(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
〔実施例1〕
図1は、実施例1におけるショベル1を例示する側面図である。
【0012】
ショベル1の下部走行体2には、上部旋回体3が旋回機構を介してX軸周りに旋回自在に搭載されている。上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてバケット6が取り付けられている。
【0013】
ブーム4、アーム5、及びバケット6は、掘削アタッチメントを構成し、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。なお、ショベル1に設けられるアタッチメントは、床堀アタッチメント、均しアタッチメント、浚渫アタッチメント等であってもよい。
【0014】
アーム5とバケット6とを連結するバケットリンク70には、クレーン作業用のフック80が回動可能に取り付けられている。フック80は、掘削作業時にはフック収納部50に収納され、クレーン作業時にフック収納部50から取り出されて使用される。
【0015】
バケットリンク70は、上端側がバケットシリンダトップピン64によりアームリンク52に回転可能に連結され、下端側がバケットピン62に回転可能に連結されている。フック80は、掘削作業時にはバケットピン62及びバケットシリンダトップピン64と干渉してバケット6の動作を妨げることがないように、バケットリンク70を含んで構成されるフック収納部50に収納される。
【0016】
図2は、実施例1におけるショベル1の駆動系の構成を例示する図である。
図2には、機械的動力系、高圧油圧ライン、パイロットライン、及び電気駆動・制御系が、それぞれ二重線、実線、破線、及び点線で示されている。
【0017】
ショベル1の駆動系は、エンジン11、メインポンプ12、パイロットポンプ14、コントロールバルブ15、操作装置16、及びコントローラ30を含んで構成されている。
【0018】
エンジン11は、ショベル1の駆動源であり、例えば所定の回転数を維持するように動作し、出力軸がメインポンプ12及びパイロットポンプ14の入力軸に接続されている。
【0019】
メインポンプ12は、高圧油圧ラインを介して圧油をコントロールバルブ15に供給するための装置であり、例えば斜板式可変容量型油圧ポンプである。メインポンプ12の吐出量は、例えばコントローラ30からの制御信号に応じて不図示のレギュレータが斜板傾転角を調節することによって制御される。
【0020】
パイロットポンプ14は、パイロットラインを介して各種油圧制御機器に圧油を供給するための装置であり、例えば固定容量型油圧ポンプである。
【0021】
コントロールバルブ15は、ショベル1における油圧システムを制御する油圧制御装置である。コントロールバルブ15は、例えば、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行用油圧モータ20R(右用)、走行用油圧モータ20L(左用)、及び旋回用油圧モータ21のうちの一又は複数のものに対してメインポンプ12から受け入れた圧油を選択的に供給する。
【0022】
なお、以下の説明において、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行用油圧モータ20R(右用)、走行用油圧モータ20L(左用)、及び旋回用油圧モータ21を、集合的に「油圧アクチュエータ」と称する場合がある。
【0023】
操作装置16は、操作者が油圧アクチュエータの操作に用いる装置であり、パイロットラインを介して、パイロットポンプ14から受け入れた圧油を油圧アクチュエータのそれぞれに対応する流量制御弁のパイロットポートに供給する。
【0024】
なお、各パイロットポートのそれぞれに供給される圧油の圧力(パイロット圧)は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置16のレバー又はペダルの操作方向及び操作量に応じた圧力とされる。各パイロット圧は、例えば圧力センサによって検出され、検出された値がコントローラ30に出力される。
【0025】
ブームシリンダ圧センサ18aは、ブームシリンダ7のボトム側チャンバにおける圧力を検出し、検出した値をコントローラ30に出力する。
【0026】
近接スイッチ51は、第1検出部51a、第2検出部51bを有し、フック80が収納されるフック収納部50に設けられている。フック収納部50における近接スイッチ51の配置、第1検出部51a及び第2検出部51bからコントローラ30への出力等については後述する。
【0027】
コントローラ30は、油圧アクチュエータの動作を制御する制御装置であり、収納判定部31、異常検出部32、制御部33を有する。コントローラ30は、例えば、CPU(Central Processing Unit),RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータで構成される。コントローラ30の各機能は、CPUがROMから読み出したプログラムをRAMと協働して実行することにより実現される。
