(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記脱穀装置は、前記フィーダよりも左右方向に幅広であるとともに、前記回転体の配置箇所よりも高さが高く、かつ、前記脱穀装置の前部が側面視で前記運転部の後部と前後方向に重複しており、
前記回転体の後部は、前記運転部の後部と前記脱穀装置の前部との間に位置し、
前記カバーは、前記回転体における前記脱穀装置よりも前方に位置する箇所を覆っている請求項2に記載のコンバイン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、環境規制に対応するために、排気処理装置のサイズが大型化する傾向にあり、エンジンルームのスペースが不足しがちとなっていた。そこで、運転部とフィーダとの間のスペースを活用して排気処理装置を配置することが考えられる。
しかし、そのようにした場合、排気処理装置に作物の屑や埃等の塵埃がかかりやすくなる可能性があった。
また、作業者が、フィーダの上に乗ったり、フィーダの上を通って脱穀装置の上に乗ったりしてメンテナンス作業等を行う場合に、排気処理装置が邪魔になる可能性があった。
【0005】
このような実情に鑑み、周囲のレイアウトに影響を与えずに排気処理装置を配置可能なコンバインの提供が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコンバインは、
植立穀稈を刈り取る刈取部と、
前記刈取部の後部側に連結され、刈取穀稈を前記刈取部から後方の脱穀装置に向けて搬送するフィーダと、
前記刈取部の後方、かつ、前記フィーダの側方に位置する運転部と、
前記運転部の下方に位置し、エンジンが収容されるエンジンルームと、
前記エンジンルームに設けられ、前記エンジンから排出される排出ガスを浄化処理する排気処理装置と、が備えられ、
前記排気処理装置は、前記エンジンルームから前記フィーダ側にはみ出しており、
前記運転部と前記フィーダとの間に、前記排気処理装置を覆うカバーが備えられて
おり、
前記排気処理装置は、側面視で前記フィーダと重複しており、
前記カバーは、前記排気処理装置の上方側、前方側、及び、前記フィーダの側方側を覆うように、かつ、前記排気処理装置の下方側、及び、後方側を開放するように構成されているものである。
【0007】
本発明によると、排気処理装置がエンジンルームからフィーダ側にはみ出しているので、例えば、排気処理装置がエンジンルーム内に完全に収容されている場合に比べて、エンジンルームのスペースを節約できる。そして、排気処理装置のうちフィーダ側にはみ出している箇所には、作物の屑や埃等の塵埃が降りかかりやすくなるが、運転部とフィーダとの間に、排気処理装置を覆うカバーを備えているので、排気処理装置に塵埃がかかりにくくなる。さらに、排気処理装置のうちフィーダ側にはみ出している箇所は、メンテナンス作業時等にフィーダの上に乗る作業者の身体に近くなるが、排気処理装置のうちフィーダ側にはみ出している箇所がカバーにより覆われているので、排気処理装置が作業の邪魔になりにくくなる。
したがって、本発明によれば、周囲のレイアウトに影響を与えずに排気処理装置を配置可能なものとなる。
【0008】
また、本構成によれば、塵埃が比較的降りかかり易い排気処理装置の上方側、前方側、及び、フィーダの側方側を覆いながら、排気処理装置の下方と後方を開放しているので、排気処理装置に塵埃が蓄積しにくく、しかも、排気処理装置の熱がカバーの外に逃げやすくなる。
【0009】
本発明の別のコンバインは、
植立穀稈を刈り取る刈取部と、
前記刈取部の後部側に連結され、刈取穀稈を前記刈取部から後方の脱穀装置に向けて搬送するフィーダと、
前記刈取部の後方、かつ、前記フィーダの側方に位置する運転部と、
前記運転部の下方に位置し、エンジンが収容されるエンジンルームと、
前記エンジンルームに設けられ、前記エンジンから排出される排出ガスを浄化処理する排気処理装置と、が備えられ、
前記排気処理装置は、前記エンジンルームから前記フィーダ側にはみ出しており、
前記運転部と前記フィーダとの間に、前記排気処理装置を覆うカバーが備えられており、
前記フィーダの後端部に設けられ、前記刈取部の駆動用の動力が伝達される刈取入力軸と、
前記刈取入力軸のうち前記運転部と前記フィーダとの間に位置する箇所に支持される回転体と、が備えられ、
前記カバーは、前記回転体を覆っている
ものである。
