(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6516771
(24)【登録日】2019年4月26日
(45)【発行日】2019年5月22日
(54)【発明の名称】ビデオ撮影装置の支持ヘッド
(51)【国際特許分類】
G03B 17/56 20060101AFI20190513BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20190513BHJP
【FI】
G03B17/56 A
H04N5/222 100
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-569725(P2016-569725)
(86)(22)【出願日】2015年5月26日
(65)【公表番号】特表2017-521695(P2017-521695A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(86)【国際出願番号】IB2015053914
(87)【国際公開番号】WO2015181710
(87)【国際公開日】20151203
【審査請求日】2018年2月23日
(31)【優先権主張番号】PD2014A000132
(32)【優先日】2014年5月28日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】595120057
【氏名又は名称】ヴァイテック イメージング ソリューションズ エス・ピー・エー
【氏名又は名称原語表記】VITEC IMAGING SOLUTIONS S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スペッジオリン,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】パロリン,マッテオ
【審査官】
佐藤 修
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05589903(US,A)
【文献】
米国特許第02747423(US,A)
【文献】
特開昭63−303298(JP,A)
【文献】
特開昭55−069087(JP,A)
【文献】
特開2010−197973(JP,A)
【文献】
実開昭58−047198(JP,U)
【文献】
実開昭59−110499(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56 − 17/58
G02B 7/02 − 7/16
H04N 5/222 − 5/257
F16M 1/00 − 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオ撮影装置の支持ヘッドであって、
‐ ベース(2)と、
‐ 前記ビデオ撮影装置(4)のアタッチメント要素(3)と、
‐ 前記ベースに対して前記アタッチメント要素を前記支持ヘッドの回転軸(X;Y;Z)回りに回転するように設計され、第1の継ぎ手要素(11;12;13)と第2の継ぎ手要素(12;13;14)との間に形成された少なくとも一つ関節継ぎ手(10a;10b;10c)と、
‐ 前記第1の継ぎ手要素に対して前記第2の継ぎ手要素を前記回転軸回りに回転するために前記第2の継ぎ手要素と関連する操作レバー(22;32;42)と、
‐ 前記第1の継ぎ手要素と関連する第1のギア要素(23)および前記操作レバーに設けられ且つ前記操作レバーの回転の結果として前記第2の継ぎ手要素に対して前記第1の継ぎ手要素を前記回転軸回りに回転させるために前記第1のギア要素と係合できる第2のギア要素(24)を備えるアクチュエータと、を備え、
前記操作レバーは、前記第2のギア要素を前記第1のギア要素から係合解除し且つ前記第1の継ぎ手要素を前記第2の継ぎ手要素に対して前記回転軸回りに自由に回転させるために第1の継ぎ手要素から移動させることができ、
前記操作レバーは、前記操作レバーの旋回軸(T)回りの回動によって前記第1の継ぎ手要素から離れ、前記第1の継ぎ手要素に向かって前記第2の継ぎ手要素に関して旋回され、且つ前記第2の継ぎ手要素は握り付属物(27)を備え、前記握り付属物は前記操作レバーに隣接する位置で延在し、オペレータが前記操作レバーを前記握り付属物に対して押圧する前記第1の継ぎ手要素から離れるように前記操作レバーの振れを促進する、ビデオ撮影装置の支持ヘッド。
