(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1から
図13を参照して本実施の形態における照明器具を説明する。本実施の形態では、本発明に係わる照明器具の一例として天井などの被取付部に取り付けられる、逆富士形の照明器具について説明する。
【0010】
***構成の説明***
図1及び
図2に示すように、照明器具300は、被取付部に当接するように設置される器具本体100と、器具本体100に脱着可能に取り付けられる光源ユニット200から構成されている。
【0011】
図2に示すように、器具本体100は、光源ユニット200を固定するためのバネ部130と、照明器具300の外部から引き込まれた電源電線が接続される端子台140を備えている。器具本体100は、長手方向に沿って略中央部に、光源ユニット200の収容部である長尺形状の凹部111が形成されている。
【0012】
図4に示すように、器具本体100は、本体部110と、端板120−1と、端板120−2とを備える。
図4、
図7のように、凹部111は、長尺形状をなす平板形状の平板部112と、平板部112の長手方向に沿う一方の平板端部112aから立ち上がる平板形状の第一の側壁部113−1と、平板部112の長手方向に沿う他方の平板端部112bから立ち上がる平板形状の第二の側壁部113−2とから成る凹形状をなす。
図4、
図7のように、凹部111とは、平板部112、第一の側壁部113−1,第二の側壁部113−2で構成され、断面がコの字形状で、長手方向の範囲118にわたり形成される凹形状の部分である。凹部111は、光源ユニット200が取り付けられると共にその凹形状の内部に光源ユニット200の基板固定部材400が収納される。器具本体100は、
図12に示すように、相手部材500(造営材)に、第一の側壁部113−1及び第二の側壁部113−2の立ち上がる立上方向113dに先端部610が突き出す突出し取付部600によって取り付けられる。また、凹部111の開口の長手側辺それぞれから平板部112方向へ広がるように傾斜する傾斜部114−1,114−2が形成されている。なお、
図4に示すように、長手方向の両側には、凹部111及び傾斜部114−1,114−2を覆うように、端板120−1,120−2が取り付けられている。
【0013】
図2に示すように、器具本体100の平板部112には、バネ部130と端子台140が取り付けられる。平板部112には商用電源からの電力供給を受けるための電源線を引き込む複数の電源引込孔112cと、ボルトなどの突出し取付部600により被取付部である相手部材500へ固定する為の複数の固定孔112d(
図2では4つ)が形成されている。
【0014】
図3に示すように、光源ユニット200は、長尺形状である。
図3、
図5に示すように、光源ユニット200は、発光素子基板210、保持部220、カバー部230、光源蓋部240、連結金具250、点灯装置270、基板固定部材400を備えている。
(1)発光素子基板210は、複数の発光素子211と、複数の発光素子211が実装される基板212とを有する。この実施の形態では発光素子211はLEDである。発光素子基板210は、照明器具300の長手方向(
図1)と略同等となるように長尺形状に形成されており、複数の発光素子211は基板212の長尺方向へ並ぶよう配設されている。
(2)保持部220には、発光素子基板210が取り付けられる。
(3)カバー部230は、発光素子基板210を覆うように保持部220に取り付けられて、発光素子基板210から照射される光を拡散制御する。
(4)光源蓋部240は、カバー部230の端部を覆う。
(5)連結金具250は、バネ部130と連結することで、光源ユニット200を器具本体100に取り付ける。
(6)点灯装置270は、発光素子基板210の発光素子211を点灯させる。
(7)基板固定部材400は、発光素子基板210を保持部220に固定する。
【0015】
図5に示すように、発光素子基板210は、複数の発光素子211と、複数の発光素子211を実装する基板212を有している。また、基板212は、長手方向に沿う一方の基板端部212−1、他方の基板端部212−2に、凸部213と凹部214が複数形成されている。凸部213および凹部214は基板212の長手方向に対して対称になるように、一方の基板端部212−1と、他方の基板端部212−2とに対に配設されている。凹部214における基板212の短手方向の2箇所の周縁は、基板212が取付部221に対して取付部221の長手方向にずれようとする場合に、第一の貫通孔224−1を貫通した第一の突起部410に押し当たる突起当接部215である。このように、発光素子基板210は突起当接部215を有する。
【0016】
図5、
