(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記抽象化部は、前記自装置の詳細な位置情報が、前記場所情報との対応関係を有する領域のいずれかの範囲に含まれるか否かを判定し、前記範囲内に含まれる場合には、前記自装置の位置情報が含まれる領域に対応する場所情報を出力することを特徴とする請求項4記載の通信端末装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記の技術では、見守られる人に関する情報が、見守る人に通知される際、見守られる人に対するプライバシーが考慮されていない。例えば、特許文献1記載のシステムのように、見守られる人の許可を得て自宅に訪問することが前提になっていたり、特許文献2記載のシステムのように、杖に対する操作履歴を共有しても差し支えない人間関係にあることが前提になっていたりするとしても、見守られる人にとって、すべての情報を知られることは抵抗があることもある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、プライバシーを保護しつつ、グループ内のメンバーにユーザの状況を伝えることができる通信端末装置、システム、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記の目的を達成するため、本発明の通信端末装置は、グループに属するメンバー向けに自装置ユーザの状況を送信する通信端末装置であって、所定の設定に基づいて、自装置の詳細な位置情報を場所情報の一つに抽象化する抽象化部と、前記自装置の場所情報を含む状況情報を管理サーバに送信する情報送信部と、を備えることを特徴としている。これにより、プライバシーを保護しつつ、グループ内のメンバーにユーザの状況を伝えることができる。
【0011】
(2)また、本発明の通信端末装置は、前記抽象化部が、所定の設定として、ユーザにより設定された場所の広さに応じて抽象化の程度が段階的に決まる抽象化ラベルを用いることを特徴としている。これにより、ユーザにより決められたどの程度伝えて良いかのプライバシーの程度により抽象化できる。
【0012】
(3)また、本発明の通信端末装置は、前記詳細な位置情報を自動的に取得する位置情報取得部を更に備えることを特徴としている。これにより、ユーザが位置情報を入力する手間を省ける。
【0013】
(4)また、本発明の通信端末装置は、前記抽象化部が、前記自装置の場所情報を自装置ユーザにより指定された場所に変更することを特徴としている。これにより、グループ内に伝える内容をユーザにより調整することが可能になる。
【0014】
(5)また、本発明の通信端末装置は、ユーザの操作を受け付ける操作受付部と、前記受け付けられた操作により地図上の領域が指定された場合には、前記指定された領域の情報と場所情報との対応関係を記憶する記憶部と、を更に備え、前記抽象化部は、前記記憶された対応関係に基づいて、前記取得された自装置の位置情報を場所情報に抽象化することを特徴としている。これにより、簡易な方法で自動的に抽象化される領域を決めることができる。
【0015】
(6)また、本発明の通信端末装置は、前記抽象化部が、前記自装置の詳細な位置情報が、前記場所情報との対応関係を有する領域のいずれかの範囲に含まれるか否かを判定し、前記範囲内に含まれる場合には、前記自装置の位置情報が含まれる領域に対応する場所情報を出力することを特徴としている。これにより、領域の範囲内に入ったときには抽象化することができる。
【0016】
(7)また、本発明の通信端末装置は、表示要求に基づき、前記管理サーバから各場所情報ならびに前記自装置ユーザと同一のグループに属するメンバーの特定情報および前記メンバーの特定情報に対応付けられた場所情報を含む状況情報を受信する情報受信部と、前記受信された状況情報に基づき、前記場所情報のアイコンを前記場所情報の表示位置に表示するとともに、前記メンバーのアイコンを前記メンバー特定情報に対応付けられた場所情報の表示位置に表示する表示部と、を更に備えることを特徴としている。これにより、グループ内のメンバーの状況を表示できる。
【0017】
(8)また、本発明の通信端末装置は、前記状況情報に、ユーザの移動状況または連絡可否の情報が含まれることを特徴としている。これにより、ユーザが留まっているのか歩いているのか等を伝えることができる。
