(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の台車では、個々のパッドについてはクローラの周面に固定された状態であるため、パッドの傾きを調整することはできない。このため、配管内の湾曲した内面を走行する際に、走行路の湾曲状態によっては十分な吸着力が得られない可能性がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、磁性体からなる走行面に対して高い吸着力を得ることが可能な検査用台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る検査用台車は、検査用機器が搭載されるベースと、前記ベースに回転可能に設けられた無限軌道帯と、前記ベースに設けられ、前記無限軌道帯を回転させる回転駆動部と、前記無限軌道帯の周方向に複数並んで配置され、先端部が前記無限軌道帯の外周面から突出するように前記無限軌道帯に固定された軸部材と、それぞれの前記軸部材の前記先端部に揺動可能に装着され、磁石を用いて形成され、前記周方向に磁極が交互に異なるように配置されたパッド部とを備える。
【0007】
本発明によれば、パッド部が磁石を用いて形成されるため、鉄などの磁性体からなる走行面に吸着することができる。また、無限軌道帯の周方向に複数並んで設けられた軸部材の先端にパッド部が揺動可能に装着されるため、走行面が傾いていたり湾曲していたりする場合でも、パッド部ごとに傾斜面及び曲面に応じて傾いた状態で吸着される。また、複数のパッド部の磁極が周方向に交互に異なるため、周方向に隣り合うパッド部同士の間で磁気による吸引力が生じる。したがって、例えば無限軌道帯が回転する際、走行面に吸着しようとして走行面に近づくパッド部が、既に走行面に吸着しているパッド部に磁力によって引っ張られる。引っ張られたパッド部は走行面に素早く吸着するため、無限軌道帯全体としての吸着力が向上することになる。このように、鉄などの磁性体からなる走行面に対して高い吸着力を得ることができる。
【0008】
上記の検査用台車は、前記パッド部と前記無限軌道帯との間の位置で保持され、前記パッド部との間で反発力を生じさせる磁石部を更に備える。
【0009】
本発明によれば、パッド部と磁石部との間で生じる反発力が弾性力としてパッド部を走行面側に押し付ける方向に作用する。このため、走行面の小さな凹凸や傾斜に応じてパッド部を傾けることができる。これにより、走行面に対するパッド部の吸着力を向上させることができる。
【0010】
上記の検査用台車において、前記パッド部及び前記磁石部は、対向して配置され、前記パッド部側の対向面よりも前記磁石部側の対向面の方が面積が小さい。
【0011】
本発明によれば、磁石部からパッド部への反発力がパッド部の対向面の外延側ほど弱くなるため、パッド部が傾きやすくなる。これにより、走行面の凹凸や傾きに応じて柔軟にパッドを傾けることができる。
【0012】
上記の検査用台車において、前記軸部材及び前記パッド部は、前記無限軌道帯の幅方向に複数列に設けられる。
【0013】
本発明によれば、パッド部が複数列に設けられるため、無限軌道帯全体としての磁力が大きくなる。これにより、走行面に対する全体的な吸着力が大きくなる。
【0014】
上記の検査用台車において、前記軸部材の複数の列のうち前記ベースに対して外側の列における前記軸部材の長さは、前記ベースに対して内側の列における前記軸部材の長さよりも短い。
【0015】
例えば円管の内面を軸方向に走行する場合、走行面は進行方向の側方に向けてせり上がるように湾曲する。本発明によれば、ベースに対して外側の列における軸部材の長さが、内側の列における軸部材の長さよりも短いため、パッド部が走行面の形状に応じた高さに配置される。これにより、パッド部が走行面に密着しやすくなるため、吸着力が向上する。
【0016】
上記の検査用台車において、前記軸部材は、前記無限軌道帯からの突出量を調整可能に設けられる。
【0017】
本発明によれば、軸部材が無限軌道帯からの突出量を調整可能に設けられるため、径が異なる複数の円管の内面を走行可能となる。
【0018】
上記の検査用台車において、前記パッド部は、前記無限軌道帯の周方向の中央部から端部に向けて、前記無限軌道帯の幅方向の寸法が狭くなるように形成される。
【0019】
