特許第6516883号(P6516883)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープ株式会社の特許一覧 ▶ トッパン・フォームズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6516883-アンテナデバイス 図000002
  • 特許6516883-アンテナデバイス 図000003
  • 特許6516883-アンテナデバイス 図000004
  • 特許6516883-アンテナデバイス 図000005
  • 特許6516883-アンテナデバイス 図000006
  • 特許6516883-アンテナデバイス 図000007
  • 特許6516883-アンテナデバイス 図000008
  • 特許6516883-アンテナデバイス 図000009
  • 特許6516883-アンテナデバイス 図000010
  • 特許6516883-アンテナデバイス 図000011
  • 特許6516883-アンテナデバイス 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6516883
(24)【登録日】2019年4月26日
(45)【発行日】2019年5月22日
(54)【発明の名称】アンテナデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/24 20060101AFI20190513BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20190513BHJP
   H01Q 7/00 20060101ALI20190513BHJP
   H01Q 21/08 20060101ALI20190513BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20190513BHJP
【FI】
   H01Q1/24 C
   H01Q1/38
   H01Q7/00
   H01Q21/08
   G06K7/10 240
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-563835(P2017-563835)
(86)(22)【出願日】2017年1月27日
(86)【国際出願番号】JP2017002857
(87)【国際公開番号】WO2017131129
(87)【国際公開日】20170803
【審査請求日】2018年7月27日
(31)【優先権主張番号】特願2016-15629(P2016-15629)
(32)【優先日】2016年1月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100112715
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】山岸 慎治
(72)【発明者】
【氏名】杉田 靖博
(72)【発明者】
【氏名】ムジラネザ ジョン
(72)【発明者】
【氏名】大鷲 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】川鍋 吉孝
【審査官】 西村 純
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/143212(WO,A1)
【文献】 特開2012−064123(JP,A)
【文献】 特開2015−097358(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2017768(EP,A1)
【文献】 特開2005−347794(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0016021(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00−25/04
G06K 7/00− 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離無線通信により情報を読み取るアンテナデバイスであって、
平行に並んで設けられた複数のアンテナパターンを有するアンテナ層を備え、
前記複数のアンテナパターンの少なくとも一部が、前記アンテナ層の平面視において互いに重なり合うよう配置され
前記複数のアンテナパターンとその両端において接続するFPC基板をさらに備え、
隣り合うアンテナパターンのアンテナ線が平面視で交差する箇所は、いずれか一方のアンテナ線が、前記FPC基板に形成されたコンタクトホールを介して配線されている、アンテナデバイス。
【請求項2】
前記複数のアンテナパターンの少なくとも一部が、半ピッチずつずらして配置されている、請求項1に記載のアンテナデバイス。
【請求項3】
前記アンテナパターンが、ループ状または2巻以上の螺旋状に形成されている、請求項1または2に記載のアンテナデバイス。
【請求項4】
前記アンテナ層を二層備え、
