(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6516441
(24)【登録日】2019年4月26日
(45)【発行日】2019年5月22日
(54)【発明の名称】容器詰め食品
(51)【国際特許分類】
A23B 7/00 20060101AFI20190513BHJP
【FI】
A23B7/00
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-222320(P2014-222320)
(22)【出願日】2014年10月31日
(65)【公開番号】特開2016-86685(P2016-86685A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年10月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137580
【氏名又は名称】株式会社マルハチ
(74)【代理人】
【識別番号】100083437
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 實
(74)【代理人】
【識別番号】100131026
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 博
(72)【発明者】
【氏名】阿 部 敏 明
【審査官】
鈴木 崇之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−080170(JP,A)
【文献】
特開2012−095563(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3145085(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3100339(JP,U)
【文献】
特開2002−153234(JP,A)
【文献】
特開2002−320462(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0053694(US,A1)
【文献】
漬物王子と「山形のだし」、[インターネット]、<https://blog.goo.ne.jp/shishimaru41/e/65b655bee9d23cea63d778fe49db400e>、公開日:2010年4月25日、検索日:2018年8月9日
【文献】
夏の名物「山形のだし」、[インターネット]、<http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/recipe/pdf/dashi.pdf>、公開日:インターネットアーカイブ<http://archive.org/web/web.php>で確認したところ当該ウェブサイトは2013年1月31日には閲覧可能であったことが確認できる、検索日:2018年8月9日
【文献】
割烹土佐しょうゆ、[インターネット]、<https://www.tenyo-takeda.co.jp/product/business/b-syouyu/b-kappo-tosa.html>、公開日:当該製品を記載した「食材プロ.com」<http://www.shokuzai-pro.com/ItemSearchDetail.do?itemCd=ks10303>が少なくとも2013年9月9日には閲覧可能であったことから、本引用例の公開日はそれ以前であったと推定できる、検索日:2018年8月9日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23B 7/00−7/16
A23L 29/00−29/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
