特許第6516961号(P6516961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6516961-毛髪の再成形用繊維シート 図000009
  • 特許6516961-毛髪の再成形用繊維シート 図000010
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6516961
(24)【登録日】2019年4月26日
(45)【発行日】2019年5月22日
(54)【発明の名称】毛髪の再成形用繊維シート
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20190513BHJP
   A61Q 5/04 20060101ALI20190513BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20190513BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20190513BHJP
   A61K 8/85 20060101ALI20190513BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20190513BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20190513BHJP
   D06M 13/342 20060101ALI20190513BHJP
   D06M 13/252 20060101ALI20190513BHJP
   D06M 101/04 20060101ALN20190513BHJP
   D06M 101/06 20060101ALN20190513BHJP
   D06M 101/18 20060101ALN20190513BHJP
   D06M 101/32 20060101ALN20190513BHJP
   D06M 101/34 20060101ALN20190513BHJP
【FI】
   A61K8/02
   A61Q5/04
   A61K8/73
   A61K8/81
   A61K8/85
   A61K8/46
   A61K8/44
   D06M13/342
   D06M13/252
   D06M101:04
   D06M101:06
   D06M101:18
   D06M101:32
   D06M101:34
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-266586(P2013-266586)
(22)【出願日】2013年12月25日
(65)【公開番号】特開2015-120673(P2015-120673A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2016年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】道辻 知剛
(72)【発明者】
【氏名】大方 寛之
(72)【発明者】
【氏名】武内 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】森田 健一
【審査官】 ▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】 特表平10−501798(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/004834(WO,A1)
【文献】 米国特許第04632132(US,A)
【文献】 特表2000−501406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
A61K 9/70
Mintel GNPD
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の親水性繊維と、
少なくとも1種の疎水性繊維と
を含む毛髪の再成形用繊維シートであって、
前記疎水性繊維の量が、前記親水性繊維及び前記疎水性繊維の総質量に対して50質量%より多く、
還元剤から成る群から選択される少なくとも1種の毛髪の再成形剤を含む組成物を含浸している
繊維シート。
【請求項2】
前記親水性繊維が、レーヨン、綿、パルプ及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の繊維シート。
【請求項3】
前記疎水性繊維が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の繊維シート。
【請求項4】
前記疎水性繊維の量が、前記親水性繊維及び前記疎水性繊維の総質量に対して、51質量%〜70質量%を占める、請求項1から3のいずれか一項に記載の繊維シート。
【請求項5】
前記親水性繊維の量が、前記親水性繊維及び前記疎水性繊維の総質量に対して、30質量%〜49質量%を占めて完成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の繊維シート。
【請求項6】
不織シートの形態である、請求項1から5のいずれか一項に記載の繊維シート。
【請求項7】
前記繊維シートの単位質量が、40g/m2以上である、請求項1から6のいずれか一項に記載の繊維シート。
【請求項8】
基材シートと、
請求項1から7のいずれか一項に記載の繊維シートと
を含むラミネートシート。
【請求項9】
前記基材シートがプラスチックフィルムから作製される、請求項8に記載のラミネートシート。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか一項に記載の繊維シートを含む密封パッケージ。
【請求項11】
毛髪を再成形するための、請求項1から7のいずれか一項に記載の繊維シート又は請求項8に記載のラミネートシートの使用。
【請求項12】
毛髪を巻きつける工程又はウェーブをかける工程を含む、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
(A)少なくとも1種の親水性繊維と少なくとも1種の疎水性繊維とを含み、前記疎水性繊維の量が、前記親水性繊維及び前記疎水性繊維の総質量に対して50質量%より多い毛髪の再成形用繊維シート、及び
(B)還元剤から成る群から選択される、少なくとも1種の毛髪の再成形剤を含む組成物
を含む毛髪用美容キット。
【請求項14】
(1)- 含浸させていない第1のシート、
