(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
粒子が前記他のビーム検出器では検出されない場合、粒子の位置は、前記第1のビーム検出器によって監視されるが、前記他のビーム検出器によっては監視されない領域であると判断される請求項6〜8のいずれかに記載の粒子検出システム。
隣り同士に配置されたビーム経路を有するビーム検出器を備え、それらの長さは、第1の検出器のビームの長さに沿って粒子検出の場所を決定できるように重なり合っている請求項6〜10のいずれかに記載の粒子検出システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ビーム検出器によって使用される煙検出機構は妥当であるが、ビーム検出器は、一般に、いくつかの問題を抱えている。
【0005】
第1に、ビーム検出器は、異物または他の粒子状物質(塵埃など)が監視対象領域に進入してビームを遮る場合に、タイプI(偽陽性)のエラーに悩まされる可能性がある。ビーム検出器は、一般に、対象である粒子(例えば、煙)によって引き起こされる掩蔽と、対象でない異物(例えば、ビーム中に飛び込む虫)の存在に起因する吸収とを区別することができない。
【0006】
第2に、ビーム検出器は、設置時に入念なアライメント(alignment)を必要とする可能性がある。そのようなアライメントは、煙が存在しない通常の状態において、送信されたビームの大部分が捕捉され、結果として掩蔽に対する感度が最大となるように、光がセンサに進入するのを確保することを目的とする。この較正が、実行に手間をとり、したがってコスト高になる可能性がある。さらに、例えば、ビーム検出器が取り付けられた構造体のわずかな移動などによって、検出器の占める物理的環境が変化する場合に、較正を繰り返す必要がある。場合によっては、検出器への入射光の強度が急激に減少した場合、このアライメントずれがやはり偽の警報を生じさせる可能性がある。
【0007】
この第2の問題を補償する一手法は、幅広い範囲の入射角にわたって高い感度を有する光検出器を導入することである。これにより、そのようでない場合に考えられるビームと光検出器との間の弱いアライメントの影響が軽減される。しかしながら、この解決策には、不要な背景光に対する感度が増加するという代価が生じ、結果として検出プロセスが複雑になり、対象とする粒子の存在の検出に失敗する可能性が高くなる。
【0008】
粒子検出システムの送信機への供給電力が、高価になる可能性がある。供給できる電力量には、現実的/商業的な限界が存在する。電力供給が限られていると、送信機の光出力が制限され、結果として測定される信号の信号対雑音比が制限される。システムの信号対雑音比が低くなりすぎると、システムは、頻繁または連続的な偽警報に悩まされることになる。
【0009】
いくつかのシステムにおいては、受信機において長い積分または平均時間を採用することによって、信号対雑音比を高めることができる。しかしながら、システム応答時間は、通常は10〜60秒であるが、長い積分時間を使用する場合には、より高いレベルへと高めなければならない。これは、望ましいことではない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様において、本発明は、少なくとも2つの波長において監視対象の空間を照射するように構成された少なくとも1つの光源と、視野を有し、少なくとも1つの光源からの光を監視対象の空間を横切った後で受信するように構成され、視野内の領域において受信された光の強度を表わす信号を生成するように構成された受信機と、受信機と接続され、受信機によって生成された信号を処理し、受信機の視野内の対応する領域において少なくとも2つの波長にて受信された光を相関付けて、2つの波長における光の相対的掩蔽(relative obscuration)を表わす出力を生成するように構成されたプロセッサと、を備える粒子検出システムを提供する。
【0011】
他の一態様において、本発明は、少なくとも2つの波長において監視対象の空間を照射するように構成された少なくとも1つの光源と、少なくとも1つの光源からの光を監視対象の空間を横切った後で受信し、受信した光を空間的およびスペクトル的に分解する出力を生成するように構成された受信機と、対応する空間位置において少なくとも2つの波長にて受信された光を相関付けて、監視対象の空間内の粒子の存在を表わす出力を生成するプロセッサと、を備える粒子検出システムを提供する。
【0012】
好ましくは、受信機が、複数のセンサ素子を有するセンサを備える。さらに、少なくとも1つの光源を含む、画像を形成するための画像形成光学系を備えてもよい。
光源は、個々の波長において光を放射するように構成された1つ以上の発光体を含むことができる。光源は、単一の波長または複数の波長で発光することができる。
【0013】
光源は、異なる時点において、該少なくとも2つの波長の各々にて監視対象の空間を照射することができる。代替として、光源は、同時に、該少なくとも2つの波長を含む広い波長帯に渡って発光するように構成された発光体を含むことができる。
【0014】
好ましくは、粒子検出システムは、複数の光源を備えている。
【0015】
プロセッサは、対応する空間位置において少なくとも2つの波長にて受信された光の相対強度を決定し、監視対象の空間内の粒子の存在を表わす出力を生成するように構成することができる。
【0016】
そのようなシステムの動作は、少なくとも1つの光源が受信機を照射するように、光源および受信機を近似的に整列させるステップと、画像センサにおいてどの空間位置が光源に対応し、光源に対応する受信光強度測定値の測定に使用されるかを選択するステップと、を含むことができる。システムの幾何配置が時間とともにドリフトするときに、プロセッサは、好ましくは、どの空間位置が光源に対応するかを時間とともに追跡する。
【0017】
光ビームは、光センサから離れて位置し、監視対象領域を横切って1つ以上の波長の光を放射するように配置された光源を使用して形成することができる。光ビームは、監視対象領域を横切って発光体からの光ビームを反射するように構成された1つ以上の反射ターゲットを用いて形成することができる。この構成においては、発光体を光センサの近傍に取り付けることができ、反射ターゲットを遠方に位置させることができる。
【0018】
システムは、共通の光受信機に受信される複数のビームを含むことができる。
【0019】
別の態様において、本発明は、監視対象空間内の対象の粒子を検出するためのビーム検出器であって、対象の粒子による影響を比較的受けない少なくとも第1の波長と、少なくとも該粒子によって影響を受ける少なくとも第2の波長とを含む複数の波長を含んでいる光を、監視対象領域を横切って投射するための少なくとも1つの光源と、前記投射された光の少なくとも一部を受信し、少なくとも前記第1および第2の波長における前記光源から受信された光の強度を表わす信号を出力する受信機と、前記第1および第2の波長の少なくとも一方における受信機の出力を処理し、前記監視対象領域に対象の粒子が検出されるか否かを表わす出力を提供するように構成されたコントローラと、を備えるビーム検出器を提供する。
【0020】
当然ながら、「第1の波長」および「第2の波長」が、広スペクトルの発光体によって放射される波長成分を示すものでもよく、レーザダイオードまたはLEDなどの狭い通過帯を有する発光体によって発せられるような比較的狭い波長帯を、その波長帯のうちの1つの波長(通常は、真ん中の波長)を指して示すために使用することも可能である(例えば、第1の波長帯が赤外にあって、850nmに中心を有し、50nmの帯域幅を有してもよい)ことは理解されよう。
【0021】
理解されるように、例示の実施例は、可視または可視に近い電磁放射の使用に関係しているが、「光」という用語は、電磁スペクトルを幅広く包含するものと理解することが可能である。しかしながら、EMスペクトルの可視および可視に近い部分においては、実用的かつ安価な生成、制御、集光および受信における課題が、最小限になる。
【0022】
このようにして、第1および第2の波長における受信光のレベルを、対象の粒子の存在と他の要因によって引き起こされる受信光のレベルの変化との間の区別のために使用することができる。
【0023】
光源は、少なくとも2つの波長の光を選択的に(例えば、時間的、空間的、またはスペクトル的に)投射できる。代替として、光源が、少なくとも第1および第2の波長の光を含む広帯域幅の光(例えば、白色光)を投射できる。広帯域幅の光源を有するシステムにおいては、受信機は、カラーフィルタとともに動作して、少なくとも2つの波長を受信し両者を区別するようにしてもよい。
【0024】
好ましくは、少なくとも2つの波長での受信光レベルの相対強度、例えば、両者の比または差が決定される。光の相対強度が実質的に同じである場合、受信光レベルの変化は、監視対象領域の対象の粒子の存在以外の要因に起因すると考えられる。障害条件が満たされた場合、障害を知らせることができる。
【0025】
一方または両方の波長での受信光レベルの変化が、光の相対強度を予め定義した方法で変化させた場合、受信光レベルの変化は、監視対象領域の対象の粒子の存在に起因するものと考えられる。警報条件が満たされた場合、粒子検出警報を生じさせる。
【0026】
好ましくは、第1の波長は、電磁スペクトルの赤外部分にある。第2の波長は、好ましくは電磁スペクトルの紫外部分にある。
【0027】
第1および第2の波長における照射は、好ましくは交互に実行される。交互の照射は、照射無し期間を挿入することができる。
【0028】
他の実施形態において、一方または両方の波長での受信光レベルに基づいて決定される第2の警報条件は、一方または両方の波長での受信光レベルの変化が、第1の警報条件が満たされるようには光の相対強度を変化させない場合、第2の警報条件が満たされるように定義される。
【0029】
好ましくは、第2の警報条件は、一方または両方の波長での受信光レベルの値に基づくものである。さらに詳しくは、第2の警報条件は、一方または両方の波長での受信光レベルの値を閾値と比較する。第2の警報条件は、一方または両方の波長での受信光レベルの変化レートに基づいて決定できる。
【0030】
本発明のこの態様はまた、監視対象領域の粒子を検出する方法であって、第1および第2の波長を含む光であって、第1の波長は監視対象領域を横切る透過が対象の粒子の影響を比較的受けない波長であり、第2の波長は監視対象領域を横切る透過が対象の粒子によって影響を受ける波長である光を、監視対象領域に放射するステップと、
監視対象領域を横切った後の少なくとも第1および第2の波長の光を受信し、少なくとも第1および第2の波長の受信光の強度を表わす信号を生成するステップと、
少なくとも第1および第2の波長での受信光の強度を表わす信号を処理し、対象の粒子が前記監視対象領域において検出されたか否かを表わす出力を提供するステップと、を含む方法を提供する。
【0031】
少なくとも第1および第2の波長での受信光の強度を表わす信号を処理するステップは、第1および第2の波長での受信光の相対強度の変化に基づくことができる。
【0032】
少なくとも第1および第2の波長での光の相対強度が予め定義した方法で変化した場合、前記監視対象領域の対象の粒子の存在を示す出力を生成することができる。好ましくは、2つの波長の相対強度の変化が閾値と比較され、相対的掩蔽の変化が閾値を超えた場合、警報状態が示される。閾値は、ユーザ選択とできるが、好ましくは、10%と50%の間での2つの波長での掩蔽の差を反映する。
【0033】
第1および第2の波長での受信光の相対強度が実質的に安定な状態であるが、1つ以上の波長の受信光の絶対強度が1つ以上の所定の基準を満たした場合、前記監視対象領域の対象の粒子の存在を示す出力を生成できる。
【0034】
本発明の別の態様は、監視対象領域を横切って光を投射するための手段と、前記光を受信するための手段と、処理手段とを備え、前記受信手段は、前記光のうち少なくとも2つの波長の間の区別を行うように構成されており、前記処理手段は、監視対象領域の粒子を表わす信号を、前記少なくとも2つの波長での受信光の相対強度に応答して提供するように構成され、前記処理手段は、監視対象領域の粒子を表わす信号を、少なくとも1つの波長、好ましくは、前記少なくとも2つの波長のうちの一方での受信光レベルに応答して提供するビーム検出器を提供する。
【0035】
本発明のこの態様はまた、監視対象領域の粒子を検出する方法であって、少なくとも2つの波長において受信光レベルを測定し、粒子の濃度を決定するステップと、
前記少なくとも2つの波長における受信光の相対強度に基づいて、少なくとも1つの第1の粒子検出基準が満足されるか否かを判断するステップと、
少なくとも1つの波長における受信光レベルに基づいて、少なくとも1つの第2の粒子検出基準が満足されるか否かを判断するステップと、を含む方法を提供する。
【0036】
更なる態様において、本発明は、粒子検出システムのための受信機であって、視野を有しており、監視対象の区間を横切った少なくとも1つの光源からの少なくとも2つの波長の光を受信するように構成されており、少なくとも1つまたは複数の波長の各々の光源に対応する視野内の領域の受信光の強度を表わす信号を生成するように構成されている受信機を提供する。受信機は、好ましくは、2つ以上の波長での受信光の強度を表わす信号を処理して、2つの波長において少なくとも1つの光源から受信された光の相対的掩蔽を決定するように構成された、関連付けプロセッサを有する。受信機は、例えば、ビデオカメラまたは同様の画像化装置など、複数のセンサ素子を有するセンサであって、各々のセンサ素子が受信機の視野内のそれぞれの領域から光を受信するように構成されているセンサを備えることができる。受信機は、同じ領域において光源からの少なくとも2つの波長の光を受信できる。代替として、受信機は、異なる領域において異なる波長の2つの光源からの光を受信して、異なる波長の2つの光源からの受信光の相対的掩蔽を決定する。