図7に示すように、保持部220は、取付部221、第一の側面部222−1、第二の側面部222−2を有する。取付部221は長尺形状の平板状である。取付部221は略矩形状をなしており、一方の面221aに発光素子基板210が取り付けられる。第一の側面部222−1は、長尺形状をなす取付部221の長手方向に沿う一方の取付端部221cから発光素子基板210とは反対方向に起立する。第二の側面部222−2は、取付部221の長手方向に沿う他方の取付端部221dから、第一の側面部222−1に対向するように、発光素子基板210とは反対方向に起立する。
【0017】
図5に示すように、取付部221は、発光素子基板210の短手方向となる発光素子基板210の幅W2に対応して、発光素子基板210の長手方向に沿う一方の基板端部212−1に対応する位置と他方の基板端部212−2に対応する位置とに、複数の貫通孔224−1、224−2が形成されている。なお
図5では、幅W2は2つの凹部214間の寸法である。第一の貫通孔224−1、第二の貫通孔224−2は、保持部220の取付部221に発光素子基板210が配設された時に、凹部214内側に位置するよう配設されている。これらの寸法関係は
図11の説明で後述する。
【0018】
図5に示す基板固定部材400は、
図7に示すように、発光素子基板210が配置される取付部221の一方の面221aの反対側の他方の面221bに配置されて発光素子基板210を取り付けする部材である。基板固定部材400は、第一の側面部222−1と、第二の側面部222−2とに挟まれて保持部220に配置される。
図8に示すように、基板固定部材400は、略箱形状をした部材本体部440と、部材本体部440の一面(
図8に示す底面448)から略垂直方向に対になるように形成された爪部である第一の突起部410、第二の突起部420を備えている。部材本体部440は、発光素子基板210へ電力を供給する電線が嵌め込まれる嵌め込み部441を有する。
図5、
図7、
図8に示すように、第一の突起部410は、突起形状をなすと共に突起形状の先端に第一の押さえ部411を有し、一方の基板端部212−1に対応する位置に形成された第一の貫通孔224−1に第一の押さえ部411から押し込まれる。第二の突起部420は、突起形状をなすと共に突起形状の先端に第二の押さえ部422を有し、他方の基板端部212−2に対応する位置に形成された第二の貫通孔224−2に第二の押さえ部422から押し込まれる。
図7に示すように、基板固定部材400は、第一の貫通孔224−1を貫通した第一の押さえ部411と第二の貫通孔224−2を貫通した第二の押さえ部422とで発光素子基板210の一方の基板端部212−1と他方の基板端部212−2とを押さえる。なお、基板固定部材400は、ポリカーボネートなどの樹脂部材から形成されている。
【0019】
図8に示すように、部材本体部440は、第一の突起部410、第二の突起部420が形成された面(以下、底面448(
図5))の反対面(以下、上面449(
図8))に、上面449から底面448の方向へ切り込まれ、互いに対向する複数のスリット(
図8では3つ)が形成されており、これらのスリット(切り込み)が嵌め込み部441を形成している。部材本体部440の底面448から上面449まで立ち上がり高さは、保持部220の第一の側面部222−1、第二の側面部222−2の立ち上がり高さと略同じ高さに形成されている。これについては
図12の説明で後述する。
【0020】
図8に示すように、第一の突起部410は、底面448から略垂直方向に突起形状に形成されており、先端に第一の押さえ部411を有する。第二の突起部420は、底面448から略垂直方向に突起形状に形成されており、先端に第二の押さえ部422を有する。第一の押さえ部411と第二の押さえ部422とは、それぞれ第二の突起部420、第一の突起部410の方に、向かい合う出っ張り形状である。第一の突起部410と第二の突起部420との間隔(
図6に示す幅W11,幅W22)は、保持部220に複数形成された貫通孔のうち、保持部220の短手方向で隣接する貫通孔同士の間隔と略同じになる。これらの寸法関係は
図11の説明で後述する。
【0021】
図9に示すように、基板固定部材400は、器具本体100の固定孔112dと対面する位置の取付部221に設置される。
図9では4つの固定孔112dのうち2つの固定孔112dに、器具本体100を相手部材に固定する突出し取付部600が配置された場合を示している。
【0022】
図5、
図7を参照してカバー部230を説明する。カバー部230は、カバー爪部231、反射部232、水平部233、拡散部234を備えており、ポリカーボネートなどの樹脂部材で形成された長尺形状である。
(1)カバー爪部231は、保持部220の第一の側面部222−1,第二の側面部222−2に係合する。
