特許第6517595号(P6517595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6517595
(24)【登録日】2019年4月26日
(45)【発行日】2019年5月22日
(54)【発明の名称】ポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F04C 15/00 20060101AFI20190513BHJP
   F04B 53/00 20060101ALI20190513BHJP
【FI】
   F04C15/00 L
   F04B53/00 J
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-115140(P2015-115140)
(22)【出願日】2015年6月5日
(65)【公開番号】特開2017-2755(P2017-2755A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】アイアット国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 潤
【審査官】 冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−136975(JP,A)
【文献】 特開2013−64356(JP,A)
【文献】 特開2012−191772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 15/00
F04B 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプロータの駆動によって、流体の吸入および吐出を行うポンプ装置であって、
前記ポンプロータを収納すると共に、前記ポンプロータが収納される側とは反対側の突合わせ面に穴部が設けられているポンプ本体と、
回転軸の外周に取り付けられているロータと、このロータの外周に対向していると共に前記回転軸の軸方向における端面が前記突合わせ面と接触するステータコアと、前記ステータコアにボビンを介して取り付けられているコイルを備えるモータ部と、
前記ステータコアを一体的に保持すると共に、前記端面から突出して前記穴部に挿入される位置決めピンが一体的に設けられているモールド部と、
を備える、
ことを特徴とするポンプ装置。
【請求項2】
請求項1記載のポンプ装置であって、
前記ステータコアには貫通孔が設けられていて、その貫通孔は前記回転軸の軸方向に沿って前記ステータコアを貫いていて、
前記モールド部には、前記軸方向において前記突合わせ面と当接する前記端面とは反対側にて前記ステータコアを支持する底側モールド部が設けられていて、
前記位置決めピンは、前記底側モールド部から前記貫通孔を挿通して前記端面から突出している、
ことを特徴とするポンプ装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のポンプ装置であって、
前記ステータコアには、内周側に向かって突出する複数の主極ティースが設けられていて、その主極ティースにはコイルを有するコイル巻線体が取り付けられていて、
前記モールド部には、前記端面から突出する前記コイル巻線体を覆う絶縁カバー部が周方向に間欠的に設けられていて、
前記位置決めピンは、隣り合う前記絶縁カバー部の間から突出すると共に、その突出高さは前記絶縁カバー部が前記端面から突出する突出高さよりも低く設けられている、
ことを特徴とするポンプ装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のポンプ装置であって、
前記位置決めピンは、前記ステータコアの周方向に沿って複数設けられていて、
前記穴部は前記ポンプ本体の周方向に沿って複数設けられ、かつ前記位置決めピンよりも多く設けられていて、
前記位置決めピンが挿入されない前記穴部はネジ穴であって、このネジ穴に前記ステータコアを固定するためのネジが捻じ込まれる、
ことを特徴とするポンプ装置。
【請求項5】
請求項4記載のポンプ装置であって、
前記ポンプ本体は、ダイカストによる鋳造品から形成されていて、
前記位置決めピンが挿入される前記穴部と、前記ネジ穴とは、前記突合わせ面の周方向において交互に配置されていて、
前記位置決めピンが挿入される前記穴部と前記ネジ穴との配置パターンには、ある角度配置の第1配置パターンと、その第1配置パターンに対して前記位置決めピンが挿入される前記穴部と前記ネジ穴の位置を入れ替えた第2配置パターンと、の2つの配置パターンが存在していて、
前記突合わせ面には、前記第1配置パターンと前記第2配置パターンのうちのいずれかが設けられている、
ことを特徴とするポンプ装置。
【請求項6】
ポンプロータの駆動によって、流体の吸入および吐出を行うポンプ装置の製造方法であって、
金型の可動型の壁面に、ポンプ本体の突合わせ面に対して接触するステータコアの端面を接触させる状態で、当該ステータコアを設置する設置工程と、
前記可動型を前記金型の固定型に対して突き合わせた形閉じ状態とし、その形閉じ状態で溶融した樹脂を、突き合わせ部位の間に形成される空洞部分に射出する際の射出圧によって前記端面を前記可動型の壁面に押し付ける状態とすると共に、その射出によって前記端面から突出する位置決めピンを有するモールド部を形成する射出工程と、
前記可動型を移動させて形開き状態として、ステータコアと一体化されたステータモジュールを取り出す取り出し工程と、
