特許第6516704号(P6516704)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6516704
(24)【登録日】2019年4月26日
(45)【発行日】2019年5月22日
(54)【発明の名称】電子錠システム
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20190513BHJP
   E05B 65/10 20060101ALI20190513BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20190513BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20190513BHJP
【FI】
   E05B49/00 K
   E05B49/00 M
   E05B65/10 J
   G08B25/04 F
   G08B25/04 G
   H04M1/00 R
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-130815(P2016-130815)
(22)【出願日】2016年6月30日
(65)【公開番号】特開2018-3410(P2018-3410A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2018年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】515177815
【氏名又は名称】株式会社テクノメディアラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100119585
【弁理士】
【氏名又は名称】東田 潔
(72)【発明者】
【氏名】曽根高 則義
【審査官】 佐々木 龍
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−285771(JP,A)
【文献】 特開2011−252272(JP,A)
【文献】 特開2007−293667(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/073339(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0015393(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 49/00−49/04
G08B 23/00−31/00
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される鍵信号と錠側に登録されている鍵信号とを電子的に照合する認証手段と、前記認証手段における鍵信号の認証判断に基づき、自動的に解錠する制御手段とを備えた電子錠システムであって、
機械的に解錠可能な機構及びクラウドサーバから固定回線又は移動体通信回線を通じて自動生成された鍵信号を受信し遠隔解錠可能な機構を備えるとともに、
前記クラウドサーバに予め登録された所定の第1移動体通信端末から動的に変化する属性情報を逐次受信し、当該属性情報を付加して暗号化された固有の鍵信号を自動生成した前記クラウドサーバから、通信ネットワークを介して、前記固有の鍵信号を受信する通信手段と、
前記クラウドサーバから鍵信号を受信し、前記固有の鍵信号を保有する第1移動体通信端末が、非接触近接通信により、前記通信手段を介して、前記固有の鍵信号が入力され、認証要求が為されると、復号化とともに認証処理を行う認証手段と、
前記認証手段が解錠可能と判断すると、電子的に解錠する解錠制御手段と、
前記通信手段、認証手段及び解錠制御手段を自律駆動させる電力供給手段と、を有し、
前記解錠制御手段は、解錠の優先順位を前記機械的な解錠機構によるものを第1優先とし、前記遠隔解錠可能な機構によるものを第2優先とし、前記第1移動体通信端末の非接触近接通信によるものを第3優先とし、クラウドサーバが、緊急避難の状況を感知すると、第2優先及び第3優先による解錠を許容するように制御するものであることを特徴とする電子錠システム。
【請求項2】
前記動的に変化する属性情報は、前記第1移動体通信端末による送信時間情報と所在地情報との少なくとも、いずれか1つであることを特徴とする請求項1記載の電子錠システム。
【請求項3】
