(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6517612
(24)【登録日】2019年4月26日
(45)【発行日】2019年5月22日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 11/01 20060101AFI20190513BHJP
B60C 11/00 20060101ALI20190513BHJP
B60C 9/18 20060101ALI20190513BHJP
【FI】
B60C11/01 B
B60C11/00 H
B60C11/00 F
B60C9/18 N
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-142361(P2015-142361)
(22)【出願日】2015年7月16日
(65)【公開番号】特開2017-24465(P2017-24465A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124707
【弁理士】
【氏名又は名称】夫 世進
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】金村 利彦
【審査官】
増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−245622(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第01184206(EP,A1)
【文献】
国際公開第2014/103069(WO,A1)
【文献】
特開2014−213649(JP,A)
【文献】
特開2006−076359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/01
B60C 9/18
B60C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともタイヤ幅方向両側のショルダー陸部とそのタイヤ幅方向内側の陸部とが形成された空気入りタイヤにおいて、
前記ショルダー陸部内であって前記ショルダー陸部のタイヤ幅方向内側の端部よりタイヤ幅方向外側の位置で、トレッドゴムの厚みが、前記タイヤ幅方向内側の陸部におけるトレッドゴムの平均厚みより厚くなり、
トレッドゴムよりタイヤ径方向内側に1又は2以上のベルトが設けられ、タイヤ幅方向に一番短いベルトの端部から前記ショルダー陸部におけるトレッドゴムの一番厚い位置までのタイヤ幅方向の長さが、前記のタイヤ幅方向に一番短いベルトの端部から前記ショルダー陸部のタイヤ幅方向内側の端部までのタイヤ幅方向の長さの、20%以上60%以下の長さであり、
前記ショルダー陸部におけるトレッドゴムの一番厚い位置が、タイヤ幅方向に一番短いベルトの端部よりタイヤ幅方向内側にある、空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記ショルダー陸部のタイヤ幅方向内側の端部におけるトレッドゴムの厚みが、前記タイヤ幅方向内側の陸部におけるトレッドゴムの平均厚み以下の厚みである、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの接地面はタイヤ幅方向中央ほどタイヤ径方向外側へ突出した曲面となっている。そのためタイヤ幅方向外側のショルダー陸部の接地面は、タイヤ幅方向内側の陸部の接地面と比較して、タイヤ周方向の長さが短い。そのためショルダー陸部にかかる接地圧が高く、そのことが制動性能の向上にとって障害となっている。
【0003】
そこで対策として、ショルダー陸部の接地面積を増やすことにより、ショルダー陸部にかかる接地圧を下げることが挙げられる。ショルダー陸部の接地面積を増やす方法として、例えば特許文献1に記載のように、トレッドゴムのショルダー陸部全体をセンター領域のプロファイルラインよりもタイヤ径方向外側へ突出させる方法が考えられる。ショルダー陸部全体がタイヤ径方向外側へ突出すれば、トレッドゴムの接地面がタイヤ周方向及びタイヤ幅方向に長くなり、接地面積が増える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−168638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしショルダー陸部全体がタイヤ径方向外側へ突出すると、タイヤに使用されるトレッドゴムの量が増えることが原因となって、タイヤの転がり抵抗が悪化し、燃費性が悪化する。