前記位置決めピンを、前記突合わせ面に設けられている穴部に挿入させる状態としつつ、前記突合わせ面に前記端面を接触させて前記ポンプ本体を前記ステータモジュールに取り付ける取付工程と、
を備えることを特徴とするポンプ装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両においては、たとえばエンジンやモータ(駆動用モータ、発電用モータ)といった駆動部分の冷却のために、オイルを用いたポンプ装置が用いられている。そのようなポンプ装置の中には、たとえば特許文献1に示すような電動機で駆動されるものがある。特許文献1に開示の構成では、ポンプ本体(21)には、リング状の内周フランジ部(213)が設けられている。また、ステータモジュール(140)の内径側には、リング状部(142a)が設けられていて、そのリング状部(142a)の内周側には、上述した内周フランジ部(213)が嵌め込まれる。このような、いわばインロー嵌め合い構成により、ステータモジュール(140)とポンプ本体(21)の間の平面方向の位置が定められている。
【0003】
また、ポンプ本体(21)の内周フランジ部(213)よりも外周側には、穴部を有する内径突出部(216)が設けられていて、その穴部には、ステータコア(60)との間で位置決めを行うための位置決め用の金属ピンが差し込まれている。また、ステータコア(60)にも、位置決め用の穴部が設けられていて、この穴部に上述した金属ピンが差し込まれる。このような金属ピンの差し込みにより、ステータモジュール(140)とポンプ本体(21)の間の回転方向の位置が定められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−136975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示の構成では、ステータモジュール(140)とポンプ本体(21)とを組み付けるためには、これらと別体の金属ピンを必要としている。したがって、部品点数が増えると共に、その金属ピンを穴部に挿入するための工程も必要となっている。そのため、コストが増えてしまう、という問題がある。
【0006】
また、上述した特許文献1に開示の構成では、リング状部(142a)と内周フランジ部(213)の間で、いわば印籠に類する嵌め合い構成を採用している。このような構成を採用する場合、2つのリング状の突出部(リング状部(142a)と内周フランジ部(213))が存在し、それらが嵌め合うためのスペースが必要となるので、径方向の寸法が大きくなる。また、それら2つのリング状の突出部は、強度確保のための所定の肉厚を要する。そのため、かかる印籠に類する嵌め合い構成を採用する場合、小型化が難しい、という問題もある。
【0007】
また、特許文献1に開示の構成では、アルミニウム合金等の金属を材質とするポンプ本体(21)と、電磁鋼板等の金属を材質とするステータコア(60)との突合わせ部位には、凹凸に入り組んだ、印籠に類する嵌め合い構成を採用しているので、金属同士の突合わせ面積が少なくなってしまう。その場合、電動機(30)側で発生した熱をポンプ本体(21)に良好に伝達させることができず、放熱性能が低下することがある。
【0008】
本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、部品点数を削減して工数の削減が可能であると共に、小型化が可能であり、さらに、ポンプ本体とステータコアの金属同士の突合わせ部位の面積を増加させることが可能なポンプ装置およびポンプ装置の製造方法を提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によると、ポンプロータの駆動によって、流体の吸入および吐出を行うポンプ装置であって、ポンプロータを収納すると共に、ポンプロータが収納される側とは反対側の突合わせ面に穴部が設けられているポンプ本体と、回転軸の外周に取り付けられているロータと、このロータの外周に対向していると共に回転軸の軸方向における端面が突合わせ面と接触するステータコアと、ステータコアにボビンを介して取り付けられているコイルを備えるモータ部と、ステータコアを一体的に保持すると共に、端面から突出して穴部に挿入される位置決めピンが一体的に設けられているモールド部と、を備えることを特徴とするポンプ装置が提供される。
【0010】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、ステータコアには貫通孔が設けられていて、その貫通孔は回転軸の軸方向に沿ってステータコアを貫いていて、モールド部には、軸方向において突合わせ面と当接する端面とは反対側にてステータコアを支持する底側モールド部が設けられていて、位置決めピンは、底側モールド部から貫通孔を挿通して端面から突出している、ことが好ましい。
【0011】
さらに、本発明の他の側面は、上述の発明において、ステータコアには、内周側に向かって突出する複数の主極ティースが設けられていて、その主極ティースにはコイルを有するコイル巻線体が取り付けられていて、モールド部には、端面から突出するコイル巻線体を覆う絶縁カバー部が周方向に間欠的に設けられていて、位置決めピンは、隣り合う絶縁カバー部の間から突出すると共に、その突出高さは絶縁カバー部が端面から突出する突出高さよりも低く設けられている、ことが好ましい。
【0012】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、位置決めピンは、ステータコアの周方向に沿って複数設けられていて、穴部はポンプ本体の周方向に沿って複数設けられ、かつ位置決めピンよりも多く設けられていて、位置決めピンが挿入されない穴部にはネジ穴が存在していて、このネジ穴にステータコアを固定するためのネジが捻じ込まれる、ことが好ましい。