- 還元剤を含む第1の組成物、及び
- 酸化剤を含む第2の組成物、を含むキットであって、
- 含浸させていない第2のシートを含む又は含まない、キット、
(2)- 還元剤を含む第1の組成物を含浸させた第1のシート、及び
- 酸化剤を含む第2の組成物を含浸させた第2のシート
を含むキット、又は
(3)- 還元剤を含む第1の組成物を含浸させた第1のシート、及び
- 酸化剤を含む第2の組成物、を含むキットであって
- 含浸させていない第2のシートを含む又は含まない、キッ
らなる群から選択される、請求項13に記載の美容キット。
【請求項15】
還元剤から成る群から選択される毛髪の再成形剤の存在下で、毛髪を、少なくとも1種の親水性繊維と少なくとも1種の疎水性繊維とを含み、前記疎水性繊維の量が、前記親水性繊維及び前記疎水性繊維の総質量に対して50質量%より多い、請求項1から7及び10のいずれか一項に記載の繊維シート又は請求項8もしくは9に記載のラミネートシートで包む工程を含む、毛髪の再成形方法。
【請求項16】
(i)毛髪をパーマロッドに巻きつける工程と、
(ii)還元剤から成る群から選択される毛髪の再成形剤の存在下で、前記巻きつけた毛髪を、請求項1から7及び10のいずれか一項に記載の繊維シート又は請求項8もしくは9に記載のラミネートシートで包む工程とを含む方法であって、
(iii)前記繊維シートが固定器具と前記毛髪との間に位置するように、前記巻きつけた毛髪を前記固定器具で固定する工程を含む又は含まない、かつ
(iv)少なくとも1種のオキシダイザーを含む組成物を前記毛髪に施用する工程を含む又は含まない、請求項15に記載の毛髪の再成形方法。
【請求項17】
(i)還元剤から成る群から選択される毛髪の再成形剤の存在下で、毛髪及び請求項1から7及び10のいずれか一項に記載の繊維シート又は請求項8もしくは9に記載のラミネートシートをパーマロッドに巻きつける工程を含む方法であって、
(ii)前記毛髪を固定器具で固定する工程を含む又は含まない、かつ
(iii)少なくとも1種のオキシダイザーを含む組成物を前記毛髪に施用する工程を含む又は含まない、請求項15に記載の毛髪の再成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の親水性繊維と少なくとも1種の疎水性繊維とを含む、毛髪の再成形用繊維シートに関する。本発明は、特に、少なくとも1種の親水性繊維と少なくとも1種の疎水性繊維とを含み、少なくとも1種の毛髪の再成形剤を含む組成物を含浸させた繊維シートであって、毛髪に良好な再成形性能をもたらし、毛髪の再成形方法の実施中に滴る還元剤を減少させる繊維シートに関する。本発明は、該繊維シートを使用することによって毛髪を再成形する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチン繊維のウェーブ又は変形等のパーマネント再成形を得る一般的な方法は、好適な還元剤を含む組成物でケラチンのジスルフィド結合を開裂し、好ましくはその後毛髪をすすぐ第1の工程と、予めパーマロッド若しくはその等価物で張力下に置いておいた毛髪、又は他の手段でストレートにしておいた毛髪に、固定剤とも呼ばれる酸化剤を施用することによって前記ジスルフィド結合を再形成させて、毛髪に所望の形態を与える第2の工程とを含む。この方法は、毛髪のウェーブかけ、カール除去、ストレート化又は縮毛矯正に関する。
【0003】
上記の毛髪のパーマネント再成形方法、例えば毛髪のパーマネントウェーブの第1の工程において、プロの美容師は、通常、毛髪をパーマロッドで巻く等、毛髪を張力下に置いた後に、還元剤を毛髪に直接施用する。一般に、還元剤はアルカリ剤を含み、その形態は、通例、液体、ゲル又は低粘度のクリームである。しかし還元剤は、その低粘度のため、毛髪に施用されている間、頭皮に滴りやすい。したがって、還元剤を施用すると、不快感及び頭皮の刺激を引き起こすことが多い。その上、このような頭皮の不快感及び刺激のため、同じ日に毛髪の着色を行うことは困難である。更に、場合によっては、頭皮の刺激のため、敏感肌又はアレルギーの人は還元剤を全く使用することができない。したがって、当技術分野において、作用剤を施用する間の頭皮への作用剤の滴り及び頭皮の刺激を防止する必要がある。
【0004】
頭皮への還元剤の滴り並びに不快感及び刺激を防止するため、繊維シートで還元剤を施用する方法が提案されている。
【0005】
WO95/33438は、毛髪又は皮膚に化粧料として作用する作用剤、例えばパーマネントウェーブ用還元剤としてのチオグリコール酸を含有する、皮膚又は毛髪のケア用繊維シートを開示している。この繊維シートは、化粧料として作用する物質を吸収することができ、吸収された物質は、アミノ基を含有する。ポリケイ酸を含有するセルロース系(親水性)繊維、好ましくはビスコース繊維が繊維材料として使用され、活性剤は、ポリケイ酸によって材料に結合する。WO95/33438は、毛髪のパーマネントウェーブ形成用の、親水性不織繊維シートの使用も開示している。この繊維シートは、パーマロッドに巻きつけた毛髪を包むために使用される。しかし、WO95/33438に開示されている方法では、繊維シートでの毛髪のパーマネントウェーブによるウェーブ性能が、パーマネントウェーブ剤を毛髪に直接施用する方法によるウェーブ性能より劣るという問題が生じる。
【0006】
DE4129769は、毛髪のパーマネントウェーブの還元工程用の水性ケラチン柔軟剤を含浸させた繊維材料を開示している。この材料は、所々を疎水性とすることができ、且つ/又は多種多様な厚さに作ることができ、ウェーブをかけようとする毛髪に巻きつけられる。この材料は、好ましくは1又は複数の紙、フリース及び布地(天然繊維及び/又は合成繊維)である。DE4129769は、毛髪のパーマネントウェーブ用の刺激性化学物質と頭皮の接触を回避するためのこの材料の使用も開示し、保護クリーム又はパッド片を不要にしている。DE4129769は、毛髪のウェーブ方法において、毛髪のパーマネントウェーブ剤を毛髪に施用するための不織繊維シートの使用を教示している。しかし、DE4129769に開示されている方法では、繊維シートでのパーマネントウェーブによるウェーブ性能は、パーマネントウェーブ剤を毛髪に直接施用する方法によるウェーブ性能より劣るという問題がやはり生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO95/33438
【特許文献2】DE4129769
【特許文献3】欧州特許出願第0354835号
【特許文献4】欧州特許出願第0368763号
【特許文献5】欧州特許出願第0432000号
