(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、移植機1の側面図を示している。移植機1は、圃場に苗を植え付ける歩行型の移植機1である。具体的には、移植機1は、圃場に形成された畝R1を跨いで該畝R1に沿って移動しながら、たばこ、野菜等のセル成形苗、ソイルブロック苗、ポット苗等と称される苗2(ブロック苗)を所定間隔をおいて植え付けていく移植機1である。
【0013】
本実施形態において、
図1、
図2の矢印A1方向を前方、
図1、
図2の矢印A2方向を後方、
図2の矢印B1方向を左方、
図2の矢印B2方向を右方として説明する。
また、
図2に示すように、移植機1の前後に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。移植機1の中央部から右部、或いは、左部へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向であって移植機1から離れる方向のことである。機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向であって移植機1に近づく方向である。
【0014】
図1に示すように、移植機1は、機体9と、操向ハンドル7と、走行装置10と、移植装置4とを備えている。
機体9は、ミッションケース12と、架台13と、支持フレーム5とを有する。ミッションケース12は、架台13と支持フレーム5との間に位置する。架台13は、ミッションケース12の前部に取り付けられている。架台13は、ミッションケース12から前方に突出している。支持フレーム5は、ミッションケース12の後部に取り付けられている。支持フレーム5は、ミッションケース12から後方に突出している。また、支持フレーム5は、後端側で上方側に向けて延出されている。
【0015】
操向ハンドル7は、支持フレーム5の後部(機体9の後部)に取り付けられている。また、操向ハンドル7は支持フレーム5から後方に延出している。
図1に示すように、架台13には、即ち、機体9の前部には、原動機の1つであるエンジン11と、燃料タンク3とが搭載されている。エンジン11の動力は、ベルト伝動機構等の動力伝動機構を介してミッションケース12に入力される。ミッションケース12内に入力された動力は、クラッチや変速機構等を介してミッションケース12から出力される。ミッションケース12から出力される動力によって、走行装置10、移植装置4が駆動される。
【0016】
図1〜
図3に示すように、走行装置10は、機体9の左側に配置された左走行機構6Lと、機体9の右側に配置された右走行機構6Rとを有する。左走行機構6Lは、前輪14Lと、前輪14Lの後方に配置されたクローラ走行体18Lとを有する。右走行機構6Rも、前輪14Rと、前輪14Rの後方に配置されたクローラ走行体18Rとを有する。
なお、本実施形態では、走行装置10として、車輪・クローラ複合型の無限回転推進機構が採用されている。走行装置10は、機体9の左及び右に配置された前輪と、機体9の左及び右に配置された後輪とで構成された車輪型の走行装置(クローラ走行体18L,18Rの代わりに後輪を採用した走行装置)であってもよい。
【0017】
機体9の左側には左前輪14Lを支持する左支持アーム17Lが配置され、機体9の右側には右前輪14を支持する右支持アーム17Rが配置されている。左及び右の支持アーム17L,17Rは、後方に行くに従って上方に移行する傾斜状に配置されている。左支持アーム17Lの後端側(上端側)には機体幅方向の軸芯を有する六角筒状の左取付具2
0Lが設けられている。左支持アーム17Lの前端側(下端側)には、左前輪14Lが機体幅方向の軸芯回りに回転自在に支持されている。右支持アーム17Rの後端側(上端側)には、機体幅方向の軸芯を有する六角筒状の右取付具20Rが設けられている。右支持アーム17Rの前端側(下端側)には、右前輪14Rが機体幅方向の軸芯回りに回転自在に支持されている。
【0018】
架台13の後部下面側には、機体幅方向の軸芯を有する筒状の第1軸サポート22が設けられている。この第1軸サポート22は、機体9(ミッションケース12及び架台13)に取付固定されたブラケット部材21に支持されている。第1軸サポート22の左側には、機体幅方向の軸芯を有する左前輪支軸23Lの機体幅方向内端側が挿入されている。第1軸サポート22の右側には、機体幅方向の軸芯を有する右前輪支軸23Rの機体幅方向内端側が挿入されている。左及び右の前輪支軸23L,23Rは、第1軸サポート22に機体幅方向の軸芯回りに回転自在に支持されている。
【0019】
左前輪支軸23Lの機体幅方向外端側は機体幅方向の軸芯を有する六角筒体によって構成された左アーム取付部24Lとされている。右前輪支軸23Rの機体幅方向外端側は機体幅方向の軸芯を有する六角筒体によって構成された右アーム取付部24Rとされている。
左アーム取付部24Lに、左取付具20Lが一体回転自在に外嵌され、右アーム取付部24Rに、右取付具20Rが一体回転自在に外嵌されている。これにより、左支持アーム17Lが、第1軸サポート22に左前輪支軸23Lの軸芯回りに上下揺動自在に支持され、右支持アーム17Rが、第1軸サポート22に右前輪支軸23Rの軸芯回りに上下揺動自在に支持されている。
【0020】
機体9(ミッションケース12)の左側には左伝動ケース19Lが配置され、機体9の右側には右伝動ケース19Rが配置されている。左及び右の伝動ケース19L,19Rはミッションケース12の側面から後方に向けて延出状とされて配置されている。
左伝動ケース19Lの前端側(一端側)は、ミッションケース12の左側面に左ケース支持体25Lを介して機体幅方向の軸芯回りに回転自在に支持されている。右伝動ケース19Rの前端側(一端側)は、ミッションケース12の右側面に右ケース支持体25Rを介して機体幅方向の軸芯回りに回転自在に支持されている。これにより、左及び右の伝動ケース19L,19Rは、後部が上下に揺動可能とされている。左伝動ケース19Lの後端側(他端側)に左のクローラ走行体18Lが設けられ、右伝動ケース19Rの後端側(他端側)に右のクローラ走行体18Rが設けられている。
【0021】
左及び右の前輪支軸23L,23Rには、後方側に向けて突出する第1連動部材26L,26Rが設けられている。左及び右のケース支持体25L,25Rには、前方側に突出する第2連動部材27L,27Rが設けられている。機体幅方向で同じ側にある第1連動部材26L,26Rと2連動部材27L,27Rとは、連動リンク28L,28Rによって連結されている。
【0022】
また、左及び右のケース支持体25L,25Rには、上方側に延出された第3連動部材29L,29Rが設けられている。
また、架台13の左及び右に形成された前後方向のガイド溝に機体幅方向の軸芯を有する第2軸サポート30が前後方向に移動可能に支持されている。この第2軸サポート30には、支軸31が挿通されている。この支軸31は、第2軸サポート30から左側と右側とに突出している。また、支軸31は第2軸サポート30に機体幅方向の軸芯回りに回転自在に支持されている。
【0023】
支軸31の左側には、上方側に向けて突出する上レバー32が設けられている。支軸31の右側には下方側に向けて突出する下レバー33が設けられている。上レバー32と、左側の第3連動部材29Lとは左連結リンク34Lで連結されている。下レバー33と、右側の第3連動部材29Rとは右連結リンク34Rで連結されている。
架台13には、昇降シリンダ36とローリングシリンダ37とが設けられている。これら昇降シリンダ36とローリングシリンダ37とは複動型の油圧シリンダによって構成されている。昇降シリンダ36は、機体9を昇降させる油圧シリンダである。ローリングシ
リンダ37は、機体9の傾きを調整する油圧シリンダである。
【0024】
ミッションケース12の上部には、昇降バルブ61とローリングバルブ73とが設けられている。昇降バルブ61は、昇降シリンダ36を制御するバルブである。ローリングバルブ73は、ローリングシリンダ37を制御するバルブである。
昇降シリンダ36のシリンダチューブ36aは架台13に固定されている。昇降シリンダ36のピストンロッド36bは後方側に向けて突出可能とされていて第2軸サポート30に連結されている。
【0025】
また、ローリングシリンダ37のシリンダチューブ37aは架台13に前部側の枢支部38を中心として機体幅方向の軸心回りに回転自在に支持されている。ローリングシリンダ37のピストンロッド37bは後方側に向けて突出されている。このローリングシリンダ37のピストンロッド37bは、アーム39に枢着されている。このアーム39は、支軸31の左側に下方突出状に設けられている。
【0026】
昇降シリンダ36を伸縮(ピストンロッド36bを進退)させると第2軸サポート30及び支軸31が前後に移動する。第2軸サポート30及び支軸31が前後に移動すると、左連結リンク34L及び右連結リンク34Rによって左及び右の第3連動部材29L,29Rが押し引きされる。これにより、左及び右の伝動ケース19L,19Rが共に上下に揺動する。また、同時に、左及び右の第2連動部材27L,27Rが上下に揺動して左及び右の連動リンク28L,28Rを介して左及び右の第1連動部材26L,26Rが押し引きされる。これにより、左及び右の支持アーム17L,17Rが共に上下に揺動する(左及び右の伝動ケース19L,19Rの上下の揺動に連動して左及び右の支持アーム17L,17Rが上下に揺動する)。
【0027】
左及び右の伝動ケース19L,19Rと、左及び右の支持アーム17L,17Rとが共に上下に揺動することにより、左及び右の前輪14L,14Rと左及び右のクローラ走行体18L,18Rとが、同時に、機体9に対して相対的に上下動する。そして、前輪14L,14R及びクローラ走行体18L,18Rが接地していることから、必然的に機体9が接地面に対して昇降する。
【0028】
本実施形態では、昇降シリンダ36を伸長(ピストンロッド36bを後方に向けて進出)させると、機体9が上昇し、昇降シリンダ36を収縮(ピストンロッド36bを前方に向けて後退)させると、機体9が下降する。
また、ローリングシリンダ37を伸縮(ピストンロッド37bを進退)させると支軸31が回転して、左側の連結リンク34Lが左側の第3連動部材29Lを押圧すると共に右側の連結リンク34が右側の第3連動部材29Rを引動する。すると、機体幅方向の一方側の前輪14L,14R及びクローラ走行体18L,18Rが機体9に対して相対的に上昇すると共に、他方側の前輪14L,14R及びクローラ走行体18L,18Rが機体9に対して相対的に下降する。これによって、機体9の機体幅方向に対する傾きを自動的に修正(自動調整)することができる。
【0029】
したがって、例えば、機体9が右上がりに傾くと、左側の前輪14L及びクローラ走行体18Lが下がり、右側の前輪14R及びクローラ走行体18Rが上がって、機体9が水平制御される。
ミッションケース12の左及び右の側部には、図示省略の出力軸が設けられている。この出力軸には、エンジン11からの動力がミッションケース12内の動力伝達機構を介して伝達される。