【0013】
さらに、本発明の他の側面は、上述の発明において、ポンプ本体は、ダイカストによる鋳造品から形成されていて、位置決めピンが挿入される穴部と、ネジ穴とは、突合わせ面の周方向において交互に配置されていて、位置決めピンが挿入される穴部とネジ穴との配置パターンには、ある角度配置の第1配置パターンと、その第1配置パターンに対して位置決めピンが挿入される穴部とネジ穴の位置を入れ替えた第2配置パターンと、の2つの配置パターンが存在していて、突合わせ面には、第1配置パターンと第2配置パターンのうちのいずれかが設けられている、ことが好ましい。
【0014】
また、本発明の第2の観点によると、ポンプロータの駆動によって、流体の吸入および吐出を行うポンプ装置の製造方法であって、金型の可動型の壁面に、ポンプ本体の突合わせ面に対して接触するステータコアの端面を接触させる状態で、当該ステータコアを設置する設置工程と、可動型を金型の固定型に対して突き合わせた形閉じ状態とし、その形閉じ状態で溶融した樹脂を、突き合わせ部位の間に形成される空洞部分に射出する際の射出圧によって端面を可動型の壁面に押し付ける状態とすると共に、その射出によって端面から突出する位置決めピンを有するモールド部を形成する射出工程と、可動型を移動させて形開き状態として、ステータコアと一体化されたステータモジュールを取り出す取り出し工程と、位置決めピンを、突合わせ面に設けられている穴部に挿入させる状態としつつ、突合わせ面に端面を接触させてポンプ本体をステータモジュールに取り付ける取付工程と、を備えることを特徴とするポンプ装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、部品点数を削減して工数の削減が可能であると共に、小型化が可能であり、さらに、ポンプ本体とステータコアの金属同士の突合わせ部位の面積を増加させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態に係るポンプ装置の構成を示す側面断面図である。
図2図1のポンプ装置のポンプ本体の構成を示す図であり、ステータコアと突き合わされる突合わせ面側から見た斜視図である。
図3】ポンプ装置の構成を示す断面図であり、ポンプユニットおよび電動機ユニットにおいて図1に対して周方向に90度ずれた位置の断面形状を示す図である。
図4図1のポンプ装置のモータ部の構成を示す平面図であると共に、部分的な断面を示す図である。
図5図1のポンプ装置におけるステータコアとコイル巻線体の構成を示す斜視図である。
図6図1のポンプ装置において、ステータコアと一体的な状態の樹脂モールド部を示す斜視図である。
図7図6に示す樹脂モールド部を半断面とした状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態に係るポンプ装置10およびポンプ装置10の製造方法について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、回転軸31の軸方向をX方向として説明し、回転軸31のカバー体150側をX1側、ポンプカバー24側をX2側として説明する。
【0018】
<1.ポンプ装置10の構成について>
図1は、ポンプ装置10の構成を示す断面図である。ポンプ装置10は、ポンプユニット20とモータ部30と、回路基板130と、ステータモジュール140とを備えていて、これらがネジN1やその他のネジ等の締結手段により一体化されている。以下に、各構成について説明する。
【0019】
ポンプユニット20は、本実施の形態では、トロコイドポンプ(内接歯車型ポンプ)である。図1に示すように、ポンプユニット20は、ポンプ本体21を備え、そのポンプ本体21は、アウターロータ22およびインナーロータ23を配置するための凹部211を備えている。凹部211は、ポンプ本体21のX2側の端面から、X1側に向かい、アウターロータ22とインナーロータ23とを収納可能な深さだけ窪ませて形成され、その平面形状はアウターロータ22に対応した大きさとなっている。なお、アウターロータ22とインナーロータ23とは、ポンプロータに対応する。
【0020】
そして、ポンプ本体21のX2側にはポンプカバー24が取り付けられ、それによって凹部211がポンプカバー24で覆われる。
【0021】
アウターロータ22は、凹部211に回転自在に配置されている。ただし、アウターロータ22の回転中心は、インナーロータ23および回転軸31の回転中心に対して偏心している。周知のように、アウターロータ22は、内周側に内周凹部221を備えていて、その内周凹部221の内壁面が内歯車222となっている。この内周凹部221にはインナーロータ23が配置されるが、そのインナーロータ23の外周壁面には、内歯車222と接離する外歯車231が設けられている。これら内歯車222と外歯車231とは、トロコイド曲線によって形成されている。
【0022】
また、インナーロータ23の回転中心は、回転軸31を挿通させる孔部が回転軸31と噛合可能に設けられている。なお、ポンプ装置10としては、上述のようなトロコイドポンプには限られず、外接歯車ポンプ、ベーンポンプ、渦巻きポンプ、カスケードポンプ、ピストンポンプ等、各種のポンプを用いることが可能である。
【0023】