本発明によれば、無限軌道帯が回転する際、走行面から外れようとしているパッド部と走行面との間の吸着力が、無限軌道帯の周方向においてパッド部の中央部から端部に向けて小さくなる。これにより、無限軌道帯の周方向においてパッド部が同一の幅で形成される場合に比べて、小さい力でパッド部を走行面から外すことができる。このため、パッド部として強力な磁石を用いた場合であっても、無限軌道帯を回転させる動力を抑えることができる。
【0020】
上記の検査用台車において、前記ベースは、第1方向に並んで配置される第1ベース及び第2ベースを有し、前記第1ベースと前記第2ベースとは、前記第1方向に平行なベース回転軸の軸線周りに個別に回転可能となるように連結され、前記無限軌道帯は、前記第1ベース及び前記第2ベースにそれぞれ設けられ、前記回転駆動部は、前記第1ベースに設けられる前記無限軌道帯の駆動源である第1モータと、前記第2ベースに設けられる前記無限軌道帯の駆動源である第2モータとを有し、前記第1モータ及び前記第2モータは、それぞれのモータ回転軸が前記第1ベース及び前記第2ベースのベース面に平行でありかつ前記第1方向に直交する第2方向に平行になるように配置される。
【0021】
本発明によれば、第1ベース及び第2ベースが第1方向に沿った回転軸の軸線周りに回転可能であるため、例えば第1ベース側と第2ベース側との間で無限軌道帯の角度や段差が異なるような走行面を走行する場合、走行面の状態に応じて第1ベースの無限軌道帯及び第2ベース無限軌道帯を個別に傾けることができる。これにより、無限軌道帯が走行面から外れにくくなるため、無限軌道帯を走行面に対して安定して吸着させることができる。また、第1モータ及び第2モータの配置により、第1ベースと第2ベースとの間で重量のバランスを保持しやすくなる。
【0022】
上記の検査用台車において、前記検査用機器は、前記第1ベースと前記第2ベースとにそれぞれ設けられる。
【0023】
本発明によれば、第1ベースと第2ベースとにそれぞれ検査用機器が設けられるため、第1ベースと第2ベースとの間で重量のバランスを保持しやすくなる。このため、第1ベース側と第2ベース側とで無限軌道帯の走行路の状態が異なる場合等においても、安定して走行することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る検査用台車によれば、磁性体からなる走行面に対して高い吸着性を有する検査用台車を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る検査用台車の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0027】
図1から
図4は、検査用台車100の構成を示す図である。
図1は斜視図、
図2は平面図、
図3は側面図、
図4は正面図である。
図1から
図4に示すように、検査用台車100は、ベース10と、無限軌道帯20と、回転駆動部30と、軸部材40と、パッド部50とを備えている。検査用台車100は、水圧鉄管等の磁性体を含む管の内面を検査する。
【0028】
ベース10には、検査用機器である撮像部S1及び計測部S2が搭載される。
図3及び
図4では、撮像部S1及び計測部S2の図示を省略している。撮像部S1は、検査用台車100の前方を撮像する。計測部S2は、検査対象である管内面の板厚を測定して傷の有無を検査する超音波探傷器や、管内面に形成された塗装膜の膜厚を計測する渦流センサ又は超音波探傷器等を有する。
【0029】
ベース10は、第1方向D1に並んで配置された矩形の第1ベース11及び第2ベース12を有する。第1ベース11及び第2ベース12は、同一寸法に形成される。第1ベース11及び第2ベース12において、ベース面に平行でありかつ第1方向D1に直交する第2方向D2が長手方向である。第1ベース11及び第2ベース12には、それぞれ検査用機器S1、S2が搭載される。
【0030】
第1ベース11と第2ベース12とは、連結部13によって連結されている。連結部13は、シャフト14と、軸受15、16とを有する。シャフト14は、円柱状に形成され、中心軸AX1が第1方向D1に平行になるように配置される。軸受15は、第1ベース11に配置される。軸受16は、第2ベース12に配置される。軸受15と軸受16とは対向して配置される。シャフト14は、軸受15、16により、中心軸AX1の軸線周りに回転可能に支持されている。これにより、第1ベース11及び第2ベース12は、シャフト14の中心軸AX1の軸線周りに個別に回転可能となっている。
【0031】