前記二層のアンテナ層が、それぞれが有する複数のアンテナパターンが並ぶ方向が、互いに直交するよう配置されている、請求項1からのいずれか一項に記載のアンテナデバイス。
【請求項5】
表示パネルをさらに備えた、請求項1からのいずれか一項に記載のアンテナデバイス。
【請求項6】
前記表示パネルと前記アンテナ層との間に光拡散フィルムを設けた、請求項に記載のアンテナデバイス。
【請求項7】
タッチパネルをさらに備えた、請求項5または6に記載のアンテナデバイス。
【請求項8】
前記アンテナ層は、透明金属またはメッシュ状にパターニングされた金属である、請求項1からのいずれか一項に記載のアンテナデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近距離無線通信用のアンテナパターンを備え、近距離無線通信により情報を読み取るアンテナデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電源を含まず無線通信用のアンテナ素子を内蔵したICカード(非接触型ICカード)と、電源を備える通信装置との間において、ICカードと通信装置とを接触させることなく、両者間で近距離通信を行う技術がよく用いられている。例えば、通信装置と非接触型ICカードとの間において、無線通信(近距離通信)を行う場合、通信装置のアンテナ素子と、非接触型ICカードとが所定の距離以下となるように、非接触型ICカードを通信装置に近づける。通信装置は、電源を有しており、通信装置に内蔵されている近距離無線通信用アンテナ素子に給電することで、当該アンテナ素子により磁界が発生する。そして、非接触型ICカードを通信装置に近づけることで、通信装置が発生させた磁界により、非接触型ICカードのアンテナ素子に誘導電流が流れる。これにより、通信装置から非接触型ICカードに電力供給することができる。そして、非接触型ICカードは、誘導電流により発生した起電力を用いて、非接触型ICカード内の回路(例えば、ICチップ)を動作させる。このようにして、非接触型ICカードを通信装置に近づけることで、非接触型ICカードと通信装置との間において、無線通信(近距離通信)を行うことができる。
【0003】
このようなアンテナ素子を表示端末に内蔵させたアンテナデバイスが、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された表示端末では、ICカードで表示領域にタッチ操作を行うと、タッチ操作位置のアンテナコイルを介してICカードリーダライタとデータ送受信をすると共に、タッチ操作位置に対応して、当該表示端末に表示されている表示内容に対応した制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−64123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1等に記載されたような従来のアンテナデバイスでは、ICカードによるタッチ操作が行われるタッチ面に、矩形のコイル状のアンテナを複数配置して、タッチ操作位置の検出を行う。しかしながら、たとえば図11(a)および図11(b)に示すように、ICカード91の中点がアンテナ線92上に位置すると、ICカード91の信号が読み取れないことがある。アンテナ線92から発生する磁界は左右対称の同心円状であるため、アンテナ線92がICカード92の中点を通る場合、左右の磁界がキャンセルし合ってICカード側に起電力が発生せず不感状態となるからである。なお、図11(a)および図11(b)においては、説明を分かり易くするために、1本のアンテナ線がICカードの中点を通る場合を例示したが、コイル状のアンテナの場合は、コイルを形成する複数のアンテナ線の束の中央にICカードの中点が位置する場合に、同様の現象が生じる。そのため、ICカード等によるタッチ操作が行われるタッチ面に必ず不感領域が生じるという課題がある。
【0006】
本発明は、上記の課題を鑑み、複数のアンテナパターンを備えて近距離無線通信により情報の読み取りを行うアンテナデバイスであって、タッチ面に不感領域のないアンテナデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態にかかるアンテナデバイスは、近距離無線通信により情報を読み取るアンテナデバイスであって、平行に並んで設けられた複数のアンテナパターンを有するアンテナ層を備え、前記複数のアンテナパターンの少なくとも一部が、前記アンテナ層の平面視において互いに重なり合うよう配置されている。
【0008】
この構成によれば、複数のアンテナパターンの少なくとも一部が、アンテナ層の平面視において互いに重なり合うよう配置されていることにより、読み取り対象が、一つのアンテナパターンに対して読み取りが不可能な位置にあったとしても、そのアンテナパターンに重なる隣のアンテナパターンによって読み取りを行える可能性が高くなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数のアンテナパターンを備えて近距離無線通信により情報の読み取りを行うアンテナデバイスであって、タッチ面に不感領域のないアンテナデバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施形態におけるアンテナデバイスの概略構成を示す分解斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態にかかるアンテナデバイスをYZ平面に平行な断面で切断した様子を示す断面図である。
