(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の光偏向器では、質量を有するミラー部を搖動させた場合、反力としてトーションバーをねじる応力がトーションバー及びミラー部に発生する。そして、トーションバーが結合するミラー部の外縁領域に応力が集中し、当該外縁領域で変形を生じさせ、ミラー部の反射面全体の有効利用を阻害する可能性がある。
【0008】
また、特許文献1の光偏向器は、ミラー部を搖動させ、ミラー部の外縁領域で変形を生じさせた場合、ミラー部とミラー部の裏面に形成されたリブとの間で剥離が生じる可能性がある。
【0009】
本発明は、ミラー部を搖動させた場合でも、ミラー部の変形を抑制して、ミラー部の反射面全体の有効利用を図るとともに、ミラー部とミラー部の裏面に形成されたリブとの間の剥離を抑制できる光偏向器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、光を反射する反射面を有するミラー部と、前記ミラー部を支持する支持部と、前記ミラー部が回転軸線の回りに搖動可能なように、前記回転軸線上で、一端部が前記ミラー部と結合し、他端部が前記支持部と結合する一対のトーションバーと、前記ミラー部の前記反射面の反対側の面に形成されたリブとを備え、前記一対のトーションバーの各々は、該トーションバーを挟んで互いに対向し、該トーションバーから延出した一対の補助部を有し、前記リブは、前記一対のトーションバーの各々に対して、前記トーションバーを挟んで互いに対向し、前記ミラー部の外縁から延出した一対のリブ延出部を有し、前記一対のリブ延出部の各々は、前記補助部上に延出して結合するように形成され
、前記補助部は、前記ミラー部と離間し、前記リブ延出部は、前記トーションバー側に、前記ミラー部の外縁との結合部及び前記補助部との結合部が湾曲して形成した窪部を有することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、一対の補助部上に一対のリブ延出部が延出して結合するように形成されているので、ミラー部、リブ延出部、トーションバー及び補助部で囲まれる領域の剛性が高くなる。このため、ミラー部を搖動させた場合、トーションバーに発生したねじれの応力を緩和される領域(応力緩和領域)が、補助部が結合するトーションバーの部分、すなわちミラー部の外部に形成されるので、ミラー部の外縁領域に応力が集中するのを防止できる。
【0012】
従って、本発明は、ミラー部を搖動させた場合でも、ミラー部の変形を抑制できるので、ミラー部に形成される反射面の面積を最大化でき、反射面全体の有効利用を図ることができる。この結果、反射面で反射した光の走査精度の向上、ひいては光により生成される映像の解像度の向上を図ることができる。さらに、本発明は、前記応力の集中を防止できるので、ミラー部とミラー部の裏面に形成されたリブとの間の剥離を抑制できる。
さらに、リブ延出部の窪部内の2つの結合部に生じる応力が小さくなるので、ミラー部の外縁とリブ延出部の外縁との結合部、並びに、補助部の外縁とリブ延出部の外縁との結合部で生じ得る剥離を抑制できる。
【0013】
本発明において、前記リブは、円環状のリブ環状部と、前記リブ環状部を挟んで互いに対向し、前記回転軸線に対して対称で、前記一対のトーションバーの各々と前記ミラー部との結合部を囲むように湾曲する一対のリブ湾曲部とを有し、前記一対のリブ湾曲部の各々は、前記一対のリブ延出部を含むことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、リブ湾曲部が、ミラー部の回転軸線に対して対称で、トーションバー側に湾曲するので、湾曲するリブ湾曲部の凹面部分とミラー部との結合部分に生じる応力は他の凸面部分と比較して小さくなる。従って、ミラー部とリブ湾曲部の凹面部分との結合部分で生じ得る剥離を抑制できる。
【0015】
また、本発明において、円環状のリブ環状部と一対のリブ湾曲部とを有することにより、ミラー部の変形を抑制でき、ミラー部の反射面の平坦性を維持でき、反射面の面積を最大化でき、反射面全体の有効利用を図ることができる。
【0016】
さらに、前記一対のリブ延出部の各々は、前記トーションバー側に、湾曲するように前記補助部上に形成された凹部を有し、前記リブ延出部の前記凹部は、前記補助部が前記トーションバーから延出する方向の前記補助部上に形成されていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、リブ延出部の凹部は補助部がトーションバーから延出する方向の補助部上に形成されているので、湾曲するリブ延出部の凹部と補助部との結合部分に生じる応力が他のリブ延出部と補助部との結合部分と比較して小さくなる。従って、リブ延出部の凹部と補助部との結合部分で生じ得る剥離を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1及び