【特許文献6】欧州特許出願第0514282号
【特許文献7】仏国特許出願第2679448号
【特許文献8】FR-A-2814948
【特許文献9】FR-A-2870119
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的の1つは、少なくとも1種の毛髪の再成形剤を含む組成物を含浸させた繊維シートを使用することにより、ウェーブかけ等の毛髪の再成形方法において、不快感及び皮膚の刺激を引き起こす、頭皮への毛髪の再成形剤の滴りを減少させ、同時に、良好な毛髪の再成形性能を実現することである。
【0009】
別の目的は、毛髪の再成形方法の実施前に組成物がシートに含浸しているため、作用剤を毛髪に施用するのにかかる時間を省略することによって、毛髪の再成形方法の作業時間をより短くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の本発明の目的は、
少なくとも1種の親水性繊維と、
少なくとも1種の疎水性繊維と
を含む繊維シートであって、
疎水性繊維の量が、親水性繊維及び疎水性繊維の総質量に対して50質量%より多く、
該繊維シートが少なくとも1種の毛髪の再成形剤を含む組成物を含浸している繊維シートを、毛髪の再成形方法において使用することによって実現することができる。
【0011】
本発明は、
基材シートと、
本発明による繊維シートと
を含むラミネートシートにも関する。
【0012】
本発明の繊維シートは、密封パッケージ中に含まれてもよい。
【0013】
本発明は、上記の繊維シートの、毛髪の再成形のための使用にも関する。
【0014】
本発明は、
(A)少なくとも1種の親水性繊維と少なくとも1種の疎水性繊維とを含み、疎水性繊維の量が、親水性繊維及び疎水性繊維の総質量に対して50質量%より多い繊維シート、及び
(B)少なくとも1種の毛髪の再成形剤を含む組成物
を含む毛髪用美容キットにも関する。
【0015】
本発明は、毛髪の再成形剤の存在下で、毛髪を、少なくとも1種の親水性繊維と少なくとも1種の疎水性繊維とを含み、疎水性繊維の量が、親水性繊維及び疎水性繊維の総質量に対して50質量%より多い繊維シートで包む工程を含む、毛髪の再成形方法に更に関する。
【0016】
本発明によれば、毛髪の再成形方法は、
(i)毛髪をパーマロッドに巻きつける工程と、
(ii)巻きつけた毛髪を繊維シートで包む工程と、
(iii)場合により、繊維シートが固定器具と毛髪との間に位置するように、巻きつけた毛髪を固定器具で固定する工程と、
(iv)場合により、少なくとも1種のオキシダイザー(oxidizer)を含む組成物を毛髪に施用する工程と
を含んでもよい。
【0017】
本発明によれば、毛髪の再成形方法は、
(i)毛髪及び繊維シートをパーマロッドに巻きつける工程と、
(ii)場合により、毛髪を固定器具で固定する工程と、
(iii)場合により、少なくとも1種のオキシダイザーを含む組成物を毛髪に施用する工程と
を更に含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】パーマロッドに巻きつけられ、繊維シートで包まれた毛髪の断面図である。
図2】繊維シートと一緒にパーマロッドに巻きつけられた毛髪の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明者らは、入念な研究の結果、少なくとも1種の毛髪の再成形剤を含む組成物を含浸させた上記の繊維シートを施用することにより、毛髪の再成形方法において、不快感及び皮膚の刺激を引き起こす、頭皮への毛髪の再成形剤の滴りを減少させ、同時に、良好な毛髪の再成形性能を実現することが可能であることを発見した。
【0020】
本発明によれば、該繊維シートは、液状の作用剤の保持能力と作用剤の放出能力とのバランスが良好で、このため、毛髪に、毛髪の再成形剤を効果的に付与する。したがって、十分な量の毛髪の再成形剤を繊維シートに保持し、毛髪の再成形方法の第1の工程の間に毛髪に送達することができる。その結果、良好な毛髪の再成形性能を実現することができる。
【0021】
したがって、本発明の繊維シートは、
毛髪の再成形剤等の親水性作用剤を十分に保持することができる少なくとも1種の親水性繊維と、
親水性作用剤を繊維シートから毛髪に効果的に放出することができる少なくとも1種の疎水性繊維と
を含む。
【0022】
以下に、本発明による繊維シート、及び該繊維シートでの毛髪の再成形方法をより詳細に説明することにする。
【0023】
[繊維の親水性/疎水性]
本発明によれば、繊維シートは、少なくとも1種の親水性繊維と少なくとも1種の疎水性繊維とを含む。
【0024】
本明細書において「親水性の」という用語は、水に対する親和性、水と相互作用する傾向、又は水を容易に吸収する能力若しくは水に容易に溶解する能力を有すると定義される。
【0025】
繊維工業の分野において、繊維の親水性/疎水性は、一般に、材料と液体(即ち水)との間の接触角の値で定義される。材料の接触角は接触角計で計測することができる。計測される材料は、繊維の形態でもシートの形態でもよい。
【0026】
親水性繊維の表面エネルギーは相対的に高く、このため水の接触角が小さく(ゼロに近い)、水は親水性繊維の表面に広がる傾向がある。接触角が90°未満の繊維は親水性であると定義することができる。繊維の表面エネルギーが特に高く、接触角が小さくほとんどゼロに等しい場合、その繊維は超親水性である。一方、疎水性繊維の表面エネルギーは低く、このため水の接触角が約90°〜約180°の範囲と高い。繊維の表面エネルギーが特に低く、水との接触角が非常に高く、例えば150°より大きい場合、その繊維は超疎水性である。
【0027】
[親水性繊維]
親水性繊維は、一般に、ヒドロキシル基等の親水性基を有する分子から構成され、このため、親水性繊維の表面に、毛髪用還元剤等の親水性作用剤を吸収し、保持することができる。
【0028】
親水性繊維の直径は0.05μm〜50μmとすることができる。親水性繊維の直径は繊維の種類によって変わる。本発明において、親水性繊維の直径は、以下に限定はしないが、実質的に、0.5μmより大きく50μmまで、とりわけ1μmより大きく40μmまで、好ましくは3μmより大きく30μmまで、より好ましくは10μmより大きく20μmまでである。
【0029】
本発明の親水性繊維は、天然繊維又は合成繊維とすることができる。好ましくは、本発明の親水性繊維は、綿、パルプ、羊毛、絹、亜麻、レーヨン、キュプラ、アセテート、ビニロン、スパンナイロン、セルロースアセテート等の化学修飾又は架橋セルロース繊維、親水性をもたせた疎水性繊維及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0030】