図3図3は、第1の実施形態にかかるアンテナデバイスの変形例をYZ平面に平行な断面で切断した様子を示す断面図である。
図4図4は、アンテナ層におけるアンテナパターンの配置を模式的に示す平面模式図である。
図5図5は、アンテナパターンの構成例を示す平面模式図である。
図6図6は、第2の実施形態におけるアンテナデバイスの概略構成を示す分解斜視図である。
図7図7は、第2の実施形態にかかるアンテナデバイスをYZ平面に平行な断面で切断した様子を示す断面図である。
図8図8は、第2の実施形態にかかるアンテナデバイスの変形例をYZ平面に平行な断面で切断した様子を示す断面図である。
図9図9は、第2の実施形態のアンテナ層におけるアンテナパターンの配置を模式的に示す平面模式図である。
図10図10は、アンテナパターンの構成例を示す平面模式図である。
図11図11(a)および図11(b)は、従来のアンテナデバイスにおいてICカードを検出できない状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態にかかるアンテナデバイスは、近距離無線通信により情報を読み取るアンテナデバイスであって、平行に並んで設けられた複数のアンテナパターンを有するアンテナ層を備え、前記複数のアンテナパターンの少なくとも一部が、前記アンテナ層の平面視において互いに重なり合うよう配置された構成である(第1の構成)。
【0012】
この構成によれば、複数のアンテナパターンの少なくとも一部が、アンテナ層の平面視において互いに重なり合うよう配置されていることにより、読み取り対象が、一つのアンテナパターンに対して読み取りが不可能な位置にあったとしても、そのアンテナパターンに重なる隣のアンテナパターンによって読み取りを行える可能性が高くなる。これにより、タッチ面に不感領域のないアンテナデバイスを提供することができる。
【0013】
前記第1の構成において、前記複数のアンテナパターンの少なくとも一部が、半ピッチずつずらして配置されている構成とすることも好ましい(第2の構成)。
【0014】
この構成によれば、複数のアンテナパターンを規則的に効率良く配置することができる。
【0015】
前記第1または第2の構成において、前記第1の方向に交差する第2の方向の両端において前記複数のアンテナパターンと接続するFPC基板をさらに備え、隣り合うアンテナパターンのアンテナ線が平面視で交差する箇所は、いずれか一方のアンテナ線が、前記FPC基板に形成されたコンタクトホールを介して配線された構成とすることも好ましい(第3の構成)。
【0016】
この構成によれば、隣り合うアンテナパターンのアンテナ線を、互いに接触することなく、FPC基板領域で交差させることができる。
【0017】
前記第1から第3のいずれかの構成において、前記アンテナパターンが、ループ状または2巻以上の螺旋状に形成されている構成とすることも好ましい(第4の構成)。
【0018】
前記第1から第4のいずれかの構成において、前記アンテナ層を二層備え、前記二層のアンテナ層が、それぞれが有する複数のアンテナパターンが並ぶ方向が、互いに直交するよう配置された構成とすることも好ましい(第5の構成)。
【0019】
この構成によれば、二層のアンテナ層によって、互いに直交する二方向でそれぞれ読み取りを行うことができるので、読み取り対象の位置のXY座標を検出することが可能となる。
【0020】
前記第1から第5のいずれかの構成において、表示パネルをさらに備えた構成としても良い(第6の構成)。この構成によれば、近距離無線通信機能を有する表示装置を提供することができる。
【0021】
前記第6の構成において、前記表示パネルと前記アンテナ層との間に光拡散フィルムを設けた構成とすることが好ましい(第7の構成)。この構成によれば、表示パネルの画素パターンとアンテナ層のアンテナパターンとの干渉から生じるモワレ等を抑制することができる。
【0022】
前記第6または第7の構成において、タッチパネルをさらに備えた構成としても良い(第8の構成)。この構成によれば、近距離無線通信機能を有するタッチパネル付き表示装置を提供することができる。
【0023】
前記第1から第8のいずれかの構成において、アンテナ層は、透明金属またはメッシュ状にパターニングされた金属を用いて形成することができる(第9の構成)。この第9の構成にかかるアンテナデバイスによれば、特に、表示パネルやタッチパネル等と積層する場合に、アンテナ層による光の遮断を抑制できる。
【0024】
[実施の形態]
