特許第6516994号(P6516994)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6516994
(24)【登録日】2019年4月26日
(45)【発行日】2019年5月22日
(54)【発明の名称】フードプロセッサー用カッター
(51)【国際特許分類】
   A47J 43/044 20060101AFI20190513BHJP
   B26D 3/26 20060101ALI20190513BHJP
【FI】
   A47J43/044
   B26D3/26 601A
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-203912(P2014-203912)
(22)【出願日】2014年10月2日
(65)【公開番号】特開2016-73340(P2016-73340A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2017年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】318001739
【氏名又は名称】株式会社泉精器製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000158312
【氏名又は名称】岩谷産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小澤 徹也
(72)【発明者】
【氏名】上條 篤
(72)【発明者】
【氏名】岡本 務
(72)【発明者】
【氏名】福士 拡憲
【審査官】 岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−174122(JP,A)
【文献】 特開平05−137660(JP,A)
【文献】 特開昭57−185820(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/049329(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 43/044
B26D 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フードプロセッサーの容器に取り付けられて、駆動部により回転され、前記容器内に投入された食材を切り刻むフードプロセッサー用カッターであって、
基体と、
該基体の外周面に取り付けられた円弧状の刃体とを有し、
該刃体は、一端側において、他端側が前記基体の回転方向に対して後方側に伸びるように、かつ円弧状の前端縁部が回転方向を向いて凸となるように前記基体に取り付けられると共に、回転方向を向く円弧状の前端縁部が、各山部が円弧状の前記前端縁部に対して前記刃体の回転後方に向けて傾斜する鋸刃状に形成され、前記各山部の頂部を除く、回転方向を向く前端縁が切れ刃に形成され、前記各山部の前記頂部が食材を粉砕する厚さを有するアール状に形成されていることを特徴とするフードプロセッサー用カッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全性が向上されたフードプロセッサー用カッターに関する。
【背景技術】
【0002】
フードプロセッサーは、容器内に回転自在に配設したカッターをモータによって回転させ、容器内に投入した食材を切り刻んだり、混合する調理器具である。フードプロセッサーは、特に野菜のみじん切り、肉のミンチ、魚肉のすり身の調理等に便利である。
この種フードプロセッサーにおいては、カッターを、容器内のシャフト(回転軸)に取り外し自在に設けて、カップリング部を介して駆動部に連結し、回転させるようにしている。カッターを取り外せることで、調理後、カッターを容易に洗浄できる。
【0003】
特許文献1に示されるフードプロセッサーでは、カッターを次のように構成している。
すなわち、容器のシャフトに取り外し自在に取り付け可能な筒状基体と、該筒状基体の外周面に取り付けられた刃体とを有し、該刃体は、一端側において、他端側が筒状基体の回転方向に対して後方側に伸びるように筒状基体に取り付けられると共に、回転方向を向く前端縁部が、各山部が回転方向に対して後方に向けて傾斜する鋸刃状に形成され、各山部における回転方向を向く前端縁が切れ刃に形成されて成る。
このように、特許文献1に示されるカッターでは、各山部が回転方向に対して後方に向けて傾斜する鋸刃状に形成され、回転方向を向く前端縁が切れ刃に形成されているため、切れ刃部を長くすることができ、切削効率を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−14834