【0028】
収納判定部31は、近接スイッチ51の第1検出部51a及び第2検出部51bからの出力に基づいて、フック80がフック収納部に収納されているか否かを判定する。
【0029】
異常検出部32は、近接スイッチ51の第1検出部51a及び第2検出部51bからの出力に基づいて、近接スイッチ51とコントローラ30との間の短絡、地絡、又は断線等といった異常を検出する。
【0030】
制御部33は、収納判定部31がフック収納部50にフック80が収納されていないと判定した場合に、作業モードをクレーンモードに切り替える。制御部33は、クレーンモードとして、例えば掘削作業時よりも回転数を低くする制御信号をエンジン11に出力する。エンジン11の回転数を下げることで、アタッチメントの動作が低速化し、クレーン作業において吊荷を揺らして他の物にぶつけたり落下させたりするような事故の発生を低減できる。また、アタッチメントの動作を制限することで、フック80がアタッチメントから吊り下げられている状態で掘削作業が行われてバケット6やフック80等が破損するのを防ぐことができる。
【0031】
また、クレーンモードにおいて、制御部33は、ブームシリンダ圧センサ18aから出力されるブームシリンダ7の圧力に基づいて吊荷の荷重を求め、ショベル1における定格荷重近くになった場合に操作者に警報を発する。警報を発して定格荷重以上のクレーン作業が行われるのを防止し、各部の破損や事故等を未然に回避することができる。
【0032】
また、制御部33は、異常検出部32が異常を検出した場合に、作業モードをクレーンモードに切り替える。近接スイッチ51とコントローラ30との間に異常が発生した場合には、収納判定部31がフック80の収納状態を誤判定する可能性があるため、制御部33がフック80の収納状態に関わらず作業モードをクレーンモードに切り替える。クレーンモードに切り替えてアタッチメントの動作を制限することで、フック80の収納状態が不明な状態での掘削作業等を防止し、各部の破損や事故等を未然に回避できる。
【0033】
図3は、実施例1におけるフック収納部50を例示する図であり、
図1の矢印Y方向から見た平面図である。また、
図4は、実施例1におけるフック収納部50を例示する側面図である。
図3及び
図4には、フック収納部50にフック80が収納されている状態が示されている。
【0034】
フック収納部50は、バケットリンク70を含んで構成され、収納空間100にフック80を収納する。フック80は、掘削作業時にフック収納部50の収納空間100に収納され、クレーン作業時に収納空間100から取り出されて使用される。
【0035】
フック80は、先端に鉤型形状の鉤部81を有し、鉤部81が取り付けられた自在継手83が連結軸84によってフック支持部85に連結されている。フック支持部85は、バケットピン62に回動可能に連結されている。フック支持部85は、フック80がフック収納部50から取り出されると、回動してバケットピン62から吊り下げられて鉤部81及び自在継手83を支持する。
【0036】
バケットリンク70は、バケットピン62が挿通される下端側連結部71,72、バケットシリンダトップピン64が挿通される上端側連結部73,74、下端側連結部71と上端側連結部73とを結合する左側結合部75、及び下端側連結部72と上端側連結部74とを結合する右側結合部76を有する。
【0037】
左側結合部75は、
図3に破線で示されるように、下端側連結部71と上端側連結部73との間に設けられている左側板77を有する。また、右側結合部76は、下端側連結部72と上端側連結部74との間に設けられている右側板78を有する。左側板77と右側板78との間には、上端側横架板101が設けられている。
【0038】
収納空間100は、バケットピン62、左側結合部75、右側結合部76、及び上端側横架板101に囲まれた空間であり、掘削作業時にフック80が収納される。収納空間100には、上端側横架板101及びバケットリンク70の底面79に接合されたフック受け部材102が設けられている。フック受け部材102は、左側板77及び右側板78に平行に設けられた板状部材であり、収納空間100に収納されたフック80の鉤部81を収納ピン90との間で保持する。
【0039】
収納ピン90は、軸91、フック保持部92、及び把持部93を有し、付勢部材としてのコイルバネ94によってフック受け部材102に向かって付勢されている。軸91は、右側板78に設けられている貫通孔に挿入され、軸方向(
図3における左右方向)に摺動可能に設けられている。フック保持部92は、軸91のフック受け部材102側端部に摺動可能に組み込まれるよう、端部側ほど外径が小さいテーパ形状を有する。把持部93は、軸91のフック保持部92とは反対側の端部に設けられ、収納ピン90の操作に用いられる。
【0040】
収納空間100にフック80が収納されている状態(
図3及び
図4に示されている状態)から、クレーン作業を行うためにフック80を取り出す場合には、まず把持部93を掴んでフック保持部92がフック受け部材102から離れる方向に収納ピン90を引く。このように収納ピン90を引くとフック保持部92がフック80の鉤部81から外れ、フック保持部92とフック受け部材102との間で保持されていた鉤部81が解放される。