図2を参照して、本実施形態の光偏向器1の構成を説明する。
【0022】
光偏向器1は、
図1に示されるように、光を反射する反射面10Aを有するミラー部10と、ミラー部10を一対のトーションバー31A,31Bにより支持する環状矩形状の内枠部20と、ミラー部10を内枠部20に対して一対のトーションバー31A,31Bにより、第1回転軸線回り(Y軸線回り)に搖動させる内側圧電アクチュエータ36,38と、内枠部20を支持する外枠部30と、内枠部20を外枠部30に対して第1回転軸線に直交する第2回転軸線回り(X軸線回り)に搖動させる外側圧電アクチュエータ40,42とを備え、2次元走査が可能な2軸型光偏向器である。
【0023】
光偏向器1は、図示しない光源から照射された光を、X軸線回り及びY軸線回りに搖動可能なミラー部10で反射し、走査する。
【0024】
ミラー部10は、Si等により構成された円板状部材である。ミラー部10には、ミラー部10の縁部からY軸方向に互いに対向して延在し、一端部がミラー部10と結合し、他端部が内枠部20と結合する一対のトーションバー31A,31Bが連結されている。
【0025】
ミラー部10は、金属蒸着法等により例えばAl等の金属層が表面に形成された反射面10Aを前面に有する。反射面10Aに対して、図示しない光源からの光が入射され、入射光を反射面10Aにおいてミラー部10の法線の向きに応じた反射角で反射して、走査光として出射する。
【0026】
図2A及び
図2Bに示されるように、ミラー部10の反射面10Aの反対側の面10Bには、Si等で形成されたリブ50が形成されている。リブ50は、ミラー部10の変形を防止し、反射面10Aの平坦性を維持する部材である。
【0027】
内枠部20は、ミラー部10を包囲し、X軸、Y軸それぞれに対して線対称にSi等で形成された略矩形状の枠部材からなる。内枠部20には、ミラー部10の外側でY軸方向両側に配設され、Y軸に沿って延在する一対のトーションバー31A,31Bが連結されている。
【0028】
外枠部30は、内枠部20を包囲し、X軸、Y軸それぞれに対して線対称にSi等で形成された略矩形状の枠部材からなる。外枠部30の内側には、内枠部20のX軸方向両端から外側に延びた、外側圧電アクチュエータ40,42が連結されている。
【0029】
トーションバー31A,31Bは、ミラー部10が第1回転軸線回り(Y軸線回り)に搖動可能なように、第1回転軸線上で、一端部がミラー部10と結合し、他端部が内枠部20と結合するように形成された部材である。
【0030】
各トーションバー31A(31B)は、各トーションバー31A(31B)から両側に延出した補助部32A,32A(32B,32B)を有する。各トーションバー31A(31B)の補助部32A,32A(32B,32B)は、ミラー部10から離間するように形成されている。
【0031】
詳細は後述するが、リブ50がミラー部10の外縁から延出して形成されたリブ延出部51A,51A(51B,51B)が、補助部32A,32A(32B,32B)上に結合されている。
【0032】
光偏向器1は、駆動信号を各圧電アクチュエータ36,38,40,42に個別独立に印加し、第1回転軸線及び第2回転軸線の回りにミラー部10を搖動するように駆動信号を制御する制御装置(図示省略)を備える。制御装置は、CPU,ROM,RAM、並びにI/O回路及びA/D回路等の電子回路等により構成される。
【0033】
外側圧電アクチュエータ40,42はそれぞれ、4つの圧電カンチレバーがミアンダパターン配列で直列に結合されて構成されている。内側圧電アクチュエータ36,38及び外側圧電アクチュエータ40,42のPZT膜を有する積層体の部分は、同じ積層構造で構成されている。
【0034】
各圧電カンチレバー40A〜40D,42A〜42Dは、下層から順に、基板、層間絶縁膜、電極と接する薄膜の密着性を高めるための電極密着膜、下部電極、層間膜、PZT膜、上部電極、電極密着膜、水分や金属イオンから配線や回路素子を保護するための機能を持つパッシベーション膜、導線部及び外層膜から構成された積層体を含む。
【0035】
積層体の材料として、基板はSi等、層間絶縁膜はSiO
2等、電極密着膜はPt等、下部電極及び上部電極はPt、PZT膜の配向性を制御する層間膜はSRO(ルテニウム酸ストロンチウム)、PZT膜はPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、パッシベーション膜はSiO