図3に示すように、左及び右の伝動ケース19L,19Rの後端側(他端側)にはクローラ走行体18L,18Rを駆動する駆動軸40が機体幅方向の軸芯回りに回転自在に支持されている。出力軸から伝動ケース19内に設けた動力伝達機構を介して左右各駆動軸40に伝達され、これにより、駆動軸40が回転される。
【0030】
図3に示すように、クローラ走行体18L,18Rは、上部の駆動輪41(スプロケット)と、前アイドラ42と、後アイドラ43と、クローラベルト15と、揺動フレーム44とを有する。駆動輪41は、駆動軸40によって駆動される。前アイドラ42は、駆動輪41の前方側で且つ下方側に配置されている。後アイドラ43は、駆動輪41の後方側で且つ下方側に配置されている。クローラベルト15は、駆動輪41、前後アイドラ42
,43にわたって巻き掛けられた無端帯状のベルトである。揺動フレーム44は、駆動軸40の軸芯X1回りに前後に揺動自在である。この揺動フレーム44に、前アイドラ42と後アイドラ43が取り付けられている。駆動軸40により駆動輪41が回転されることにより該駆動輪41と係合するクローラベルト15が周方向(長手方向)に循環回走(回転)され、クローラ走行体18が前進又は後進する。
【0031】
図1に示すように、移植装置4は、苗載せ台46と、植付装置45と、苗取出し装置47と、複数の鎮圧輪49(覆土輪)と、整地ローラ50(検出ローラ)とを備えている。苗載せ台46は、苗2を収容したトレイT1を載置して支持する。植付装置45は、供給された苗2を畝R1に植付体48によって植え付ける装置である。苗取出し装置47は、苗載せ台46上のトレイT1から苗2を取り出して植付体48に供給する装置である。複数の鎮圧輪49は、畝R1に植え付けられた苗2の機体幅方向の両側を鎮圧する部材である。整地ローラ50は、植付体48の前方側で畝R1の上面を転動する。
【0032】
トレイT1は、プラスチック製で薄肉に形成されていて可撓性を有する。このトレイT1は、縦方向が横方向に対して長い平面視長方形に形成されている(
図15参照)。また、トレイT1は、縦横に所定ピッチで碁盤目状に配列された多数のポット部P1を備えている。各ポット部P1の開口縁部は平板状の薄肉壁部で相互に接続されている。
このトレイT1の各ポット部P1に、苗2が収容されている。本実施形態では、トレイT1には、各ポット部P1に供給された床土に播種して育苗された苗2(ソイルブロック苗)が育成されている。
【0033】
苗載せ台46は、操向ハンドル7の前方側且つ近傍に配置されている。苗載せ台46は、前方に行くに従って下方に移行する傾斜状に配置されている。また、苗載せ台46は、トレイT1の底部が載置されて該トレイT1を支持する載置板35を有する。載置板35は、前方に行くに従って下方に移行する傾斜状とされている。トレイT1は、縦方向を載置板35の傾斜方向に一致させて載置板35上に載置される。さらに、苗載せ台46は、支持フレーム5の後部に機体幅方向に移動可能に支持されている。
【0034】
また、苗載せ台46は横送り機構によって、トレイT1の横方向(機体幅方向)のポット部P1の1ピッチ分、間欠的に機体幅方向に横送りされる。また、横送り機構によって、苗載せ台46は機体幅方向に往復移動可能とされている。また、苗載せ台46には、その機体幅方向の移動域の左及び右側の端部において、トレイT1を縦方向のポット部P1の1ピッチ分、下方側に縦送りする縦送り機構が備えられている。
【0035】
図4に示すように、植付装置45は、植付体48と、昇降機構53とを有する。植付体48は、上端が開放状とされ、上側から苗2が供給可能とされている。また、植付体48は、下部が開閉自在とされ、閉じた状態で内部に苗2を保持でき、且つ開くことにより該苗2を下方に放出可能とされている。昇降機構53は、植付体48を昇降させる機構である。この昇降機構53は、植付フレーム52に支持されている。植付フレーム52は、前端側がミッションケース12の側面に機体幅方向の軸心回りに回動自在に支持されている。これにより、植付フレーム52は、上下揺動自在とされている。
【0036】
ミッションケース12には、植付フレーム52の前端の回動軸心と同心状に取出軸54が設けられている。この取出軸54には、ミッションケース12内の動力伝達機構から動力が伝達される。取出軸54からの動力は、植付フレーム52に設けられた動力ケース55内のチェーン巻掛伝動機構を介して昇降機構53に伝達される。これにより、昇降機構53が駆動される。
【0037】
植付体48は、上下移動範囲の上死点又はその付近の苗受取り位置において、閉じた状態で苗取出し装置47から苗2が供給される。その後、植付体48は、内部に苗2を保持した状態で下降し、上下移動範囲の下死点側で畝R1に突入し且つ開く。これにより、植付体48は、畝R1に植え穴を形成する共に該植え穴に苗2を放出する。このようにして、苗2は畝R1に植え付けられる。
【0038】
苗取出し装置47は、ポット部P1から苗2を取り出す複数の苗取爪51を備えている。苗取出し装置47は、ミッションケース12内の植付動力伝達機構からの動力によって駆動されて苗取爪51を動作させる運動機構を備えている。苗取出し装置47は、ポット
部P1内の根鉢2aに対して前側から苗取爪51を進行(本実施形態では、後方移動)させて該苗取爪51で根鉢2aを突き刺す。苗取出し装置47は、苗取爪51で根鉢2aを突き刺した後に苗取爪51をトレイT1から後退(本実施形態では、前方移動)させることによりポット部P1から苗2を取出し可能としている。また、ポット部P1から取り出された苗2は、苗受取り位置に位置する植付体48の上方に移送されて植付体48へと放出可能とされている。また、トレイT1を横方向及び縦方向に移動させることにより、全てのポット部P1から苗2(根鉢2a)を取り出すことができる。
【0039】
複数の鎮圧輪49は、植付体48の後方側に設けられている。複数の鎮圧輪49は、植付体48の左側に設けた鎮圧輪49と、植付体48の右側に設けた鎮圧輪49とを含む。鎮圧輪49は、畝R1上面の苗2の植付け位置の側方を転動する。また、鎮圧輪49は、植付体48で形成された植え穴に投入された苗2の側方の土を押圧する。
また、鎮圧輪49は、植付フレーム52の後部側に支持機構56を介して支持されている。鎮圧輪49によって植付フレーム52の後部側を支持している。鎮圧輪49と植付フレーム52との上下方向に関する距離を変えることにより、植付け深さを変更することができる。
【0040】
整地ローラ50は、植付体48の前方側の畝R1上面を転動し、畝R1上面を整地すると共に畝R1高さを検出する。
ミッションケース12の前部下端側には、上下揺動自在とされた揺動アーム58が設けられている。揺動アーム58の前部は、第1センサアーム59の下部に、軸57を介して機体幅方向の軸心回りに回転自在に支持されている。この揺動アーム17の後部側に整地ローラ50が機体幅方向の軸芯回りに回動自在に支持されている。整地ローラ50は、畝R1の上面に追従して該畝R1の上面を転動する。
【0041】
ミッションケース12に対する整地ローラ50の上下方向の動きは、揺動アーム58と一体揺動する第1センサアーム59及び第2センサアーム60によって、昇降バルブ61に伝えられる。この昇降バルブ61によって昇降シリンダ36を制御することにより、畝R1の上面との距離が一定に保たれるように機体9が昇降制御される。これによって植付フレーム52が畝高さに追従して上下動して設定された植付深さで苗2が植え付けられる。
【0042】
一方、ミッションケース12に対する鎮圧輪49の上下方向に関する動きは、植付フレーム52から連動機構62を介して昇降バルブ61に伝えられる。したがって、鎮圧輪49の動きによっても畝R1の上面との距離が一定に保たれるように走行機体9を昇降制御できる。また、整地ローラ50が畝高さを検知している状態では、鎮圧輪49の動きは昇降バルブ61には伝わらないようになっている。
【0043】
図5、
図6に示すように、苗取出し装置47は、爪支持体71を有する。この爪支持体71は、ベース部材72と、支持ブロック73(支持部材)と、複数の爪取付部74A,74Bと、ストッパ75と、コロ76とを有する。ベース部材72は、板面が機体幅方向を向く板材によって形成されている。支持ブロック73はベース部材72に固定されている。支持ブロック73は、右部がベース部材72に固定され、ベース部材72から左方に突出している。支持ブロック73の左部は、第1支持部77Aとされている。支持ブロック73の右部は、第2支持部77Bとされている。支持ブロック73の第1支持部77Aと第2支持部77Bとの間には、凹み部78が形成されている。
【0044】
図5、
図6、
図7に示すように、複数の爪取付部74A,74Bは、第1爪取付部74Aと、第2爪取付部74Bとを含む。第1爪取付部74Aと第2爪取付部74Bとは、一方向に長い板状体によって形成されている。また、第1爪取付部74Aと第2爪取付部74Bとは、板幅方向を機体幅方向に一致させて、機体幅方向で並設されている。
第1爪取付部74Aの一端部は、第1取付軸79Aを介して第1支持部77Aに支持されている。第1爪取付部74Aは、第1取付軸79Aの軸心回りに回転可能である。第2爪取付部74Bの一端部は、第2取付軸79Bを介して第2支持部77Bに支持されている。第2爪取付部74Bは、第2取付軸79Bの軸心回りに回転可能である。第1取付軸79Aと第2取付軸79Bとは、機体幅方向に直交する方向の軸心を有する。第1取付軸
79Aの軸心と第2取付軸79Bの軸心とは、平行状とされている。
【0045】
第1爪取付部74Aには、第1係合部81Aが設けられている。第1係合部81Aは、第1爪取付部74Aの一端部から第2爪取付部74B(第2苗取爪51B)に向けて延出している。また、第1係合部81Aは、第1爪取付部74Aから一体的に延出した延出片によって構成されている。
第2爪取付部74Bには、第2係合部81Bが設けられている。第2係合部81Bは、第2爪取付部81Bの一端部から第1爪取付部74A(第1苗取爪51A)に向けて延出している。また、第2係合部81Bは、第2爪取付部74Bから一体的に延出した延出片によって構成されている。第1係合部81Aと第2係合部81Bとは、オーバーラップしている。
【0046】
第1爪取付部74Aの他端部は、第1バネ掛け部82Aとされている。第2爪取付部74Bの他端部は、第2バネ掛け部82Bとされている。第1バネ掛け部82Aには、引張りコイルバネからなる付勢部材83(第1付勢部材という)の一端が掛止されている。第2バネ掛け部82Bには、第1付勢部材83の他端が掛止されている。したがって、第1付勢部材83は、第1爪取付部74Aと第2爪取付部74Bの他端部を相互に近接させる方向に、該他端部を付勢している。
【0047】
第1爪取付部74Aの他端部側には、第1取付壁84Aが設けられている。この第1取付壁84Aは、第1付勢部材83より第1取付軸79A寄りに設けられている。第1取付壁84Aを挟んで第1ロックナット86aと第1支持ナット86bとが設けられている。第1支持ナット86bは、第1取付壁84Aに固定されている。また、第1支持ナット86bには、ボルトからなる第1調整部材85Aが螺合されている。第1調整部材85Aは、第1取付壁84Aを挿通している。また、第1調整部材85Aには、第1ロックナット86aが螺合している。