(2)反射部232は、取付部221の一方の面221aと対向するように形成されている。反射部232は発光素子基板210から出射される光、およびカバー部230内部で拡散された光を反射する。
図7に示すように、対をなすそれぞれの反射部232の水平方向への長さは、基板212の凸部213を覆う長さである。
図7では凹部214を覆っているが、凹部214の長手方向には凸部213があるので、反射部232の長さは凸部213を覆う長さである。それぞれの反射部232は、先端部である第一の当接部232−1、第二の当接部232−2を有し、第一の当接部232−1、第二の当接部232−2が第一の突起部410、第二の突起部420に当たる長さに形成されている。第一の当接部232−1は、第一の貫通孔224−1を貫通した第一の突起部410を一方の基板端部212−1と共に挟む状態で、第一の貫通孔224−1を貫通した第一の突起部410に当たる。第二の当接部232−2は、第二の貫通孔224−2を貫通した第二の突起部420を他方の基板端部212−2と共に挟む状態で、第二の貫通孔224−2を貫通した第二の突起部420に当たる。
(3)水平部233は、カバー爪部231の取付部221の側端部から取付部221の外側に向かって水平に形成されている。
(4)拡散部234は、水平部233の端部から発光素子基板210を覆うように略円弧形状をなす。
【0023】
光源蓋部240は、カバー部230の水平部233と拡散部234と、保持部220の取付部221から構成される端部を塞ぐ。
【0024】
図13に示すように、連結金具250は、断面が略L形状に形成されており、開口であるバネ挿入部250a−1が形成されている。
【0025】
点灯装置270は、端子台140を介して商用電力からの電力を発光素子基板210に供給し、発光素子211を点灯させる。点灯装置270から発光素子基板210へ電力を供給する為の電線は、基板固定部材400の部材本体部440に形成された嵌め込み部441に嵌め込む。これにより、電線が束ねられ、保護される。
【0026】
***組立動作の説明***
次に、発光素子基板210、保持部220、基板固定部材400、カバー部230の組み立てを説明する。
(1)
図11は
図5のX方向矢視であるが、
図11のように、はじめに、発光素子基板210を、保持部220の第一の貫通孔224−1、第二の貫通孔224−2が基板212の凹部214に位置するように、発光素子基板210に対して保持部220に配置する。
図11には、第一の貫通孔224−1、第二の貫通孔224−2、凹部214を示している。また、二点鎖線で、第一の押さえ部411、第二の押さえ部422を示した。貫通孔どうしの内側寸法を示す幅W1(IN)、内側寸法を示す幅W1(OUT)、凹部214どうしの寸法を示す幅W2を示した。また第二の貫通孔224−2の長手方向の寸法L1を示した。第一の貫通孔224−1も第二の貫通孔224−2と同様である。
図11では、幅W1(IN)は幅W2よりも同じか若干長く、また、寸法L1は、第二の貫通孔224−2の長手方向の長さよりも若干短い。また、幅W1(IN)、幅W1(OUT)、寸法L1は、基板固定部材400の寸法W11、W22(
図6)及び寸法W33(
図8)を示した。貫通孔の寸法は、基板固定部材400の寸法W11、W22(
図6)及び寸法W33との関係で決められる。
(2)次に、発光素子基板210が保持部220に対して配置された後、他方の面221bから、貫通孔に基板固定部材400の第一の突起部410、第二の突起部420を、先端部である第一の押さえ部411、第二の押さえ部422から押し込んで嵌め込む(
図5、
図7)。第一の突起部410、第二の突起部420を貫通孔に嵌め込むと、第一の押さえ部411、第二の押さえ部422が、基板212を保持部220の一方の面221aに押し付けるように挟み込む。また、第一の突起部410、第二の突起部420が凹部214に位置することで、基板212の長手方向、短手方向へのズレが防止される。
(3)次に、
図7に示すような、拡散部234が発光素子基板210を覆うように、カバー部230を保持部220に係合させて、カバー部230を保持部220に固定する。このとき、
図7に示すように、反射部232が基板212の凸部213、凹部214を覆い、また反射部232の第一の当接部232−1、第二の当接部232−2が第一の突起部410、第二の突起部420に当たることで、第一の突起部410、第二の突起部420の動きを抑制し、基板固定部材400が、保持部220からはずれるのを防止できる。
【0027】