図2は、ポンプ本体21の構成を示す図であり、ステータコア60と突き合わされる突合わせ面210側から見た斜視図である。図1および図2に示すように、ポンプ本体21の一端側(X1側)には、ステータコア60と突き合わされる突合わせ面210が設けられている。この突合わせ面210からは、他端側(X2側)に向かって窪むように嵌合部213が設けられていて、その嵌合部213には、図1に示すように軸受B1が嵌め込まれている。なお、回転軸31の一端側(X1側の端部側)は、後述する凹嵌部111aに位置するホルダH1に嵌め込まれた軸受B2に回転自在に支持される。
【0024】
また、図1および図2に示すように、突合わせ面210の外周縁部には、外周フランジ部215が一方側(X1側)に向かい突出するように設けられていて、その外周フランジ部215の内周には、Oリング等のシール部材S2が配置されている。このシール部材S2がステータモールド部110の外周モールド部112の他端側(X2側)の部位と接触することで、モータ部30の内部が、外部から封止される状態となる。
【0025】
図3は、ポンプ装置10の構成を示す断面図であり、ポンプユニット20およびモータ部30において図1に対して周方向に90度ずれた位置の断面形状を示す図である。なお、図3では、アウターロータ22、インナーロータ23およびポンプカバー24の図示を省略している。図2および図3に示すように、突合わせ面210のうち嵌合部213よりも外径側には、他方側(X2側)に向かって窪むポケット部216が設けられている。ポケット部216は、後述するステータモールド部110のうち他方側(X2側)に突出している絶縁カバー部113を入り込ませるための部分である。
【0026】
また、図2に示すように、ポンプ本体21の隣接するポケット部216の間には、合計6つの内径突出部217が設けられていて、その内径突出部217の一端側(X1側)の端面が、突合わせ面210となっている。内径突出部217は、平面視したときの形状が略三角形状となるように設けられている。
【0027】
それぞれの内径突出部217の突合わせ面210側からは、他方側(X2側)に向かうように、穴部210aが設けられている。この穴部210aには、上述したネジN1が捻じ込まれるか、または後述する位置決めピン115が挿入される。そのため、穴部210aには、ネジ山が形成された穴部と、ネジ山が形成されていない穴部とが存在している。本実施の形態では、60度間隔で合計6つの穴部210aのうち、120度間隔で3つの穴部210aにはネジ山が形成され、残りの3つの穴部210aにはネジ山が形成されていない。以下の説明では、穴部210aのうちネジ山が形成されていないものを穴部210a1とし、ネジ山が形成されているものを210a2とする。なお、穴部210aは、ポンプ本体21を貫通しない構成となっている。
【0028】
なお、図2および図3に示すように、ポケット部216の内周側には、ポケット部216と嵌合部213と隔てる内周リブ218が設けられている。内周リブ218は、内径突出部217の内径側の先端を結ぶようにリング状に設けられていると共に、内径突出部217の底部から一方側(X1側)に突出している。しかしながら、その一方側(X1側)への突出寸法は、内径突出部217よりも短く設けられていて、軸受B1を半分程度しか覆っていない。そのため、内径突出部217の内径側には、内周リブ218よりも更に一方側(X1側)に突出する保持突起218aが設けられていて、軸受B1の保持性を高めている。
【0029】
また、図2に示すように、ポンプ本体21の外周面の他端側(X2側)からは、フランジ部219が更に外側に突出している。フランジ部219には、ネジ孔219aが設けられていて、そのネジ孔には、ポンプカバー24のフランジ部241を貫く貫通孔241aを貫通したボルト(図示省略)が捻じ込まれる。それにより、ポンプ本体21に対してポンプカバー24が取り付けられ、アウターロータ22およびインナーロータ23が外部から封止される。
【0030】
次に、モータ部30について説明する。図4は、モータ部30の構成を示す平面図であるが、部分的な断面も示している。図1および図4に示すように、モータ部30は、ポンプユニット20と共通の回転軸31を備え、その回転軸31の外周側には、ロータ40が設けられている。ロータ40は、ヨーク41とマグネット42とを備えている。ヨーク41は、回転軸31の外周側に取り付けられていて、たとえば、表面に電気的絶縁皮膜を有するケイ素鋼板等の電磁鋼板のプレス後に積層成型されて形成されている。ただし、ヨーク41は、たとえばフェライトや圧粉磁芯等、どのような磁性材料を用いて形成しても良い。また、ヨーク41を用いない構成を採用しても良い。
【0031】
このヨーク41の外周側にマグネット42が取り付けられている。マグネット42は、所定の角度毎に磁極が変化する状態でヨーク41の外周側に取り付けられている。そして、このようなヨーク41とマグネット42により、モータ部30のロータ40が構成されているが、他の部材(たとえば回転軸31)をロータ40に含めることは勿論可能である。
【0032】
なお、後述するように、ステータ50に6つのコイルが存在する場合には、ロータ40の外周側には、S極とN極とがそれぞれ同数ずつ設けられている。
【0033】
図4に示すように、ロータ40の外周側には、ステータ50が対向する状態で配置されている。すなわち、ロータ40は、ステータ50の中央孔51に位置している。ステータ50は、ステータコア60と、コイル巻線体70とを備えている。図5は、ステータコア60とコイル巻線体70の構成を示す斜視図である。図5に示すように、ステータコア60は、たとえば、表面に電気的絶縁皮膜を有するケイ素鋼板等の電磁鋼板600を多数積層した後にプレス成型することにより構成されている。しかしながら、ステータコア60は、たとえばフェライトや圧粉磁芯等、電磁鋼板600以外の磁性材料を用いて形成しても良い。