【0048】
第2爪取付部74Bの他端部側には、第2取付壁84Bが設けられている。この第2取付壁84Bは、第1付勢部材83より第2取付軸79B寄りに設けられている。第2取付壁84Bを挟んで第2ロックナット87aと第2支持ナット87bとが設けられている。第2支持ナット867は、第2取付壁84Bに固定されている。また、第2支持ナット87bには、ボルトからなる第2調整部材85Bが螺合されている。第2調整部材85Bは、第2取付壁84Bを挿通している。また、第2調整部材85Bには、第2ロックナット87aが螺合している。
【0049】
ストッパ75は、板材によって形成され、ストッパ部88と、支持壁部89とを有する。ストッパ部88は、第1調整部材85Aと第2調整部材85Bとの間に位置する。ストッパ部88には、第1調整部材85Aの先端と、第2調整部材85Bの先端とが接当可能である。支持壁部89は、ストッパ部88の端部から延出されてベース部材72に固定されている。第1調整部材85Aは、第1ロックナット86aを緩めることにより、ストッパ部88に対して進退させることができる。第2調整部材85Bは、第2ロックナット87aを緩めることにより、ストッパ部88に対して進退させることができる。
【0050】
コロ76は、ベース部材72に固定されたコロ軸90に支持されている。コロ軸90は、機体幅方向の軸心を有し、コロ76を軸心回りに回転自在に支持している。
図9に示すように、コロ76は、ガイド部材91に形成されたガイド溝92に嵌合している。また、コロ76はガイド溝92内を移動自在である。
図1に示すように、ガイド部材91は、取付プレート93に取り付けられている。取付プレート93は、支持フレーム5に固定の支持台94に固定されている。
【0051】
図5、
図6、
図7に示すように、苗取出し装置47は、前述した複数の苗取爪51A,51Bを有する。複数の苗取爪51A,51Bは、第1苗取爪51Aと、第2苗取爪51Bとを含む。第1苗取爪51A及び第2苗取爪51Bは、棒材によって形成されている。第1苗取爪51Aと第2苗取爪51Bとは、機体幅方向で並設されている。
第1苗取爪51Aは、先細りの先端部95Aと、U字状に曲げられた基部96Aとを有する。第1苗取爪51Aの基部96Aは、第1固定具97と第2固定具98とによって第1爪取付部74Aに固定されている。第1固定具97は、ボルトとナットとから構成され
ている。第2固定具98は、第1取付軸79Aから延長されたネジ軸とナットとから構成されている。第1苗取爪51Aは、第1爪取付部74Aの他端部から一端部に向かう方向に第1爪取付部74Aから突出している。
【0052】
第2苗取爪51Bは、先細りの先端部95Bと、U字状に曲げられた基部96Bとを有する。第2苗取爪51Bの基部96Bは、第3固定具99と第4固定具100とによって第2爪取付部74Bに固定されている。第3固定具99は、ボルトとナットとから構成されている。第4固定具100は、第2取付軸79Bから延長されたボルト軸とナットとから構成されている。第2苗取爪51Bは、第2爪取付部74Bの他端部から一端部に向かう方向に第2爪取付部74Bから突出している。
【0053】
第1苗取爪51Aは、第1取付軸79Aの軸心回りに第1爪取付部74Aと一体回転する。第2苗取爪51Bは、第2取付軸79Bの軸心回りに第2爪取付部74Bと一体回転する。これによって、第1苗取爪51A及び第2苗取爪51Bは、爪支持体71に枢支されている。また、第1爪取付部74Aが第1取付軸79Aの軸心回りに回転し、第2爪取付部74Bが第2取付軸79Bの軸心回りに回転することにより、第1苗取爪51Aと第2苗取爪51Bとの先端間隔D1が拡縮される。
【0054】
また、第1苗取爪51A及び第1係合部81Aは、第1爪取付部74Aに設けられているので、第1苗取爪51Aと第1係合部81Aは、一体回転する。また、第2苗取爪51B及び第2係合部81Bは、第2爪取付部74Bに設けられているので、第2苗取爪51Bと第2係合部81Bは、一体回転する。
第1付勢部材83は、第1苗取爪51Aと第2苗取爪51Bとの先端間隔D1を拡げる方向に付勢している。第1調整部材85A及び第2調整部材85Bをストッパ部88に対して進退させることにより、第1苗取爪51Aと第2苗取爪51Bとの先端間隔D1の間隔調整が可能とされている。
【0055】
図6、
図9に示すように、苗取出し装置47は、爪支持体71を運動させる運動機構101を有する。運動機構101は、入力軸102と、ロータリーケース103と、クランク軸104と、クランクアーム105と、ベース支軸106とを有する。入力軸102、クランク軸104、及びベース支軸106は、機体幅方向の軸心を有する。
入力軸102の一端は、支持台94に固定された図示省略のギヤボックスに支持されている。入力軸102の他端は、ロータリーケース103に挿入されている。入力軸102には、ミッションケース12から出力された動力が伝達され、これにより、入力軸102が回転する。
【0056】
ロータリーケース103は、支持台94に入力軸102の軸心回りに回転自在に支持されている。また、ロータリーケース103は、入力軸102と一体回転する。ロータリーケース103内には、図示省略の遊星歯車機構が設けられている。遊星歯車機構は、入力軸102に回転自在に嵌合する太陽歯車と、太陽歯車と噛合する中間歯車と、中間歯車と噛合する遊星歯車とを有する。
【0057】
クランク軸104は、一端側がロータリーケース103に挿入されて遊星歯車に固定されている。クランク軸104の他端側に、クランクアーム105の一端側が固定されている。クランクアーム105の他端側に、ベース支軸106が固定されている。ベース支軸106は、軸受け107を介してベース部材72を回転自在に支持している。
図9に示すように、入力軸102が回転すると、ロータリーケース103が矢印C1方向に入力軸102と一体回転する。ロータリーケース103が矢印C1方向に回転すると、クランクアーム105がクランク軸104の軸心回りに矢印C2方向に回転する。これにより、ベース支軸106が偏平な楕円状の軸移動軌跡K1上を移動し、爪支持体71が往復運動する。また、ベース支軸106が軸移動軌跡K1上を移動することによってコロ76がガイド溝92内を移動する。コロ76がガイド溝92内を移動することにより、爪支持体71の姿勢が制御される。そして、ベース支軸106が軸移動軌跡K1上を移動する運動と、コロ76がガイド溝92内を移動する運動とが複合されることにより、第1苗取爪51A及び第2苗取爪51Bの先端は、爪移動軌跡K2を描くように運動する。
【0058】
爪移動軌跡K2の上部側では、爪支持体71は、苗2を有するトレイT1に対して進退
する。すると、第1苗取爪51A及び第2苗取爪51Bがポット部P1に向けて進出して根鉢2aを突き刺した後に後退して根鉢2aをポット部P1から取り出す。また、爪支持体71は、苗2をポット部P1から取り出した後、爪移動軌跡K2の下端に至る際に、第1苗取爪51A及び第2苗取爪51Bが、先端が下を向く縦向きとなるように姿勢変更される。
【0059】
ベース支軸106には、カム108が固定されている。カム108は、クランクアーム105がクランク軸104回りに回転することにより、ベース部材72(爪支持体71)に対してベース支軸106と共に矢印C3方向に相対回転する。カム108は、小径部108aと、作用部108bとを有する。作用部108bは、小径部108aより径大とされている。また、作用部108bは、回転方向前方から後方に行くに従って徐々に径大とされている。
【0060】
図5、
図6に示すように、苗取出し装置47は、揺動部材111を有する。揺動部材111は、板材によって形成され、筒状のボス部112を有する。このボス部112は、ベース部材72に固定された揺動支軸109に軸心回りに回転自在に外嵌されている。揺動支軸109は、機体幅方向の軸心を有する。揺動部材111は、ベース部材72に対して揺動支軸109の軸心回りに揺動する。
【0061】
揺動部材111には、カムフォロア113と、第1押出し具114Aと、第2押出し具114Bと、押圧部材116とが取り付けられている。
カムフォロア113は、揺動部材111に固定されたフォロア軸117に回転自在に支持されている。カムフォロア113は、カム108の周面に接当し、且つカム108の周面上を移動する。カムフォロア113は、付勢部材118(第2付勢部材という)の付勢力によってカム108の周面に押し付けられている。第2付勢部材118は、引張りコイルバネによって構成されている。第2付勢部材118の一端は、揺動部材111に設けられた第1掛止部119に引っ掛けられている。第2付勢部材118の他端は、支持ブロック73に設けられた第2掛止部120に引っ掛けられている。
【0062】
第1押出し具114A及び第2押出し具114Bは、線材によって形成されている。第1押出し具114Aは、円形状に曲げられた第1基部121Aを有する。この第1基部121Aは、揺動部材111のピン取付部122に設けられた取付ピン123に枢支されている。第2押出し具114Bは、円形状に曲げられた第2基部121Bを有する。この第2基部121Bも、取付ピン123に枢支されている。取付ピン123は、機体幅方向の軸心を有する。第1押出し具114A及び第2押出し具114Bは、機体幅方向に揺動可能である。
【0063】
第1押出し具114Aの先端には、リング状の第1押出部124Aが形成されている。この第1押出部124Aに、第1苗取爪51Aが挿通されている。第1押出部124Aは、第1苗取爪51Aを長手方向に移動可能とされている。第2押出し具114Bの先端には、リング状の第2押出部124Bが形成されている。この第2押出部124Bに、第2苗取爪51Bが挿通されている。第2押出部124Bは、第2苗取爪51Bを長手方向に移動可能とされている。
【0064】
押圧部材116は、バネ部材によって構成されている。本実施形態では、押圧部材116は、弾性を有する線材によって構成され、具体的には、ピアノ線等の弾性線材によって形成されている。押圧部材116の基部116aは、ボス部118を取り巻く円弧状に形成されている。また、押圧部材116は、基部116aの一端から延出された第1固定部116bと、基部116aの他端から延出された第2固定部116cとを有する。第1固定部116bと第2固定部116cとは、固定具125によって、揺動部材111に固定されている。したがって、押圧部材116は、揺動部材111と共に揺動支軸109回りに一体揺動する。また、押圧部材116は、第1固定部116bから延出された接当部116dを有する。接当部116dは、該接当部116dが第1係合部81A及び第2係合部81Bに近接する方向に揺動部材111が揺動することにより、第1係合部81A及び第2係合部81Bに接当可能とされている。また、接当部116dが第1係合部81A及び第2係合部81Bに接当する際に、接当部116dが凹み部78内に入ることにより、
接当部116dが支持ブロックと干渉するのが防止される。また、接当部116dは、弾性変形可能とされている。
