(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一の固体マトリックス材料が、デキストリン、デンプン、疎水性化工デンプン、天然デンプン、野菜粉末、糖、食卓塩、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、水溶性甘味剤、フレーバー改質剤又は味覚増強剤からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
前記第二の固体マトリックス材料が、微結晶セルロース、二酸化ケイ素、粘土粉末、又は100mg/L未満の水溶性を有する固体食品成分からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
前記第二の固体マトリックス材料が、微結晶セルロース、二酸化ケイ素、又は100mg/L未満の水溶性を有する固体食品成分からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
前記キャリヤー溶媒が中鎖トリグリセリド油からなり、前記第二の固体マトリックス材料上に導入された溶媒がプロピレングリコールからなり、前記第一の固体マトリックス材料がマルトデキストリンを含み、かつ前記第二の固体マトリックス材料が微結晶セルロースを含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載の組成物。
前記膜形成材料が、ゼイン、ホエータンパク質、大豆タンパク質、カゼイン、マルトデキストリン、エチルセルロース、アルギネート、キトサン、シェラック、タンニン酸、アラビアゴム、又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】組成物中のフレーバーの改良された保持を説明するヘッドスペースの結果を示す図。濃い棒グラフは本発明により製造したフレーバー粉末についてであり、薄い灰色の棒グラフは通常の粉末配合物によって製造された参考の従来のフレーバー粉末についてである。
【
図2】温水中で溶解させた粉末から放出されたフレーバーのヘッドスペースの測定を使用した貯蔵安定性試験の結果を示す図(温度:60℃)。それぞれの試料を、閉じた容器中で又は半開きの容器中で、室温で9ヶ月間貯蔵した。
【0006】
発明を実施するための形態
明細書及び付属の特許請求の範囲について、“又は”の使用は、特に明記されない限り“及び/又は”を意味する。同様に、“含有する(comprise)”、“含有する(comprises)”、“含有している(comprising)”、“含む(include)”、“含む(includes)”及び“含んでいる(including)”は、置き換えることができ、かつ制限することを意図しない。
【0007】
さらに、種々の実施形態の記載が“含有している(comprising)”の用語を使用する場合に、当業者は、ある特定の例において、一実施形態が“から本質的になる(consisting essentially of)”又は“からなる(consisting of)”の言語を使用して代わりに記載されてよいと理解していることを、さらに理解すべきである。
【0008】
本明細書において提供される一実施形態において、第一の固体マトリックス材料は、デキストリン、デンプン、疎水性化工デンプン、野菜粉末、糖、食卓塩、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、水溶性甘味剤、フレーバー改質剤又は味覚増強剤からなる群から選択される。さらなる一実施形態において、第二の固体マトリックス材料は、微結晶セルロース、二酸化ケイ素、粘土粉末、又は100mg/L
未満の水溶性を有する固体食品成分からなる群から選択される。
【0009】
さらなる他の一実施形態において、第二の粉末の溶媒は、プロピレングリコール、水、有機酸の水溶液、水性塩溶液、エタノール、グリセロール、又はそれらの混合物からなる群から選択される溶媒を含む。特定の一実施形態において、前記溶媒はプロピレングリコールを含む。
【0010】
本発明において、液体フレーバーをキャリヤー溶媒と共に第一の固体マトリックス材料上に導入する組成物であって、キャリヤー溶媒が第二のマトリックス材料上に被覆される溶媒とは異なり、かつキャリヤー溶媒が約0.25以上のlogPを有する組成物も提供される。