無限軌道帯20は、第1ベース11及び第2ベース12にそれぞれ設けられる。無限軌道帯20は、例えば複数のリング状部材が無端状に連結されたチェーン部材が用いられるが、これに限定するものではなく、無端状のベルト部材が用いられてもよい。2つの無限軌道帯20は、第1方向D1にベース10を挟む位置に配置される。第1ベース11に設けられる無限軌道帯20は、第1ベース11のうち第1方向D1の外側の端辺11aに沿って設けられる。第2ベース12に設けられる無限軌道帯20は、第2ベース12のうち第1方向D1の外側の端辺12aに沿って設けられる。
【0032】
回転駆動部30は、無限軌道帯20を回転させる。回転駆動部30は、第1モータ31及び第2モータ32を有する。第1モータ31は、第1ベース11に設けられる無限軌道帯20の駆動源である。第2モータ32は、第2ベース12に設けられる無限軌道帯20の駆動源である。第1モータ31及び第2モータ32は、不図示の制御部によって個別に制御される。
【0033】
第1モータ31は、第1ベース11の第1方向D1の中央部に配置される。第1モータ31は、それぞれ長手方向が第2方向D2に沿うように配置される。第1モータ31のモータ回転軸31aは、第2方向D2に伸びている。モータ回転軸31aは、第2方向D2に平行な回転軸AX2の軸回りに回転する。モータ回転軸31aの先端には、歯車31bが固定されている。歯車31bは、モータ回転軸31aと一体で回転軸AX2の軸回りに回転するかさ歯車である。
【0034】
歯車31bは、伝達機構33に連結されている。伝達機構33は、歯車33aと、シャフト33bと、駆動歯車33cとを有している。歯車33aは、歯車31bと噛み合っている。歯車33aは、第1方向D1に平行な回転軸AX4の軸回りに回転するかさ歯車である。歯車33aは、歯車31bの回転に伴って回転する。
【0035】
シャフト33bは、歯車33aに固定されている。シャフト33bは、第1ベース11に設けられた軸受17a及び軸受17bにより、回転軸AX4の軸回りに回転可能に支持されている。なお、
図1には軸受17bの構成を省略している。
【0036】
駆動歯車33cは、シャフト33bの端部に固定されている。駆動歯車33cは、第1ベース11側の無限軌道帯20に噛み合っている。駆動歯車33cは、歯車33a及びシャフト33bと一体で回転軸AX4の軸回りに回転する。
【0037】
また、回転駆動部30は、従動機構35を有する。従動機構35は、従動歯車35a及びシャフト35bを有する。従動歯車35aは、第1ベース11側の無限軌道帯20に噛み合っている。なお、無限軌道帯20は、上記のように駆動歯車33cと従動歯車35aとの間に架け渡されている。従動歯車35aは、第1方向D1に平行な回転軸AX5の軸回りに回転可能である。シャフト35bは、従動歯車35aに固定されている。シャフト35bは、第1ベース11に設けられる軸受17cにより、従動歯車35aと一体で回転軸AX5の軸回りに回転可能に支持される。
【0038】
第1モータ31を回転させた場合、モータ回転軸31a及び歯車31bが回転軸AX2の軸回りに一体で回転する。この回転に伴い、歯車33aが回転軸AX4の軸回りに回転する。歯車33aの回転により、シャフト33b及び駆動歯車33cが歯車33aと一体で回転する。駆動歯車33cの回転により、無限軌道帯20に回転力が伝達され、無限軌道帯20が周方向に回転する。無限軌道帯20の回転に伴い、従動歯車35aが回転する。従動歯車35aの回転により、シャフト35bが従動歯車35aと一体で回転する。シャフト35bは、軸受17cによって回転可能に支持されるため、無限軌道帯20が滑らかに回転する。
【0039】
第2モータ32は、第2ベース12の第1方向D1の中央部に配置される。第2モータ32は、それぞれ長手方向が第2方向D2に沿うように配置される。第2モータ32のモータ回転軸32aは、第2方向D2に伸びている。モータ回転軸32aは、第2方向D2に平行な回転軸AX3の軸回りに回転する。モータ回転軸32aの先端には、歯車32bが固定されている。歯車32bは、モータ回転軸32aと一体で回転軸AX3の軸回りに回転するかさ歯車である。
【0040】
歯車32bは、伝達機構34に連結されている。伝達機構34は、歯車34aと、シャフト34bと、駆動歯車34cとを有している。歯車34aは、歯車32bと噛み合っている。歯車34aは、伝達機構33の歯車33aと共通する回転軸AX4の軸回りに回転するかさ歯車である。歯車34aは、歯車32bの回転に伴って回転する。
【0041】
シャフト34bは、歯車34aに固定されている。シャフト34bは、第2ベース12に設けられた軸受18a及び軸受18bにより、回転軸AX4の軸回りに回転可能に支持されている。なお、
図1には軸受18bの構成を省略している。