最も好ましくは、本発明の親水性繊維は、レーヨン、綿、パルプ及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0031】
[疎水性繊維]
疎水性繊維は、一般に、親水性基をもたない分子から構成され、このため、親水性作用剤を表面から効率的に放出することができる。
【0032】
疎水性繊維の直径は0.05μm〜50μmとすることができる。疎水性繊維の直径は繊維の種類によって変わる。本発明において、疎水性繊維の直径は、以下に限定はしないが、実質的に、0.5μmより大きく50μmまで、とりわけ1μmより大きく40μmまで、好ましくは3μmより大きく30μmまで、より好ましくは10μmより大きく20μmまでである。
【0033】
本発明の疎水性繊維は、合成繊維又は疎水性に改変した天然繊維とすることができる。好ましくは、本発明の疎水性繊維は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエステル、アクリル繊維、メタクリル繊維、ポリ塩化ビニル、ビニリデン、ポリクラール、ポリ乳酸、ポリウレタン及び疎水性をもたせた親水性繊維、並びにこれらの組合せからなる群から選択される。
【0034】
最も好ましくは、本発明の疎水性繊維は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0035】
[繊維シート]
本発明の繊維シートは、少なくとも1種の親水性繊維と少なくとも1種の疎水性繊維とを含む。
【0036】
本発明において、繊維シートが、親水性繊維及び疎水性繊維の総質量に対して50質量%より多い親水性繊維を含む場合、その繊維シートを「親水性」であると定義する。一方、繊維シートが、親水性繊維及び疎水性繊維の総質量に対して50質量%より多い疎水性繊維を含む場合、その繊維シートを「疎水性」であると定義する。
【0037】
本発明の疎水性繊維の量は、親水性繊維及び疎水性繊維の総質量に対して50質量%より多く、好ましくは51質量%〜70質量%、より好ましくは55質量%〜65質量%を占める。
【0038】
本発明の親水性繊維の量は、親水性繊維及び疎水性繊維の総質量に対して50質量%未満であり、好ましくは30質量%〜49質量%、より好ましくは35質量%〜45質量%を占める。
【0039】
[不織繊維シート]
本発明の繊維シートは不織布でも織布でもよい。好ましくは、本発明の繊維シートは不織布である。
【0040】
不織繊維シートは、繊維の配向が一方向性又は多方向性である、多孔性の布地様のシート、ウェブ又はパッドとすることができる。
【0041】
繊維シート用の繊維の長さ及び直径は限定されない。長繊維、短繊維及びこれらの組合せが、繊維シートを製造するために使用される。
【0042】
長繊維で作製された不織繊維シートは、繊維シートが水に暴露された場合、高強度を維持することができる場合がある。長繊維は、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、キュプラ等から作製することができる。
【0043】
短繊維で作製された不織繊維シートは、複数の繊維と容易に組み合わすことができる。短繊維の長さは1〜250mmである。短繊維は、レーヨン、綿、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアクリレート又はこれらの組合せから作製することができる。
【0044】
不織繊維シートは、織ったり編んだりせず、繊維を化学的に接着、機械的に交絡若しくは圧縮、又はこれらを組み合わすことによって製造することができる。不織繊維シートは、(i)フリースの形成工程及び(ii)繊維の接着工程を含み、場合により、染色工程、ラミネート工程及び/又はコーティング工程等の改変工程を更に含む方法によって製造することができる。したがって、この方法は繊維を糸にする必要がない。
【0045】
フリースの形成工程は、当業者に公知の種々の手順、例えば、乾式(カーディング)、湿式、スパンボンド、メルトブローン及びエアレイド等を含む方法によって、繊維を層にする工程である。
【0046】
接着工程は、上記のフリースの繊維を化学的に接着、機械的に交絡、圧縮、又はこれらの組合せとすることができる。接着工程の方法は、種々の手順、例えば、化学的接着、熱的接着、ニードルパンチ及びスパンレースを含むこともできる。
【0047】
本発明において、不織繊維シートは、上記の任意の手順の組合せによって製造することができる。
【0048】
繊維シートの単位質量及び厚さは、(ii)接着工程において調節することができる。
【0049】
本発明の繊維シートの単位質量は、40g/m2以上、好ましくは45g/m2〜80g/m2の間とすることができる。
【0050】
本発明の繊維シートの厚さは、0.05mm〜10mm、好ましくは0.5mm〜4mm、より好ましくは1mm〜2.5mmとすることができる。
【0051】
本発明において、繊維シートは、以下に限定はしないが、直径が0.1μmより大きく40μmまで、好ましくは0.3μmより大きく30μmまで、より好ましくは10μmより大きく20μmまでの繊維とすることができる。
【0052】
本発明において、繊維シートは、パーマネントウェーブ等の毛髪の再成形用に使用される。本発明の繊維シートは、少なくとも1種の親水性繊維と少なくとも1種の疎水性繊維の両方を含む限り、長繊維からでも短繊維からでも作製することができる。好ましくは、本発明の繊維シートは、短繊維から作製される。
【0053】
本発明の繊維シートの製造方法において、繊維シートには、接着工程の後、更なる改変、例えば、染色、ラミネート、コーティング又はこれらの組合せを施すことができる。特に、本発明はラミネート繊維シートにも関する。
【0054】
本発明において、ラミネートシートは、基材シート及び本発明の繊維シートを含んでよい。
【0055】
本発明において、基材シートは、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、アクリル樹脂及びセルロース系プラスチック、又はこれらの組合せのからなる群から選択されてよい。
【0056】
特に、基材シートはプラスチックフィルムから作製される。
【0057】
ラミネートシートは、接着剤を使用して、又は接着剤を使用せずに加熱して、基材シートを繊維シート等の基礎材料に接着させることによって製造される。
【0058】