【0041】
フック80の鉤部81をフック保持部92とフック受け部材102との間から解放すると、バケットピン62を中心にフック支持部85を回動させてフック80を収納空間100から取り出すことが可能になる。このようにフック80を収納空間100から取り出し、鉤部81をバケットピン62から下方に吊り下げた状態にすることで、クレーン作業を行うことが可能になる。
【0042】
また、クレーン作業終了後にフック80を収納空間100に収納する場合には、まず収納ピン90を引いてフック保持部92とフック受け部材102とを離間させる。この状態で、バケットピン62を中心にフック支持部85を回動させて鉤部81をフック保持部92とフック受け部材102との間に挿入する。この後に収納ピン90を離すと、収納ピン90がコイルバネ94に付勢されてフック受け部材102に向かって変位し、フック保持部92とフック受け部材102との間で鉤部81が保持される。
【0043】
このように、フック80がフック収納部50に収納されると、フック保持部92が鉤部81に挿入され、さらに鉤部81がフック保持部92とフック受け部材102との間に挟み込まれるように保持される。フック80は、鉤部81がフック保持部92に引っ掛かるように保持されることで、フック収納部50から脱落することなく収納される。
【0044】
フック収納部50には、フック80の有無により変位する収納ピン90を検出する近接スイッチ51が設けられている。近接スイッチ51は、筐体内に第1検出部51a及び第2検出部51bを有する。近接スイッチ51は、
図3に示すように、台座53を介して左側板77に取り付けられている。なお、本実施例では近接スイッチ51がフック収納部50に設けられているが、フック80の有無により変位する収納ピン90を検出可能であれば、接触式又は非接触式の各種スイッチ、センサ等が設けられてもよい。
【0045】
近接スイッチ51の第1検出部51aの出力は、ケーブル55aを介してコントローラ30に伝送される。また、第2検出部51bの出力は、ケーブル55bを介してコントローラ30に伝送される。ケーブル55a,55bは、それぞれ収納空間100においてフック80と接触しないように配線され、上部旋回体3に搭載されているコントローラ30に接続されている。
【0046】
図5は、実施例1におけるフック収納部50のフック収納時及びフック取り外し時の様子を例示する図である。
図5(A)は、フック収納部50にフック80が収納されている状態を例示する図である。また、
図5(B)は、フック収納部50からフック80が取り出されて使用されている状態を例示する図である。
【0047】
図5(A)に示されるように、フック80がフック収納部50に収納されている状態では、収納ピン90のフック保持部92がフック80の鉤部81の内周面に嵌り、フック保持部92とフック受け部材102との間で鉤部81が保持されている。
【0048】
フック保持部92は、先端側(
図5における左側)の外径がフック80の鉤部81の内径未満であって、後端側(
図5における右側)の外径が鉤部81の内径以上になるように形成されている。したがって、フック80がフック収納部50に収納され、収納ピン90がコイルバネ94に付勢されてフック保持部92が鉤部81に挿入されると、フック保持部92の中間部分が鉤部81の内周面に嵌った状態となる。さらに、収納ピン90がコイルバネ94により付勢されることで、フック保持部92は鉤部81をフック受け部材102のフック保持面102aに押し付けて固定保持する状態となる。
【0049】
このように、フック80の収納時には、収納ピン90のフック保持部92がフック80の鉤部81に嵌り、フック保持部92とフック受け部材102のフック保持面102aとの間で鉤部81が保持される。
【0050】
図5(B)に示されるように、フック80がフック収納部50から取り出されて使用されている状態では、収納ピン90が、フック80の収納時よりもフック受け部材102側に変位する。
【0051】
フック受け部材102には、収納ピン90のフック保持部92に対向する位置に、フック保持部92の先端側の外径以上且つ後端側の外形未満の直径を有するピン受け孔が形成されている。フック80がフック収納部50に無い場合には、
図5(B)に示されるように、収納ピン90がコイルバネ94により付勢され、フック保持部92の中間部分がピン受け孔に嵌る位置まで収納ピン90がフック受け部材102側(
図5において左方向)に変位する。さらに、フック保持部92の先端部分は、フック受け部材102のピン受け孔を貫通してフック保持面102aとは反対面から突出した状態となる。
【0052】
このように、フック80がフック収納部50に収納されていない場合には、コイルバネ94に付勢された収納ピン90が、フック80が収納されている場合よりもフック受け部材102側(
図5における左側)に変位する。
【0053】
近接スイッチ51は、台座53を介して左側板77に取り付けられ、収納ピン90のフック保持部92と収納ピン90の軸方向に対向する位置に設けられている。近接スイッチ51の第1検出部51a及び第2検出部51bは、それぞれフック80の有無による収納ピン90の変位に応じて出力が切り替わる。
