけ連続した場合にのみ、RGB信号S1の明るさが急変したと判定する。
【0030】
図7は、明るさ急変検出部105の一例を示す回路図である。
図7を参照すると、明るさ急変検出部105は、第1の判定部15A、第2の判定部15B及びアンドゲート15Cを有する。
第1の判定部15Aは、調光判定フラグS12に基づく調光判定を行う回路であって、Dフリップフロップ201、202及びノアゲート203を有する。調光判定フラグS12は、Dフリップフロップ201の入力端子に供給される。Dフリップフロップ201の出力端子は、Dフリップフロップ202の入力端子およびノアゲート203の一方の入力端子に接続されている。Dフリップフロップ202の出力端子は、ノアゲート203の他方の入力端子に接続されている。ノアゲート203の出力端子はアンドゲート15Cの一方の入力端子に接続されている。
第1の判定部15Aでは、調光判定フラグS12について、時間的に連続する2フレーム分のデータがDフリップフロップ201、202に保持される。例えば、n番目のフレームの調光判定結果がDフリップフロップ201に保持された場合は、その1つ前のフレームである(n−1)番目のフレームの調光判定結果がDフリップフロップ202に保持されている。ノアゲート203は、Dフリップフロップ201、202が共に「0」である場合にのみ、「1」を出力し、それ以外の場合は「0」を出力する。すなわち、ノアゲート203の出力は、調光判定フラグS12が「0」であるフレームが2以上連続して続いた場合にのみ「1」になる。これにより、2フレーム以上の調光を行わない期間を検出することができる。
【0031】
第2の判定部15Bは、調光信号S13に基づく閾値判定を行う回路であって、Dフリップフロップ204〜207、比較器208、209およびアンドゲート210を有する。調光信号S13は、Dフリップフロップ204の入力端子に供給される。Dフリップフロップ204の出力端子は、Dフリップフロップ205の入力端子に接続され、Dフリップフロップ205の出力端子は、Dフリップフロップ206の入力端子に接続されている。
Dフリップフロップ206の出力端子は、Dフリップフロップ207の入力端子および比較器209の一方の入力端子に接続されている。Dフリップフロップ207の出力端子は、比較器208の一方の入力端子に接続されている。比較器208、209それぞれの他方の入力端子には、閾値を示す基準信号Refが供給されている。比較器208の出力端子は、アンドゲート210の一方の入力端子に接続され、比較器209の出力端子は、アンドゲート210の他方の入力端子に接続されている。アンドゲート210の出力端子は、アンドゲート15Cの他方の入力端子に接続されている。
第2の判定部15Bでは、調光信号S13について、時間的に連続する4フレーム分のデータがDフリップフロップ204〜207に保持される。例えば、n番目のフレームの調光率がDフリップフロップ204に保持された場合は、その1つ前のフレームである(n−1)番目のフレームの調光率がDフリップフロップ205に保持されている。さらに、(n−2)番目のフレームの調光率がDフリップフロップ206に保持され、(n−3)番目のフレームの調光率がDフリップフロップ207に保持されている。(n−2)番目のフレームはn番目のフレームの2つ前のフレームであり、(n−3)番目のフレームはn番目のフレームの3つ前のフレームである。
【0032】
比較器208は、Dフリップフロップ207に保持された調光率が基準信号Refにより示される閾値より小さい場合にのみ「1」を出力し、それ以外の場合は「0」を出力する。比較器209は、Dフリップフロップ206に保持された調光率が基準信号Refにより示される閾値より小さい場合にのみ「1」を出力し、それ以外の場合は「0」を出力する。アンドゲート210は、比較器208、209の出力がともに「1」になった場合に「1」を出力し、それ以外の場合は「0」を出力する。すなわち、アンドゲート210の出力は、調光信号S13により示される調光率が閾値より小さいフレームが2以上連続して続いた場合にのみ「1」になる。これにより、例えば、調光率が閾値より小さい画像(例えば、黒画面を示す画像)が2フレーム以上連続して続くことを検出することができる。すなわち、2フレーム以上の調光率が閾値より小さい期間を検出することが可能である。
アンドゲート15Cは、第2の判定部15Aの出力(ノアゲート203の出力)と第2の判定部15B(アンドゲート210の出力)がともに「1」となった場合にのみ、「1」を出力し、それ以外の場合は「0」を出力する。このアンドゲート15Cの出力が、明るさ急変検出部105の出力(明るさ急変信号S14)である。
【0033】
図7に示した明るさ急変検出部105では、調光判定フラグS12に関する第1の判定部15Aのデータ保持動作と、調光信号S13に関する第2の判定部15Bのデータ保持動作は互いに連動している。例えば、第1の判定部15AのDフリップフロップ201にn番目のフレームの調光判定結果が保持された場合は、第2の判定部15BのDフリップフロップ204には、n番目のフレームの調光率が保持される。この構成によれば、調光率が閾値より小さいフレームが2回連続して続いた後に、調光制御を行わないフレームが2回以上連続して続いた場合にのみ、明るさ急変信号S14が「1」とされる。