販売用容器内に、複数の農水産物の中から選択した複数種を2cm以下に角切りの外、輪切り、みじん切りなど適宜加工、混合した具材をダシ液に浸し込んでなるダシ浸漬加工野菜を収容し、同販売用容器内の該ダシ浸漬加工野菜部分の上部に、当該ダシ液よりも粘度が高い増粘型タレの適量を直に載置状として収容、密閉状とした容器詰め食品であって、該増粘型タレの粘度をダシ浸漬加工野菜部分のダシ液よりも高くして、強制的な攪拌行為を受けるまで、該ダシ液部分と増粘型タレ部分との混練、拡散状態が、販売用容器内への充填、輸送、販売に及ぶ、少なくとも賞味期限までの期間に渡って阻止可能な値のものに設定してなることを特徴とする容器詰め食品。
【請求項2】
透明な販売用容器内に、少なくとも2cm以下に角切り状とした胡瓜、茄子、適宜厚さに輪切りとしたねぎ、みじん切りしたみょうが、大葉、昆布を適宜割合に混合した具材をダシ液に浸し込んでなるダシ浸漬加工野菜を収容し、同販売用容器内の該ダシ浸漬加工野菜部分の上部に、当該ダシ液よりも粘度が高い増粘型タレの適量を直に載置状として収容、密閉状とした容器詰め食品であって、該増粘型タレの粘度をダシ浸漬加工野菜部分のダシ液よりも高くして、強制的な攪拌行為を受けるまで、該ダシ液部分と増粘型タレ部分との混練、拡散状態が、販売用容器内への充填、輸送、販売に及ぶ、少なくとも賞味期限までの期間に渡って阻止可能な値のものに設定してなることを特徴とする容器詰め食品。
【請求項3】
透明な販売用容器内に、少なくとも2cm以下に角切り状とした胡瓜、茄子、適宜厚さに輪切りとしたねぎ、みじん切りしたみょうが、大葉、昆布を適宜割合に混合した具材をダシ液に浸し込んでなるダシ浸漬加工野菜を収容し、同販売用容器内の該ダシ浸漬加工野菜部分の上部中央に、当該ダシ液よりも粘度が高い増粘型タレの適量を直に載置状として収容、密閉状とした容器詰め食品であって、該増粘型タレの粘度をダシ浸漬加工野菜部分のダシ液よりも高くして、強制的な攪拌行為を受けるまで、該ダシ液部分と増粘型タレ部分との混練、拡散状態が、販売用容器内への充填、輸送、販売に及ぶ、少なくとも賞味期限までの期間に渡って阻止可能な値のものに設定してなることを特徴とする容器詰め食品。
【請求項4】
増粘型タレが、醤油70ないし90wt%、鰹節エキス2ないし8wt%、増粘安定剤3.5ないし1.0wt%、アルコール3ないし9wt%の割合に混合してなる、請求項1または2何れか一方記載の容器詰め食品。
【請求項5】
増粘型タレが、醤油70ないし90wt%、鰹節エキス2ないし8wt%、キサンタンガム3.5ないし1.0wt%、アルコール3ないし9wt%の割合に混合してなる、請求項1または2何れか一方記載の容器詰め食品。
【請求項6】
具材が、少なくとも胡瓜45ないし65wt%、茄子14ないし20wt%、ねぎ4ないし10wt%、みょうが1ないし7wt%、大葉1ないし3wt%、昆布0.5ないし1.5wt%、水7ないし12wt%、塩0.5ないし1.5wt%、日持ち向上剤0.5ないし1.5wt%、グルタミン酸ナトリウム0.25ないし0.7wt%、キサンタンガム0.05ないし0.15wt%、グアガム0.0001ないし0.01wt%、アルコール0.05ないし0.3wt%の割合に混合してなる、請求項1ないし5何れか一記載の容器詰め食品。
【請求項7】
具材が、90ないし99wt%、増粘型タレ部分が1ないし10wt%の重量割合とするよう充填してなるものとした、請求項1ないし6何れか一記載の容器詰め食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、農水産物加工品類の包装技術に関連するものであり、特に、刻み野菜や漬け物などの加工食品類を包装した容器詰め食品を製造、提供する分野は勿論のこと、その輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
夏野菜や根菜類などを細かく刻み、浅漬けした「だし」は、鮮度の高い刻み野菜のシャキシャキした触感を楽しむことができ、御飯に掛けたり、素麺に載せたりして一度に複数種類の野菜を摂ることができる外、豆腐に掛けたり、納豆と混ぜたりすることができるなど、多様な食べ方が可能なことから、消費が拡大し、長距離輸送や陳列販売にも対応可能であり、しかも作り立ての鮮度ある味覚を楽しむことができる包装技術が不可欠となっているが、生産工程中に調味タレ成分を刻み野菜に加えてしまうと、鮮度を保つよう密閉、冷蔵条件を維持するよう輸送した場合であっても、店頭に陳列し販売するまでの間に、タレ成分が刻み野菜に浸透し、新鮮な外観や食感を維持するのが難しいという欠点があった。