【0011】
特定の一実施形態において、前記キャリヤー溶媒は、
植物油、イソプロピルミリステート、多価不飽和脂肪酸、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、レシチン、トリアセチン、酢酸エチル、クエン酸トリエチル、イソプロパノール、ベンジルアルコール、又はそれらの混合物からなる群から選択される液体を含む。特に、前記キャリヤー溶媒は、中鎖トリグリセリド油又はトリアセチンから選択される液体を含む。より詳述すれば、前記キャリヤー溶媒は、中鎖トリグリセリドを含む。
【0012】
より特定の一実施形態において、前記キャリヤー溶媒が中鎖トリグリセリド油を含み、前記溶媒がプロピレングリコールを含み、前記第一の固体マトリックス材料がマルトデキストリンを含み、かつ前記第二の固体マトリックス材料が微結晶セルロースを含む組成物が提供される。さらに、本明細書において、a)第一の固体マトリックス材料上にフレーバーを導入して、フレーバー表面被覆粒子を形成すること、b)溶媒と第二の固体マトリックス材料とを混合して、溶媒表面被覆粒子を形成すること、並びにc)フレーバー表面被覆粒子と溶媒表面被覆粒子とを混合して易流動性粒子を形成することを含む、易流動性フレーバー組成物の作製方法が提供される。さらなる一実施形態において、第二の固体マトリックス材料上に表面被覆された溶媒から構成される粒子又は粉末を有しない表面被覆された粉末調製物と比較して、前記易流動性粒子は、高められたフレーバー保持を有する。
【0013】
液体フレーバーでの又は溶媒での固体マトリックス材料の導入を、当業界で公知の粉末配合についてのあらゆる方法によって実施してよい(例えば文献Bolton及びReineccius (1991), Perfumer & Flavorist, Volume 17, No. 2, p2において記載されている)。好ましくは、前記方法を、固体成分及び液体成分の均質混合を可能にする粉末ブレンダーを使用して、工業規模で実施する。前記液体を、前記固体マトリックス材料上に直接注入又は浸漬してもよく、又は前記液体を、ノズルで前記固体上に噴霧してもよい。粉末配合装置は、例えばLoedige Process Technology社(ドイツ国)又はAmixon GmbH社(ドイツ国)から入手できる。前記第一の粉末は、第一の固体マトリックス材料上に導入される液体フレーバーを含む。本明細書において提供される他の実施形態において、前記第一の粉末中に含まれる前記液体フレーバーは、キャリヤー溶媒と共に前記第一の固体マトリックス材料上に導入される。
【0014】
本明細書において提供される他の実施形態において、前記フレーバー組成物中の第一の粉末は、
a)第一の固体マトリックス材料上に導入された、約3.5までのlogPを有する液体フレーバーを含む第一の粉末と、
b)前記第一の粉末上に被覆された保護コーティング材料であって、膜形成水溶性材料、並びに水と他の極性溶媒、例えばイソプロパノール、エタノール、プロピレングリコールとの混合物中で可溶性の膜形成材料からなる群から選択される当該保護コーティング材料
とを含む。
【0015】
さらなる一実施形態において、前記第二の粉末は、第二の固体マトリックス材料上に導入される溶媒を含み、その際第二の固体マトリックス材料は、第一の固体マトリックス材料とは異なる。
【0016】
本明細書において提供されるさらなる一実施形態において、前記膜形成材料は、タンパク質、多糖、食品用樹脂、ロウ、タンニン、可食ポリマー、又はそれらの混合物からなる群から選択される。前記膜形成材料は、それらの材料の混合物であってもよい。“膜形成材料”に関しては、ここで、液体溶液又は分散物の形で提供でき、かつ溶媒の除去の際に固体の、隣接する又は連続的な膜を形成する、ポリマー状又は粒子状の材料を意味する。かかる膜形成材料の例は、制限されることなく、ゼイン、ホエータンパク質、大豆タンパク質、カゼイン、マルトデキストリン、エチルセルロース、アルギネート、キトサン、シェラック、タンニン酸、アラビアゴム、又はそれらの混合物を含む。
【0017】
前記保護コーティング層は、工業用粉末ブレンド装置を使用する粉末混合、又は流動床装置を使用する噴霧コーティングを含む、公知の工業的に実施可能な種々の方法によって、粒子上に被覆されてもよい。