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示されるフードプロセッサー用カッターには次のような課題がある。
すなわち、刃体の、回転方向を向く各山部の前端縁全体が薄い切れ刃に形成されているため、また、山部の先端部が尖っているため、作業者が洗浄時等に切れ刃に触ってしまった場合、指を切るなど、怪我をしやすいという課題がある。
また、フードプロセッサーでは、野菜等の食材を切断する機能のみならず、粉砕する機能も求められる。この点、特許文献1におけるカッターでは、鋸刃における各山部の前端縁全体が薄い切れ刃に形成されているため、食材の切断性には優れるが食材の粉砕性は不十分であるという課題がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、食材の粉砕性および安全性に優れるフードプロセッサー用カッターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
すなわち、本発明に係るフードプロセッサー用カッターは、フードプロセッサーの容器に取り付けられて、駆動部により回転され、前記容器内に投入された食材を切り刻むフードプロセッサー用カッターであって、基体と、該基体の外周面に取り付けられた円弧状の刃体とを有し、該刃体は、一端側において、他端側が前記基体の回転方向に対して後方側に伸びるように、かつ円弧状の前端縁部が回転方向を向いて凸となるように前記基体に取り付けられると共に、回転方向を向く円弧状の前端縁部が、各山部が円弧状の前記前端縁部に対して前記刃体の回転後方に向けて傾斜する鋸刃状に形成され、前記各山部の頂部を除く、回転方向を向く前端縁が切れ刃に形成され、前記各山部の前記頂部が食材を粉砕する厚さを有するアール状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、刃体が、一端側において、他端側が基体の回転方向に対して後方側に伸びるように基体に取り付けられていること、また、円弧状をなすことから、食材を滑り切りでき、切断性に優れる。また、刃体は、回転方向を向く円弧状の前端縁部が、各山部が回転方向に対して後方に向けて傾斜する鋸刃状に形成され、その前端縁部が切れ刃に形成されていることから、切れ刃が長くなり、切断性に優れる。また、鋸刃における各山部の前端縁部のみが切れ刃に形成され、反対側の後端縁部には切れ刃が形成されていないこと、鋸刃における各山部の頂部が所要の厚みを有するアール状に形成されていることから、作業者が、刃体の先端側から基部側に向けて、刃に沿って指を滑らしたとしても、凹部となる切れ刃に指が触れにくくなり、指等を怪我する危険性が減じられる。さらに、頂部が食材を粉砕する厚さを有することから、野菜等の食材の粉砕性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】フードプロセッサーの正面図である。
図2】フードプロセッサーの断面図である。
図3】容器にカッターを装着した状態の断面図である。
図4】カッターの平面図である。
図5】カッターの正面図である。
図6】カッターの底面図である。
図7】カッターの背面図である。
図8】カッターの左側面図である。
図9】カッター右側面図である。
図10】カッターの斜視図である。
図11】カッターの斜視図である。
図12】カッターの断面図である。
図13】一方のカップリング部材の端部が筒状基体の上方に突出した状態のカッターの正面図である。
図14図14におけるカッターの断面図である。
図15】刃体の拡大図である。
図16】カバーと駆動部とを組み付けた状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るカッターを含むフードプロセッサーの実施の形態について添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1はフードプロセッサー10の正面図、図2はその断面図、図3は容器にカッターを装着した状態の断面図、図4はカッターの平面図、図5はその正面図、図6はその底面図、図7はその背面図、図8はその左側面図、図9はその右側面図、図10および図11はその斜視図、図12はその断面図である。
図1図2において、12は容器、14は容器12の開口部を覆って容器12に着脱可能に設けられたカバー、16はモーター17を内蔵し、カバー14上に配設された駆動部、18は駆動部16の頂部に設けられた押しボタン、20は容器12内に回転自在に設けられたカッターである。