【0034】
ステータコア60には、外周リング部61と、主極ティース62と、補極ティース63とが一体となって設けられている。しかしながら、ステータコア60を構成する各部分は一体的な構成でなくても良い。たとえば、補極ティース63は、主極ティース62と一体ではなく別体的な構成を採用しても良い。また、ステータコア60は、補極ティース63を設けない構成を採用しても良い。外周リング部61は、ステータコア60のうち外周側に位置しているリング状の部分である。主極ティース62は、外周リング部61から径方向の内側に向かい突出している部分である。
【0035】
補極ティース63は、隣り合う主極ティース62の間に配置されているが、補極ティース63の幅は、外周側から中央側に向かうにつれて狭くなるように設けられている。なお、この補極ティース63を設けない構成を採用しても良い。
【0036】
ここで、図5に示すように、ステータコア60には、X方向を中心軸とする貫通孔64が設けられている。貫通孔64は、後述する位置決めピン115か、またはネジN1を挿通させるための孔部分である。貫通孔64は、全ての電磁鋼板600を貫いていて、そのため位置決めピン115またはネジN1は、全ての電磁鋼板600を貫くように配置されている。
【0037】
なお、貫通孔64は、ステータコア60のうち、コイル巻線体70が存在しない部位である、補極ティース63が存在する部位に設けられている。なお、貫通孔64は、補極ティース63に設けられていても良く、外周リング部61に設けられていても良く、両者に差し掛かって設けられていても良い。
【0038】
また、主極ティース62には、図4および図5に示すようなコイル巻線体70が取り付けられる。本実施の形態では、6つの主極ティース62に、それぞれコイル巻線体70が取り付けられている。コイル巻線体70は、ボビン80と、コイル90とを備えている。コイル90は、ボビン80に導線を巻回することにより構成されている。
【0039】
ボビン80は、外フランジ部81と内フランジ部82とで囲まれた巻枠部83と、端子台部84を備えている。巻枠部83は、導線の巻回によってコイル90が形成される部分であり、そのコイル90の位置決めを行う部分である。また、端子台部84は、導電部材(金属等)により形成される接続端子841が一体的に取り付けられている。接続端子841は、導線の端末が絡げられる絡げ部841aと、後述する回路基板のピン孔に差し込まれるピン部841bを備えている。また、ボビン80には、外フランジ部81から内フランジ部82までを貫く差込孔85が設けられている。差込孔85には、上述した主極ティース62が差し込まれる。
【0040】
また、上述したステータコア60には、モールド部に対応する樹脂モールド部100が一体的に取り付けられている。樹脂モールド部100は、金型の内部に、軸受B2を支持するためのホルダH1等を設置し、さらにコイル巻線体70を取り付けたステータコア60を設置した後に、樹脂を射出することによって、ステータコア60と一体的に設けられている部分である。
【0041】
図6は、ステータコア60と一体的な状態の樹脂モールド部100を示す斜視図である。図7は、図6に示す樹脂モールド部を半断面とした状態を示す斜視図である。図6および図7に示すように、樹脂モールド部100は、モータ部30を構成する外観が略円筒状のステータモールド部110と、外観が矩形の箱状の基板取付部120とを有している。
【0042】
なお、図1に示すように、矩形の箱状の基板取付部120には、回路基板130やその他の部品が取り付けられると共に、カバー体150が基板取付部120取り付けられることで、回路基板130等が外部から封止される。なお、以下の説明においては、ステータコア60等が樹脂モールド部100と一体化されたものを、必要に応じてステータモジュール140と称呼する。
【0043】
上述のステータモールド部110において、一方側(X1側)には、底側モールド部111が設けられていて、その底側モールド部111によってステータコア60の一方側(X1側)の端部が支持される。なお、底側モールド部111の径方向の中央側には、一方側(X1側)に向かって窪む凹嵌部111aが設けられていて、その凹嵌部111aに凹形状のホルダH1が取り付けられ、そのホルダH1に軸受B2が嵌め込まれる。そして、軸受B2によって回転軸31の一端側(X1側)が支持される。
【0044】
また、ステータモールド部110のうちステータコア60の外周側には、外周モールド部112が設けられていて、その外周モールド部112によりステータコア60の外周側が覆われる。
【0045】
さらに、上述のように、主極ティース62にはコイル巻線体70が取り付けられるが、そのコイル巻線体70の他方側(X2側)を覆うように絶縁カバー部113が設けられている。図6および図7に示すように、絶縁カバー部113は、最も他端側(X2側)に位置するステータコア60(電磁鋼板600)よりも他方側(X2側)に向かって隆起している。ただし、絶縁カバー部113は、補極ティース63をさほど覆わない状態となっている。そのため、最も他端側(X2側)に位置するステータコア60には、補極ティース63のうち絶縁カバー部113で覆われていない部位が突き合わされる。
【0046】