【0065】
以上説明した苗取出し装置47の動作を説明する。
図10は、第1苗取爪51A及び第2苗取爪51Bが苗2の根鉢2aを突き刺す直前の状態を示している。この状態では、カムフォロア113は、カム108の小径部108aに位置している。また、接当部116dは、第1係合部81A及び第2係合部81Bから第1苗取爪51A及び第2苗取爪51Bの先端側に離反した位置に位置している。この接当部116dが、第1係合部81A及び第2係合部81Bから離反した状態では、第1苗取爪51Aと第2苗取爪51Bとの先端間隔D1は開いている状態である(
図7参照)。また、第1押出部124Aが第1苗取爪51Aの先端側に位置し、第2押出部124Bが第2苗取爪51Bの先端側に位置している(
図7参照)。
【0066】
この
図10に示す状態から入力軸102が回転すると、
図11に示すように、ベース支軸106が、苗載せ台46に近接する方向に移動し、第1苗取爪51A及び第2苗取爪51Bの先端側で根鉢2aを突き刺す。一方、カムフォロア113は、カム108の作用部108bによって押圧される。すると、揺動部材111は、第1苗取爪51A及び第2苗取爪51Bの先端から離れる方向に揺動支軸109回りに揺動する。このとき、揺動部材111は、第2付勢部材118の付勢力に抗して揺動する。第1押出し具114A、第2押出し具114B及び押圧部材116は、揺動部材111と一緒に揺動する。これによって、第1押出し具114A及び第2押出し具114Bは、第1押出部124A及び第2押出部124Bが根鉢2aと干渉しない位置に移動する。また、押圧部材116が揺動部材111と一体揺動することで、接当部116dが第1係合部81A及び第2係合部81Bを押圧する。
図8に示すように、接当部116dが第1係合部81A及び第2係合部81Bを押圧すると、第1付勢部材83の付勢力に抗して、第1苗取爪51A及び第2苗取爪51Bが先端間隔D1を縮める方向に回転する。したがって、押圧部材116(接当部116d)は、第1苗取爪51A及び第2苗取爪51Bが根鉢2aを突き刺す際に、第1係合部81A及び第2係合部81Bを押圧して第1苗取爪51A及び第2苗取爪51Bの先端間隔を縮める。これにより、第1爪取付部74A及び第2爪取付部74Bの先端側で根鉢2a内部の土を挟持し、根鉢2aを確実に保持する。
【0067】
図11に示す状態から、さらに入力軸102が回転すると、カムフォロア113が作用部108bで押圧された状態(第1爪取付部74A及び第2爪取付部74Bの先端側で根鉢2aを保持した状態)を維持したまま、爪支持体71がトレイT1から離れる方向に後退する。これにより、根鉢2aがポット部P1から取り出される。
図12に示すように、さらに入力軸102が回転することにより、カムフォロア113が作用部108bで押圧された状態で、爪支持体71が姿勢変更されて苗2が爪移動軌跡K2の下端へと移動する。
【0068】
図13に示すように、第1苗取爪51A及び第2苗取爪51Bの先端が爪移動軌跡K2の下端へと移動すると、カムフォロア113が作用部108bから外れ(作用部108bによる規制が外れ)、カムフォロア113が小径部108aへと落ち込む。すると、第2付勢部材118の付勢力によって、揺動部材111は、揺動支軸109回りに第1苗取爪51A及び第2苗取爪51Bの先端に近接する方向に揺動する。これにより、第1押出部124Aが第1苗取爪51Aの先端側に移動すると共に第2押出部124Bが第2苗取爪51Bの先端側に移動する。すると、第1押出部124A及び第2押出部124Bによって根鉢2aが押されて第1苗取爪51A及び第2苗取爪51Bから苗2が下方に(植付体48に)放出される。また、同時に、接当部116dが第1係合部81A及び第2係合部81Bから離反する。すると、先端間隔D1が拡がって、苗2の放出と同時に、第1苗取爪51A及び第2苗取爪51Bによる根鉢2a内部の土の挟持が解除される。
【0069】
以上説明した苗取出し装置47にあっては、揺動部材111が揺動した際に、押圧部材116(の接当部116d)が第1係合部81A及び第2係合部81Bに接当して第1苗取爪51A及び第2苗取爪51Bの先端間隔D1を縮めるように構成している。また、押圧部材116(の接当部116d)が第1係合部81A及び第2係合部81Bから離反す
ると、第1付勢部材83の付勢力によって第1苗取爪51A及び第2苗取爪51Bの先端間隔D1が拡げられる。この構造を採用することにより、苗取出し装置47の構成部品の摩耗を少なくすることができる。また、押圧部材116、第1係合部81A、第2係合部81B及び第1付勢部材83で第1苗取爪51Aと第2苗取爪51Bの先端間隔D1の拡縮を行う機構が構成されているので、苗取出し装置47の構成の簡素化を図ることができる。
【0070】
また、押圧部材116をバネ部材で形成することにより、第1苗取爪51A及び第2苗取爪51Bの先端側を苗2の根鉢2aに突き刺して根鉢2a内部の土を第1苗取爪51Aと第2苗取爪51Bとで挟んだときに、バネ部材の弾性力によって、根鉢2a内部の土を強く挟み過ぎるのを防止できる。これによって、根鉢2aの崩れを防止することができる。また、第1苗取爪51A及び第2苗取爪51Bの先端側を閉じた後も閉じ方向に力が加わっている
また、第1係合部81Aを、第1爪取付部74Aから第2爪取付部74Bに向けて延出すると共に、第2係合部81Bを、第2爪取付部74Bから第1爪取付部74Aに向けて延出することにより構造の簡素化を図ることができる。
【0071】
また、第1係合部81Aと第2係合部81Bとをオーバーラップさせることにより、押圧部材116をコンパクトに構成することができる。
また、ストッパ75と、第1調整部材85Aと、第2調整部材85Bとを設けることにより、第1苗取爪51Aと第2苗取爪51Bの先端間隔D1を変更することができる。また、第1苗取爪51A及び第2苗取爪51Bの先端側を閉じる部材と、第1苗取爪51Aと第2苗取爪51Bの先端間隔D1を変更する部材が、別部材であるので、閉じ量に関係なく、第1苗取爪51Aと第2苗取爪51Bの開き量の調整をすることができる。
【0072】
図14、
図15に示すように、支持フレーム5の後部は、左側の第1フレーム材131Aと、右側の第2フレーム材131Bと、連結材133(支持材)とを有する。第1フレーム材131A、第2フレーム材131B及び連結材133はパイプ材によって形成されている。第1フレーム材131Aと第2フレーム材131Bとは、機体幅方向で間隔をおいて設けられている。第1フレーム材131Aと第2フレーム材131Bとは、前側の部分が前後方向に沿っており、後側の部分が後方に向かうに従って上方に移行する傾斜状とされている。また、第1フレーム材131Aと第2フレーム材131Bとの間隔は、前端から中途部まで平行状で、中途部から後方に行くに従って徐々に拡がっている。
【0073】
連結材133は、第1フレーム材131Aと第2フレーム材131Bとの間隔が拡がる部分の中途部同士を連結している。
操向ハンドル7は、パイプ材によって形成され、第1杆部134Aと、第2杆部134Bと、第3杆部134Cとを有する。第1杆部134Aは、第2杆部134Bの左方に間隔をおいて配置されている。第3杆部134Cは、第1杆部134Aと第2杆部134Bの後端同士を連結している。第1杆部134Aと第2杆部134Bの前部は前方に行くに従って下方に移行する傾斜状とされている。第1杆部134Aと第2杆部134Bの後部は前後方向に沿っている。第1杆部134Aの前部は、第1フレーム材131Aの後側部分に連結されている。第2杆部134Bの前部は、第2フレーム材131Bの後側部分に連結されている。
【0074】
操向ハンドル7の後部には、操作パネル135が設けられている。操作パネル135は、第1杆部134Aと第2杆部134Bとにわたって設けられている。
操向ハンドル7には、複数の操作レバー136,137が支持されている。複数の操作レバー136,137は、第1操作レバー136と、第2操作レバー137とを含む。
図14、
図16に示すように、苗載せ台46は、機体9の後部で且つ操向ハンドル7の前側近傍に設けられている。支持フレーム5の後部(機体9の後部)には、苗載せ台46を支持する台フレーム138が設けられている。台フレーム138は、機体幅方向に移動可能に支持するフレームである。台フレーム138は、左フレーム139Lと、右フレーム139Rと、上連結フレーム140と、下連結フレーム141とを有する。上連結フレーム140は、左フレーム139Lと右フレーム139Rとの上部同士を連結している。
下連結フレーム141は、左フレーム139Lと右フレーム139Rとの下部同士を連結している。
【0075】
また、載置板35上を縦送りされるトレイT1は、苗載せ台46の下端側でガイド杆142によって案内されて苗載せ台46の背面側に移送される。苗2が取り出された空のトレイT1は、次のトレイT1に押されて苗載せ台46の背面側を上方へと移送される。空のトレイT1は、上方に引き出されて、ガイド杆142から取り出される。
図1及び
図14に示すように、支持フレーム5(機体9)の後部には、トレイ載置部材143が設けられている。トレイ載置部材143は、載置位置E1と、スタンド位置E2と、収納位置E3とに位置変更可能である。載置位置E1は、空のトレイT1を載置する位置である。スタンド位置E2は、移植機1の不使用時に機体9の後部を支持する位置である。したがって、トレイ載置部材143は、後部のスタンドとして兼用されている。収納位置E3は、移植機1の移動時など、苗2の植付作業をせず且つトレイ載置部材143をスタンドとして使用しない場合の位置である。
【0076】
図1に示すように、機体9の前部には、機体9の前部を支持する前スタンド144が設けられている。前スタンド144は、仮想線で示すスタンド位置と、実線で示す収納位置とに位置変更可能である。前スタンド144をスタンド位置にすると共にトレイ載置部材143をスタンド位置にした状態で、機体9を下降することにより、前スタンド144とトレイ載置部材143とで機体9を支持できる。
【0077】
図14に示すように、トレイ載置部材143は、苗載せ台46の下方側(背面側)で且つ操向ハンドル7の下方に配置されている。トレイ載置部材143は、載置位置E1では、略水平状とされていて、操向ハンドル7との間に間隔が設けられている。
図15に示すように、トレイ載置部材143は、操向ハンドル7の機体幅方向の幅内で且つ第1杆部134Aと第2杆部134Bの間の中央部に位置している。また、トレイ載置部材143は、連結材133に取り付けられている。
【0078】
図15に示すように、トレイ載置部材143は、本体部146と、第1嵌合部147Aと、第2嵌合部147Bと、抜止め部材148と、トレイ係止部材149とを有する。
本体部146は、パイプ材により形成され、第1部位150Aと、第2部位150Bと、第3部位150Cと、第4部位150Dとを有する。第1部位150Aは、第2部位150Bの左方に間隔をおいて配置されている。第3部位150Cは、第1部位150Aと第2部位150Bの一端部同士を連結している。第4部位150Dは、第1部位150Aと第2部位150Bの中途部同士を連結している。
【0079】