押しボタン18を押すことによって、モーター17によりカッター20が回転され、容器12内に投入された食材が調理される。
【0012】
本実施の形態では、容器12は内容器22と外容器23の二重容器となっている。
内容器22の内底部に、カッター20の回転軸となるシャフト25が起立して設けられている。
図4に示すように、カッター20は、筒状基体(基体)28の外周部に、円弧状をなす2個の刃体(下刃体)29、刃体(上刃体)30が、上下方向に所要間隔をおいて、かつ互いに反対側に位置して取り付けられて形成されている。
上側に位置する刃体30は、上に向かって拡径する内容器22の内径にしたがって、下側の刃体29よりも長く形成されている。
また、図5に示すように、下側に位置する刃体29は、基部側の段差部26で段状に折り下げられ、先端側が内容器22の内底面に近接するようになされている。
【0013】
図4に明確なように、各刃体29、30は、一端側において、他端側が筒状基体28の回転方向に対して後方側に伸びるように筒状基体28に取り付けられている。その際、各刃体29、30は、その円弧状をなす前端縁が、筒状基体28の外周面に対してほぼ接線方向を向くように取り付けられている。
【0014】
また、各刃体29、30は、回転方向を向く円弧状の前端縁部が、各山部が回転方向に対して後方に向けて傾斜する鋸刃状に形成されている。そして、図15の拡大図に示すように、各山部の頂部27を除く、回転方向を向く前端縁が薄い切れ刃31に形成され、各山部の頂部27が所要の厚み(例えば0.2mm)を有するアール状(例えばR:0.5)に形成されている。
このように、鋸刃の山部の頂部が所要の厚みを有するアール状に形成されていること等から、後に詳しく述べるように、作業者がうっかり手をふれても、指等を怪我する危険性が減じられる。また、頂部27が所要の厚さを有することから、野菜等の食材の粉砕性にも優れる。
刃体29と刃体30とは、上記のように、形状、寸法等が異なっている。そこで、回転バランスをとるために、図12に示すように、筒状基体28内の適所に錘36を設けている。
【0015】
次に、筒状基体28の下部内側には、シャフト25が挿通可能な軸筒32が形成されている。したがって、筒状基体28は、軸筒32にシャフト25が挿通されるようにして、シャフト25に着脱自在に装着され、シャフト25の軸線を中心として回転可能になっている。
筒状基体28の上部は六角孔(嵌合孔)に形成されている。
33は、一方のカップリング部材であり、六角柱状をなし、筒状基体28の六角孔内に突出入可能に設けられている。
【0016】
図3に示すように、カップリング部材33は、カッター20を内容器22のシャフト25に装着した際、シャフト25に突き上げられて、その上部(端部)が筒状基体28の上方に突出するようになっている。また、カッター20をシャフト25から取り外した際には、カップリング部材33は六角孔内に没入するようになっている。
カップリング部材33は、シャフト25に突き上げられた際、後記するように、駆動部16側の他方のカップリング部材と連結して、駆動部16側から回転力が伝達され、これによりカッター20が回転されるようになっている。
なお、筒状基体28の上部には、2個の突起34が設けられている。この突起34は 、ギヤ49に当接するようになっていて、カバー14に対して接触を防止すると共に、カッター20の上下動を防止するようになっている。
筒状基体28の六角孔(嵌合孔)やカップリング部材33の形状は六角形に限らず、連結された際、駆動部16からの回転力が筒状基体28に伝達され得る形状のものであればよい。
なお、図13は、一方のカップリング部材の端部が筒状基体の上方に突出した状態のカッターの正面図、図14はその断面図である。
【0017】
図16は、カバー14と駆動部16とが組み付けられた状態の断面図である。
カバー14は、容器20の開口部を覆って、容器20の内容器22に着脱可能に密に嵌合して取り付けられるようになっている。
カバー14の中央部には、下方に台状に凹む凹部37が設けられている。
次に駆動部16について説明する。
モーター17は、ドーム型のケーシング41内に位置して、ケーシング41下面側を閉塞するベースプレート42上に 、固定されている。
また、ケーシング41およびベースプレート42の下面側は底カバー44に覆われている。底カバー44は、下方に向けて台形状に突出する凸部45を有する。
駆動部16は、底カバー44の台形状の凸部45がカバー14の台形状の凹部37に嵌合した状態で、カバー14上に安定的に載置可能になっている。
【0018】
モーター17の回転軸にはギヤ47が固定され、このギヤ47に中間ギヤ48が噛合し、さらに中間ギヤ48に他方のカップリング部材たるギヤ49が噛合している。
