(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0045】
<第1の実施形態>
以下、
図1〜
図7を参照して、本発明の第1の実施形態に係る人工心肺装置(血液循環システム)について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る人工心肺装置の概略構成を説明する回路図であり、
図2は、第1の実施形態に係る人工心肺装置の制御部の概略構成を説明するブロック図である。
【0046】
図1、
図2において、符号10は人工心肺装置を、符号111は脱血流量センサ(脱血流量測定手段)を、符号20は送血ポンプを、符号40は制御部を、符号150は送血制御切換部を、符号160はリザーバ液位調整部を、符号170は液位センサを示している。
【0047】
人工心肺装置10は、
図1に示すように、例えば、脱血ライン101と、リザーバ102と、血液ライン103と、第1の送血ライン(送血ライン)104と、人工肺105と、第2の送血ライン(送血ライン)106と、脱血流量センサ111と、脱血レギュレータ(脱血流量調整手段)121と、送血ポンプ20と、制御部40と、送血制御切換部150と、リザーバ液位調整部160と、液位センサ170とを備えている。
【0048】
また、人工心肺装置10は、この実施形態において、送血ポンプ20による送血流量が脱血流量と連動して制御される連動送血制御と、送血流量が脱血流量と独立して設定により制御される設定送血制御とが可能とされ、連動送血制御、設定送血制御のそれぞれにおいて、予め設定された送血条件に基づいて、自動でリザーバ102内の血液貯留量の調整しながら送血するリザーバ液位調整処理が可能とされている。また、リザーバ液位調整処理が終了したら、リザーバ液位調整処理が自動で解除されるようになっている。
【0049】
また、脱血ライン101、リザーバ102、血液ライン103、送血ポンプ20、第1の送血ライン104、人工肺105、第2の送血ライン106は、この順に接続されている。
また、脱血ライン101には、脱血レギュレータ121、脱血流量センサ111がこの順に配置されている。
そして、脱血ライン101を介して脱血された血液は、第1の送血ライン104、第2の送血ライン106を介して患者(人体)Pに循環されるようになっている。
【0050】
脱血ライン101は、例えば、ポリ塩化ビニルなどの樹脂により形成されたチューブにより構成されていて、一端が患者Pに接続可能とされていて、静脈から受け取った血液をリザーバ102に移送するようになっている。
また、脱血ライン101には、必要に応じて血液の濃度や酸素の濃度をモニターするためのセンサ等(不図示)が設けられている。なお、上記センサ等は、脱血ライン101に代えて、血液ライン103、第1の送血ライン104に設けてもよい。
【0051】
リザーバ102は、血液を貯留する貯留槽を有していて、移送されてきた血液を一時的に貯留槽に貯留するようになっている。
また、リザーバ102には、例えば、患者Pの手術野における血液を吸引するためのサクションライン(不図示)、および右心腔内における血液を吸引するためのベントライン(不図示)が接続されていて、吸引した血液をサクションラインやベントラインを通じて貯留槽内に移送することが可能とされている。
【0052】
また、貯留槽には、例えば、
図1に示すように、液位センサ(血液貯留量検知手段)170が取付けられ、貯留槽に貯留された血液の液位(血液貯留量)を検知することができるようになっている。
【0053】
この実施形態において、液位センサ(血液貯留量検知手段)170は、例えば、超音波センサを備えており、リザーバ102の貯留槽の外表面に目標液位(目標貯留量範囲)と対応して取付けられるとともに貯留槽の壁部と音響的に結合されている。
そして、液位センサ170は、貯留槽の外表面から容器内方向に超音波を通過させて、その反響波形によって血液Lが目標液位まで上昇しているかどうかを検知するようになっている。
なお、液位センサ170は、例えば、目標血液貯留量の上限及び下限と対応する構成や、目標血液貯留量の下限と対応する構成のものを適用してもよい。
【0054】
血液ライン103は、脱血ライン101と同様の構成とされ、上流がリザーバ102に接続されて下流が送血ポンプ20に接続されていて、リザーバ102から受け取った血液を送血ポンプ20に移送するようになっている。
【0055】
送血ポンプ20は、例えば、第1の送血ライン104を介して人工肺105に血液を移送するようになっている。
また、送血ポンプ20は、例えば、回転数と対応する血液流量が把握されたローラポンプや、目標送血流量に対してフィードバック制御しながら送血制御する遠心ポンプ等、種々のポンプを適用することができる。
【0056】
第1の送血ライン104は、脱血ライン101と同様の構成とされていて、上流が送血ポンプ20に接続され、下流が人工肺105に接続されていて、送血ポンプ20から送り出された血液を人工肺105に移送するようになっている。
【0057】
人工肺105は、例えば、気体透過性に優れた中空糸膜または平膜などを備えており、血液中の二酸化炭素を排出して酸素を付加するように構成されている。
なお、人工肺105は、例えば、血液の温度を調整するための熱交換器が一体に形成されている。
【0058】
第2の送血ライン106は、脱血ライン101と同様の構成とされていて、二酸化炭素を排出して酸素を付加された血液を人工肺105から受け取って、患者Pの動脈に移送するようになっている。
なお、第2の送血ライン106には、例えば、血栓や気泡など血液中の異物を取り除くためのフィルター(不図示)が設けられている。
【0059】
脱血レギュレータ121は、脱血ライン101に設けられ、例えば、一対のクランプ部材からなるクランパ121Aと、このクランパ121Aを動作させるサーボモータ(不図示)と、脱血レギュレータ操作部121Bとを備えている。
そして、脱血レギュレータ121は、操作者による脱血レギュレータ操作部121Bの手動操作、又は制御部40が脱血レギュレータ操作部121Bを介して出力した脱血レギュレータ制御信号によりサーボモータを制御してクランパ121Aのクランプ量(挟込量)を調整することにより脱血ライン101の断面積を変化させて、脱血ライン101を流れる脱血流量を調整するように構成されている。
【0060】
また、例えば、クランパ121Aのクランプ量に対する脱血ライン101の流路断面積は、定量特性が把握されていて、クランプ量を変化させることで、流路断面積を直線的にあるいは所定の関数(カーブ等)に基づいて変化させて、脱血流量を逓増、逓減することが可能とされている。
【0061】
脱血流量センサ(脱血流量測定手段)111は、脱血ライン101に設けられていて、例えば、超音波によって血液の流速を測定する超音波センサが用いられており、測定した脱血流量信号(脱血流量パラメータ信号)を制御部40に送るようになっている。
【0062】
送血制御切換部150は、人工心肺装置10を、設定送血制御と、連動送血制御のいずれで送血するかを指示するものであり、例えば、二者択一のスイッチを備えている。
なお、送血制御切換部150は、例えば、人工心肺装置10を設定送血制御に移行させる指示をするセンサ等、複数の構成要素を備えていてもよい。
【0063】
リザーバ液位調整部160は、リザーバ102内の血液の液位を調整する際の液位調整用データ(貯留量調整条件)を設定することが可能とされている。
また、リザーバ液位調整部160は、液位調整を開始するスイッチを備えている。
この実施形態では、液位調整用データとして、例えば、貯留量調整時間と、リザーバ102内の血液調整量とを設定する。
【0064】
操作者は、リザーバ102の液位を目測でチェックし、又は液位センサ170の液位検知に基づいて液位調整の必要があると判断したら、液位調整の開始スイッチをONにする。そうすると、リザーバ液位調整部160は、貯留量調整時間と血液調整量に基づいて、単位時間あたり血液調整量(ml/分)を自動的に算出し、貯留量調整時間だけ、通常の送血流量に単位時間あたり血液調整量(ml/分)を加えて送血制御して血液貯留量を調整するようになっている。