【0034】
例えば、
図1に示した一連のフレームa1〜a6に対して、明るさ急変検出部105が以下の状態になるときに、明るさ急変信号S14が「1」になる。
調光率が閾値より小さいフレームは、フレームa3、a4であり、調光制御を行わないフレームは、フレームa5、a6である。閾値は、フレームa3、a4の調光率「10%」より大きい値(例えば、15%)に設定されている。第1の判定部15Aにおいて、フレームa6の調光判定結果がDフリップフロップ202に保持され、フレームa5の調光判定結果がDフリップフロップ201に保持される。このとき、第2の判定部15Bでは、フレームa4の調光率がDフリップフロップ207に保持され、フレームa3の調光率がDフリップフロップ206に保持される。この場合、第1の判定部15Aのノアゲート203および第2の判定部15Bのアンドゲート210はともに「1」を出力し、その結果、アンドゲート15Cの出力、すなわち、明るさ急変信号S14が「1」となる。
【0035】
調光反映時間調整部106は、調光レベル算出部104から調光信号S13を受信するとともに明るさ急変検出部105から明るさ急変信号S14を受信する。調光反映時間調整部106は、調光信号S13と明るさ急変信号S14に基づいて、調光反映時間調整処理を実行する。
図8は、調光反映時間調整処理の一手順を示すフローチャートである。以下、
図8を参照して調光反映時間調整処理を説明する。
調光反映時間調整部106は、明るさ急変信号S14に基づいて急変判定の有無を判断する(ステップS10)。明るさ急変信号S14が「1」である場合は、調光反映時間調整部106は急変判定有りと判断し、明るさ急変信号S14が「0」である場合には、調光反映時間調整部106は急変判定無しと判断する。
【0036】
ステップS10の判定結果が「有」である場合、調光反映時間調整部106は、調光信号S13により示される調光率(調光値入力)をそのまま仮調光値出力に代入する(ステップS11)。
ステップS10の判定結果が「無」である場合、調光反映時間調整部106は、調光信号S13により示される調光率(調光値入力)と仮調光値出力とを比較する(ステップS12)。
ステップS12の比較結果が「調光値入力<仮調光値出力」である場合は、調光反映時間調整部106は、仮調光値出力を「1ポイント」だけ減少させる(ステップS13)。例えば、仮調光値出力が10%であった場合には、9%にすることを意味する。また、減算する量は予め定められた値であってよく、「1ポイント」に限定されず例えば3ポイントであってもよい。要は不自然な画像変化が生じない程度であればよい。ステップS12の比較結果が「調光値入力>仮調光値出力」である場合は、調光反映時間調整部106は、仮調光値出力を「1ポイント」だけ増大させる(ステップS14)。同様に、例えば、仮調光値出力が10%であった場合には、11%にすることを意味する。これも同様に、減算する量は予め定められた値であってよく、「1ポイント」に限定されず例えば3ポイントであってもよい。要は不自然な画像変化が生じない程度であればよい。ステップS12の比較結果が「調光値入力=仮調光値出力」である場合は、調光反映時間調整部106は、仮調光値出力に調光値入力を代入する(ステップS15)。
ステップS11、S13〜S15のいずれかを実行すると、調光反映時間調整部106は、仮調光値出力を調光値出力として出力する(ステップS16)。この調光値出力が調光信号S2である。
【0037】
表示素子駆動部3は、RGB信号S3に従って表示素子5を駆動する。光源駆動部2は、調光信号S2により示された調光値出力に応じて光源4に供給する駆動電力(駆動電流又は駆動電圧)を増減する。調光値出力が1.0のときに、駆動電力が最大となり、光源4は最大輝度出力状態となる。調光値出力が低下すると、駆動電力が低下して光源4の輝度が低下する。調光値出力に応じて光源4の輝度が変化すると、それに伴って表示素子5により表示される画像の明るさも変化する。
【0038】
次に、本実施形態の画像表示装置の調光制御動作について説明する。
図9に、
図1に示した一連のフレームを表示する場合の調光制御動作の一例を示す。ここでは、閾値である基準信号Refの値が「15%」に設定されているものと仮定する。
時間t1で、RGB信号S1はフレームa2の画像からフレームa3の黒画面に切り替わり、その後、時間t2で、RGB信号S1はフレームa4の黒画面からフレームa5のメニュー画面に切り替わる。
図9に示す例では、フレームa6以降もメニュー画面のフレームがRGB信号S1として入力される。
時間t1でフレームa2の画像からフレームa3の黒画面に切り替わると、調光レベル算出部104は、フレームa3の黒画面の調光率である「10%」を示す調光信号S13を出力する。フレームa3の黒画面は調光を行う画像であるので、解析部103は、「1」を示す調光判定フラグS12を出力する。