【0010】
本発明によると、排気処理装置がエンジンルームからフィーダ側にはみ出しているので、例えば、排気処理装置がエンジンルーム内に完全に収容されている場合に比べて、エンジンルームのスペースを節約できる。そして、排気処理装置のうちフィーダ側にはみ出している箇所には、作物の屑や埃等の塵埃が降りかかりやすくなるが、運転部とフィーダとの間に、排気処理装置を覆うカバーを備えているので、排気処理装置に塵埃がかかりにくくなる。さらに、排気処理装置のうちフィーダ側にはみ出している箇所は、メンテナンス作業時等にフィーダの上に乗る作業者の身体に近くなるが、排気処理装置のうちフィーダ側にはみ出している箇所がカバーにより覆われているので、排気処理装置が作業の邪魔になりにくくなる。
したがって、本発明によれば、周囲のレイアウトに影響を与えずに排気処理装置を配置可能なものとなる。
【0011】
また、本構成によれば、カバーにより、運転部とフィーダとの間に位置する回転体も覆われているので、回転体に塵埃がかかりにくくなり、回転体に塵埃の咬み込み等の不都合が生じることを回避できる。
【0012】
上記構成において、
前記脱穀装置は、前記フィーダよりも左右方向に幅広であるとともに、前記回転体の配置箇所よりも高さが高く、かつ、前記脱穀装置の前部が側面視で前記運転部の後部と前後方向に重複しており、
前記回転体の後部は、前記運転部の後部と前記脱穀装置の前部との間に位置し、
前記カバーは、前記回転体における前記脱穀装置よりも前方に位置する箇所を覆っていると好適である。
【0013】
本構成によれば、回転体の後部が、運転部の後部と、フィーダよりも左右方向に幅広で回転体の配置箇所よりも高さの高い脱穀装置の前部との間に位置していることから、回転体の後部には、比較的、塵埃の降りかかりが生じにくくなっている。そして、塵埃が比較的降りかかりやすい回転体における脱穀装置よりも前方に位置する箇所は、カバーにより覆われている。すなわち、カバーは、回転体のうち塵埃の降りかかりが生じ易い箇所だけ覆うものとなっているので、例えば、回転体の全体を覆うものに比べて、製作コストを抑えることができる。
【0014】
本発明の別のコンバインは、
植立穀稈を刈り取る刈取部と、
前記刈取部の後部側に連結され、刈取穀稈を前記刈取部から後方の脱穀装置に向けて搬送するフィーダと、
前記刈取部の後方、かつ、前記フィーダの側方に位置する運転部と、
前記運転部の下方に位置し、エンジンが収容されるエンジンルームと、
前記エンジンルームに設けられ、前記エンジンから排出される排出ガスを浄化処理する排気処理装置と、が備えられ、
前記排気処理装置は、前記エンジンルームから前記フィーダ側にはみ出しており、
前記運転部と前記フィーダとの間に、前記排気処理装置を覆うカバーが備えられており、
機体後方を撮影可能なバックカメラと、機体後方を照射可能な作業灯と、が機体後部の中央部に並設され
、
前記脱穀装置の後端部に取り付けられ、前記脱穀装置の上端部よりも高い位置まで延ばされた一つの取付ブラケットを備え、
前記バックカメラ及び前記作業灯は、前記脱穀装置の上端部よりも高い位置に位置した状態、且つ、前記バックカメラが前記作業灯よりも後方に位置した状態で、左右に隣り合って前記取付ブラケットに支持されているものである。
【0015】
本発明によると、排気処理装置がエンジンルームからフィーダ側にはみ出しているので、例えば、排気処理装置がエンジンルーム内に完全に収容されている場合に比べて、エンジンルームのスペースを節約できる。そして、排気処理装置のうちフィーダ側にはみ出している箇所には、作物の屑や埃等の塵埃が降りかかりやすくなるが、運転部とフィーダとの間に、排気処理装置を覆うカバーを備えているので、排気処理装置に塵埃がかかりにくくなる。さらに、排気処理装置のうちフィーダ側にはみ出している箇所は、メンテナンス作業時等にフィーダの上に乗る作業者の身体に近くなるが、排気処理装置のうちフィーダ側にはみ出している箇所がカバーにより覆われているので、排気処理装置が作業の邪魔になりにくくなる。
したがって、本発明によれば、周囲のレイアウトに影響を与えずに排気処理装置を配置可能なものとなる。
【0016】
また、本構成によれば、バックカメラと作業灯とを機体後部の中央部に集約配置しているので、バックカメラと作業灯とを分散配置しているものに比べて、バックカメラと作業灯とをコンパクトな態様で配置できる。
【0017】