前記解錠制御手段は、逐次受信される属性情報のログデータを蓄積する蓄積手段と、前記第3優先による解錠処理が行われる場合であって、前記固有の鍵信号の入力時に、前記通信手段が受信している属性情報と前記第1移動体通信端末から送信された属性情報との同期が確立していない場合、前記蓄積されたログデータから算定された相関関数によって本来同期されるべきであった属性情報を算出する算出手段とを有し、
前記認証手段は、前記入力された属性情報と前記算出された属性情報とが一致した場合、前記入力された属性情報を真正の属性情報として前記認証処理を行うことを特徴とする請求項1または請求項2記載の電子錠システム。
【請求項4】
前記第1移動体通信端末が、第2移動体通信端末に前記認証要求の権限委譲情報を前記クラウドサーバに送信し、前記登録を第2移動体通信端末に変更すると、前記クラウドサーバは、前記第1移動体通信端末に対する鍵信号の送信を遮断するとともに、前記第2移動体通信端末から前記属性情報を逐次受信し、前記通信手段は、第2移動体通信端末の属性情報が付加された固有の鍵信号を受信し、前記認証手段は、第2移動体通信端末の認証要求に対して認証処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電子錠システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力される鍵信号と錠側に登録されている鍵信号とを電子的に照合する認証手段と、前記認証手段における鍵信号の認証判断に基づき、自動的に解錠する制御手段とを備えた電子錠システム関するものであり、特に、災害等の緊急時に避難場所に指定された施設の解錠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、災害時に避難場所として指定された施設は、平常時、南京錠等のいわゆる機械的な錠によって施錠されていることが多く、特定の責任者が鍵を所持し、災害発生時に、当該責任者が前記避難場所に赴いて解錠するという流れになっていた。
【0003】
しかし、災害発生時、前記責任者も、被災していることが多く、避難場所への到達が遅延し、その間、被災者は施設内に入れないという不都合が生じていた。
【0004】
そこで、従来、ゲートと、これを開閉し、解錠・施錠するゲート開閉手段と、緊急災害放送などの情報を受ける緊急災害情報取得手段と、ゲート開閉手段の解錠をしている時間を設定する開放時間設定手段と、緊急災害情報受信手段が緊急災害放送などの情報を取得したことを受けて、解錠し、開放時間を計時し、そこで設定された所望の時間内か時間終了かを判断する開放時間計時・時間内外判断手段とこれらを含む手段を制御する制御手段と、を備え、時間外となった場合は施錠する緊急時避難用立入禁止区域開放・復帰管理システムが提案されていた(例えば特許文献1参照。)この構成によれば、緊急災害放送などの情報を受け取れば解錠されるため、前記責任者が避難場所に行かなくても、速やかに解錠処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−209722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記従来技術では、前記緊急災害放送を受信する通信インフラが遮断された場合、システムが稼働せず、解錠できないという不都合があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題を解消させるためのものであり、高度なセキュリティを維持しつつ、緊急時において、如何なる事態においても避難場所の開錠を可能とする電子錠システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成させるために、本発明にかかる電子錠システムは、複数の解錠方法で解錠可能な電子錠システムであり、機械的な解錠及びクラウドサーバから固定回線又は移動体通信回線を通じて自動生成された鍵信号を受信する遠隔解錠を解錠方法として優先させたうえで、これらの解錠方法が不可能となった場合に、第3の解錠方法として、移動体通信端末の非接触近接通信による解錠を可能とするもので、鍵信号をクラウドサーバから受信した前記移動体通信端末が、動的に変動する属性情報をクラウドサーバに送信すると、前記クラウドサーバが、避難場所等の電子錠に対して、前記鍵信号とともに、前記属性情報を送信し、前記移動体通信端末が、前記電子錠に対して非接触近接通信で認証要求をすると、前記鍵信号及び属性情報によって認証処理をおこなう電子錠システムを提供することを最も主要な特徴とする。