【0037】
更なる態様において、本発明は、粒子検出システムのための受信機であって、視野を有し、2つ以上の波長において視野内の複数の領域から受信される光を区別することができる光センサと、光センサから受信光を表わすデータを受け取り、1つ以上の光源のうちの該当の1つからの光が受信される前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域を特定するように構成されたプロセッサとを備え、前記プロセッサは、前記複数の領域のうちの前記特定された領域における少なくとも2つの波長の受信光の相対レベルに基づいて、監視対象領域の粒子を表わす信号を提供する受信機を提供する。
【0038】
好ましくは、プロセッサは、時間とともに前記少なくとも1つの領域の前記特定を更新するように構成される。好ましくは、光センサは、視野のそれぞれの領域に各々が対応する複数の光センサ素子(例えば、画素)を含む。プロセッサは、光源からの光が受信される1つ以上の光センサ素子を含む部分集合を特定するように構成することができる。プロセッサは、連続した期間で受信データを処理し、時間とももに1つ以上の光源に対応するセンサ素子の部分集合の変化を追跡することができる。
【0039】
好都合なことに、この構成は、アライメントの容易さの点で広い視野のセンサという利点、および受信機ノイズの点で狭い視野角のセンサという利点を有することができる。
【0040】
そのようなシステムの動作は、ビームおよび光センサを、ビームがセンサへ入射するように大まかに整列させるステップと、どの画像センサ素子が受信光強度の測定値を取得するのに使用されるのかを決定するための画像センサ素子選択プロセスを実行するステップとを含むことができる。システムの幾何配置が時間とともにドリフトするときに、プロセッサは、どの画像センサ素子がビームを受信しているかを時間とともに追跡できる。
【0041】
光ビームは、監視対象領域を横切って発光体からの光ビームを反射するように構成された、1つ以上の反射ターゲットによって形成できる。この構成においては、発光体は、光センサ近傍に取り付けることができ、反射ターゲットは遠方に配置できる。実際、受信機は、1つ以上の反射ターゲットに向けて光を投射するための1つ以上の送信機を含んでもよく、前記ターゲットは前記光源を形成する。
【0042】
システムは、共通の光センサにおいて受信される複数のビームを含むことができる。
【0043】
各々の光源は、選択された波長帯の光を選択的に放射するために、1つ以上の帯域通過フィルタを備えてもよい。
【0044】
本発明のこの態様は、このような受信機と、該受信機と共に動作し、少なくとも1つのビーム検出器を規定する少なくとも1つの光源と、を備える粒子検出システムも提供する。好ましくは、このシステムは、少なくとも1つの他のビーム検出器と、制御手段(全体または一部がプロセッサで形成してもよい)と、を備え、この制御手段は、
第1のビーム検出器を使用して粒子を検出し、
粒子が少なくとも1つの他のビーム検出器によって検出されたか否かを判断し、
該判断ならびに、前記第1のビーム検出器および前記少なくとも1つの他のビーム検出器の相対位置に基づいて、検出された粒子の位置を決定するように構成されている。
【0045】
前記少なくとも2つのビーム検出器は、単純には、共通の受信機と共に動作する2つの光源であってよい。
【0046】
好ましくは、粒子が前記少なくとも1つの他のビーム検出器によっても検出された場合、粒子の位置は、両方のビーム検出器によって監視される領域であると判断される。
【0047】
粒子が前記他のビーム検出器では検出されない場合、粒子の位置は、前記第1のビーム検出器によって監視されるが、前記他のビーム検出器によっては監視されない領域であると判断される。
【0048】
好ましくは、前記ビーム検出器は、当該システムによる監視対象領域内の複数の位置が少なくとも2つのビーム検出器によって監視されるように配置される。
【0049】
本システムは、交差領域を監視するように配置された複数のビーム検出器を備えることができる。
【0050】
最も好ましくは、粒子検出システムは、複数のビームの掩蔽を監視することによって対応する複数のビーム検出器を規定するように構成された第1の受信機を含む。
【0051】
一実施形態において、本システムは、複数のビームをそれぞれ監視する2つの受信機を備え、これにより2つのビーム検出器群を規定し、各群のビーム検出器のうちの少なくとも1つが、共通の場所を監視する。好ましくは、各群の各々のビームが、他方の群のビーム検出器によって監視される少なくとも1つの場所を監視する。
【0052】
粒子検出システムは、異なる長さのビーム経路を有するビーム検出器を含むことができる。好ましくは、少なくとも2つのビーム検出器が隣り同士に配置され、それらの長さは、第1の検出器のビームの長さに沿って粒子検出の場所を決定できるように重なり合っている。
【0053】
好ましくは、粒子検出システムは、複数の光ビームを受信するように構成された光受信機を備えている。検出システムは、それぞれの複数の光ビームを受信するように構成された複数の光受信機を備えることができる。
【0054】
好ましくは、光受信機およびビームは、1つ以上のビームが既知の場所において少なくとも1つの他のビームの近傍を通過するように配置され、粒子が少なくとも一対のビーム上で検出された場合、上記場所の1つへの粒子検出事象(event)の位置特定(localisation)が可能になる。
【0055】
本発明のこの態様はまた、複数の光源と、光受信機とを備え、前記光受信機は光センサを含み、前記光センサは、視野を有し、視野内の複数の領域から受信される光を区別できるようにした、粒子検出器の動作方法であって、複数の光源が光受信機の視野内に位置するように光受信機を配置するステップと、光受信機の出力に基づいて、1つ以上の光源のうちの少なくとも2つのそれぞれからの光が受信される前記複数の領域のうちの少なくとも1つの領域を特定し、複数の仮想のビーム検出器を規定するステップと、仮想のビーム検出器の各々を使用して粒子が検出されるか否かを個別に判断するステップと、を含む方法を提供する。
【0056】
本方法は、受信機の視野内の光源および受信機によって規定される前記仮想のビーム検出器の各々に対応する火災警報システム上のアドレスを割り当てるステップ、を含むことができる。
【0057】
本方法は、1つ以上の反射器を配置するステップを含むことができ、これらの反射器が光源を形成し、発光体からの光を反射するように構成されている。
【0058】
更なる態様において、本発明は、複数のビーム検出器を備える粒子検出システムであって、各々のビーム検出器が、該当のビーム経路に沿って送信される個々のビームを有しており、前記ビーム検出器のうちの少なくとも2つのビーム経路が、実質的に一致する領域を有しており、粒子が2つのビーム中に検出された場合、検出された粒子の位置は前記実質的な一致の領域内にあると判断できるようにした粒子検出システムを提供する。
【0059】
好ましくは、粒子が前記2つのビームのうちの一方において検出され、他方においては検出されない場合、検出された粒子の位置は、検出が生じたビームの範囲内かつ前記実質的な一致の領域外の位置であると判断できる。
【0060】
一例のシステムにおいて、前記2つのビームの実質的な一致の領域が、ビームの交差点である。代替として、ビームは、互いに平行に投射可能であり、少なくとも一方のビームの長さの一部において重なり合ってよく、前記実質的な一致の領域が、ビームの重なり合いの領域でもよい。
【0061】
好ましくは、複数のビーム検出器は、光源または光受信機のいずれかを共有する。
【0062】
上述の実施形態のいずれにおいて、空間的に隔てられた2つ以上の光源、反射器、またはビームを使用することができる。
【0063】
別の態様においては、監視対象領域において対象の粒子を検出するように構成された粒子検出器であって、
1つ以上の第1の波長での光を放射し、監視対象領域の少なくとも一部を照明するように構成された遠方照明手段と、
1つ以上の第2の波長での光を放射し、監視対象領域の少なくとも一部を照明するように構成された第2の照明手段と、
前記第2の照明手段と実質的に同じ位置に配置され、第1および第2の波長の放射光の一部を監視対象領域を横切った後で受信するように構成された受信機と、
前記受信機から遠方に配置され、前記第2の照明手段から放射された光を前記受信機へ反射するように構成された反射器と、を備える粒子検出器が提供される。
【0064】
好ましくは、前記反射器および前記遠方照明手段は、実質的に同じ位置に配置される。最も好ましくは、これらは共通の装置に収容される。
【0065】
好ましくは、前記受信機および前記第2の照明手段は、共通の装置に収容される。
【0066】
前記遠方照明手段は、好ましくは電池で駆動される。照明手段は、好ましくは1つ以上の光源を備えている。最も好ましくは、光源はLEDである。
【0067】
本システムは、複数の遠方照明手段及び/又は反射器を含むことができる。
【0068】
別の態様においては、本発明は、こうしたシステムで使用するための遠方照明手段および反射器を組み込んだ装置を提供する。
【0069】
粒子検出システムのための光源は、光ビームを投射するように構成された少なくとも1つの発光体と、発光体を支持するハウジングと、ハウジングを支持構造へと取り付けできるようにする取り付け手段とを備えており、取り付け手段は、ハウジングの向きが光源を支持する支持構造体に対して変更できるように、ハウジングに接続されている。
【0070】
光源または受信機は、光ビームの投射方向と、光源を支持する支持構造体および取り付け手段の軸の一方または両方との相対向きを示すためのインジケータをさらに備えることができる。
【0071】
インジケータは、取り付け手段の軸に関する角度の向きを示す一部分と、光ビームの投射の方向に関する角度の向きを示す他の部分とを有するダイアルを備えることができる。
【0072】
光源および受信機は、受信機に対する光源のアライメントに使用される着脱式の照準手段とともに動作するように構成することができる。
【0073】
ビーム検出器において受信機と光源とのアライメントを示す方法であって、前記光源は、受信機によって受信される2つの部分的に重なり合う光ビームを放射するように構成されており、
前記重なり合う光ビームのうちの第1のビームを第1の変調機構で変調するステップと、
前記重なり合う光ビームのうちの第2のビームを、前記第1の変調機構とは区別可能な第2の変調機構で変調するステップと、
前記光源から光を受信するステップと、
受信された光において検出される変調機構に基づいて前記光源と前記受信機との相対アライメントを判断するステップと、を含む方法。
【0074】
好ましくは、本方法は、受信された光の成分が前記第1および第2の変調機構の各々に従って変調されている場合、前記光源および前記受信機の正しいアライメントを示すステップを含む。
【0075】
好ましくは、本方法は、受信された光が前記第1および第2の変調機構の一方のみに従って変調されている場合、アライメントずれを示すステップを含む。
【0076】
受信機によって受信される光ビームを放射する、粒子検出システムの光源の状態を検出する方法であって、
前記光源の発光を所定の変調機構に従って変調するステップと、
所定の状態が前記光源に存在する場合、前記変調機構を変化させるステップと、
前記受信機によって受信された光において前記変調機構の変化を検出するステップと、を含む方法。
【0077】
好ましくは、表示される状態は、前記光源の電池残量小の状態である。
【0078】
本方法は、変調機構を、所定の変調機構と、変化した変調機構との間で間欠的に変化させることを含むことができる。
【0079】
ある領域での粒子を検出するための方法であって、
全体領域を観察するには不充分な視野を有する受信機を用意するステップと、
受信機に向かって前記領域を横切って投射される複数のビームを形成するステップと、
受信機の視野の向きを変化させて、複数のビームを監視するステップと、
各々の受信ビームから受信される光の各々のレベルに基づいて、前記領域において粒子が存在するか否かを判断するステップと、を含む方法。
【0080】
受信機に向かって前記領域を横切って投射される複数のビームを形成するステップは、変化する受信機の視野に一致するように、前記領域を横切ってビームを投射するステップを含むことができる。ビームは、光源によって直接形成することができ、あるいは光源を反射器から反射させることによって形成することができる。
【0081】
好ましい形態において、本方法は、複数のビームからの光を順次、受信するために所定の角度だけ視野を走査するステップを含んでいる。本方法は、光源を受信機の視野に合わせて前記領域を横切って走査するステップと、複数の反射器から反射された光ビームを受信するステップとを含むことができる。
【0082】
更なる態様において、本発明は、上述の形式の粒子検出器を使用して、ある領域の粒子を監視する方法であって、
遠方照明手段を使用して、監視対象領域の少なくとも一部を照明するステップと、
前記遠方照明手段による放射の少なくとも一部を監視対象領域を横切った後で受信するステップと、を含み、
さらに、前記受信光レベルが少なくとも1つの所定の基準を満たす場合には、
第2の照明手段を使用して監視対象領域の少なくとも一部を照明するステップと、
第2の波長において放射された光の少なくとも一部を監視対象領域を横切った後で受信するステップと、
一方または両方の波長の受信信号に基づいて、監視対象領域に粒子が存在するか否かを判断するステップと、を含む方法を提供する。