【0039】
明るさ急変検出部105では、第1の判定部15AのDフリップフロップ201、202にそれぞれ「1」が保持される。第2の判定部15BのDフリップフロップ204、205、206、207には、それぞれ「10%」、「60%」、「60%」、「60%」が保持される。この場合、明るさ急変検出部105は「0」を示す明るさ急変信号S14を出力するので、調光反映時間調整部106は急変判定無しと判断する。
調光反映時間調整部106は、調光信号S13により示される調光率「10%」と仮調光値出力を比較する。時間t1での仮調光値出力は「60%」であるので、調光反映時間調整部106は、「調光値入力<仮調光値出力」であると判断する。そして、調光反映時間調整部106は、仮調光値出力から1ポイントを減算した値を調光値出力として出力する。
【0040】
フレームa3の黒画面からフレームa4の黒画面に切り替わると、調光レベル算出部104は、フレームa4の黒画面の調光率である「10%」を示す調光信号S13を出力する。フレームa3の黒画面は調光を行う画像であるので、解析部103は、「1」を示す調光判定フラグS12を出力する。
明るさ急変検出部105では、第1の判定部15AのDフリップフロップ201、202にそれぞれ「1」が保持される。第2の判定部15BのDフリップフロップ204、205、206、207には、それぞれ「10%」、「10%」、「60%」、「60%」が保持される。この場合も、明るさ急変検出部105は「0」を示す明るさ急変信号S14を出力するので、調光反映時間調整部106は急変判定無しと判断する。
【0041】
調光信号S13により示される調光率「10%」は仮調光値出力よりも小さいので、調光反映時間調整部106は、「調光値入力<仮調光値出力」であると判断する。そして、調光反映時間調整部106は、仮調光値出力から1ポイントを減算した値を調光値出力として出力する。
時間t2で、フレームa4の黒画面からフレームa5のメニュー画面に切り替わると、調光レベル算出部104は、フレームa5のメニュー画面の調光率である「100%」を示す調光信号S13を出力する。フレームa5のメニュー画面は調光を行わない画像であるので、解析部103は、「1」を示す調光判定フラグS12を出力する。
【0042】
明るさ急変検出部105では、第1の判定部15AのDフリップフロップ201、202にそれぞれ「0」、「1」が保持される。第2の判定部15BのDフリップフロップ204、205、206、207には、それぞれ「100%」、「10%」、「10%」、「60%」が保持される。この場合も、明るさ急変検出部105は「0」を示す明るさ急変信号S14を出力するので、調光反映時間調整部106は急変判定無しと判断する。
調光反映時間調整部106は、調光信号S13により示される調光率「100%」と仮調光値出力を比較する。時間t2での仮調光値出力は「100%」より小さいので、調光反映時間調整部106は、「調光値入力>仮調光値出力」であると判断する。そして、調光反映時間調整部106は、仮調光値出力に1ポイントを加算した値を調光値出力として出力する。
【0043】
フレームa5のメニュー画面からフレームa6のメニュー画面に切り替わると、調光レベル算出部104は、フレームa6のメニュー画面の調光率である「100%」を示す調光信号S13を出力する。フレームa6のメニュー画面は調光を行わない画像であるので、解析部103は、「0」を示す調光判定フラグS12を出力する。
明るさ急変検出部105では、第1の判定部15AのDフリップフロップ201、202にそれぞれ「0」が保持される。第2の判定部15BのDフリップフロップ204、205、206、207には、それぞれ「100%」、「100%」、「10%」、「10%」が保持される。この場合、明るさ急変検出部105は「1」を示す明るさ急変信号S14を出力し、調光反映時間調整部106は急変判定有りと判断する。
【0044】
調光反映時間調整部106は、急変判定有りと判断すると、調光信号S13により示される調光率「100%」を仮調光値出力に代入し、その仮調光値出力の値をそのまま調光値出力として出力する。
なお、光源調光部1では、遅延処理により、RGB信号S1のn番目のフレームに対する調光反映時間調整部106の調光値出力が、RGB信号S3のn番目のフレームに対する調光値として用いられる。これにより、RGB信号S3に基づく表示動作と、
図9に示したようなRGB信号S1に基づく調光制御動作との同期をとる。
【0045】
以上の調光制御動作によれば、黒画面などの調光率が閾値より低い画像からメニュー画面などの調光を行う必要がない画像に切り替わった場合に、即時に、光源の輝度を「100%」に設定することができる。これにより、メニュー画面などの調光を行う必要がない画像の明るさが不自然になることを抑制することができる。
なお、