更に、本構成によれば、バックカメラが作業灯よりも後方に位置しているので、後方に向けたバックカメラの撮影範囲に作業灯が入り込むことがなく、バックカメラの撮影範囲の調整の自由度が高くなる。
【0018】
上記構成において、
前記バックカメラと前記作業灯とが、左右に並べて設けられ、
前記バックカメラが、前記作業灯よりも機体左右中央寄りの箇所に位置していると好適である。
【0019】
本構成によれば、バックカメラが作業灯よりも機体左右中央寄りの箇所に位置しているので、バックカメラにより機体後部側の領域が左右均等に撮像され、バックカメラにより撮像された影像を特別な画像処理を施すことなくモニタ等へ出力できるものとなる。
【0020】
上記構成において、
前記カバーのうち前記フィーダ側の側部に、複数の通気孔が設けられていると好適である。
【0021】
本構成によれば、複数の通気孔によりカバーの内側と外側との間で空気の通流が可能となっているので、排気処理装置の熱がカバーの外に逃げやすくなる。
【0022】
上記構成において、
前記フィーダは、上下昇降可能に構成され、
前記カバーは、前記運転部の側壁部に支持されていると好適である。
【0023】
本構成によれば、フィーダを上下昇降させて、フィーダと排気処理装置等との相対位置が変化したとしても、カバーが、運転部の側壁部に支持されているので、フィーダの上下昇降にかかわらず、カバーにより排気処理装置等を覆った状態を維持できる。
【0024】
上記構成において、
前記カバーの上面部は、下降時の前記フィーダの上面の傾斜に沿って前下がりに傾斜し、
前記カバーの前面部は、前記上面部の前端部から下方に延ばされていると好適である。
【0025】
本構成によれば、例えば、カバーの上面部に作物の屑等の塵埃が降りかかったとしても、塵埃が上面部に沿って前下がりに流下し、自然に落下するものとなる。
【0026】
上記構成において、
前記運転部に、前記エンジンルームと仕切られた状態で運転座席の背部に設けられた箱状の収容部が備えられ、
前記収容部に、外部との通信が可能な通信装置が収容されていると好適である。
【0027】
本構成によれば、運転部の運転座席の背部側の箱状の収容部内に、通信装置が収容されている。収容部は、エンジンルームと仕切られた状態で設けられているので、エンジンルームの熱が収容部内の通信装置に及びにくく、熱による通信装置の損壊を回避できる。
【0028】
上記構成において、
前記通信装置は、前記収容部内における機体左右中央側の上部寄りの箇所に位置していると好適である。
【0029】
本構成によれば、収容部内における機体左右中央側の上部寄りの箇所は、周囲に通信の障害となる構造物が少ないため、このような箇所に、通信装置を配置することにより、通信装置による外部との通信がスムーズに行われるものにできる。
【0030】
上記構成において、
前記収容部内に、前面、及び、後面を有し、前記通信装置、及び、電装品を支持する縦板状の支持ステーが備えられ、
前記後面に前記通信装置が支持されていると好適である。
【0031】
本構成によれば、収容部内には、前面と後面とを有する縦板状の支持ステーが備えられ、支持ステーのうち後面に通信装置が支持されている。このため、例えば、収容部の後方側から通信装置等のメンテナンス作業が行いやすいものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面に基づいて説明する。
図1〜
図3等に示される普通型コンバイン(「コンバイン」に相当)は、圃場に植立するイネ、大豆、そば等の作物を収穫するように構成されている。普通型コンバインの走行機体は、左右一対のクローラ走行装置11により自走可能に構成されている。左右のクローラ走行装置11は、走行機体の枠状の機体フレーム12に支持されている。走行機体には、運転のための操作入力を行う運転部13、植立穀稈を刈り取る刈取部14、刈取穀稈を刈取部14から後方に向けて搬送するフィーダ15、脱穀処理を行う脱穀装置16、脱穀装置16により脱穀処理された穀粒を貯留可能な穀粒貯留部であるグレンタンク17、グレンタンク17に貯留された穀粒を機外に排出可能なアンローダ18等が備えられている。
【0034】
〔運転部について〕
図2等に示されるように、運転部13は、刈取部14の後方、かつ、フィーダ15の側方に位置している。また、運転部13は、走行機体の前後中央部側に位置している。運転部13の搭乗空間には、操縦者が着座可能な運転座席19、各種運転操作の入力用の複数の操作レバー20、モニタ(図示せず)等が備えられている。運転部13の搭乗空間は、キャビン21で覆われている。