【0003】
(従来の技術)
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、容器本体、該容器本体の開口を密封閉塞可能な内蓋、および該内蓋との間に収容部を形成する外蓋からなる蓋からなる第1の容器に薄塩で漬け込んだ野菜を密封し、該蓋収容部に収容可能な第2の容器に所定量の塩を含有する調味料を密封し、該第2の容器を当該蓋収容部に納め、当該第1の容器と第2の容器とを一体に包装してなるものとした包装漬け物が知られている。
【0004】
前記特許文献1(1)に示されているような包装食品類は、食品および調味料を個別包装し、開封した後に合わせることにより、作り立ての鮮度有る味の再現が可能なものとなり、食品に調味料が完全に浸透せず、程よく分離した状態で混合した複雑で新鮮な味覚を楽しむことができるという利点を有するが、食品と調味料とを分離した状態に包装する必要があり、このため容器本体、内蓋、外蓋、調味料用の包装容器など、多数の包装用部品が必須となり、製造コストの高騰が懸念されるものであった。
【特許文献1】(1)登録実用新案第3100339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種食品および調味料の同梱包装製品類は、何れも対象食品類と、それに添付する調味料とを完全な個別包装とした上、それら包装済み対象食品と包装済み調味料とを互いに分離しないよう同梱状に包装しなければならず、製造段階に包装工数および包装用部品点数を増加し、輸送、販売段階に嵩張り、輸送、保管、展示スペースを増加し、顧客が購入した後も、開封や調味に手間が掛かり、ゴミの発生量が増加するなど、流通および消費から廃棄・リサイクルに至る各行程に工数増やコスト増などの影響を及ぼしてしまうという欠点があり、本願出願人は、永年、農水産物の加工および販売に携わり、様々な顧客に対し、生鮮な加工食品を提供し続けてきている中、それらから得られた様々な知見、および顧客からの情報などに基づき、農水産物の加工技術は勿論のこと、生産コストを抑制し、長距離輸送および店頭陳列にも耐えて鮮度を維持し、開封や調味の手間を省き、ゴミの削減にも貢献できる新たな包装技術について、更なる改善の可能性を痛感するに至ったものである。
【0006】
(発明の目的)
そこで、この発明は、生産コストを抑制し、長距離輸送や展示販売に耐えて鮮度を維持し、開封や調味の手間を省き、ゴミの削減にも貢献できる新たな包装技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の容器詰め食品を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の容器詰め食品は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、販売用容器内に、複数の農水産物の中から選択した複数種を2cm以下、望ましくは5mmないし3mmに角切りの外、輪切り、みじん切りなど適宜加工、混合した具材をダシ液に浸し込んでなるダシ浸漬加工野菜を収容し、同販売用容器内の該ダシ浸漬加工野菜部分の上部に、当該ダシ液よりも粘度が高い増粘型タレの適量を直に載置状として収容、密閉状とした容器詰め食品であって、該増粘型タレの粘度をダシ浸漬加工野菜部分のダシ液よりも高くして、強制的な攪拌行為を受けるまで、該ダシ液部分と増粘型タレ部分との混練、拡散状態が、販売用容器内への充填、輸送、販売に及ぶ、少なくとも賞味期限までの期間に渡って阻止可能な値のものとした構成を要旨とする容器詰め食品である。
【0008】
この基本的な構成からなる容器詰め食品は、より具体的には、