他方のカップリング部材たるギヤ49には、一方のカップリング部材33の端部が嵌合する嵌合孔(本実施の形態では六角孔)53が形成されている。
嵌合孔53の内底面には、コイルスプリング54が固定されている。また、このコイルスプリング54の下端には、カバー部材55が固定されている。カバー部材55は嵌合孔53の開口部を閉塞している。カバー部材55は、一方のカップリング部材33の端部によりコイルスプリング54の付勢力に抗して押圧されることにより嵌合孔53内に没入可能になっている。
【0019】
18は、押しボタンであり、ドーム状のケーシング41の上面側を覆って、スプリング58に受けられて、上下動可能に設けられている。
60はレバーであり、スプリング62によって上方に付勢されて押しボタン18に当接している。63はレバー60に固定されたマイクロスイッチである。
押しボタン18を押下することによって、レバー60とレバー64とでマイクロスイッチ63を押圧し、マイクロスイッチ63が投入されてモーター17が駆動される。
【0020】
本実施の形態に係る、カッター20を含むフードプロセッサー10は上記のように構成されている。
フードプロセッサー10は、図2に示すように、容器12に、カッター20、カバー14、および駆動部16を組み付け、一方のカップリング部材33が他方のカップリング部材たるギヤ49の嵌合孔53に嵌入した状態でなければ、押しボタン18を押してもカッター20が回転されない構造となっており、安全性が向上されている。すなわち、図16に示すような、カバー14と駆動部16とが組み付けられた状態の組立体に、誤ってカッター20を組み付けようとしても、カッター20のカップリング部材33が筒状基体28内に没入している状態であるので、そもそもカッター20を上記組立体に組み付けられない。
【0021】
カッター20は、刃体29、30が、一端側において、他端側が筒状基体28の回転方向に対して後方側に伸びるように筒状基体28に取り付けられていること、また、円弧状をなすことから、食材を滑り切りでき、切断性に優れる。
また、前記のように、各刃体29、30は、回転方向を向く円弧状の前端縁部が、各山部が回転方向に対して後方に向けて傾斜する鋸刃状に形成され、その前端縁部が切れ刃31に形成されていることから、切れ刃が長くなり、切断性に優れる。
また、鋸刃における各山部の前端縁部のみが切れ刃31に形成され、反対側の後端縁部には切れ刃が形成されていないこと、鋸刃における各山部の頂部27が所要の厚みを有するアール状に形成されていることから、作業者が、刃体29、30の先端側から基部側に向けて、刃に沿って指を滑らしたとしても、凹部となる切れ刃31に指が触れにくくなり、指等を怪我する危険性が減じられる。
また、頂部27が所要の厚さを有することから、野菜等の食材の粉砕性にも優れる。
【0022】
なお、刃体29、30は、円弧状でなくともよく、例えば直線状をなすものでもよい(図示せず)。
また、上記実施の形態では、下刃体29と上刃体30とを上下別々に設けたが、筒状基体28に対して互いに反対側に位置する一体型のものであってもよい(図示せず)。
また、刃体が、筒状基体28に3つ以上の複数個とりつけるようにしてもおい(図示せず)。
【0023】
また、カバー14や駆動部16は必ずしも上記構造のものでなくともよい。
また、カッター20は、刃体29、30が上記形状、構造を有しているものであればよく、容器12に取り外し不能のものであってもよい。この場合、基体28は必ずしも筒状でなくともよい。
また、カッター20と駆動部16とのカップリング構造も上記構造のものでなくともよい。
なお、刃体29、30はデザイン(意匠)的にも優れている。カッター20全体としての意匠、あるいは刃体29、30の部分意匠としても完成している。
【符号の説明】
【0024】
10 フードプロセッサー、12 容器、14 カバー、16 駆動部、17 モーター、18 押しボタン、20 カッター、22 内容器、23 外容器、25 シャフト、26 段差部、27 頂部、28 筒状基体(基体)、29 刃体、30 刃体、31 切れ刃、32 軸筒、33 一方のカップリング部材、34 突起、36 錘、37 凹部、41 ケーシング、42 ベースプレート、44 底カバー、45 凸部、47 ギヤ、48 中間ギヤ、49 ギヤ、53 嵌合孔、54 コイルスプリング、55 カバー部材、58 スプリング、60 レバー、62 スプリング、63 マイクロスイッチ、64 レバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16