【0035】
〔エンジンルームについて〕
図4等に示されるように、運転部13の下方には、エンジンルームRが備えられている。エンジンルームRには、機体フレーム12に支持されるエンジン22が収容されている。エンジンルームRには、エンジン22の他にも、エンジン22の上部に支持され、エンジン22から排出される排出ガスを浄化処理する排気処理装置23、エンジン22を水冷するためのラジエータ24等が設けられている。
【0036】
刈取部14とフィーダ15とにより、植立穀稈を刈り取って後方に向けて搬送する刈取搬送装置25が構成されている。刈取搬送装置25は、
図1等に示される横向きの昇降軸心X周りに上下昇降可能に構成されている。
【0037】
図1〜
図3等に示されるように、刈取部14は、走行機体の前部側に配置されている。刈取部14には、植立穀稈を掻き込む掻き込みリール26、掻き込みリール26により掻き込まれた植立穀稈の株元を刈るバリカン型の刈刃27、刈取穀稈を機体左右中央部側に寄せ集めながら後方に搬送する横送りオーガ28が備えられている。
【0038】
図1〜
図3等に示されるように、フィーダ15は、刈取部14の後部側に連結されている。フィーダ15は、運転部13の左横側方に位置している。フィーダ15は、圃場に植立する作物を収穫する下降作業姿勢(下降時)と、収穫作業を行わない上昇非作業姿勢(上昇時)との間で、姿勢変更可能に構成されている。フィーダ15は、刈取部14の後部側に連結されている。フィーダ15は、刈取穀稈を刈取部14から後方の脱穀装置16に向けて搬送する。
【0039】
図1〜
図3、
図5に示されるように、フィーダ15の後端部には、刈取入力軸30と、刈取プーリ31(「回転体」に相当)とが備えられている。刈取入力軸30は、フィーダ15の後端部に設けられている。刈取入力軸30には、刈取部14の駆動用の動力がエンジン22から伝達される。刈取入力軸30の軸心は、フィーダ15が上下昇降する昇降軸心Xは、同一軸心となっている。刈取プーリ31は、刈取入力軸30のうち運転部13とフィーダ15との間に位置する箇所に支持されている。刈取プーリ31の後部は、運転部13の後部と脱穀装置16の前部との間に位置している。
【0040】
図1、
図4に示されるように、エンジン22の動力は、第一ベルト伝動機構33を介して、トランスミッション34に入力される。また、エンジン22の動力は、第二ベルト伝動機構35を介して、脱穀装置16の揺動選別装置等へ動力を伝達するカウンター軸36に伝達される。カウンター軸36から第三ベルト伝動機構37、刈取プーリ31を介して刈取入力軸30に動力が入力される。
【0041】
図1〜
図3、
図5に示されるように、フィーダ15は、昇降軸心X周りに上下昇降可能に構成されている。フィーダ15には、前端部と後端部とが開放された箱状のフィードケース38と、フィードケース38に収容されている掻上コンベア39が備えられている。掻上コンベア39は、横送りオーガ28から受け継いだ刈取穀稈を、脱穀装置16の入口に向けて斜め上方に掻き上げ搬送する。フィードケース38の上面40には、第一点検カバー41と、第一点検カバー41の後方に位置する第二点検カバー42と、が備えられている。第一点検カバー41や第二点検カバー42を取り外すことにより、例えば、フィードケース38の内部に位置する掻上コンベア39に刈取穀稈が詰まった場合等に、その詰まった刈取穀稈を取り除くメンテナンス作業を行うことができる。
【0042】
〔脱穀装置について〕
図1〜
図3、
図5、
図6に示される脱穀装置16は、フィーダ15の後端部に連結されている。
図2に示されるように、脱穀装置16は、フィーダ15よりも左右方向に幅広になっている。また、
図1に示されるように、脱穀装置16の天板部の位置は、刈取プーリ31の上端部の位置よりも高くなっている。すなわち、脱穀装置16は、刈取プーリ31の配置箇所よりも高さが高くなっている。また、
図1に示されるように、脱穀装置16の前部は、側面視で運転部13の後部と前後方向に重複している。
【0043】
〔グレンタンクについて〕
図1〜
図3、
図5、
図6に示されるグレンタンク17は、作物の穀粒を貯留するように構成されている。グレンタンク17は、脱穀装置16の右横側部側に位置し、脱穀装置16と左右横並びで配置されている。また、グレンタンク17は、運転部13の後方側に位置している。