図9に示した調光制御動作では、明るさ急変検出部105は、調光率が閾値より小さいフレームが2回連続して続いた後に、調光制御を行わないフレームが2回連続して続いた場合に、「1」を示す明るさ急変信号S14を出力する。このため、時間t2の直後のフレームa5のメニュー画面については、調光制御が行われる。しかし、1フレームの期間は短いため、調光制御による明るさの変化が視聴者によって視認されることはない。通常、5フレームに相当する期間は、メニュー画面に対して調光制御が行われても、視聴者は、輝度変化を視認することはなく、違和感を覚えることはない。
また、本実施形態の画像表示装置では、明るさ急変を検出するために、調光制御を行うか否かを判定する第1の判定と、黒画面などの調光率が閾値より低い画像を検出する第2の判定とを行う。通常、動画において、調光を行う必要がないフレームに対して即時に光源を最大輝度出力に設定すると、急に、画面が明るくなって、視聴者が違和感を覚える場合がある。第1の判定のみでは、そのような問題を解決することは困難である。本実施形態では、第1の判定に加えて第2の判定を行うことで、メニュー画面などの特定の条件で表示される画像に対してのみ即時に光源を最大輝度出力に設定することが可能である。
【0046】
以上説明した本実施形態の画像表示装置は本発明の一例であり、その構成および動作は適宜に変更可能である。
例えば、
図7に示した明るさ急変検出部105では、第1の判定部15Aは、調光制御を行わないフレームが2回以上連続することを検出するように構成されているが、これに限定されない。調光制御を行わないフレームの検出数は、3以上であって、1であってもよい。ただし、調光制御を行わないフレームの検出数に応じてDフリップフロップの数が増減する。
【0047】
例えば、調光制御を行わないフレームの検出数が1つの場合は、Dフリップフロップ202とノアゲート203とで構成する。ノアゲート203の一方の入力にDフリップフロップ202の出力を供給し、他方の入力に常に「0」を供給する。ノアゲート203は、Dフリップフロップ202に「0」が保持された場合にのみ、「1」を出力し、それ以外の場合は「0」を出力する。この構成によれば、
図9に示した調光制御動作において、時間t2で、フレームa4の黒画面からフレームa5のメニュー画面に切り替わると、明るさ急変検出部105は「1」を示す明るさ急変信号S14を出力する。よって、フレームa5のメニュー画面に対する調光制御は行われない。
調光制御を行わないフレームの検出数が3つの場合は、3つのDフリップフロップを直列に接続した構成とする。この場合は、ノアゲートは、各Dフリップフロップが全て「0」である場合にのみ、「1」を出力し、それ以外の場合は「0」を出力する。なお、調光制御を行わないフレームの検出数を増やすと、Dフリップフロップの段数が増えるため、コストが増大する。加えて、
図9に示した調光制御動作において、時間t2後の調光制御が行われる期間も増大する。
【0048】
また、
図7に示した明るさ急変検出部105では、第2の判定部15Bは、調光率が閾値より小さいフレームが2回連続することを検出するように構成されているが、これに限定されない。調光率が閾値より小さいフレームの検出数は、3以上であっても、1であってもよい。ただし、調光率が閾値より小さいフレームの検出数に応じてDフリップフロップの数が増減する。
例えば、調光率が閾値より小さいフレームの検出数が1つの場合は、Dフリップフロップ205〜207、比較器208およびアンドゲート210で構成する。アンドゲート210の一方の入力に比較器208の出力を供給し、他方の入力に常に「1」を供給する。アンドゲート210は、比較器208の出力が「1」になった場合に「1」を出力し、それ以外の場合は「0」を出力する。
【0049】
調光率が閾値より小さいフレームの検出数が3つの場合は、
図7に示した構成において、Dフリップフロップ204の入力側にDフリップフロップを1つ挿入する。また、Dフリップフロップ205の出力と基準信号Refとをそれぞれ入力とする第3の比較器を設ける。第3の比較器は、Dフリップフロップ205に保持された調光率が基準信号Refにより示される閾値より小さい場合にのみ「1」を出力し、それ以外の場合は「0」を出力する。アンドゲート210は、比較器208、209及び第3の比較器の出力が全て「1」になった場合に「1」を出力し、それ以外の場合は「0」を出力する。
また、調光率が閾値より小さいフレームの検出数をm(≧2)、調光制御を行わないフレームの検出数をn(≧2)とすると、明るさ急変検出部105は、以下のように構成してもよい。
【0050】
第1の判定部15Aは、直列に接続されたn個の第1のDフリップフロップと、各第1のDフリップフロップの出力をそれぞれ入力とし、各入力が全て0である場合にのみ1を出力し、それ以外の場合は0を出力するノアゲートとで構成される。n個の第1のDフリップフロップは、調光判定フラグS12をn個のフレーム分だけ時系列で保持する。
第2の判定部15Bは、直列に接続された(n+m)個の第2のDフリップフロップと、m個の比較器と、アンドゲートとで構成される。(n+m)個の第2のDフリップフロップは、調光信号S13を(n+m)個のフレーム分だけ時系列で保持する。