【0065】
貯留量調整時間は、貯留量調整を開始して終了するまでの時間(秒)であり、リザーバ102内の血液調整量とは貯留量調整により調整する血液の量(ml)(例えば、1500mlを1000mlまで減少させる場合には、500ml(=1500−1000)ml)である。
【0066】
以下に、液位調整用データを例示する。
(1)単位時間あたり血液調整量(ml/分)と血液調整量(ml)を設定する。
(2)貯留量調整時間又は単位時間あたり血液調整量が予め設定され、都度設定するのは、血液調整量(ml)とする。
(3)血液調整量をセンサ等により検知可能とし、貯留量調整時間又は単位時間あたり血液調整量を設定する。
(4)単位時間あたり血液調整量を設定して、液位センサ170に到達することにより液位調整を解除する。この場合、液位センサ170を通過してから所定時間が経過してから解除する構成としてもよい。
(5)また、液位調整スイッチをONすると、予め設定された血液量が調整され、その場合に、液位調整開始時に液位センサ170が血液を検知していたかいなかったかににより液位調整時間を変化せて液位調整する。
(6)また、出血した血液の吸引量と同期して調整する。
なお、上記液位調整用データ(貯留量調整条件)は例であり、任意に設定することができる。また、液位調整解除条件として、液位センサ170による血液検知の有無をAND条件としてもよい。
【0067】
次に、
図2を参照して、制御部40の概略構成について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る制御部40の概略構成を説明するブロック図である。
制御部40は、例えば、脱血流量信号入力受付部141と、脱血流量算出部142と、送血流量算出部43と、送血ポンプ制御量算出部44と、送血ポンプ制御部45と、送血制御切換指示受付部151と、リザーバ液位調整データ受付部161と、リザーバ液位調整処理部62と、脱血レギュレータ制御量算出部163と、脱血レギュレータ制御部164と、リザーバ液位信号受付部171とを備えている。
【0068】
また、制御部40は、脱血流量センサ111、送血ポンプ20、送血制御切換部150、リザーバ液位調整部160、液位センサ170とケーブルによって接続されている。
【0069】
脱血流量信号入力受付部141は、脱血流量センサ111と接続されていて、脱血流量センサ111から送られた脱血流量信号(脱血流量パラメータ信号)を受け取るようになっている。
【0070】
脱血流量算出部142は、脱血流量信号入力受付部141から送られた脱血流量信号に基づいて脱血流量を算出するようになっている。具体的には、例えば、脱血流量信号から算出した脱血流速(流量パラメータ)と、脱血ライン101の流路面積の積により脱血流量を算出する。
【0071】
送血制御切換指示受付部151は、送血制御切換部150から、送血制御切換指示を受取るようになっている。
【0072】
リザーバ液位調整データ受付部161は、リザーバ液位調整部160から、液位調整用データ(貯留量調整条件)及び液位調整の開始信号を受取るようになっている。
【0073】
リザーバ液位信号受付部171は、液位センサ170から、リザーバ液位信号を受取るようになっている。
【0074】
また、リザーバ液位調整処理部62は、リザーバ液位調整データ受付部161から受取った液位調整用データを、例えば、液位調整処理データテーブル(不図示)に参照して、リザーバ液位をどのように調整するかを判断する。
この実施形態では、例えば、液位調整に、送血ポンプ20のみで対応するのか、レギュレータ(流量調整手段)である脱血レギュレータ121のみで対応するのか、送血ポンプ20と脱血レギュレータ121の双方により対応するのかを判断する。
【0075】
また、リザーバ液位調整処理部62は、リザーバ液位調整データ受付部161から受取った液位調整開始信号にしたがって液位調整を開始する。
そして、リザーバ液位調整処理部62は、液位調整に際して、リザーバの液位を調整するために送血ポンプ20が増減するべき調整送血流量と、レギュレータにより調整するべき脱血調整流量を算出して、送血流量算出部43、脱血レギュレータ制御量算出部163のうち該当する部分に出力する。
【0076】
送血流量算出部43は、送血制御切換指示受付部151から受取った送血制御切換指示に基づいて、送血制御を、設定送血制御と連動送血制御に切換える。
また、送血流量算出部43は、通常時は、設定送血制御では、例えば、送血流量調整つまみ(不図示)の設定値に基づいて送血流量を算出し、連動送血制御では、脱血流量算出部142から受取った脱血流量に基づいて算出する。
また、送血流量算出部43は、液位調整時は、例えば、通常時の設定送血制御、又は連動送血制御に、調整送血流量分だけ増減して送血流量を算出する。
【0077】
この実施形態では、送血ポンプ20に対する連動送血制御における送血流量(目標とする送血流量)を脱血流量と一致させて送血流量を脱血流量と同期させるようになっている。
なお、送血ポンプ20による送血流量を脱血流量と同期するとは、送血流量が脱血流量に対して特定範囲内(例えば、脱血流量に対する比率で示される範囲や脱血流量に対する流量差で示される範囲内)に制御することの一態様である。
【0078】
送血ポンプ制御量算出部44は、例えば、送血流量算出部43から送られた送血流量に基づいて、設定送血制御及び連動送血制御において送血ポンプ20に対して出力する回転数(制御量)を算出するようになっている。
【0079】
送血ポンプ20に対する回転数は、例えば、送血ポンプ20の送血流量特性を示す送血ポンプ20の回転数と送血流量との関係を示すデータテーブルの参照や、送血ポンプ20の回転数と送血流量との関係を示す算出式を演算することにより行われる。
また、連動送血制御の場合における送血ポンプ20に対する回転数は、例えば、送血ポンプ20による送血流量を脱血流量と同期するための回転数である。
【0080】
送血ポンプ制御部45は、送血ポンプ制御量算出部44から受け取った制御量と対応する信号を送血ポンプ20に出力するようになっている。
【0081】
脱血レギュレータ制御量算出部163は、例えば、リザーバ液位調整処理部62から受取った液位調整用データに基づいて、脱血レギュレータ121に対する制御量を算出する。
【0082】
また、脱血レギュレータ121に対する制御量の算出は、例えば、脱血レギュレータ121の流路断面積調整特性(脱血クランパ121Aのクランプ量(挟込量)と、脱血ライン101の流路断面積との関係)を示したテーブルや算出式の演算により行われる。
【0083】
脱血レギュレータ制御部164は、脱血レギュレータ制御量算出部163から受取った脱血流量調整のための制御量と対応する信号を、脱血レギュレータ121(脱血クランパ121A)に出力する。
【0084】
<連動送血制御と設定送血制御の切換え>
人工心肺装置10は、送血制御切換部150を操作して送血制御切換指示を出力することにより、連動送血制御と設定送血制御を切換えることが可能とされている。
以下、
図3を参照して、第1の実施形態に係る人工心肺装置10における連動送血制御と設定送血制御の切換えについて説明する。
図3は、人工心肺装置10における連動送血制御と設定送血制御の切換えを説明するフローチャートである。
人工心肺装置10における連動送血制御と設定送血制御の切換えは、例えば、送血制御切換部150により以下の手順で行われる。
【0085】
(1)まず、送血制御切換指示が連動送血制御かどうかを判断する(S101)。
送血制御切換指示が連動送血制御である場合(S101:Yes)はS102に移行し、送血制御切換指示が連動送血制御でない(設定送血制御である)場合(S101:No)はS103に移行する。
(2)人工心肺装置10を連動送血制御する(S102)。