【0054】
第1検出部51aは、ノーマリークローズ式であり、フック80がフック収納部50に収納され、収納ピン90が近接スイッチ51から離れる方向に変位するとON状態となる。また、第1検出部51aは、フック80がフック収納部50から取り出され、収納ピン90が近接スイッチ51に接近する方向に変位するとOFF状態となる。したがって、第1検出部51aからコントローラ30への出力は、フック収納時に「ON」、フック取り外し時に「OFF」となるように切り替わる。
【0055】
第2検出部51bは、ノーマリーオープン式であり、第1検出部51aとは逆に、フック80がフック収納部50に収納され、収納ピン90が近接スイッチ51から離れる方向に変位するとOFF状態となる。また、第2検出部51bは、フック80がフック収納部50から取り出され、収納ピン90が近接スイッチ51に接近する方向に変位するとON状態となる。したがって、第2検出部51bからコントローラ30への出力は、フック収納時に「OFF」、フック取り外し時に「ON」となるように切り替わる。
【0056】
このように、第1検出部51aの出力と第2検出部51bの出力とは、フック80の有無によって変化する収納ピン90の位置に応じて互いに相反する出力となる。
【0057】
図6は、フック収納時及びフック取り外し時における第1検出部51a及び第2検出部51bからコントローラ30への出力を例示する図である。
【0058】
図6に示されるように、フック80がフック収納部50に収納されている間(時間t1−t2及び時間t3−t4)は、第1検出部51aの出力は「ON」、第2検出部51bの出力は「OFF」となる。また、フック80がフック収納部50から取り外されている間(時間t2−t3及び時間t4以降)は、第1検出部51aの出力は「OFF」、第2検出部51bの出力は「ON」となる。
【0059】
コントローラ30の収納判定部31は、第1検出部51aの出力が「ON」、且つ第2検出部51bの出力が「OFF」の場合に、フック80がフック収納部50に収納されていると判定する。また、収納判定部31は、第1検出部51aの出力が「OFF」、且つ第2検出部51bの出力が「ON」の場合に、フック80がフック収納部50から取り外されていると判定する。
【0060】
ここで、コントローラ30の異常検出部32は、
図6に示されるように、第1検出部51aの出力と、第2検出部51bの出力とが異なっている場合には、近接スイッチ51及びケーブル55a,55bが正常に機能して異常が発生していないものと判断する。
【0061】
近接スイッチ51及びケーブル55a,55bに異常が発生した場合には、第1検出部51aからの出力と、第2検出部51bからの出力とが、以下で説明するように一致した状態となる。異常検出部32は、このように出力が一致した場合に、第1検出部51a、第2検出部51b、及びケーブル55a,55bの短絡、地絡、又は断線といった異常を検出する。
【0062】
なお、以下の説明において、第1検出部51aからケーブル55aを介してコントローラ30までの伝送経路を含んで第1検出部51aという。また、第2検出部51bからケーブル55bを介してコントローラ30までの伝送経路を含んで第2検出部51bという。
【0063】
図7は、フック80をフック収納部50に収納中に短絡又は地絡が発生した場合における第1検出部51a及び第2検出部51bからコントローラ30への出力を例示する図である。
【0064】
図7(A)は、フック収納中に第1検出部51aに短絡又は地絡が発生した場合における第1検出部51a及び第2検出部51bからコントローラ30への出力を例示する図である。
【0065】
フック収納時には、第1検出部51aからの出力が「ON」、第2検出部51bからの出力が「OFF」となる。ここで、フック80が収納されている時間t1から時間t2の間で第1検出部51aに短絡や地絡が発生すると、第1検出部51aからコントローラ30への出力は常に「ON」となる。
【0066】
このため、短絡又は地絡の発生後にフック80がフック収納部50から取り外されても、第1検出部51aからコントローラ30への出力は、フック80の収納状態に関わらず「ON」のままとなる。一方、第2検出部51bからコントローラ30への出力は、フック80がフック収納部50から取り外されると「OFF」から「ON」に切り替わる。したがって、短絡又は地絡の発生後の時間t2にてフック80がフック収納部50から取り外されると、第1検出部51aからの出力と第2検出部51bからの出力とが一致することとなる。
【0067】
このように、フック収納中に第1検出部51aに短絡や地絡が発生した場合には、フック80が取り外された時に、第1検出部51aからの出力と第2検出部51bからの出力とが一致する。異常検出部32は、このようにフック取り外し時に第1検出部51aからの出力及び第2検出部51bからの出力が両方共に「ON」となったときに、第1検出部51aの短絡や地絡といった異常を検出する。
【0068】
図7(B)は、フック収納中に第2検出部51bに短絡又は地絡が発生した場合における第1検出部51a及び第2検出部51bからコントローラ30への出力を例示する図である。