なお、隣り合う絶縁カバー部113の間であって、中央孔51に面する内径側には、ステータコア60よりも他方側(X2側)に向かって突出する連結リブ114が設けられている。連結リブ114は絶縁カバー部113よりもX2側へ隆起する高さは低い。連結リブ114は、ステータモールド部110のX2側の内径側の強度を向上させると共に、射出成型の際の樹脂の回り込みを確保している。
【0047】
ここで、図1図6および図7に示すように、底側モールド部111のうち凹嵌部111aよりも外径側からは、位置決めピン115が突出している。位置決めピン115は、貫通孔64を延伸していて、さらにステータコア60よりも他方側(X2側)に向かって突出している。すなわち、射出成型の際に、樹脂が貫通孔64に入り込むことで、ステータコア60よりも他方側(X2側)に延伸する位置決めピン115が形成される。
【0048】
図6に示すように、位置決めピン115は絶縁カバー部113の間に位置している。また、その位置決めピン115のX2側に向かう突出高さは、絶縁カバー部113よりも低く設けられている。そのため、樹脂モールド部100にポンプ本体21を組み付ける際に、位置決めピン115が損傷するのを防止可能となっている。
【0049】
図6および図7に示すように、位置決めピン115の先端側からは、一方側(X1側)に向かって所定の長さだけ窪むように、先端凹部115aが設けられている。先端凹部115aの存在により、射出成型後に、樹脂にヒケ等が生じても、寸法精度が悪化するのを防いでいる。
【0050】
また、位置決めピン115の先端側は、上述したポンプ本体21の穴部210a1に挿入される。それにより、ステータモールド部110に対して、ポンプ本体21の回転方向の位置が定められる。なお、位置決めピン115は、少なくとも2本存在することが好ましい。2本以上の位置決めピン115が存在する場合には、ポンプ本体21をステータモールド部110に組み付ける際に、X方向に垂直な平面の平面内での位置決め精度を向上させることができ、それにより回転軸31等の芯出しを良好に行える。
【0051】
<2.ポンプ装置10の製造方法について>
以上のような構成のポンプ装置10を製造する際の製造方法について、以下に説明する。本実施の形態のポンプ装置10を製造する場合、ポンプユニット20やモータ部30を構成する各部品を個別に作製する。
【0052】
その後に、金型の可動側(可動型)に、ステータコア60を設置する(設置工程に対応)。この設置工程では、ステータコア60のX2側の端面60aが、可動型の壁面に接触する状態とする。その状態で、可動型を固定型に対して突き合わせた形閉じ状態とし、その状態で溶融した樹脂を金型の空洞部分に射出して射出成型を行う(射出工程に対応)。そのとき、射出成型の際の圧力により、ステータコア60の端面60aは、可動型の壁面に押し付けられる。すると、この端面60aは、樹脂で覆われずに、露出した状態となる。そのため、端面60aは、ポンプ本体21の突合わせ面210と直接接触する状態とすることができ、ステータコア60側からの熱をポンプ本体21に伝達させることができる。
【0053】
また、この射出工程では、ステータモールド部110と基板取付部120を有する樹脂モールド部100が形成されるが、その際に、ステータコア60の貫通孔64に溶融した樹脂が入り込むことで、ステータモールド部110には位置決めピン115が形成される。この位置決めピン115は、さらにステータコア60の端面60aから突出する状態で形成される。
【0054】
そして、溶融した樹脂が固まった後に金型を形開きし、ステータコア60等が樹脂モールド部100と一体化されたステータモジュール140を取り出す(取り出し工程に対応)。その取り出し工程の後に、別途に形成された各部品を組み付けて、ポンプ装置10が形成される。たとえば、軸受B2をホルダH1に取り付ける。また、ロータ40やEリングを取り付けた回転軸31の一端側(X1側)を軸受B2の中心孔に挿入する。その後に、軸受B1等をポンプ本体21に取り付けた後に、上述の射出工程によって形成された位置決めピン115を、突合わせ面210に設けられている穴部210a1に挿入して位置合わせを行い、突合わせ面210にステータコア60の端面60aを接触させて、ポンプ本体21をステータモジュール140に取り付ける(取付工程に対応)。
【0055】
さらに他の部品を取り付けることで、ポンプ装置10が形成される。
【0056】
<3.効果について>
以上のような構成のポンプ装置10およびポンプ装置10の製造方法によると、ポンプ本体21には、凹部211が設けられている側とは反対側の突合わせ面210に穴部210a1が設けられている。また、モータ部30は、回転軸31の外周に取り付けられているロータ40を備え、さらにロータ40の外周にはステータコア60が対向して設けられていて、さらにボビン80を介してコイル90がステータコア60に取り付けられている。また、樹脂モールド部100は、ステータコア60を一体的に保持すると共に、端面60aから突出して穴部210a1に挿入される位置決めピン115が一体的に設けられている。
【0057】
このため、現状のポンプ装置とは異なり、位置決めピン115が樹脂モールド部100と一体的に設けられているので、別体的な金属ピンが不要となる。したがって、部品点数を削減することが可能となる。また、別体的な金属ピンが不要となるので、そのような別体的な金属ピンを挿入するための工程も不要となり、また別体的な金属ピンの管理も不要となる。したがって、製造の際の工数を削減することが可能となる。
【0058】