図17に示すように、第1嵌合部147Aは、第1部位150Aの他端部に固定されている。第1嵌合部147Aは、U字状に形成され、連結材133に軸心回りに回転自在に嵌合している。第1嵌合部147Aは、抜止めピン151によって連結材133から抜止めされている。抜止めピン151は、第1嵌合部147Aの一端壁152と他端壁153とにわたって挿通されている。
【0080】
図18に示すように、第2嵌合部147Bは、第2部位150Bの他端部に固定されている。第2嵌合部147Bは、U字状に形成され、連結材133に軸心回りに回転自在に嵌合している。第2嵌合部147Bは、抜止め部材148によって連結材133から抜止めされている。抜止め部材148は、第1壁152と、第2壁153と、第3壁154とを有する。第1壁152は、一端側が第2部位150Bにボルト158によって固定されている。ボルト158は、第2部位150Bに固定されたナット部材157に螺合されている。第2壁153は、第1壁152の他端側から延出されている。また、第2壁153は、第2嵌合部147Bの一端壁159及び他端壁160の端部に接当している。第3壁154は、第2壁153の端部から延出され、第2嵌合部147Bの一端壁159に沿って形成されている。第2壁153と連結材133との間には間隔が設けられている。これにより、第2嵌合部147B及び第2部位150Bは、連結材133の径方向外方に移動可能とされている。
【0081】
図15、
図16、
図17に示すように、トレイ係止部材149は、棒材によって形成されている。トレイ係止部材149は、載置位置E1におけるトレイ載置部材143の上方
側に設けられている。トレイ係止部材149は、第1係止部161Aと、第2係止部161Bと、第3係止部161Cと、第1脚部162Aと、第2脚部162Bとを有する。第1係止部161Aは、第1部位150Aに沿って設けられている。また、第1係止部161Aは、第1部位150Aと間隔をおいて設けられている。第2係止部161Bは、第2部位150Bに沿って設けられている。第2係止部161Bは、第2部位150Bと間隔をおいて設けられている。第3係止部161Cは、第1係止部161Aと第2係止部161Bとの一端部同士を連結している。第1脚部162Aは、第1係止部161Aの他端部と第1部位150Aとを連結している。第2脚部162Bは、第2係止部161Bの他端部と第2部位150Bとを連結している。
【0082】
図15に示すように、空のトレイT1は、載置位置E1におけるトレイ載置部材143上に載置される。トレイT1は、縦方向が機体幅方向となるようにトレイ載置部材143上に載置される。第1係止部161A、第2係止部161B及び第3係止部161Cがポット部P1の間に嵌ることにより、トレイT1の前後方向及び機体幅方向の位置決めがされる。
【0083】
図15に示すように、移植機1は、位置決め機構163を有する。位置決め機構163は、トレイ載置部材143を、載置位置E1と、スタンド位置E2と、収納位置E3との各位置に位置決めする機構である。
図18、
図19に示すように、位置決め機構163は、固定板164と、係止板165と、付勢部材166(第3付勢部材という)とを有する。位置決め機構163は、第2部位150Bの右側に設けられている。
【0084】
固定板164は、板面が機体幅方向を向く板材によって形成され、前部が連結材133に固定されている。固定板164は、第1係止溝167Aと、第2係止溝167Bと、第3係止溝167Cとを有する。第1係止溝167Aは、固定板164後部の上下中途部に形成され、後方に向けて開放状に形成されている。第2係止溝167Bは、固定板164の下部に形成され、下方に向けて開放状に形成されている。第3係止溝167Cは、固定板164後部の上部に形成され、上斜め後方に向けて開放状に形成されている。
【0085】
係止板165は、第2部位150Bの右側に固定されている。係止板165と第2部位150Bとは、補強部材168によって連結されている。係止板165は、本体部146を連結材133回りに回転させることで第1係止溝167A、第2係止溝167B及び第3係止溝167Cに対向可能とされている。係止板165を第1係止溝167Aに嵌め込むと、トレイ載置部材143を載置位置E1に固定できる。また、係止板165を第2係止溝167Bに嵌め込むと、トレイ載置部材143をスタンド位置E2に固定できる。また、係止板165を第3係止溝167Cに嵌め込むと、トレイ載置部材143を収納位置E3に固定できる。
【0086】
図14に示すように、トレイ載置部材143は、載置位置E1で連結材133から後方突出状とされる。また、トレイ載置部材143は、スタンド位置E2で連結材133から下方突出状とされる。また、トレイ載置部材143は、収納位置E3で連結材133から上斜め上方に突出状とされる。また、トレイ載置部材143は、収納位置E3で載置位置E1より上方に位置する。
【0087】
第3付勢部材166は、引張りコイルバネから構成されている。第3付勢部材166の一端は、係止板165に掛止されている。第3付勢部材166の他端は、連結材133に固定された掛止片169に掛止されている。第3付勢部材166は、係止板165が第1係止溝167A、第2係止溝167B及び第3係止溝167Cに嵌る方向に係止板165を付勢している。第2部位150Bを連結材133の径方向外方に移動させることにより、第3付勢部材166の付勢力に抗して、係止板165を第1係止溝167A、第2係止溝167B及び第3係止溝167Cから離脱させることができる。
【0088】
図14〜
図16に示すように、移植機1は、押さえ機構171を有する。押さえ機構171は、トレイ載置部材143上に載置されたトレイT1を押さえる機構である。押さえ機構171は、苗載せ台46の下方に(苗載せ台46とトレイ載置部材143との間に)配置されている。また、押さえ機構171は、第1フレーム材131Aと第2フレーム材
131Bとの間に設けられている。
【0089】
図17、
図19に示すように、押さえ機構171は、支持ブラケット172と、トレイ押さえ173と、付勢部材174(第4付勢部材という)と、当たり175とを有する。
支持ブラケット172は、板材からなり、上連結フレーム140に固定されている。支持ブラケット172は、枢支部176Aと、規制部176Bと、第1掛止壁部176Cとを有する。
【0090】
トレイ押さえ173は、棒材から形成され、アーム部177Aと、押え部177BとからL字形に形成されている。アーム部177Aは、一端が枢支部176Aに機体幅方向の軸心回りに上下揺動自在に枢支されている。
図14に示すように、アーム部177Aが上下に揺動することにより、トレイ押さえ173は、押さえ姿勢G1と、退避姿勢G2とに姿勢変更可能である。アーム部177Aは、退避姿勢G2で規制部176Bに接当し、上方揺動が規制される。押え部177Bは、アーム部177Aの他端から機体幅方向に延出されている。また、押え部177Bは、押さえ姿勢G1でトレイ載置部材143上のトレイT1に接当する。
【0091】
第4付勢部材174は、引張りコイルバネで構成されている。第4付勢部材174の一端は、第1掛止壁部176Cに掛止されている、第4付勢部材174の他端は、アーム部177Aに固定された第2掛止壁部178に掛止されている。第4付勢部材174は、押さえ姿勢G1でトレイ押さえ173を下方(トレイT1に押し付けられる方向)に付勢している。また、第4付勢部材174は、退避姿勢G2でトレイ押さえ173を上方に付勢している。
【0092】
当たり175は、支持ブラケット172に接当することで、トレイ押さえ173の下方揺動を規制する。
本実施形態では、機体9の後部で且つ操向ハンドル7の前側に設けられた苗載せ台46を有し、空のトレイT1を載置するトレイ載置部材143を操向ハンドル7の下方に設けている。これにより、空のトレイT1をトレイ載置部材143に載置する作業の簡素化を図ることができる。また、トレイ載置部材143を載置位置と、スタンド位置とに位置変更可能とすることにより、トレイ載置部材143をスタンドに兼用することができる。この部材の兼用化によりコスト低減を図ることができる。
【0093】
また、トレイ係止部材149を設けることにより、トレイ載置部材143上に載置した空のトレイT1の位置決めをすることができる。
また、苗載せ台46の下方に、トレイ載置部材143上に載置した空のトレイT1を押さえるトレイ押さえ173を設けることにより、トレイ載置部材143上の空のトレイT1を安定に保持することができる。
【0094】
また、トレイ載置部材143を、載置位置E1と、スタンド位置E2と、収納位置E3とに位置決めする位置決め機構163を設けることにより、トレイ載置部材143を使用しないときに、トレイ載置部材143を邪魔にならない収納位置E3に配置しておくことができる。
図21、
図22、
図23に示すように、第1操作レバー136は、操向ハンドル7の第1杆部134Aの右側方で且つ近傍に配置されている。第1操作レバー136は、第1杆部134Aに支持されている。第1操作レバー136は、走行装置10への動力を切断する主クラッチの操作部材と、走行装置10を制動するブレーキの操作部材とを兼用した操作レバーである。すなわち、第1操作レバー136は、左走行機構6L及び右走行機構6Rのクローラ走行体18L,18Rへの動力を切断すると共にクローラ走行体18L,18Rを制動する。
【0095】
第1操作レバー136の基部(下端側)は、取付ブラケット186(第1取付ブラケットという)にレバー軸187(第1レバー軸という)を介して取り付けられている。第1操作レバー136は、第1レバー軸187の軸心回りに揺動可能であって、機体幅方向に揺動可能である。第1取付ブラケット186の下端に、取付筒188(第1取付筒という)が固定されている。第1取付筒188は、機体幅方向の軸心を有する揺動支軸189(第1揺動支軸という)に軸心回りに回転自在に外嵌されている。第1揺動支軸189は、
第1杆部134Aに固定された左取付部材190に取り付けられている。したがって、第1操作レバー136は、前後方向にも揺動可能とされている。
【0096】
第1取付筒188の前部には、ブレーキアーム191の基部が固定されている。
図24に示すように、ブレーキアーム191の先端には、ブレーキワイヤ192が連結されている。ブレーキワイヤ192は、ボーデンワイヤで構成され、インナーワイヤ192aとアウターワイヤ192bとを有する。ブレーキワイヤ192のインナーワイヤ192aの一端は、連結部材193を介してブレーキアーム191の先端に連結されている。
図24に示すように、ブレーキワイヤ192のインナーワイヤ192aの他端は、バネを介してブレーキ194を作動させるブレーキレバー195に連結されている。
【0097】
第1取付筒188には、押圧部材196の基部が固定されている。押圧部材196は、第1取付筒188から上方側に突出状とされている。押圧部材196は、押圧部197と、解除部198とを有する。押圧部197は、押圧部材196の後面側に設けられ、湾曲状に凹む凹面に形成されている。押圧部197は、揺動リンク203を押圧する部分である。解除部198は、押圧部材196の上面側に設けられ、第1揺動支軸189の軸心O1(第1操作レバー136の揺動中心)を中心とする円弧状に形成されている。解除部198は、揺動リンク203に対する押圧を解除する部分である。
