(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6516827
(24)【登録日】2019年4月26日
(45)【発行日】2019年5月22日
(54)【発明の名称】燃料電池装置
(51)【国際特許分類】
H01M 8/1213 20160101AFI20190513BHJP
H01M 8/0217 20160101ALI20190513BHJP
H01M 8/0228 20160101ALI20190513BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20190513BHJP
【FI】
H01M8/1213
H01M8/0217
H01M8/0228
!H01M8/12 101
!H01M8/12 102A
【請求項の数】12
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-504823(P2017-504823)
(86)(22)【出願日】2015年7月27日
(65)【公表番号】特表2017-526123(P2017-526123A)
(43)【公表日】2017年9月7日
(86)【国際出願番号】EP2015067136
(87)【国際公開番号】WO2016016181
(87)【国際公開日】20160204
【審査請求日】2017年3月27日
(31)【優先権主張番号】102014214781.6
(32)【優先日】2014年7月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ モク
(72)【発明者】
【氏名】ピエロ ルペティン
【審査官】
前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2013/0122393(US,A1)
【文献】
特開2009−266483(JP,A)
【文献】
特開2008−270203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/1213
H01M 8/0217
H01M 8/0228
H01M 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの燃料電池(12,14)と、
前記少なくとも2つの燃料電池(12,14)を相互に直列に接続するために設けられた相互接続ユニット(16)と、
を含む燃料電池ユニット(10)を備えた燃料電池装置において、
少なくとも1つの前記相互接続ユニット(16)が、相互に異なる材料から形成された少なくとも2つの層(18,20)を有しており、
前記燃料電池ユニット(10)は、前記少なくとも2つの燃料電池(12,14)のカソード(24,26)を形成するために設けられた少なくとも1つのカソード層(22)と、前記少なくとも2つの燃料電池(12,14)のアノード(30,32)を形成するために設けられた少なくとも1つのアノード層(28)と、前記少なくとも2つの燃料電池(12,14)の電解質(36,38)を形成するために設けられた少なくとも1つの電解質層(34)とを含み、
前記少なくとも2つの燃料電池(12,14)は、前記燃料電池ユニット(10)内部で、第1の燃料電池(12)のカソード(24)が、第2の燃料電池(14)のアノード(32)に少なくとも部分的に重畳するように配置されており、
前記相互接続ユニット(16)は、前記燃料電池ユニット(10)の前記電解質層(34)内部に、かつ、前記第1の燃料電池(12)の前記カソード(24)と前記第2の燃料電池(14)の前記アノード(32)とが重畳する領域に、配置されている、
ことを特徴とする燃料電池装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの相互接続ユニット(16)は、マンガン系ペロブスカイトから形成された少なくとも1つの第1の層(18)を有している、請求項1に記載の燃料電池装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの相互接続ユニット(16)は、ニッケル系ペロブスカイトから形成された少なくとも1つの第2の層(20)を有している、請求項2に記載の燃料電池装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの相互接続ユニット(16)の前記少なくとも1つの第1の層(18)は、前記少なくとも1つのアノード層(28)の方向に向くように配置されており、前記少なくとも1つの相互接続ユニット(16)の前記少なくとも1つの第2の層(20)は、前記少なくとも1つのカソード層(22)の方向に向くように配置されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の燃料電池装置。
【請求項5】