【0083】
一態様において、本発明は、粒子検出器において使用するための光源であって、
それぞれの方向に光ビームを投射するように配置された複数の発光素子と、
前記発光素子のうちの1つ以上を選択的に発光させるための手段と、を備え、
少なくとも1つの選択された方向に投射するように構成できる光源を提供する。
【0084】
好ましくは、発光素子は、LEDである。
【0085】
好ましくは、前記発光素子は、比較的狭い照射野を有しており、光源が比較的広い照射野を有することができるように配置される。好ましくは、各々の発光素子の照射野は、他の発光素子の照射野と少なくとも部分的に重なっている。
【0086】
光ビームを生成するために本発明の先の態様の光源を備えている粒子検出器における方法であって、
光ビームの所望の投射方向を決定するステップと、
前記所望の方向に光ビームを投射する1つ以上の発光素子を選択的に発光させるステップと、を含む方法。
【0087】
本方法は、1つ以上の発光素子を発光させ、受信機において光ビームの受信を監視し、光ビームが受信されない場合、別の発光素子を選択して発光させるステップを含むことができる。このステップは、光ビームが検出されるまで繰り返すことができる。
【0088】
上述の実施形態において、各々の光源は、ここで説明した粒子検出方法のうちの任意の1つの粒子検出方法の実施形態が実施できるように、複数の波長、好ましくは、2つの波長において発光を生成するように構成できる。
【0089】
上述の実施形態において、光源は、変調機構に従って2つの波長の光を生成するように構成できる。この機構は、第1の波長の少なくとも1つの光のパルスと、第2の波長の光のパルスとを含むパルス列を含むことができる。一方または両方の波長の複数のパルスを、パルス列に含ませせてもよい。複数の光源を使用する場合、光源の変調パターンは、同じでも異なってもよい。さらに、光源の変調パターンは、好ましくは、互いに同期していない。
【発明を実施するための形態】
【0092】
図2は、本発明の実施形態を示す。検出器200は、監視対象領域208内の粒子を検出するために協働して機能する、発光体202、受信機204、およびターゲット206を備える。ターゲット206が、入射光210を反射させることによって光源を形成し、反射光212を受信機204へと返す。好ましくは、ターゲットは、光を入射経路または他の所定の経路に沿って反射させるように構成されたコーナーキューブまたは他のリフレクタである。
【0093】
使用した用語「光源」は、1つ以上からの照明を能動的に生成する装置(ここでは概して、発光体または送信機と称している)、そして他の装置によって生成された照明の反射体(ここでは概して、ターゲットまたはリフレクタと称している)を含むと解釈されることを意図している。
【0094】
好ましい実施形態においては、受信機204は、好ましくはビデオカメラまたは光センサのアレイを有する他の受信機である。当業者であれば、受信機204を、本発明の技術的思想から離れることなく、1つ以上のCCD(電荷結合素子)イメージセンサまたはCMOS(相補型金属酸化物半導体)イメージセンサなどといったさまざまな種類のイメージセンサや、あるいは視野全体にわたる複数の点の光の強度を記録および報告できる任意の装置を使用して構成できることを、理解できるであろう。
【0095】
受信機204は、自身の視野220内のすべての光を受信し、自身の画像センサ上にターゲット206を含む自身の視野220の画像を形成するための像形成光学系を備える。この光には、反射光212が含まれる。受信機204が、自身の視野内のすべての光の強度を、視野全体にわたる一連の位置における画像強度を表わすデータの形態で記録する。このデータの一部が、少なくとも部分的に、反射光212に対応する。受信機204は、画像データをマイクロコントローラへと通信する。マイクロコントローラが、画像データを分析し、データのどの部分が反射光212の最良の評価をもたらすかを判断する。受信機204が、広い視野を有しており、この視野内の幅広い範囲の点における光を測定できるため、発光体202をターゲット206または受信機204に慎重に整列させる必要がない。なぜならば、アライメントずれの影響が、反射光212の指標として、データのうちの異なる部分(視野内の別の画素に対応する部分)が使用されるにとどまるからである。したがって、受信機の視野がターゲット206を含んでいる限りにおいて、画像内の1つ以上の対象の領域が、反射光212の測定値を含んでいる。対象の領域以外の領域からの更なる背景光または迷光を、マイクロコントローラによって無視できることに注意すべきである。
【0096】
マイクロコントローラは、画像センサのどの画素が反射光212に対応するのかを、例えば画像の特定の部分の画像の他の領域と比べた相対強度にもとづいて、判断することができる。同様に、環境について得られた情報または履歴的に記録されたデータを使用することが可能である。この決定プロセスの終わりにおいて、マイクロコントローラは、おそらくは画像センサから読み出された画素または画素群に対応しており、反射光212の強度を測定するために最も信頼できるものとして使用することができるデータの一部を選択する。
【0097】
今、マイクロコントローラは、画像のうちで、反射光212に対応するものとして先に選択された領域を監視する。煙または他の粒子状物質が監視対象領域208に進入した場合、煙または粒子状物質によって、入射光210または反射光212が掩蔽され、あるいは散乱させられる。この掩蔽または散乱が、マイクロコントローラによって決定された画像の領域において測定される反射光212の強度の低下として検出される。
【0098】
マイクロコントローラによって反射光212を含むものとして選択された領域の外側に属する画素は、これらの画素が受け取る光は反射光212に対応していないため、無視することが可能である。
【0099】
時間とともに、建物が動き、あるいは他の要因によってシステムの幾何配置が変化するとき、ターゲット206は依然として受信機204の視野内にあるが、ターゲット206の画像は、受信機204の画像検出器上の異なる点に現れる。この検出器の画像の動きに対応するために、マイクロコントローラは、時間が経っても正しい画像領域について煙の検出を実行できるよう、光センサにおけるターゲット206の画像を時間とともに追跡するように構成される。
【0100】
図3Aおよび
図3Bは、
図2のシステムの光受信機204の光センサにおいて異なる時点に受信される画像を概略的に示している。この実施形態において、センサの出力が、複数の位置について、受光された光の強度を決定することを可能にしている。センサの一形態は、CMOS撮像チップなどであり、複数の画素302を含んでおり、各々の画素が光受信機の視野300内の位置に対応している。使用時、マイクロコントローラが、複数の画素(例えば、302)の光強度を読み出す。任意の所与の画像フレームにおいて、受信される光のレベルは、画素のアレイ300において画素ごとにさまざまである。
【0101】
画像を分析することによって、マイクロコントローラは、特定の画素(または単一の画素)が、受信機204の視野内に位置するターゲット206の画像に対応すると判断することができる。この画素群(符号304)が、他の画素よりも実質的に高い受光レベルを有しており、光源によって送信されて受信されたビームに対応している。
【0102】
時間とともに、建物が動き、あるいは他の要因によってシステムの幾何配置が変化するとき、ターゲット206は依然として受信機204の視野内にあるが、ターゲット206の画像は、受信機204の画像検出器上の異なる点に現れる。この検出器の画像の動きに対応するために、システムのマイクロコントローラを、時間が経っても正しい画像領域について粒子の検出を実行できるよう、光センサにおけるターゲット36の画像を経時的に追跡するように構成することができる。
図3Bが、視野300内のターゲットによって引き起こされる「スポット」が矢印310によって示される方向に移動している点を除き、
図3Aと実質的に同一である。
【0103】
一実施形態においては、「スポット」の追跡を、視野内の「スポット」に対応する第1組の画素座標を最初にメモリに保存するマイクロプロセッサによって実行することができる。定期的に、マイクロコントローラが、「スポット」に対応する画素を含むスポットから所定の距離の範囲内の画素の測定値を調査する。次に、マイクロコントローラは、上記周囲の領域からn個の最も明るい画素を選択することによって、画素座標の第2のリストを計算する。次に、第2のリストが第1のリストと比較され、リストが、m組を超える画素座標において異なっている場合に、エラーが示される。リストの相違が、m組以下の画素座標である場合には、画素座標の第2のリストが、画素の第1のリストに代えて保存される。
【0104】
別の機構においては、システムのコントローラが、受信した画像を分析し、画像のどの部分が受信されたビームにもっとも強く相関した情報を含んでいるかを判断することができる。この決定プロセスの終わりにおいて、コントローラは、個々のそれぞれのセンサまたはセンサ群によって生成された信号のうちの2つの部分を選択しており、選択された信号を、ビームの強度を測定するために最も信頼できるものとして使用することができる。最も信頼できるものとして使用することができるデータを有するセンサを選択する1つのやり方は、煙検出器の試運転の際に受信機によって生成された画像を眺め、適切なセンサを選択することである。
【0105】
計算による受光ビームの強度が実際の受光ビームの強度に可能な限り近くなることを確保する更なる機構として、マイクロコントローラにおいて、特定のセンサ素子に対応する値を使用するか否かを、その素子の画像強度全体への寄与に応じて決定することが挙げられる。例えば、センサ素子の出力から、コントローラが、ビームの「信号中心」位置を決定できる。信号中心位置は、計算において各画素(すなわち、センサ素子)がもたらす信号値が質量の代わりに使用される点を除き、重心位置に類似している。例えば、以下の式を使用することができる。
【0106】
信号中心位置ベクトル={(各画素の位置ベクトル)×(各画素の値)の総和}/{全画素からの値の総和}
【0107】
信号中心位置を決定した後で、コントローラは、受光ビーム強度の値に寄与する各々のセンサ素子による信号(すなわち、各々のセンサによって生成される電気信号に対応する)を、そのセンサ素子の間の距離に応じて重み付けすることができる。このようにして、コントローラは、ターゲットの画像を最もよく表わす信号を有しており、センサ上のビーム画像位置のドリフトに起因して次の測定から脱落する可能性が最も低いセンサ素子を判断する。
【0108】
使用時、マイクロコントローラは、この画素群において受信された光の強度を、先の画像において受信された光と比較し、監視対象領域208内の粒子に起因するビームの掩蔽が増えたか否かを判断する。
【0109】
次に、マイクロコントローラは、従来からの煙検出法を使用して、煙が検出された時を判断し、警報を生じさせるか否かを判断することができる。例えば、煙を、受信される光のレベルを監視することによって検出することができ、受信光の選択された特性が1つ以上の所定の基準を満たす場合に、監視対象の空間に煙が存在すると判断される。例えば、受信光のレベルが所定のレベルを下回って低下する場合に、煙が存在すると判断することができる。あるいは、受信光のレベルの変化の速度が所定のレベルを超える場合に、煙が検出されたと判断することができる。煙検出の基準が、警報の発生までに、受信光のレベルが所定の期間を超える時間にわたって閾値を下回らなければならないなど、時間的条件をさらに含んでもよいことを、理解できるであろう。
【0110】
システムの感度を向上させるために、測定される受信光の強度への背景光の影響を最小限にするための打ち消しアルゴリズムを使用することができる。そのようなアルゴリズムの1つは、受信機の視野の画像を光源をオンおよびオフにして交互に取得することによって機能する。測定された「オフ」フレーム(すなわち、照射なしで取得された画像)の光の強度を、「オン」フレーム(すなわち、照射ありで取得された画像)から引き算することができる。これにより、光源による照明に起因しない受信光、すなわち背景光を、実質的に取り除くことができる。
【0111】
「オフフレーム」の取得を、例えば光源への制御入力を変調させ、あるいは特定の波長を有する光を一時的に阻止するフィルタを光源の前方に導入して、特定の波長を有する光源を選択的に抑制するなど、さまざまなやり方で達成できることを、当業者であれば理解できるであろう。また、背景光の除去を、例えば適切なフィルタの使用や、何らかの他の演算手法によるなど、単純な引き算以外のやり方によっても実現できることを、当業者であれば理解できるであろう。
【0112】
本発明の好ましい実施形態においては、ターゲットが、2つ(または、それ以上)の波長で照射される。
図4が、2つの波長λ
1およびλ
2の光を発する複数の発光体を有している本発明の実施形態を示している。この例は、2つの実質的に同一線上の経路に沿って光を放射する赤外(IR)の発光体および紫外(UV)の発光体402を備えている。さらに、監視対象領域408の煙を検出すべく協働して働く受信機404およびターゲット406を備えている。ターゲット406が、入射UV光410を反射UV光414として反射させ、入射IR光412を反射IR光416として反射させる。2つの波長は、検出対象の粒子(例えば、煙粒子)の存在において異なる挙動を示すように選択されている。このやり方で、2つ(または、それ以上)の波長における受信光の相対変化を、ビームの減衰の原因を知らせるために使用することができる。
【0113】