【0018】
(9)また、本発明のシステムは、グループに属するメンバーの状況を共有するシステムであって、(1)から(8)のいずれかに記載の通信端末装置と、各グループに対して前記場所情報を含む状況情報をグループに属するユーザごとに管理する管理サーバと、を備えることを特徴としている。これにより、グループに対して、プライバシーを守りながら状況を伝えるサービスが可能となる。
【0019】
(10)また、本発明の方法は、通信端末装置を用いてグループに属するメンバー向けに自装置ユーザの状況を送信する方法であって、所定の設定に基づいて、自装置の詳細な位置情報を場所情報の一つに抽象化するステップと、前記自装置の場所情報を含む状況情報を管理サーバに送信するステップと、を含むことを特徴としている。これにより、プライバシーを保護しつつ、グループ内のメンバーにユーザの状況を伝えることができる。
【0020】
(11)また、本発明のプログラムは、グループに属するメンバー向けに自装置ユーザの状況を送信する通信端末装置のプログラムであって、所定の設定に基づいて、自装置の詳細な位置情報を場所情報の一つに抽象化する処理と、前記自装置の場所情報を含む状況情報を管理サーバに送信する処理と、を含む一連の処理をコンピュータに実行させることを特徴としている。これにより、プライバシーを保護しつつ、グループ内のメンバーにユーザの状況を伝えることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、プライバシーを保護しつつ、グループ内のメンバーにユーザの状況を伝えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本発明のシステムは、家族など、複数人のグループ内でそれぞれの状況の情報を共有できると同時に、プライバシーの保護も可能にするグラフィカルユーザインタフェースを提供する。ユーザは、アイコンの位置を移動させることで、プライバシーに配慮しつつ居場所の情報を共有でき、アイコンの表現により他の状況の情報も共有できる。具体的には以下に説明する。
【0024】
[システムの構成]
(システム全体)
図1は、システム10を示すブロック図である。システム10は、グループに属するメンバーの状況情報を共有するシステムであり、通信端末装置100、300および管理サーバ200で構成されている。通信端末装置100は、特定ユーザの装置であり、通信端末装置300は、特定ユーザと同じグループに属するメンバーの装置を指している。グループは、例えば家族であり、その場合メンバーは家族の構成員である。
【0025】
通信端末装置100、300は、インストールされたソフトウェアにより特徴的な動作を可能にしている。管理サーバ200は、ネットワーク上に存在し、通信端末装置100、300のそれぞれと接続可能であり、管理サーバ200についても、インストールされたソフトウェアにより特徴的な動作を可能にしている。
【0026】
(通信端末装置)
通信端末装置100は、例えばスマートフォンやタブレット端末のような携帯端末であり、グループに属するメンバー向けに自装置ユーザの状況を送信する。
図1に示すように、通信端末装置100は、位置情報取得部110、記憶部120、抽象化部130、情報送信部140、操作受付部150、表示部160および情報受信部170で構成されている。
【0027】
位置情報取得部110は、例えば、GPS機能であり、詳細な位置情報を自動的に取得する。これにより、ユーザが位置情報を入力する手間を省ける。ユーザの状況を推定する。例えば、ユーザの状況として位置情報を通知する場合、GPS機能と連携して自装置の現在位置を自動的に取得することができる。
【0028】
なお、位置情報取得部110の他にも自動的にユーザの状況としてその活動内容を検知するものとして、ユーザが端末を保持している最中の操作ログを取得する操作ログ取得部、またはセンサログを取得するセンサログ取得部を設けてもよい。具体的には、センサログ取得部として加速度センサを設け、ユーザが歩行中か否か等を検知することができる。その際には、例えば、部分的に特許文献3のような既存技術を用いることができる。
【0029】