【0098】
解除部198は、保持部位199を有する。解除部198の後部側の所定範囲が保持部位199とされている。また、保持部位199は、凹部200を有する。押圧部197と解除部198との間のコーナー部201は、凸状の円弧面に形成されている。押圧部材196の上部の後部側には、係合ピン202が設けられている。係合ピン202は、機体幅方向の軸心を有し、右方に突出状とされている。
【0099】
押圧部材196の後方側には、揺動リンク203が配置されている。揺動リンク203の一端側は、第1リンクピン204によって、左取付部材190に機体幅方向の軸心回りに回転自在に支持されている。第1リンクピン204は、第1揺動支軸189の後上方に位置している。揺動リンク203の他端側には、係合部材205が設けられている。この係合部材205は、機体幅方向の軸心を有する円柱状に形成されている。係合部材205は、揺動リンク203の側面に固定されている。また、係合部材205は、押圧部材196の押圧部197及び解除部198に接当可能である。なお、係合部材205は、揺動リンク203と1つの部材で一体形成されていてもよい。
【0100】
揺動リンク203の他端側には、第2リンクピン206が設けられている。この第2リンクピン206は、係合部材205と同心状に設けられている。この第2リンクピン206に、クラッチリンク207の一端側(後端側)が枢支されている。
図23に示すように、クラッチリンク207の他端側(前端側)には、クラッチワイヤ208が連結されている。クラッチワイヤ208は、ボーデンワイヤで構成され、インナーワイヤ208aとアウターワイヤ208bとを有する。クラッチワイヤ208のインナーワイヤ208aの一端側は、連結部材209を介してクラッチリンク207の他端側に連結されている。クラッチワイヤ208のインナーワイヤ208aの他端側は、主クラッチ210を入り切り操作する(主クラッチ210を接続及び切断する)クラッチレバー211に連結されている。クラッチレバー211には、主クラッチ210を操作するレリーズフォーク212が設けられている。
【0101】
図20、
図21、
図22に示すように、第1杆部134Aの右側方には、補助操作部材213が設けられている。補助操作部材213は、アーム部214と、操作部215とを有する。アーム部214の基部214aは、左取付部材190に固定された固定ブラケット216に枢支ピン217を介して枢支されている。枢支ピン217は、機体幅方向の軸心を有する。枢支ピン217は、第1リンクピン204の後下方に位置している。アーム部214の先端側214bは、基部214aから第1揺動支軸189の前方側に延びている。アーム部214の先端側214bは、係合ピン202が挿通する係合溝218を有する。係合溝218は、前側の第1溝部218aと、後側の第2溝部218bとを有する。第1溝部218aは、第2溝部218bの前端から前下がりに傾斜状で且つ前方に凸となる円弧状に形成されている。第2溝部218bは、第1溝部218aの上端から後下がり
傾斜状で且つ上方に凸となる円弧状に形成されている。操作部215は、アーム部214の基部214aから後上方に延出されている。操作部215は、操向ハンドル7を把持したまま、親指等によって操作可能である。言い換えると、補助操作部材213は、操向ハンドル7を把持したまま操作可能である。
【0102】
図25に示すように、操作パネル135の左側には、第1操作レバー136を案内するレバー溝219(第1レバー溝という)が形成されている。この第1レバー溝219に、第1操作レバー136が挿通されている。第1操作レバー136は、第1レバー溝219内を移動可能である。第1操作レバー136は、クラッチ入り位置H1と、クラッチ切り位置H2と、ブレーキ切り位置H3と、ブレーキ入り位置H4と、係止位置H5とに操作可能である。
【0103】
第1操作レバー136を、クラッチ入り位置H1に操作すると、主クラッチ210が接続され、左及び右のクローラ走行体18L,18Rへの動力が伝達される。クラッチ入り位置H1では、ブレーキ194は解除状態(クローラ走行体18L,18Rを制動しない状態)である。第1操作レバー136を、クラッチ入り位置H1から後方に揺動させてクラッチ切り位置H2に操作すると、主クラッチ210が切断され、クローラ走行体18L,18Rへの動力の伝達が遮断される。このクラッチ切り位置H2では、ブレーキ194は、まだ解除状態である。クラッチ切り位置H2から第1操作レバー136を真後ろに揺動させることはできない。第1操作レバー136を、クラッチ切り位置H2からブレーキ切り位置H3に操作すると、クラッチ入り且つブレーキ解除状態を維持し、第1操作レバー136の後方への揺動が許容される。第1操作レバー136をブレーキ切り位置H3からブレーキ入り位置H4に操作すると、クラッチ切り状態を維持した状態で、ブレーキ194が作動され、クローラ走行体18L,18Rが制動される。第1操作レバー136をブレーキ入り位置H4から係止位置H5に操作すると、クラッチ切り且つブレーキ入り状態で、第1操作レバー136を保持することができる。
【0104】
図26は、第1操作レバー136をクラッチ入り位置H1に操作した状態の側面図を示している。このクラッチ入り位置H1では、係合部材205が押圧部197に接当していると共に係合部材205が第1リンクピン204より前側で且つ上方に位置している。このクラッチ入り位置H1では、主クラッチ210の戻しバネの付勢力F1によって、第1操作レバー136の後方への揺動が規制される。すなわち、第1操作レバー136がクラッチ入り位置H1に保持される。また、係合ピン202は、第1溝部218aの下端に位置している。
【0105】
図27に示すように、第1操作レバー136を、クラッチ入り位置H1から後方に揺動して、クラッチ入り位置H1とクラッチ切り位置H2との中間位置に操作すると、押圧部材196が後方に揺動する。押圧部材196が後方に揺動すると、係合部材205が押圧部197に押圧される。押圧部197に押圧された係合部材205は、押圧部197に接したまま上方移動する。これによって、揺動リンク203が後上方に揺動する。揺動リンク203が後上方に揺動すると、付勢力F1に抗してクラッチリンク207が後方に引かれ、クラッチワイヤ208を介してクラッチレバー211が引動される。すると、レリーズフォーク212によって、主クラッチ210が動力を切断する方向に操作される。また、係合ピン202は、第1溝部218a内を上方に移動する。
【0106】
図21に示すように、第1操作レバー136を、さらに後方に揺動させて、クラッチ切り位置H2に操作すると、押圧部材196は、さらに後方に揺動して係合部材205を押圧する。すると、係合部材205は、押圧部197の上端からコーナー部201を乗り越えて、解除部198の保持部位199に乗り上げる。係合部材205が保持部位199に乗り上げると、揺動リンク203の下方への揺動が規制され、付勢力F1は、押圧部材196を前方に揺動させる方向(第1操作レバー136をクラッチ入り位置H1に揺動させる方向)には働かない。このとき、ブレーキ194は操作されないので、ブレーキ194の戻しバネの付勢力は、第1操作レバー136には、働かない。したがって、クラッチ切り位置H2では、第1操作レバー136を操作しないと、押圧部材196は揺動しない。言い換えると、クラッチ切り位置H2では、第1操作レバー136は、自己揺動不能に保
持される。また、第1操作レバー136をクラッチ切り位置H2に操作すると、係合部材205が凹部200に嵌る。また、このクラッチ切り位置H2では、係合ピン202は、第1溝部218aの上端部に位置する。
【0107】
このクラッチ切り位置H2において、補助操作部材213の操作部215を親指等によって押し下げると、アーム部214の先端側が枢支ピン217回りに上方に揺動する。アーム部214が上方に揺動すると、係合ピン202が、第1溝部218aの上部の下側縁部220によって押圧される。すると、係合ピン202が第1溝部218a内を下方側に移動し、これにより、押圧部材196が前方に揺動する。押圧部材196が前方に揺動すると、係合部材205が解除部198(保持部位199)から外れ、その後、コーナー部201を経て押圧部197の上端に移動する。係合部材205が押圧部197に移動すると、付勢力F1によって、係合部材205が押圧部材196を前方に押圧する。これにより、第1操作レバー136がクラッチ入り位置H1に操作される。第1溝部218aの上部の下側縁部が、係合ピン202を押圧する押部220とされている。
【0108】
図28に示すように、第1操作レバー136を、クラッチ切り位置H2からブレーキ切り位置H3に操作し、さらに、ブレーキ入り位置H4に操作すると、ブレーキアーム191が後上方に揺動する。すると、ブレーキワイヤ192によって、ブレーキレバー195が引動され、ブレーキ194が作動する。このとき、ブレーキアーム191には、ブレーキ194の戻しバネの付勢力F2が働く。この付勢力F2は、第1操作レバー136をブレーキ切り位置H3に戻す方向に働く。また、第1操作レバー136をブレーキ入り位置H4に操作する際に、係合部材205が解除部198上を前方に移動する。係合部材205がこの解除部198上に位置する状態のときには、付勢力F1は第1操作レバー136を揺動させる方向には働かない。すなわち、揺動リンク203は、押圧部材196の押圧力が作用しない状態となる。また、ブレーキ入り位置H4では、係合ピン202は、第2溝部218bの後端に位置する。
【0109】
本実施形態では、主クラッチ210を切断した後に、係合部材205が解除部198に乗り上げるので、揺動リンク203に押圧部材196の押圧力が作用しない状態となる。これにより、主クラッチ210の切断後、第1操作レバー136に付勢力F1が作用しなくなり、ブレーキ194を作動させる操作をするときの第1操作レバー136の操作力を軽減することができる。
【0110】
また、本実施形態では、解除部198が、第1操作レバー136の揺動中心O1を中心とする円弧状とされ、主クラッチ210の切断後に、押圧部材196に押圧される係合部材205が解除部198に乗り上げる。これにより、ブレーキ194を作動させる操作をするときに、係合部材205位が解除部198上を移動するので、第1操作レバー136の操作をスムーズに行える。
【0111】
また、解除部198が、主クラッチ210を切断し且つブレーキ194を解除した位置で第1操作レバー136が保持される保持部位199を有することにより、主クラッチ210を切断し且つブレーキ194を解除した状態で第1操作レバー136を保持することができる。
また、解除部198の保持部位199に係合部材205が嵌る凹部200を形成することにより、第1操作レバー136をクラッチ切り位置H2にしたときに手応えがあり、第1操作レバー136の保持位置を作業者が容易に認識することができる。
【0112】