受信機404が、反射赤外光416および反射紫外光414の両者を、視野内の他の光とともに受信する。受信機404は、上述のように、自身の視野内のすべての光の強度を、視野全体にわたる一連の位置において記録する。このデータの一部が、少なくとも部分的に、反射赤外光414の強度に対応する。このデータの一部が、少なくとも部分的に、反射紫外光414の強度に対応する。受信機404は、画像データを処理するためのマイクロコントローラ424を備えている。
【0114】
このシステムにおいて、上述の背景打ち消しの手法を適用するために、波長λ
1およびλ
2で発光する2つの光源を、ブランクフレームの取得を可能にすべく、間に照射なしの短い期間を有しつつ交互に動作するように構成することができる。この実施形態の単純な形態においては、照射パターンおよび受信機を、以下のとおりに動作するように同期させることができる。
【0116】
あるいは、各々の波長について別々の撮像チップを使用するシステムや、各々の波長において連続的な照射を用い、受信光を選択的にフィルタ処理してオンおよびオフフレームを生成するシステムなど、より複雑なシステムを実現することも可能である。
【0117】
マイクロコントローラ424がデータを分析し、上述のように、データのどの部分が反射紫外光414および反射赤外光416のそれぞれに最も強く関係する情報を含んでいるかを判断する。
【0118】
次に、粒子検出アルゴリズムを、上述のように、受信UV光および受信IR光に対して独立に適用することができる。しかしながら、2つの波長が、検出対象の粒子(例えば、煙粒子)の存在において異なる挙動を示すように選択されることが好ましい。このやり方で、2つ(または、それ以上)の波長における受信光の相対変化を、ビームの減衰の原因を知らせるために使用することができる。受信ビームの相対の掩蔽が所定の閾値を下回って低下する場合、警報を発することができる。
【0119】
空気中での光ビームの減衰は、主として、空気中の粒子との相互作用に起因する光の一部の軸外への散乱の作用によって生じる。UV光は、例えば煙などの小さな粒子によって比較的強く散乱させられ、IRは、そのような粒子による散乱がより少ないため、煙検出器において、IRビームを、主たるUV煙検出ビームのための基準ビームとして使用することができる。この例では、UVおよびIRビームの両者が、システムのドリフト、システムの光学系の汚れ、ビームを横切る大型の異物(例えば、鳥など)、または塵埃などの比較的大型の妨害粒子などの事態によって引き起こされる受信強度の変化に同じように影響される一方で、UV光が、煙(典型的には、小さな粒子が支配的である)によってより大幅に減衰させられる。システムにおいて使用される波長を慎重に選択することによって、所望の粒子サイズを選択的に選択することができる。この例は、基準波長として850nmのIR波長を使用しているが、いくつかの実施形態においては、1500nmなどのより長い波長を使用することができる。同様に、より短い波長のビームを、より小さい粒子についてより高い感度を達成するために、例えば200nmなど、より短くすることができる。より長く、あるいはより短い他の波長も、使用することが可能である。しかしながら、そのようなシステムにおける発光体および受信機の実現のコストが、多くの用途において、それらを法外に高価にする可能性がある。
【0120】
図5Aおよび
図5Bが、2つの波長におけるシステムの受信光強度を時間とともに概略的に示している。これらの図において、UV光の受信光レベルが、曲線1402によって示されており、IR光の受信光レベルが、曲線1404によって示されている。一般に、2つのビームの受信光強度は、時間につれて類似の方法で変化するため、2つのビームの受信光強度の比は、時間が経っても実質的に一定である。時刻506において、2つの曲線1402および1404が分かれている。このことは、UVビームをIRビームよりも大きく減衰させる事象が生じたことを示している。結果として、受信されるURおよびIR放射の比が、実質的に一定な状態から遠ざかる。
【0121】
このことは、上述のUVおよびIR放射の特性ゆえ、煙などの小さな粒子がビームの経路に進入して減衰を引き起こしたことを示しており、マイクロプロセッサは、煙が検出されたことを知らせるように構成できる。
【0122】
図5Bは、ビームが別の原因によって減衰させられた場合を示している。時刻510において、両方のビームの受信強度が、大きく低下している。このことは、掩蔽の原因が波長依存性ではなく、アライメントの問題か、あるいは大型の異物のビームへの進入か、のいずれかである可能性が高いことを示している。
【0123】
この単純な例に見られるように、基準ビームおよび主たる検出ビームを使用することによって、粒子検出と思われる事象と、ビーム減衰の他の原因との間の区別が可能になる。
【0124】
本明細書に記載の光の波長は、あくまでも例として提示されており、システムを特定の種類の粒子の検出に適合させることができる他の波長を選択できることを、本発明者は予期している。特に好ましい実施形態においては、基準ビームが、対象とする粒子によって吸収されたり、散乱させられたりすることが全くないが、他のすべての事象によって減衰を受ける。この場合、基準ビームは、システムへの構造的な影響または異物の影響だけを知らせることができる。
【0125】
しかしながら、本発明者は、特定の状況において、これら2つの波長において煙の検出を実行し、一方の波長の受信信号を他方の波長の受信信号から引き算し、あるいは2つの波長の受信信号の比をとることが、特定の種類の粒子または特定の粒子サイズ分布を有する粒子雲の存在において、失敗する傾向があることを見出した。
【0126】
例えば、以下の設定を使用して煙を生じさせる煙検出テストを、2波長の煙検出システムについて実行した。白色の綿タオルを電気素子の周囲にきっちりと巻き付け、素子およびタオルを容器内に配置した。素子を通電すると、大量の煙が生じた。この発生源からの煙を、紫波長(405nm)および赤外波長(850nm)の光透過率を測定する装置へと導入したところ、これらの波長はほぼ等しく影響を受けて、差または比の測定に依存した煙検出器が有効でないことが明らかになった。これに対して単一の赤外波長で動作する煙検出器は、この煙を容易に検出した。
【0127】
図11Aは、2つの波長λ
1およびλ
2における煙検出器の応答の例を示している。図示のように、2つの波長における受信光強度が時間とともに変化しているが、最初は、2つの波長においてほぼ平坦かつ等しい。時刻t
1において、(上述の方法で生成した)煙が検出器に進入し、各々の波長における受信光強度が大きく低下している。しかしながら、
図5Aに示した事例と異なり、両方の波長λ
1およびλ
2における応答が、時刻t
1の後で同時に低下している。
【0128】
この傾向は
図11Bにおいて見ることができ、2つの波長λ
1およびλ
2(例えば、λ
1=405nm、λ
2=850nm)における煙検出器の出力の比較を
図11Aと同じ時間スケールで示している。2つの波長の比較は、λ
1における受信光強度のレベルからλ
2における受信光強度のレベルを引き算したものや、これらの値の比や、あるいは何らかの他の指標など、任意の公知の比較の指標であってよい。図示のように、λ
1およびλ
2における応答がほぼ同じ状態であるため、
図11Bにおける比較曲線は、波長λ
1における応答が波長λ
2における応答と同じであることを示す中心位置から、大きく離れるように変化することがない。煙検出器が、比較の値が所定の閾値(例えば、T
1)に達したときに警報状態に移行するように構成されている場合、
図11Aに示した状況は、警報発生を引き起こすことがないと考えられる。通常の動作において、本発明者は、10%〜50%の間の相対の掩蔽の変化を反映する閾値が良好に機能することを明らかにした。しかしながら、所望の閾値レベルを、偽の警報と感度との間のバランスを実現するように設定することができる。
【0129】
本発明者は、上記の欠点に対処する2つの方法を考え出した。そのような方法を、上述の欠点を回避するために、前方散乱または後方散乱の構成で受信される散乱光に基づいて粒子の存在を検出する検出器など、上述のような粒子検出器の実施形態または他の種類の粒子検出器において、単独または一緒に使用することが可能である。
【0130】
1つの例示の実施形態において、本発明者は、上述の方法で生じる煙を基準波長を用いてより良好に検出でき、システムは、第3の光ビームを放射する第3の波長の発光体で補強できることを明らかにした。本発明者は、約540ナノメートルに中心を持つ波長帯のビームが、意外にも上述の煙テストにおいて粒子の影響を受けないことを、実験的に明らかにした。
【0131】
図12Aは、上述のやり方で生成された煙の存在下において、λ
1、λ
2、およびλ
3で表わされる3つの波長(例えば、λ
1=405nm、λ
2=850nm、およびλ
3=520nm)で動作する煙検出器の応答について例示の線図を示しており、λ
3が、可視光スペクトルの緑色部分にある。この場合に、λ
1およびλ
2についての線図は、
図11Aと同じであるが、λ
3についての線図は、図示のように、かなり異なっている。この点に関し、初期には(即ち、時刻t
1より前)、λ
1についての線図が、λ
1およびλ
2とほぼ同じである。λ
1およびλ
3の線図の間の比較を示している
図12Bの対応部分は、ほぼ平坦であって、λ
1=λ
3の線の近くで変化している。
【0132】
煙が検出器に導入された時刻t
1の後、λ
1およびλ
2の線図は一緒に低下しているが、λ
3の線図は、はるかに遅い様子でしか減少していない。従って、
図12Bに見られるように、λ
3とλ
1との間の比較は増加し、最終的に警報の閾値T
1を横切る。当業者は理解できるように、類似の曲線が、λ
3の応答をλ
2の応答と比較することによっても生成されると考えられる。
【0133】
このように、ここで説明した形式の粒子検出器において、2波長システムを少なくとも1つの基準波長(例えば、緑色の波長)で補強することによって、それ以外では検出できない粒子検出の事象が検出できるようになる。
【0134】
代替の形態において、上述のような3つ(または、それ以上)の波長のシステムではなく、いずれか一方の照射およびただ1つの他の色の照射を含む2波長のシステムが使用可能である。
【0135】
図13は、本発明者によって究明された第2の機構を示し、上述の煙の検出における従来技術の欠点を改善するために使用できる。この手法は、多数の波長を使用する煙検出器において採用される先の手法と対照的である。市販の特定の吸引式(aspirated)検出器またはポイント検出器は、煙を検出するために複数の波長の光を使用し、ある波長での受信機信号を他の波長において検出された受信機信号から引き算し、あるいは2つの波長における煙検出器の出力の比をとることで、煙の存在を検出する。しかしながら、上述したように、この手法は、両方の波長が等しく(または比例的に)減衰を受ける場合、煙の検出に失敗する。例として、国際特許出願WO2008/064396(Siemens Schweiz AG)が、複数波長の煙検出器を記載しており、短い波長の信号を使用し、短い波長の応答が長い波長の応答よりも実質的に大きい場合に小さな粒子の検出を向上させている。しかしながら、各々の波長における応答が実質的に同様である(例えば、一方の応答が、他方の波長における応答の60%〜95%の間である)場合に、発明者は、2つの波長における応答の比を使用するように教示している。小さな粒子に比べて大きな粒子の割合が異常に高い燃焼生成物、例えば、空気供給が制限された状態で物質を加熱することによって生成されるものが存在する場合、両方の波長における応答がほぼ同じであるため、検出器が常に比較測定を使用し、決して警報を発することがなく、煙の検出に失敗すると考えられる。
【0136】
本発明者は、2つの波長における検出器の応答の間の比較の値に関係なく、警報を生じさせるために使用されるフォールバック(fallback)検出閾値を適用することによって、この問題を克服できることを見出した。
【0137】
即ち、
図13において、閾値T
2が設定され、λ
1およびλ
2のいずれかまたは両方における受信光強度がいったんこの閾値未満に低下すると、警報状態が知らされる。
【0138】
このような閾値は、煙検出ビームが異物によって妨げられた場合に偽の警報を生じさせるかもしれないが、掩蔽信号の変化レートを分析したり、適切な警報遅延を適用する等によって、このリスクは最小限にできる。理解されるとおり、固形物は、典型的には急激な掩蔽の変化を生じさせるが、煙の雲は、典型的には、それよりもある程度ゆっくりと集まり、各々の波長における変化レートはより遅くなる。さらに、短い期間に渡って掩蔽を平均化することによって、一時的な掩蔽、例えば、鳥がビームを通って飛行することで生ずるようなものは、おおむね無視できる。
【0139】
図6は、複数のターゲットを同時に監視できる実施形態を示している。この実施形態によれば、検出器600は、監視対象領域610の煙を検出するために協働する発光体602、受信機604、第1のターゲット606、および第2のターゲット608を備える。ターゲット606は、入射光612を反射させ、受信機604へと戻る反射光614が得られる。ターゲット607は、入射光616を反射させ、受信機604へと戻る反射光618が得られる。
【0140】
先の実施形態と同様に、受信機604は、画像データを処理するためのマイクロコントローラ624を備えている。マイクロコントローラ624は、データを分析し、データのどの部分が反射光614および反射光618のそれぞれに最も強く関係する情報を含んでいるかを判断する。この決定プロセスの終わりにおいて、マイクロコントローラ624は、画像センサから読み出されたそれぞれの個々の画素またはそれぞれの画素群に対応しており、反射光614および反射光618それぞれの強度を測定するために最も信頼できるものとして使用することができるデータの2つの部分を選択することになる。