【0042】
駆動歯車34cは、シャフト34bの端部に固定されている。駆動歯車34cは、第2ベース12側の無限軌道帯20に噛み合っている。無限軌道帯20は、上記のように駆動歯車34cと従動歯車36aとの間に架け渡されている。駆動歯車34cは、歯車34a及びシャフト34bと一体で回転軸AX4の軸回りに回転する。
【0043】
また、回転駆動部30は、従動機構36を有する。従動機構36は、従動歯車36a及びシャフト36bを有する。従動歯車36aは、第2ベース12側の無限軌道帯20に噛み合っている。従動歯車36aは、従動歯車35aと共通の回転軸AX5の軸回りに回転可能である。従動歯車36aは、無限軌道帯20の回転に従って回転する。シャフト36bは、従動歯車36aに固定されている。シャフト36bは、第2ベース12に設けられる軸受18cにより、従動歯車36aと一体で回転軸AX5の軸回りに回転可能に支持される。
【0044】
第2モータ32を回転させた場合、モータ回転軸32a及び歯車32bが回転軸AX3の軸回りに一体で回転する。この回転に伴い、歯車34aが回転軸AX4の軸回りに回転する。歯車34aの回転により、シャフト34b及び駆動歯車34cが歯車34aと一体で回転する。駆動歯車34cの回転により、無限軌道帯20に回転力が伝達され、無限軌道帯20が周方向に回転する。無限軌道帯20の回転に伴い、従動歯車36aが回転する。従動歯車36aの回転により、シャフト36bが従動歯車36aと一体で回転する。シャフト36bは、軸受18cによって回転可能に支持されるため、無限軌道帯20が滑らかに回転する。
【0045】
例えば、第1モータ31と第2モータ32とを等しい回転速度で回転させることにより、検査用台車100を直進させることができる。第1モータ31の回転速度よりも第2モータ32の回転速度を高くすることにより、検査用台車100を左折させることができる。第2モータ32の回転速度よりも第1モータ31の回転速度を高くすることにより、検査用台車100を右折させることができる。このように、検査用台車100は、走行路を直進方向、左折方向、右折方向に走行可能となっている。
【0046】
軸部材40は、無限軌道帯20の周方向に複数並んで配置される。軸部材40は、無限軌道帯20に設けられた矩形状の固定部21に固定される。なお、固定部21の配置は、軸部材40の配置に応じて予め設定される。また、固定部21の形状は矩形状に限定するものではなく、他の形状であってもよい。
【0047】
軸部材40は、無限軌道帯20の外周面から突出して設けられる。軸部材40は、無限軌道帯20の幅方向に2列に設けられる。軸部材40は、それぞれの列において、無限軌道帯20の周方向に等間隔で配置されている。また、2列の軸部材40は、無限軌道帯20の周方向において、一方の列の隣り合う軸部材40同士の中間に他方の列の軸部材40が位置するように配置される。また、2列のうちベース10に対して外側の列における軸部材40の長さは、ベース10に対して内側の列における軸部材40の長さよりも短い。
【0048】
パッド部50は、それぞれの軸部材40の先端部に揺動可能に装着される。パッド部50は、走行面に当接されるパッド面50aを有する。パッド面50aは、平面状に形成される。パッド部50は、例えばネオジム磁石などの磁石を用いて形成される。したがって、パッド部50は、鉄管の内部など磁性体からなる走行面に吸着するため、このような走行面に対して安定して走行可能となる。パッド部50は、無限軌道帯20の周方向においてパッド面50a側の磁極が交互に異なるように配置される。
【0049】
図5は、軸部材40及びパッド部50を拡大して示す図である。
図6は、
図5に示す軸部材40及びパッド部50を図中上方から見たときの構成を示す図である。
図5に示すように、軸部材40の先端には、拡径部41が形成されている。拡径部41は、先端側に向けて拡径されたテーパ面42を有する。
【0050】
拡径部41には、パッド部50が装着されている。パッド部50は、円筒状に形成されている。パッド部50の内周面51には、逆テーパ形状の傾斜面52が形成されている。傾斜面52の傾斜角は、テーパ面42の傾斜角に応じて設定することができる。パッド部50のうちパッド面50aとは逆側の端面50bには、軸部材40を貫通させるための開口部53が形成されている。開口部53の径は、拡径部41の先端の径よりも小さく、軸部材40の軸部40aの径よりも大きい。このため、パッド部50が先端側に抜けないようになっている。また、開口部53と軸部40aとの間に隙間が形成される。この隙間により、パッド部50は、軸部材40の軸方向に交差する方向に移動可能であり、かつ軸部材40に対して揺動可能となっている。