手動または自動にて定義された「人アイコン」ごとの活動内容は、グラフィカルユーザインタフェース上に表示される「人アイコン」にリアルタイムに反映する。活動内容に応じて、人アイコンへの表現方法は事前に定義されており、活動内容が変更すると、それに相当する表現に更新する。
【0030】
通信端末装置100では、適度なプライバシー保護のための、抽象化ラベル(場所アイコン、人アイコン)を手動または自動で設定できる。自動設定では、場所アイコン、人アイコンのグラフィカルユーザインタフェース上の位置関係を自動的に算出する。このように抽象化ラベルを用いることで、場所アイコン自体は他者と共有しても、場所アイコンに対応する詳細な地図上の領域の情報はメンバー間で共有せずに秘匿することができる。なお、抽象化ラベルの用い方により、段階的に抽象度を設定できる。
【0031】
記憶部120は、受け付けられた操作により地図上の領域が指定された場合には、指定された領域の情報と場所情報との対応関係を記憶する。具体的には、場所アイコンと地図上で指定された1以上の領域とを対応付けた管理テーブルとして記憶することができる。
【0032】
抽象化部130は、所定の設定に基づいて、自装置の詳細な位置情報を場所情報の一つに抽象化する。所定の設定は、手動または自動で異なる。抽象化部130は、ユーザの操作に応じて場所情報を設定できる。抽象化部130は、記憶された対応関係に基づいて、取得された自装置の位置情報を自動的に場所情報に抽象化してもよい。この場合には、簡易な方法で自動的に抽象化される領域を決めることができる。
【0033】
抽象化部130は、所定の設定として、ユーザにより設定された場所の広さに応じて抽象化の程度が段階的に決まる抽象化ラベルを用いることが好ましい。これにより、ユーザにより決められたどの程度伝えて良いかのプライバシーの程度により抽象化できる。なお、抽象化部130は、自動的に、またはユーザの操作に基づき、得られたユーザの状況の抽象化ラベル度を変更する。
【0034】
抽象化部130は、自装置の場所情報を自装置ユーザにより指定された場所に変更することも可能である。これにより、グループ内に伝える内容をユーザにより調整することが可能になる。場所の変更の処理についての詳細は後述する。
【0035】
抽象化部130は、取得された自装置の位置情報が、場所情報との対応関係を有する領域のいずれかの範囲に含まれるか否かを判定し、範囲内に含まれる場合には、自装置の位置情報が含まれる領域に対応する場所情報を出力することが好ましい。これにより、範囲内に入ったときには抽象化することができる。
【0036】
情報送信部140は、管理サーバ200上のユーザ状況ログDBと連動し、自装置の場所情報を含む状況情報を管理サーバ200に送信する。これにより、プライバシーを保護しつつ、グループ内のメンバーにユーザの状況を伝え、メンバー同士の状況情報を共有することができる。なお、状況情報には、ユーザの移動状況または連絡可否の情報が含まれる。このように移動状況が分かれば、ユーザが留まっているのか歩いているのか等を伝えることができる。
【0037】
操作受付部150は、ユーザの操作を受け付ける。例えば、タッチパネルによりグラフィカルユーザインタフェースを指でタッチする操作を受け付けることとしてもよいし、ボタン操作により操作可能にしてもよい。また、音声入力などを併用してもよい。
【0038】
表示部160は、取得された情報に基づき、場所情報のアイコンを場所情報の表示位置に表示するとともに、メンバーのアイコンをメンバー特定情報に対応付けられた場所情報の表示位置に表示する。これにより、グループ内のメンバーの状況を表示できる。
【0039】
表示部160は、一定の配置で複数の「場所アイコン」を表示する。このとき、場所アイコンは、一画面に収まる広さで、ユーザ自身の設定に従い配置されるのが好ましい。ただし、実際の地図に従った配置をとる設定としてもよい。また、「場所アイコン」および「人アイコン」の利用で、すでにプライバシーの課題を解決できているが、毎回「人アイコン」の位置を手動で設定するのは煩わしく、自動で「人アイコン」の位置を設定することが好ましい。
【0040】
情報受信部170は、表示要求に基づき、管理サーバ200から各場所情報ならびに自装置ユーザと同一のグループに属するメンバーの特定情報およびメンバーの特定情報に対応付けられた場所情報を含む状況情報を受信する。
【0041】
(管理サーバ)
