【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の各課題は、各独立請求項のそれぞれの対象によって解決される。本発明の有利な実施形態は、それぞれの従属請求項の対象である。
【0008】
1つの態様によれば、車両の位置特定のための方法において、
・GNSユニットを用いてGNS車両位置を特定するステップと、
・前記車両のレーダセンサシステムを用いて前記GNS車両位置の周囲をセンシングによって把握し、把握された前記周囲に対応するレーダデータを算出するステップと、
・前記レーダデータに基づいて前記周囲に存在する対象物を検出するステップと、
・検出された対象物から前記レーダセンサシステムまで又は別の車両固定の基準点までを指示する方向ベクトルを算出するステップと、
・前記レーダデータと算出された前記方向ベクトルとを、デジタルマップと比較するステップであって、前記デジタルマップは、対象物と、当該対象物に対応付けられた方向ベクトルとを有し、前記対象物に対応付けられた前記方向ベクトルは、前記レーダセンサシステムを用いた当該対象物の検出の起点となった位置を前記デジタルマップ内において指示する、ステップと、
・前記GNS車両位置と前記比較とに基づいて、正しい車両位置を特定するステップと、
を含む方法が提供される。
【0009】
別の1つの態様によれば、車両の位置特定のための装置において、
・GNS車両位置を特定するためのGNSユニットと、
・前記GNS車両位置の周囲をセンシングによって把握し、把握された前記周囲に対応するレーダデータを算出するためのレーダセンサシステムと、
・プロセッサと、を含み、前記プロセッサは、前記レーダデータに基づいて前記周囲に存在する対象物を検出するように、
・かつ検出された対象物から前記レーダセンサシステムまで又は別の車両固定の基準点までを指示する方向ベクトルを算出するように構成されており、
・前記プロセッサはさらに、前記レーダデータと算出された前記方向ベクトルとを、対象物と当該対象物に対応付けられた方向ベクトルとを有するデジタルマップと比較するように構成されており、前記対象物に対応付けられた前記方向ベクトルは、前記レーダセンサシステムを用いた当該対象物の検出の起点となった位置を前記デジタルマップ内において指示し、
・前記プロセッサはさらに、前記GNS車両位置と前記比較とに基づいて、正しい車両位置を特定するように構成されている、
装置が提供される。
【0010】
さらにもう1つの態様によれば、デジタルマップを作成するための方法において、
・GNSユニットを用いて車両のGNS車両位置を特定するステップと、
・前記車両のレーダセンサシステムを用いて前記GNS車両位置の周囲をセンシングによって把握し、把握された前記周囲に対応するレーダデータを算出するステップと、
・前記レーダデータに基づいて、前記周囲に存在する対象物を検出するステップと、
・検出された対象物から前記GNS車両位置までを指示するそれぞれの方向ベクトルを算出するステップと、
・前記レーダデータと算出された前記方向ベクトルとに基づいてデジタルマップを作成し、これによって前記デジタルマップが、検出された対象物と、当該対象物に対応付けられた方向ベクトルとを含むようにするステップと、
を含む方法が提供される。
【0011】
さらにもう1つの態様によれば、デジタルマップを作成するための装置において、
・車両のGNS車両位置を特定するためのGNSユニットと、
・前記GNS車両位置の周囲をセンシングによって把握し、把握された前記周囲に対応するレーダデータを算出するためのレーダセンサシステムと、
・プロセッサと、を含み、前記プロセッサは、前記レーダデータに基づいて前記周囲に存在する対象物を検出するように、
・かつ検出された対象物から前記GNS車両位置までを指示するそれぞれの方向ベクトルを算出するように構成されており、
・前記プロセッサはさらに、前記レーダデータと算出された前記方向ベクトルとに基づいてデジタルマップを作成し、これによって前記デジタルマップが、検出された対象物と、当該対象物に対応付けられた方向ベクトルとを含むこととなるように構成されている、
装置が提供される。
【0012】
さらに別の1つの態様によれば、コンピュータ上で実行された場合に、車両の位置特定のための方法及び/又はデジタルマップを作成するための方法を実施するためのプログラムコードを含む、コンピュータプログラムが提供される。
【0013】
即ち、本発明は特に、車両の位置特定のために、検出された対象物からレーダセンサシステムまで又は別の車両固定の基準点まで(レーダセンサシステムは車両固定の基準点であるが、一般的に別の車両固定の基準点を設けることも可能である)を指示する方向ベクトルを追加的に使用して、この方向ベクトルを、デジタルマップの方向ベクトルと比較するという着想を含み、なお、デジタルマップの方向ベクトルは、デジタルマップの対象物に対応付けられており、これらの方向ベクトルは、マップ作成の枠内におけるレーダセンサを用いた当該対象物の検出の起点となったそれぞれの位置をデジタルマップ内において指示する。算出された方向ベクトルがデジタルマップの方向ベクトルと一致している場合には、基本的に、レーダセンサシステムを用いて検出された対応する対象物が、デジタルマップ内における同一の対象物であるということを前提とすることができる。つまり、これによって、デジタルマップ内における車両の精確な位置特定が可能となる。このことは、特に有利である。なぜなら、GNSユニットのみによる位置特定は、不正確性を有する可能性が十分にあるからである。本発明によれば、場合によって生じ得るこのような不正確性を、方向ベクトルに基づいて補正又は補償することが可能である。明細書の冒頭で挙げた米国特許出願公開第2013/0103298号明細書(US 2013/0103298 A1)は、このような方向ベクトルを開示していない。