m個の比較器は、(n+m)個の第2のDフリップフロップのうちの出力段側のm個の第2のDフリップフロップの出力をそれぞれ一方の入力とし、閾値を他方の入力とする。各比較器は、一方の入力が閾値より小さい場合にのみ1を出力し、それ以外の場合は0を出力する。アンドゲートは、各比較器の出力をそれぞれ入力とし、各入力が全て1である場合にのみ1を出力し、それ以外の場合は0を出力する。
上記の構成において、mとnは同じ値であってもよく、また、mはnと異なる値であってもよい。
【0051】
また、
図3に示した光源調光部1において、調光反映時間調整部106からの調光信号S2(調光値出力)に応じてRGB信号S3の振幅を増幅する構成(信号ゲイン乗算率算出部および信号ゲイン乗算回路)を追加してもよい。
信号ゲイン乗算率算出部は、調光信号S2により示された調光値に基づいて、以下の式24により乗算率を算出する。
乗算率=1.0÷調光率 ・・・(式24)
【0052】
信号ゲイン乗算回路には、RGB信号S1が供給されている。信号ゲイン乗算回路は、信号ゲイン乗算率算出部からの乗算率に従って、RGB信号S1の振幅を増幅する。具体的には、信号ゲイン乗算回路は、以下の式25〜27に従って、RGB信号S1として入力された赤信号R、緑信号G及び青信号Bそれぞれに乗算率信号により示された乗算率を乗算する。そして、信号ゲイン乗算回路は、乗算率が乗算された赤信号R、緑信号G及び青信号Bを含むRGB信号S3を出力する。
R出力=R入力×乗算率 ・・・(式25)
G出力=G入力×乗算率 ・・・(式26)
B出力=B入力×乗算率 ・・・(式27)
【0053】
表示素子駆動部3は、RGB信号S3に従って表示素子5を駆動する。RGB信号S3の赤信号R、緑信号G及び青信号Bはそれぞれ乗算率に応じて振幅が増減するため、表示素子5により表示される画像の明るさは、乗算率に応じて変化する。
上記のように乗算率に応じてRGB信号S3の振幅を増幅することで、光源4を暗くしたことによる中間調の明るさの低下を抑制することができる。これにより、良好な黒色の再現と中間調の明るさの維持を両立させることができる。
本実施形態では、輝度信号Y、赤色信号R、緑色信号G及び青色信号Bそれぞれについて、16段階のヒストグラムと4段階のヒストグラムを取得しているが、これに限定されない。輝度信号Yについてのみ、16段階のヒストグラムと4段階のヒストグラムを取得し、赤色信号R、緑色信号G及び青色信号Bについては、画像データから直接に4段階のヒストグラムを取得してもよい。
【0054】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態による画像表示装置も、
図3及び
図4に示した構成を有するが、8段階のヒストグラムと4段階のヒストグラムを用いて調光制御を行う点が第1の実施形態と異なる。以下では、第1の実施形態と異なる構成を中心に説明し、同じ構成についてはその説明を省略する。
ヒストグラム取得部102は、前述の式1に従ってRGB信号S1から輝度信号Yを算出し、輝度信号Y、赤信号R、緑信号G及び青信号Bそれぞれについて、8段階のヒストグラムと4段階のヒストグラムを取得する。これらヒストグラムの取得は、1フレーム単位で行われる。
【0055】
以下に、RGB信号S1が8ビットのデジタルデータである場合の8段階のヒストグラムの取得手順を説明する。
ヒストグラム取得部102は、輝度信号Yに関する8段階のヒストグラムを作成すための8個のレジスタHistY[0]〜HistY[7]を有する。これらのレジスタHistY[0]〜HistY[7]は、フレームの開始時に0にリセットされ、フレームの終了時にカウント値を保持するように構成されている。以下の表2に示す加算条件に従って、輝度信号Yの入力データに応じてレジスタHistY[0]〜HistY[7]のうちの対応するレジスタのカウント値が加算される。これにより、輝度信号Yに関する8段階のヒストグラムを取得することができる。
【0057】
ヒストグラム取得部102は、赤信号R用のレジスタHistR[0]〜HistR[7]、緑信号G用のレジスタHistG[0]〜HistG[7]及び青信号B用のレジスタHistB[0]〜HistB[7]を有する。これらレジスタHistR[0]〜HistR[7]、レジスタHistG[0]〜HistG[7]及びレジスタHistB[0]〜HistB[7]も、フレームの開始時に0にリセットされ、フレームの終了時にカウント値を保持するように構成されている。
赤信号Rの加算条件は、上記表2において、加算すべきレジスタをHistY[0]〜HistY[7]からHistR[0]〜HistR[7]に置き換えたものとなる。この加算条件に従って、赤信号Rの入力データに応じてレジスタHistR[0]〜HistR[7]のうちの対応するレジスタのカウント値が加算される。これにより、赤信号Rに関する8段階のヒストグラムを取得することができる。