透明な販売用容器内に、少なくとも2cm以下、望ましくは5mmないし3mmに角切り状とした胡瓜、茄子、適宜厚さに輪切りとしたねぎ、みじん切りしたみょうが、大葉、昆布を適宜割合に混合した具材をダシ液に浸し込んでなるダシ浸漬加工野菜を収容し、同販売用容器内の該ダシ浸漬加工野菜部分の上部に、当該ダシ液よりも粘度が高い増粘型タレの適量を直に載置状として収容、密閉状とした容器詰め食品であって、該増粘型タレの粘度をダシ浸漬加工野菜部分のダシ液よりも高くして、強制的な攪拌行為を受けるまで、該ダシ液部分と増粘型タレ部分との混練、拡散状態が、販売用容器内への充填、輸送、販売に及ぶ、少なくとも賞味期限までの期間に渡って阻止可能な値のものに設定した構成かならなる容器詰め食品と言うことが出来る。
【0009】
表現を変えて示すと、透明な販売用容器内に、少なくとも2cm以下、望ましくは5mmないし3mmに角切り状とした胡瓜、茄子、適宜厚さに輪切りとしたねぎ、みじん切りしたみょうが、大葉、昆布を適宜割合に混合した具材をダシ液に浸し込んでなるダシ浸漬加工野菜を収容し、同販売用容器内の該ダシ浸漬加工野菜部分の上部中央に、当該ダシ液よりも粘度が高い増粘型タレの適量を直に載置状として収容、密閉状とした容器詰め食品であって、該増粘型タレの粘度をダシ浸漬加工野菜部分のダシ液よりも高くして、強制的な攪拌行為を受けるまで、該ダシ液部分と増粘型タレ部分との混練、拡散状態が、販売用容器内への充填、輸送、販売に及ぶ、少なくとも賞味期限までの期間に渡って阻止可能な値のものに設定した構成からなる容器詰め食品となる。
【発明の効果】
【0010】
以上のとおり、この発明の容器詰め食品によれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、従前までの対象食品類と、それに付属する調味料とを完全な個別包装としていた包装食品類とは異なり、一つの販売用容器内に、対象食品であるダシ浸漬加工野菜、例えば「やまがたのだし」(「山形のだし」とも称される山形産伝統漬物。以下、同様。)部分と、調味料である増粘型タレ部分とを一括収容したものとすることができるから、包装用部品点数および包装作業工数を格段に削減し、当該容器詰め食品自体を小型化して輸送、保管、陳列スペースを節減し、顧客の開封操作を容易くし、さらに、ゴミの発生量を大幅に減少できる上、該ダシ浸漬加工野菜部分よりも増粘型タレ部分を高粘度に設定したから、販売用容器内への充填、輸送、販売に及ぶ、少なくとも賞味期限までの期間に渡り、強制的な攪拌を受けるまで、該ダシ浸漬加工野菜部分と増粘型タレ部分との分離状態を維持可能なものとなり、食する直前に攪拌することにより、作り立てのダシ浸漬加工野菜部分のシャキシャキした触感と野菜や根菜類の個々の新鮮な色彩、香り、味覚、および、タレ部分の新鮮な風味や香りを得ることができるものになるという秀れた特徴が得られるものである。
【0011】
加えて、透明な販売用容器内に収容したダシ浸漬加工野菜、例えば「やまがたのだし」」部分の上層位置に、増粘型タレ部分の適量を収容したもの、または、透明な販売用容器内に収容したダシ浸漬加工野菜部分の上部中央に、増粘型タレ部分の適量を収容したものは、何れも店頭に陳列されている状態を一目見ただけで、調味料となる増粘型タレ部分が、既に販売用容器内に収容してあることを容易に確認することができるから、誤認を回避し、より円滑に購買可能となり、一段と付加価値を高めたものとすることができる。
【0012】
増粘型タレ部分が、醤油70ないし90、望ましくは86.3wt%、鰹節エキス2ないし8、望ましくは5wt%、増粘安定剤3.5ないし1.0、望ましくは2.7wt%、アルコール3ないし9、望ましくは6wt%の割合に混合してなるものや、該増粘安定剤をキサンタンガムとしたものは、ダシ浸漬加工野菜、例えば「やまがたのだし」部分よりも粘度を高める調整作業を容易なものとすることができる上、刻み野菜の浅漬けとしたダシ浸漬加工野菜部分の調味に良く合い、該増粘型タレ部分とダシ浸漬加工野菜部分とを適宜割合にて混合することにより、御飯や麺類に留まらず、豆腐や納豆、その他の食品にも利用可能となる外、和風タルタルソースとして利用することも可能なものとなり、その応用範囲を格段に広めたものとすることができる。
【0013】