【0018】
“フレーバー又はフレーバリング組成物”に関しては、本明細書において、フレーバリング調整物の製造のために現在使用されている、フレーバリング成分、又はフレーバリング成分、溶媒もしくは補助剤の混合物、すなわち、その感覚刺激特性、特にそのフレーバー及び/又は味を付与、改良又は改質するために可食組成物又は咀嚼可能な生成物に添加されることが意図されている成分の特定の混合物を意味する。フレーバー成分は周知であり、それらのフレーバー成分の多くは、参考文献において、例えばS. ArctanderによるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, N.J., USAの本又はその最新版において、又は同様の他の研究、例えばFenaroli's Handbook of Flavor Ingredients, 1975, CRC Press or Synthetic Food Adjuncts, 1947, by M. B. Jacobs, van Nostrand Co., Incにおいて挙げられている。フレーバー調整物の製造のための現行の溶媒及び補助剤は当業者に周知である。特に、約0.3から約3.5までのlogPを有するフレーバーが、本明細書において記載されたフレーバー粉末中で提供される。
【0019】
特定の一実施形態において、前記フレーバーはミントフレーバーである。より特定の一実施形態において、ミントは、ペパーミント及びハッカからなる群から選択される。
【0020】
他の一実施形態において、前記フレーバーは、冷却剤又はそれらの混合物である。
【0021】
他の実施形態において、前記フレーバーは、メントールフレーバーである。
【0022】
クエン酸が主な天然に生じる酸である、フルーツに由来するフレーバー又はフルーツを基礎とするフレーバーは、制限されることなく、例えば、柑橘フルーツ(例えばレモン、ライム)、リモネン、ストロベリー、オレンジ、及びパイナップルを含む。一実施形態において、フレーバー食品は、直接フルーツから抽出されたレモン、ライム又はオレンジのジュースである。前記フレーバーの他の実施形態は、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、キーライム、シトロン、クレメンタイン、マンダリン、タンジェリン及びあらゆる他の柑橘フルーツ、又はそれらの変種又は雑種から抽出されたジュース又は液体を含む。特定の一実施形態において、前記フレーバーは、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、キーライム、シトロン、クレメンタイン、マンダリン、タンジェリン、あらゆる他の柑橘フルーツ又はそれらの変種もしくは雑種、ザクロ、キウイフルーツ、スイカ、リンゴ、バナナ、ブルーベリー、メロン、ショウガ、ピーマン、キュウリ、パッションフルーツ、マンゴー、ナシ、トマト、及びイチゴから抽出された液体又はそれらから蒸留された液体を含む。
【0023】
特定の一実施形態において、前記フレーバーは、リモネンを含む組成物を含み、特定の一実施形態において、該組成物は、さらにリモネンを含む柑橘類である。他の特定の実施形態において、前記フレーバーは、イチゴ、オレンジ、ライム、トロピカルフルーツ、ベリーミックス、及びパイナップルを含む群から選択されるフレーバーを含む。
【0024】
特定の一実施形態において、前記フレーバーは、制限されることなく、肉、例えば牛肉、鶏肉もしくは豚肉に関連するか又は魚及びシーフードに関連するフレーバーを含む、風味のあるもしくは塩味の食品又はスナックにフレーバー付与するための組成物を含む。前記フレーバーは、スパイスもしくはスパイス組成物、ハーブ、チーズ、酵母もしくは酵母抽出物、タンパク質加水分解物、調味料、又はスモークの抽出物を含んでよい。風味のあるフレーバー香調は、制限されることなく、牛肉、豚肉、ベーコン、ハム、家禽、フレンチフライ、チーズ、コショウ、トウガラシ、ナチョ、ハラペーニョ、タマネギ、ニンニク、トマト、パプリカ、コリアンダー、ナッツ、旨味を含み、ローストした、調理した、グリルした、燻製にした、焼いた、又はカラメルのノートを有してもよい。
【0025】