【0006】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、転がり抵抗と制動性能とが両立する空気入りタイヤを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の空気入りタイヤは、少なくともタイヤ幅方向両側のショルダー陸部とそのタイヤ幅方向内側の陸部とが形成された空気入りタイヤにおいて、前記ショルダー陸部内であって前記ショルダー陸部のタイヤ幅方向内側の端部よりタイヤ幅方向外側の位置で、トレッドゴムの厚みが、前記タイヤ幅方向内側の陸部におけるトレッドゴムの平均厚みより厚くな
り、トレッドゴムよりタイヤ径方向内側に1又は2以上のベルトが設けられ、タイヤ幅方向に一番短いベルトの端部から前記ショルダー陸部におけるトレッドゴムの一番厚い位置までのタイヤ幅方向の長さが、前記のタイヤ幅方向に一番短いベルトの端部から前記ショルダー陸部のタイヤ幅方向内側の端部までのタイヤ幅方向の長さの、20%以上60%以下の長さであり、前記ショルダー陸部におけるトレッドゴムの一番厚い位置が、タイヤ幅方向に一番短いベルトの端部よりタイヤ幅方向内側にあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本実施形態の空気入りタイヤでは、転がり抵抗と制動性能とが両立している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態の空気入りタイヤ10のタイヤ幅方向の半断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本実施形態の空気入りタイヤ10のタイヤ幅方向の半断面図である。本実施形態の空気入りタイヤ10の構造はタイヤ幅方向のセンターラインCLに対して対称になっている。
【0011】
本実施形態の空気入りタイヤ10は、束ねられた鋼線にゴムが被覆されたビードコア11と、ビードコア11のタイヤ径方向外側に設けられたゴム製のビードフィラー12とからなるビード部を、タイヤ幅方向両側に有する。カーカス13が、タイヤ幅方向両側でビード部を包むと共に、これらのビード部間で空気入りタイヤ10の骨格を形成している。本実施形態では2枚のカーカス13が設けられているが、1枚のカーカス13のみが設けられている場合もある。
【0012】
カーカス13よりタイヤ径方向外側には複数の部材が設けられている。具体的には、カーカス13のタイヤ径方向外側に1又は2以上のベルトが設けられている。ベルトはスチール製等の複数本のコードがゴムで被覆されたものである。本実施形態では、タイヤ径方向内側の第1ベルト14とタイヤ径方向外側の第2ベルト15とが積層されている。本実施形態では、第2ベルト15が第1ベルト14よりもタイヤ幅方向に短い。従って、第2ベルト15のタイヤ幅方向端部が第1ベルト14のタイヤ幅方向端部よりもタイヤ幅方向内側にある。ただし、タイヤ径方向内側の第1ベルト14がタイヤ径方向外側の第2ベルト15よりもタイヤ幅方向に短い場合もある。第2ベルト15のタイヤ径方向外側にはベルト補強層16が設けられている。ベルト補強層16は、有機繊維製等の複数本のコードがゴムで被覆されたものである。ベルト補強層16は、第1ベルト14及び第2ベルト15よりもタイヤ幅方向に長く、これらをタイヤ径方向外側から覆っている。
【0013】
ベルト補強層16のタイヤ径方向外側にはトレッドゴム20が設けられている。またカーカス13のタイヤ幅方向両側にはサイドウォールゴム17が設けられている。トレッドゴム20は2枚のベルトのうちタイヤ幅方向に短い方のベルトである第2ベルト15のタイヤ幅方向端部S(第1ベルト14が第2ベルト15よりもタイヤ幅方向に短い場合は第1ベルト14のタイヤ幅方向端部)よりもタイヤ幅方向外側において薄くなっており、その薄くなっている部分がサイドウォールゴム17と重なっている。トレッドゴム20とサイドウォールゴム17とが重なっている領域では、トレッドゴム20とサイドウォールゴム17のいずれがタイヤ外面側にあっても良い。
【0014】
また、カーカス13の内側にはインナーライナー18が設けられている。以上の部材の他にもタイヤの機能上の必要に応じて複数の部材が設けられている。
【0015】
トレッドゴム20にはタイヤ周方向に伸びる複数の主溝が設けられている。本実施形態の場合は4本の主溝21が設けられている。これらの主溝21に隔てられて、タイヤ幅方向中央のセンター陸部22と、タイヤ幅方向両側のショルダー陸部23と、センター陸部22とショルダー陸部23との間のメディエイト陸部24とが形成されている。これらの陸部は、それぞれ、タイヤ1周に亘って陸部が続くリブとなっていても良いし、横溝で等間隔に分断されてブロック列となっていても良い。
【0016】
これらの陸部においてトレッドゴム20の厚みがタイヤ幅方向に変化している。ここで厚みとは、完成したタイヤにおける、トレッドゴム20のタイヤ径方向内側においてトレッドゴム20と接する部材(本実施形態の場合はベルト補強層16)の法線方向の厚みのことである。
