(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6517654
(24)【登録日】2019年4月26日
(45)【発行日】2019年5月22日
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
F24H 9/00 20060101AFI20190513BHJP
F24H 1/10 20060101ALI20190513BHJP
F16K 31/04 20060101ALI20190513BHJP
F16K 11/076 20060101ALI20190513BHJP
【FI】
F24H9/00 M
F24H1/10 301Z
F16K31/04 A
F16K11/076 A
F24H1/10 302G
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-198214(P2015-198214)
(22)【出願日】2015年10月6日
(65)【公開番号】特開2017-72276(P2017-72276A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2018年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】岡野 雄
【審査官】
豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−156980(JP,A)
【文献】
特開2000−18716(JP,A)
【文献】
特開2015−218852(JP,A)
【文献】
特開2011−226607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/00
F24H 1/06 − 8/00
F16K 5/00 − 5/22
F16K 11/00 − 11/24
F16K 31/00 − 31/42
F16K 39/00 − 51/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナで加熱される熱交換器の上流側の給水路と下流側の給湯路とを熱交換器と並列に接続するバイパス路と、熱交換器とバイパス路とへの合計通水量を可変する電動式の水量調節弁とを備える給湯器であって、
水量調節弁の弁筐は、給水路のバイパス路分岐部よりも上流部分又は給湯路のバイパス路合流部よりも下流部分に接続される第1ポートと、給水路のバイパス路分岐部よりも下流部分又は給湯路のバイパス路合流部よりも上流部分に接続される第2ポートと、バイパス路に接続される第3ポートと、第1ポート、第2ポート及び第3ポートに連通し、給水路のバイパス路分岐部又は給湯路のバイパス路合流部を構成する弁室とを有し、
水量調節弁は、モータで駆動される弁軸と、弁軸に連結され弁室に対する第1ポートの連通開度を可変する主弁と、弁軸に連結され弁室に対する第3ポートの連通開度を可変する副弁とを備えるものにおいて、
主弁と副弁は、モータの回転角度が所定の第1範囲内であるときに、弁室に対する第3ポートの連通開度を、熱交換器とバイパス路とへの合計通水量に対するバイパス路への通水量の比であるバイパス比が第1の所定値となる開度に維持したままモータの回転に伴い弁室に対する第1ポートの連通開度を増減し、モータの回転角度が所定の第2範囲内であるときに、弁室に対する第3ポートの連通開度を、バイパス比が第1の所定値よりも大きな第2の所定値となる開度に維持したままモータの回転に伴い弁室に対する第1ポートの連通開度を増減するように構成され、
給湯設定温度が所定温度以上である場合は、モータを第1範囲内で回転させるように制御し、給湯設定温度が所定温度よりも低い場合は、モータを第2範囲内で回転させるように制御することを特徴とする給湯器。
【請求項2】