接着工程は、押出しラミネート、乾式ラミネート、ホットメルトラミネート、湿式ラミネート又は熱ラミネートによって実施される。
【0059】
本発明のラミネートシートは、上記の任意の手順又はそれらの組合せによって製造することができる。
【0060】
[毛髪の再成形方法]
毛髪のケラチンのパーマネント再成形又は変形を得る一般的な方法は、(a)還元剤を含む組成物でケラチンのジスルフィド結合を開裂し、好ましくはその後毛髪をすすぐ第1の工程と、(b)予めパーマロッド若しくはその等価物で張力下に置いておいた毛髪、又は他の手段でストレートにしておいた毛髪に、固定剤とも呼ばれる酸化剤を施用することによって前記ジスルフィド結合を再形成させて、毛髪に所望の形態を与える第2の工程とを含む。この方法は、毛髪のウェーブかけ、カール除去、ストレート化又は縮毛矯正に関する。
【0061】
本発明は、毛髪の再成形剤の存在下で、毛髪を、少なくとも1種の親水性繊維と少なくとも1種の疎水性繊維とを含み、疎水性繊維の量が、親水性繊維及び疎水性繊維の総質量に対して50質量%より多い繊維シートで包む工程を含む、毛髪の再成形方法にも関する。
【0062】
上記の本発明の繊維シートは、作用剤を毛髪に施用するいずれの工程においても使用することができる。特に、本発明の繊維シートは、第1の工程(a)(即ち還元工程)において使用することができる。
【0063】
本発明による毛髪の再成形方法は、以下のとおり実施することができる。
【0064】
第1の工程(a)において、変形のため毛髪に機械的張力を施す。意図した形状に毛髪を変形するために、機械的張力を任意の手段で毛髪に加えることができる。例えば、機械的張力は、カーラー、パーマロッド、ローラー、プレート及びアイロンからなる群から選択される少なくとも1種の再成形手段によって加えられる。再成形手段は、少なくとも1つの加熱器を含んでもよい。
【0065】
本発明の一実施形態では、最初に毛髪をパーマロッドに巻きつけ、次いで図1に示すように本発明の繊維シートで包む[方法A]。パーマロッド3に巻きつけられ、繊維シート1に被覆されている毛髪2の断面図が図1に示されている。この毛髪の再成形方法は、
(i)毛髪2をパーマロッド3に巻きつける工程と、
(ii)毛髪の再成形剤、好ましくは還元剤の存在下で、巻きつけた毛髪を繊維シート1で包む工程と、
(iii)場合により、繊維シートが固定器具と毛髪との間に位置するように、巻きつけた毛髪を固定器具で固定する工程と、
(iv)場合により、少なくとも1種のオキシダイザーを含む組成物を毛髪に施用する工程と
を含む。
【0066】
毛髪の再成形方法において使用することができる固定器具は、弾力性のあるバンド又はひもとすることができる。本発明の一実施形態では、固定器具は、アルミホイル、スティック、樹脂ラップ又はこれらの組合せと組み合わせて使用することができる。
【0067】
本発明の別の実施形態では、最初に毛髪を本発明の繊維シートと接触させ、次いで図2に示すように、接触させた繊維シートと一緒にパーマロッドに巻きつける[方法B]。繊維シート1と一緒にパーマロッド3に巻きつけられている毛髪2の断面図が図2に示されている。この毛髪の再成形方法は、
(i)毛髪の再成形剤、好ましくは還元剤の存在下で、毛髪2及び繊維シート1をパーマロッド3に巻きつける工程と、
(ii)場合により、毛髪2を固定器具で固定する工程と、
(iii)場合により、少なくとも1種のオキシダイザーを含む組成物を毛髪に施用する工程と
を含む。
【0068】
本発明の繊維シートには、少なくとも1種の毛髪の再成形剤を含む組成物を含浸させていても、いなくてもよい。繊維シートに少なくとも1種の毛髪の再成形剤を含む組成物を含浸させていない場合、毛髪を包んだ後で、組成物は、塗擦、エアロゾル噴霧又はスプレー散布等、任意の手段で施用される。好ましくは、第1の工程(a)の前に、本発明の繊維シートに、少なくとも1種の毛髪の再成形剤を含む組成物を含浸させておく。
【0069】
第1の工程(a)において、毛髪の再成形剤が毛髪の中へと浸透する。このため、毛髪中のジスルフィド結合が切断される。第1の工程において、機械的張力が加えられた毛髪は、少なくとも1種の毛髪の再成形剤を含む組成物で処理されるべきである。
【0070】
少なくとも1種の毛髪の再成形剤を含む組成物を含む繊維シートは、次に、例えば30分まで、好ましくは5〜15分の間、毛髪に接触したままにしておき、毛髪の再成形剤を毛髪の中へと浸透させるようにする。
【0071】
次に、機械的張力及び/又は熱を毛髪に加え、毛髪を変形又は再成形する。例えば、次に、毛髪は、カーラー、パーマロッド、ローラー、プレート、ブラシ及び/又はアイロンを用いて形を整えてもよい。
【0072】
第2の工程(b)において、前記ジスルフィド結合は、予めパーマロッド若しくはその等価物で張力下に置いておいた毛髪、又は他の手段でストレートにしておいた毛髪に、固定剤とも呼ばれる酸化剤を施用することによって再形成される。その結果、毛髪を再成形することができる。
【0073】
毛髪は第1の工程(a)の後ですすいでもよい。
【0074】
第1の工程中に通常使用される還元剤は、チオグリコール酸及びシステイン等のチオール系化合物、並びに亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩等の非チオール系化合物を含む。
【0075】
[毛髪の再成形剤]
本発明の繊維シートには、少なくとも1種の毛髪の再成形剤を含む組成物を含浸させることができる。組成物中の成分については、以下でより詳細に説明することにする。
【0076】
本明細書において「毛髪の再成形」という用語は、毛髪を再成形又は変形する(例えば、毛髪にウェーブをかける、毛髪をカールする、毛髪をストレートにする、縮毛矯正をする、毛髪のカールを除去する等)ためのすべての実施形態を含む。したがって、本明細書において「毛髪の再成形剤」という用語は、毛髪の再成形用の任意の作用剤、例えば、パーマネントウェーブ剤(還元剤及び中和剤又は酸化剤を含む)、縮毛矯正剤及び任意の他の毛髪の再成形用作用剤を含む。好ましくは、毛髪の再成形剤は、毛髪のパーマネント再成形の第1の工程(即ちケラチンのジスルフィド結合の開裂)において使用される作用剤である。より好ましくは、毛髪の再成形剤は、リデューサー(reducer)とも呼ばれる還元剤である。
【0077】
好ましくは、本発明の繊維シートに含浸させた組成物は、チオール系還元剤、非チオール系還元剤、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の再成形剤を含んでもよい。
【0078】
(i)チオール系還元剤