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0025】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、タッチパネルとアンテナ素子とを供えた表示装置として構成されたアンテナデバイスである。
【0026】
図1は、第1の実施形態におけるアンテナデバイス1の概略構成を示す分解斜視図である。図1に示すように、アンテナデバイス1は、タッチパネル10と、アンテナ層20と、表示パネル30とを備えている。
【0027】
アンテナデバイス1は、利用者が指やペン等で画面をタッチしたときに、そのタッチ位置をタッチパネル10によって検出し、タッチ位置に表示されているオブジェクトに応じた処理を行う。アンテナ層20は、画面にICカードが近接すると、非接触状態でICカードの情報を読み取って、対応する処理を行う。すなわち、本実施形態にかかるアンテナデバイスは、指やペン等によるタッチ操作による入力と、ICカードを読み取らせることによる入力との両方が可能である。
【0028】
表示パネル30は、例えば液晶パネルである。本実施形態では、表示パネル30を液晶パネルとして説明するが、表示パネル30が液晶パネルに限定されることはなく、有機EL(Electro Luminescence)パネル等、画像を表示する機能を有するパネルであれば任意の表示パネルを使用することができる。なお、図1においては表示パネル30のバックライト等の周知の部材の図示を省略し、かつ、以下においてもその詳細な説明は省略する。
【0029】
タッチパネル10は、第1電極層11と第2電極層12とを備えている。第1電極層11は、絶縁物質からなる基材(例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート))上に形成されたX方向電極パターンExを備える。なお、X方向電極パターンExの数は任意である。X方向電極パターンExは、例えば、ITO等により形成される透明導電パターン(透明電極)である。また、X方向電極パターンExは、金属細線(例えば、銅)のメッシュパターンにより構成されるものであってもよい。このように、X方向電極パターンExを形成することで、X方向電極パターンExにより光が遮断されないことを保証することができる(一定の光の透過性を確保することができる)。
【0030】
第2電極層12は、X方向電極パターンExに直交するY方向に沿って、複数のY方向電極パターンEyを備えている。Y方向電極パターンEyは、X方向電極パターンExと同様の材料で構成される。Y方向電極パターンEyの数も任意である。
【0031】
X方向電極パターンExは、X方向に細長い形状を有する。Y方向電極パターンEyは、Y方向に細長い形状を有する。X方向電極パターンExおよびY方向電極パターンEyのそれぞれは、導線を介して、タッチパネルコントローラ(図示省略)に接続される。タッチパネルコントローラは、X方向電極パターンExを順次駆動するための駆動信号により、順次、X方向電極パターンExに駆動信号を出力する。これにより、X方向電極パターンExとY方向電極パターンEyとの間に電界が発生する。そして、タッチパネルコントローラが、Y方向電極パターンEyからセンス信号を受信し、当該センス信号の信号値を調べることで、タッチパネル面上のタッチ点(電界が変化している部分)を検知することができる。
【0032】
アンテナ層20には、複数のアンテナパターンが形成されている。アンテナ層20におけるアンテナパターンの詳細については、後に説明する。
【0033】
図2は、アンテナデバイス1をYZ平面に平行な断面で切断した様子を示す断面図である。図2に示すように、第1電極層11は、PETフィルム11aの片面にX方向電極パターンExを有している。第2電極層12は、PETフィルム12aの片面にY方向電極パターンEyを有している。なお、図2では、第1電極層11のX方向電極パターンExと第2電極層12のY方向電極パターンEyとが異なるPETフィルムに形成された構成を例示しているが、1枚のPETフィルムの両面に、第1電極層11のX方向電極パターンExと第2電極層12のY方向電極パターンEyとをそれぞれ形成した構成としても良い。
【0034】
アンテナ層20は、PETフィルム22の片面にアンテナパターン21が形成されている。アンテナ層20のY方向の両端には、FPC(Flexible Printed Circuits)基板23が接続されている。
【0035】
表示パネル30とアンテナ層20との間は、OCR(Optically Clear Resin)層46、保護PETフィルム45、およびOCA(Optically Clear Adhesive)層44が設けられている。OCR層46およびOCA層44は、表示パネル30、保護PETフィルム45、およびアンテナ層20との間の隙間を充填すると共に、屈折率を調整する等の機能も有する。
【0036】
あるいは、図3に示すように、図2に示した保護PETフィルム45の代わりに、光拡散フィルム47を備えた構成としても良い。光拡散フィルム47を表示パネル30とアンテナ層20との間に設けることにより、表示パネル30の画素パターンとアンテナ層20のアンテナパターンとの干渉から生じるモワレ等を抑制することができる。