ダシ浸漬加工野菜部分が、少なくとも胡瓜45ないし65、望ましくは55.1wt%、茄子14ないし20、望ましくは17wt%、ねぎ4ないし10、望ましくは7.1wt%、みょうが1ないし7、望ましくは4wt%、大葉1ないし3、望ましくは2.3wt%、昆布0.5ないし1.5、望ましくは1wt%、水7ないし12、望ましくは9.245wt%、塩0.5ないし1.5、望ましくは0.9wt%、日持ち向上剤0.5ないし1.5、望ましくは1wt%、グルタミン酸ナトリウム0.25ないし0.7、望ましくは0.5wt%、キサンタンガム0.05ないし0.15、望ましくは、0.1wt%、グアガム0.0001ないし0.01、望ましくは0.005wt%、アルコール0.05ないし0.3、望ましくは0.25wt%の割合に混合してなるものは、各野菜の新鮮な食感や風味を最も効果的に味わうことができ、健康な大人ばかりでなく、咀嚼・嚥下力に劣る幼児や高齢者などを含む幅広い客層に好評を得られるものとすることができる。
【0014】
そして、ダシ浸漬加工野菜部分が90ないし99、望ましくは96.5wt%、増粘型タレ部分が1ないし10、望ましくは3.5wt%の重量割合とするよう充填してなるものは、ダシ浸漬加工野菜部分と増粘型タレ部分とのバランスを最も幅広い消費者に好まれるものとし、一段と付加価値に秀れたものとすることができるという大きな効果を奏することになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
販売用容器は、対象食品となる複数の農水産物からなるダシ浸漬加工野菜、例えば例えば「やまがたのだし」部分、および、増粘型タレ部分を同じ一つの器内に衛生的に収容、密閉可能とする機能を担い、その一部または全部が透明なものとすべきであり、合成樹脂製容器、合成樹脂製袋、ガラス容器、缶詰め容器、陶器、その他の容器、またはそれらの組合せなどの何れかとするのが良く、ボール型、丼型、茶碗型、カップ型、ボトル型、パウチ型などの密閉可能な容器類の何れかとすることができ、上端開口の合成樹脂製容器とし、その開口縁に密閉蓋を剥離可能に熔着してなるものとすることができる外、後述する実施例に示すように、透明合成樹脂製の本体容器の開口縁に、同じく透明合成樹脂製の密閉蓋の周縁が密閉状に嵌着可能なものとし、その周縁に沿って粘着テープなどを巻き付け、または、密閉蓋から本体容器に上下に掛け渡すよう貼着し、密閉したものなどとすることが可能であり、該本体容器は、透明素材製のものとすることができる外、不透明樹脂製またはそれ以外の不透明素材製のものとすることができ、密閉蓋は、透明な素材製のものとし、無色透明な合成樹脂製やガラス製のものとするのが良い。
【0016】
ダシ浸漬加工野菜、例えば「やまがたのだし」部分は、複数の農水産物が、咀嚼、嚥下し易く、しかも新鮮な食感や風味を味わえるよう品質維持可能とする機能を有し、複数の農水産物の中から選択した複数種を2cm以下、望ましくは5mmないし3mmに角切り状とし、必要に応じて輪切り、みじん切りとし、適宜割合に混合したものとしなければならず、少なくとも2cm以下、望ましくは5mmないし3mmに角切り状とした胡瓜、茄子、適宜厚さに輪切りとしたねぎ、みじん切りしたみょうが、大葉、昆布を適宜割合に混合したものとすべきであり、より具体的には、後述する実施例にも示すように、少なくとも胡瓜45ないし65、望ましくは55.1wt%、茄子14ないし20、望ましくは17wt%、ねぎ4ないし10、望ましくは7.1wt%、みょうが1ないし7、望ましくは4wt%、大葉1ないし3、望ましくは2.3wt%、昆布0.5ないし1.5、望ましくは1wt%、水7ないし12、望ましくは9.245wt%、塩0.5ないし1.5、望ましくは0.9wt%、日持ち向上剤0.5ないし1.5、望ましくは1wt%、グルタミン酸ナトリウム0.25ないし0.7、望ましくは0.5wt%、キサンタンガム0.05ないし0.15、望ましくは0.1wt%、グアガム0.0001ないし0.01、望ましくは0.005wt%、アルコール0.05ないし0.3、望ましくは0.25wt%の割合に混合してなるものとするのが良く、各混合割合を変えると、幅広く好まれる味覚から逸脱する虞がある。
【0017】