【0017】
具体的には、ショルダー陸部23におけるトレッドゴム20の厚みは、タイヤ幅方向の所定位置Pにおいて、ショルダー陸部23の他の部分よりも、厚くなっている。また、ショルダー陸部23におけるトレッドゴム20の厚みは、ショルダー陸部23のタイヤ幅方向内側(主溝21側)の端部Qと接地端Rにおいて、前記所定位置Pにおける厚みよりも、薄くなっている。
【0018】
ここで接地端Rとは、空気入りタイヤ10が正規リムにリム組みされ正規内圧にされ正規荷重が負荷された状態での接地面のタイヤ幅方向端部のことである。ここで正規リムとはJATMA、TRA、ETRTO等の規格に定められている標準リムのことである。また正規荷重とは前記規格に定められている最大荷重のことである。また正規内圧とは前記最大荷重に対応した内圧のことである。通常、接地端Rは、タイヤ幅方向に一番短いベルト(本実施形態の場合は第2ベルト15)のタイヤ幅方向端部よりもタイヤ幅方向内側にある。ただし空気入りタイヤ10が重荷重で使用される場合は、接地端Rが第2ベルト15のタイヤ幅方向端部よりもタイヤ幅方向外側にある場合もある。
【0019】
所定位置Pにおけるトレッドゴム20の厚みlは、ショルダー陸部23の隣のメディエイト陸部24におけるトレッドゴム20の平均厚みmよりも厚い。ここで、メディエイト陸部24におけるトレッドゴム20の平均厚みmは、メディエイト陸部24におけるトレッドゴム20の厚みをタイヤ幅方向に一定間隔(例えば12mm間隔)おきに測定し、その測定値を平均して求められる。所定位置Pにおけるトレッドゴム20の厚みlは、メディエイト陸部24におけるトレッドゴム20の平均厚みmの100%を超え110%以下の厚みであることが望ましい。またショルダー陸部23のタイヤ幅方向内側の端部Qにおけるトレッドゴム20の厚みnは、メディエイト陸部24におけるトレッドゴム20の平均厚みm以下であることが望ましい。さらに、ショルダー陸部23のうち、タイヤ幅方向に一番短いベルトである第2ベルト15(第1ベルト14が第2ベルト15よりもタイヤ幅方向に短い場合は第1ベルト14)のタイヤ幅方向端部Sからショルダー陸部23のタイヤ幅方向内側の端部Qまでのタイヤ幅方向の距離uに対して、第2ベルト15のタイヤ幅方向端部Sから20%未満の距離内の領域vに関しては、トレッドゴム20の厚みがメディエイト陸部24におけるトレッドゴム20の平均厚みm以下であることが望ましい。
【0020】
トレッドゴム20が一番厚くなっている位置である前記所定位置Pはショルダー陸部23の幅方向の中央付近にあることが望ましい。具体的には、タイヤ幅方向に一番短いベルトである第2ベルト15(第1ベルト14が第2ベルト15よりもタイヤ幅方向に短い場合は第1ベルト14)のタイヤ幅方向端部Sから前記所定位置Pまでのタイヤ幅方向の距離tが、第2ベルト15のタイヤ幅方向端部Sからショルダー陸部23のタイヤ幅方向内側の端部Qまでのタイヤ幅方向の距離uに対して、20%以上60%以下の距離であることが望ましい。
【0021】
以上のようなトレッドゴム20の厚みのタイヤ幅方向の変化の仕方は、ショルダー陸部23のタイヤ周方向のいずれの位置においても同じである。
【0022】
なおトレッドゴム20の厚みは次の方法により確認することができる。まず、タイヤをタイヤ幅方向及びタイヤ径方向に平行にカットしカットサンプルを作成する。必要に応じてカットサンプルのカット面をバフ研磨等で滑らかにする。次にカットサンプルのビード部を正規リムのリム幅に合わせると共に、カットサンプルの形状をタイヤに正規内圧を充填したときの形状に合わせる。その状態で、トレッドゴム20とそれに接している部材(本実施形態の場合はベルト補強層16)との境界からタイヤ接地面までの長さを、前記部材(本実施形態の場合はベルト補強層16)の法線方向に測定し、トレッドゴム20の厚みとする。ここで、カットサンプルのカット面におけるトレッドゴム20とベルト補強層16との境界は、ベルト補強層16のコードのタイヤ接地面側の端部を結ぶ曲線で表すことができる。
【0023】
本実施形態では、以上のように、ショルダー陸部23の所定位置Pにおいて、トレッドゴム20がメディエイト陸部24におけるトレッドゴム20の平均厚みmよりも厚くなっているため、ショルダー陸部23の接地面がタイヤ周方向に長くなり、そのぶんショルダー陸部23の接地面積が広くなる。そのためショルダー陸部23にかかる接地圧が低くなり、空気入りタイヤ10の制動性能が向上する。しかも、ショルダー陸部23全体をタイヤ径方向外側へ突出させる場合と比較して、空気入りタイヤ10に使用されるトレッドゴム20のゴム量が増えていないため、タイヤの転がり抵抗が大幅に悪化するおそれが無い。
【0024】