【0069】
フック収納時には、第1検出部51aからの出力が「ON」、第2検出部51bからの出力が「OFF」となる。ここで、時間t1からフック80がフック収納部50に収納されている状態で、時間t2にて第2検出部51bに短絡や地絡が発生すると、第2検出部51bからコントローラ30への出力が「OFF」から「ON」に変化する。一方、第1検出部51aからコントローラ30への出力は、第2検出部51bにおける短絡又は地絡に関わらず「ON」に保たれる。したがって、時間t2にて第2検出部51bに短絡又は地絡が発生すると、第1検出部51aからの出力と第2検出部51bからの出力とが一致することとなる。
【0070】
このように、フック収納中に第2検出部51bに短絡や地絡が発生した場合には、短絡又は地絡が発生した時に、第1検出部51aからの出力と第2検出部51bからの出力とが一致する。また、フック収納中に第1検出部51a及び第2検出部51bの両方に短絡又は地絡が発生した場合には、同様に第2検出部51bに短絡又は地絡が発生した時に、第1検出部51aからの出力と第2検出部51bからの出力とが一致する。
【0071】
異常検出部32は、このようにフック収納中に第1検出部51aからの出力及び第2検出部51bからの出力が両方共に「ON」となったときに、第2検出部51bの短絡又は地絡、もしくは第1検出部51a及び第2検出部51bの両方の短絡又は地絡といった異常を検出する。
【0072】
図8は、フック80をフック収納部50から取り外し中に短絡又は地絡が発生した場合における第1検出部51a及び第2検出部51bからコントローラ30への出力を例示する図である。
【0073】
図8(A)は、フック取り外し中に第1検出部51aに短絡又は地絡が発生した場合における第1検出部51a及び第2検出部51bからコントローラ30への出力を例示する図である。
【0074】
フック取り外し時には、第1検出部51aからの出力が「OFF」、第2検出部51bからの出力が「ON」となる。ここで、時間t1からフック80がフック収納部50から取り外されている状態で、時間t2にて第1検出部51aに短絡や地絡が発生すると、第1検出部51aからコントローラ30への出力が「OFF」から「ON」に変化する。一方、第2検出部51bからコントローラ30への出力は、第1検出部51aの短絡又は地絡に関わらず「ON」に保たれる。したがって、時間t2にて第1検出部51aに短絡又は地絡が発生すると、第1検出部51aからの出力と第2検出部51bからの出力とが一致することとなる。
【0075】
このように、フック取り外し中に第1検出部51aに短絡や地絡が発生した場合には、短絡又は地絡が発生した時に、第1検出部51aからの出力と第2検出部51bからの出力とが一致する。また、フック取り外し中に第1検出部51a及び第2検出部51bの両方に短絡又は地絡が発生した場合には、同様に第1検出部51aに短絡又は地絡が発生した時に、第1検出部51aからの出力と第2検出部51bからの出力とが一致する。
【0076】
異常検出部32は、このようにフック取り外し中に第1検出部51aからの出力及び第2検出部51bからの出力が両方共に「ON」となったときに、第1検出部51aの短絡又は地絡、または第1検出部51a及び第2検出部51bの両方の短絡又は地絡といった異常を検出する。
【0077】
図8(B)は、フック取り外し中に第2検出部51bに短絡又は地絡が発生した場合における第1検出部51a及び第2検出部51bからコントローラ30への出力を例示する図である。
【0078】
フック取り外し時には、第1検出部51aからの出力が「OFF」、第2検出部51bからの出力が「ON」となる。ここで、フック80が収納されている時間t1から時間t2の間で第2検出部51bに短絡や地絡が発生すると、第2検出部51bからコントローラ30への出力は常に「ON」となる。
【0079】
このため、短絡又は地絡の発生後にフック80がフック収納部50に収納されても、第2検出部51bからコントローラ30への出力は、フック80の収納状態に関わらず「ON」のままとなる。一方、第1検出部51aからコントローラ30への出力は、フック80がフック収納部50に収納されると「OFF」から「ON」に切り替わる。したがって、短絡又は地絡の発生後の時間t2にてフック80がフック収納部50に収納されると、第1検出部51aからの出力と第2検出部51bからの出力とが一致することとなる。
【0080】
このように、フック取り外し中に第2検出部51bに短絡や地絡が発生した場合には、フック80が収納された時に、第1検出部51aからの出力と第2検出部51bからの出力とが一致する。異常検出部32は、このようにフック収納時に第1検出部51aからの出力及び第2検出部51bからの出力が両方共に「ON」となったときに、異常として第2検出部51bの短絡や地絡を検出する。
【0081】
図9は、フック80をフック収納部50に収納中に断線が発生した場合における第1検出部51a及び第2検出部51bからコントローラ30への出力を例示する図である。
【0082】