フレーバーの語句は、食品のにおいを付与又は改質するフレーバーだけでなく、味覚を付与又は改質する成分も含む。後者は、それ自体、味覚又はにおいを有する必要はないが、例えば塩味増強成分、甘味増強成分、うまみ増強成分、苦味ブロック成分等を提供する他の成分は味覚を改質することができる。
【0026】
本明細書において提供される乾燥粒子又は粉末は、飲料、液体乳製品、調味料、焼成製品、フロスティング、ベーカリーフィリング、キャンディ、チューインガム及び他の食品生成物にフレーバーを提供するために適していてのよい。
【0027】
本明細書において、前記フレーバー組成物を含有する食品組成物又は物品も提供され、その際、前記食品組成物は、飲料、液体乳製品、調味料、焼成製品、フロスティング、ベーカリーフィリング、キャンディ、チューイングガム及び他の食品製品からなる群から選択される。
【0028】
飲料は、制限されることなく、コーラ、レモン−ライム、ルートビア、ヘビーシトラス(“デュータイプ”)、フルーツフレーバー及びクリームソーダを含む炭酸ソフトドリンク;粉末ソフトドリンク、並びに液体濃縮物、例えばファウンテンシロップ及びコーディアル;コーヒー及びコーヒー系ドリンク、コーヒー代用品及びシリアル系飲料;ドライミックス製品及びすぐ飲める茶(ハーブ及び茶葉ベース)を含む茶;フルーツジュース、野菜ジュース及びジュースフレーバー飲料並びにジュースドリンク、ネクター、濃縮物、パンチ及び“エード”;炭酸及びスチルの加糖及びフレーバー水;スポーツ/エナジー/健康ドリンク;ビール及び麦芽飲料、サイダー及びワイン(スチル、スパークリング、酒精強化ワイン及びワインクーラー)を含むアルコール飲料とアルコールフリー及び他の低アルコール製品;加熱(煎じ出し、加熱殺菌、超高温度、オーム加熱又は工業用無菌殺菌)及び高温充填パッキング(hot−filled packing)で加工した他の飲料;並びに濾過又は他の保存技術を介して製造した低温充填(cold−filled)製品を含む。
【0029】
流体乳製品は、制限されることなく、凍結させていない、部分的に凍結させた及び凍結させた流体乳製品、例えばミルク、アイスクリーム、ソルベ及びヨーグルトを含む。
【0030】
調味料は、制限されることなく、ケチャップ、マヨネーズ、サラダドレッシング、ウスターソース、フルーツフレーバーソース、チョコレートソース、トマトソース、チリソース、及びマスタードを含む。
【0031】
焼き製品は、制限されることなく、ケーキ、クッキー、ペーストリー、パン、ドーナツ等を含む。
【0032】
ベーカリー用詰め物は、制限されることなく、低い又は中性pHの詰め物、高い、中程度の又は低い固体の詰め物、フルーツ又はミルクベース(プリンタイプ又はムースタイプ)の詰め物、温かい又は冷たい詰め物(hot or cold make−up filling)、及び無脂から全脂肪の詰め物を含む。他の一態様において、第一の粉末中のキャリヤー溶媒は、第二の粉末中に存在する溶媒よりもより油状(非極性)であることによって特徴付けられる。この差は、logP値を使用して簡便に表される。logP値は、油/水の環境中での化合物の分配を特徴付け、該値は、オクタノール/水の分配係数の十進法の対数として定義され、かつ該値は、標準ソフトウェアを使用して容易に得られる。
【0033】
実施例
実施例1
中鎖トリグリセリド油(MCT、溶媒A)に基づいて調製したフレーバー組成物を、開いたビーカー中に満たし、そして80%の微結晶セルロース(MCC、Sigma Aldrich社から購入)上に表面被覆された20%のプロピレングリコール(PG、溶媒B)からなる粉末を含有する閉じたガラス容器の内側に置いた。そして、その系を、室温で研究室内で貯蔵した。6日後に、少量の粉末試料を取り出し、抽出実験を実施し、そして抽出物をGC/MSによって分析した。
【0034】
抽出溶媒:シクロヘキサン
内部標準:メチルオクタノエート(6.67mg/ml溶液をシクロヘキサン中で溶解することにより製造した)
2回の抽出を実施し、再現性を確かめた。表1は、抽出測定の概要を示す。
【0035】
【表1】
【0036】
その結果は、液体フレーバー組成物中の最初の揮発分の一部が、ヘッドスペースを介して、MMC上に表面被覆されたPGに移ったことを示す。
【0037】
溶媒を導入させたフレーバー粒子中で捕らえられたフレーバーのヘッドスペース分析を、表2において示す。
【0038】
【表2】
【0039】