【0051】
また、軸部材40の基端部43は、無限軌道帯20の固定部21に固定される。軸部材40の基端部43には、ネジ山が形成されている。基端部43は、無限軌道帯20の固定部21に形成される挿入穴21aに挿入される。ナット44によって固定部21に締結されている。軸部材40の高さ方向にナット44の位置を調整することにより、無限軌道帯20の外周面からの軸部材40の突出量を調整することができるようになっている。
【0052】
また、パッド部50と無限軌道帯20との間の位置には、磁石部60が保持される。磁石部60は、円筒状に形成される。磁石部60は、貫通孔61を有する。貫通孔61は、軸部材40の軸部40aを挿通可能に形成される。磁石部60は、貫通孔61に軸部材40が挿通された状態で配置される。貫通孔61の径は、軸部材40の拡径部41の径よりも大きくなっている。これにより、軸部材40に対して磁石部60の抜き差しを容易に行うことができる。
【0053】
磁石部60の端面60aは、パッド部50の端面50bに対向して配置される。磁石部60は、端面60a側の磁極が、パッド部50の端面50b側の磁極と同一になるように設けられる。これにより、パッド部50と磁石部60との間で反発力が生じる。この反発力は、弾性力としてパッド部50を走行面側に押し付ける方向に作用する。よって、走行面の小さな凹凸や傾斜に応じてパッド部50を傾けることができる。これにより、磁性体を含む走行面に対してパッド部50の吸着力を向上させることができる。また、パッド部50が磁石部60側に移動可能であるため、パッド部50毎に走行面の凹凸等を吸収することができる。
【0054】
また、パッド部50の端面50bよりも磁石部60の端面60aの方が面積が小さくなっている。この場合、磁石部60からパッド部50への反発力がパッド部50の端面50bの外延側ほど弱くなるため、パッド部50が傾きやすくなる。これにより、走行面の凹凸や傾きに応じて柔軟にパッド部50を傾けることができる。
【0055】
なお、パッド部50の端面50bと、磁石部60の端面60aとは、相似形に形成されてもよい。この場合、パッド部50がどの方向に傾いても、磁石部60から同程度の反発力を受けることになる。これにより、パッド部50に対して弾性力を安定して作用させることができる。
【0056】
次に、上記のように構成された検査用台車100を用いて検査を行う場合の動作を説明する。
図7は、検査用台車100の使用態様を示す図である。
図7に示すように、作業者は、例えば固定台Sに支持された水圧鉄管Tの内部にマンホールMから検査用台車100を搬入する。検査用台車100は、ケーブル101を介してコントローラ102に接続されている。ケーブル101は、コントローラ102からの指示を検査用台車100に送信可能であり、検査用台車100の検査用機器で得られたデータ等をコントローラ102に送信可能である。なお、コントローラ102は、撮像部S1で得られた画像を表示する不図示の表示部や、計測部S2で得られた計測結果を処理する不図示の処理部に接続される。
【0057】
この状態から、作業者は、マンホールMの外からコントローラ102によって検査用台車100を走行させる。作業者は、検査用台車100に搭載された撮像部S1によって水圧鉄管T内を撮像する。撮像された画像は、不図示の表示部に表示される。作業者は、表示された画像を確認し、適切な経路を選択して検査用台車100を走行させる。また、作業者は、検査用台車100に搭載された計測部S2によって水圧鉄管Tの内面Taを計測する。このとき、内面Taにおける傷の有無や、内面Taに塗装された塗装膜の厚さなどを計測する。計測結果は、ケーブル101を介して不図示の処理部に送信される。
【0058】
図8及び
図9は、検査用台車100が水圧鉄管Tの内面Taに吸着している状態を示す図である。
図8に示すように、検査用台車100は、水圧鉄管Tの内面Taを周方向に走行することができる。この場合、走行面が検査用台車100の進行方向の前後に向けてせり上がるように湾曲する。検査用台車100では、パッド部50が軸部材40の先端に揺動可能に装着されるため、内面Taが湾曲する場合でも、湾曲面に応じて傾いた状態で吸着される。また、パッド部50と磁石部60との間で生じる反発力が弾性力としてパッド部50を内面Ta側に押し付ける方向に作用する。このため、内面Taの湾曲に応じてパッド部50を傾けることができる。これにより、走行面に対するパッド面50aの吸着力を向上させることができる。