(3)人工心肺装置10を設定送血制御する(S103)。
上記S101〜S103の処理を、例えば、人工心肺装置10が稼働している間、所定の周期で繰り返して実行する。
【0086】
<リザーバ液位調整処理>
次に、
図4を参照して、人工心肺装置10のリザーバ液位調整処理の一例を説明する。
図4は、人工心肺装置10のリザーバ液位調整処理一例を説明するフローチャートである。第1の実施形態において、リザーバ液位調整処理は、例えば、送血ポンプ20の送血流量調整のみによる場合と、レギュレータの流量調整のみによる場合と、送血ポンプ20の送血流量調整とレギュレータの流量調整の双方を用いる場合がある。
(1)まず、リザーバ液位調整指示があるかどうかを判断する(S111)。
リザーバ液位調整指示がある場合(S111:Yes)はS112に移行し、リザーバ液位調整指示がない場合(S111:No)はリザーバ液位調整処理を終了する。
(2)液位調整用データを受取る(S112)。
(3)次に、リザーバの液位調整をレギュレータの流量調整のみで対応するかを判断する(S113)。
リザーバの液位調整にレギュレータ以外を適用する場合(S113:No)はS114に移行し、リザーバ102の液位をレギュレータの流量調整のみで調整する場合(S113:Yes)はS11115に移行する。
(4)次に、リザーバ102の液位調整を送血ポンプ20の送血流量のみで対応するかどうかを判断する(S114)。
送血ポンプ20の送血流量調整のみでリザーバ102の液位を調整する場合(S114:Yes)はS116に移行し、送血ポンプ20とレギュレータによりリザーバ102を液位調整する場合(S114:No)はS115に移行する。
(5)レギュレータによる流量調整をする(S115)。
(6)送血ポンプ20の送血流量を調整する(S116)。
(7)送血ポンプ20の送血流量及びレギュレータによる流量調整をする(S117)。
上記S111〜S117の処理を、例えば、リザーバ102の液位調整が終了するまでの間、所定の周期で繰り返して実行する。なお、例えば、予め設定した液位調整時間が経過して、貯留量解除条件を満足すると、リザーバ液位調整指示は自動的に解除されるようになっている。
<設定送血制御>
次に、
図5を参照して、人工心肺装置10を設定送血制御する場合の作動手順の一例を説明する。
図5は、人工心肺装置10の設定送血制御における作動手順の一例を説明するフローチャートであり、
図4におけるS116(及びS117)と対応する。
人工心肺装置10の設定送血制御における作動手順は、以下に示すとおりである。
(1)まず、送血流量調整つまみ等により設定された送血流量設定データを受け取る(S121)。
(2)次に、送血ポンプによる対応があるかどうかを判断する(S122)。
送血ポンプによる対応がある場合(S122:Yes)はS123に移行し、送血ポンプによる対応がない場合(S122:No)はS124に移行する。
(3)液位調整用データに基づいて、送血ポンプによるリザーバ液位調整処理を実施する(S123)。
具体的には、液位調整用データからリザーバ液位調整処理における調整送血流量を算出する。S123を実行したらS124に移行する。
(4)次に、S121で受取った送血流量設定データ、又はS121で受け取った送血流量設定データとS123で算出した調整送血流量に基づいて、送血ポンプ20の送血流量を算出する(S124)。
(5)次に、S124で算出した送血流量に基づいて、例えば、送血ポンプ20の送血流量特性に基づく制御量(回転数)を算出する(S125)。
(6)次に、送血ポンプ20に対して制御量と対応する信号を出力する(S126)。
上記S121〜S126の処理を、例えば、人工心肺装置10が設定送血制御の間、所定の周期で繰り返して実行する。
【0087】
<連動送血制御>
次に、
図6を参照して、人工心肺装置10の連動送血制御における作動手順の一例を説明する。
図6は、人工心肺装置10の連動送血制御における作動手順の一例を説明するフローチャートであり、
図4におけるS116(及びS117)と対応する。
人工心肺装置10の連動送血制御における作動手順は、以下に示すとおりである。
(1)まず、脱血流量信号(脱血流量パラメータ信号)を受け取る(S131)。
(2)次に、受取った脱血流量信号に基づいて脱血流量を算出する(S132)。
(3)次に、送血ポンプによる対応があるかどうかを判断する(S133)。
送血ポンプによる対応がある場合(S133:Yes)はS134に移行し、送血ポンプによる対応がない場合(S133:No)はS135に移行する。
(4)液位調整用データに基づいて、送血ポンプによるリザーバ液位調整処理を実施する(S134)。
具体的には、液位調整用データからリザーバ液位調整処理における調整送血流量を算出する。S134を実行したらS135に移行する。
(5)次に、S132で算出した脱血流量、又はS132で算出した脱血流量とS134で算出した調整送血流量に基づいて、送血ポンプ20の送血流量を算出する(S135)。
脱血流量に基づく送血流量の算出は、例えば、送血流量を脱血流量と同期させる場合には、送血流量を脱血流量と等しくする。なお、(送血流量−脱血流量)の絶対値が所定範囲内となるように送血流量を設定してもよい。
(6)次いで、算出した送血流量に基づいて、送血ポンプ20の制御量(回転数)を算出する(S136)。
送血流量に基づく送血ポンプ20の制御量(回転数)の算出は、例えば、送血ポンプ20の送血流量特性に基づいて算出する。
(7)次に、送血ポンプ20に対して制御量と対応する信号を出力する(S137)。
上記S131〜S137の処理を、例えば、人工心肺装置10が連動送血制御している間、所定の周期で繰り返して実行する。
<レギュレータによる液位調整>
次に、
図7を参照して、人工心肺装置10において、レギュレータ(流量調整手段)によりリザーバ102の液位を調整する手順の一例を説明する。
図7は、人工心肺装置10において、レギュレータによりリザーバ102の液位を調整する手順の一例を説明するフローチャートであり、
図4におけるS115(及びS117)と対応する。
第1の実施形態では、例えば、レギュレータとして脱血レギュレータ121を用いて、脱血流量を調整するようになっている。
(1)まず、液位調整用データを受け取る(S141)。
(2)次に、受取った液位調整用データに基づいて、レギュレータ(流量調整手段)の制御量を算出する(S142)。
(3)次に、脱血レギュレータ121に対して制御量と対応する信号を出力する(S143)。
上記S141〜S143の処理を、例えば、リザーバ102の液位調整が終了するまでの間、所定の周期で繰り返して実行する。
【0088】
第1の実施形態に係る人工心肺装置20によれば、送血ポンプ20による送血流量を脱血流量と同期して連動送血制御する際に、例えば、出血等により体内から失われた血液を、予め設定された送血条件に基づいて、リザーバ102から効率的かつ安定して患者Pに戻すことができる。
また、出血した血液を吸引した場合でも、リザーバ内の血液貯留量を効率的に調整することができる。
その結果、スムースで安定した手術を行うことができる。
【0089】
第1の実施形態に係る人工心肺装置10によれば、連動送血制御する際に、リザーバ102内の血液の液位(血液貯留量)を予め設定した目標液位範囲(目標貯留量範囲)に自動的に調整することができるので、リザーバ102内の血液を効率的に適正な貯留量とすることができる。
【0090】
また、第1の実施形態に係る人工心肺装置10によれば、リザーバ内の血液調整量と、貯留量調整時間を設定することによりリザーバ102内の血液貯留量を調整するので、液位調整条件を容易かつ効率的に設定することができる。
【0091】
また、第1の実施形態に係る人工心肺装置10によれば、血液貯留量を調整して、リザーバ102内の血液貯留量が予め設定した調整解除条件を満足した場合に、血液貯留量の調整を解除するので、血液貯留量を効率的に調整することができ、血液貯留量の調整に起因してリザーバ102内の血液貯留量が過剰に増減することが抑制される。