【0044】
〔排気処理装置について〕
図1、
図2、
図4、
図5、
図8に示され排気処理装置23は、DPF装置により構成されている。排気処理装置23は、エンジンルームRからフィーダ15側にはみ出している。説明を加えると、
図5に示されるように、排気処理装置23の一部は、前面視で、キャビン21におけるフィーダ15側の壁部である機体左右中央C側寄りの側壁部43よりも、フィーダ15側にはみ出している。
【0045】
〔保護カバー(カバー)について〕
図1、
図2、
図4、
図5に示されるように、運転部13のキャビン21の側壁部43とフィーダ15との間には、排気処理装置23を覆う保護カバー44が備えられている。保護カバー44は、エンジンルームRとフィーダ15の間に位置している。
【0046】
図7に示されるように、保護カバー44は、複数の孔部が形成されたパンチングメタルで構成される有孔部材45と、有孔部材45の上部に接合される組み付け用の孔部が設けられた板金部材46とを組み合わせて構成されている。
【0047】
有孔部材45には、側面部47、側面部47の前端から運転部13側に曲げられて延ばされた第一前面部48、側面部47の前端部から後部に亘る上端から運転部13側に曲げられて延ばされた前下がりの第一斜面部49、側面部47の後端部から運転部13側に曲げられて延ばされた第一後上部50が備えられている。
【0048】
板金部材46には、前下がりの第二斜面部51、第二斜面部51の前端部から下方に延ばされた第二前面部52、第二斜面部51の後端部から後方に向けて延ばされた第二後上部53が備えられている。
【0049】
第一前面部48に、第二前面部52が上から覆い被されて接合されている。第一斜面部49に、第二斜面部51が上方から覆い被されて接合されている。第一後上部50に、第二後上部53が上方から覆い被されて接合されている。
【0050】
図2、
図5、
図7〜
図9等に示されるように、保護カバー44は、運転部13のキャビン21の側壁部43に支持されている。保護カバー44は、前側ブラケット54及び後側ブラケット55を介して、運転部13のフィーダ15側の側壁部43に取り付け支持されている。説明を加えると、第二前面部52と第一前面部48は、前側ブラケット54の前片56にボルト等により共締めされている。また、第二斜面部51の前部と第一斜面部49の前部は、前側ブラケット54の前片56に連設される第一上片57にボルト等により共締めされている。前片56の運転部13側の端部は、後方に曲げられ、運転部13の側壁部43に溶接等により接合される第一取付部58が連設されている。第一上片57の運転部13側の端部は、下方に曲げられ、運転部13の側壁部43に溶接等により接合される第二取付片59が連設されている。
【0051】
第二斜面部51の後部と第一斜面部49の後部は、後側ブラケット55の前下がりの斜片60にボルト等により共締めされている。第二後上部53と第一後上部50とは、後側ブラケット55の斜片60に連設される第二上片61にボルト等により共締めされている。斜片60の運転部13側の端部は、下方に曲げられ、運転部13の側壁部43に溶接等により接合される第三取付片62が連設されている。第二上片61の運転部13側の端部は、下方に曲げられ、運転部13の側壁部43に溶接等により接合される第四取付片63が連設されている。
【0052】
図4、
図8等に示されるように、保護カバー44は、排気処理装置23の上方側、前方側、及び、フィーダ15の側方側を覆うように、かつ、排気処理装置23の下方側、及び、後方側を開放するように構成されている。
【0053】
図1、
図2、
図4、
図5、
図7〜
図9に示されるように、保護カバー44のうちフィーダ15側の側部66を形成する側面部47には、複数の通気孔64が設けられている。有孔部材45に形成された孔部が通気孔64となっている。複数の通気孔64は、それぞれ、丸孔とされている。
【0054】
図1に示されるように、保護カバー44の上面部67は、下降時のフィーダ15の上面40の傾斜に沿って前下がりに傾斜している。
図4、
図7、
図8等に示されるように、保護カバー44の前面部68は、上面部67の前端部から下方に延ばされている。また、保護カバー44の後端部には、後方に向けて開放された後開放部69Aが形成されている。また、保護カバー44の下端部には、下方に向けて開放された下開放部69Bが形成されている。