【請求項2】
前記第2のギア要素は、ウォームねじ(24)である、請求項1に記載の支持ヘッド。
【請求項3】
前記操作レバーは、前記第2のギア要素の回転を引き起こすために前記操作レバーの長手軸回りに回転可能である、請求項1または2に記載の支持ヘッド。
【請求項4】
前記第2のギア要素(24)と前記第1のギア要素(23)は、1:20から1:60までの範囲のギア比を有する、請求項1〜3の何れか1項に記載の支持ヘッド。
【請求項5】
前記第1のギア要素と前記第2のギア要素の係合を保つように前記操作レバーを前記第1の継ぎ手要素に向かって付勢するために、弾性要素(26)が設けられた、請求項1〜4の何れか1項に記載の支持ヘッド。
【請求項6】
前記回転軸(X)は、前記ベース(2)に実質的に垂直であって、前記支持ヘッドのパン軸を画定する、請求項1〜5の何れか1項に記載の支持ヘッド。
【請求項7】
前記回転軸(Y,Z)は、前記ベースに実質的に平行であって、前記支持ヘッドのレベル軸またはチルト軸を画定する、請求項1〜5の何れか1項に記載の支持ヘッド。
【請求項8】
回転の自己解除方向(A)は前記回転軸に対して画定され、前記回転の自己解除方向において、前記支持ヘッド上の前記ビデオ撮影装置の平衡位置に対する前記ビデオ撮影装置のアンバランスは、前記第1のギア要素(23)から前記第2のギア要素(24)を係合解除する傾向があり、且つ前記第1の継ぎ手要素と前記第2の継ぎ手要素が前記回転の自己解除方向へ回転されるときのみ、前記回転軸に対する前記第1の継ぎ手要素と前記第2の継ぎ手要素の前記回転軸回りの相対回転をロックするために安全要素を設けた、請求項7に記載の支持ヘッド。
【請求項9】
回転の自己解除方向(A)は前記回転軸に対して画定され、前記回転の自己解除方向において、前記支持ヘッド上の前記ビデオ撮影装置の平衡位置に対する前記ビデオ撮影装置のアンバランスは、前記第1のギア要素(23)から前記第2のギア要素(24)を係合解除する傾向があり、前記第1の継ぎ手要素が前記回転の自己解除方向に振られたときに前記第2の継ぎ手要素に対する前記第1の継ぎ手要素の回転を制限するためにストップ要素を設けた、請求項7に記載の支持ヘッド。
【請求項10】
回転の主方向が前記回転軸回りに画定され、前記回転の主方向への前記第1の継ぎ手要素の回転が自動ロックであり、前記支持ヘッド上の前記ビデオ撮影装置の平衡位置に対する前記ビデオ撮影装置のアンバランスが前記第1のギア要素(23)と前記第2のギア要素(24)との係合を促進する傾向がある、請求項7〜9の何れか1項に記載の支持ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項のプリアンブルに記載した特徴を有するビデオ撮影装置の支持ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオ撮影装置の支持ヘッドの技術分野において、装置が支持ヘッドに結合されたとき、その装置は、支持ヘッドに関して画定された一つまたは複数の回転軸に対して高精度の回動が可能な支持ヘッドが知られている。
【0003】
このヘッドは、典型的には、前述の一つまたは複数の軸に対して装置の一つまたは複数のコンポーネントを相対回転させる歯車装置に基づいた調節機構を備えている。特に、ヘッドの一つの軸に対して回転可能に連結される第1の本体部と第2の本体部、および前記二つの本体部の一方と関連する操作レバーに作用することによってユーザが回転させることができる調節機構を備えるヘッドが知られている。
【0004】
調節機構は、典型的には、ユーザによって実行される操作レバーの回転によって第2の本体部に対して第1の本体部の非常に小さい角度振幅の回転を生じさせるような減速機構を有している。
【0005】
このように、装置の非常に正確な回転を達成することは可能であるが、装置の回転速度を犠牲にすることになる。
【0006】
本願の出願人と同じ名義の米国特許第5589903号には、必要に応じて操作レバーを回転させる必要がなく、軸に対する回転が自由にでき、第1の本体部を第2の本体部に係合する歯車装置をユーザが係合解除できる調節機構を備える支持ヘッドが開示されている。このように、ユーザは、第1の非常に速い回転移動を行って近接位置に到達させ、次いで係合された状態に調節機構を戻し、次いで第2の微細な回転移動を行って望ましい角度位置に正確に到達させている。