管理サーバ200は、各グループに対して場所情報を含む状況情報をグループに属するユーザごとに管理する。これにより、グループに対して、プライバシーを守りながら状況を伝えるサービスが可能となる。管理サーバ200は、ユーザ状況ログDBを有し、各メンバーの状況情報を蓄積している。
【0042】
[通信端末装置の動作]
(基本動作)
次に、通信端末装置100の動作を説明する。
図2は、通信端末装置100の使用時の基本動作の一例を示すフローチャートである。まず、通信端末装置100において、ユーザ操作を契機として、情報共有のソフトウェアを起動する(ステップS1)。続いて、通信端末装置100は、管理サーバ200にアクセスし、グループ内の現状の情報を取得し(ステップS2)、取得した情報に基づいてグループのメンバーそれぞれの状況を表示する(ステップS3)。
【0043】
通信端末装置100は、ユーザに自端末のユーザ情報の更新の指示を問合せ、更新の指示の有無を判定する(ステップS4)。更新の指示がない場合には、ステップS6に進む。更新の指示があった場合には、手動または自動によりユーザの現在の状況情報を取得し、管理サーバ200にアクセスし自端末のユーザの状況情報を更新する(ステップS5)。その際には、所定の設定に基づいて、情報の抽象化を行い、例えば自装置の詳細な位置情報を場所情報の一つに抽象化し、自装置の場所情報を含む状況情報を管理サーバ200に送信する。
【0044】
通信端末装置100は、メニュー選択可能な表示を行い、ユーザによりメニュー選択がなされたか否かを判定する(ステップS6)。メニュー選択がなされなかった場合には、ステップS8に進む。メニュー選択がなされた場合には、選択されたメニューの処理を行う(ステップS7)。続いて、情報共有のソフトウェアについてユーザにより終了操作が行われたか否かを判定し、終了操作が無い場合には、ステップS3に戻る。終了操作があった場合には、一連の処理を終了する。
【0045】
図3は、メンバー状況の画面表示例を示す図である。
図3に示す例では、一つの画面で、父親、母親、および子供の3人の状況を一瞥して把握可能にしている。この表示例は、家族の活動範囲を示す「場所アイコン」が配置された地図形式のグラフィカルユーザインタフェースとして処理されており、家族の状態は「人アイコン」の位置とアニメーションで表現される。
【0046】
(画面表示)
このような表示により、例えば以下の(1)〜(3)の3つの効果が得られる。
(1)家族の各構成員がどこにいるのかが分かる
自分の居場所を家族に通知するとき、手動設定と自動設定を選べる。手動の場合、ユーザが自身の「人アイコン」をDrag&Dropで動かすことで通知できる。自動の場合、自動取得した位置と、事前設定の抽象化ラベルから、「人アイコン」の位置が自動的に決定されて通知される。なお、表示例では、会社と最寄駅、繁華街と最寄駅の間の移動中のアイコンとして破線が表示されている。
【0047】
(2)家族の各構成員が活動しているか否かが分かる
過去一定期間で「人アイコン」の位置に変動があれば、「人アイコン」に動きのあるアニメーションが付与される。上下に揺らす、歩行しているように足を動かすなどの表示が可能である。
【0048】
(3)家族に連絡して良いかどうかが分かる
ユーザが自身に連絡してきてよいかどうかは、自身の「人アイコン」をTapし、メニューから設定可能にする。連絡してきてよい場合、他の家族の構成員の通信端末装置300に自身の「人アイコン」に電話アイコンが重畳されて表示される。家族の誰かに連絡したいとき、相手の「人アイコン」をTapすることで連絡可能になる。
【0049】
(場所設定)
図4(a)、(b)、(c)は、それぞれ場所設定時、ユーザの状態設定時、ユーザの状態設定後の画面表示例を示す図である。
図4(a)に示すように、ユーザ自身で居場所を設定することが可能となっている。また、居場所の設定後には、
図4(b)に示すように、今のユーザへの連絡可能な手段、今の状態を選択することが可能になっている。例えば、表示例では、電話連絡が可能であることを選択している。選択後は、「Set」ボタンを押すことで内容が確定される。このような操作の結果として、
図4(c)のように情報共有の画面に操作結果が反映されて表示される。
【0050】
(場所変更操作)