【0055】
保護カバー44は、刈取プーリ31を覆っている。保護カバー44は、刈取プーリ31における脱穀装置16よりも前方に位置する箇所(前端部)を覆っている。
【0056】
このような保護カバー44を設けているので、例えば、
図5に示されるように、作業者がフィーダ15の上面40に乗って第一点検カバー41や第二点検カバー42を取り外して掻上コンベア39のメンテナンス作業を行ったり、フィーダ15から脱穀装置16の天板部の上面に乗って、脱穀装置16の天板部の清掃等を行ったりする場合に、排気処理装置23や刈取プーリ31が、作業者の体に触れることが回避されるものとなる。
【0057】
〔バックカメラについて〕
図1〜
図3、
図6に示されるように、脱穀装置16の後端部には、先端二股形状(Y字状形状)の板状の取付ブラケット70が、ボルト連結により取り付け固定されている。取付ブラケット70には、機体後方を撮影可能なバックカメラ71と、機体後方を照射可能な作業灯72と、が支持されている。
【0058】
図10、
図11に示されるように、取付ブラケット70には、脱穀装置16の後端部の側板部に支持される固定部73と、固定部73の上端部から分岐して上方側に向けて延びるカメラ取付部74と、カメラ取付部74に横並び状態で、固定部73の上端部から分岐して上方側に向けて延びる作業灯取付部75と、が備えられている。説明を加えると、カメラ取付部74は、固定部73の左側の上端部から後方に曲げられてから斜め後ろ上方に向けて延びている。作業灯取付部75は、固定部73の右側の上端部から前方に曲げられてから斜め前上方に向けて延びている。
【0059】
固定部73の上端部には、ボルト連結により、板状の取付ステー76が取り付けられている。取付ステー76の上端部には、バックカメラ71を支持し、バックカメラ71の上方側、及び、側方側を覆うカメラ支持部77が取り付けられている。このように、取付ステー76を介して、バックカメラ71を固定部73に支持することにより、組み付け性が良くなる。
図10に示されるように、取付ブラケット70のカメラ取付部74には、バックカメラ71に接続される撮像データや電力を伝送する伝送ケーブル78を挿通支持する第一クランプ孔79が設けられている。バックカメラ71により撮影された影像は、キャビン21内に配置されるモニタ(図示せず)に表示されるようになっている。
【0060】
図10に示されるように、作業灯72は、横向きの第一軸心P1周りに揺動可能なように、取付ブラケット70のカメラ取付部74に支持されている。これにより、作業灯72の照射範囲A1を、第一軸心P1周りに、上下に調節可能となっている。取付ブラケット70の固定部73には、作業灯72に接続される電源ケーブル80を挿通支持する第二クランプ孔81が設けられている。
【0061】
バックカメラ71は、第一軸心P1よりも後方に位置する横向きの第二軸心P2周りに揺動可能なように、カメラ支持部77に支持されている。これにより、バックカメラ71の撮影範囲A2を、第二軸心P2周りに、上下方向に調節可能となっている。
【0062】
図2、
図6に示されるように、バックカメラ71と作業灯72とは、機体後部の中央部に並設されている。バックカメラ71と作業灯72とが、左右方向に所定距離を開けた状態で左右に並べて設けられている。バックカメラ71は、作業灯72よりも後方に位置している。バックカメラ71が、作業灯72よりも機体左右中央C寄りの箇所に位置している。
【0063】
このように、作業灯72とバックカメラ71の配置箇所を設定してあるので、作業灯72の取付角度によらず、作業灯72の光の照射範囲A1には、バックカメラ71が入り込まないようになっている。このため、作業灯72の照射範囲A1の上下への調整を、バックカメラ71を考慮することなく行うことができる。バックカメラ71の取付角度によらず、バックカメラ71の撮影範囲A2には、作業灯72が入り込まないようになっている。このため、バックカメラ71の撮影範囲A2の上下への調整を、作業灯72を考慮することなく行うことができる。また、バックカメラ71の近傍に作業灯72を配置しているので、周囲が暗い場合に、作業灯72により周囲を照らされる箇所をバックカメラ71により撮像可能となる。
【0064】
〔収容ケース(収容部)、通信装置について〕
図2、
図3、
図12、