緑信号Gの加算条件は、上記表2において、加算すべきレジスタをHistY[0]〜HistY[7]からHistG[0]〜HistG[7]に置き換えたものとなる。この加算条件に従って、緑信号Gの入力データに応じてレジスタHistG[0]〜HistG[7]のうちの対応するレジスタのカウント値が加算される。これにより、緑信号Gに関する8段階のヒストグラムを取得することができる。
青信号Bの加算条件は、上記表2において、加算すべきレジスタをHistY[0]〜HistY[7]からHistB[0]〜HistB[7]に置き換えたものとなる。この加算条件に従って、青信号Bの入力データに応じてレジスタHistB[0]〜HistB[7]のうちの対応するレジスタのカウント値が加算される。これにより、青信号Bに関する8段階のヒストグラムを取得することができる。
【0058】
また、ヒストグラム取得部102は、輝度信号Yに関する4段のヒストグラムを作成するための4個のレジスタHistLY[0]〜HistLY[3]を有する。以下の式28〜31に従って、レジスタHistLY[0]〜HistLY[3]にカウント値が加算される。これにより、輝度信号Yについて、16段階のヒストグラムから4段階のヒストグラムを算出することができる。
HistLY[0]=HistY[0]+ HistY[1] ・・・(式28)
HistLY[1]=HistY[2]+ HistY[3] ・・・(式29)
HistLY[2]=HistY[4]+ HistY[5] ・・・(式30)
HistLY[3]=HistY[6]+ HistY[7] ・・・(式31)
一例として、
図10に、輝度信号Yについて取得した8段階のヒストグラム及び4段階のヒストグラムを示す。
図10において、上段の分図(a)が8段階のヒストグラムを示し、下段の分図(b)が4段階のヒストグラムを示す。
【0059】
さらに、ヒストグラム取得部102は、赤信号Rに関する4段のヒストグラムを作成するための4個のHistLR[0]〜HistLR[3]を有する。以下の式32〜35に従って、HistLR[0]〜HistLR[3]にカウント値が加算される。これにより、赤信号Rについて、8段階のヒストグラムから4段階のヒストグラムを算出することができる。
HistLR[0]=HistR[0]+ HistR[1] ・・・(式32)
HistLR[1]=HistR[2]+ HistR[3] ・・・(式33)
HistLR[2]=HistR[4]+ HistR[5] ・・・(式34)
HistLR[3]=HistR[6]+ HistR[7] ・・・(式35)
【0060】
さらに、ヒストグラム取得部102は、緑信号Gに関する4段のヒストグラムを作成するための4個のHistLG[0]〜HistLG[3]を有する。以下の式36〜39に従って、HistLG[0]〜HistLG[3]にカウント値が加算される。これにより、緑信号Gについて、8段階のヒストグラムから4段階のヒストグラムを算出することができる。
HistLG[0]=HistG[0]+ HistG[1] ・・・(式36)
HistLG[1]=HistG[2]+ HistG[3] ・・・(式37)
HistLG[2]=HistG[4]+ HistG[5] ・・・(式38)
HistLG[3]=HistG[6]+ HistG[7] ・・・(式39)
【0061】
さらに、ヒストグラム取得部102は、青信号Bに関する4段のヒストグラムを作成するための4個のHistLB[0]〜HistLB[3]を有する。以下の式40〜43に従って、HistLB[0]〜HistLB[3]にカウント値が加算される。これにより、青信号Bについて、8段階のヒストグラムから4段階のヒストグラムを算出することができる。
HistLB[0]=HistB[0]+ HistB[1] ・・・(式40)
HistLB[1]=HistB[2]+ HistB[3] ・・・(式41)
HistLB[2]=HistB[4]+ HistB[5] ・・・(式42)
HistLB[3]=HistB[6]+ HistB[7] ・・・(式43)
【0062】
ヒストグラム取得部102は、輝度信号Y、赤信号R、緑信号G及び青信号Bそれぞれについて取得した8段階のヒストグラム及び4段階のヒストグラムを解析部103に供給する。
解析部103は、輝度信号Y、赤信号R、緑信号G及び青信号Bそれぞれに関する4段階のヒストグラムの各段階について、度数(ヒストグラムカウント数)に基づく順位付けを行う。
図10の分図(b)に示した輝度信号Yに関する4段階のヒストグラムを例にとると、HistLY[0]〜HistLY[3]は以下のように順位付けされる。
HistLY[0]:1番
HistLY[1]:2番
HistLY[2]:3番
HistLY[3]:4番
【0063】
解析部103は、前述の条件1〜4に基づいて光源4の調光制御を行うか否かを判断する。第1の実施形態と同様、条件1〜4を全て満たした場合に、解析部103は、調光制御を行うと判断する。条件1〜4のうちの1つでも条件を満たさなかった場合は、解析部103は、調光制御を行わないと判断する。