【0037】
タッチパネル10のX方向電極パターンExからは、X方向の片端部から導線(図示せず)が引き出され、Y方向電極パターンEyからは導線12bが引き出され、前述のタッチパネルコントローラ(図示せず)へ接続されている。タッチパネル10の上層には、OCA層42とカバーガラス41とが積層されている。
【0038】
なお、図1図3に示した構成はあくまでも一例であり、必要に応じて、他の任意の構成を追加することができる。また、図1図3に示した構成においては、X方向電極パターンExが形成された第1電極層11が前面側に配置され、第2電極層12は第1電極層11とアンテナ層20との間に配置されているが、第1電極層11と第2電極層12との積層順序がこの逆であっても良い。
【0039】
次に、図4を参照しながら、アンテナ層20におけるアンテナパターン21の配置について説明する。アンテナ層20には、複数のアンテナパターンが、互いに重なるように形成されている。すなわち、図4に示すように、アンテナパターン21a、21b、21c、21d、21e、・・・、21k、21lが、半ピッチずつずらして重なり合うように形成されている。すなわち、アンテナパターン21aとアンテナパターン21cとの間隙の中心線が、アンテナパターン21bの中心線と一致するように配置されている。なお、ここでは12個のアンテナパターンを備えた構成を例示しているが、これに限定されず、アンテナパターンの数は任意である。なお、以下の説明において、アンテナパターン21について個々のアンテナパターンを区別する必要がない場合は、アンテナパターン21と総称する。
【0040】
図4に示したアンテナパターン21a、21b・・・を現す矩形は、個々のアンテナコイルが配置されている領域を模式的に示したものであり、実際のアンテナ線の形状を図示したものではない。実際のアンテナコイルは、これらの領域のそれぞれに、ループ状または2巻き以上の螺旋状のアンテナコイルとして配置される。アンテナコイルは、透明金属をパターニングして形成することができる。あるいは、例えば、アンテナ層20の全体に敷き詰められたメタルメッシュを適宜のパターンに切り欠くことにより、アンテナコイルを形成することができる。また、画素領域内でアンテナ線が必要でない領域にもメタルメッシュを残しておく(電気的にはフロート状態とする)ことにより、アンテナパターンを視認されにくくすることができる。
【0041】
図5は、アンテナパターン21の一例を示す平面模式図である。なお、図5においては、アンテナパターン21a〜21gまでを図示し、他のアンテナパターンの図示を省略している。図5に示すように、アンテナパターン21a〜21gは、半ピッチずつずらして重なり合うように形成されている。例えば、アンテナパターン21aとアンテナパターン21cとの間隙の中心線が、アンテナパターン21bの中心線と一致するように配置されている。
【0042】
アンテナパターン21の各々は、前述したように、ループ状または2巻き以上の螺旋状のアンテナコイルとして形成される。図4に示す画素領域DPにおいては、アンテナ線はY方向に沿って直線状に形成される。つまり、画素領域DPでは、いずれのアンテナ線も、隣り合うアンテナ線とは交差せず、Y方向に平行に配置されている。
【0043】
一方、FPC基板23上に到達したアンテナ線は、X方向に沿うように延伸する。そして、FPC基板23上で、隣り合うアンテナパターンのアンテナ線同士が平面視において交差する部分においては、どちらかのアンテナパターンがFPC基板23に形成されたコンタクトホールを経由してFPC基板23の別層に配線される。これにより、隣り合うアンテナパターンのアンテナ線をFPC基板領域で交差させることができる。
【0044】
アンテナパターン21においてX方向に延伸する部分は、画素領域DPではなくFPC基板23上に配置されていることが好ましい。この構成によれば、画素領域DPにおいては、アンテナ線はすべてY方向に平行に配置されているので、アンテナ線が視認されにくくなる。
【0045】
アンテナパターン21は、FPC基板23を介して、アンテナコントローラ(図示せず)に接続されている。アンテナコントローラは、アンテナパターン21a、21b、21c、21d、21e、・・・、21k、21lに対して、駆動信号を順次印加する。例えば、NFC(Near Field Communication)カードを検出する場合には、13.56メガヘルツの正弦波で駆動する。
【0046】
本実施形態の構成によれば、隣接するアンテナパターン同士が重なりあっているため、仮に、アンテナパターン21a、21b、21c、21d、21e、・・・、21k、21lのうちの一つのアンテナパターンのアンテナ線上にICカードの中点が位置するようにICカードがタッチされたとしても、そのアンテナパターンの隣のアンテナパターンによって当該ICカードを検出できる。
【0047】