【0014】
つまり、方向ベクトルは、特に角度情報を提供する。このような角度情報は、例えば方向ベクトルと車両長手軸線との間の角度に相当する。
【0015】
つまり、本発明の着想は、特にデジタルマップの作成時にさらに追加的にこの角度情報も一緒にデジタルマップに採用するということにある。このことはつまり、検出された対象物に加えてさらに、この検出された対象物がどの場所から又はどの位置からレーダセンサシステムを用いて検出されたのかを表す方向が提示されるということを意味する。というのは、GNS車両位置は、少なくとも測定精度の枠内においてはレーダセンサシステムを用いたレーダ測定の場所に一致するからである。その後、このようなデジタルマップに基づいた位置特定時に、検出された対象物に関する1つ又は複数のこのような方向ベクトルも特定される。算出された方向ベクトルがデジタルマップの方向ベクトルに一致していればいるほど、車両の位置特定の枠内で検出された対象物が、デジタルマップ内における対象物である確率も増加する。車両の位置特定の枠内で算出されたレーダデータに基づくレーダ画像と、同じくレーダデータに基づいているデジタルマップとの間の調整が、これによって簡単に可能となる。
【0016】
“GNS”という略称は、“Global Navigation System(全地球航法システム)”を表しており、例えば複数の衛星の伝播時間の測定に基づいた全地球規模の位置特定システムに対するプレースホルダとして使用すべきである。このことはつまり、GNSユニットとして、例えば、GPSユニット、Galileoユニット、又は、GLONASSユニットを設けることができるということを意味する。つまり、GNSは、Global Navigation Systemを表していて、地上局を介した無線測位も含み、GNSS(Global Navigation Satellite System)の形態では、GPSと同様にGalileoや、好ましくは別の解決方法も含む。
【0017】
1つの実施形態では、どの検出された対象物が静止している対象物であるか、及び、どの検出された対象物が移動する対象物であるかが、前記レーダデータ及び/又は別のセンサ情報に基づいて特定され、前記比較の際に前記移動する対象物が無視される。このステップは、位置特定のための方法にも、デジタルマップを作成するための方法にも同様に当てはまる。この場合における着想は、静止している対象物と移動する対象物とを区別することである。移動する対象物は無視される。好ましくは、移動する対象物は、対応するレーダデータ及び/又は別のセンサデータから除去される。このことはつまり、例えばデジタルマップが、静止している対象物だけを依然として含むということを意味する。このことはつまり、特に車両の位置特定の枠内で算出されたレーダ画像が、静止している対象物だけを依然として含むということを意味する。というのは、もしデジタルマップが移動する対象物も含んでいれば、このデジタルマップは、移動する対象物がその移動性に基づいて当初の位置から離れ得る場合には、もはや必ず精確ではなくなってしまうからである。これにより、デジタルマップと、車両の位置測定の枠内で算出されたレーダ画像との間の調整は、不必要に困難となってしまうであろう。
【0018】
このような別のセンサデータは、例えば周囲センサシステムによって供給され、この周囲センサシステムは、例えば超音波センサ、ライダセンサ、ビデオセンサのような周囲センサのうちの1つ又は複数を有することができる。
【0019】
このことはつまり、1つの実施形態によれば、レーダデータに加えてさらに別のセンサデータが位置特定のために使用されるということを意味する。
【0020】
検出された対象物が静止している対象物であるか又は移動する対象物であるかを区別するために、1つの実施形態によれば、レーダ測定によって検出された対象物に速度が対応付けられる。即ち、好ましくは検出された対象物のそれぞれの速度が検出又は測定される。これによってつまり、有利には、移動する対象物と静止している対象物とを区別することができる。
【0021】
1つの実施形態によれば、速度閾値が設けられており、この速度閾値を上回っている場合には、検出された対象物が移動する対象物として分類され、この速度閾値を下回っている場合には、検出された対象物が静止している対象物として分類される。このような閾値を設けることにより、好ましくはレーダ測定時に場合によって生じ得る測定の不正確性を補償又は考慮することができる。
【0022】
1つの実施形態によれば、前記比較は、前記レーダデータを前記デジタルマップにフィッティングさせることを含む。即ち、有利には、適合又は回帰又は補償計算が実施される。このことはつまり、特に位置特定の枠内で算出されたレーダデータが、デジタルマップのレーダデータに一致させられるということを意味する。この場合、できるだけ最大の一致が実施される。
【0023】
1つの実施形態によれば、前記フィッティングは、反復最近傍点(Iterative Closest Point)アルゴリズム及び/又は粒子ベースのフィッティングアルゴリズムを用いて実施される。上に挙げたアルゴリズムを設けることによって有利には、効率的な補償計算又は効率的なフィッティングをもたらすことができる。
【0024】
1つの実施形態によれば、レーダセンサシステムは、100m乃至250mの検知射程範囲又は検出射程範囲を有し、及び/又は、30°乃至70°の検知視界又は検出視界を有する。
【0025】
本方法の機能は、対応する本装置の機能からも同様にして得られ、その逆もまた同様である。このことはつまり、本方法の特徴が本装置の特徴から得られ、その逆もまた同様であるということを意味する。
【0026】
以下では本発明を、好ましい実施例に基づいてより詳細に説明する。