【0141】
このようにして、システム600は、追加のターゲットを付加するだけで、2つのビーム検出器の機能を果たすことができる。この原理は、任意の数のターゲットおよび反射光ビームを含むように拡張できることを、当業者は理解されよう。
【0142】
図7は、本発明のさらに別の実施形態を示している。この例においては、システム700は、監視対象領域708の両側に配置された受信機704および発光体706だけを備える。この場合、発光体706は、受信機によって画像化される光源である。最も好ましくは、発光体は、監視対象領域708を横切って1つ以上の光ビームを放射するように構成された1つ以上のLEDまたは他の発光素子を含む電池駆動のユニットであるが、他の光源(例えば、商用電力によって動作し、あるいはデータケーブルによって受信機へと接続されたもの)も使用可能である。発光体706は、受信機704の視野内に配置され、受信機704を含む空間に、広い光ビーム(またはコーン(cone))を放射するように構成される。受信機704は、上述と同様に、(1つ以上の波長の)受信光を処理するように構成される。この場合、マイクロコントローラは、光源から放射された光が直接入射する画像センサの画素を特定するように構成される。次に、受信ビームの掩蔽の測定に基づく粒子の検出が、先の実施形態に関して説明したように進行する。理解されるとおり、光源は、複数の波長で発光できる(例えば、複数のLEDまたは多色のLED、あるいは広帯域光源を含むことによって)。
【0143】
好ましい実施形態においては、遠方の光源が、互いに独立して、自走式、即ち、光受信機とは独立して動作する(即ち、受信機と光源との間の通信のための有線または光通信のチャネルが存在しない)。この実施形態においては、受信機が、各々の光源のタイミングを識別する必要がある。次に、自己のフレームレートを変更して、光源と同期させるプロセスに進むことができる。この同期化は各々の光源について別個独立に実行する必要があり、次に、各々の光源との位相の同期を可能にするためにフレームレートが連続的に調節される。
【0144】
より複雑な実施形態においては、カメラが遠方の光源と通信し、カメラのフレームレートを光源の照明変調と同期させる。
【0145】
好ましい同期機構は、以下のように機能する。最初にビーコンをオンにして、未知のレートで変調機構に従って光ビームを生成する。受信機は、連続的に動作し、各々の光源に対応する画像センサの画素または画素群を特定するように構成される。一旦これが実行されると、受信機は、各々の光源の変調レートを特定することができ、それに応じて受信機のシャッタの位相およびフレームレートの一方または両方を調節することができる。
【0146】
後述の本発明の実施形態においては、走査型のカメラまたは光源を使用しており、受信機のフレームレートおよび位相ならびに光源の変調レートは、システムの走査レートと一致するように決定できる。
【0147】
本発明の好ましい実施形態においては、システムの電力供給が火災警報ループから得られ、設置コストを最小限にする。これは、電力供給または発光体と受信機との間のデータ通信のための専用の配線を不要にすることで、装置の設置コストを最小限にする。しかしながら、火災警報ループは、通常は、検出器にきわめて少量のDC電力しか供給することができない。例えば、そのような検出器について、約50mWという平均の電力消費が望ましいかもしれない。しかしながら、現在の技術では、映像の取得および処理の際に消費される電力が、ループから得られる50mWよりもはるかに多い。この問題に対処するために、別個の電源を使用することが可能であるが、コストがかかる。それは、火災安全設備についての規格が厄介であり、例えば、完全に認可および監督された電池予備電源および固定された商用電源配線が要求されるためである。
【0148】
受信機側での電力の消費を削減するために、光源を受信機から離して取り付け、光源を電池で動作させることが可能である。これは、LEDなどの低電力光源を使用することによって可能になる。最も好ましくは、電池の寿命を延ばすために、光源は比較的低いデューティ比で変調される。
【0149】
上述のように、遠方に取り付けられた光源を使用する場合、遠方の光源は受信機を直接照射するため、反射ターゲットが不要である。しかしながら、主たる光源が受信機から離して取り付けられて、監視対象の領域を横切って受信機に向けて光ビームを送信し、第2の光源が受信機に取り付けられるハイブリッドシステムを使用することが、好都合となる。そのような構成を使用し、初期の主たる煙検出を、遠方に取り付けられた光源を使用して実行でき、所定の煙検出閾値(例えば、掩蔽の閾値)に達した場合には、受信機に取り付けられた光源を起動させることができる。そのような機構では、反射ターゲットが、受信機に取り付けられた光源のビームを、検出用の受信機へ反射させる必要がある。そのようなシステムにおいては、受信機取り付け光源は、上述のような複数波長検出を実行するために、複数の波長において動作することができる。受信機取り付け光源は、ビーコンに取り付けられた光源と同じまたは異なる波長で動作することができる。
【0150】
図14は、光源およびターゲットを複合させた典型的な構成を示している。ビーコン1800は、逆反射ターゲット部1802および光源1804を備える。
図15は、ビーコン1800の構造をよりよく示すために、ビーコン1800の側面切断図を概略的に示している。ビーコン1800の下半分が、コーナーキューブ1806の形態の逆反射部を備えている。当業者に知られているよう、コーナーキューブは、典型的には、90°の内角で出会う隣接面を有している1つ以上の反射の構成を備えている。そのような構成を用いて、光は、入射ビームと平行な方向に反射部から遠ざかるように反射する。ビーコン1800の上部は、光源1804を備える。光源1804は、電池1812で通電される駆動回路1810と接続されたLED1808を使用して照明する。LED1808が放射した光は、レンズ1814として示す光学系を通過できる。図示のように、この形式の装置は、外部電源と接続したり、通信回線を介して受信機と接続する必要がない。
【0151】
いくつかの事例において、送信機または受信機のレンズまたは窓が、レンズまたは窓の表面へ凝縮物としての水分子の付着によって隠蔽される可能性がある。そのようなレンズの掩蔽を避けるために、考えられるいくつかの手法が存在する。
図15を例として使用し、一実施形態においては、加熱装置がレンズ1814の内部または付近に設けられる。加熱装置が、レンズおよびハウジング1814の内部の空気の温度を高め、凝縮に起因する掩蔽の低減を支援するように機能する。代替の実施形態においては、乾燥剤または他の吸湿性の物質がビーコン1800の内部に設けられ、空気から水分を吸収して、凝縮の可能性を低減している。当業者であれば理解できるとおり、いずれの手法も、ある変更によって受信機704へと適用することができる。
【0152】
図16は、本発明の実施形態によるビーコン100の更なる実施形態を示している。
【0153】
この実施形態において、ビーコン100は、逆反射部102および光源部104を備えている。しかしながら、この実施形態は、2つのLED106および108が設けられている点で、
図14および15の実施形態のものと相違している。各々のLED106および108は、粒子検出器を上述の方法で複数の波長において動作できるように、異なる波長の光ビームを生成できる。
【0154】
このようなビーコンは、粒子検出用に2つ以上の波長の光を使用する本発明の実施形態において使用できる。
【0155】
ビーコン1800,100は、外部電源と接続されることがなく、あるいは通信回線を介して受信機と接続されることがないため、LEDの発光は、典型的には変調し、LEDが時々明滅して光ビームを監視対象の領域を横切って間欠的に放射させる。
図17および28は、本発明の実施形態での使用に適した変調機構を示している。そのような変調機構を用いて、遠方に取り付けられたビーコンの電池寿命を延ばすことができ、監視対象の空間の粒子密度の定期的監視を実行することができる。
【0156】
ビーコン1800および1000は電池駆動であるため、ビーコンの電池に残る電力を監視することが必要である。このタスクを自動的に実行するために、ビーコンは、電池状態が低くなったときに照射の変調が変化するようにプログラムすることができる。例えば、電池の電圧が所定のレベル未満に低下したときに、変調機構1100を使用する代わりに、別の変調機構、例えば、機構1102を使用することができる。受信機は、新しい電池の取り付けを要求するビーコンの変調パターンの変化を識別するようにプログラムすることができる。
【0157】
ビーコンの変調機構は、システムが完全な検出能力で動作を続けることができるよう、一時的または間欠的に「電池残量小」の変調機構1102へ切り替えることができる。代替として、電池残量小の変調機構を維持することができる。この機構は、電池の寿命をさらに延ばすべくLEDのデューティサイクルを下げるが、所与の期間において実施できる粒子検出の読み取りの数も半分になる。しかしながら、この低いデューティサイクルにおいても、依然として監視対象の領域の粒子を適切に検出できるであろう。
【0158】
本発明のいくつかの実施例において、監視対象の領域が受信機の視野を大きく超えており、走査式の受信機システムを実現することが可能である。
図18は、そのようなシステムを示している。この例では、監視対象領域1202が、その外周を巡って配置された複数のビーコン1204〜1214を有している。部屋の1つの角に、受信機1216が取り付けられている。受信機1216は、扇形1218によって規定される視野を有している。扇形1218は、比較的狭く、監視対象の全領域を包含しておらず、すべてのビーコン1204〜1214を同時に視認するためには不充分である。この欠点を克服するために、受信機1216の取り付け手段が、受信機の視野を部屋の片側から反対側へと90°に渡って走査するように構成されている。例えば、受信機は、ビーコン1204を視認できる位置1220からビーコン1214を視認できる位置1222までパン撮影が可能である。そのようなシステムを、例えば、建物のすべての壁に取り付けられた送信機を視認するために、カメラを中央に取り付けて360°にわたって回転させるなど、種々の構成に対応するように構成することができる。更なる代案においては、回転要素に代えて、360°の視野を有する、中央に固定した受信機を使用できる。
【0159】
図14または16に示した種類のビーコンまたは遠方取り付けのターゲットを使用した場合、受信機の検出ソフトウェアは、任意の所与の時点においてビーコン1204〜1214のうちのどれが視野内にあるかを判断するために、走査と同期している。代替として、受信機に取り付けられた比較的狭い視野の光源を、受信機に同期して監視対象の領域を横切って走査することも可能である。
【0160】
図19は、受信機の視野および光源のビームの両者を走査するための典型的な機構を示している。取り付け機構1300は、受信機1302および光源1304を含む。1対の回転ミラー1306および1308が、受信機および光源の間に取り付けられ、駆動機構1310によって駆動される。
【0161】
回転ミラーは、この例では、正方形ピラミッドとして形作られ、互いに同期して回転する。受信機1304が、回転ミラーの面を視認し、ミラーが回転するとき、受信機1302の視野1312が繰り返し90°に渡って掃引される。光源1304も同様に、ミラー1308に対して取り付けられ、ミラーが回転するときに、光源1304の照射の範囲1314がやはり90°に渡って掃引される。ミラー1306および1308が互いに正確に整列しているため、照明の範囲1314および視野1312が反射ターゲットの地点において一致し、一緒に掃引される。当業者であれば理解できるとおり、
図19の機構による掃引の角度は、ミラー1306および1308の面の数を変えることによって調節可能である。さらに、好ましい実施形態においては、ミラー1306および1308の回転の速度を、必要に応じて、受信機1302のフレームレートとの同期を可能にすべく制御することができる。
【0162】
図20は、領域1408の粒子を検出するために、中央取り付けのカメラおよび発光体が使用される本発明の更なる実施形態を示している。カメラおよび発光体からなる構成1410が、好ましくは監視対象の部屋1408の天井に取り付けられ、部屋を巡って360°を完全に掃引するように構成されている。受信機に取り付けられた光源の照明の範囲が、受信機の視野に一致している。受信機および発光体からなる構成1410が、部屋を巡って掃引を行うとき、複数の反射ターゲット1406が順に照射される。実質上、粒子検出システム1400は、部屋の中央に配置されて部屋の煙を検出すべく順に動作する一連のラジアルビーム検出器として機能する。当然ながら、反射ターゲット1406の代わりに発光体を使用することが可能であり、その場合には、構成1410が発光体を保持する必要はない。
【0163】
遠方に取り付けられたビーコンを使用する本発明の実施形態においては、ビーコンに取り付けられた光源が比較的狭い放射ビームを発することが好都合になる。狭い放射ビームを使用することで、所与の使用電力のレベルにおいてビーム内の放射の強度が高くなり、受信機において受信される信号が強くなる。しかしながら、狭いビーム発光体を使用することで、光源および受信機のアライメントの必要が増す。しかしながら、5°〜10°の間の好ましいビームの広がりが許容されると、したがってこの公差を下回るアライメントは不要であることに、注意すべきである。