前記燃料電池ユニット(10)が配置されている少なくとも1つの支持体(40)を備えている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の燃料電池装置。
【請求項6】
少なくとも2つの燃料電池(12,14)と、
前記少なくとも2つの燃料電池(12,14)を相互に直列に接続するために設けられた相互接続ユニット(16)と、
を含む燃料電池ユニット(10)を備えた燃料電池装置(46)を製造するための方法において、
少なくとも1つの前記相互接続ユニット(16)が有する少なくとも2つの層(18,20)を、相互に異なる材料から形成し、
前記少なくとも2つの燃料電池(12,14)のカソード(24,26)を形成するために、少なくとも1つのカソード層(22)を形成し、
前記少なくとも2つの燃料電池(12,14)のアノード(30,32)を形成するために、少なくとも1つのアノード層(28)を形成し、
前記少なくとも2つの燃料電池(12,14)の電解質(36,38)を形成するために、少なくとも1つの電解質層(34)を形成し、
前記燃料電池ユニット(10)内部で、第1の燃料電池(12)のカソード(24)が、第2の燃料電池(14)のアノード(32)に少なくとも部分的に重畳するように、前記少なくとも2つの燃料電池(12,14)を配置し、
前記燃料電池ユニット(10)の前記電解質層(34)内部に、かつ、前記第1の燃料電池(12)の前記カソード(24)と前記第2の燃料電池(14)の前記アノード(32)とが重畳する領域に、前記相互接続ユニット(16)を配置する、
ことを特徴とする、燃料電池装置(46)を製造するための方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの相互接続ユニット(16)が有する前記少なくとも2つの層(18,20)のうちの少なくとも1つの第1の層(18)を、マンガン系ペロブスカイトから形成する、請求項6に記載の燃料電池装置(46)を製造するための方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの相互接続ユニット(16)が有する前記少なくとも2つの層(18,20)のうちの少なくとも1つの第2の層(20)を、ニッケル系ペロブスカイトから形成する、請求項7に記載の燃料電池装置(46)を製造するための方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの相互接続ユニット(16)の前記少なくとも1つの第1の層(18)を、前記少なくとも1つのアノード層(28)の方向に向くように配置し、
前記少なくとも1つの相互接続ユニット(16)の前記少なくとも1つの第2の層(20)を、前記少なくとも1つのカソード層(22)の方向に向くように配置する、
請求項6乃至8のいずれか一項に記載の燃料電池装置(46)を製造するための方法。
【請求項10】
前記燃料電池ユニット(10)を配置するための少なくとも1つの支持体(40)を設けることを含む、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の燃料電池装置(46)を製造するための方法。
【請求項11】
前記相互接続ユニット(16)を、スクリーン印刷を用いて形成する、請求項6乃至10のいずれか一項に記載の燃料電池装置(46)を製造するための方法。
【請求項12】
前記燃料電池ユニット(10)全体を、スクリーン印刷を用いて形成する、請求項6乃至11のいずれか一項に記載の燃料電池装置(46)を製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による燃料電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の燃料電池を含む燃料電池ユニットを備えた燃料電池装置は既に提案されている。これらの燃料電池は、相互接続ユニットを用いて直列に接続されている。そこでは、相互接続ユニットは、単に1つの材料から形成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明の開示
本発明は、少なくとも2つの燃料電池と、少なくとも2つの燃料電池を相互に直列に接続するために設けられた相互接続ユニットと、を含む燃料電池ユニットを備えた燃料電池装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ここでは、少なくとも1つの相互接続ユニットが、相互に異なる材料から形成された少なくとも2つの層を有することが提案される。
【0005】