【0009】
すなわち、入力される鍵信号と錠側に登録されている鍵信号とを電子的に照合する認証手段と、前記認証手段における鍵信号の認証判断に基づき、自動的に解錠する制御手段とを備えた電子錠システムであって、
機械的に解錠可能な機構及びクラウドサーバから固定回線又は移動体通信回線を通じて自動生成された鍵信号を受信し遠隔解錠可能な機構を備えるとともに、
前記クラウドサーバに予め登録された所定の第1移動体通信端末から動的に変化する属性情報を逐次受信し、当該属性情報を付加して暗号化された固有の鍵信号を自動生成した前記クラウドサーバから、通信ネットワークを介して、前記固有の鍵信号を受信する通信手段と、
前記クラウドサーバから鍵信号を受信し、前記固有の鍵信号を保有する第1移動体通信端末が、非接触近接通信により、前記通信手段を介して、前記固有の鍵信号が入力され、認証要求が為されると、復号化とともに認証処理を行う認証手段と、
前記認証手段が解錠可能と判断すると、電子的に解錠する解錠制御手段と、
前記通信手段、認証手段及び解錠制御手段を自律駆動させる電力供給手段と、を有し、
前記解錠制御手段は、解錠の優先順位を前記機械的な解錠機構によるものを第1優先とし、前記遠隔解錠可能な機構によるものを第2優先とし、前記第1移動体通信端末の非接触近接通信によるものを第3優先とし、クラウドサーバが、緊急避難の状況を感知すると、第2優先及び第3優先による解錠を許容するように制御するものであることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、多重的に電子錠を解錠可能としつつ、一方で、第1移動体通信端末による場合は、前記固有の鍵信号の照合に基づく認証処理を行って高度のセキュリティを確保することができる。
【0011】
前記動的に変化する属性情報は、前記第1移動体通信端末による送信時間情報と所在地情報との少なくとも、いずれか1つであればよい。
【0012】
前記解錠制御手段は、逐次受信される属性情報のログデータを蓄積する蓄積手段と、前記第3優先による解錠処理が行われる場合であって、前記固有の鍵信号の入力時に、前記通信手段が受信している属性情報と前記第1移動体通信端末から送信された属性情報との同期が確立していない場合、前記蓄積されたログデータから算定された相関関数によって本来同期されるべきであった属性情報を算出する算出手段とを有し、
前記認証手段は、前記入力された属性情報と前記算出された属性情報とが一致した場合、前記入力された属性情報を真正の属性情報として前記認証処理を行うようにすればよい。
【0013】
前記第1移動体通信端末が、第2移動体通信端末に前記認証要求の権限委譲情報を前記クラウドサーバに送信し、前記登録を第2移動体通信端末に変更すると、前記クラウドサーバは、前記第1移動体通信端末に対する鍵信号の送信を遮断するとともに、前記第2移動体通信端末から前記属性情報を逐次受信し、前記通信手段は、第2移動体通信端末の属性情報が付加された固有の鍵信号を受信し、前記認証手段は、第2移動体通信端末の認証要求に対して認証処理を行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る電子錠システムは、高度なセキュリティを維持しつつ、緊急時において、如何なる事態においても避難場所の解錠を可能とするという効果を奏する。
【0015】
すなわち、優先順位を付与した多重な解錠方法を提供できるため、最も迅速に対応できる解錠手段が選択でき、避難場所の前に被災者を待機させることによる肉体的、精神的負担を軽減することができるという効果を奏する。
【0016】
一方、解錠責任者にとっても、あらゆる方法で解錠が可能であるため、精神的な負担を軽減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明にかかる電子錠システムを含む通信システムの構成概略図である。
図2図2は、避難番所に設置されている電子錠システムのブロック構成図である。
図3図3は、本発明に係る電子錠システムの処理フローを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照して、1は、本発明にかかる電子錠システムである。電子錠システム1は、南京錠、シリンダー錠等の機械的な錠前機構と、クラウドサーバ2から固定回線又は移動体通信回線を介して遠隔制御により施解錠する錠前機構と、クラウドサーバ2から受け取った鍵信号を保有する第1移動体通信端末4又は第2移動体通信端末5の非接触近接通信により施解錠する錠前機構と、を有する。