【0059】
また、
図9に示すように、検査用台車100は、水圧鉄管Tの内面Taを軸方向に走行することができる。この場合、走行面である内面Taが検査用台車100の進行方向の側方に向けてせり上がるように湾曲する。検査用台車100では、内面Taの湾曲に応じてパッド部50を傾けることができる。また、これに加えて、検査用台車100では、ベース10に対して外側の列における軸部材40の長さが、内側の列における軸部材40の長さよりも短いため、パッド部50が内面Taの形状に応じた高さに配置される。これにより、パッド面50aが内面Taに密着しやすくなるため、吸着力が向上する。
【0060】
図10及び
図11は、検査用台車100が水圧鉄管Tの内面Taを走行する状態を示す図である。なお、
図10及び
図11では、パッド面50a側の磁極をパッド部50内に記載して示している。
【0061】
図10に示すように、無限軌道帯20の周方向に並んだパッド部50の磁極が周方向に交互に異なる。このため、周方向に隣り合うパッド部50同士の間で磁気による吸引力が生じる。したがって、無限軌道帯20が回転する際、内面Taに吸着しようとして内面Taに近づくパッド部50が、既に内面Taに吸着している隣のパッド部50に磁力によって引っ張られる。
【0062】
引っ張られたパッド部50は、
図11に示すように、内面Taに素早く吸着する。そして、この吸着したパッド部50に対して、次に内面Taに吸着しようとするパッド部50が引っ張られる。このため、次のパッド部50についても内面Taに素早く吸着することができる。このように、内面Taに吸着しようとするパッド部50の吸着動作が促進されることになる。このため、無限軌道帯20全体として、内面Taに対する吸着力が向上する。
【0063】
以上のように、本実施形態によれば、パッド部50が磁石を用いて形成されるため、鉄などの磁性体からなる走行面に吸着することができる。また、無限軌道帯20の周方向に複数並んで設けられた軸部材40の先端にパッド部50が揺動可能に装着されるため、走行面が傾いていたり湾曲していたりする場合でも、傾斜面及び曲面に応じて傾いた状態で吸着される。また、複数のパッド部50のパッド面50a側の磁極が周方向に交互に異なるため、周方向に隣り合うパッド部50同士の間で磁気による吸引力が生じる。したがって、例えば無限軌道帯20が回転する際、走行面に吸着しようとして走行面に近づくパッド部50が、既に走行面に吸着しているパッド部50に磁力によって引っ張られる。引っ張られたパッド部50は走行面に素早く吸着するため、無限軌道帯20全体としての吸着力が向上することになる。このように、鉄などの磁性体からなる走行面に対して高い吸着性を有することになる。
【0064】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、パッド部50のパッド面50aが円形に形成された構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではなく、他の形状であってもよい。
【0065】
図12は、変形例に係る検査用台車200の構成を示す平面図である。以下、上記実施形態に記載の検査用台車100と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略化する。
図12に示す検査用台車200のように、複数のパッド部150のパッド面150aの形状は、例えば楕円形であってもよい。
【0066】
図12に示す構成において、パッド面150aの形状は、無限軌道帯20の周方向の中央部から端部に向けて、無限軌道帯20の幅方向の寸法が狭くなるように形成されている。これにより、無限軌道帯20が回転して走行面を走行する際、走行面から外れようとしているパッド部150の吸着力が、無限軌道帯20の周方向においてパッド部150の中央部から端部に向けて小さくなる。これにより、無限軌道帯20の周方向においてパッド部150が同一の幅で形成される場合に比べて、小さい力でパッド部150を走行面から外すことができる。このため、パッド部150として強力な磁石を用いた場合であっても、無限軌道帯20を回転させる動力を抑えることができる。
【0067】
また、上記実施形態では、検査用機器である撮像部S1及び計測部S2がベース10の第1ベース11及び第2ベース12にそれぞれ配置された構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。