図13に示されるように、運転部13には、エンジンルームRと仕切られた状態で運転座席19の背もたれ部の背部(後部)に設けられた箱状の収容ケース82が備えられている。収容ケース82は、エンジン22の上方に位置している。収容ケース82は、エンジン22の右側部に位置する開閉可能な防塵カバー83よりも機体内側に位置している。収容ケース82は、上壁、前壁、左側壁、及び、後壁を有している。収容ケース82の右側箇所は、開放されており、収容ケース82の内部と防塵カバー83の除塵部83Aとの間で空気の通流が可能となっている。収容ケース82の下面側は、メッシュ部材が配置され、エンジンルームRとの間で空気の通流が可能となっている。
【0065】
収容ケース82内には、外部との通信が可能な通信装置84、各種電装品85、縦板状の支持ステー86、外気を除塵してエンジン22に供給するエアクリーナ87等が備えられている。エアクリーナ87は、防塵カバー83の除塵部83Aを通じて収容ケース82内に流入する外気を吸気部87Aより吸引して、本体部において除塵した空気を、パイプからなる供給部87Bを通じてエンジン22に供給する。供給部87Bには、エアクリーナ87から供給部87Bを通ってエンジン22に向かう空気の流量を検出するエアフローセンサ97が設けられている。収容ケース82の内部における上部の左側寄りの箇所には、通信装置84、及び、各種電装品85を支持する支持ステー86が備えられている。支持ステー86は、上下左右方向に沿って延びる縦板状の板部材である。支持ステー86は、前面88、及び、後面89を有している。
【0066】
電装品85としては、
図14、
図15に示されるように、複数のリレーユニット90、ECUユニット91、フラッシャユニット92、複数のヒューズボックス93が備えられている。
【0067】
図14に示されるように、支持ステー86の後面89には、通信装置84、3つのリレーユニット90、ECUユニット91が取り付け支持されている。ECUユニット91は、ECUステー94を介して、支持ステー86の後面89に取り付けられている。ECUユニット91は、ECUステー94により、前後方向に隙間を空けた状態で、支持ステー86の後面89に取り付けられている。通信装置84は、ECUユニット91の左側、かつ、各リレーユニット90の上方に位置している。つまり、通信装置84は、収容ケース82内における機体左右中央側の上部寄りの箇所に位置している。
【0068】
図15に示されるように、支持ステー86の前面88には、方向指示器(図示せず)の点灯・点滅を制御するフラッシャユニット92、4つのリレーユニット90、2つのヒューズボックス93が取り付け支持されている。各ヒューズボックス93は、ヒューズステー95により、前後方向に隙間を空けた状態で、支持ステー86の前面88に取り付けられている。フラッシャユニット92は、支持ステー86の前面88の上部の右側寄りの箇所に位置している。3つのリレーユニット90は、フラッシャユニット92の下方に位置している。1つのリレーユニット90は、フラッシャユニット92の左方に位置している。上側のヒューズボックス93は、フラッシャユニット92、4つのリレーユニット90の左方に位置している。下側のヒューズボックス93は、フラッシャユニット92、4つのリレーユニット90、上側のヒューズボックス93の下方に位置している。
【0069】
図12〜
図14に示される通信装置84は、例えば、Wi−Fiユニットにより構成される。通信装置84は、走行機体に搭載されるECUユニット91に、CAN通信で接続されている。また、通信装置84は、外部のコンピュータ(例えば、スマートフォン、タブレット、ノートパソコン等の携帯通信端末等)と近距離無線通信が可能となっている。これにより、通信装置84によって、走行機体に配置される各種センサから取得される情報を、外部のコンピュータへ送信し、外部のコンピュータを介して、例えば遠隔地の通信拠点等へ当該情報を送信可能となっている。また、通信装置84によって、外部のコンピュータを介して、通信拠点等から走行機体を制御するための情報等を、ECUユニット91へ送信可能となっている。
【0070】
通信装置84は、板状の固定ステー96を介して、支持ステー86の後面89に、ボルト連結により支持されている。通信装置84、及び、固定ステー96は、上下の2箇所で、支持ステー86にボルトにより共締め固定されている。また、固定ステー96は、共締め固定されている箇所とは異なる2箇所において、支持ステー86にボルトにより固定されている。