「チオール系還元剤」という用語は、少なくとも1つのチオール部分を有する還元剤を意味する。チオール系還元剤は、好ましくは、チオグリコール酸及びその誘導体、特にそのエステル(モノチオグリコール酸グリセロール又はモノチオグリコール酸グリコール等);チオ乳酸及びその誘導体、特にそのエステル(モノチオ乳酸グリセロール等);3-メルカプトプロピオン酸及びその誘導体、特にそのエステル(3-メルカプトプロピオン酸グリセロール及び3-メルカプトプロピオン酸エチレングリコール等);システアミン及びその誘導体、特にそのC1〜4アシル誘導体(N-アセチルシステアミン及びN-プロピオニルシステアミン等);モノチオグリセロール及びその誘導体、特にエステル;システイン及びその誘導体、特にエステル(N-アセチルシステイン、N-アルカノイルシステイン及びシステインアルキルエステル等);並びにこれらの塩からなる群から選択されてよい。
【0079】
上記の塩として、例えば、アンモニウム塩、第一級、第二級又は第三級アミン塩、アルカリ金属塩、及びアルカリ土類金属塩を挙げることができる。第一級、第二級又は第三級アミンとして、例えば、それぞれ、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン又はトリエタノールアミンを挙げることができる。
【0080】
本発明による組成物中に使用することができるチオール系還元剤の他の好適な例には、以下が含まれるがこれらに限定されない。糖N-メルカプトアルキルアミド、例えば、N-(メルカプト-2-エチル)グルコンアミド、β-メルカプトプロピオン酸及びこれらの誘導体、チオリンゴ酸、パンテテイン、N-(メルカプトアルキル)-ω-ヒドロキシアルキルアミド、例えば欧州特許出願第0354835号に記載されているもの、及びN-モノ-又はN,N-ジアルキルメルカプト4-ブチルアミド、例えば欧州特許出願第0368763号に記載されているもの、アミノメルカプトアルキルアミド、例えば欧州特許出願第0432000号に記載されているもの、及びアルキルアミノメルカプトアルキルアミド、例えば欧州特許出願第0514282号に記載されているもの、並びに、仏国特許出願第2679448号に記載されているヒドロキシ-2-プロピルチオグリコレート(2/3)、及びヒドロキシ-2メチル-1-エチルチオグリコレートの混合物(67/33)。
【0081】
(ii)非チオール系還元剤
「非チオール系還元剤」は、チオール部分のない還元剤を意味する。非チオール系還元剤は、好ましくは、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、スルフィネート、ホスフィン、糖、レダクトン及び水素化物からなる群から選択されてよい。より好ましくは、非チオール系還元剤は、アンモニウムの亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩、並びに金属の亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩、より好ましくはアルカリ金属又はアルカリ土類金属の亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩、より好ましくは亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウムから選択されてよい。
【0082】
スルフィネートとして、スルフィン酸塩及びベンゼンスルフィン酸塩、例えばそれらのナトリウム塩を挙げることができる。FR-A-2814948に記載されているスルフィン酸誘導体を使用することもできる。好ましいスルフィネート化合物は、2-ヒドロキシ-2-スルフィナト酢酸二ナトリウム塩である。
【0083】
ホスフィンとして、FR-A-2870119に記載されているモノホスフィン及びジホスフィンを挙げることができる。
【0084】
糖として、リボース、グルコース、マルトース、ガラクトース、ラクトース及びキシロースを挙げることができる。
【0085】
レダクトンとして、アスコルビン酸及びエリソルビン酸を挙げることができる。
【0086】
水素化物として、水素化ホウ素(水素化ホウ素ナトリウム等)、水素化リチウム及び水素化リンを挙げることができる。水素化物、特に水素化ホウ素の前駆体、例えばジボラン、テトラボラン、ペンタボラン、デカボラン及びドデカボランを使用することができる。
【0087】
好ましい非チオール系還元剤は、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩及びホスフィンからなる群から選択される。
【0088】
(iii)アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物
本発明の毛髪の再成形剤は、アルカリ金属水酸化物を含んでもよい。アルカリ金属水酸化物は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム及び水酸化セシウムからなる群から選択されてよい。好ましくは、アルカリ金属水酸化物は、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群から選択される。
【0089】
アルカリ土類金属水酸化物は、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム及び水酸化バリウムからなる群から選択されてよい。好ましくは、アルカリ土類金属水酸化物は、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウムからなる群から選択される。
【0090】
特に本発明の毛髪の再成形剤は、チオール系還元剤、特にチオグリコール酸若しくはシステイン又はこれらの塩から好ましくは選択される還元剤を含んでもよい。
【0091】
本発明の繊維シートに含浸させる組成物中の再成形又は変形剤の量は限定されない。再成形剤又は変形剤の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%〜15質量%、好ましくは0.5質量%〜10質量%とすることができる。
【0092】
[添加剤]
本発明において使用可能な組成物は、例えば、溶媒、高級アルコール、pH調節剤、タンパク加水分解物、膨張剤及び浸透剤、コンディショニング剤及びアルコキシシラン、脱毛抑制剤、抗フケ剤、合成及び天然の増粘剤、懸濁化剤、金属イオン封鎖剤、乳白剤、染料、日焼け止め剤、ビタミン及びプロビタミン、香料並びに防腐剤から選択される少なくとも1種の添加剤を含んでよい。