【0092】
また、第1の実施形態に係る人工心肺装置10によれば、脱血ライン101に脱血レギュレータ121が設けられているので、脱血ライン101を介して脱血する血液流量を適宜調整することができる。
【0093】
<第2の実施形態>
以下、
図8〜
図11を参照して、本発明の第2の実施形態に係る人工心肺装置(血液循環システム)について説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る人工心肺装置の概略構成を説明する回路図であり、
図9は、第2の実施形態に係る人工心肺装置の制御部の概略構成を説明するブロック図である。
【0094】
図8、
図9において、符号100は人工心肺装置を、符号120はローラポンプ(送血ポンプ)を、符号140は制御部を、符号190はリザーバ液位外れ表示部を示している。
【0095】
人工心肺装置100は、
図8に示すように、例えば、脱血ライン101と、リザーバ102と、血液ライン103と、第1の送血ライン(送血ライン)104と、人工肺105と、第2の送血ライン(送血ライン)106と、脱血流量センサ111と、脱血レギュレータ(脱血流量調整手段)121と、ローラポンプ(送血ポンプ)120と、制御部140と、送血制御切換部150と、リザーバ液位調整部160と、液位センサ170と、リザーバ液位外れ表示部190とを備えている。
【0096】
また、人工心肺装置100は、この実施形態において、ローラポンプ120による送血流量が脱血流量と連動して制御される連動送血制御と、送血流量が脱血流量と独立して設定により制御される設定送血制御とが可能とされ、連動送血制御、設定送血制御のそれぞれにおいて、予め設定された送血条件に基づいて自動でリザーバ102内の血液貯留量の調整しながら送血するリザーバ液位調整処理が可能とされている。また、リザーバ液位調整処理が終了したら、リザーバ液位調整処理が自動で解除されるようになっている。
【0097】
また、脱血ライン101、リザーバ102、血液ライン103、ローラポンプ120、第1の送血ライン104、人工肺105、第2の送血ライン106は、この順に接続されている。
また、脱血ライン101には、脱血レギュレータ121、脱血流量センサ111がこの順に配置されている。
そして、脱血ライン101を介して脱血された血液は、第1の送血ライン104、第2の送血ライン106を介して患者(人体)Pに循環されるようになっている。
【0098】
なお、脱血ライン101、リザーバ102、血液ライン103、第1の送血ライン104、人工肺105、第2の送血ライン106、脱血流量センサ111、脱血レギュレータ121、送血制御切換部150、リザーバ液位調整部160、液位センサ170については、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0099】
ローラポンプ120は、例えば、回転ローラと、回転ローラの外方に配置され柔軟な樹脂により形成されたチューブとを備えていて、回転ローラが回転してチューブをしごいて血液を吸引、送り出すことにより、血液ライン103を介してリザーバ102に貯留された血液を吸引するとともに、第1の送血ライン104を介して人工肺105に血液を移送するようになっている。
【0100】
また、ローラポンプ120は、制御部140が出力した回転制御信号によって回転ローラの回転数が制御され、回転ローラの回転数に応じた量の血液を吸引、送血するようになっている。
【0101】
この実施形態における液位調整用データは、例えば、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0102】
リザーバ液位外れ表示部190は、例えば、LEDランプにより構成されていて、リザーバ102内の血液が目標液位を超えた場合に点灯して、リザーバ液位外れであることを表示するようになっている。
【0103】
次に、
図9を参照して、制御部140の概略構成について説明する。
図9は、第2の実施形態に係る制御部140の概略構成を説明するブロック図である。
制御部140は、例えば、脱血流量信号入力受付部141と、脱血流量算出部142と、送血流量算出部143と、ローラポンプ制御量算出部144と、ローラポンプ制御部145と、送血制御切換指示受付部151と、リザーバ液位調整データ受付部161と、リザーバ液位調整処理部162と、脱血レギュレータ制御量算出部163と、脱血レギュレータ制御部164と、リザーバ液位信号受付部171とを備えている。
【0104】
また、制御部140は、脱血流量センサ111、ローラポンプ120、送血制御切換部150、リザーバ液位調整部160、液位センサ170、リザーバ液位外れ表示部190とケーブルによって接続されている。
【0105】
脱血流量信号入力受付部141、脱血流量算出部142、送血制御切換指示受付部151、リザーバ液位調整データ受付部161、脱血レギュレータ制御量算出部163、脱血レギュレータ制御部164については、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0106】
リザーバ液位調整処理部162は、リザーバ液位信号受付部171から受取ったリザーバ液位信号に基づいて、リザーバ102内の血液の液位が目標液位を超えているかどうかを判断する。
そして、リザーバ102内の液位外れが生じた場合、及びリザーバ液位調整が完了するまでの間、リザーバ液位外れ表示部190を点灯して操作者等に知らせるようになっている。
なお、リザーバ液位外れ表示部190を設けることなく、操作者が目測でリザーバ102内の血液貯留量を判断する構成としてもよい。
【0107】
また、リザーバ液位調整処理部162は、リザーバ液位調整データ受付部161から受取った液位調整用データを、例えば、液位調整処理データテーブル(不図示)に参照して、リザーバ液位をどのように調整するかを判断する。
この実施形態では、例えば、液位調整を、送血ポンプであるローラポンプ120のみで対応するのか、レギュレータ(流量調整手段)である脱血レギュレータ121のみで対応するのか、ローラポンプ120と脱血レギュレータ121の双方により対応するのかを判断する。
【0108】
また、リザーバ液位調整処理部162は、リザーバ液位調整データ受付部161から受取った液位調整開始信号にしたがって液位調整を開始する。
そして、リザーバ液位調整処理部162は、液位調整に際して、リザーバの液位を調整するためにローラポンプ120が増減するべき調整送血流量と、レギュレータにより調整するべき脱血調整流量を算出して、送血流量算出部143、脱血レギュレータ制御量算出部163のうち該当する部分に出力する。
【0109】
送血流量算出部143は、送血制御切換指示受付部151から受取った送血制御切換指示に基づいて、送血制御を、設定送血制御と連動送血制御に切換える。
また、送血流量算出部143は、通常時は、設定送血制御では、例えば、送血流量調整つまみ(不図示)の設定値に基づいて送血流量を算出し、連動送血制御では、脱血流量算出部142から受取った脱血流量に基づいて算出する。
また、送血流量算出部143は、液位調整時は、例えば、通常時の設定送血制御、又は連動送血制御に、調整送血流量分だけ増減して送血流量を算出する。
【0110】
この実施形態では、ローラポンプ120に対する連動送血制御における送血流量(目標とする送血流量)を脱血流量と一致させて送血流量を脱血流量と同期させるようになっている。
なお、ローラポンプ120による送血流量を脱血流量と同期するとは、送血流量が脱血流量に対して特定範囲内(例えば、脱血流量に対する比率で示される範囲や脱血流量に対する流量差で示される範囲内)に制御することの一態様である。
【0111】
ローラポンプ制御量算出部144は、例えば、送血流量算出部143から送られた送血流量に基づいて、設定送血制御及び連動送血制御においてローラポンプ120に対して出力する回転数(制御量)を算出するようになっている。