【0071】
図12に示されるように、支持ステー86のエアクリーナ87側である右下端部には、エアフローセンサ97との干渉を避けるために切り欠かれた切り欠き部98が形成されている。
【0072】
収容ケース82の後面側には、開口カバー99が備えられている。開口カバー99は、後面視で、収容ケース82のうち支持ステー86と重複する箇所に設けられている。開口カバー99を取り外すことにより、収容ケース82内の支持ステー86の後面89側が露出され、支持ステー86の後面89側に支持された通信装置84や各電装品85等のメンテナンス作業を簡単に行うことができる。
【0073】
このように、運転座席19の背部の収容ケース82内に通信装置84を配置しているので、例えば、グレンタンク17の上部に通信装置84を配置しているものに比べて、通信装置84が、障害物、日光等の外的な劣化要因に晒されにくくなる。
【0074】
〔別実施形態〕
以下、本発明の別実施形態について説明する。下記の各別実施形態は、矛盾が生じない限り、複数組み合わせて上記実施形態に適用してもよい。なお、本発明の範囲は、これら実施形態の内容に限定されるものではない。
【0075】
(1)上記実施形態では、保護カバー44が、排気処理装置23の下方側、及び、後方側を開放するように構成されているものが例示されているものが例示されているが、これに限られない。例えば、排気処理装置23の下方側、または、後方側を閉塞するように構成されている保護カバーであってもよい。
【0076】
(2)上記実施形態では、刈取プーリ31における脱穀装置16よりも前方に位置する箇所を覆っている保護カバー44が例示されているが、これに限られない。例えば、刈取プーリ31の全体を覆う保護カバーであってもよい。また、刈取プーリ31を覆わない保護カバーであってもよい。
【0077】
(3)上記実施形態では、保護カバー44の複数の通気孔64が、それぞれ、丸孔であるものが例示されているが、これに限られない。例えば、複数の通気孔64としては、スリット、網、格子等の種々の形態を採用できる。また、通気孔64が設けられていない保護カバーであってもよい。
【0078】
(4)上記実施形態では、保護カバー44が運転部13に支持されているものが例示されているが、これに限られない。例えば、フィーダ15に支持される保護カバー44であってもよい。
【0079】
(5)上記実施形態では、保護カバー44の上面部67が、下降時のフィーダ15の上面40の傾斜に沿って前下がりに傾斜しているものが例示されているが、これに限られない。例えば、保護カバー44の上面部67が後ろ下がりに傾斜していたり、水平になっていてもよい。
【0080】
(6)上記実施形態では、バックカメラ71が、作業灯72よりも後方に位置しているものが例示されているが、これに限られない。例えば、バックカメラ71が、作業灯72と前後方向において略同じ箇所に位置しているものや、バックカメラ71が、作業灯72よりも前方に位置していてもよい。
【0081】
(7)上記実施形態では、バックカメラ71と作業灯72とが、同じ取付ブラケット70を介して、脱穀装置16に支持されるものが例示されているが、これに限られない。例えば、バックカメラ71と作業灯72とが、別々の支持ブラケットを介して、脱穀装置16に支持されていてもよい。
【0082】
(8)上記実施形態では、通信装置84が、収容ケース82内における機体左右中央Cの上部寄りの箇所に位置しているものが例示されているが、これに限られない。例えば、通信装置84が、収容ケース82内における機体左右一方側に偏った箇所に位置していてもよい。
【0083】
(9)上記実施形態では、支持ステー86の後面89に通信装置84が支持されているものが例示されているが、これに限られない。例えば、支持ステー86の前面88に通信装置84が支持されていてもよい。
【0084】
(10)上記実施形態では、キャビン21が備えられている運転部13が例示されているが、これに限られない。例えば、キャビン21が備えられておらず、運転座席等が外部に露出している運転部であってもよい。
【0085】
(11)上記実施形態では、穀粒貯留部として、グレンタンク17が例示されているが、これに限られない。例えば、収穫した作物を袋詰めすることが可能なホッパ装置等により構成される穀粒貯留部であってもよい。