増粘型タレ部分は、ダシ浸漬加工野菜、例えば「やまがたのだし」部分に適する調味を可能とし、且つ、少なくとも賞味期限までの期間に渡り、強制的な攪拌を受けるまで、該ダシ浸漬加工野菜と混ざり合わないよう分離状態を維持可能となる機能を有し、該ダシ浸漬加工野菜部分に対して適した量であって、該ダシ浸漬加工野菜部分よりも粘度を高く設定したものとしなければならず、後述する実施例に示すように、販売用容器内の該ダシ浸漬加工野菜部分の上層位置、または、販売用容器内の該ダシ浸漬加工野菜部分の上部中央に収容したものとするのが望ましく、より具体的には、醤油70ないし90、望ましくは86.3wt%、鰹節エキス2ないし8、望ましくは5wt%、増粘安定剤3.5ないし1.0、望ましくは2.7wt%、アルコール3ないし9、望ましくは6wt%の割合に混合してなるものとすることができ、各混合割合を変えると、幅広く好まれる味覚から逸脱する虞があり、しかもダシ浸漬加工野菜部分よりも高い粘性に調整できなくなる虞がある。
【0018】
増粘安定剤は、少なくとも粘型タレ部分の粘度を高めると共に、ダシ浸漬加工野菜、例えば「やまがたのだし」部分よりも高い粘度に調整する機能を分担し、例えば、寒天、ゼラチン、アルギン酸、カロブビーンガム、タマリンドシードガム、タラガム、アラビアガム、澱粉、ペクチン、グアガム、キサンタンガム、カラギナン、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースの中、少なくとも何れか1つとすることが可能であり、表現を変えて示すと、増粘多糖類とすることができ、また、ダシ浸漬加工野菜部分に添加するキサンタンガムも、前記増粘安定剤とすることができる各種材料の何れか1または複数種に置き換え可能である。
【0019】
さらに、ダシ浸漬加工野菜、例えば「やまがたのだし」部分と増粘型タレ部分との割合は、その味覚や触感などを考慮すると、ダシ浸漬加工野菜部分が、90ないし99望ましくは96.5wt%、増粘型タレ部分が1ないし10、望ましくは3.5wt%の重量割合とするよう充填してなるものとすべきである。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図面は、この発明の容器詰め食品の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【
図1】断面化した容器詰め食品を示す正面図である。
【
図2】断面化したその他の容器詰め食品を示す正面図である。
【実施例1】
【0021】
図1に示す事例は、販売用容器1内に、複数の農水産物の中から選択した複数種を2cm以下、望ましくは5mmないし3mmに角切り状とし、必要に応じて輪切り、みじん切りとし、適宜割合に混合したダシ浸漬加工野菜、例えば「やまがたのだし」部分2を収容し、同販売用容器1内の該ダシ浸漬加工野菜部分2の余となる他部に、該ダシ浸漬加工野菜部分2よりも粘度が高い増粘型タレ部分3の適量を収容し、密閉状とした容器詰め食品であって、該増粘型タレ部分3の粘性をダシ浸漬加工野菜部分2よりも高く設定し、販売用容器1内への充填、輸送、販売に及ぶ、少なくとも賞味期限までの期間に渡り、強制的な攪拌を受けるまで、該ダシ浸漬加工野菜」部分2と増粘型タレ部分3との分離状態を維持可能なものとしてなる、この発明の容器詰め食品における代表的な一実施例を示すものである。
【0022】
同
図1からも明確に把握できるとおり、この発明の容器詰め食品は、販売用容器1の透明合成樹脂製、天面開口の本体容器10内に、少なくとも2cm以下、望ましくは1cm、さらに望ましくは5mmないし3mmに角切り状とした胡瓜、茄子、2mm幅に輪切りとしたねぎ、3mm角にみじん切りしたみょうが、5mm角にみじん切りした大葉、3mm角にみじん切りした昆布を下記割合に混合したダシ浸漬加工野菜、例えば「やまがたのだし」部分2を収容し、同販売用容器1内の該ダシ浸漬加工野菜部分2の最上位全面に、該ダシ浸漬加工野菜部分2よりも粘度が高い増粘型タレ部分3の適量を所定厚みの水平層状とするよう収容し、透明合成樹脂製の密閉蓋11にて密閉状とした容器詰め食品であって、該増粘型タレ部分3の粘性をダシ浸漬加工野菜部分2よりも高く設定したものである。
【0023】