【0112】
ローラポンプ120に対する回転数は、例えば、ローラポンプ120の送血流量特性を示すローラポンプ120の回転数と送血流量との関係を示すデータテーブルの参照や、ローラポンプ120の回転数と送血流量との関係を示す算出式を演算することにより行われる。
また、連動送血制御の場合におけるローラポンプ120に対する回転数は、例えば、ローラポンプ120による送血流量を脱血流量と同期するための回転数である。
【0113】
ローラポンプ制御部145は、ローラポンプ制御量算出部144から受け取った制御量と対応する信号をローラポンプ120に出力するようになっている。
【0114】
<連動送血制御と設定送血制御の切換え及びリザーバ液位調整処理>
連動送血制御と設定送血制御の切換え及びリザーバ液位調整処理については、
図3、
図4で示した第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0115】
<設定送血制御>
次に、
図10を参照して、人工心肺装置100を設定送血制御する場合の作動手順の一例を説明する。
図10は、人工心肺装置100の設定送血制御における作動手順の一例を説明するフローチャートである。
人工心肺装置100の設定送血制御における作動手順は、以下に示すとおりである。
(1)まず、送血流量調整つまみ等により設定された送血流量設定データを受け取る(S151)。
(2)次に、送血ポンプによる対応があるかどうかを判断する(S152)。
送血ポンプによる対応がある場合(S152:Yes)はS153に移行し、送血ポンプによる対応がない場合(S152:No)はS154に移行する。
(3)液位調整用データに基づいて、送血ポンプによるリザーバ液位調整処理を実施する(S153)。
具体的には、液位調整用データからリザーバ液位調整処理における調整送血流量を算出する。S153を実行したらS154に移行する。
(4)次に、S151で受取った送血流量設定データ、又はS151で受け取った送血流量設定データとS153で算出した調整送血流量に基づいて、ローラポンプ120の送血流量を算出する(S154)。
(5)次に、S154で算出した送血流量に基づいて、例えば、ローラポンプ120の送血流量特性に基づく制御量(回転数)を算出する(S155)。
(6)次に、ローラポンプ120に対して制御量と対応する信号を出力する(S156)。
上記S151〜S156の処理を、例えば、人工心肺装置100が設定送血制御の間、所定の周期で繰り返して実行する。
【0116】
<連動送血制御>
次に、
図11を参照して、人工心肺装置100の連動送血制御における作動手順の一例を説明する。
図11は、人工心肺装置100の連動送血制御における作動手順の一例を説明するフローチャートである。
人工心肺装置100の連動送血制御における作動手順は、以下に示すとおりである。
(1)まず、脱血流量信号(脱血流量パラメータ信号)を受け取る(S161)。
(2)次に、受取った脱血流量信号に基づいて脱血流量を算出する(S162)。
(3)次に、送血ポンプによる対応があるかどうかを判断する(S163)。
送血ポンプによる対応がある場合(S163:Yes)はS164に移行し、送血ポンプによる対応がない場合(S163:No)はS165に移行する。
(4)液位調整用データに基づいて、送血ポンプによるリザーバ液位調整処理を実施する(S164)。
具体的には、液位調整用データからリザーバ液位調整処理における調整送血流量を算出する。S164を実行したらS165に移行する。
(5)次に、S162で算出した脱血流量、又はS162で算出した脱血流量とS164で算出した調整送血流量に基づいて、ローラポンプ120の送血流量を算出する(S165)。
脱血流量に基づく送血流量の算出は、例えば、送血流量を脱血流量と同期させる場合には、送血流量を脱血流量と等しくする。なお、(送血流量−脱血流量)の絶対値が所定範囲内となるように送血流量を設定してもよい。
(6)次いで、算出した送血流量に基づいて、ローラポンプ120の制御量(回転数)を算出する(S166)。
送血流量に基づくローラポンプ120の制御量(回転数)の算出は、例えば、ローラポンプ120の送血流量特性に基づいて算出する。
(7)次に、ローラポンプ120に対して制御量と対応する信号を出力する(S167)。
上記S161〜S167の処理を、例えば、人工心肺装置100が連動送血制御している間、所定の周期で繰り返して実行する。
【0117】
<レギュレータによる液位調整>
レギュレータによる液位調整については、
図7で示した第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0118】
第2の実施形態に係る人工心肺装置20によれば、ローラポンプ120による送血流量を脱血流量と同期(又は特定範囲内とする)する連動送血制御する際に、例えば、出血等により体内から失われた血液を、予め設定された送血条件に基づいて、リザーバ102から効率的かつ安定して患者Pに戻すことができる。
また、出血した血液を吸引した場合でも、リザーバ内の血液貯留量を効率的に調整することができる。
その結果、スムースで安定した手術を行うことができる。
【0119】
第2の実施形態に係る人工心肺装置100によれば、連動送血制御する際に、リザーバ102内の血液の液位(血液貯留量)を予め設定した目標液位範囲(目標貯留量範囲)に自動的に調整することができるので、リザーバ102内の血液を効率的に適正な貯留量とすることができる。
【0120】
また、第2の実施形態に係る人工心肺装置100によれば、リザーバ内の血液調整量と、貯留量調整時間を設定することによりリザーバ102内の血液貯留量を調整するので、液位調整条件を容易かつ効率的に設定することができる。
【0121】
また、第2の実施形態に係る人工心肺装置100によれば、血液貯留量を調整して、リザーバ102内の血液貯留量が予め設定した調整解除条件を満足した場合に、血液貯留量の調整を解除するので、血液貯留量を効率的に調整することができ、血液貯留量の調整に起因してリザーバ102内の血液貯留量が過剰に増減することが抑制される。
【0122】
また、第2の実施形態に係る人工心肺装置100によれば、リザーバ102の液位が予め設定された液位範囲を外れた(及び液位調整中である)場合に、リザーバ液位外れ表示部190を表示するので、リザーバ液位外れを早期に把握して効率的に液位調整することができる。
【0123】
また、第2の実施形態に係る人工心肺装置100によれば、送血ポンプとしてローラポンプ120を備えているので、圧力の影響を受けることが抑制されて、安定した送血流量で送血することができる。
【0124】
また、第2の実施形態に係る人工心肺装置100によれば、脱血ライン101に脱血レギュレータ121が設けられているので、脱血ライン101を介して脱血する血液流量を適宜調整することができる。
【0125】
<第3の実施形態>
次に、
図12〜
図15を参照して、本発明の第3の実施形態に係る人工心肺装置(血液循環システム)について説明する。
図12は、第3の実施形態に係る人工心肺装置を説明する概略構成図であり、
図13は、第3の実施形態に係る人工心肺装置の制御部の概略構成を説明するブロック図である。
【0126】
図12、
図13において、符号200は人工心肺装置を、符号111は脱血流量センサ(脱血流量測定手段)を、符号112は送血流量センサ(送血流量測定手段)を、符号220は遠心ポンプ(送血ポンプ)を、符号240は制御部を、符号150は送血制御切換部を、符号160はリザーバ液位調整部を、符号170は液位センサを、符号190はリザーバ液位外れ表示部を示している。
【0127】
人工心肺装置200は、