図12に示すように、光源ユニット200は、第一の側面部222−1及び第二の側面部222−2の起立する起立方向222dが、第一の側壁部113−1及び第二の側壁部113−2の立上方向113dに沿うように器具本体1000に取り付けられる。基板固定部材400は、起立方向222dにおける第一の側面部222−1及び第二の側面部222−2の頂上部222−T1,222−T2以上に起立方向222dに位置して突出し取付部600の先端部610に対向する先端対向部444を有する。
図12に示す寸法T1は、第一の側面部222−1の、他方の面221bから第一の側面部222−1の頂上部222−T1までの長さである。寸法T2は、第二の側面部222−2の、他方の面221bから第二の側面部222−2の頂上部222−T2までの長さである。寸法T3は、基板固定部材400の、他方の面221bから先端対向部444までの長さである。この実施の形態では、先端対向部444は上面449の一部が兼ねている。
図12において寸法T1と寸法T2とは、ほぼ同じ長さである。寸法T3は、寸法T1と寸法T2とより長い。よって突出し取付部600の先端部610は、先端対向部444である上面449によって他方の面221bの方向への突出しが制限されるので、先端部610が、他方の面221bからの寸法が寸法T1あるいは寸法T2の領域に入り込むことはない。
【0028】
***効果の説明***
本実施の形態によれば、
第一に、第一の突起部410、第二の突起部420、嵌め込み部441を有する基板固定部材400により発光素子基板210を保持部220に固定することで、基板212を損傷させずに、簡易に保持部220に固定できる。
第二に、カバー部230の反射部232の第一の当接部232−1、第二の当接部232−2が第一の突起部410、第二の突起部420に当接するので、第一の突起部410、第二の突起部420が貫通孔から抜けるのを防止できる。
第三に、基板212が凸部213及び凹部214を備えており、凹部214に第一の突起部410、第二の突起部420が嵌め込まれる構成であるので、カバー部230の反射部232を、基板212の凸部213を覆うように大きく、広く形成することができる。
第四に、基板固定部材400は嵌め込み部441を有するので、保持部220に配設された点灯装置270から発光素子基板210へ電力を供給する電線などを嵌め込み部441に収めることで、複数の電線を束ねることができる。よって保持部220における取付部221、第一の側面部222−1及び第二の側面部222−2とで形成される凹部形状の凹部形状内のスペースを有効に使用できる。
第五に、基板固定部材400を、保持部220の器具本体100の固定孔112dと対面する位置に設置することで、器具本体100を被取付部(造営部材)に取り付けるボルトなどの突出し取付部600が保持部220の凹部形状の内部へ挿入することを防止できる。
【0029】
なお、本実施の形態の変形例として、基板固定部材400は、
図10に示すように第一の突起部410、第二の突起部420が対称形状でなくともよい。また、嵌め込み部441が横側面に形成されていても良い。
図10(a)は、第一の突起部410、第二の突起部420が底面448の領域の内部から突き出る形状である。
図10(b)は、第二の突起部420が2個に分割され、第一の突起部410が側面の全部ではなく一部分をなす形状である。
図10(c)は、嵌め込み部441が底面448に略平行なスリット状に形成された形状である。
【0030】
なお、本実施の形態では、基板212を凸部213と凹部214を有する形状として説明を行った。しかし、凹部は貫通孔と連通して、第一の突起部410、第二の突起部420が嵌め込まれるような開口形状でもよい。また、凸部は凹部より外側に形成されているものであれば良い。
【0031】
なお、本実施の形態は、長孔形状をした貫通孔に関して説明を行ったが、第一の突起部410、第二の突起部420が嵌め込まれる形状であれば良い。
【0032】
なお、本実施の形態の変形例として、基板212の凸部213を設けずに、光源蓋部240により基板212の長手方向へのずれを防ぐように構成しても良い。また、カバー部230の反射部に凸部、凹部を設けても良い。
【0033】
なお、本実施の形態の変形例として、基板212の凸部213を設けずに、光源蓋部240により基板212の長手方向へのずれを防ぐように構成しても良い。この場合、
図14に示すように、基板212は凹部214の幅の矩形形状でよく、その短手方向の幅は、
図5の凹部214間の幅W2と略同じである。
【0034】
基板固定部材400に保護される電線は、点灯装置270から発光素子基板210へ電力を送る電線について説明したが、商用電源から点灯装置270へ電力を供給するFケーブルや調光のための信号線などの電線でもよい。また嵌め込み部441の形状をコネクタを保持できるようにして嵌め込み部441でコネクタを保持しても良い。このように基板固定部材400の嵌め込み部441には、電線やコネクタ等の電気部品が嵌め込まれる。