図9(A)は、フック収納中に第1検出部51aに断線が発生した場合における第1検出部51a及び第2検出部51bからコントローラ30への出力を例示する図である。
【0083】
フック収納時には、第1検出部51aからの出力が「ON」、第2検出部51bからの出力が「OFF」となる。ここで、時間t1からフック80がフック収納部50に収納されている状態で、時間t2にて第1検出部51aに断線が発生すると、第1検出部51aからコントローラ30への出力が「ON」から「OFF」に変化する。一方、第2検出部51bからコントローラ30への出力は、第1検出部51aの断線に関わらず「OFF」に保たれる。したがって、時間t2にて第1検出部51aに断線が発生すると、第1検出部51aからの出力と第2検出部51bからの出力とが一致することとなる。
【0084】
このように、フック収納中に第1検出部51aに断線が発生した場合には、断線が発生した時に、第1検出部51aからの出力と第2検出部51bからの出力とが一致する。また、フック収納中に第1検出部51a及び第2検出部51bの両方に断線が発生した場合には、同様に第1検出部51aに断線が発生した時に、第1検出部51aからの出力と第2検出部51bからの出力とが一致する。
【0085】
異常検出部32は、このようにフック収納中に第1検出部51aからの出力及び第2検出部51bからの出力が両方共に「OFF」となったときに、異常として第1検出部51aの断線、または第1検出部51a及び第2検出部51bの両方の断線を検出する。
【0086】
図9(B)は、フック収納中に第2検出部51bに断線が発生した場合における第1検出部51a及び第2検出部51bからコントローラ30への出力を例示する図である。
【0087】
フック収納時には、第1検出部51aからの出力が「ON」、第2検出部51bからの出力が「OFF」となる。ここで、フック80が収納されている時間t1から時間t2の間で第2検出部51bに断線が発生すると、第2検出部51bからコントローラ30への出力は常に「OFF」となる。
【0088】
このため、断線の発生後にフック80がフック収納部50から取り外されても、第2検出部51bからコントローラ30への出力は、フック80の収納状態に関わらず「OFF」のままとなる。一方、第1検出部51aからコントローラ30への出力は、フック80がフック収納部50から取り外されると「ON」から「OFF」に切り替わる。したがって、断線の発生後の時間t2にてフック80がフック収納部50から取り外されると、第1検出部51aからの出力と第2検出部51bからの出力とが一致することとなる。
【0089】
このように、フック収納中に第2検出部51bに断線が発生した場合には、フック80が取り外された時に、第1検出部51aからの出力と第2検出部51bからの出力とが一致する。異常検出部32は、このようにフック取り外し時に第1検出部51aからの出力及び第2検出部51bからの出力が両方共に「OFF」となったときに、異常として第2検出部51bの断線を検出する。
【0090】
図10は、フック80をフック収納部50から取り外し中に断線が発生した場合における第1検出部51a及び第2検出部51bからコントローラ30への出力を例示する図である。
【0091】
図10(A)は、フック取り外し中に第1検出部51aに断線が発生した場合における第1検出部51a及び第2検出部51bからコントローラ30への出力を例示する図である。
【0092】
フック取り外し時には、第1検出部51aからの出力が「OFF」、第2検出部51bからの出力が「ON」となる。ここで、フック80が取り外されている時間t1から時間t2の間で第1検出部51aに断線が発生すると、第1検出部51aからコントローラ30への出力は常に「OFF」となる。
【0093】
このため、断線の発生後にフック80がフック収納部50に収納されても、第1検出部51aからコントローラ30への出力は、フック80の収納状態に関わらず「OFF」のままとなる。一方、第2検出部51bからコントローラ30への出力は、フック80がフック収納部50に収納されると「ON」から「OFF」に切り替わる。したがって、断線の発生後の時間t2にてフック80がフック収納部50に収納されると、第1検出部51aからの出力と第2検出部51bからの出力とが一致することとなる。
【0094】
このように、フック取り外し中に第1検出部51aに断線が発生した場合には、フック80が収納された時に、第1検出部51aからの出力と第2検出部51bからの出力とが一致する。異常検出部32は、このようにフック収納時に第1検出部51aからの出力及び第2検出部51bからの出力が両方共に「ON」となったときに、異常として第1検出部51aの断線を検出する。
【0095】
図10(B)は、フック取り外し中に第2検出部51bに断線が発生した場合における第1検出部51a及び第2検出部51bからコントローラ30への出力を例示する図である。
【0096】