【0007】
米国特許第5589903号に記載の支持ヘッドでは、操作レバーに共軸的に取り付けられた適切なリングナットを回転し、これにより、他方の本体部に取り付けられたピニオンから並進的に離れるように操作レバーを移動することによって、調節機構は係合が解除される。リングナットは、調節機構を相互係合状態に保つ傾向があるスプリングの弾性力とは反対側にユーザによって回転される。
【0008】
しかしながら、上記システムでは、例えば、リングナットが調節機構を係合解除するために回転させられなければならない方向の直接の指示を受け取れないユーザにとって、それは直観では理解でき難い事実を含んだ少数の欠点を有している。
【0009】
更に、非垂直軸(例えば、レベルとして知られる水平軸またはチルト軸)に対して生じる回転に起因する装置の重みのアンバランスが操作レバーの望ましくない移動を引き起こすことを防止し、これにより、調節機構を係合解除し、且つ装置を自由回転状態にさせるために、スプリングは、アンバランスな負荷の存在下でも、調節機構が係合状態に効果的に保たれることを保証するように比較的に高い弾性定数を持つ必要がある。
【0010】
しかしながら、ユーザは、リングナットを回転させることや、リングナットをスプリングの弾性作用に抗して係合解除位置に保つことに、大きな努力が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、引用された従来の技術を参照しながら記載した制限事項の少なくとも一つを全体的にまたは部分的に克服するように構造的且つ機能的に設計されたビデオ撮影装置の支持ヘッドを提供することである。
【0012】
この課題は、添付の請求項に基づいて実現される支持ヘッドを用いて本発明によって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
概略的説明(guidance)のため、非制限的に描かれた添付図面を参照し、本発明の好適な実施の形態の以下の詳細な説明によって、本発明の特徴と利点は明瞭になる。
【
図1】
図1は、本発明に基づいて実現された、ビデオ撮影装置の支持ヘッドの概略背面図である。
【
図2】
図2は、
図1の支持ヘッドの上から見た概略平面図である。
【
図5】
図5は、第2の動作構成で、
図1の支持ヘッドの上方から見た概略平面図である。
【
図7】
図7a,7bは、ビデオ撮影装置が互いに異なる位置に回動された状態で、
図1の支持ヘッドを示す正面図である。
【
図8】
図8a,8bは、ビデオ撮影装置が互いに異なる位置に回動された状態で、
図1の支持ヘッドが示された側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面の参照番号1は、本発明に基づいて作られたビデオ撮影装置の支持ヘッド全体を指している。
【0015】
ヘッド1は、ヘッド1の支持平面を形成し、好ましくは三脚台のようなスタンド上に取り付けられるように設計されたベース2、および図面の参照番号4によって概略的に指し示される、1台のビデオ撮影装置を受容し且つそれと係合することができるアタッチメント要素3を備えている。
【0016】
本明細書に記載した好適的な実施の形態の主題であるヘッド1は、三軸ヘッドとして知られたものであり、したがって、アタッチメント要素3と係合するビデオ撮影装置4は、ベース2に対して互いに独立して三軸に対して回転可能である。
【0017】
特に、これらの軸は、夫々パン軸、チルト軸、レベル軸と呼ばれ、パン軸は、ベース2に対して実質的に垂直にベース2を通過し、且つ水平面上で装置4を回転させることができるX軸である。チルト軸は、X軸に対して垂直であり、且つ装置4が装置4の光軸に対して実質的に垂直な軸回りに回転可能なY軸である。レベル軸は、X軸とY軸の両方に対して垂直であり、且つ装置4の光軸に平行な軸回りに装置4の回転が可能なZ軸である。
【0018】
前述の軸回りにアタッチメント要素4をベース2に対して回転させるために、ヘッド1は、各軸用の関節継ぎ手10a,10b,および10cを備えている。
【0019】
このため、ヘッド1は、
‐ ベース2が設けられる第1の本体部11と、
‐ X軸回りに回転するように第1の本体部11に相互係合によって結合され、これにより、第1の継ぎ手10aを形成する第2の本体部12と、
‐ Y軸回りに回転するように第2の本体部12に相互係合によって結合され、これにより、第2の継ぎ手10bを形成する第3の本体部13と、