【0164】
光源の受信機とのアライメントを容易にするために、本発明者は、いくつかのアライメント機構を提案した。
図21は、本発明の実施形態による第1のアライメント機構を備えているビーコン1500を示している。ビーコン1500が、ビーコンハウジング1502を備えており、ブラケット1504に取り付けられている。受信機をブラケットに対して整列させることができるように、ビーコンハウジング1502は、ブラケット1504に対して回転可能である。この実施形態において、ビーコン1500には、設置時にアライメントを助けるためのインジケーターダイアル1506が設けられている。ビーコン1500の上部の拡大図が、
図22に示されており、インジケーターダイアル1506の動作をよりよく説明している。インジケーターダイアル1506は、ビーコンのハウジング1502に対して固定の角度関係にある中央部1508を備えており、中央部1508が、ビーコン内に収容された光源の照明の範囲1512の中心線に整列したインジケーターアロー1510を備えている。さらにインジケーターダイアル1506は、ブラケット1504の取り付け面に対する角度位置を示す一連の角度刻みのマーキング1514を備えている。
【0165】
典型的には、本発明の実施形態による煙検出システムの設置の幾何配置は、最終的な設置を行う前には既知となる。したがって、受信機に対するビーコンの向きおよび位置も、既知のはずである。この場合、設置者は、ビーコンを取り付けブラケットに対して設定すべき適切な角度を単純に計算し、ダイアル上の矢印510がダイアル面の適切なマーキング1514に整列するようにビーコンをブラケットに対して単純に整列させることができる。
【0166】
図23および24は、本発明の実施形態において使用することができる更なるアライメント機構を示している。この実施形態においては、ビーコン1700が、取り付け点を中心にして旋回できるような方法で、取り付けブラケット1702に取り付けられている。ビーコン1700のアライメントを、着脱式の照準機構1704をビーコン1700に取り付けることによって判断することができる。照準機構1704は、銃の照準と同様に機能し、アイピース1706などの視認手段と、位置決めマーカー1708とを備えている。使用時、ブラケット1702を支持面へと取り付けた後で、設置を行う者は、受信機がビーコン1700に取り付けられた照準に整列するようにビーコン1700をブラケットにおいて旋回させることによって、ビーコン1700の角度の向きを変えることができる。設置後に、照準をビーコンから取り外すことができ、煙検出システムの一部を構成する他のビーコンのアライメントに使用することができる。
【0167】
図25および25Aは、本発明の実施形態において使用することができる他のビーコンの構成を示している。明確化のために、ビーコン1900の光源部が図示されている。しかしながら、ビーコンは、先の実施形態において示したような逆反射部を備えてもよい。
【0168】
このビーコン1900においては、光源は、複数の発光体、例えば、LED1902,1904で形成される。発光体の各々が、比較的狭い分散パターンを有する光ビーム、例えば、光源1902によって生成される光ビーム1906を生成する。好ましくは、隣り同士の光源によって生成される照明が、1908に示されるとおりの広い照明の範囲にわたる照射を可能にするために、重なり合っている。使用時、ひとたびビーコン1900が表面に取り付けられると、受信機に最も良好に整列した個々の発光体を、その受信機へと向かう光ビームを形成するために使用することができる。ビーコン1900の監視に複数の受信機が使用されるシステムにおいては、2つ以上の個別の発光体1902、1904を、個々の受信機へと向けられた別々のビームを定めるために発光させることができる。
【0169】
システムの設定時に、作業者が受信機に最も良好に整列した個々の発光体を手作業で選択することができ、あるいは自動光源選択アルゴリズムを採用することができる。例えば、最初にビーコンを受信機の視野内において特定できるよう、すべての光源をオンにし、次に光源を或るパターンにて順にオフにする(あるいは、再度オンにする)ことで、個々の光源のうちのどの光源1902または1904が最も良好に受信機を照らすかを特定することができる。
【0170】
光源を、さまざまな空間パターンにてビームを照射するように構成することができる。例えば、
図25および
図25Aは、半円形の外形を有する発光体を示しており、各々の発光体が、半円の外周上の各点に配置されている。しかしながら、他の構成も可能である。例えば、更なる光源を、光源が垂直方向および水平方向の両方に異なる広がりにて広がるように追加することができる。
図25Aの実施形態においては、発光体が、この方法で半球状に配置されており、ビーコンを、直線的/平面的な構成に比べて、更なる自由度にて選択することができる。他の幾何学的形状、表面、または空間にての発光体の配置など、他の実施形態も可能である。
【0171】
図26は、本発明の実施形態において使用することができる別の種類のビーコンを示している。この場合、ビーコン2000が、異なる波長の光を送信する2つの個別の光源2002,2004を備えている。設定の際、第1の光源2002を、符号2006で示す変調機構にてオン/オフすることができ、光源2004を、変調機構2008にて発光させることができる。
【0172】
受信機が同時に両方の光源からの光を受信する必要があるため、受信機が、両方の光源2002,2004の照明野内に位置する必要があり、即ち、受信機は領域2010と整列していなければならない。設定の際、ビーコンが受信機に正しく整列しているか否かを判断するために、以下の方法で受信機を使用することができる。最初に、光源2002,2004を、符号2006,2008に示した変調パターンで発光させる。ビーコン2000が受信機に正しく整列している場合、受信機は領域2010に位置する。変調の機構2006および2008が、相補的な様相に形付けられており、すなわち一方がオンであるときに他方がオフであり、変調パターンによって互いを区別することが可能であるため、受信機は、正しく整列しているならば常時「オン信号」を受信するはずである。他方で、ビーコンが受信機が領域2012に位置するように整列している場合には、受信光のパターンが変調の機構2006に類似する。受信光が変調パターン2008によって示されるようなパターンで変調されているように見受けられる場合には、受信機が領域2014に位置している。
【0173】
このようにして、システムは、設置者に対して、ビーコン2000が受信機に正しく整列しているか否かを知らせることができ、否である場合には、ビーコンを受信機に正しく整列させるためにビーコンをどちらの方向に調節すべきかを知らせることができる。
【0174】
理解されるとおり、
図25および
図26の実施形態においては、発光体の直線配置が示されている。しかしながら、光源1902、1904、2002、2004のアレイを、
図25Aに示されるように垂直方向および水平方向の平面において正しいアライメントを達成できるようにするために2次元に拡張することが可能である。
図25Aは、2次元において互いに離れていくビームを投射するLED1922、1924を備えているビーコン1920を示している。
【0175】
ここで
図8に戻ると、6つのビーム検出器を含むように拡張された本発明の実施形態による粒子検出器が示されている。システム800が、6つのターゲット804、806、808、810、812、814を監視するための単一の受信機802を使用して空間801を監視するように構成されている。光が、受信機に取り付けられた光源(図示されていない)から放射される。光源は、線816の間の全空間を照射する90°の扇形にわたって光を放射する。受信機802も、約90°をカバーする同様に広い視野を有している。
【0176】
ターゲット804〜814の各々からの反射光は、6つのビーム818、820、822、824、826、828を規定する。ビーム818〜828の各々が、ターゲット804〜814のうちの該当の1つによって再び受信機802へ向けられる。上述のように、これらのビームの各々が、受信機802の画像センサの異なる画素または画素群上に画像を形成し、従って個別のビーム検出器を定めることができる。空間801の角から放射を行うビーム検出器のアレイを備えることで、部屋全体を監視することができる。さらに、各々のビーム検出器が実質的に互いに別個独立に動作するため、場所特定能力(addressability)の手段を実現することができる。例えば、部屋の一部に形成される小さな局所的な煙の雲830を考える。最初は、この煙の雲830は、必ずしもビーム検出器のビームと交わらないが、煙の雲832を形成するように広がるにつれて、ビーム820と交わり、光源、反射器806および光センサ802によって構成されるビーム検出器がこの煙の雲を検出する。このようにして、煙がビーム820の線に沿ったどこかで検出されたと判断することができる。雲がさらに広がり、例えば煙の雲834を形成する場合、雲834がさらにビーム818とも交わり、光源、反射器804、および光受信機802によって構成される煙検出器も煙を検出する。これは、第1には、煙の雲のサイズが大きくなったことを知らせることができ、第2には、(1つ以上の)煙の雲がビーム820および818の線に沿ったどこかで生じたことを知らせることができる。
【0177】
当業者であれば理解できるとおり、各々のビーム検出器が、別個独立の警報ロジックを有することができ、各々のビーム検出器を、火災警報ループにおいて別個独立に特定することができ、個別に警報を生じさせるように構成することができる。
【0178】
図9は、場所特定能力の向上をもたらすシステム900を示している。システム900は、
図8のシステムの構成要素の各々を備えており、さらに追加の受信機(および関連の光源)902も備えている。また、システム900は、追加の反射ターゲット904、906、908も備えている。受信機902の視野は、線909によって定められており、実質的に全空間901をカバーしている。したがって、受信機902は、自身の視野内に6つの反射器904、906、908、804、806、808を見つけることができる。したがって、受信機902、受信機902の光源、および受信機902にとって視認可能な反射器が、ビーム910、912、914、916、918、920によって定められる6つのビーム検出器を形成する。見て取ることができるとおり、これらのビーム検出器は、光受信機902によって受信されるビームと交差する。
【0179】
交差するビーム検出器を設けることによって、監視対象領域901の全体にわたる場所特定能力が、大きく向上する。再び小さな煙の雲830を考える。初期の形成時に、雲830は、受信機902、受信機902の光源、および反射器804によって形成されるビーム916と交わる。時間とともにサイズが増加して煙の雲832が形成されるにつれて、煙の雲832は、受信機802、受信機802の光源、および反射器806によって形成されるビーム820とも交わる。したがって、煙の雲832の位置を、ビーム916および820の交差の位置へと特定することができる。煙の雲のサイズが増加するにつれて、さらにビーム818とも交わって、受信機802、受信機802の光源、および反射器804によって定められるビーム検出器によって検出されるため、煙の雲の成長をより正確に判断することができる。しかしながら、他のいかなるビームとも交差することがないため、煙の雲834が特定の限られた領域において成長していると判断できることに、注意すべきである。
【0180】
この実施形態において、各々のビームが別個独立に場所特定可能であることに加えて、各々の交差点を、火災警報ループまたは同様のシステムにおいて場所特定点と見なすことができ、別個独立のビーム検出器の各々における検出の間の相関を、局所的な煙検出位置を出力するためにソフトウェアにおいて判断することができる。このやり方で、交差するビームの各々が、交差の点において煙を検出する仮想の点検出器として機能する。
【0181】
図9の実施形態が、
図8のシステムに対して、ただ1つの受信機の追加および追加のターゲットによって場所特定能力の大幅な向上を可能にすることを、理解できるであろう。この場合、27個の地点を、システムによって一意に特定することが可能である。
【0182】
本明細書における説明は、交差するビームを検討しているが、ビームは必ずしも実際に交差する必要はなく、監視対象領域内の実質的に共通の位置を監視するように、互いの近傍を通過するだけでよい。
【0183】
図10は、場所特定能力をもたらすことができる別のシステム1000を示している。この実施形態においては、
図8のシステムが、複数の追加の反射ターゲット1002、1004、1006、1008、1010、1012、1014で補強されている。反射ターゲット(例えば、1002)は、
図10Aに示した形式であってよい。
【0184】
図10Aにおいて、反射ターゲット1050は、逆反射ターゲット面を1052を取り付けブラケット1054に取り付けて備えている。取り付けブラケット1054は、好ましくは、ターゲット1050の反射面1052が下方へとぶら下がり、検出器の光源によって照射され、さらには受信機の視野内に位置するように、監視対象の空間1001の天井に取り付けられるように構成されている。
【0185】