また、操向ハンドル7を把持した状態で操作可能な補助操作部材213を設け、この補助操作部材213によって、係合部材205が保持部位199に位置する状態で主クラッチ210が接続される方向に揺動可能とすることにより、主クラッチ210が切断され且つブレーキ194が解除された状態から、操向ハンドル7から手を放さずに、主クラッチ210を接続させることができる。
【0113】
移植機1にあっては、畝R1の終端にまで苗2が植え付けられると、圃場の枕地等で旋回し、進行方向を逆向きにして、隣接する畝R1に苗2を植え付ける。歩行型の移植機1では、枕地等において旋回する場合、機体9を上昇させ、その後、操向ハンドル7を押し下げて前輪14を地面から浮かせて旋回させる。枕地が狭い場合においては、機体9を上
昇させるときに主クラッチ210を切断する。そして、機体9が上昇すると、操向ハンドル7を押し下げて前輪14を地面から浮かせ、その後、主クラッチ210を接続する。このとき、第1操作レバー136を左手で操作すると、操向ハンドル7を右手だけで把持しなければならない。しかしながら、本実施形態では、補助操作部材213によって、操向ハンドル7から手を放さずに、第1操作レバー136をクラッチ切り位置H2からクラッチ入り位置H1に操作することができる。これにより、操向ハンドル7を両手で安定して把持することができる。
【0114】
また、押圧部材196に係合ピン202を設け、補助操作部材213に、主クラッチ210が接続される方向に押圧部材196を揺動させるべく係合ピン202を押圧する押部220を設けることにより、構造の簡素化を図ることができる。
図29、
図30、
図31に示すように、第2操作レバー137は、操向ハンドル7の第2杆部134Bの左側方で且つ近傍に配置されている。第2操作レバー137は、第2杆部134Bに支持されている。第2操作レバー137は、昇降バルブ61を操作して機体9を昇降させる操作レバーであると共に、移植装置4への動力伝達を断続させる操作レバーである。
【0115】
第2操作レバー137の基部(下端側)は、取付ブラケット226(第2取付ブラケットという)にレバー軸227(第2レバー軸という)を介して取り付けられている。第2操作レバー137は、第2レバー軸227の軸心回りに揺動可能であって、機体幅方向に揺動可能である。第2取付ブラケット226の下端に、取付筒228(第2取付筒という)が固定されている。第2取付筒228は、機体幅方向の軸心を有する揺動支軸229(第2揺動支軸という)に軸心回りに回転自在に外嵌されている。第2揺動支軸229は、第2杆部134Bに固定された右取付部材230に取り付けられている。したがって、第2操作レバー137は、前後方向にも揺動可能とされている。
【0116】
図32に示すように、第2操作レバー137の揺動は、リンク機構231と、昇降ワイヤ232とによって、昇降バルブ61に伝えられる。リンク機構231は、第2操作レバー137と昇降ワイヤ232との間に設けられている。リンク機構231は、第1昇降リンク233と、第2昇降リンク234とを有する。第1昇降リンク233の基部は、第2取付筒228の上部に固定されている。第1昇降リンク233の先端には、第2昇降リンク234の一端側(後端側)が第1連結ピン236を介して枢支されている。第2昇降リンク234の他端側(前端側)には、連結部材238が第2連結ピン237を介して枢支されている。
【0117】
昇降ワイヤ232は、ボーデンワイヤで構成され、インナーワイヤ232aとアウターワイヤ232bとを有する。昇降ワイヤ232のインナーワイヤ232aの一端は、連結部材238に取り付けられている。インナーワイヤ232aの他端は、昇降バルブ61に連動連結されている。インナーワイヤ232aには、昇降バルブ61側から矢印F3方向の付勢力が作用する。
【0118】
図33に示すように、操作パネル135の右側には、第2操作レバー137を案内するレバー溝239(第2レバー溝という)が形成されている。この第2レバー溝239に、第2操作レバー137が挿通されている。第2操作レバー137は、第2レバー溝239内を移動可能である。第2操作レバー137は、植付位置M1と、固定位置M2と、下げ位置M3と、複数の上げ位置M4,M5とに操作可能である。複数の上げ位置M4,M5は、第1上げ位置M4と第2上げ位置M5とを含む。
【0119】
第2操作レバー137を植付位置M1に操作すると、移植装置4に動力を伝達する植付クラッチが接続されて、苗取出し装置47、苗載せ台46、植付装置45が駆動される。第2操作レバー137が植付位置M1から外れると、植付クラッチが切断される。また、第2操作レバー137が植付位置M1に操作された状態では、昇降バルブ61は、整地ローラ50又は鎮圧輪49が畝R1の上面に追従する動きに応じて、上昇位置、中立位置、下降位置に切り換えられる。昇降バルブ61が上昇位置に切り換えられると昇降シリンダ36が伸長し機体9が上昇する。昇降バルブ61が中立位置に切り換えられると昇降シリンダ36が伸縮しなくなり機体9の上下動が停止する。昇降バルブ61が上昇位置に切り
換えられると昇降シリンダ36が収縮し機体9が下降する。第2操作レバー137を固定位置M2に操作すると、昇降バルブ61が中立位置に固定され、昇降シリンダ36の伸縮が不能とされる。
【0120】
第2操作レバー137を下げ位置M3に操作すると、機体9が下降する。そして、整地ローラ50又は鎮圧輪49が畝R1の上面に接地して昇降バルブ61が中立位置に戻されるまで機体9が下降する。第2操作レバー137を第1上げ位置M4又は第2上げ位置M5に操作すると、昇降シリンダ36が伸長し、機体9が上昇する。
植付位置M1、固定位置M2、下げ位置M3、第1上げ位置M4では、第1連結ピン236と第2連結ピン237とを結ぶ連結線Y1が、第2レバー軸227の上方に位置している(
図30参照)。これによって、植付位置M1、固定位置M2、下げ位置M3、第1上げ位置M4の各位置において、付勢力F3は、第2操作レバー137を、前方に揺動する方向に付勢している。また、植付位置M1、固定位置M2、下げ位置M3、第1上げ位置M4の各位置において、第2操作レバー137が第2レバー溝239の縁部に接当することにより、各位置に保持される。
【0121】
図36に示すように、第2操作レバー137を第2上げ位置M5に操作した状態では、連結線Y1は、第2レバー軸227の下方に位置する。すなわち、第2操作レバー137を第2上げ位置M5に操作した状態では、付勢力F3は、第2操作レバー137を、後方に揺動させる方向に付勢している。これにより、第2操作レバー137は、第2レバー溝239の縁部に接当して、第2上げ位置M5に保持される。以上のように、リンク機構231によって、付勢力F3が切り換えられる。
【0122】
歩行型の移植機1では、旋回する場合、第2操作レバー137を第2上げ位置M5に操作して、機体9を最上昇位置まで上昇させる。そのとき、機体9が最上昇位置に上昇した状態で、第2操作レバー137を固定位置M2に戻すのを忘れた場合、昇降シリンダ36を制御する油圧回路のリリーフ弁が開きっぱなしになる。
そこで、本実施形態では、機体9が所定位置(例えば、最上昇位置又は最上昇位置の近傍)に上昇したときに、昇降シリンダ36に係合する復帰機構241が設けられている。この復帰機構241は、機体9を上昇させているときにおいて、機体9が所定位置に上昇したときに、昇降シリンダ36に係合に係合することにより、第2操作レバー137を第2上げ位置M5から固定位置M2に自動で位置変更させる。
【0123】
図29、
図30、
図31、
図34、
図35に示すように、復帰機構241は、作動部材242と、戻しバネ243と、復帰ワイヤ244とを有する。
作動部材242は、昇降シリンダ36の近傍であって、架台13の後部の右側外側面に設けられている。架台13の後部の右側外側面には、固定板245がボルトによって取り付けられている。この固定板245の前上部に機体幅方向の軸心を有する枢軸246が設けられている。作動部材242には、筒ボス247が固定されている。筒ボス247は、枢軸246に軸心回りに回転自在に外嵌されている。これにより、作動部材242が、枢軸246回りに前後揺動自在とされている。
【0124】
作動部材242は、板材によって形成されている。作動部材242は、当接部248と、回止め部249と、バネ掛け壁250と、連結壁251とを有する。当接部248は、筒ボス247の上方に位置する。回止め部249は、筒ボス247の下方から後方に延出されている。バネ掛け壁250は、筒ボス247の下方から機体幅方向外方に延出されている。連結壁251は、バネ掛け壁250の外端から下方に延出されている。
【0125】
固定板245の後部には、係止壁252が機体幅方向の外方に延出状に設けられている。
戻しバネ243は、引張りコイルバネによって構成されている。戻しバネ243の一端は、バネ掛け壁250に引っ掛けられている。戻しバネ243の他端は、係止壁252に引っ掛けられている。この戻しバネ243は、当接部248を前方に揺動させる方向に作動部材242を付勢している。また、回止め部249が係止壁252に前側から接当することにより、戻しバネ243による作動部材242の回転が規制されている。
【0126】
図34に示すように、当接部248は、昇降シリンダ36の伸縮に伴って移動する可動
部材253が接当する部位である。
図34、
図35に示すように、昇降シリンダ36のピストンロッド36bは第2軸サポート30に連結されている。この第2軸サポート30の右側には、架台13に前後方向移動自在に支持されたガイド254が設けられている。このガイド254に可動部材253が固定されている。したがって、可動部材253は、ピストンロッド36bの移動に伴って移動する。そして、ピストンロッド36bが後方に移動(シリンダチューブ36aから突出する方向に移動)して、機体9が所定位置に上昇したときに、可動部材253が当接部248(作動部材242)を押圧する。
【0127】
図34に示すように、作動部材242は、実線で示す位置である待機位置と、仮想線で示す位置である作動位置とに位置変更可能とされている。待機位置は、回止め部249が係止壁252に接当して戻しバネ243による回転が規制された位置である。また、待機位置は、可動部材253が作動部材242を押圧する前の状態である。作動位置は、可動部材253が当接部248を押圧することで、上部が後方に揺動するように作動部材242が揺動した状態である。可動部材253が当接部248から離れると、作動部材242は、戻しバネ243によって待機位置に戻る。
【0128】
図29、
図30に示すように、復帰ワイヤ244は、第2操作レバー137と作動部材242とを連動するワイヤである。復帰ワイヤ244は、ボーデンワイヤによって構成されている。復帰ワイヤ244は、インナーワイヤ244aとアウターワイヤ244bとを有する。復帰ワイヤ244のインナーワイヤ244aの一端は、連結部材255に取り付けられている。連結部材255は、連結部251にピン259を介して機体幅方向の軸心回りに回転自在に連結されている。復帰ワイヤ244のアウターワイヤ244bの一端は、係止壁252に取り付けられている。復帰ワイヤ244のインナーワイヤ244aの他端は、バネ部材256を介して第2操作レバー137に連結されている。復帰ワイヤ244のアウターワイヤ244bの他端は、第2フレーム材131Bに取り付けられている。