【0019】
本発明にかかる電子錠システム1は、典型的には、災害時の避難場所として指定されたもの、例えば学校の体育館などに設置される。平常時は、前記機械的な錠前機構によってのみ施解錠を許容するが、災害が生じると、例えば、クラウドサーバ2からの避難信号等の受信により、前記複数の錠前機構の利用が可能となる。クラウドサーバ2は、自治体等の防災センターが運用するクラウドコンピューティング3上で設置されたサーバであり、複数の避難場所の電子錠システムを管理する。クラウドサーバ2は、前記鍵信号を自動生成するが、鍵信号は、ランダムな日時で変更されるため、不正アクセスによって鍵信号を取得しても、時刻の経過とともに当該取得された鍵信号は無効となる。ランダムな鍵信号の生成は、例えば、公知のワンタイムパスワードの仕組みを利用したものであればよい。
【0020】
第1移動体通信端末4は、原則として、前記機械的な錠前機構で使用する物理的な鍵の使用権限を有する責任者(例えば、避難場所に指定された学校の校長)が有するスマートフォン等の携帯端末であり、あらかじめクラウドサーバ2に、責任者の端末として登録されている。第1移動体通信端末4は、災害発生時に、クラウドサーバ2から、前記鍵信号を受信し、電子錠システム1に対して非接触近接通信で前記鍵信号による解錠の認証要求をする。なお、前記責任者が、避難場所に行くことができない場合、所定の手続きにより、代理者(例えば、前記避難場所に指定された学校の教頭)の移動体通信端末5に、前記鍵信号による解錠の権限を委譲することができる。
【0021】
図2は、電子錠システム1のブロック構成図である。電子錠システム1は、少なくとも、クラウドサーバ2及び第1移動体通信端末4又は第2移動体通信端末5との通信を可能とする通信部11、第1移動体通信端末4又は第2移動体通信端末5による鍵信号の認証要求に対して、認証処理を行う認証部12、認証部12で認証された鍵信号により、解錠処理を行う解錠制御部13、通信部11、認証部12及び解錠制御部13を外部電源によらず、二次電池等により自立駆動させる電力供給部14、解錠制御部13又は前記物理的な鍵によって解錠される施解錠部15から構成される。なお、図示しないが、電子錠システム1は、電子錠システムの各種処理、動作制御のためのCPU及びCPUが実行する制御プログラムを格納するとともに、CPUによるプログラム実行時の作業領域を提供するメモリを備える。
【0022】
通信部11は、クラウドサーバ2から、電子錠システム1が設置されている避難場所に固有の鍵信号を受信する。この固有の鍵信号は、クラウドサーバ2が、クラウドサーバ2に予め登録された第1移動体通信端末4から動的に変化する属性情報を逐次受信し、当該属性情報を付加して自動生成したものである。ここで、動的に変化する属性情報とは、第1移動体通信端末4による送信時間情報と所在地情報の少なくともいずれか1つであればよい。
【0023】
前記鍵信号は、第1移動体通信端末4もクラウドサーバ2から取得しており、前記責任者が避難場所に到達し、第1移動体通信端末4から非接触近接通信によって、通信部11を介して固有の鍵信号を入力して認証要求を行うと、認証部12は認証処理を行う。なお、非接触近接通信は、例えば、RFID、Wi−Fi、ブルートゥース(登録商標)、赤外線通信を利用すればよい。
【0024】
認証部12の前記認証処理によって、暗号化された固有の鍵信号を復号化し、認証されると、解錠制御部13が、施解錠部15で電子的な解錠処理を許容し、解錠される。
【0025】
ところで、第1移動体通信端末4から送信された最新の属性情報が、通信インフラの被災等の原因により、クラウドサーバ2又は電子錠システム1に到達していないために不一致となるケース、すなわち、属性情報の同期が確立できないケースも想定できるが、この場合、実体は、認証されるべき真正な属性情報であるにもかかわらず、解錠不能となってしまう。そこで、解錠制御部13は、逐次受信される属性情報のログデータを蓄積する蓄積部131と、前記同期が確立していない場合、前記蓄積されたログデータから算定された相関関数によって本来同期されるべきであった属性情報を算出する算出部132とを有し、認証部12は、前記入力された属性情報と前記算出された属性情報とが一致した場合、前記入力された属性情報を真正の属性情報として前記認証処理を行う。