表2の最後の列における値は、異なる揮発分が、中鎖トリグリセリド油(溶媒A)又は空気中への分配と比較して、プロピレングリコール(溶媒B)についての親和性を有することを証明する;この値が高くなれば、フレーバー組成物中のその最初の量と比較してPGに移る分子が多くなる。
【0040】
これらの値は、揮発分のlogP値に関連する。従って、ここで提供される実施例において、0.3〜3.5のlogP値を有する分子が、本発明によって製造したフレーバー粉末中で選択的に捕らえられる一方で、それらは、単独の従来のキャリヤー材料上に、同一のフレーバーの通常の従来の導入された粉末中で失われる。
【0041】
プロピレングリコールは、ヘッドスペース中で蒸発させた揮発分子を再溶解するように見え、従って、液体/粉末混合物中でそれらを保持する。
【0042】
実施例2
フレーバー粉末の製造
フレーバー粉末を、溶媒として中鎖トリグリセリドを使用して製造した(“F1”)。
【0043】
フレーバー粉末を、溶媒としてトリアセチンを使用して製造した(“F2”)。
【0044】
粉末Aを、F1とマルトデキストリンとを、50:50の割合で、乳鉢中で混合することによって製造した(等質量のマルトデキストリン粒子及びF1)。
【0045】
粉末Bを、F2とマルトデキストリンとを、50:50の割合で、乳鉢中で混合することによって製造した(等質量のマルトデキストリン粒子及びF2)。
【0046】
粉末Cを、微結晶セルロースとプロピレングリコールとを、それぞれ80:20の割合で、乳鉢中で混合することによって製造した(4部のMCC粒子及び1部のPG)。
【0047】
試料Aを、乳鉢中で、等質量の粉末AとCとを混合することによって得た。
【0048】
試料Bを、乳鉢中で、等質量の粉末BとCとを混合することによって得た。
【0049】
さらに、同一のフレーバー濃度を有するが、MCC/PG粒子を含有しない参考試料A及びBを製造した。
【0050】
試料Ref−Aを、乳鉢中で、等質量の粉末Aとマルトデキストリンとを混合することによって得た。
【0051】
試料Ref−Bを、乳鉢中で、等質量の粉末Bとマルトデキストリンとを混合することによって得た。
【0052】
表3は、比較のために製造したフレーバー粉末の調製物の概要を示す。
【0053】
【表3】
【0054】
そして、4つの試料を、ネジキャップ付きのガラス瓶中に移し、そして室温で貯蔵した。
【0055】
それらを1ヶ月後に分析して、それらのフレーバー含量を評価した。比較のために、新たに製造した試料を、比較のために分析する前に、同一の方法で正確に製造した。
【0056】
正確な質量の50〜100mgの粉末を、100mlの温水(60℃)中で、測定プローブ導入のために、頂部で5mmの開口部を有するキャップを備えた500mlのガラス瓶中で分散させた。開口部を、最初に閉じたまま維持し、そして水中で分散し1.5分間平衡させた後に、開口してプローブを導入し、そして50秒間ヘッドスペースを測定した(吸引の流量:31ml/分)。この方法を、測定した試料全てについて同様に正確に実施した。
【0057】
ヘッドスペースを、質量分析器によって分析し、異なる揮発物及びそれらの量を検出した。
【0058】
それぞれの試料について、それぞれの揮発分について測定したシグナルを、新しい試料中で同一の揮発物について測定したシグナルによって標準化した。そして、1ヶ月の貯蔵後に粉末中に残った揮発分の%を測定した。
【0059】
表4及び
図1は、参考試料と比較した残りの揮発分の割合(試料シグナル/参考シグナル)のヘッドスペース結果を示す。
【0060】
【表4】
【0061】
表4の左列におけるモル質量は、質量分析器によって検出した揮発分の特徴的なフラグメントを示す。表において得られる値は、それぞれの試料について、試料/新しい試料のシグナル比の結果である。結論として、ヘッドスペース中で放出された揮発分の測定は、特に中鎖トリグリセリドベースのフレーバー(F1)の場合に、MCC/PG粒子の存在が、MCC/PGを含有しない参考試料と比較して、少なくとも2倍多い保持されている揮発分をもたらしたことを示した。
【0062】
同様の、しかしわずかに弱い効果が、F2(MCTの代わりにトリアセチン中で調製した)を含有する試料で観察された。これは、MCTと比較して、より極性の揮発分を保持することが可能である、トリアセチンの高い極性による。