図12に示すように、例えば、脱血ライン101と、リザーバ102と、血液ライン103と、第1の送血ライン(送血ライン)104と、人工肺105と、第2の送血ライン(送血ライン)106と、脱血流量センサ111と、送血流量センサ112と、脱血レギュレータ(脱血流量調整手段)121と、送血レギュレータ(送血流量調整手段)122と、遠心ポンプ(送血ポンプ)220と、制御部240と、リザーバ液位調整部160と、液位センサ170と、送血制御切換部150と、リザーバ液位外れ表示部190とを備えている。
【0128】
また、人工心肺装置200は、この実施形態において、遠心ポンプ220による送血流量が脱血流量と連動して制御される連動送血制御と、送血流量が脱血流量と独立して設定に基づいて制御される設定送血制御が可能とされ、連動送血制御、設定送血制御のそれぞれにおいて、予め設定された送血条件に基づいて、自動でリザーバ102内の血液貯留量の調整しながら送血するリザーバ液位調整処理が可能とされている。また、リザーバ液位調整処理が終了したら、リザーバ液位調整処理が自動で解除されるようになっている。
【0129】
また、脱血ライン101、リザーバ102、血液ライン103、遠心ポンプ220、第1の送血ライン104、人工肺105、第2の送血ライン106は、この順に接続されている。
脱血ライン101には、脱血レギュレータ121、脱血流量センサ111がこの順に配置されている。
また、第1の送血ライン104には送血流量センサ112が配置され、第2の送血ライン106には送血レギュレータ122が配置されている。
【0130】
なお、脱血ライン101、リザーバ102、血液ライン103、第1の送血ライン104、人工肺105、第2の送血ライン106、脱血流量センサ111、脱血レギュレータ121、リザーバ液位調整部160、液位センサ170、送血制御切換部150については、第1の実施形態と同様であり、リザーバ液位外れ表示部190については第2の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0131】
送血流量センサ(送血流量測定手段)112は、例えば、脱血流量センサ111と同様に超音波センサが用いられており、測定結果を制御部240に送るようになっている。
【0132】
ここで、送血流量測定手段とは、送血流量そのものを測定する測定手段を含むことは勿論であるが、送血流量を特定するための種々の脱血流量パラメータを測定するための測定手段を含むものとする。
また、送血流量パラメータとは、送血流量と対応して変動するパラメータであり、送血流量そのものを含むことは勿論であるが、例えば、送血ラインの流路断面積が既知である場合における送血された血液の流速や、この流速を特定するためのパラメータ(例えば、超音波の周波数の変化)等、送血流量を特定するための種々のパラメータを含む。
【0133】
また、送血流量パラメータと脱血流量パラメータとを対比するとは、送血流量パラメータと脱血流量パラメータが同じ種類である場合にこれらを対比すること、送血流量パラメータ、脱血流量パラメータが異なる種類である場合にこれらを直接的に対比すること、又はいずれか一方又は双方を変換して対比可能な形態にして対比することのいずれも含むものとする。
【0134】
遠心ポンプ220は、例えば、ACサーボモータ又はDCサーボモータによりインペラ羽根を回転させて、リザーバ102に貯留された血液を、血液ライン103を介して吸引し、第1の送血ライン104を介して人工肺105に移送するように構成されている。
【0135】
また、遠心ポンプ220は、制御部240から出力される制御信号により制御されるようになっていて、設定送血制御における回転数は脱血流量と独立して制御され、連動送血制御における回転数は、例えば、送血流量センサ112により測定される送血流量を脱血流量センサ111により測定された脱血流量と同期するように制御されている。いずれの場合も、フィードバック制御されるようになっている。
【0136】
送血レギュレータ122は、第2の送血ライン106に設けられ、例えば、一対のクランプ部材からなるクランパ122Aと、このクランパ122Aを動作させるサーボモータ(不図示)と、送血レギュレータ操作部122Bとを備えている。そして、操作者による送血レギュレータ操作部122Bの手動操作、又は制御部240が送血レギュレータ操作部122Bを介して出力した送血レギュレータ制御信号によりサーボモータを制御して、クランパ122Aのクランプ量(挟込量)を調整して第2の送血ライン106を閉塞させることで、遠心ポンプ220を停止した際の血液の逆流を防止するようになっている。なお、遠心ポンプ220の停止と連動して第2の送血ライン106を閉塞してもよい。
【0137】
次に、
図13を参照して、制御部240の概略構成について説明する。
図13は、第3の実施形態に係る制御部240の概略構成を説明するブロック図である。
制御部240は、例えば、脱血流量信号入力受付部141と、脱血流量算出部142と、送血流量信号受付部241と、送血流量算出部242と、目標送血流量算出部243と、遠心ポンプ制御量算出部244と、遠心ポンプ制御部245と、リザーバ液位調整データ受付部161と、リザーバ液位調整処理部262と、脱血・送血レギュレータ制御量算出部263と、脱血・送血レギュレータ制御部264と、リザーバ液位信号受付部171と、送血制御切換指示受付部151とを備えている。
【0138】
また、制御部240は、脱血流量センサ111、送血流量センサ112、リザーバ液位調整部160、液位センサ170、送血制御切換部150、リザーバ液位外れ表示部190、遠心ポンプ220とケーブルによって接続されている。
【0139】
なお、脱血流量信号入力受付部141、脱血流量算出部142、リザーバ液位調整データ受付部161、リザーバ液位信号受付部171、送血制御切換指示受付部151については、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
また、液位調整用データは、例えば、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0140】
送血流量信号受付部241は、送血流量センサ112と接続されていて、送血流量センサ112から送られた送血流量信号(送血流量パラメータ信号)を受け取るようになっている。
【0141】
送血流量算出部242は、送血流量信号受付部241から送られた送血流量信号に基づいて送血流量を算出するようになっている。具体的には、例えば、送血流量信号から算出した送血流速(流量パラメータ)と、第1の送血ライン104の流路面積により送血流量を算出することができる。
【0142】
リザーバ液位調整処理部262は、リザーバ液位信号受付部171から受取ったリザーバ液位信号に基づいて、リザーバ102内の血液の液位が目標液位を超えているかどうかを判断する。そして、リザーバ102内の液位外れが生じた場合には、リザーバ液位外れ表示部190を点灯するようになっている。
なお、リザーバ液位外れ表示部190を設けることなく、操作者が目測でリザーバ102内の血液貯留量を判断する構成としてもよい。
【0143】
また、リザーバ液位調整処理部262は、リザーバ液位調整データ受付部161から受取った液位調整開始信号にしたがって液位調整を開始する。
そして、リザーバ液位調整処理部262は、液位調整に際して、リザーバ液位調整データ受付部161から受取った液位調整用データを、例えば、液位調整処理データテーブル(不図示)に参照して、リザーバ液位をどのように調整するかを判断する。
この実施形態では、例えば、液位調整に、送血ポンプである遠心ポンプ220、レギュレータ(流量調整手段)である脱血レギュレータ121、送血レギュレータ122のなかから適用する対象を判断する。
【0144】
そして、リザーバ液位調整処理部162は、リザーバの液位を調整するために遠心ポンプ220が増減するべき調整送血流量と、脱血レギュレータ121により調整するべき脱血調整流量、送血レギュレータ122により調整するべき送血調整流量を算出して、目標送血流量算出部243、脱血・送血レギュレータ制御量算出部263のうち該当する部分に出力する。
【0145】