図5(a)、(b)は、それぞれ場所変更の操作時および操作後の画面表示例を示す図である。居場所の変更は、ユーザが自身の「人アイコン」をDrag&Dropで動かす操作により可能となる。
【0051】
(メンバー表示)
図6(a)、(b)は、それぞれメンバー選択の操作時および操作後の画面表示例を示す図である。
図6(a)は、例えば母親の通信端末装置の画面表示であり、
図6(a)に示すように父親の「人アイコン」を選択することで、
図6(b)に示すように父親の現在の状況の詳細情報と、連絡手段が表示される。この例では、父親が電話連絡できる状態なので、ワンタッチダイヤルが可能に表示される。
【0052】
(場所アイコンの選択)
図7(a)、(b)、(c)は、それぞれメニュー選択時、場所アイコンの選択時および選択後の画面表示例を示す図である。さらに、ユーザの操作によりグラフィカルユーザインタフェースについて以下のカスタマイズが可能となっている。
【0053】
すなわち、ユーザは、表示されるアイコンとして好きな「場所アイコン」「人アイコン」を選択できる。また、「場所アイコン」には、好きな名前を付与できる。選択した「場所アイコン」は、自装置の表示において好きな場所に配置できる。
【0054】
(領域設定)
場所アイコン同士の位置関係は、実際の地図における位置関係とは異なっており、抽象化部130は、GPS機能によって取得できたユーザの位置を画面表示上の位置に変換して、「人アイコン」を配置するのが好ましい。
【0055】
その場合、操作受付部150は、「場所アイコン」が、実際の地図上でどの領域を示すのかを定義する操作を受け付ける。例えば、表示部160により、実際の地図を表示し、その地図上にフリーハンドで枠を指定する操作を受け付けることで、「場所アイコン」の領域指定を可能にする。このとき、1つの「場所アイコン」に対して、複数の領域指定を可能にしてもよい。なお、この領域指定は、基本的にメンバーそれぞれが独自に行えるようにすることで、「場所アイコン」自体は家族で共有しつつ、それが地図上でどの領域を示すのかは共有しないのが好ましい。
【0056】
図8は、通信端末装置100の領域設定時の動作を示すフローチャートである。まず、通信端末装置100は、場所アイコン選択肢を表示し(ステップT1)、選択を受け付ける(ステップT2)。次に、地図を表示し(ステップT3)、ユーザによる領域指定の記録を開始し(ステップT4)、枠の入力を受け付ける(ステップT5)。
【0057】
そして、領域の追加の有無をユーザに問合せ、その結果として領域の追加があるか否かを判定し(ステップT6)、領域の追加がある場合には、ステップT3に戻る。領域の追加が無い場合には、選択された場所アイコンと指定された領域との対応付けを行い(ステップT7)、対応関係を記憶し、処理を終了する。なお、場所アイコンごとに少なくとも1以上の枠で定義された領域の和を、その場所アイコンの指定領域として定義する。
【0058】
図9は、領域設定時の画面表示例を示す図である。
図9に示す例では、場所アイコンとして公園が選択されたときの領域指定の場面が表されている。そして、
図9に示す例では、地図上で公園の領域として領域Rが指定されている。
【0059】
図10は、メンバーと場所アイコンとの対応関係を示す管理用テーブルである。管理サーバ200は、このような管理用テーブルを保存している。管理サーバ200は、さらに情報共有部を備え、上記の管理用テーブルを用いつつ情報共有しているグループのメンバーが指定した場所アイコンの領域情報を管理する。管理サーバ200は、メンバーごとに設定している(メンバー間で共有している)場所アイコンと、抽象化設定の有無も管理する。通信端末装置100のそれぞれにおいて、デフォルトは、抽象化ありで設定されている。通信端末装置100が場所アイコンの領域を指定する際、自装置のユーザが抽象化の有無を変更できるように設計されている。
【0060】
図11は、場所アイコンと枠との対応関係を示す管理用テーブルである。それぞれの通信端末装置100、300は、自装置における場所アイコンと枠との対応関係を
図11に示すような管理テーブルで管理している。管理テーブルでは、利用している場所アイコンに対応付けて、実際の地図上で、フリーハンドで指定した枠に関する情報が管理されている。そして、管理サーバ200は、メンバーごとの管理テーブルを有し、メンバー間の表示の調整を行ってもよいが、管理テーブルを保有しないこととしてもよい。枠に関する情報(Area_P001_1、…)に関するデータの定義は、以下の(1)〜(3)に示すような複数のパターンがありうるが、それ以外であってもよい。