「燃料電池装置」とは、この文脈においては特に、少なくとも1つの燃料電池ユニットを用いた、特に電気的エネルギー及び/又は熱的エネルギーの固定式産出及び/又は移動式産出のための装置と理解されたい。「燃料電池ユニット」とは、この文脈においては特に、少なくとも1つの燃焼ガス、特に水素及び/又は一酸化炭素、並びに、少なくとも1つの酸化剤、特に酸素の少なくとも1つの化学エネルギーを、特に電気エネルギーに変換するために設けられた、相互に接続された複数の燃料電池を含むユニットと理解されたい。これらの燃料電池は、好ましくは固体酸化物燃料電池(SOFC)として構成されている。「設けられた」とは、特に特別なプログラミング、設計及び/又は装備と理解されたい。対象が特定の機能のために設けられたとは、特にこの対象がこの特定の機能を、少なくとも1つの適用状態及び/又は動作状態において、充足及び/又は実施することと理解されたい。「相互接続ユニット」とは、この文脈においては特に、少なくとも2つの燃料電池を相互に直列に接続するために、少なくとも2つの燃料電池の間で導電接続を形成するために設けられたユニットと理解されたい。
【0006】
少なくとも1つの相互接続ユニットは、特に相互に層状に接して配置された相互に異なる材料から形成されている。相互接続ユニットが形成されている材料は、特に導電率及び/又は焼結特性に関する、特に相補的及び/又は補足的機能特性を有する。好ましくは相互接続ユニットの材料は、それぞれペロブスカイト構造を有している。
【0007】
この種の構成により、改善された動作特性を有する、上位概念による燃料電池装置が提供可能になる。特に相互に異なる材料からなる相互接続ユニットの構成により、複数の材料特性を、有利に組み合わせることができる。それにより相互接続ユニットを、燃料電池装置の要求に有利に適合化させることができ、これによって特に燃料電池装置の機能性及び/又は寿命を有利に向上させることができる。
【0008】
さらに相互接続ユニットは、マンガン系ペロブスカイトから形成された少なくとも1つの第1の層を有することが提案される。このマンガン系ペロブスカイトは特に、La
1−XSr
xA
yMn
1−yO
3、但し、0.05<x<0.6、0.05<y<0.6、A=スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)又はタンタル(Ta)、の一般化学式を有している。これにより少なくとも1つの第1の層が、特に還元される雰囲気下で、例えばアノード雰囲気下で、高い導電率を有することを達成し得る。好ましくは、相互接続ユニットは、ニッケル系ペロブスカイトから形成された少なくとも1つの第2の層を有している。このニッケル系ペロブスカイトは特に、LaNi
xFe
1−XO
3、但し、0.05<x<0.6、の一般化学式を有している。それにより、好ましくは気密性の第2の層を得ることができ、これによって燃料電池装置の気密性を有利に増加させることができる。さらに好ましくは、少なくとも1つの第2の層の高い導電率を、カソード雰囲気下で達成することができる。それによって、少なくとも1つの第1の層及び少なくとも1つの第2の層と、相互接続ユニットとの組み合わせにより、抵抗損を有利に低減させることができる。なぜなら、アノード雰囲気においてもカソード雰囲気においても、好ましくは高い導電率を達成することができるからである。
【0009】
さらに、燃料電池ユニットは、少なくとも2つの燃料電池のカソードを形成するために設けられた少なくとも1つのカソード層と、少なくとも2つの燃料電池のアノードを形成するために設けられた少なくとも1つのアノード層と、少なくとも2つの燃料電池の電解質を形成するために設けられた少なくとも1つの電解質層とを含むことが提案される。少なくとも1つのカソード層は、特に、ランタン−ストロンチウム−酸化マンガン及び/又はランタン−ストロンチウム−スカンジウム−酸化マンガン及び/又はランタン−ストロンチウム−コバルト−酸化鉄及び/又はランタン−ニッケル−酸化鉄から形成されてもよい。好ましくは、カソード層は、ランタン−ストロンチウム−酸化マンガン、ランタン−ストロンチウム−スカンジウム−酸化マンガン又はそれらの混合物から形成される。好ましくは、少なくとも1つのカソード層の材料は、ペロブスカイト構造を有している。少なくとも1つのアノード層は、特にニッケル及びイットリウムによって安定化された酸化ジルコニウムを含むサーメット及び/又はランタン−ストロンチウム−酸化チタン及び/又はランタン−ストロンチウム−スカンジウム−酸化マンガンから形成されてもよい。少なくとも1つの電解質層は、特にイットリウムで安定化された酸化ジルコニウム及び/又はスカンジウムで安定化された酸化ジルコニウムから形成されてもよい。少なくとも1つの電解質層は、特に少なくとも1つのアノード層と少なくとも1つのカソード層との間に配置されている。少なくとも1つのカソード層は、それぞれ少なくとも2つの燃料電池のカソードを形成する。ここで、少なくとも2つの燃料電池のカソードは、好ましくは電気的及びイオン的絶縁体によって相互に分離されている。少なくとも1つのアノード層は、それぞれ少なくとも2つの燃料電池のアノードを形成する。この場合、少なくとも2つの燃料電池のアノードは、好ましくは、電気的及びイオン的絶縁体によって相互に分離されている。このようにして、少なくとも2つの燃料電池の好ましい構造を達成することができる。