目標送血流量算出部243は、送血制御切換指示受付部151から受取った送血制御切換指示に基づいて、送血制御を、設定送血制御と連動送血制御に切換える。
また、目標送血流量算出部243は、通常時は、設定送血制御では、例えば、送血流量調整つまみ(不図示)の設定値に基づいて送血流量を算出し、連動送血制御では、脱血流量算出部142から受取った脱血流量に基づいて算出する。
また、目標送血流量算出部243は、液位調整時は、例えば、通常時の設定送血制御、又は連動送血制御に、調整送血流量分だけ増減して送血流量を算出する。
【0146】
また、目標送血流量算出部243は、この実施形態では、遠心ポンプ220に対する連動送血制御における目標送血流量(目標とする送血流量)を脱血流量と一致させて送血流量を脱血流量と同期させるようになっている。
【0147】
なお、遠心ポンプ220による送血流量を脱血流量と同期するとは、送血流量が脱血流量に対して特定範囲内(例えば、脱血流量に対する比率で示される範囲や脱血流量に対する流量差で示される範囲内)に制御することの一態様である。
【0148】
遠心ポンプ制御量算出部244は、例えば、例えば、目標送血流量算出部243から送られた目標送血流量と送血流量を対比させてフィードバック制御による回転数(制御量)を算出する。
【0149】
遠心ポンプ制御部245は、遠心ポンプ制御量算出部244から受け取った制御量と対応する信号を遠心ポンプ220に出力するようになっている。
【0150】
脱血・送血レギュレータ制御量算出部263は、例えば、リザーバ液位調整処理部262から受取った液位調整用データに基づいて、脱血レギュレータ121、送血レギュレータ122のうち、該当するレギュレータに対する制御量を算出する。
【0151】
また、脱血レギュレータ121に対する制御量の算出は、例えば、脱血レギュレータ121の流路断面積調整特性(脱血クランパ121Aのクランプ量(挟込量)と、脱血ライン101の流路断面積との関係)を示したテーブルや算出式の演算により行われる。
【0152】
脱血・送血レギュレータ制御部264は、脱血・送血レギュレータ制御量算出部263から受取った脱血流量調整、送血流量調整のための制御量と対応する信号を、脱血レギュレータ121(脱血クランパ121A)、送血レギュレータ122(送血クランパ122A)に出力する。
【0153】
<連動送血制御と設定送血制御の切換え及びリザーバ液位調整処理>
連動送血制御と設定送血制御の切換え及びリザーバ液位調整処理については、
図3で示した第1の実施形態と同様であり、リザーバ液位調整処理については、
図4で示したレギュレータとして脱血レギュレータ121と送血レギュレータ122を用いる点以外は、
図7で示した第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0154】
<設定送血制御>
次に、
図14を参照して、第3の実施形態に係る人工心肺装置200において、送血制御切換部160の操作により送血流量を設定送血制御する場合の作動手順の一例を説明する。
図14は、人工心肺装置200の設定送血制御における作動手順の一例を説明するフローチャートである。
(1)まず、送血流量調整つまみ等により設定された送血流量設定データを受け取る(S211)。
(2)次に、遠心ポンプ220による対応があるかどうかを判断する(S212)。
遠心ポンプ220による対応がある場合(S212:Yes)はS213に移行し、遠心ポンプ220による対応がない場合(S212:No)はS214に移行する。
(3)液位調整用データに基づいて、遠心ポンプ220によるリザーバ液位調整処理を実施する(S213)。
具体的には、液位調整用データからリザーバ液位調整処理における調整送血流量を算出する。S213を実行したらS214に移行する。
(4)次に、S211で受取った送血流量設定データ、又はS211で受け取った送血流量設定データとS213で算出した調整送血流量に基づいて目標送血流量を算出する(S214)。
(5)次に、送血流量信号(送血流量パラメータ信号)を受け取る(S215)。
(6)次いで、受取った送血流量信号に基づいて送血流量を算出する(S216)。
(7)次いで、S214で算出した目標送血流量と、S215で算出した送血流量とを比較して、例えば、(目標送血流量−送血流量)を算出して、(目標送血流量≧送血流量)であるかどうかを判断する(S217)。
(目標送血流量≧送血流量)である場合(S217:Yes)はS218に移行し、(目標送血流量≧送血流量)でない場合(S217:No)はS219に移行する。
(8)S217における差異(=(目標送血流量−送血流量))に基づいて、遠心ポンプ220に対する制御量(増加回転数)を算出する(S218)。
なお、目標送血流量=送血流量である場合には、制御量(増加回転数)をゼロとする。
(9)S217における差異(=(目標送血流量−送血流量))に基づいて、遠心ポンプ220に対する制御量(減少回転数)を算出する(S219)。
(10)次に、S218又はS219で算出した制御量と対応する信号を遠心ポンプ220に対して出力する(S220)。
上記S211〜S220の処理を、例えば、人工心肺装置200を設定送血制御している間、所定の周期で繰り返して実行する。
【0155】
<連動送血制御>
次に、
図15を参照して、人工心肺装置200の連動送血制御における作動手順の一例を説明する。
図15は、人工心肺装置200の連動送血制御における作動手順の一例を説明するフローチャートである。
人工心肺装置200の連動送血制御における作動手順は、以下に示すとおりである。
(1)まず、脱血流量信号(脱血流量パラメータ信号)を受け取る(S231)。
(2)次に、受取った脱血流量信号に基づいて脱血流量を算出する(S232)。
(3)次に、遠心ポンプ220による対応があるかどうかを判断する(S233)。
遠心ポンプ220による対応がある場合(S233:Yes)はS234に移行し、遠心ポンプ220による対応がない場合(S233:No)はS235に移行する。
(4)液位調整用データに基づいて、遠心ポンプ220によるリザーバ液位調整処理を実施する(S234)。
具体的には、液位調整用データからリザーバ液位調整処理における調整送血流量を算出する。S234を実行したらS235に移行する。
(5)次に、S232で算出した脱血流量、又はS232で算出した脱血流量とS234で算出した調整送血流量に基づいて、目標送血流量を算出する(S235)。
(6)次に、送血流量信号(送血流量パラメータ信号)を受け取る(S236)。
(7)次いで、受取った送血流量信号に基づいて送血流量を算出する(S37)。
(8)次いで、S235で算出した目標送血流量と、S237で算出した送血流量とを比較して、例えば、(目標送血流量−送血流量)を算出して、(目標送血流量≧送血流量)であるかどうかを判断する(S238)。
(目標送血流量≧送血流量)である場合(S238:Yes)はS239に移行し、(目標送血流量≧送血流量)でない場合(S238:No)はS2240に移行する。
(9)S238における差異(=(目標送血流量−送血流量))に基づいて、遠心ポンプ220に対する制御量(増加回転数)を算出する(S239)。
なお、目標送血流量=送血流量である場合には、制御量(増加回転数)をゼロとする。
(10)S238における差異(=(目標送血流量−送血流量))に基づいて、遠心ポンプ220に対する制御量(減少回転数)を算出する(S240)。
(11)次に、遠心ポンプ220に対してS239又はS240で算出した制御量と対応する信号を出力する(S241)。
上記S231〜S241の処理を、例えば、人工心肺装置200を連動送血制御している間、所定の周期で繰り返して実行する。
【0156】
<レギュレータによる液位調整>
なお、第3の実施形態では、レギュレータとして、例えば、脱血レギュレータ121と送血レギュレータ122を用いて、脱血流量と送血流量を調整しており、脱血レギュレータ122を用いること以外は、