図13は、変形例に係る検査用台車400の構成を示す平面図である。
図13に示す検査用台車400では、撮像部S1が取付部材419を介して第1ベース11の前方に配置されている。また、計測部S2が取付部材419を介して第2ベース12の前方に配置されている。
【0068】
このように、取付部材419を介して撮像部S1及び計測部S2を配置することにより、第1ベース11及び第2ベース12上のスペースを効率的に利用することができる。このため、ベース10自体の小型化を図ることができ、又は第1ベース11及び第2ベース12上の空いたスペースに他の検査用機器を搭載することができる。また、第1ベース11及び第2ベース12のそれぞれに取付部材419を取り付けるため、第1ベース11と第2ベース12との間で重量のバランスを保持することができる。このため、第1ベース11側と第2ベース12側とで無限軌道帯20の走行路の状態が異なる場合等においても、安定して走行することが可能となる。
【0069】
また、上記実施形態の構成に加えて、走行面を清掃する清掃機構をベース10に設けた構成としてもよい。
図14は、変形例に係る検査用台車500の構成を示す平面図である。
図14に示す検査用台車500では、ベース10の後方に取付部材519を介して清掃機構Cが取り付けられている。清掃機構Cは、例えば第1ベース11側に取り付けられるが、これに限定するものではなく、第2ベース12側に取り付けられてもよいし、第1ベース11及び第2ベース12の両方に取り付けられてもよい。
【0070】
図15は、第1ベース11に清掃機構Cが取り付けられた状態を示す図である。
図15に示すように、第1ベース11には、ヒンジ部520を介して取付部材519が取り付けられている。取付部材519は、ヒンジ部520の軸を中心として回転移動可能に設けられる。
図15では、取付部材519が第1ベース11の後方に突出した状態となっているが、ヒンジ部520の軸を中心として取付部材519を図中時計回りの方向に回転移動させることにより、取付部材519及び清掃機構Cを第1ベース11上に退避させることが可能となっている。また、
図15に示すように、取付部材519に付勢部材519aを設け、清掃機構Cを内面Ta側に付勢する構成としてもよい。
【0071】
清掃機構Cは、ブラシ部521及びブラシ駆動部522を有している。ブラシ部521は、先端のブラシ毛部521aにより、例えば水圧鉄管Tの内面Ta等の走行面を清掃可能である。ブラシ駆動部522は、モータ523と、減速機524と、出力軸526と、カップリング527と、伝達軸528とを有している。モータ523が回転すると、この回転は減速機524を介して出力軸526から出力される。出力軸526の回転は、カップリング527を介して伝達軸528に伝達され、ブラシ部521を回転させる。ブラシ部521の回転により、ブラシ毛部521aが回転方向に内面Taを摺動する。検査用台車500を走行させた状態でブラシ部521を回転させることにより、内面Taのうち検査用台車500の通過部分が清掃される。これにより、内面Taに付着していた汚れ等を除去することができ、高精度の検査を行うことができる。
【0072】
また、上記実施形態では、軸部材40の先端の拡径部41にはテーパ面42が形成され、パッド部50の内周面51には逆テーパ状の傾斜面52が形成された構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。
図16は、変形例に係る軸部材640及びパッド部650の一例を示す図である。
図16に示すように、軸部材640の先端の拡径部641に半球状の湾曲面642が形成され、パッド部650の内周面651には湾曲面642に対応する半球状の凹面652が形成された構成であってもよい。この構成により、パッド部650が揺動する場合、凹面652が湾曲面642に沿って滑るため、パッド部650を軸部材640に対してより滑らかに揺動させることができる。
【0073】
また、上記実施形態では、パッド部50に対して走行面側に弾性力を付与する構成として、パッド部50と無限軌道帯20との間に磁石部60を配置した構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。
図17は、変形例に係る軸部材40及びパッド部50の構成を示す図である。
図17に示すように、パッド部50と無限軌道帯20の固定部21との間にばね部材760が配置された構成であってもよい。この構成では、ばね部材760の復元力によりパッド部50に対して走行面側に弾性力を付与することができる。