さらに、たとえば特許文献1に開示のポンプ装置とは異なり、ポンプ本体21と樹脂モールド部100の位置決めのために、印籠に類する嵌め合い構成を採用せずに済む。そのため、特許文献1に開示のような、2つのリング状の突出部を設けるためのスペースが不要となり、それによってポンプ装置10の径方向の寸法を小さくすることができ、ポンプ装置10を小型化することが可能となる。
【0059】
また、本実施の形態では、印籠に類する嵌め合い構成を採用していないので、特許文献1に開示の構成のように、凹凸が入り組んでいるような部位を設けずに済む。そのため、金属同士の突合わせ面積を増やすことが可能となり、それによってモータ部30で発生した熱を、ポンプ本体21に伝達させ易くなる。それにより、ポンプ装置10の放熱性を向上させることが可能となる。
【0060】
また、本実施の形態では、ステータコア60には、X方向(回転軸31の軸方向)に沿ってステータコア60を貫く貫通孔64が設けられている。また、樹脂モールド部100には、X方向(軸方向)において突合わせ面210と当接する端面60aとは反対側にてステータコア60を支持する底側モールド部111が設けられている。そして、位置決めピン115は、底側モールド部111から貫通孔64を挿通して端面60aから突出している。このため、樹脂モールド部100のうち底側モールド部111以外の他の部位から位置決めピン115を突出させる構成と比較して、ステータコア60の端面60aを樹脂で覆う面積を少なくすることができる。したがって、ポンプ装置10の放熱性を向上させることができる。
【0061】
また、底側モールド部111から位置決めピン115が突出する構成を採用するが、その位置決めピン115は貫通孔64の内部を貫いている。このように、ステータコア60の内部の貫通孔64を位置決めピン115が貫く構成を採用するため、ステータコア60によって位置決めピン115を保護することが可能となる。
【0062】
さらに、本実施の形態では、ステータコア60には、内周側に向かって突出する複数の主極ティース62が設けられていて、その主極ティース62にはコイル90を有するコイル巻線体70が取り付けられている。また、樹脂モールド部100には、端面60aから突出するコイル巻線体70を覆う絶縁カバー部113が周方向に間欠的に設けられていて、位置決めピン115は、隣り合う絶縁カバー部113の間から突出すると共に、その突出高さは絶縁カバー部113が端面60aから突出する突出高さよりも低く設けられている。そのため、位置決めピン115は、自身よりも突出高さが高い絶縁カバー部113の間に位置しているので、位置決めピン115は絶縁カバー部113にて保護された状態となり、それによって位置決めピン115が損傷するのを良好に防止することができる。
【0063】
また、ポンプ本体21を樹脂モールド部100に対して位置決めする場合、絶縁カバー部113を利用することも可能となり、それによって位置決め精度を一層高めることができる。さらに、位置決めピン115に作用するせん断等の応力を低減することが可能となる。
【0064】
また、本実施の形態では、位置決めピン115は、ステータコア60の周方向に沿って複数設けられている。また、穴部210aは、ポンプ本体21の周方向に沿って複数設けられ、かつ位置決めピン115よりも多く設けられている。また、穴部210a2にはネジ穴が設けられている。そして、位置決めピン115が挿入されない穴部210a2には、ステータコア60を固定するためのネジN1が捻じ込まれるので、全ての穴部210aに、位置決めピン115か、またはネジN1を位置させることができ、穴部210aが空洞のままとしない状態とすることができる。そのため、放熱性を高めることができる。
【0065】
また、本実施の形態のポンプ装置10の製造方法においては、設置工程では、金型の可動型の壁面に、ポンプ本体21の突合わせ面210に対して接触するステータコア60の端面60aを接触させる状態で、当該ステータコアを設置している。また、射出工程では、可動型を金型の固定型に対して突き合わせた形閉じ状態とし、その形閉じ状態で溶融した樹脂を、突き合わせ部位の間に形成される空洞部分に射出する際の射出圧によって端面60aを可動型の壁面に押し付ける状態として、端面60aから突出する位置決めピン115を有する樹脂モールド部100を形成している。
【0066】
このため、ステータコア60の端面60aは、樹脂で覆われるのを防止することができ、金属製のステータコア60の端面を、同じく金属製のポンプ本体21の突合わせ面210に突き合わせる面積を確保することができる。そのため、ポンプ装置10の放熱性を高めることができる。
【0067】
なお、取付工程では、位置決めピン115を、突合わせ面210に設けられている穴部210a1に挿入させる状態としつつ、突合わせ面210に端面60a接触させてポンプ本体21をステータモジュール140に取り付けている。そのため、ポンプ装置10の製造のための工数を削減しながら、ポンプ本体21とステータモジュール140の間の位置決め精度を高めることができる。
【0068】
<4.変形例>
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0069】
上述の実施の形態においては、位置決めピン115は、底側モールド部111から貫通孔64を通過するように延伸している。しかしながら、位置決めピン115は、このような構成には限られない。たとえば、絶縁カバー部113から端面60aの一部を覆うように樹脂の導入路を確保し、その導入路からさらに穴部210aに入り込むための位置決めピンが、射出成型によって形成される構成としても良い。
【0070】