2、SiN等、導線部はAl等が挙げられる。外層膜の材料として、例えばSiN、SiON、TEOS、SiO
2、Al
2O
3等が挙げられる。
【0036】
積層体は、基板の上に、例えば、スパッタ法、電子ビーム蒸着法、反応性アーク放電を利用したイオンプレーティング法等の公知の方法を用いて、下層から順に成膜することにより形成される。
【0037】
尚、本実施形態では圧電アクチュエータ36,38,40,42を採用しているが、アクチュエータはこれに限定されず、ミラー部10を回転軸線回りに搖動できれば、コイル及び磁石を備える電磁アクチュエータ等を用いることができる。
【0038】
本実施形態のミラー部10、内枠部20、外枠部30、補助部32A,32Bを含むトーションバー31A,31B、アクチュエータ36,38,40,42は、Si等の基板から一体的に形成され、ミラー部10とリブ50、並びに、補助部32A,32Bとリブ50とは、SiO
2等から構成される絶縁膜を介して結合されている。尚、ミラー部10等の他に、リブ50も、Si等の基板から一体的に形成されてもよい。
【0039】
次に、本実施形態の光偏向器1の作動について説明する。本実施形態の光偏向器1を用いた光の走査は、主走査方向(X軸方向)の高速走査、副走査方向(Y軸方向)の低速走査によって実施される。
【0040】
まず、内側圧電アクチュエータ36,38による第1回転軸線回り(Y軸線回り)の揺動について説明する。光偏向器1では、内側圧電アクチュエータ36,38にそれぞれの電極間にそれぞれ第1の電圧、第2の電圧を印加して駆動させると、互いに逆方向に屈曲変形する。尚、第1の電圧と第2の電圧とは、互いに逆位相の交流電圧(例えば正弦波)とする。
【0041】
内側圧電アクチュエータ36,38の屈曲変形により、トーションバー31A,31Bにねじれ変位が生じて、ミラー部10にトーションバー31A,31Bを中心とした回転トルクが作用する。そして、ミラー部10は、トーションバー31A,31Bを回転軸として第1回転軸線回り(Y軸線回り)に搖動する。従って、ミラー部10を搖動させてX軸方向に所定周波数及び所定偏向角で光走査することができる。
【0042】
このとき、内側圧電アクチュエータ36,38では、駆動電圧としてトーションバー31A,31Bを含むミラー部10の機械的な共振周波数付近の周波数の交流電圧を印加して共振駆動させることで、より大きな偏向角で光走査することができる。
【0043】
次に、外側圧電アクチュエータ40,42による第2回転軸線回り(X軸線回り)の揺動について説明する。外側圧電アクチュエータ40,42は、例えば鋸波状の駆動電圧である第1電圧が、奇数番目の圧電カンチレバー40A、40C(42A、42C)に印加される。また、偶数番目の圧電カンチレバー40B、40D(42B、42D)に、第1の電圧とは逆位相の第2の電圧が印加される。
【0044】
奇数番目の圧電カンチレバー40A、40C(42A、42C)を上方向に屈曲変位させた場合、偶数番目の圧電カンチレバー40B、40D(42B、42D)を奇数番目の圧電カンチレバー40A、40C(42A、42C)と逆方向の下方向に屈曲変位させることができる。また、奇数番目の圧電カンチレバー40A、40C(42A、42C)を下方向に屈曲変位させた場合、偶数番目の圧電カンチレバー40B、40D(42B、42D)を上方向に屈曲変位させることができる。従って、ミラー部10を支持する内枠部20を第2回転軸線回り(X軸線回り)に搖動させることができる。
【0045】
上記の通り、ミラー部10を回転軸線回りに搖動させた場合、トーションバー31A,31Bにねじれの応力が加えられる。そこで、本実施形態の光偏向器1のミラー部10の裏面10Bには、ミラー部10の変形を抑制するために、リブ50が形成されている。
【0046】
本実施形態のリブ50について、
図3を用いて説明する。
図3は、本実施形態のリブ50を説明するための、ミラー部10及びトーションバー31A,31Bの簡略図である。
図3では左側にミラー部10及びトーションバー31A,31Bを裏面10B側から見た簡略図、右側にミラー部10及びトーションバー31A,31Bの側面簡略図が示されている。
【0047】
図3に示されるように、リブ50は、円環状のリブ環状部52と、リブ環状部52を挟んで互いに対向し、回転軸線(Y軸線)に対して対称で、トーションバー31A,31Bの各々とミラー部10との結合部を囲むように湾曲(凹湾曲)する一対のリブ湾曲部54A,54Bとを有する。尚、リブ環状部52の形状は、円環状に限定されず、例えば楕円状に形成してもよい。
【0048】