反射ターゲット1002〜1014を監視対象の領域1001を横切って中間的な位置に配置することによって、ビームの長さに沿った場所特定能力を達成することができる。この実施形態においては、反射器1002〜1012が、対応する完全な長さのビーム818〜828の傍らに配置されている。したがって、ビーム818と交わる煙の雲は、そのような煙の雲が反射器1002と受信機802との間に位置する場合には、反射器1002によって反射させられるビーム1016にも交わる可能性が高い。煙の雲が反射器1002よりも受信機802からさらに遠くで生じる場合には、ビーム818上のビーム検出器だけが煙を検出するであろう。さらには、吊り下げ式の反射器を、例えば他のビームの中ほどの他の位置に配置することができる(例えば、ビーム1018をビーム818および820の中ほどに位置させるペンダント式の反射器1014)。先の実施形態において検討したように、初期に形成され、いかなるビームとも交わらない小さな煙の雲830は、そのようなシステムによって検出されることがない。しかしながら、ひとたび雲832へと成長すると、ビーム820の外側部分と交わり、受信機802、受信機802に組み合わせられた光源、および反射器806によって定められる粒子検出器によって検出される。しかしながら、反射器1004よりも受信機から遠く離れているため、ビーム1020と交わることはなく、したがってこの反射器によって定められるビーム検出器によって検出されることはない。結果として、煙の雲を、ビーム820の最外部のどこかの部分にあると判断することができる。雲のサイズがさらに大きくなって煙834が形成されると、3つのビーム、すなわちビーム820、ビーム1018、およびビーム818の外側部分と交差することになる。結果として、煙の雲834がビーム818および820の外側部分に形成されつつあり、ビーム1018とも交わっていると高い確度で判断することができる。複数のこのような中間的な反射器を受信機802の範囲に配置することによって、システムの場所特定能力を大きく向上させることができることを、見て取ることができる。そのような実施形態を、監視対象の空間を横切る多数の天井ビームを有する環境において、各々の天井ビームが反射器を好都合に取り付けることができる平面を効果的に定め、ビームに沿った奥行きの場所特定能力をもたらすため、大きな効果まで実現することができる。この実施形態においては、光受信機802を、各々のビームを別々に視認できるよう、複数のビームによって定められる平面の外に配置する必要がある。当然ながら、本明細書に記載の場所特定の機構のいずれも、例示のような反射ターゲットではなくて、遠方取り付けの発光体においても、実現することが可能である。さらに、
図9および10の場所特定の機構の組み合わせも、使用することが可能である。
【0186】
本発明者は、煙検出器が必ずしも瞬時に応答する必要がないため、煙検出器の映像取得および/または映像処理のサブシステムを処理および取得の中断期間を間に存在させて間欠的に作動させることによって、容認できる平均の電力消費を達成できることに気が付いた。すなわち、システムが、電力を消費せず、あるいはきわめて少量の電力しか消費しないように設計された「フリーズ(freeze)」状態に移行することができる。この技術的解決策を実現する第1のやり方は、粒子検出器の映像処理サブシステムに、映像の取得および処理のサブシステムを間欠的に動作させるように機能する単純なタイマーユニットを備えることである。しかしながら、システムの好ましい形態においては、送信機324がループまたは他のコンセントの電力によって動作するのではなく、電池によって駆動され、好ましくは受信機322へと接続されず、あるいは受信機との高速通信にない。したがって、送信機324は、電力を保存するためにきわめて低いデューティサイクルでしか光を発してはならない。そのようなシステムにおいては、送信される光の各々のバーストのタイミングを受信機によって制御することができず、同じ送信機322と通信する可能性がある他のいかなる受信機とも同期することができない。
【0187】
さらに、映像プロセッサの「フリーズ」期間において、受信機322は、依然として、火災警報ループからのサービスポール(servicing poll)や、表示LEDの点滅など、他の機能を処理する必要があるかもしれない。したがって、映像プロセッサーを作動させて「フリーズ」状態から動作状態にするための単純なタイマー機構の使用は、この問題に対する好ましい技術的解決策ではない。
【0188】
本発明の好ましい形態においては、受信機322は、映像処理プロセッサまたは主プロセッサよりも電力消費がはるかに少ない補助プロセッサを採用し、主プロセッサを作動させるため、および主プロセッサが「フリーズ」状態にあるときに中断なく続行させなければならない他の機能に対処するために使用する。
【0189】
図27は、本発明を採用する受信機401の概略のブロック図を示している。
【0190】
受信機401は、送信機324からの光信号を受け取るための画像化チップ403(例えば、Aptina Inc社製造、部品番号MT9V034のCMOSセンサ)を備えている。必要ならば、受信される電磁放射を所望の方法で画像化チップに集光するための光学系405、例えば、標準的な4.5mm、f1.4のcマウントレンズなどの集光レンズを備えてもよい。
【0191】
画像化チップ403は、コントローラ407(好ましくは、Actel社M1AGL600−V2 フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA))および関連のメモリ409(プログラムを保存するためのPC28F256P33 フラッシュROM、画像を保存するための2つのIS61LV51216 高速RAM、ならびにプログラムの実行およびデータの保存のための2つのCY621777DV30L RAMを含む)とデータをやり取りする。コントローラの機能は、画像チップ403を制御し、検出システムが必要とする機能を実行するために、必要とされる一連のデータ操作を実行することである。制御手段は、デジタル電子機器の設計の当業者にとって周知のとおり、正しい動作のために必要に応じた種々の更なる構成要素を有する。
【0192】
第2のプロセッサー413も設けられる。このプロセッサー413は、Texas Instruments社MSP430F2122 マイクロコントローラなどであってよく、制御手段の健全性をチェックし、必要であれば制御手段が故障し、あるいは他の何らかの理由で必要な任務を実行できない場合に、外部の監視設備へと障害を知らせるなどの機能を実行する。また、電力消費を最小にするように制御および画像化手段への電力を折よく制御することも担当する。これは、プロセッサ413が、主プロセッサ407を必要でないときに停止させ、必要なときに間欠的に作動させることによって実行される。
【0193】
さらに、プロセッサ413は、表示装置またはユーザインターフェイスなどのインターフェイス手段415とデータをやり取りし、火災警報ループへと接続された他の設備(例えば、火災パネル)とのデータ通信を可能にすべく火災警報ループにも接続される。
【0194】
好ましい実施形態においては、インターフェイス手段が、警報または障害の状態が存在する場合に外部の監視設備へと通知を行うために使用される。受信機によって障害が存在すると判断される場合に、インターフェイス手段は、これを監視設備へと、スイッチを開くことによって上述の監視設備からの電流を断つことによって通知する。好ましい実施形態においては、スイッチが、きわめて少ない電力の消費でオン/オフできるという利益を有するMOSFETトランジスタを使用するソリッドステートの構成である。受信機によって警報状態が存在すると判断される場合には、インターフェイス手段が、これを監視設備から所定の閾値を超える電流を引き出すことによって監視装置へと通知する。好ましい実施形態においては、過剰な電流の引き出しが、監視設備からのインターフェイス配線をまたいでバイポーラトランジスタの電流制限シャントを配置することによって達成される。約50mAの全体としての電流の引き出しが、警報状態を知らせるために使用される。好ましい実施形態においては、通常動作のための電力が、警報のない状態のもとで3mAという一定の電流にて監視設備への接続配線から引き出される。
【0195】
本発明の好ましい実施形態においては、送信機324が、自身の発光パターンを制御するためのコントローラを備えており、例えば赤外および紫外の光源の各々の発光時間、順序、および強度を制御する。例えば、これは、Texas Instruments社MSP430F2122 マイクロコントローラであってよい。さらに、マイクロコントローラは、最初に設置されたときの装置の作動を検出する。送信機の好ましい実施形態においては、電源が、塩化チオニルリチウム電池である。
【0196】
本発明の好ましい形態においては、システムの試運転の際に、主プロセッサ407を、好ましくは数分(例えば、10分)の期間にわたって各々の光源の発光パターンを発見し、その動作パターンを判断するようにプログラムすることができる。このプロセスを、受信機に関連付けられるすべての光源について繰り返すことができる。低電力のプロセッサ413が、発見された光源の動作時間情報を使用して、正しい時点でプロセッサBを作動させることができる。
【0197】
理解されるとおり、この構造のシステムを使用することによって、常に動作していなければならないシステムの機能を、きわめて低消費電力のプロセッサ413によって制御できる一方で、きわめて重い処理を、主たる映像プロセッサ407によって間欠的に実行することができ、そのようにすることで、平均の電力を比較的低いレベルに保つことができる。
【0198】
本発明者は、競合することが多い種々の制約が実際の実施形態に関連して存在し、送信機の照明パターンおよび送信機の出力を正確に取得および追跡するための対応する受信機の動作を選択するときに、それらの制約に対処しなければならないことに気が付いた。例えば、いくつかのシステムにおいては、粒子状物質の検出の事象から障害状態を区別するために、減衰の変化の速度を使用することが望ましい。これは、背景において述べた長い積分時間の使用を困難にする。好ましい実施形態は、通常の測定のために10秒という積分期間を使用し、1秒というより短い積分期間が、変化の速度にもとづく障害の検出に使用される。
【0199】
システムの性能への他の制約は、背景照明レベルである。実際のシステムにおいて、通常は、背景がその動作寿命の少なくとも一部において日光によって照らされる可能性があると仮定する必要がある。カメラに波長選択性のフィルターを使用する可能性についても、制約が存在しうる(例えば、少なくともコストの制約)。したがって、飽和を避けつつ、依然として信号のための充分なヘッドルームを残すために、短時間の露出を使用する必要がある。システムの好ましい実施例においては、露出の時間が100μsであるが、最適値は、センサ、フィルタ、レンズ、最悪の場合の背景照明、および信号のために必要なヘッドルームの大きさに依存して決まる。
【0200】
受信機を送信機に同期させる手段も必要である。これを、無線システムまたは構成要素間の有線システムなどの追加のハードウェアを使用することなく達成することが好ましい。代わりに、一つの望ましい実施例においては、同期が、粒子の検出に使用されるものと同じ画像化および処理ハードウェアを使用して光学的に実行される。しかしながら、当業者であれば理解できるとおり、粒子の検出に同期と同じハードウェアを使用することは、システムにおいて2つの懸念を結び付け、考えられる技術的解決策に更なる制約を課す。
【0201】
システムにおける更なる制約は、雑音の存在に起因する。システムにおける主要な雑音源は、カメラのショットノイズおよび背景の光の変化からの雑音である。暗騒音の寄与は、一般に、完全な日光に対処しなければならないシステムにおいては大きくない。背景雑音は、我々の先行の特許出願において説明された背景引き算法によってきわめて効果的に対処される。ショットノイズは、量子検出プロセスの根本に係わるため、完全に取り除くことが不可能である。しかしながら、ショットノイズを、露出時間を短縮することによって軽減することができ、より少数の露出を合計することによっても軽減することが可能である。好ましい実施形態においては、実質的にすべての送信機の電力が、適切なシステム応答時間を依然として可能にする反復速度を有するきわめて短い発光へと投入される。
【0202】
例えば、毎秒1回の速度での発光が、応答時間の要件を満足し、1μs未満の発光時間および2μsの露出時間を(原理的には)使用することができる。現実には、これは、同期がきわめて困難であると考えられる。さらには、送信機のLEDが、そのような短時間でエネルギーを届けるためにはきわめて高いピーク電流に対処する必要があり、結果としてコストが上昇すると考えられる。他の限界は、センサのダイナミックレンジである。すべての電力を毎秒1回の発光に投入することは、センサの飽和につながりかねない。
【0203】
以上の要因を考慮し、好ましい実施形態は、100μsの露出、50μsの発光時間、および300msの周期を使用する。変化の速度にもとづく障害の検出のために、3サンプルという積分長が使用される。30サンプルという積分長が、煙の測定に使用される。
【0204】
背景打ち消し技法を実行するために、受信機が、背景からの寄与を取り除くために使用される発光の直前および直後の画像も取得する必要がある。理想的には、これらの「オフ」露出は、時間変化する背景の場合に打ち消しを最適にするために、可能なかぎり「オン」露出に近付けて行われる。好ましい実施例に使用される受信機システムにおいては、現実的な最大のフレームレートが1000fpsであるため、「オフ」露出は、「オン」露出の各側に1msだけ離れている。
【0205】
一形態においては、送信機の光出力が、きわめて低いデューティサイクルを有する一連の短パルスで構成される。パルスは、画像化システムのフレームレート(例えば、1000fps)に一致するように配置される。
図28が、受信機のセンサの露出に関する典型的なパルスの並びを示している。この場合に、送信機は、IRの波長帯およびIRの波長帯において光を発するように構成されている。この一連のパルスが、300msの周期で繰り返される。