なお、アンテナパターン21の駆動方法として、前述のようにすべてのアンテナパターンを順次駆動する方法の他に、離れた位置にある2つのアンテナパターンを同時に駆動するようにしても良い。例えば、アンテナパターン21aと21dとを同時に駆動し、続いて、アンテナパターン21bと21e、アンテナパターン21cと21f、アンテナパターン21dと21g、アンテナパターン21eと21h、アンテナパターン21fと21i、アンテナパターン21gと21j、アンテナパターン21hと21k、アンテナパターン21iと21lを所定の周期で順次駆動する。このような駆動方法によっても、隣接するアンテナパターンが順次駆動されるので、一つのアンテナパターンで検出できなかったICカードを隣のアンテナパターンで検出することが可能となる。
【0048】
以上のように、本実施形態にかかるアンテナデバイス1によれば、アンテナパターン21がアンテナ層20の平面視において互いに重なり合うよう配置されていることにより、一つのアンテナパターンで検出できない位置にあるICカードを、隣のアンテナパターンで検出することが可能となる。よって、表示領域内全域にわたって不感領域が生じないデバイスを実現でき、ユーザビリティを向上させることができる。また、アンテナ層20は一層の配線層であるため、低コストで製造することができる。
【0049】
なお、本実施形態においては、アンテナパターン21においてすべてのアンテナパターンが半ピッチずつずらして重なり合うよう配置された例を示したが、アンテナパターン21の配置はこれに限定されない。つまり、複数のアンテナパターンのうち少なくとも一部のアンテナパターンが、隣のアンテナパターンに重なるように構成されていれば良く、その間隔も半ピッチに限定されない。
【0050】
[第2の実施形態]
以下、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、タッチパネルとアンテナ素子とを供えた表示装置として構成されたアンテナデバイスである。
【0051】
図6は、第2の実施形態におけるアンテナデバイス2の概略構成を示す分解斜視図である。図2に示すように、アンテナデバイス2は、第1の実施形態で説明したアンテナ層20に加えて、もう一つのアンテナ層50を備えている点において、第1の実施形態にかかるアンテナデバイス1と異なる。
【0052】
アンテナ層20は、X方向におけるICカードの位置を検出できるように、X方向に沿って並ぶ複数のアンテナパターン21を有している。それに対して、アンテナ層50は、Y方向におけるICカードの位置を検出できるように、Y方向に沿って並ぶ複数のアンテナパターン51を備えている。アンテナ層50は、X方向両端において、FPC基板52に接続されている。このように、二層のアンテナ層を備えたことにより、本実施形態にかかるアンテナデバイス2では、ICカードが画素領域DPにタッチされたときに、タッチ位置のXY座標を検出することができる。
【0053】
図7は、アンテナデバイス2をYZ平面に平行な断面で切断した様子を示す断面図である。図7に示すように、アンテナデバイス2は、アンテナ層20とタッチパネル10との間に、アンテナ層50を備えている。アンテナ層50は、PETフィルム52の片面にアンテナパターン51を有している。
【0054】
なお、図7に示した例では、アンテナ層20のアンテナパターン21とアンテナ層50のアンテナパターン51とが異なるPETフィルムに形成された構成を例示しているが、1枚のPETフィルムの両面に、アンテナ層20のアンテナパターン21とアンテナ層50のアンテナパターン51とをそれぞれ形成した構成としても良い。
【0055】
また、図7においては、アンテナ層20とタッチパネル10との間にアンテナ層50が配置された構成を例示したが、アンテナ層20とアンテナ層50の位置が逆であっても良い。
【0056】
また、図8に示すように、図7に示した保護PETフィルム45の代わりに、光拡散フィルム47を備えた構成としても良い。光拡散フィルム47を表示パネル30とアンテナ層20との間に設けることにより、表示パネル30の画素パターンとアンテナ層20およびアンテナ層50のアンテナパターンとの干渉から生じるモワレ等を抑制することができる。
【0057】
図9に示すように、アンテナ層50のアンテナパターン51も、アンテナ層20のアンテナパターン21と同様に、半ピッチずつずらして、隣接するアンテナパターンに重なるように配置されている。なお、ここでは、12個のアンテナパターン51a、51b、・・・51lを備えた構成を例示しているが、これに限定されず、アンテナ層50のアンテナパターンの数は任意である。なお、以下の説明において、アンテナパターン51について個々のアンテナパターンを区別する必要がない場合は、アンテナパターン51と総称する。
【0058】
図9に示したアンテナパターン51a、51b・・・を現す矩形は、個々のアンテナコイルが配置されている領域を模式的に示したものであり、実際のアンテナ線の形状を図示したものではない。実際のアンテナコイルは、これらの領域のそれぞれに、ループ状または2巻き以上の螺旋状のアンテナコイルとして配置される。アンテナコイルは、透明金属をパターニングして形成することができる。あるいは、例えば、アンテナ層50の全体に敷き詰められたメタルメッシュを適宜のパターンに切り欠くことにより、アンテナコイルを形成することができる。また、画素領域内でアンテナ線が必要でない領域にもメタルメッシュを残しておく(電気的にはフロート状態とする)ことにより、アンテナパターンを視認されにくくすることができる。