リブ湾曲部54A(54B)には、トーションバー31A(31B)に対して、トーションバー31A(31B)を挟んで互いに対向し、ミラー部10の外縁から延出した一対のリブ延出部56A,56A(56B,56B)が両端部に形成されている。
【0049】
一対のリブ延出部56A,56A(56B,56B)の各々は、補助部32A,32A(32B,32B)上に延出して結合するように形成されている。
図3の右図に示されるように、例えばSiから構成されるリブ50、ミラー部10及びトーションバー31A,31Bにおいて、リブ50は、ミラー部10及びトーションバー31A,31Bに対して、SiO
2等から構成される絶縁層60を介して結合される。
【0050】
尚、リブの形状は、
図3に示された、円環状のリブ環状部52と、湾曲する一対のリブ湾曲部54A,54Bとに限定されない。例えば、ミラー部10を搖動させた場合にミラー部10の変形を抑制できることを条件に、一対のリブ延出部の各々は、補助部32A,32A(32B,32B)上に延出して結合するように形成されていれば、リブの形状を、2本の直線状のリブ50’,50’(
図4A参照)、井桁状のリブ50”(
図4B参照)等に形成してもよい。
【0051】
次に、ミラー部10を搖動させた場合において、トーションバー31A(31B)の補助部32A,32A(32B,32B)及びリブ湾曲部54A(54B)の効果について
図5〜
図6を用いて説明する。
図5は、補助部32A,32A(32B,32B)の有無により、ミラー部10を搖動させた場合における、
図1のX軸及びY軸に直交する方向への変位に与える影響を説明する図である。
【0052】
詳細には、
図5Aは、本実施形態の光偏向器1、すなわち、補助部32A,32A(32B,32B)及びリブ湾曲部54A(54B)がある場合の光偏向器1を裏面から見た図(上段)、静止状態、すなわち、ミラー部10を搖動させる前の光偏向器1のミラー部10及びトーションバー31A,31BのY軸断面図(中段)、及び、ミラー部10を搖動させた場合の光偏向器1のミラー部10及びトーションバー31A,31BのY軸断面図(下段)を示している。
【0053】
図5Bは、補助部32A,32A(32B,32B)及びリブ湾曲部54A(54B)が形成されていない比較例の光偏向器1’を裏面から見た図(上段)、静止状態、すなわち、ミラー部10を搖動させる前の光偏向器1’のY軸断面図(中段)、及び、ミラー部10を搖動させた場合の光偏向器1’のミラー部10及びトーションバー31A’,31B’のY軸断面図(下段)を示している。
【0054】
図5Cは、補助部32A,32A(32B,32B)が形成されず、ミラー部10の外縁から突出した突出部12A,12A(12B,12B)上にリブ延出部56A,56A(56B,56B)が結合するように形成された他の比較例の光偏向器1”を裏面から見た図(上段)、及び、ミラー部10を搖動させた場合の光偏向器1”のミラー部10及びトーションバー31A”,31B”のY軸断面図(下段)を示している。
【0055】
図6Aは本実施形態の光偏向器1(
図5A参照)の応力緩和領域70を説明する図、
図6Bは他の比較例の光偏向器1”(
図5C参照)の応力緩和領域70’を説明する図である。
【0056】
図5Aに示されるように、ミラー部10を回転軸線回りに搖動させた場合、Y軸に沿って、ミラー部10の外縁から補助部32A(32B)までの領域以外のトーションバー31A(31B)が変形するのに対して、ミラー部10の領域を含む補助部32Aから補助部32Bまでの領域は変形しないことがわかる。従って、ミラー部10の前面全体を反射面10Aとして利用でき、さらに反射面10A全体の有効利用を図ることができる。
【0057】
一方、
図5Bに示されるように、補助部32A,32A(32B,32B)及びリブ湾曲部54A(54B)が形成されていない光偏向器1’のミラー部10を回転軸線回りに搖動させた場合、リブ環状部52及びその内側のミラー部10の変形を抑制できる。しかしながら、リブ環状部52より外側のミラー部10の領域は、変形することがわかる。
【0058】
本実施形態の光偏向器1では、リブ延出部56A,56A(56B,56B)が補助部32A,32A(32B,32B)上に延出して結合するように形成されている。そのため、ミラー部10、リブ延出部56A,56A(56B,56B)、トーションバー31A(31B)及び補助部32A,32A(32B,32B)により囲まれる領域の剛性は、リブ延出部及び補助部が形成されていない比較例の光偏向器1’のミラー部10の外縁の領域の剛性と比較して高くなるからである。
【0059】
さらに、