前記ダシ浸漬加工野菜、例えば「やまがたのだし」部分2は、下記表1に示すように、胡瓜55.1wt%、茄子17wt%、ねぎ7.1wt%、みょうが4wt%、大葉2.3wt%、昆1wt%、水9.245wt%、塩0.9wt%、日持ち向上剤1wt%、グルタミン酸ナトリウム0.5wt%、キサンタンガム0.1wt%、グアガム0.005wt%、アルコール0.25wt%の割合に混合してなるものである。
【表1】
【0024】
前記増粘型タレ部3は、下記表2に示すように、醤油86.3wt%、鰹節エキス5wt%、キサンタンガム2.7wt%、アルコール6wt%の割合に混合してなるものである。
【表2】
【0025】
当該容器詰め食品の透明な販売用容器1内への充填割合は、ダシ浸漬加工野菜、例えば「やまがたのだし」部分2が96.5wt%、増粘型タレ部分が3.5wt%の重量割合とするよう充填してなるものであり、
図2に示すように、販売用容器1本体容器10内に充填したダシ浸漬加工野菜部分2の上部中央に、増粘型タレ部分3の適量を集合塊状に収容したものとすることができる。
【0026】
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明の容器詰め食品は、
図1または
図2に示すように、透明合成樹脂製の販売用容器1本体容器10および密閉蓋11内に充填したダシ浸漬加工野菜、例えば「やまがたのだし」部分2の、上層位置か上部中央かの何れか一方に増粘型タレ部分3を収容してなるものとすることにより、別途包装した調味料を不要とし、生産コストおよび商品管理コストを大幅に削減することができる上、顧客は、店頭に陳列された当該容器詰め食品の外観から、増粘型タレ部分3が販売用容器1内に充填済みであることを簡便に目視することができるから、調味料を調達する手間を省くことができ、小分け調味料の買い忘れや、誤って落下・紛失してしまったりするのを確実に防止できるという付加価値を与え、より経済的なものとして販売可能なものとすることができる。
【0027】
図1に示すように、販売用容器1内の該ダシ浸漬加工野菜、例えば「やまがたのだし」部分2の最上位全面に、増粘型タレ部分3を所定厚みの水平層状とするよう収容した容器詰め食品は、垂直振動や水平振動を受けた場合に、両者が交錯するような流動をより抑制できるものとなるから、長距離輸送などにも耐え得る安定品質を確保し易いという特徴をもつものとなる。
【0028】
また、
図2に示すように、販売用容器本体容器10内に充填したダシ浸漬加工野菜、例えば「やまがたのだし」部分の上部中央に、増粘型タレ部分3の適量を集合塊状に収容した容器詰め食品は、粘性の高い増粘型タレ部分が、密閉蓋11内側面に密着する塊状となって固定し、ダシ浸漬加工野菜部分2の流動を抑止するものとなり、輸送中の振動などによって両者が攪拌・混合してしまうのをより確実に防止することができる上、顧客が、密閉蓋11を開封し、箸やスプーンなどでダシ浸漬加工野菜部分2と増粘型タレ部3とを強制的に攪拌・混合するまで、両者が分離状態を維持するものとなり、さらに、攪拌操作する場合には、簡単な攪拌操作によって中央の増粘型タレ部3の殆ど全てをダシ浸漬加工野菜部分2に効率的に混合することができ、速やかにより均一に攪拌することができるという効果が得られるものとなる。
【0029】
(結 び)
叙述の如く、この発明の容器詰め食品は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの包装食品技術に比較して大幅に包装用部品点数、および包装工数を減少して生産コストを削減し、軽量且つ低廉化して遥かに経済的なものとすることができる上、顧客の開封操作の手間を省き、ゴミの発生量を大幅に縮減し得るものとなることから、生産コストを低く抑制し、より経済的に販売したい食品流通および販売境界はもとより、包装の開封操作の煩わしさを解消し、ゴミの発生量を抑えたい一般家庭においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【符号の説明】
【0030】
1 販売用容器
10 同 本体容器
11 同 密閉蓋
2 ダシ浸漬加工野菜部分
3 増粘型タレ部分