‐ アタッチメント要素4が設けられ、Z軸回りに回転するように第3の本体部13に相互係合によって結合され、これにより、第3の継ぎ手10cを形成する第4の本体部14を備えている。
【0020】
各継ぎ手10a,10b,および10cに対して、第1の継ぎ手要素と第2の継ぎ手要素が常に画定されることができ、これらの要素は、場合によって、第1の本体部11と第2の本体部12によって、または第2の本体部12と第3の本体部13によって、または第3の本体部13と第4の本体部14によって表されることに留意する必要がある。
【0021】
第1の本体部11と第2の本体部12との間の継ぎ手10aは、以下において詳細に記述される。しかしながら、この継ぎ手は、第1/第2の継ぎ手要素が、前の段落で指定されたように、適切に識別される場合、継ぎ手10bと10cの代表でもある。
【0022】
第1の本体部11は、X軸に沿って延在し、第2の本体部12に形成される座21内に受容されるシャフト20を備え、これにより、第1の本体部11は、X軸回りに回転可能に第2の本体部12に連結される。
【0023】
第2の本体部12は、自由端にノブ22aが設けられた操作レバー22と関連する。
【0024】
操作レバー22は、第1の本体部11に対して第2の本体部12をX軸回りに回転させるように設計されている。
【0025】
特に、第1の本体部11と第2の本体部12との間の回転は、第1の本体部11と関連する第1のギア要素と操作レバー22に設けられる第2のギア要素を備えるアクチュエータによって行われる。
【0026】
本明細書に記載した好適な実施の形態では、第1のギア要素は、シャフト20上に形成される、軸方向歯を有するリングギア23を含み、他方、第2のギア要素は、操作レバー22のステム上で軸方向に延在するウォームねじ24を含んでいる。
【0027】
ウォームねじ24は、操作レバー22がその長手軸回りに回転されると、ウォームねじ24がリングギア23、したがって、シャフト20と第1の本体部11をX軸回りに回転させるようにリングギア23と係合できる。
【0028】
リングギア23とウォームねじ24によって形成される歯車装置は、1:20から1:60までの、好ましくは1:30から1:50までの範囲、例えば1:38のギア比を有する減速機構を形成するように構成されることが好ましい。
【0029】
このように、操作レバー22のその長手軸回りの完全な1回転は、第1の本体部11に対して第2の本体部12のX軸回りの回転の約38分の一に対応し、これにより、二つの本体部11,12の角度的位置決めが高い精度と移動の均一性をもって達成される。
【0030】
操作レバー22は、ウォームねじ24をリングギア23から係合解除し、且つ第1の本体部11を第2の本体部12に対してX軸回りに自由に回転させるために第1の本体部11から離間するように移動されることも可能である。
【0031】
本発明の第1の態様によれば、操作レバー22は、旋回軸T回りに振れるように第2の本体部12に関して旋回され、且つそれはノブ22aに対して長手方向に関して反対側の端部25で旋回することが好ましく、これにより、ウォームねじ24はノブ22aと端部25との間の中間位置に配置される。
【0032】
操作レバー22の旋回軸Tは、X軸に実質的に平行であることが好ましく、これにより、旋回軸T回りの振れの結果として、操作レバー22が第1の本体部11と第2の本体部12の回転平面と実質的に一致する平面上を第1の本体部11のシャフト20から離間するように、またはそれに向かって移動できる。
【0033】
操作レバー22は、第2の本体部12に形成された孔28に端部25を収容することによって且つそれをレバーにねじ込まれたナット29で軸方向にロックすることによって旋回される。また、端部25に嵌合された一対のスプリングワッシャ30はナット29と第2の本体部12との間に介在されることが好ましい。
【0034】
操作レバー22は、例えばスプリング26のような弾性要素によって第1の本体部11に向かって付勢され、これにより、ウォームねじ24はリングギア23との係合に向かって付勢される。
【0035】
本発明の他の態様において、第2の本体部12は、操作レバー22に隣接する位置で延在し且つシャフト20の反対側でそのレバーから僅かに離間された握り付属物27を備えている。
【0036】