【0026】
前記相関関数は、逐次受信された過去の属性情報の更新パターンを算出するものであればよく、更新パターンは、線形に変化するものはもとより、非線形に変化するもの、さらにはM系列によって線形漸化式からランダムな変化についても、算出可能である。
【0027】
以上の通り、被災状況下、第1移動体通信端末4に負荷をかけないようにするために、本発明は、同期の一致、不一致について、専ら電子錠システム1側のみで判断させることとしている。
【0028】
以下、図3によって、本発明に係る電子錠システム1の処理を説明する。クラウドサーバ2から避難信号の受信後(S1)、電子錠システム1に対して機械的な錠前機構による解錠のアクセスがあるかどうかを判断する(S2)。かかる解錠処理が可能な状況であれば、最も確実かつ安全であるため、第1優先の解錠方法としたものである。機械的な錠前機能による解錠のアクセスがあった場合は(S2のY)、直ちに解錠されて解錠処理が終了する(S11)。
【0029】
機械的な錠前機能による解錠のアクセスが不可能な場合(S2のN)、第2優先の解錠方法として、クラウドサーバ2から通信回線を介して遠隔解錠処理が行われる(S3)。この遠隔解錠処理は、さらに、2つの解錠方法がある。まず、最初に、クラウドサーバ2と電子錠システム1とが接続されている固定回線による遠隔解錠処理の可能性が判断される(S4)。固定回線による遠隔解錠処理が可能な場合(S4のY)、電子錠システム1が解錠されて解錠処理が終了する(S11)。一方、固定回線による遠隔解錠処理が不可能な場合(S4のN)、移動体通信回線による遠隔解錠処理の可能性が判断される(S5)。移動体通信回線による遠隔解錠処理が可能な場合(S5のY)、電子錠システム1が解錠されて解錠処理が終了する(S11)。
【0030】
移動体通信回線による遠隔解錠処理が不可能な場合(S5のN)、第3優先の解錠処理として、第1移動体通信端末4による解錠処理に移行する。第1移動体通信端末4による解錠処理の場合、クラウドサーバ2から鍵信号とともに、移動体通信端末4から送信された属性情報も含めた固有の鍵信号を受信部11で受信する(S6)。その後、第1移動体通信端末4を保有する責任者が、電子錠システム1が設置された避難場所に到達し、非接触近接通信により、受信部11を介して認証要求をすると、認証部12で認証処理が行われる(S7)。
【0031】
認証処理において、属性情報の一致、不一致を判断し(S8)、一致した場合は(S8のY)、電子錠システム1が解錠されて解錠処理が終了する(S11)。一方、不一致の場合(S8のN)、蓄積部131のログデータを読み出して、算出部131で本来同期されるべきであった属性情報を算出する(S9)。算出後の属性情報が一致した場合(S10のY)、電子錠システム1が解錠されて解錠処理が終了する(S11)。なお、算出後の属性情報が不一致の場合(S10のN)、不正アクセスと判断し、不正アクセス処理に進むが、以上の通り、複数の代替処理が重畳的に用意され、順次処理されることにより、災害等の非常時の状況下にあっても、解錠権限のある責任者がアクセスする限り、確実に解錠処理が可能になるとともに、高度なセキュリティも確保される。
【0032】
なお、さらに、災害時という環境に鑑みて、第1移動体通信端末4のみによる属人的なリスクを回避するために、第1移動体通信端末4が、第2移動体通信端末5に前記認証要求の権限委譲情報をクラウドサーバ2に送信するようにしてもよい。この場合、クラウドサーバ2への登録を第2移動体通信端末5に変更すると、クラウドサーバ2は、第1移動体通信端末4に対する鍵信号の送信を遮断するとともに、第2移動体通信端末5から前記属性情報を逐次受信し、電子錠システム1の通信部11は、第2移動体通信端末5の属性情報が付加された固有の鍵信号を受信し、認証部12は、第2移動体通信端末5の認証要求に対して認証処理を行うこととなる。以上の通り、第2移動体通信端末5への権限移譲にも対応できるようにすることにより、さらに、確実な解錠処理が可能になる。
【符号の説明】
【0033】
1 電子錠システム
2 クラウドサーバ
3 クラウドネットワーク
4 第1移動体通信端末
5 第2移動体通信端末
11 通信部
12 認証部
13 解錠制御部
14 電力供給部
15 施解錠部
131 蓄積部
132 算出部
図1
図2
図3