【0061】
(1)枠を、円形に近似する。例えば、正円に近似した場合、中心の緯度経度情報、および、半径の情報を設定する。
(2)枠を、多角形に近似する。例えば、8角形に近似した場合、各頂点の緯度経度情報を設定する。
(3)地図を格子状に分割した上で、枠内に囲まれた格子に近似する。各格子にはIDが付与され、該当する格子のID情報を設定する。
【0062】
(領域指定)
図12は、通信端末装置100の領域指定時の動作を示すフローチャートである。まず、通信端末装置100は、GPS機能により現在位置を取得する(ステップP1)。そして、現在位置が入っている枠指定された領域があるか否かを判定する(ステップP2)。枠指定された領域が無いと判定されたときには、前回のGPS情報の取得の際に該当する枠指定領域があるか否かを判定し(ステップP3)、枠指定領域がある場合には、ステップP8に進む。枠指定領域が無い場合には、いずれの場所アイコンの周辺にも入らない位置に人アイコンを表示し(ステップP4)、ステップP8に進む。
【0063】
一方、ステップP2で現在位置が入っている枠指定領域があった場合には、該当する枠指定領域を特定し(ステップP5)、該当する場所アイコンを特定するとともに(ステップP6)、該当する場所アイコンの周辺に人アイコンを表示する(ステップP7)。そして、GPS情報の取得を中止する指示があるか否かを判定する(ステップP8)。GPS情報の取得を中止する指示が無かったときには、ステップP1に戻る。GPS情報の取得を中止する指示があったときには処理を終了する。
【0064】
(自動指定)
ここで、枠領域の指定のために、通信端末装置100は、グラフィカルユーザインタフェース(画面表示)上で手作業で行う機能に加え、自動的に行う機能も備える。自動の場合には、GPS機能によって取得できたユーザの位置の履歴情報に基づき、場所アイコンと、地図上の位置とを対応付ける。その場合の一例として以下の(1)〜(7)の手順を行うことができる。
【0065】
(1)ユーザが1つの場所アイコンを選択する。
(2)選択された場所アイコンに対応する領域を手動で指定する。
(3)加えて、その後の領域修正を自動設定にする。
(4)GPS機能によって取得できたユーザの位置が当該領域を通過するある日の履歴情報に対して、その前後の位置データを抽出する。
(5)(4)の抽出された位置データの時系列が、複数日に渡り存在するかどうか、履歴情報を分析する。分析する上で、位置データ(点)に対して、所定の領域(例えば、半径xメートルなどの円領域)とし、領域の重なりとしての類似性を分析する。類似性の算出方法は一般的な方法で良く、対象の複数の領域の積(重なり)の面積と、対象の複数の領域の和の面積の比が、所定閾値よりも大きい場合、類似していると判断する。
(6)複数日に渡り、類似した時系列データが存在する場合、その領域を、当初の領域に追加する。
(7)領域を追加する際、ユーザに一旦提示すると共に、ユーザが手動で修正することも可能とする。
【0066】
なお、事前にユーザが場所アイコンを選択する手順とせず、システムが履歴情報に基づき、自動的に領域を抽出した後、その領域にどの場所アイコンを設定するか、ユーザに選択させる手順としてもよい。さらに、通信端末装置100は、システムが自動的に抽出した領域の中で、他のメンバーと共有する領域と、共有しない領域とを、ユーザが設定する機能も備えることが好ましい。
【0067】
(周辺領域の設定例)
図13は、場所アイコンの周辺領域を示す模式図である。まず、GPS機能によって取得できたユーザの位置と、上記で設定した「場所アイコン」に対する領域とを対比して、ユーザの位置が最も近い領域の「場所アイコン」を抽出する。次に、「人アイコン」を上記で抽出した「場所アイコン」周辺に配置する際、
図13に示すように、グラフィカルユーザインタフェース上の場所アイコンを中心とする円領域内の任意の位置に配置する。
【0068】
この円領域内の位置は、完全にランダムに決定してもよいし、同場所に訪れる度に前回までとは異なる位置にしてもよい。事前設定の抽象度が「小」の場合は、前回からの変化量を小さく、「大」の場合は、変化量を大きくする。