フック取り外し時には、第1検出部51aからの出力が「OFF」、第2検出部51bからの出力が「ON」となる。ここで、時間t1からフック80がフック収納部50から取り外されている状態で、時間t2にて第2検出部51bに断線が発生すると、第2検出部51bからコントローラ30への出力が「ON」から「OFF」に変化する。一方、第1検出部51aからコントローラ30への出力は、第2検出部51bにおける断線に関わらず「OFF」に保たれる。したがって、時間t2にて第2検出部51bに断線が発生すると、第1検出部51aからの出力と第2検出部51bからの出力とが一致することとなる。
【0097】
このように、フック取り外し中に第2検出部51bに断線が発生した場合には、断線が発生した時に、第1検出部51aからの出力と第2検出部51bからの出力とが一致する。また、フック取り外し中に第1検出部51a及び第2検出部51bの両方に断線が発生した場合には、同様に第2検出部51bに断線が発生した時に、第1検出部51aからの出力と第2検出部51bからの出力とが一致する。
【0098】
異常検出部32は、このようにフック取り外し中に第1検出部51aからの出力及び第2検出部51bからの出力が両方共に「OFF」となったときに、異常として第2検出部51bの断線、もしくは第1検出部51a及び第2検出部51bの両方の断線を検出する。
【0099】
以上で説明したように、異常検出部32は、第1検出部51aからの出力及び第2検出部51bからの出力が一致した場合に、短絡、地絡、又は断線といった異常を検出する。異常検出部32は、フック収納部50におけるフック80の有無によって出力が相反する第1検出部51a及び第2検出部51bの出力に基づいて異常を判定することで、断線だけではなく、短絡や地絡といった異常についても検出することができる。
【0100】
異常検出部32によって異常が検出されると、制御部33が、フック80の収納状態に関わらず作業モードをクレーンモードに切り替える。クレーンモードではアタッチメントの動作が制限されるため、フック80の収納状態が不明な状態での掘削作業等を防止し、事故や各部の破損等を未然に回避できる。
【0101】
このように、本実施例によれば、近接スイッチ51の第1検出部51a及び第2検出部51bの出力に基づいて、フック収納部50にフック80が収納されているか否かを検出すると共に、第1検出部51a及び第2検出部51bに生じた異常を確実に検出できる。
【0102】
また、本実施例では、第1検出部51a及び第2検出部51bの検出対象が収納ピン90のフック保持部92であり、検出対象をフック80とする場合に比べて、フック80のがたつき等の影響が低減される。したがって、収納判定部31は、第1検出部51a及び第2検出部51bの出力に基づいて、フック80が収納されているか否かを精度良く検出できる。
【0103】
さらに、本実施例では、近接スイッチ51と収納されるフック80とがフック受け部材102によって隔てられており、フック80との接触による近接スイッチ51の破損が防止されている。
【0104】
〔実施例2〕
次に、実施例2におけるフック収納部50の構成について説明する。なお、上記した実施例と同一構成部分については説明を省略する。
【0105】
図11は、実施例2におけるフック収納部50のフック収納時及びフック使用時の様子を例示する図である。
図11(A)は、フック収納部50にフック80が収納されている状態を例示する図である。また、
図11(B)は、フック収納部50からフック80が取り外されて使用されている状態を例示する図である。
【0106】
本実施例では、フック受け部材102のフック保持面102aとは反対面であって、収納ピン90のフック保持部92の先端部分が挿通されるピン受け孔の近傍に、第1検出部51a及び第2検出部51bを有する近接スイッチ51が取り付けられている。
【0107】
近接スイッチ51の第1検出部51a及び第2検出部51bは、フック80がフック収納部50から取り出された時に、フック受け部材102のピン受け孔から突出する収納ピン90のフック保持部92の先端部分が検出領域に入るように配置されている。
【0108】
第1検出部51aは、ノーマリークローズ式であり、フック80がフック収納部50に収納され、収納ピン90が近接スイッチ51から離れる方向に変位するとON状態となる。また、第1検出部51aは、フック80がフック収納部50から取り出され、収納ピン90が近接スイッチ51に接近する方向に変位し、フック保持部92がフック受け部材102から突出して検出領域に入るとOFF状態となる。したがって、第1検出部51aからコントローラ30への出力は、フック収納時に「ON」、フック取り外し時に「OFF」となるように切り替わる。
【0109】
第2検出部51bは、ノーマリーオープン式であり、第1検出部51aとは逆に、フック80がフック収納部50に収納され、収納ピン90が近接スイッチ51から離れる方向に変位するとOFF状態となる。また、第2検出部51bは、フック80がフック収納部50から取り出され、収納ピン90が近接スイッチ51に接近する方向に変位、フック保持部92がフック受け部材102から突出して検出領域に入るとON状態となる。したがって、第2検出部51bからコントローラ30への出力は、フック収納時に「OFF」、フック取り外し時に「ON」となるように切り替わる。
【0110】