【0129】
図30、
図31に示すように、復帰ワイヤ244のインナーワイヤ244aの他端には、バネ掛け部材257が取り付けられている。第2取付筒228及び第2取付ブラケット226に、揺動片258の基部が固定されている。バネ部材256は、引張りコイルバネから構成されている。バネ部材256の一端は、バネ掛け部材257に引っ掛けられている。バネ部材256の他端は、揺動片258の先端側に引っ掛けられている。
【0130】
図29、
図30は、第2操作レバー137が、固定位置M2に位置している状態を示している。第2操作レバー137は、付勢力F3によって固定位置M2に保持されている。また、可動部材253は、作動部材242から前方に離れていて、作動部材242は待機位置とされている。この状態から第2操作レバー137を第2上げ位置M5に操作すると、付勢力F3の付勢方向が切り換わって第2操作レバー137は、付勢力F3によって第2上げ位置M5に保持される。また、第2操作レバー137を第2上げ位置M5にすることにより、昇降バルブ61が操作されて、昇降シリンダ36のピストンロッド36bが後方に移動し、機体9が上昇する。このとき、ピストンロッド36bの移動にともなって、可動部材253も後方に移動する。機体9が所定位置に達すると(本実施形態では、ピストンロッド36bがフルストロークとなって機体9が最上昇位置に達すると)、可動部材253が作動部材242の当接部248を押圧する。すると、作動部材242が復帰ワイヤ244のインナーワイヤ244aを引動する。これにより、インナーワイヤ244aがバネ部材256を介して揺動片258を引っ張る。このときのバネ部材256のバネ力は、付勢力F3よりも大きく、揺動片258を第2レバー軸227回りに前方に揺動させる。これにより、第2操作レバー137及び第1昇降リンク233が前方に揺動する。第1昇降リンク233が前方に揺動すると、第2操作レバー137を前方に揺動させるように付勢力F3が切り換わる。そして、付勢力F3によって、第2操作レバー137が自動的に固定位置M2に復帰する。第2操作レバー137が固定位置M2に戻ると、昇降バルブ61が中立に戻され、昇降シリンダ36の伸長が停止する。
【0131】
本実施形態では、第2操作レバー137が、固定位置M2に位置するときに、復帰ワイヤ244のインナーワイヤ244aが、アウターワイヤ244bの他端と揺動片258との間で撓むように構成されている。また、第2操作レバー137を第2上げ位置M5にし
たときに、復帰ワイヤ244のインナーワイヤ244aが張るように構成されている。また、第2操作レバー137を第2上げ位置M5にしたときに、バネ部材256の付勢力が第2操作レバー137に作用しないように構成されている。なお、第2操作レバー137を第2上げ位置M5にしたときに、バネ部材256のバネ力が揺動片258に作用しても、このときのバネ部材256のバネ力が付勢力F3よりも小さく、且つ作動部材242によって復帰ワイヤ244が引動されたときに、バネ部材256のバネ力が付勢力F3よりも大きくなれば問題はない。
【0132】
本実施形態によれば、第2操作レバー137を第2上げ位置M5に位置させているときにおいて機体9が所定位置に上昇した際に、昇降シリンダ36に係合して第2操作レバー137を固定位置M2に位置変更させる復帰機構241を設けている。これにより、機体9が所定位置に上昇した際に、第2操作レバー137を第2上げ位置M5から固定位置M2に自動で位置変更させることができる。
【0133】
また、復帰機構241は、機体9が所定位置に位置した際に昇降シリンダ36の伸縮に伴って移動する可動部材253が押圧する作動部材242と、可動部材253が作動部材242を押圧した際に第2操作レバー137を第2上げ位置M5から固定位置M2に位置変更させるべく第2操作レバー137と作動部材242とを連動する復帰ワイヤ244とを有する。これにより、復帰機構241を簡単な構造で実現することができる。
【0134】
また、作動部材242を待機位置に戻す戻しバネ243を設けることにより、作動部材242を待機位置に戻す手間を省くことができる。
また、第2操作レバー137と、第2操作レバー137の操作力を昇降バルブ61に伝える昇降ワイヤ232との間に設けられたリンク機構231であって、第2操作レバー137が固定位置M2に位置するときに昇降ワイヤ232に作用する付勢力によって第2操作レバー137が固定位置M2に保持され、第2操作レバー137が第2上げ位置M5に位置するときに付勢力によって第2操作レバー137が第2上げ位置M5に保持されるように付勢力を切り換えるリンク機構231を備えた移植機1に復帰機構241を設けている。これにより、復帰機構241を簡単な構造で構成することができる。
【0135】
図37〜
図40は、苗取出し装置の他の例を示す。
この他の例の苗取出し装置47については、前述した苗取出し装置47と同様の部材は同様の符号を付して説明を省略し、異なる点を説明する。
この他の例の苗取出し装置47にあっては、第1係合部261A及び第2係合部261Bは、ローラ(ベアリングローラ)によって構成されている。また、押圧部材262は、板バネによって形成されている。
【0136】
第1係合部261Aは、第1爪取付部74Aの一端部と他端部との間の中間部に設けられている。詳しくは、第1係合部261Aは、第1苗取爪51Aの基部96Aと第1付勢部材83との間に設けられている。また、第1係合部261Aは、第1苗取爪51Aの取付側とは反対側に設けられている。この第1係合部261Aは、第1爪取付部74Aに第1ローラ軸263Aによって軸心回りに回転自在に取り付けられている。
【0137】
第2係合部261Bは、第2爪取付部74Bの一端部と他端部との間の中間部に設けられている。詳しくは、第2係合部261Bは、第2苗取爪51Bの基部96Bと第1付勢部材83との間に設けられている。また、第2係合部261Bは、第2苗取爪51Bの取付側とは反対側に設けられている。この第2係合部261Bは、第2爪取付部74Bに第2ローラ軸263Aによって軸心回りに回転自在に取り付けられている。
【0138】
第1ローラ263A軸は、第1爪取付部74Aの板厚方向の軸心を有する。第2ローラ軸263Aは、第2爪取付部74Bの板厚方向の軸心を有する。第1ローラ263A軸及び第2ローラ軸263Aの軸心は、平行状とされている。
押圧部材262は、第1爪取付部74Aと、第2爪取付部74Bとの間に設けられている。押圧部材262は、第1弾性片266Aと、第2弾性片266Bと、第1固定片267Aと、第2固定片267Bと、第1接続部269Aと、第2接続部269Bと、第3接続部270と、第1取付片268Aと、第2取付片268Bとを含む。
【0139】
第1固定片267Aは、揺動部材111の左側面に位置している。第2固定片267B
は、揺動部材111の右側面に位置している。第1固定片267Aから第1取付片268Aが延設されている。第2固定片267Bから第2取付片268Bが延設されている。第1取付片268A及び第2取付片268Bは、複数のネジ271a,271bと各ネジ271a,271bに螺合されたナット部材273a,273bとによって、揺動部材111に取り付けられている。したがって、押圧部材262は、揺動部材111と一体揺動する。
【0140】
複数のネジ271a,271bは、揺動部材111の揺動方向に並設されている。ネジ271a,271bを挿通するネジ挿通孔272a,272bであって、揺動部材111に形成されたネジ挿通孔272a,272bは、揺動方向に長い長孔に形成されている。これによって、第1取付片268A及び第2取付片268B(押圧部材)は、揺動部材111の揺動方向に位置調整可能とされている。
【0141】
第1弾性片266Aは、第1固定片267Aの左方に配置されている。第1弾性片266Aは、第1係合押部264Aと、第1係合解除部265Aとを有する。第1係合押部264Aは、第1係合解除部265Aより第1苗取爪51Aの先端部寄りに位置する。第2弾性片266Bは、第2固定片267Bの右方に配置されている。第2弾性片266Bは、第2係合押部264Bと、第2係合解除部265Bとを有する。第2係合押部264Bは、第2係合解除部265Bより第2苗取爪の先端部寄りに位置する。
【0142】
第1接続部269Aは、円弧状(湾曲状)に形成され、第1係合解除部265Aと、第1固定片267Aとを接続している。第1弾性片266Aは、第1接続部269Aを介して第1固定片267Aに片持ち支持されている。これによって、第1弾性片266Aは、弾性変形可能とされている。第2接続部269Bは、円弧状(湾曲状)に形成され、第2係合解除部265Bと、第2固定片267Bとを接続している。第2弾性片266Bは、第2接続部269Bを介して第2固定片267Bに片持ち支持されている。これによって、第2弾性片266Bは、弾性変形可能とされている。
【0143】
第3接続部270は、第1固定片267Aと第2固定片267Bとを接続している。
なお、図例では、押圧部材262は、一枚のバネ板を折曲することにより構成されているが、押圧部材262を、第1弾性片266A、第1固定片267A及び第1取付片268Aを有するバネ板と、第1弾性片266A、第1固定片267A及び第1取付片268Aを有するバネ板とから構成してもよい。
【0144】
図37、
図39に示すように、この他の例の苗取出し装置47にあっては、第1苗取爪51A及び第2苗取爪51Bがポット部P1内の根鉢2aを突き刺す直前の状態(
図10に示す状態と同じ状態)では、第1係合解除部265Aが第1係合部261Aに対応(接当)し、第2係合解除部265Bが第2係合部261Bに対応(接当)している。この状態では、第1苗取爪51Aと第2苗取爪51Bとの先端間隔D1は開いた状態とされる。
【0145】
この根鉢2a突き刺す直前の状態から爪支持体71がトレイT1へと進出すると、第1苗取爪51A及び第2苗取爪51Bの先端側で根鉢2aを突き刺す。このとき、カムフォロア113は、カム108の作用部108bによって押圧され、揺動部材111が第1苗取爪51A及び第2苗取爪51Bの先端から離れる方向に揺動する。すると、押圧カム262が揺動部材111と一体揺動し、第1係合押部264Aが第1係合部261Aを押圧し、第2係合押部264Bが第2係合部261Bを押圧する。これにより、第1苗取爪51A及び第2苗取爪51Bが先端間隔D1を縮める方向に回転し、第1苗取爪51A及び第2苗取爪51Bの先端が閉じる(
図40参照)。
【0146】
その他の構成は、前述した苗取出し装置47と同様に構成される。
第1係合部263A及び第2係合部263Bをローラによって構成することにより、押圧部材262が第1係合部263A及び第2係合部263Bに円滑に接当する。これによって、第1係合部263A、第2係合部263B及び押圧部材262の摩耗を少なくすることができる。
【0147】
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべて
の変更が含まれることが意図される。