【0093】
溶媒は、水、有機溶媒及びこれらの混合物から選択されてよい。溶媒の量は、限定はしないが、組成物の総質量に対して、10質量%〜90質量%、好ましくは30質量%〜70質量%とすることができる。有機溶媒は、非限定的な例として、アルカノール、ポリオール、ベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコールから選択されてよい。本発明の一実施形態によれば、溶媒は、エタノール、n-プロパノール、グリセロール、プロピレングリコール及びイソプロパノールからなる群から選択される。
【0094】
本明細書において「高級アルコール」という用語は、直鎖状、分枝状又は環状で、飽和又は不飽和の、C8〜C40炭化水素基、好ましくはC8〜C20炭化水素基を有するアルコールを意味する。C8〜C40炭化水素基は、C8〜C40アルキル基、アルケニル基又はアラルキル基であってよい。本発明において使用されるのが好ましい高級アルコールとして、ステアリルアルコール及びセテアリルアルコールを挙げることができる。高級アルコールの量は限定されない。高級アルコールの量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%〜10質量%、好ましくは1質量%〜5質量%とすることができる。
【0095】
pH調節剤は、例えば、アルカリ性剤(アンモニア、水酸化アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、1,3-プロパンジアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、グアニジン、水酸化グアニジン、炭酸グアニジン、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩等)及び酸性化剤(リン酸及び塩酸等)から選択されてよい。pH調節剤の量は限定されない。pH調節剤の量は、組成物の総質量に対して、0.5質量%〜10質量%、好ましくは0.1質量%〜8質量%とすることができる。
【0096】
本発明による組成物のpHは、2〜13、例えば4〜12、好ましくは7〜12の範囲とすることができる。
【0097】
本発明において使用可能な組成物は、少なくとも1種の有機酸を含んでよい。有機酸は、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基及びリン酸基から選択される少なくとも1つの官能基を含む酸から選択されてよい。有機酸は、他の化学官能基、例えば、ヒドロキシ基及びアミノ基を更に含むことができる。有機酸は、飽和でも不飽和でもよい。有機酸の非限定的な例として、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、乳酸、グリコール酸、アスコルビン酸、マレイン酸、フタル酸、コハク酸、タウリン、酒石酸、グルコン酸、グルクロン酸及びクエン酸が挙げられる。
【0098】
増粘剤は、例えば、セルロース系増粘剤(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びカルボキシメチルセルロース等)、グアーガム及びその誘導体、例えばヒドロキシプロピルグアー(RHODIA社によりJAGUAR HP105の呼称で市販されている)、微生物性のガム(キサンタンガム及びスクレログルカンガム等)、合成増粘剤、例として、セチルステアリルアルコール、アクリル酸及びアクリルアミドプロパンスルホン酸で架橋されたホモポリマー、例えばカルボマー、非イオン性、陰イオン性、陽イオン性及び両イオン性の会合性ポリマー、例として、GOODRICH社によりPEMULEN TR1及びTR2の名称で、ALLIED COLLOIDS社によりSALCARE SC90の名称で、ROHM & HAAS社によりACULYN22、28、33、44及び46の名称で、及びAKZO社によりELFACOS T210及びT212の名称で市販されているポリマーから選択されてよい。
【0099】
本発明により使用することができる好適なコンディショニング剤には、陽イオン界面活性剤、陽イオン性ポリマー、セラミド、脂肪酸エステル及び鉱油が含まれるが、これらに限定されない。好ましいコンディショニング剤は、陽イオン界面活性剤、例えばCLARIANT社によりGENAMIN KDNPの呼称で市販されている塩化ベヘントリモニウムである。
【0100】
本発明により使用される組成物は、シートに施用することができる任意の形態、例えば、ローション、セラムタイプの溶液、ゲル、水中油エマルション、及びこれらの組合せの形態で、幾分濃厚な液状の稠度を有するもの(幾分クリーミーなミルク及びクリーム等)、並びに泡沫とすることができる。
【0101】
上に述べたように、本発明において使用可能な組成物は、好ましくは、毛髪をパーマネント変形又は再成形することを目的とするものである。
【0102】
本発明の一実施形態では、毛髪を変形又は再成形するために、少なくとも1種のシリコーンと、チオール系還元剤、非チオール系還元剤、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の再成形又は変形剤とを含む、繊維シートに含浸させた組成物を、毛髪に施用し、場合によりすすぎ落とすことができる。
【0103】
[酸化剤]
第2の工程(b)において、必要であれば、毛髪を、オキシダイザー又は中和剤とも呼ばれる酸化剤で酸化する。好ましくは、酸化剤は、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属の臭素酸塩又はフェリシアン化物、並びに過酸化塩(peroxygenated salt)、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の過硫酸塩、過ホウ酸塩及び過炭酸塩、並びに過酸、並びにそれらの前駆体から成る群から選択される。
【0104】
酸化剤は、有利なことには、過酸化水素によって、特に水溶液(過酸化水素水溶液)として構成される。酸化剤の濃度は、組成物の総質量に対して、1〜50質量%、好ましくは5〜40質量%の範囲とすることができる。
【0105】
酸化剤は、水性でも非水性でもよいが、好ましくは水性とすることができる。本明細書において「水性の」という用語は、組成物が、5質量%超の水、好ましくは10質量%超の水、更により有利なことには20質量%超の水を含むことを意味する。
【0106】
通常、酸化剤が水性の場合、そのpHは、2.8〜10.0、好ましくは3.0〜7.7、より好ましくは3.0〜7.0とすることができる。