【0010】
さらに、少なくとも2つの燃料電池は、燃料電池ユニット内部で、第1の燃料電池のカソードが、第2の燃料電池のアノードに少なくとも部分的に重畳するように配置されることが提案される。これにより、燃料電池ユニットの好ましい小型の構造を達成することができる。
【0011】
さらに、相互接続ユニットは、燃料電池ユニットの電解質層内部に配置されることが提案される。特に相互接続ユニットは、第1の燃料電池のカソードを第2の燃料電池のアノードに直列に接続するために設けられている。相互接続ユニットは、特に第1の燃料電池の電解質が特にイオン的に絶縁されるように、第2の燃料電池の電解質から分離されるように、燃料電池ユニットの電解質層内部に配置されている。特に相互接続ユニットは、電解質層の領域に配置されており、そこでは、第1の燃料電池のカソードと第2の燃料電池のアノードとが少なくとも部分的に重畳している。これにより、燃料電池ユニットは、好ましくは大きな電気化学的活性面を実現することができる。
【0012】
さらに、相互接続ユニットの少なくとも1つの第1の層は、少なくとも1つのアノード層の方向に向き、相互接続ユニットの少なくとも1つの第2の層は、少なくとも1つのカソード層の方向に向くことが提案される。これにより、相互接続ユニットの複数の層の有利な配置構成を、特に燃料電池ユニット内部の相互接続ユニット材料の配向に関連して達成することができる。
【0013】
さらに燃料電池装置は、燃料電池ユニットが配置された少なくとも1つの支持体を備えることが提案される。この「支持体」とは、この文脈においては特に、少なくとも1つの燃料電池ユニットを、特に機械的に負荷軽減及び/又は安定化するために設けられた構成要素と理解されたい。このことは特に、好ましくは燃料電池ユニットの薄い構成を可能にする。
【0014】
特に少なくとも1つの電解質層の厚さの低減によって、少なくとも2つの燃料電池の電解質の導電率が有利に改善され、それによって燃料電池の効率が有利に増加し得る。支持体は、特に管状に構成されていてもよい。例えば支持体は、少なくとも1つの管路開口端部において、支持体基板に当該支持体を固定するための1つの特に気密性の固定領域を有し得る。管路の他方の端部に、支持体は、さらなるこの種の固定領域を有することができ、又は、特に気密性のキャップ領域によって封止されてもよい。燃料電池ユニットは、特に好ましくは、少なくとも1つのカソード層が支持体に接するように支持体に配置される。燃料電池ユニットが支持体に接する領域において、支持体は、好ましくはガス透過性に構成され、例えばガス透過性の孔部及び/又は開口部を有している。支持体は、特に1つ以上のセラミック及び/又はガラス質の材料から形成されていてもよい。例えば支持体は、フォルステライト及び/又は酸化ジルコニウム及び/又は酸化アルミニウムから形成されていてもよい。これにより、燃料電池装置の有利な機械的及び/又は熱的安定性を達成することができる。
【0015】
さらに本発明に係る燃料電池装置を製造するための方法が提案される。特に少なくとも1つの方法ステップでは、少なくとも相互接続ユニットと、好ましくは燃料電池ユニット全体とが、スクリーン印刷を用いて製造可能である。特に少なくとも1つのさらなる方法ステップでは、相互接続ユニット及び/又は燃料電池ユニット及び/又は支持体の材料が共焼結され得る。これにより、本発明に係る燃料電池装置の好ましい容易な製造及び/又は安価な製造が達成され得る。
【0016】
本発明に係る燃料電池装置は、上述した適用及び実施形態に限定されるべきではない。特に本発明に係る燃料電池装置は、ここで説明する機能性を満たすために、ここで上述した個々の構成要素、構成部品及びユニットの数とは異なる数も有し得る。
【0017】
さらなる利点は、以下の図面の説明から明らかとなる。図面には、本発明の実施形態が示されている。図面、明細書及び特許請求の範囲は、組合せにおいて多数の特徴を含む。当業者は、これらの特徴を便宜的に個別にも観察し、合理的なさらなる組合せに統合するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】少なくとも2つの燃料電池を含み、2層に形成された相互接続ユニットを用いて相互に直列に接続された燃料電池ユニットを備えた燃料電池装置の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施形態の説明
図1は、ここでは部分的にのみ示された燃料電池装置46の概略的断面図を示す。この燃料電池装置46は、ここでは例示的に2つの直列接続された燃料電池12,14を含む1つの燃料電池ユニット10を備えている。これらの燃料電池12,14は、相互接続ユニット16を介して直列に接続されている。