図7で示した第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0157】
第3の実施形態に係る人工心肺装置200によれば、遠心ポンプ220による送血流量を脱血流量と同期(又は特定範囲内とする)する連動送血制御する際に、例えば、出血等により体内から失われた血液を、予め設定された送血条件に基づいて、リザーバ102から効率的かつ安定して患者Pに戻すことができる。
また、出血した血液を吸引した場合でも、リザーバ内の血液貯留量を効率的に調整することができる。
その結果、スムースで安定した手術を行うことができる。
【0158】
第3の実施形態に係る人工心肺装置200によれば、連動送血制御する際に、リザーバ102内の血液の液位(血液貯留量)を予め設定した目標液位範囲(目標貯留量範囲)に自動的に調整することができるので、リザーバ102内の血液を効率的に適正な貯留量とすることができる。
【0159】
また、第3の実施形態に係る人工心肺装置200によれば、リザーバ内の血液調整量と、貯留量調整時間を設定することによりリザーバ102内の血液貯留量を調整するので、液位調整条件を容易かつ効率的に設定することができる。
【0160】
また、第3の実施形態に係る人工心肺装置200によれば、血液貯留量を調整して、リザーバ102内の血液貯留量が予め設定した調整解除条件を満足した場合に、血液貯留量の調整を解除するので、血液貯留量を効率的に調整することができ、血液貯留量の調整に起因してリザーバ102内の血液貯留量が過剰に増減することが抑制される。
【0161】
また、第3の実施形態に係る人工心肺装置200によれば、リザーバ102の液位が予め設定された液位範囲を外れた場合に、リザーバ液位外れ表示部190を表示するので、リザーバ液位外れを早期に把握して効率的に液位調整することができる。
【0162】
また、第3の実施形態に係る人工心肺装置200によれば、送血ポンプが、遠心ポンプ220により構成されているので、安定した送血流量を迅速に送血することができる。
【0163】
また、第3の実施形態に係る人工心肺装置200によれば、脱血ライン101に脱血レギュレータ121が設けられているので、脱血ライン101を介して脱血する血液流量を適宜調整することができる。
【0164】
また、第3の実施形態に係る人工心肺装置200によれば、第2の送血ライン106に送血レギュレータ122が設けられているので、遠心ポンプ220を停止した際に、第1の送血ライン104を閉塞して、血液が逆流するのを防止することができる。
【0165】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
【0166】
例えば、上記実施の形態においては、人工心肺装置100、200において、リザーバ102内の血液貯留量が予め設定した液位範囲外(貯留範囲外)となった際に、リザーバ102内の液位を調整する場合について説明したが、例えば、液位調整を目的とするのではなく、所望量の血液をリザーバ102から患者Pに送血するのに用いてもよい。
【0167】
また、例えば、吸引等により血液貯留量が増加する等、血液貯留量が増減する要因がある場合に、液位範囲外(貯留範囲外)となるのに合わせて血液貯留量の調整を開始してもよい。
【0168】
また、上記実施の形態においては、人工心肺装置10、100、200が液位センサ170を備えている場合について説明したが、液位センサ170を備えるかどうかは任意に設定することができ、例えば、リザーバ102内の血液貯留量を目測で判断して、設定した血液貯留量を少なくする構成としてもよい。
【0169】
また、上記実施の形態においては、人工心肺装置10、100、200において、送血ポンプによる送血流量と脱血流量とを同期させる場合について説明したが、送血流量を脱血流量に対して特定範囲とするように調整してもよい。
【0170】
また、上記実施の形態においては、リザーバ内の血液貯留量が、リザーバ102の液位として取り扱う場合について説明したが、例えば、リザーバに貯留された血液の重量、リザーバに流入する血液と流出する血液の収支に基づいて算出される血液貯留量等を血液貯留量調整の対象としてもよい。
【0171】
また、上記実施の形態においては、操作者が目測又は液位センサ170が検知したリザーバ102の液位外れに基づいて、送血制御切換部150のスイッチをONにして液位調整を開始する場合について説明したが、例えば、液位センサ170が検知したリザーバ102内に貯留された血液の液位により液位調整を開始する構成としてもよい。
また、例えば、血液貯留量調整開始範囲(例えば、上限、下限、又は上限及び下限)と、血液貯留量調整解除範囲(例えば、上限、下限、又は上限及び下限)を設定して、血液貯留量を調整する構成としてもよい。
【0172】
また、第1〜第3の実施形態においては、送血制御切換部150により、送血制御を、設定送血制御と連動送血制御のいずれかに切換え可能とされる場合について説明したが、送血制御切換部150を備えるかどうかは任意に設定することが可能である。また、例えば、連動送血制御のみを備える構成としてもよい。
【0173】
また、第1〜第3の実施形態においては、連動送血制御、設定送血制御において液位調整が終了したら、液位調整が解除されて通常の連動送血制御、設定送血制御に戻る場合について説明したが、調整が解除された場合に連動送血制御、設定送血制御に戻らずに警報により知らせる構成としてもよい。
【0174】
また、第1、第2の実施形態において脱血レギュレータ121を設け、第3の実施形態において脱血レギュレータ121と、送血レギュレータ122を設ける場合について説明したが、脱血レギュレータ121、送血レギュレータ122の設置については任意に設定することができる。
また、流量調整手段として、脱血レギュレータ121、送血レギュレータ122以外の流量調整手段を設けてもよい。
【0175】
また、上記第1〜第3の実施形態においては、脱血ライン101に、脱血レギュレータ121、脱血流量センサ111がこの順に配置されている場合について説明したが、脱血流量センサ111、脱血レギュレータ121の順に配置してもよい。
【0176】
また、上記第3の実施形態においては、第2の送血ライン106に送血レギュレータ122が配置されている場合について説明したが、第1の送血ライン104に配置してもよい。
【0177】
また、第1、第2の実施形態においては、脱血流量測定手段として、血液の流速を測定する脱血流量センサ111を用いる場合について説明したが、脱血流速以外の脱血流量パラメータ(脱血流量を含む)を測定して、脱血流量を測定してもよい。
【0178】
また、第3の実施形態においては、脱血流量測定手段、送血流量測定手段として、それぞれ血液の流速を測定する脱血流量センサ111、送血流量センサ112を用いる場合について説明したが、脱血流速以外の脱血流量パラメータ(脱血流量を含む)、送血流速以外の送血流量パラメータ(送血流量を含む)を測定して、脱血流量、送血流量を測定してもよい。
【0179】
また、上記第1第2の実施形態においては、送血ラインに送血流量センサ112を設けない場合について説明したが、第1の送血ライン104、第2の送血ライン106に超音波センサ等の流量センサ(流量パラメータ測定手段)を適宜設ける構成としてもよい。
【0180】
また、上記実施の形態においては、脱血流量センサ111、送血流量センサ112として、超音波センサを用いる場合について説明したが、超音波センサに代えて、レーザ、赤外線等を用いた周知の種々の流量測定手段を用いてもよい。
【0181】
例えば、上記実施の形態においては、送血ポンプが、ローラポンプ120、遠心ポンプ220である場合について説明したが、そのほかの送血ポンプを用いて構成してもよい。
【0182】
また、上記実施の形態においては、人工心肺装置10、100、200を制御するためのフローチャートの概略構成の例を説明したが、上記フローチャート以外の方法(アルゴリズム)を用いて制御してもよい。