解析部103は、調光制御実行判断結果を示す調光判定フラグS12を明るさ急変検出部105に供給するとともに、輝度信号Yに関する8段階のヒストグラムを含む解析信号S11を調光レベル算出部104に供給する。
調光レベル算出部104は、解析部103から輝度信号Yに関する8段階のヒストグラムを受信すると、その8段階のヒストグラムを用いて調光率を算出する。
【0064】
調光率を算出するにあたり、調光レベル算出部104は、まず、8段階のヒストグラムのHistY[0]及びHistY[1]を用いて調光度合を算出する。調光レベル算出部104は、レジスタHist[0]及びHist[1]を有する。これらレジスタHist[0]及びHist[1]には、HistY[0]及びHistY[1]それぞれの最適化した値が格納される。例えば、表示素子5がVGA(Video Graphics Array)の解像度を有する画面を備え、RGB信号S1として、640×480の画像データが入力された場合は、調光レベル算出部104は、以下の式44〜式45に従って最適化の演算を行う。
Hist[0]=HistY[0]÷(640×480) ・・・(式44)
Hist[1]=HistY[1]÷(640×480) ・・・(式45)
【0065】
最適化の演算の後、調光レベル算出部104は、Hist[0]及びHist[2]を用いて以下の式46により調光度合を算出する。
【数2】
【0066】
次に、調光レベル算出部104は、前述の式23により、算出した調光度合に基づいて調光率を算出する。そして、調光レベル算出部104は、算出した調光率を示す調光信号S13を調光反映時間調整部106に供給する。
明るさ急変検出部105および調光反映時間調整部106の動作は、第1の実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。
本実施形態の画像処理装置も、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。また、本実施形態においても、第1の実施形態と同様の変形が可能である。
【0067】
本発明は、第1又は第2の実施形態で説明した構成及び動作に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成及び動作を適宜に変更することができる。
例えば、ヒストグラムの段階数は16、8、4に限定されない。16段階や8段階のヒストグラムに代えて、16や8以外の段階数の細かなヒストグラムを用い、4段階のヒストグラムに代えて、4以外の段階数の粗いヒストグラムを用いてもよい。ただし、段階数を変更した場合は、ヒストグラムを作成するためのレジスタの構成、表1、2の加算条件、調光度合の算出式などを、段階数に応じて適宜に変更する。
例えば、輝度信号Yに関する細かなヒストグラムの明るさの段階をHistY[0]〜HistY[m]とし(mは1以上の自然数)、HistY[0]〜HistY[m]それぞれの度数を表示素子5の画素数で割った値をHist[0]〜Hist[m]とする。この場合、調光度合を、以下の式47により求めてもよい(n<m)。
【数3】
【0068】
細かなヒストグラムの明るさの低い側から所定数毎に明るさの段階を纏めて粗いヒストグラムを作成してもよい。細かなヒストグラムの段階数が粗いヒストグラムの段階数で割り切れない場合は、細かなヒストグラムにおける、明るさの低い側の纏める段階の数を他の部分の纏める段階の数よりも多くしてもよい。これにより、調光度合の算出精度を向上することができる。
一例として、
図11に、輝度信号Yについて取得した10段階のヒストグラム及び4段階のヒストグラムを示す。
図11において、上段の分図(a)が10段階のヒストグラムを示し、下段の分図(b)が4段階のヒストグラムを示す。10段階のヒストグラムはHistY[0]〜HistY[9]からなり、4段階のヒストグラムはHistLY[0]〜HistLY[3]からなる。HistLY[0]は、3個のHistY[0]〜HistY[2]の加算値である。HistLY[1]は、2個のHistY[3]及びHistY[4]の加算値である。HistLY[2]は、2個のHistY[5]及びHistY[6]の加算値である。HistLY[3]は、3個のHistY[7]〜HistY[9]の加算値である。
【0069】
なお、本発明は、液晶ディスプレイ等に代表される画像表示装置やプロジェクタに適用することができる。本発明をプロジェクタに適用した場合は、表示素子5として、ディジタルマイクロミラーデバイス(DMD)や液晶表示素子などを用いる。表示素子5上に形成された画像が投射レンズによりスクリーン上に投射される。光源4として、水銀灯やLED等の固体光源の他、蛍光体を用いたものを適用することができる。
【0070】
また、本発明は、以下の付記1〜7のような形態をとり得るが、これら形態に限定されない。
[付記1]