【0020】
図1に示すように、燃料電池ユニット10は、多層形の層システムの形態で構成されており、ここでは、燃料電池12,14は、実質的に相互に並んで構成されている。また、ここでは、燃料電池ユニット10は、カソード層22、電解質層34及びアノード層28を含んでいる。カソード層22は、ここでは燃料電池12,14のカソード24,26を形成している。アノード層28は、ここでは燃料電池12,14のアノード30,32を形成している。電解質層34は、ここでは燃料電池12,14の電解質36,38を形成している。
【0021】
相互接続ユニット16は、電解質層34の完全に内部に配置されている。特に相互接続ユニット16は、当該相互接続ユニット16を介して、第1の燃料電池12のカソード24が、第2の燃料電池14のアノード32に直列に接続されるように配置されている。ここでは、第1の燃料電池12の電解質36は、相互接続ユニット16により、特にイオン的に絶縁されるように第2の燃料電池14の電解質38から分離されている。
【0022】
図1にはさらに、燃料電池12,14のカソード24,26が、電気的及びイオン的に絶縁される領域42によって相互に分離されることと、燃料電池12,14のアノード30,32が少なくとも1つの電気的及びイオン的に絶縁される領域44によって相互に分離されることが示されている。
図1中に図示する実施形態では、さらに燃料電池12,14のカソード24,26及びアノード30,32が、カソード層22又はアノード層28によって次のように形成されている。即ち、第1の燃料電池12のカソード24が、第2の燃料電池14のアノード32に部分的に重畳するように形成されている。その場合に重畳する領域には、相互接続ユニット16が、電解質層34内に配置されている。しかしながら代替的に、カソードとアノードとの重畳を省くことも可能である。
【0023】
図1には、さらに燃料電池装置46が、支持体40を備えていることが示されている。この支持体40は、例えば1つ以上のセラミック及び/又はガラス質の材料から形成されてもよい。基本的には、支持体40は、管状又はチューブ状に形成された支持体であっても、平坦に形成された支持体であってもよい。それ故、燃料電池装置46は、平面型燃料電池装置として構成されてもよいし、好ましくはチューブ状の燃料電池装置として構成されてもよい。燃料電池ユニット10は、この場合、特に、支持体40の内側又は外側に被着され得るが、但し、好ましくはここに示されているように内側に被着され得る。
図1は、この場合、燃料電池12,14のカソード24,26又は燃料電池ユニット10のカソード層22が、支持体40に接していることを示している。燃料電池12,14のアノード30,32又は燃料電池ユニット10のアノード層28は、開口しているか又は自由にアクセス可能である。支持体40は、燃料電池12,14に接する領域に、ガス透過性の孔部及び/又は開口部を有している。
【0024】
相互接続ユニット16は、2層に形成されている。相互接続ユニット16の第1の層18は、少なくとも実質的にマンガン系ペロブスカイトによって形成されている。このマンガン系ペロブスカイトは、La
1−XSr
xA
yMn
1−yO
3、但し、0.05<x<0.6、0.05<y<0.6、A=スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)又はタンタル(Ta)、の一般化学式を有している。相互接続ユニット16の第2の層20は、少なくとも実質的にニッケル系ペロブスカイトによって形成されている。このニッケル系ペロブスカイトは、LaNi
xFe
1−XO
3、但し、0.05<x<0.6、の一般化学式を有している。相互接続ユニット16のこれらの層18,20は、相互接続ユニット16の第1の層18がアノード層28の方向に向き、相互接続ユニット16の第2の層20が少なくとも1つのカソード層22の方向に向くように配置されている。
【0025】
少なくとも実質的にマンガン系ペロブスカイトによって形成された第1の層18によって、相互接続ユニット16は、特にアノード雰囲気において、十分に高い導電率(850℃で5S/cm)を有する。同時に、この第1の層18は、その下にある、少なくとも実質的にニッケル系ペロブスカイトによって形成された第2の層20を、アノード雰囲気による有害な影響から保護している。この第2の層20は、ニッケル系ペロブスカイトの良好な焼結特性に基づいて、好ましくは気密に構成されており、それによって燃料電池装置46からの燃焼ガスの漏れが有利に回避可能である。相互接続ユニット16の2層構造により、第1の層18のマンガン系ペロブスカイトのプラスの材料特性と、第2の層20のニッケル系ペロブスカイトのプラスの材料特性とが相互に有利に組み合わせられる。