特に、ショルダー陸部23のタイヤ幅方向内側の端部Qにおけるトレッドゴム20の厚みnが、メディエイト陸部24におけるトレッドゴム20の平均厚みm以下の厚みであれば、空気入りタイヤ10に使用されるトレッドゴム20のゴム量が抑えられ、タイヤの転がり抵抗が大幅に悪化するおそれが無い。
【0025】
また、タイヤ幅方向に一番短いベルトである第2ベルト15の端部Sからトレッドゴム20が一番厚い所定位置Pまでのタイヤ幅方向の長さtが、前記端部Sからショルダー陸部23のタイヤ幅方向内側の端部Qまでのタイヤ幅方向の長さuの20%以上60%以下の長さであれば、他に問題を生じさせることなくショルダー陸部23全体のタイヤ周方向の接地長が長くなる。前記長さtが前記長さuの60%を超える場合は、ショルダー陸部23のタイヤ幅方向外側の接地長が十分に伸びないおそれがある。また前記長さtが前記長さuの20%未満の場合は、接地面に剛性差が出易い第2ベルト15の端部S付近の部分が主に接地することになるため、偏摩耗が発生し易くなるおそれがある。
【0026】
また、所定位置Pにおけるトレッドゴム20の厚みlが、メディエイト陸部24におけるトレッドゴム20の平均厚みmの110%以下の厚みであれば、空気入りタイヤ10に使用されるトレッドゴム20のゴム量が大幅に増えてタイヤの転がり抵抗が大幅に悪化するおそれが無い。
【0027】
以上の実施形態に対して、発明の要旨を逸脱しない範囲で、様々な変更、置換、省略等を行うことができる。例えば、主溝が2本しか無くセンター陸部とショルダー陸部しか存在しない場合は、ショルダー陸部のタイヤ幅方向内側の端部よりタイヤ幅方向外側に、トレッドゴムの厚みが、センター陸部におけるトレッドゴムの平均厚みより厚い位置があれば良い。
【0028】
比較例及び実施例のタイヤの転がり抵抗係数(RRC)及び制動性能を評価した。比較例及び実施例のタイヤは、トレッドゴムの厚みを除いて、
図1の空気入りタイヤ10と同じ構造を有する。つまり、比較例及び実施例のタイヤは、全て、4本の主溝を有し、センター陸部、メディエイト陸部、ショルダー陸部を有する。また上記実施形態の空気入りタイヤ10と同様に、いずれのタイヤもタイヤ径方向内側の第1ベルトとタイヤ径方向外側の第2ベルトとを有し、第2ベルトが第1ベルトよりもタイヤ幅方向に短い。タイヤのサイズはいずれも205/60R16とする。
【0029】
比較例及び実施例のタイヤのトレッドゴムの厚みに関する特徴は表1の通りである。表1ではトレッドゴムの厚みが指数で表されている。指数が大きいほど厚いことを示している。
【0030】
比較例1のタイヤは、そのトレッドゴムの厚みが、溝の部分を除き、タイヤ幅方向中央で最も厚く、タイヤ幅方向外側に向かって徐々に薄くなっているものである。このようなトレッドゴムの厚みの変化の仕方は従来からあるものである。また、比較例2のタイヤは、そのトレッドゴムの厚みが、溝の部分を除き、タイヤ幅方向に均一になっているものである。なお、表1における比較例1及び比較例2の「ショルダー陸部の所定位置でのトレッドゴムの厚み」とは、ショルダー陸部の幅方向中央位置でのトレッドゴムの厚みのことである。
【0031】
一方、実施例1〜3のタイヤでは、上記実施形態と同様に、ショルダー陸部の所定位置においてドレッドゴムが一番厚くなっている。メディエイト陸部でのトレッドゴムの平均厚みに対し、ショルダー陸部の前記所定位置でのトレッドゴムの厚みが厚く、ショルダー陸部のタイヤ幅方向内側端部でのトレッドゴムの厚みが薄くなっている。第2ベルトのタイヤ幅方向端部から前記所定位置までのタイヤ幅方向の距離(
図1の距離tに相当する距離)の、第2ベルトのタイヤ幅方向端部からショルダー陸部のタイヤ幅方向内側端部までのタイヤ幅方向の距離(
図1の距離uに相当する距離)に対する割合(表1ではt/uと表記)は、実施例1〜3で表1に記載のように異なる。
【0032】
評価方法は次の通りである。
転がり抵抗係数:JIS D4234に準拠した転がり抵抗試験を実施し、転がり抵抗係数を求め指数化した。指数が小さいほど転がり抵抗係数が小さい。
制動性能:タイヤを実車に装着し、走行速度を100km/hから0km/hに落としたときの制動距離を測定し、指数化した。指数が大きいほど制動性能に優れている。
【0033】
評価結果は表1の通りである。実施例1〜3のタイヤは、従来のタイヤと比較して制動性能に優れるにもかかわらず転がり抵抗係数が極端に大きくなっておらず、転がり抵抗と制動性能とが両立している。
【符号の説明】
【0035】
10…空気入りタイヤ、11…ビードコア、12…ビードフィラー、13…カーカス、14…第1ベルト、15…第2ベルト、16…ベルト補強層、17…サイドウォールゴム、18…インナーライナー、20…トレッドゴム、21…主溝、22…センター陸部、23…ショルダー陸部、24…メディエイト陸部