前記弁室は円柱状に形成され、弁室の軸方向一端の開放端に前記第2ポートが連通し、弁室の軸方向一方の半部の周面の一部に、前記第1ポートに連通する主弁用連通口が設けられ、弁室の軸方向他方の半部の周面の一部に、前記第3ポートに連通する副弁用連通口が設けられ、弁室に、弁軸に連結された円筒状の弁体が回転自在に内挿され、弁体の軸方向一方の半部に、主弁用連通口に重なって弁室に対する第1ポートの連通開度を可変する主弁用弁孔が形成されると共に、弁体の軸方向他方の半部に、副弁用連通口に重なって弁室に対する第3ポートの連通開度を可変する副弁用弁孔が形成されて、弁体の軸方向一方の半部と他方の半部とで夫々前記主弁と前記副弁とが構成されることを特徴とする請求項1記載の給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナで加熱される熱交換器の上流側の給水路と下流側の給湯路とを熱交換器と並列に接続するバイパス路を備える給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯器では、熱交換器からの出湯温度が低いと、バーナの燃焼排気中の水蒸気が熱交換器で凝縮してドレンが発生する。バイパス路を設ければ、熱交換器からの出湯温度が給湯設定温度より高くても、熱交換器から出湯される温水にバイパス路からの水が混合されて、バイパス路合流部よりも下流の給湯路の部分に給湯設定温度の温水を供給できる。そのため、給湯設定温度が低くてもドレンの発生を防止できる。
【0003】
ここで、給湯器では、一般的に、給水路のバイパス路分岐部よりも上流部分又は給湯路のバイパス路合流部より下流部分に、熱交換器とバイパス路とへの合計通水量を可変する電動式の水量調節弁を介設し、バーナの燃焼量を最大にしても給湯温度が設定温度に達しない場合には、合計通水量を減少させる制御を行うようにしている。
【0004】
また、従来、特許文献1により、水量調節弁として、給水路のバイパス路分岐部よりも上流部分又は給湯路のバイパス路合流部よりも下流部分に接続される第1ポートと、給水路のバイパス路分岐部よりも下流部分又は給湯路のバイパス路合流部よりも上流部分に接続される第2ポートと、バイパス路に接続される第3ポートと、第1ポート、第2ポート及び第3ポートに連通し、給水路のバイパス路分岐部又は給湯路のバイパス路合流部を構成する弁室とを有する弁筐と、モータで駆動される弁軸と、弁軸に連結され弁室に対する第1ポートの連通開度を可変する主弁と、弁軸に連結され弁室に対する第3ポートの連通開度を可変する副弁とを備えるものを用いた給湯器も知られている。
【0005】
尚、特許文献1に記載のものでは、副弁を、主弁が所定の中間開き位置よりも閉じ側に存するときは弁室に対する第3ポートの連通開度を一定に維持し、主弁が中間開き位置よりも開き側に移動するときに弁室に対する第3ポートの連通開度を増加するように構成している。そして、給水圧が低い場合に、水量調節弁の主弁が中間開き位置よりも開き側に移動するように弁軸を駆動して、給水圧低下による合計通水量の減少をある程度補償すると共に、弁室に対する第3ポートの連通開度を増加させて、給水圧が低下したときに生ずるバイパス比(熱交換器とバイパス路とへの合計通水量に対するバイパス路への通水量の比)の低下を防止できるようにしている。
【0006】
ところで、給湯設定温度が比較的高い場合に生じやすい熱交換器での沸騰を防止するためには、バイパス比を比較的低くすることが望まれ、一方、給湯設定温度が比較的低い場合に生じやすい熱交換器でのドレンの発生を防止するには、バイパス比を比較的高くすることが望まれる。然し、特許文献1に記載のものでは、これら相反する二つの要望を充足することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−156980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の点に鑑み、給湯設定温度が比較的高い場合にはバイパス比を比較的低くし、給湯設定温度が比較的低い場合にはバイパス比を比較的高くすることができるようにした給湯器を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、バーナで加熱される熱交換器の上流側の給水路と下流側の給湯路とを熱交換器と並列に接続するバイパス路と、熱交換器とバイパス路とへの合計通水量を可変する電動式の水量調節弁とを備える給湯器であって、水量調節弁の弁筐は、給水路のバイパス路分岐部よりも上流部分又は給湯路のバイパス路合流部よりも下流部分に接続される第1ポートと、給水路のバイパス路分岐部よりも下流部分又は給湯路のバイパス路合流部よりも上流部分に接続される第2ポートと、バイパス路に接続される第3ポートと、第1ポート、第2ポート及び第3ポートに連通し、給水路のバイパス路分岐部又は給湯路のバイパス路合流部を構成する弁室とを有し、水量調節弁は、モータで駆動される弁軸と、弁軸に連結され弁室に対する第1ポートの連通開度を可変する主弁と、弁軸に連結され弁室に対する第3ポートの連通開度を可変する副弁とを備えるものにおいて、主弁と副弁は、モータの回転角度が