光源と、入力映像信号に基づいて前記光源からの光を空間的に変調して画像を形成する表示部と、を備え、前記光源の輝度を段階的に調整する調光制御が行われる画像表示装置であって、
前記入力映像信号に基づいて、前記調光制御を行うか否かを判定するとともに前記光源の最大輝度出力に対する割合である調光率を求め、前記調光制御を行なわいと判定したフレームの直前のフレームの調光率が閾値より低い場合は、前記光源を前記最大輝度出力に設定する光源調光部を有する画像表示装置。
[付記2]
前記光源調光部は、
フレーム毎に、画像データにより示される画像の輝度分布を取得し、該輝度分布に基づいて、前記調光制御を行うか否かを判定して該判定結果を示す判定フラグを出力し、また、前記光源の最大輝度出力に対する割合である調光率を求め、該調光率を示す調光信号を出力する調光率算出部と、
前記調光信号により示される調光率が閾値より低いか否かを判定し、該判定結果と前記判定フラグとに基づいて、前記調光率が閾値より低いと判定されたフレームの直後に前記調光制御を行わないと判定されたフレームが続く状態を検出し、該状態の検出の有無を示す明るさ急変信号を出力する明るさ急変検出部と、
前記調光信号に基づいて前記光源の輝度を段階的に調整し、前記明るさ急変検出部から前記状態を検出したことを示す前記明るさ急変信号を受信すると、前記光源を前記最大輝度出力に設定する輝度設定部と、を有する、付記1に記載の画像表示装置。
[付記3]
前記輝度設定部は、前記光源の輝度設定値を保持し、フレーム毎に、前記変調信号により示される調光率と前記輝度設定値を比較し、該調光率が前記輝度設定値より大きい場合は、前記輝度設定値を所定値だけ増大し、該調光率が前記輝度設定値より小さい場合は、前記輝度設定値を所定値だけ減少し、前記明るさ急変検出部から前記状態を検出したことを示す前記明るさ急変信号を受信すると、前記輝度設定値を前記最大輝度出力の値に設定する、付記2に記載の画像表示装置。
[付記4]
前記明るさ急変検出部は、
前記判定フラグをn(≧2)フレーム分だけ時系列で保持する、直列に接続されたn個の第1のDフリップフロップと、
前記複数の第1のDフリップフロップの出力をそれぞれ入力とし、各入力が全て0である場合にのみ1を出力し、それ以外の場合は0を出力するノアゲートと、
前記調光信号を(n+m(≧2))フレーム分だけ時系列で保持する、直列に接続された(n+m)個の第2のDフリップフロップと、
前記(n+m)個の第2のDフリップフロップのうちの出力段側のm個の第2のDフリップフロップのそれぞれに対して設けられ、対応する第2のDフリップフロップの出力を一方の入力とし、閾値を他方の入力とし、該一方の入力が該閾値より小さい場合にのみ1を出力し、それ以外の場合は0を出力するm個の比較器と、
前記m個の比較器の出力をそれぞれ入力とし、各入力が全て1である場合にのみ1を出力し、それ以外の場合は0を出力する第1のアンドゲートと、
前記ノアゲートおよび第1のアンドゲートの出力をそれぞれ入力とし、各入力が全て1である場合にのみ1を出力し、それ以外の場合は0を出力する第2のアンドゲートと、を有する、付記2または3に記載の画像表示装置。
[付記5]
前記調光率算出部は、
前記入力映像信号に基づいてフレーム毎に前記画像データを明るさの段階別の度数で示した第1のヒストグラムと、前記第1のヒストグラムの明るさの段階数と異なる明るさの段階数を有する第2のヒストグラムを取得するヒストグラム取得部と、
前記第2のヒストグラムに基づいて前記調光制御を行うか否かを判定し、該判定結果を前記判定フラグとして出力する解析部と、
前記第1のヒストグラムに基づいて前記調光率を求め、該調光率を示す信号を前記調光信号として出力する調光レベル算出部と、を有する、付記2から4のいずれか1つに記載の画像表示装置。
[付記6]
前記第2のヒストグラムの明るさの段階数は、前記第1のヒストグラムの明るさの段階数よりも少ない、付記5に記載の画像表示装置。
[付記7]
光源と、入力映像信号に基づいて前記光源からの光を空間的に変調して画像を形成する表示部と、を備え、前記光源の輝度を段階的に調整する調光制御が行われる画像表示装置の光源調光方法であって、
前記入力映像信号に基づいて、前記調光制御を行うか否かを判定するとともに前記光源の最大輝度出力に対する割合である調光率を求め、
前記調光制御を行なわいと判定したフレームの直前のフレームの調光率が閾値より低い場合は、前記光源を前記最大輝度出力に設定する、光源調光方法。
【0071】
上記の付記1〜6の画像表示装置において、光源は、
図3に示した光源駆動部2及び光源4により構成してもよい。表示部は、
図3に示した表示素子駆動3及び表示素子5により構成してもよい。光源調光部は、
図3に示した光源調光部1により構成してもよい。調光率算出部、明るさ急変検出部、輝度設定部はそれぞれ、
図4に示した調光率算出部101、明るさ急変検出部105、調光反映時間調整部106により構成してもよい。ヒストグラム取得部、解析部、調光レベル算出部はそれぞれ、
図4に示したヒストグラム取得部102、解析部103、調光レベル算出部104により構成してもよい。