【0059】
図10は、アンテナパターン51の一例を示す平面模式図である。なお、図10においては、アンテナパターン51a〜51eまでを図示し、他のアンテナパターンの図示を省略している。図10に示すように、アンテナパターン51a〜51eは、半ピッチずつずらして重なり合うように形成されている。例えば、アンテナパターン51aとアンテナパターン51cとの間隙の中心線が、アンテナパターン51bの中心線と一致するように配置されている。
【0060】
アンテナパターン51の各々は、前述したように、ループ状または2巻き以上の螺旋状のアンテナコイルとして形成される。画素領域DPにおいては、アンテナ線はX方向に沿って直線状に形成される。つまり、画素領域DPでは、アンテナパターン51のいずれのアンテナ線も、隣り合うアンテナ線とは交差せず、X方向に平行に配置されている。
【0061】
一方、FPC基板53上に到達したアンテナ線は、Y方向に沿うように延伸する。そして、FPC基板53上で、隣り合うアンテナパターンのアンテナ線同士が平面視において交差する部分においては、どちらかのアンテナパターンがFPC基板53に形成されたコンタクトホールを経由してFPC基板53の別層に配線される。これにより、隣り合うアンテナパターンのアンテナ線をFPC基板領域で交差させることができる。
【0062】
アンテナパターン51においてY方向に延伸する部分は、画素領域DPではなくFPC基板53上に配置されていることが好ましい。この構成によれば、画素領域DPにおいては、アンテナ線はすべてX方向に平行に配置されているので、アンテナ線が視認されにくくなる。
【0063】
なお、アンテナ層50のアンテナパターン51の駆動方法は、アンテナパターン21の駆動方法と同様である。すなわち、タッチパネルコントローラは、アンテナパターン51a、51b、51c、51d、51e、・・・、51k、51lに対して、駆動信号を順次印加する。あるいは、このようにアンテナパターン51のすべてを順次駆動する方法の他に、離れた位置にある2つのアンテナパターンを同時に駆動するようにしても良い。例えば、アンテナパターン51aと51dとを同時に駆動し、続いて、アンテナパターン51bと51e、アンテナパターン51cと51f、アンテナパターン51dと51g、アンテナパターン51eと51h、アンテナパターン51fと51i、アンテナパターン51gと51j、アンテナパターン51hと51k、アンテナパターン51iと51lを所定の周期で順次駆動しても良い。これらの駆動方法によれば、隣接するアンテナパターンが連続して駆動されるので、一つのアンテナパターンで検出できなかったICカードを隣のアンテナパターンで検出することが可能となる。
【0064】
以上のように、第2の実施形態にかかるアンテナデバイスによれば、アンテナ層20でICカードのX座標を、アンテナ層50でICカードのY座標を、それぞれ精度良く検出することが可能となる。また、アンテナ層20およびアンテナ層50は一層の配線層であるため、低コストで製造することができる。
【0065】
なお、本実施形態においても、アンテナパターン21および51においてすべてのアンテナパターンが半ピッチずつずらして重なり合うよう配置された例を示したが、アンテナパターン21および51の配置はこれに限定されない。つまり、複数のアンテナパターンのうち少なくとも一部のアンテナパターンが、隣のアンテナパターンに重なるように構成されていれば良く、その間隔も半ピッチに限定されない。
【0066】
以上、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0067】
例えば、上述した第1および第2の実施形態では、本発明によるアンテナデバイスをタッチパネル付き表示装置として構成する例について説明した。しかし、タッチパネルおよび表示装置は必須ではなく、単にICカードを近接させてその情報を読み取るだけのICカードリーダとしても実施が可能である。また、タッチパネルを備える場合であっても、タッチパネルの構成はここに開示したものに限定されず、任意の構成のタッチパネル(例えば光学式や抵抗膜方式のタッチパネル)を採用することができる。
【0068】
また、上記の説明においては、近距離無線通信により情報を読み取る対象の例として、ICカードやNFCカードを例示したが、読み取り対象はカードに限定されず、様々な態様を採用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1…アンテナデバイス、2…アンテナデバイス、10…タッチパネル、11…第1電極層、12…第2電極層、20…アンテナ層、21…アンテナパターン、23…FPC基板、30…表示パネル、50…アンテナ層、51…アンテナパターン、53…FPC基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11