図5Cに示されるように、ミラー部10の外縁から突出した突出部12A,12A(12B,12B)上にリブ延出部56A,56A(56B,56B)が結合するように形成された他の比較例の光偏向器1”のミラー部10を回転軸線回りに搖動させた場合、リブ環状部52及びその内側のミラー部10の領域の変形を抑制できる。しかしながら、
図5Cに示されるように、リブ環状部52より外側のミラー部10の領域は、変形することがわかる。
【0060】
本実施形態の光偏向器1では、ミラー部10、リブ延出部54A,54A(54B,54B)、トーションバー31A(31B)及び補助部32A,32A(32B,32B)により囲まれる領域は剛性が高い。
【0061】
そのため、
図6Aに示されるように、ミラー部10を搖動させた場合、トーションバー31A(31B)に発生したねじれの応力を緩和される領域(応力緩和領域70A(70B))が、補助部32A,32A(32B,32B)が結合するトーションバー31A(31B)の部分、すなわちミラー部10の外部に形成される。その結果、本実施形態の光偏向器1は、ミラー部10に当該応力が集中するのを防止でき、Y軸に沿って、ミラー部10の領域を含む補助部32Aから補助部32Bまでの領域の変形を抑制する。
【0062】
これに対して、
図6Bに示されるように、他の比較例の光偏向器1”のミラー部10を回転軸線回りに搖動させた場合、ミラー部10とリブ湾曲部54A(54B)との結合部分と、ミラー部10のトーションバー31A”(31B”)側の外縁とにより囲まれた領域に、応力緩和領域70’が形成される。その結果、他の比較例の光偏向器1”は、ミラー部10にまで当該応力が伝達されるので、当該応力によりミラー部10の外縁領域は変形する。
【0063】
また、本実施形態の光偏向器1のリブ延出部56A,56A(56B,56B)として、トーションバー31A(31B)の各々とミラー部10との結合部を囲むように湾曲するように補助部32A,32A(32B,32B)上に凹部58A,58A(58B,58B)を形成するとともに、凹部58A,58A(58B,58B)は、補助部32A,32A(32B,32B)がトーションバー31A(31B)から延出する方向の補助部32A,32A(32B,32B)上に形成されるようにしてもよい。
【0064】
ミラー部10を搖動させた場合、
図7Aに示した矢印Aのように、トーションバー31A(31B)のねじれの応力が、補助部32A,32A(32B,32B)を介して補助部32A,32A(32B,32B)上で結合したリブ延出部56A,56A(56B,56B)に伝達される。
【0065】
そのため、凹部58A,58A(58B,58B)により、リブ延出部56A,56A(56B,56B)の凹部58A,58A(58B,58B)と補助部32A,32A(32B,32B)との結合部分が湾曲(凹湾曲)するように形成されているので、凸湾曲していた場合と比較して、当該結合部分に生じる応力を低減させ得る。従って、リブ延出部56A,56A(56B,56B)の凹部58A,58A(58B,58B)と補助部32A,32A(32B,32B)との結合部分で生じ得る剥離を抑制できる。
【0066】
また、本実施形態において、リブ延出部56A,56A(56B,56B)は、トーションバー31A,31B側に開口し、ミラー部10の外縁との結合部80及び補助部32A,32A(32B,32B)の外縁との結合部82が湾曲して形成された窪部59A,59A(59B,59B)を有するように形成されてもよい。
【0067】
ミラー部10を搖動させた場合、
図7Bに示した矢印Bのように、トーションバー31A(31B)のねじれの応力の一部が補助部32A,32A(32B,32B)の外縁に伝達され、補助部32A,32A(32B,32B)の外縁とリブ延出部56A,56A(56B,56B)の外縁とのトーションバー31A(31B)側の結合部80に応力が集中する。
【0068】
また、例えば、
図7Bに示した矢印Cにように、ねじれの応力の一部がミラー部10の外縁に伝達された場合、ミラー部10の外縁とリブ延出部56A,56A(56B,56B)の外縁とのトーションバー31A(31B)側の結合部82に応力が集中する。
【0069】
図7Bの破線の円で囲まれた領域Dの拡大図である
図7Cに示されるように、結合部80,82が湾曲するように形成された窪部59A,59A(59B,59B)を有することにより、窪部59A,59A(59B,59B)内部の結合部80,82に生じる応力が、凹湾曲状に形成されない場合と比較して低減され、結合部80,82で生じ得る剥離を抑制できる。
【0070】
尚、上述した本実施形態の光偏向器1は、例えば、プロジェクタ、レーザプリンタ、レーザーヘッドランプ、ヘッドアップディスプレイ等の光走査装置に用いることができる。