このように、操作レバー22は、操作レバー22と握り付属物27を一方の手で同時に握り且つ操作レバー22を握り付属物27に向かって振れさせるようにオペレータが操作レバー22を握り締めることによって効果的且つ直観的に第1の本体部11のシャフト20から離れるように旋回軸回りに振れさせることができる(図
4および図6)。
【0037】
スプリング26は、操作レバー22とウォームねじ24との間に介在する位置で操作レバー22と握り付属物27の間に作用することが好ましく、これにより、スプリング26は、リングギア23に対してウォームねじ24を押圧する動作を効果的に実行できる。スプリング26をノブ22aよりも操作レバー22の端部25の近くに配置することによって、スプリング26の弾性力をより容易に克服するように操作レバー22のアームの長さを利用することが可能であり、有利であることを留意すべきである。
【0038】
スプリング26は、握り付属物27に形成された座26aに収容され、一方の手で座26aの肩部26bに対し、他方の手でノブ22aに対して軸方向に支えられることが好ましい。
【0039】
したがって、ベース2に対するビデオ撮影装置4のX軸回りの望ましい角度の位置決めは、ウォームねじ24をリングギア23から係合解除し、第1の本体部11と第2の本体部12との間のX軸回りに回転を自由にするようにオペレータが操作レバー22を握り締めることによって、オペレータが操作レバー22を握り付属物27に対して押圧する第1の高速且つ近接位置決め移動によって達成される。
【0040】
この初期の高速移動の終わりに、スプリング26の動作によって、ウォームねじ24がリングギア23と係合するように、操作レバー22が解放される。
【0041】
したがって、必要に応じて、オペレータが、操作レバー22をその長手軸回りに一方の方向または他方の方向へ回転することによって、より微細に装置4の角度的位置決めを調節することができる。操作レバーの回転によって、ウォームねじ24、リングギア23,および第1の本体部11が第2の本体部12に対して同時に回転させられる。第1の本体部11が地面に対して一般的に固定される、例えば三脚台の上に取り付けられ、平らな表面上に載置するので、回転するのが第2の本体部12であることは明白である。
【0042】
上述のように、継ぎ手10b,10cは継ぎ手10aと同様に作られ、したがって、これらにおいて下記要素:
‐ 第3の本体部13をチルトY軸回りに回転するための第3の本体部13と、第4の本体部14をレベルZ軸回りに回転するための第4の本体部14と夫々関連する操作レバー32,42と、
‐ 操作レバー32,42に隣接する位置で第3の本体部13からおよび第4の本体部14から夫々延在する握り付属物37,47と、が特定されている。
【0043】
継ぎ手10b,10cの構造において、継ぎ手10aには存在しない考察されるべき追加の態様もある。
【0044】
これは、レベルZ軸およびチルトY軸のような非垂直軸回りのビデオ撮影装置4の回転は、水平面(
図1に示される標準位置)と平行なビデオ撮影装置4の光軸を有するようにビデオ撮影装置4がヘッド1の頂部に関して水平に配置される通常の位置に対して重みのアンバランスを引き起こすということである。
【0045】
ビデオ撮影装置4が「標準」の位置に対して傾けられるとき、無視できないその装置の重みが、装置を自然に下方へ回転させる傾向がある。
【0046】
X軸回りの回転には一般的に存在しないこの傾向は、Y軸とZ軸回りの回転のための調節機構によって効果的に阻止されている。
【0047】
最初に、操作レバー22,32,または42の構造的構成と第2の継ぎ手要素(第2,第3,または第4の本体部12,13,または14の夫々)に関するレバーの旋回は、「自己解除」と呼ばれる回転方向と「自動ロック」と呼ばれる回転方向が画定されることに留意する必要がある。
【0048】
第1の場合、力の何らかの外部結合は、操作レバー22をリングギア23から離れるように移動する傾向があり、それによって、ウォームねじ24はリングギア23から係合解除される。
【0049】
しかしながら、第2の場合、力の結合は、リングギア23とウォームねじ24が相互係合状態にともに保持される力を増加する傾向がある。
【0050】
上述の第1の事象は、明らかに非常に望ましくない。理由は、それが第1の回転要素と第2の回転要素との間で突然に且つ予期しない自由回転をさせるからである。特に、回転軸が、チルト軸またはレベル軸であるので、それがビデオ撮影装置4を下方に倒させる。