【0206】
この例では、5つのパルスが以下のように存在している。
【0207】
・Sync1(フレーム1)110およびSync2(フレーム2)112: Syncパルスは、送信機と受信機との間の同期を維持するために使用される(さらに詳しくは後述)。これらのパルスは、好ましくは最も電力効率の高い周波数帯において形成される。この場合には、IR光源が、電力消費が少ないために使用される。さらには、波長が長いほどより煙を貫くことができ、より幅広い範囲の条件において同期を維持することができる。Syncパルスは、50μsの長さである。
【0208】
理想的には、各々のSyncパルスの時間的な中心は、受信機のシャッタ開放期間の前縁(Sync1)および後縁(Sync2)に位置する。これにより、Syncパルスの受信強度が、わずかな同期の誤差でも変化するようになる。
【0209】
・IR(フレーム5)114およびUV(フレーム7)116: IRおよびUVパルスは、信号レベルの測定(したがって、減衰および煙のレベルの測定)に使用される。長さは50μsであり、したがって受信強度に影響することなく送信機と受信機との間に最大25μsのタイミング誤差が許容される。
【0210】
・Data(フレーム9)118: Dataパルスは、受信機へと少量のデータを伝達するために使用される。データが、Dataパルスを送信するか、あるいは送信しないかによってエンコードされる。Dataパルスは、電力を節約するために小さな振幅にされ、同じ理由でIRである。長さは50μsである。このシステムは、3bpsのデータチャネルをもたらす。データは、シリアル番号、製造日、総動作時間、電池の状態、および障害の状態を含むことができる。当業者であれば、このシステムにおいてデータを送信するための多数の他のやり方に気付くであろう。それらとして、パルス位置エンコーディング、パルス幅エンコーディング、およびマルチ・レベル・エンコーディングの機構を挙げることができる。より高いデータレートを容易に達成できるが、好ましい実施例において使用される単純な機構が、必要とされる少量のデータにとって充分である。
【0211】
図29において、「オフ」フレーム(すなわち、対応する送信機の出力が存在しないフレーム)の間の受信機からのデータが、以下の目的に使用される。
・フレーム0および3は、Syncパルスの背景打ち消しに使用される。
・フレーム4および6は、IRパルスの背景打ち消しに使用される。
・フレーム6および8は、UVパルスの背景打ち消しに使用される。
・フレーム8および10は、Dataパルスの背景打ち消しに使用される。
【0212】
(a)空間サーチ
上述のように、受信機は、送信された各々のパルスを、画像フレーム内の1つ以上の画素の形態で受信する。
【0213】
しかしながら、システムが(少なくとも初めて)動作を開始する試運転の際に、画像フレーム内の送信機の位置が確立されなければならない。これを、例えば、作業者による画像の検査および座標へのプログラミングを含む手作業のプロセスによって実行することができる。しかしながら、設置において、特別な訓練、特別な工具、および長くて複雑な設置プロセスの必要は、望ましくない。好ましい実施形態においては、画像フレームにおける送信機の位置の決定が、自動化される。送信機の位置特定のためのあらかじめ形成されたプロセスは、以下のように機能する。
【0214】
・最初にシステムが、いくつかの画像の取得を、高いフレームレートで、送信機のパルスが1つ以上の画像に存在することが確保(送信機がカメラの視野内にありかつ取得の期間のあいだにパルスを送信している場合)される充分な時間にわたって行う。
【0215】
・次に、システムは、(時間的に)隣接する画像の各ペアを引き算し、各画素の絶対値(modulus)をとり、各々を閾値と比較して、送信機が存在する可能性がある大きな変化の位置を検出する。
【0216】
・次に、システムは、隣接または近接(例えば、離間が3画素未満)する候補点を合併させることによって、送信機の位置の候補のリストを凝縮する。画像中心法を、候補点の組の中心を見つけるために使用することができる。
【0217】
・次に、システムは、候補中心の各々において(後述のプロセスを使用して)試行の同期を実行し、候補中心において受信される値が実際の送信機に対応するか検証する。
【0218】
・次に、システムは、送信機の数が予想される送信機の数に一致するかを確認する。この数を、設置に先立って受信機をあらかじめプログラムすることによって設定でき、あるいは受信機ユニットに取り付けまたは接続された1つ以上のスイッチによって設定できる。好ましい実施例では、一式の設定DIPスイッチが受信機ユニットに組み込まれ、システムが壁に取り付けられていない間だけ容易にアクセス可能である。
【0219】
画像内の一式の送信機位置が、不揮発メモリに保存される。これらの位置を、例えばDIPスイッチを特定の設定に設定して受信機をオン/オフし、あるいはノートブックPCなどの特殊なツールを使用することによって、受信機を特定のモードにすることによってクリアすることができる。これは、送信機が元の位置から動かされた場合や、システムを他の場所に設置し直す場合に限って、必要である。
【0220】
画像化システムにおける性能の限界が、高いフレームレートでの動作時に読み出すことができる画素または線の数を制限する可能性がある。一実施例においては、最大で640個の画素からなる30本の線を、1msで読み出すことができる。したがって、640×480の画像フレームの全体をカバーするためには、上述の方法の最初のいくつかのステップを、16回繰り返す必要がある。代案として、いくつかの実施形態は、画像フレームの一部のみを使用する。同様に、いくつかの実施形態は、より遅いフレームレートを使用する。しかしながら、より低いフレームレートが使用される場合には、明るい照明状態におけるセンサの飽和の可能性が、通常は露出時間を制限し、背景の照明状態の変化が、一般的により多くの雑音を持ち込む。
【0221】
フレームレートは、送信機のパルスが、シャッタが閉じられている期間において常に生じないように確保するように選択されなければならない。例えば、フレームレートが正確に1000fpsであり、露出が100μsであり、送信機が正確に1msの境界でパルスを生成する場合、パルスがすべてシャッタが閉じられているときに生成される可能性がある。受信機のフレームレートが、位相を徐々にずらすわずかな差が存在して、遅かれ早かれパルスが充分にシャッタの開放期間に位置することが確保されるように、選択される。
【0222】
いくつかの実施形態においては、処理速度の限界が、すべての画素を分析するのではなくて、水平方向および垂直方向の4つに1つだけの画素を引き算および検査することによって、処理の苦労を16分の1に減らすことによって対処される。受信された画像、すなわちセンサ上の各々の送信機の画像が、充分に広い領域(例えば、5画素の直径を有するスポット)にわたって広がっている限りにおいて、以前として送信機を確実に見つけることができる。
【0223】
システムが既知の一式の送信機位置を有して起動され、あるいは上述の空間サーチの一部として起動されるとき、一式の候補位置において、位相のサーチおよびロックの方法が、初期の同期を確立するために使用される。
【0224】
この方法の主要なステップは、以下のとおりである。
【0225】
システムが、高いフレームレートで画像(少なくとも予想位置の部分画像)を取得する。
【0226】
システムが、候補位置に予想されるパルスのパターンが現れるのを待つ。
【0227】
システムが、位相ロックループのための開始位相として、予想されるパターンにおける選択されたパルスの到着時刻を使用する。
【0228】
システムが、PLLの安定を待つ。PLLロックがなされない場合、候補位置の検査の場合に、その位置が誤りであるとマークされ、そうでない場合には、既知の送信機位置との同期の再確立の際に、受信機が継続的に再試行を行うことができ、成功するまで障害をアサートすることができる。
【0229】
空間サーチと同様に、受信機のフレームレートにおける小さなオフセットが、位相を徐々にずらすことによって遅かれ早かれパルスが充分にシャッターの開放期間に位置するように確保するために使用される。
【0230】
各々のフレームについて、既知の位置または候補位置に中心を有する画像の小領域内の総強度が計算される。次に、強度値のこの並びが、送信機からの予想されるパターンに照合される。
【0231】
予想されるパターンについての検査は、以下のように機能する。
【0232】
少なくとも9つのフレーム強度値が集められた後で、それらを予想される送信機パルスの並びの存在について、下記の手法で検査することができる。
【0233】
・強度値I(n):0<n<Nを考える。
・受信したフレーム0から開始してフレームnにおいて、可能性のある送信機信号を検査する。
・最初に、「オフフレーム」基準レベルを計算する。
I
0=(l
R(n+0)+I
R(n+3)+I
R(n+4)+I
R(n+6)+I
R(n+8))/5 {「オフフレーム」の平均}
・相対強度を計算する。
m=0〜8について、I
R(n+m)=l(n+m)-I
0
・所定の閾値と比較して、各フレームにおいて送信機パルスの有無を判断する。
Found={(l
R(n+1)>I
ON) or (l
R(n+2)>I
ON)} and {Sync1 or Sync2 pulse}
(I
R(n+5)>I
ON) and {IR pulse}
(I
R(n+7)>I
ON) and {UV pulse}
(l
R(n+0)<I
OFF) and {off frame}
(l
R(n+3)<I
OFF) and {off frame}
(l
R(n+4)<I
OFF) and {off frame}
(l
R(n+6)<I
OFF) and {off frame}
(l
R(n+8)<I
OFF) and {off frame}
【0234】
ランダム位相エラーに起因して、いずれかのSyncパルスが完全に欠ける可能性があり、したがって上記式に「or」が存在する。あるいは、Syncパルスについての検査を完全に省略してもよく、オフフレームについての検査も、減らすことが可能である。しかしながら、送信機パルスの並びの位置が誤って特定されることがないように確保するために、注意が払われなければならない。
【0235】
肯定の検出に続いて、フレームnに対応する時刻が、変数に記録される。位相パルスの振幅を、記録された時刻の値を並びの開始をよりぴったりと表わすように調節するために使用することができる。これは、位相ロックループが対処しなければならない初期の位相誤差を少なくする役に立ち、周波数誤差が充分に小さい場合には不要であるかもしれない。
【0236】
好ましい実施例では、1000fpsの画像取得レートが、すでに述べたように送信機のタイミングに一致する。100μsのシャッタ時間が使用される。
【0237】
これが初期の同期を完了させる。次の一式のパルスの到着時刻を、今や単純に既知の送信機周期を先のステップにおいて記録された時刻に加えることによって予測することができる。
【0238】
送信機周期が受信機にとって既知である(好ましい実施例においては、300ms)が、それぞれの側でクロック周波数に小さな誤差が存在しうる。これにより、送信されたパルスが受信機のシャッタ開放時間からずれることが、不可避的に生じうる。位相ロックループシステムが、正しい位相またはタイミングを維持するために使用される。PLLの考え方は周知であり、詳しくは説明しない。好ましい実施例においては、PLL制御等式が、ソフトウェアにて実現される。位相比較器の機能は、位相パルスの振幅の測定にもとづく。これらの振幅は、最も近いオフフレーム(フレーム0および3)において測定された強度の平均を引き算することによって計算される。次に、位相誤差が、以下の式によって計算される。ここで、Tは、位相パルスの幅である。
【0240】
位相パルスの振幅が所定の閾値を下回って低下する場合、位相誤差にゼロという値が割り当てられる。このやり方で、雑音の多いデータがPLLへと許され、実務において、システムが少なくとも数分にわたって適切な同期を維持することができる。したがって、警報を発することができるよりも前に高い煙のレベルによって同期の障害が生じることがない。妨害の場合に、この特徴は、システムが妨害が取り除かれたときに速やかに回復することを可能にする。
【0241】
PLL制御等式は、比例および積分の項を含む。微分の項を使用する必要はないかもしれない。好ましい実施例においては、それぞれ0.3および0.01という比例の利得および積分器の利得が、容認できる結果を生み出すことが発見された。更なる変種においては、利得を最初により大きい値に設定し、位相誤差が所定の閾値を下回った後で減らすことで、所与のループ帯域幅における全体としてのロック時間を減らすことができる。
【0242】
±10μsを下回る位相誤差を、候補送信機位置の検証の目的および通常の煙検出動作の開始を可能にする目的の両者のために、位相ロックを示すために使用することができる。
【0243】
本明細書において開示および定義された本発明が、本文または図面において述べられ、あるいは本文または図面から明らかである個々の態様または特徴の2つ以上のあらゆる選択的組み合わせにまで広がることを、理解できるであろう。そのような種々の組み合わせはすべて、本発明のさまざまな代案の態様を構成する。
【0244】
また、本明細書において使用されるとき、用語「・・・からなる(comprises)」(あるいは、その文法上の変形)が、用語「・・・を含む(includes)」と同等であり、他の構成要素または特徴の存在を排除するものと解釈されてはならないことを、理解できるであろう。