コントローラ30の収納判定部31は、実施例1と同様に、第1検出部51aからの出力が「ON」、且つ第2検出部51bからの出力が「OFF」となった場合に、フック80がフック収納部50に収納されていると判定する。また、収納判定部31は、第1検出部51aからの出力が「OFF」、且つ第2検出部51bからの出力が「ON」となった場合に、フック80がフック収納部50から取り外されていると判定する。
【0111】
また、異常検出部32は、実施例1と同様に、第1検出部51aからの出力と第2検出部51bからの出力とが一致した場合に、第1検出部51a及び第2検出部51bの短絡、地絡、又は断線等といった異常を検出する。
【0112】
以上で説明した構成により、近接スイッチ51の第1検出部51a及び第2検出部51bの出力に基づいて、フック収納部50にフック80が収納されているか否かを検出可能である。また、第1検出部51a及び第2検出部51bに生じた断線だけでなく、短絡や地絡といった異常を検出できる。
【0113】
〔実施例3〕
次に、実施例3におけるフック収納部50の構成について説明する。なお、上記した実施例と同一構成部分については説明を省略する。
【0114】
図12は、実施例3におけるフック収納部50を例示する平面図である。
【0115】
本実施例では、第1検出部111aを有する第1近接スイッチ111が、台座121を介して左側板77に設けられている。第1近接スイッチ111は、フック80の自在継手83の収納位置近傍に設けられている。第1検出部111aの出力は、ケーブル131を介してコントローラ30に伝送される。ケーブル131は、収納空間100においてフック80と接触しないように配線され、上部旋回体3に搭載されているコントローラ30に接続されている。
【0116】
また、第2検出部112aを有する第2近接スイッチ112が、台座122を介して右側板78に設けられている。第2近接スイッチ112は、フック80の自在継手83の収納位置近傍に設けられている。第2検出部112aの出力は、ケーブル132を介してコントローラ30に伝送される。ケーブル132は、収納空間100においてフック80と接触しないように配線され、上部旋回体3に搭載されているコントローラ30に接続されている。
【0117】
第1検出部111a及び第2検出部112aは、それぞれ検出対象がフック80の自在継手83となるように設けられており、検出領域における自在継手83の有無により出力が切り替わる。
【0118】
第1検出部111aは、ノーマリーオープン式であり、フック80がフック収納部50に収納され、フック80の自在継手83が検出領域に存在する場合にON状態となる。また、第1検出部111aは、フック80がフック収納部50から取り出され、フック80の自在継手83が検出領域に存在しない場合にOFF状態となる。したがって、第1検出部111aからコントローラ30への出力は、フック収納時に「ON」、フック取り外し時に「OFF」となるように切り替わる。
【0119】
第2検出部112aは、ノーマリークローズ式であり、第1検出部111aとは逆に、フック80がフック収納部50に収納され、フック80の自在継手83が検出領域に存在する場合にOFF状態となる。また、第2検出部112aは、フック80がフック収納部50から取り出され、フック80の自在継手83が検出領域に存在しない場合にON状態となる。したがって、第2検出部112aからコントローラ30への出力は、フック収納時に「OFF」、フック取り外し時に「ON」となるように切り替わる。
【0120】
コントローラ30の収納判定部31は、第1検出部111aからの出力が「ON」、且つ第2検出部112aからの出力が「OFF」となった場合に、フック80がフック収納部50に収納されていると判定する。また、収納判定部31は、第1検出部111aからの出力が「OFF」、且つ第2検出部112aからの出力が「ON」となった場合に、フック80がフック収納部50から取り外されていると判定する。
【0121】
また、異常検出部32は、第1検出部111aからの出力と第2検出部112aからの出力とが一致した場合に、第1検出部111a及び第2検出部112aの短絡、地絡、又は断線等といった異常を検出する。
【0122】
以上で説明した構成により、第1近接スイッチ111の第1検出部111a及び第2近接スイッチ112の第2検出部112aの出力に基づいて、フック収納部50にフック80が収納されているか否かを検出できる。また、第1検出部111a及び第2検出部112aに生じた断線だけでなく、短絡や地絡といった異常も検出可能になる。
【0123】
なお、第1検出部111a及び第2検出部112aの検出対象は、フック80の自在継手83に限られるものではなく、フック80の異なる部分であってもよい。また、第1検出部111a及び第2検出部112aは、それぞれフック80の異なる部分を検出対象としてもよい。さらに、第1検出部111a及び第2検出部112aは、それぞれ異なる近接スイッチに設けられてもよく、同じ近接スイッチ内に設けられてもよい。
【0124】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は上記した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。