【0063】
次の実施例は、例示のみであり、要約、明細書又は特許請求の範囲において挙げられる発明の範囲を制限することを意図しない。
【0064】
実施例3
フレーバー粉末の貯蔵安定性
実施例2に従って製造したフレーバー粉末を、揮発分保持に関して、同一のフレーバーで製造した従来の粉末と比較した。この試験を、以下の3つの異なる環境で空気中で粉末を貯蔵することによって、数ヶ月にわたって実施した:1. 密閉したバイアル(半分粉末で満たした50ml容器)中で、2. 半開きのバイアル(同一の容器であるが、キャップに直径0.5mmの孔を10個開けた容器)中で、及び3. 完全に開いた容器(ペトリ皿)中で。全ての試料を、23℃の温度で換気した戸棚に置いた。
【0065】
粉末組成物は以下のとおりであった:
【表5】
【0066】
9ヶ月後に、ヘッドスペース分析を、閉じた試料及び半開きの試料の双方で実施し、そして9ヶ月間5℃の温度で冷蔵庫中で貯蔵したそれらの新しい対応物と比較した。
【0067】
その結果は、前記のように製造した粉末からのフレーバー(揮発分)の損失が、参考試料と比較して著しく低減されたことを示す。
【0068】
図2は、60℃の温度の温水中で溶解させた粉末から放出されたフレーバーのヘッドスペース測定の結果を示す。それぞれの試料を、閉じた容器中で又は半開きの容器中で、室温で9ヶ月間貯蔵した。それぞれの成分について測定した強度を、新しい対応物中で測定した成分の強度によって標準化した。その比較は、本明細書において記載した方法に従って製造した粉末が、参考粉末において2倍まで高い揮発分を保持したこと(化合物の分子量に依存する)を明らかに示す。
【0069】
結果として、参考試料と比較して、本明細書において記載した方法に従って製造したフレーバー粉末は、全ての分子量で良好な保持が可能であった。さらに、半開きの容器中で、揮発分の保持は、参考と比較して、3倍まで良好であった。
【0070】
実施例4
フレーバー粉末の製造
この実施例は、第一のタイプの固体粒子上に導入させた液体フレーバーを含有する第一の粉末と、第二のタイプの固体粒子上に導入させた溶媒を含有する第二の粉末との混合物を含有するフレーバー粉末の製造を記載する。この実施例において、第一の粉末中で含まれる粒子を、保護コーティング層によってさらに被覆する。いくつかの膜形成材料(多糖、タンパク質、又はそれらの混合物、樹脂、ロウ、タンニン、リグニン、リグノセルロース、及び他の膜形成ポリマー)を使用した。特に適した例は、タンパク質として、ゼイン、ホエータンパク質、カゼイン;多糖として、エチルセルロース、アルギネート、キトサン;天然樹脂としてシェラック;タンニン酸又はアラビアゴムを含む。
【0071】
アラビアゴムの溶液を、脱イオン水中でアラビアゴム(CNI(フランス国)社から得られる)の15質量%(溶液4A)及び35質量%(溶液4B)を分散させ、水和することによって製造した。第一の粉末(10質量%のフレーバー量で微結晶セルロース上に導入させた、モデル液体フレーバーとしてのリモネン)を、実施例2のように製造し、そしてアラビアゴム溶液を、この中間体フレーバー粉末上で、台所用ブレンダーでブレンドした。さらに、小バッチを、乳鉢及び乳棒を使用してブレンドした。場合によって、噴霧ノズルを使用して、アラビアゴム溶液を粉末状に噴霧してもよいが、しかしこれは、ポリマー溶液の粘度によって制限される(15質量%のアラビアゴム溶液は容易に噴霧できる)。その粉末を放置して、ブレンド溶液中で一昼夜乾燥させた。他のバッチについて、同様に第一の粉末(微結晶セルロース粒子上で導入させたリモネン)を、ゼイン(Sigma−Aldrich社から得られる)で被覆した。ゼイン分散物を、イソプロパノール/水の80/20(w/w)の混合物中で9.6質量%の濃度で製造し、粉末上にブレンドした。
【0072】
第二の粉末の製造及び添加を実施例2のように実施できる。
【0073】
ここで製造した試料を、単純に表面被覆されたフレーバー(微結晶セルロース上に導入させたリモネン)と比較し、そして製造の1日及び2週間の時点で感覚刺激性を比較した。参考試料は、全てのそれらのフレーバーを失い、かつフレーバーの放出は、60℃の水中での生成物の分散に対して検出されなかった一方で、本明細書において記載した方法に従って製造した粉末は、フレーバーの長期間の放出を示した。