また、上述の実施の形態では、穴部210aは合計6つ設けられていて、そのうちネジ山が形成されていない穴部210a1は3つ、ネジ山が形成されている穴部210a2は3つ設けられている。また、位置決めピン115は3本設けられ、ネジN1も3本設けられている。しかしながら、穴部210aの個数や、位置決めピン115の本数、ネジN1の本数は、適宜変更可能であり、幾つであっても良い。
【0071】
また、上述の実施の形態では、60度間隔で穴部210aが設けられていて、位置決めピン115が120度間隔で配置され、さらに120度間隔でネジN1が配置された構成について説明している。しかしながら、これら穴部210a、位置決めピン115およびネジN1を設ける間隔は、どのような間隔でも良く、不均等な間隔でも良い。また、これらは同一の周状に配置されている構成を採用せず、異なる径の周状に配置される構成を採用しても良い。
【0072】
なお、位置決めピン115は、端面60aの平面方向での位置決めを行うためには2本以上設けられることが好ましいが、絶縁カバー部113にて位置決めを良好に行える場合には、位置決めピン115は1本のみ設けられる構成を採用しても良い。
【0073】
また、上述の実施の形態においては、位置決めピン115は溶融した樹脂が貫通孔64に入り込むことにより形成されている。しかしながら、位置決めピン115は、ステータモールド部110と一体的であれば、その他の手法によって形成されても良い。たとえば、金型の可動型に金属や樹脂等を材質とする位置決めピンをセットし、射出成型によって位置決めピンがステータモールド部110と一体的に設けられる構成としても良い。
【0074】
なお、ポンプ本体21の樹脂モールド部100に対する取り付けは、上述したものには限られない。たとえば、ポンプ本体21を樹脂モールド部100に対して60度ずらすことにより、ボルトN2での取付箇所の位置変更に、柔軟に対応させることも可能である。この場合でも、たとえば穴部210a1をベースにして、ネジ山を有する穴部210a2を形成することで、取り付けられる角度を柔軟に変更することができる。なお、上記の60度は角度の一例であり、位置決めピン115が挿入される穴部210a1と、ネジ山が形成されている穴部210a2の個数に応じて適宜変更することができる。
【0075】
すなわち、ポンプ本体21は、ダイカストによる鋳造品から形成されていて、そのポンプ本体21には、位置決めピン115が挿入される穴部210a(穴部210a1)と、ネジ山が形成されている穴部210a(穴部210a2;ネジ穴に対応)とが設けられている。そして、穴部210a1と穴部210a2(ネジ穴)とは、突合わせ面210の周方向において交互に配置されている。また、位置決めピン115が挿入される穴部210a1と、穴部210a2(ネジ穴)との配置パターンには、ある角度配置の第1配置パターンと、その第1配置パターンに対して位置決めピン115が挿入される穴部210a1と穴部210a2(ネジ穴)の位置を入れ替えた第2配置パターンと、の2つの配置パターンが存在している。そして、突合わせ面210には、第1配置パターンと第2配置パターンのうちのいずれかが設けられている。
【0076】
このようにする場合、ダイカストによる鋳造品に対して、ダイカストの後に、位置決めピン115が挿入される穴部210a1と、ネジ山が形成されている穴部210a2とを形成すれば良いので、第1配置パターンと第2配置パターンとでは、ポンプ本体21を製造するためのダイカスト型(鋳型)を共通化することができ、その分だけコストの低減を図ることができる。
【0077】
また、上述の実施の形態では、トロコイドポンプについて説明しており、そのためポンプ本体21は、ポンプロータに対応するアウターロータ22およびインナーロータ23を収納する凹部211を備えている。しかしながら、ポンプ本体は凹部を備えない構成を採用しても良い。たとえば、ポンプ装置が渦巻きポンプである場合には、平坦部にインペラが配置される構成としても良い。なお、この場合には、平坦部を覆うようにケーシングを設ける構成とすることができる。
【符号の説明】
【0078】
10…ポンプ装置、20…ポンプユニット、21…ポンプ本体、22…アウターロータ(ポンプロータの一部に対応)、23…インナーロータ(ポンプロータの一部に対応)、24…ポンプカバー、30…モータ部、31…回転軸、40…ロータ、41…ヨーク、42…マグネット、50…ステータ、51…中央孔、60…ステータコア、60a…端面、61…外周リング部、62…主極ティース、63…補極ティース、64…貫通孔、70…コイル巻線体、80…ボビン、81…外フランジ部、82…内フランジ部、83…巻枠部、84…端子台部、85…差込孔、90…コイル、100…樹脂モールド部(モールド部に対応)、110…ステータモールド部、111…底側モールド部、111a…凹嵌部、112…外周モールド部、113…絶縁カバー部、114…連結リブ、115…位置決めピン、115a…先端凹部、120…基板取付部、130…回路基板、140…ステータモジュール、150…カバー体、210…突合わせ面、210a,210a1,210a2…穴部、211…凹部、213…嵌合部、215…外周フランジ部、216…ポケット部、217…内径突出部、218…内周リブ、218a…保持突起、219…フランジ部、219a…ネジ孔、221…内周凹部、222…内歯車、231…外歯車、241…フランジ部、241a…貫通孔、600…電磁鋼板、841…接続端子、841a…絡げ部、841b…ピン部、B1,B2…軸受、H1…ホルダ、N1…ネジ、S2…シール部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7