【0107】
酸化剤は、当技術分野において慣用的に使用される他の成分、特に、本発明による組成物に関してこれまでに詳述したものを含有することもできる。
【0108】
酸化剤は、任意の形態、例えば、溶液、エマルション又はゲルであってよい。
【0109】
酸化剤を毛髪に施用してしばらく反応させてから、毛髪を水ですすぐことができる。
【0110】
本発明による組成物を、即時使用可能なキットの形態にすることが可能である。本キットは毛髪を再成形又は変形するためのものであって、
(A)少なくとも1種の親水性繊維と少なくとも1種の疎水性繊維とを含み、疎水性繊維の量が、親水性繊維及び疎水性繊維の総質量に対して50質量%より多い繊維シート、及び
(B)少なくとも1種の毛髪の再成形剤を含む組成物
を含むことができる。
【0111】
一部の実施形態において、キットは、
(1)- 含浸させていない第1のシート、
- 還元剤を含む第1の組成物、
- 酸化剤を含む第2の組成物、及び
- 場合により、含浸させていない第2のシート、
(2)- 還元剤を含む第1の組成物を含浸させた第1のシート、及び
- 酸化剤を含む第2の組成物を含浸させた第2のシート、
(3)- 還元剤を含む第1の組成物を含浸させた第1のシート、
- 酸化剤を含む第2の組成物、及び
- 場合により、含浸させていない第2のシート、
又は
(4)- 酸化剤を含む第1の組成物を含浸させた第1のシート、
- 還元剤を含む第2の組成物、及び
- 場合により、含浸させていない第2のシート
を含むことができる。
【0112】
好ましい実施形態において、キットには、還元剤を含む第1の組成物を含浸させたシート(キット2)、場合により酸化剤を含む第2の組成物を含めることができる。
【0113】
別の好ましい実施形態において、キットには、含浸させていない第1のシート及び還元剤を含む第1の組成物(キット1)、場合により酸化剤を含む第2の組成物を含めることができる。
【0114】
本実施例又は別段の指示のある箇所を除き、本明細書及び特許請求の範囲において使用される、成分、反応条件等の量を表現する数はすべて、いかなる場合でも、「約」という用語で修飾されていると理解されたい。
【実施例】
【0115】
本発明を、実施例を通してより詳細に説明することにする。しかし、実施例は本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0116】
[繊維シート]
実施例において使用する不織繊維シート又はラミネート繊維シートは、三昭紙業株式会社、ダイワボウポリテック株式会社及び三和製紙株式会社から供給を受けた試作品とした。実施例1から実施例3及び比較例1による次の繊維シートを次のとおり調製した。以下に示す数字は質量パーセントを意味する。
【0117】
(実施例1):DFS(SH)R5-70(ダイワボウポリテック株式会社)
【0118】
【表1】
【0119】
実施例1の繊維シートは、親水性繊維及び疎水性繊維の総質量に対して、40質量%の親水性繊維(レーヨン)と60質量%の疎水性繊維(PET&PE)とを含む。
【0120】
(実施例2):DFS(SH)R5-50(ダイワボウポリテック株式会社)
【0121】
【表2】
【0122】
実施例2の繊維シートは、親水性繊維及び疎水性繊維の総質量に対して、40質量%の親水性繊維(レーヨン)と60質量%の疎水性繊維(PET&PE)とを含む。
【0123】
(実施例3):NR92050(三和製紙株式会社)5mPE
【0124】
【表3】
【0125】
実施例3のラミネートシートの繊維シートは、親水性繊維及び疎水性繊維の総質量に対して、96質量%の親水性繊維(レーヨン及びパルプ)と4質量%の疎水性繊維(PE)とを含む。ラミネートシートは、繊維シートを疎水性フィルム(PEフィルム)でラミネートすることによって調製される。即ち、繊維シートの一表面は疎水性フィルムでラミネートされる。したがって、実施例3のラミネートシートの一表面は親水性であり、ラミネートシートの他表面は疎水性である。
【0126】
(比較例1):CDSH2-30(ダイワボウポリテック株式会社)
【0127】
【表4】
【0128】
比較例1の繊維シートは、親水性繊維及び疎水性繊維の総質量に対して、70質量%の親水性繊維(綿)と30質量%の疎水性繊維(PET&PE及びPET&PET)とを含む。
【0129】
[試験]
ウェーブ形成試験はすべて、毛髪束で実施した。そのため、毛髪束を24時間室温で強制的にストレートにして維持した。ウェーブ性能を、ウェーブ形成試験の前後で人工的形状を目視で比較することによって評価した。滴りの程度を、施用した還元剤の質量と滴った還元剤の質量とを比較することによって評価した。結果をTable 3に示す。
【0130】
(実施例1から実施例2及び比較例1)
実施例1及び実施例2並びに比較例1において、毛髪のウェーブかけを以下に挙げる方法[A]と方法[B]の両方で実施した。
【0131】
[方法A]
以下の過程の前に、繊維シートに、Table 1に示す毛髪用還元剤を含浸させた。1gの毛髪束をパーマロッドに巻きつけ、繊維シートで包み、固定した。10〜15分後、繊維シートを除去し、毛髪を流水ですすいで還元剤を落とした。次に、Table 2に示すオキシダイザーを毛髪に直接施用し、5〜10分間放置した。次いで、毛髪をロッドから外し、水で完全にオキシダイザーをすすぎ落とし、乾燥した。ウェーブ性能及び滴りの程度を評価した。
【0132】
[方法B]
以下の過程の前に、繊維シートに、Table 1に示す毛髪用還元剤を含浸させた。1gの毛髪束を繊維シートに接触させ、繊維シートと一緒にパーマロッドに巻きつけ、固定した。10〜15分後、そのロッドを流水ですすいで還元剤を落とした。次に、Table 2に示すオキシダイザーを施用し、5〜10分間放置した。次いで、毛髪をロッドから外し、水で完全にオキシダイザーをすすぎ落とし、乾燥した。ウェーブ性能及び滴りの程度を評価した。
【0133】
[組成物]
以下の組成物を調製した。
【0134】
【表5】
【0135】
還元剤は、成分を室温で撹拌することによって調製する。
【0136】
【表6】
【0137】
酸化剤は、成分を室温で撹拌することによって調製する。
【0138】
[結果]
方法[A]及び方法[B]の各々によって得られた滴りの程度及びウェーブ性能をTable 3に示す。
【0139】
【表7】
【0140】
実施例1及び実施例2の繊維シートは、比較例1の繊維シートより良好なウェーブ性能を提供することができる。
【符号の説明】
【0141】
1 繊維シート
2 毛髪
3 パーマロッド
図1
図2