【0051】
継ぎ手10b,10cと類似性を有した、以上の通り詳細に記述された継ぎ手10aを参照するとき、回転の自己解除方向は、操作レバー22の延在に対して反対側の方向(ノブ22aから端部25に向かう方向)に第2の本体部12が第1の本体部11に対して回転される回転の方向として認識される。
図4では、第1の本体部11に対する第2の本体部12の回転の自己解除方向は「A」で指し示され、回転の自動ロック方向は「B」で指し示される。
【0052】
第1の実施の形態には、添付図面には示されていないが、ヘッド1が、少なくとも第1の継ぎ手要素と第2の継ぎ手要素が回転の自己解除方向Aに回転されるとき、第1の継ぎ手要素と第2の継ぎ手要素の対応する軸回りの相対回転をロックするための安全要素を備えている。
【0053】
例えば、弾性的に付勢されたピンが操作レバー22の振れと干渉させるために第2の継ぎ手要素に設けることが可能であり、これにより、握り付属物27に向かう操作レバー22の移動を妨げている。したがって、この振れは、オペレータが(例えば、ピンを押圧することによって)スプリングの動作に抗してピンを移動したときにのみに可能となる。
【0054】
上記実施の形態と組み合わされ、または代替として使用されることが可能な他の一実施の形態では、ストップ要素が該当継ぎ手の各々に設けられ、第1の継ぎ手要素が回転の自己解除方向に振られるとき、第2の継ぎ手要素に対する第1の継ぎ手要素の回転が制限できる。この場合、ストップ要素は、回転の自己解除方向における振れが通常のバランスが取れた状態に対して例えば20°未満の減少された角度に制限されるように設けられ、これにより、ビデオ撮影装置の重みのアンバランスが、操作レバーを第1の継ぎ手要素から離れるように移動させることはない。
【0055】
図7a,8aでは、ストップ要素によって画定された制限位置でY軸とZ軸回り夫々で振れたビデオ撮影装置4を有するヘッド1が示されている。
【0056】
レベル軸またはチルト軸(夫々Z軸,Y軸)回りの回転において、回転の主方向は普通に画定されるが、パン軸回りの回転のためには存在しない。理由は、ビデオ撮影装置が一方向または他方向に良好に等しく回転することが可能でなければならないからである。
【0057】
本明細書および添付の特許請求の範囲の文脈における1つの軸回りの回転の主方向は、ビデオ撮影装置が、何れにしても、少なくとも45°を越えて最大の範囲まで振られることが可能な回転の方向として定義されることが明示されている。
【0058】
レベル軸の場合、回転の主方向によって装置が水平(パンモード)から垂直(ポートレートモード)に振られ、且つ典型的には、ビデオ撮影装置4を前部から見たとき(
図7b参照)時計回りに現れる回転方向となる。
図7a,
図7bにおいて、回転の主方向は「C」によって指し示され、回転の他方向は「D」によって指し示されている。
【0059】
チルト軸の場合、回転の主方向によって、レンズが下方を指すようにビデオ撮影装置4を振らせる。
図8a,
図8bにおいて、回転の主方向は「E」によって指し示され、回転の他方向は「F」によって指し示されている。
【0060】
支持ヘッド1において、操作レバー32,42は、回転の主方向が自動ロックタイプの回転の方向であるように、第1/第2の継ぎ手要素に対して位置決めされることが好ましい。
【0061】
上述の好適な実施の形態では、支持ヘッドは、ビデオ撮影装置が3つの軸回りに回転されるように3つの異なる継ぎ手を備えているが、本発明の基本原理は、任意の数の継ぎ手、したがって任意の数の回転軸を有する支持ヘッドに関して、同様に再現できることを当業者は、理解している。
【0062】
このように、本発明は、引用された従来の技術を参照して前述の課題を解決するとともに、引用された従来の技術に記載された解決策に比較して、より大きな直観性、より大きな安全性、継ぎ手の自由回転の操作での使用の容易さを含む、多くの利点を提供する。
【符号の説明】
【0063】
1 ヘッド
2 ベース
3 アタッチメント要素
4 ビデオ撮影装置
10a,10b,10c 関節継ぎ手
11 第1の本体部
12 第2の本体部
13 第3の本体部
14 第4の本体部
20 シャフト
22 操作レバー
22a ノブ
23 リングギア
24 ウォームねじ
25 端部
26 スプリング
27 握り付属物
28 孔
29 ナット
32,42 操作レバー
37,47 握り付属物