所定の第1範囲内であるときに、弁室に対する第3ポートの連通開度を、熱交換器とバイパス路とへの合計通水量に対するバイパス路への通水量の比であるバイパス比が第1の所定値となる開度に維持したままモータの回転に伴い弁室に対する第1ポートの連通開度を増減し、モータの回転角度が所定の第2範囲内であるときに、弁室に対する第3ポートの連通開度を、バイパス比が第1の所定値よりも大きな第2の所定値となる開度に維持したままモータの回転に伴い弁室に対する第1ポートの連通開度を増減するように構成され、給湯設定温度が所定温度以上である場合は、モータを第1範囲内で回転させるように制御し、給湯設定温度が所定温度よりも低い場合は、モータを第2範囲内で回転させるように制御することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、給湯設定温度が比較的高い場合(所定温度以上の場合)は、バイパス比を比較的低い値(第1の所定値)にして、熱交換器での沸騰を防止することができ、また、給湯設定温度が比較的低い場合(所定温度より低い場合)は、バイパス比を比較的高い値(第2の所定値)にして、熱交換器でのドレンの発生を防止することができる。更に、給湯設定温度が比較的高い場合と比較的低い場合との何れにおいても、バーナの最大燃焼量で給湯温度が設定温度に達しない場合には、弁軸を第1と第2の各範囲内で弁室に対する第1ポートの連通開度が減少する方向に回転させて合計通水量を減少させることにより、給湯温度を設定温度まで上昇させることができる。
【0011】
また、本発明において、弁室は円柱状に形成され、弁室の軸方向一端の開放端に第2ポートが連通し、弁室の軸方向一方の半部の周面の一部に、第1ポートに連通する主弁用連通口が設けられ、弁室の軸方向他方の半部の周面の一部に、第3ポートに連通する副弁用連通口が設けられ、弁室に、弁軸に連結された円筒状の弁体が回転自在に内挿され、弁体の軸方向一方の半部に、主弁用連通口に重なって弁室に対する第1ポートの連通開度を可変する主弁用弁孔が形成されると共に、弁体の軸方向他方の半部に、副弁用連通口に重なって弁室に対する第3ポートの連通開度を可変する副弁用弁孔が形成されて、弁体の軸方向一方の半部と他方の半部とで夫々主弁と副弁とが構成されることが望ましい。これによれば、主弁と副弁とを単一の弁体で構成できるため、水量調節弁の構造を簡素化してコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態の給湯器の配管回路を付記した水量調節弁の断面図。
【
図2】
図1の水量調節弁に設けられた弁体の展開図。
【
図3】
図1の水量調節弁の弁室に対する第1ポートの連通開度の変化特性とバイパス比の変化特性とを示すグラフ。
【
図4】本発明の第2実施形態の給湯器の配管回路を付記した水量調節弁の断面図。
【
図5】(a)
図4の水量調節弁の弁軸が中間位置に移動した状態の断面図、(b)
図4の水量調節弁の弁軸が右端位置に移動した状態の断面図。
【
図6】
図4の水量調節弁の弁室に対する第1ポートの連通開度の変化特性とバイパス比の変化特性とを示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示す本発明の実施形態の給湯器は、バーナ1と、バーナ1で加熱される熱交換器2とを備えている。更に、熱交換器2の上流側の給水路3と下流側の給湯路4とを熱交換器2と並列に接続するバイパス路5と、熱交換器2とバイパス路5とへの合計通水量を可変する電動式の水量調節弁6とを備えている。
【0014】
水量調節弁6は、給水路3のバイパス路5分岐部よりも上流部分3aに接続される第1ポート611と、給水路3のバイパス路5分岐部よりも下流部分3bに接続される第2ポート612と、バイパス路5に接続される第3ポート613と、第1ポート611、第2ポート612及び第3ポート613に連通し、給水路3のバイパス路5分岐部を構成する弁室614とを有する弁筐61と、ステッピングモータ等のモータ62で駆動される弁軸63と、弁軸63に連結され弁室614に対する第1ポート611の連通開度を可変する主弁64と、弁軸63に連結され弁室614に対する第3ポート613の連通開度を可変する副弁65とを備えている。また、第1ポート611の弁室614に向けてのびる通路部には、水流で回転する羽根車71を有する水量センサ7が設けられている。
【0015】
図1に示す第1実施形態において、弁室614は円柱状に形成されている。そして、弁室614の軸方向一端(
図1で右端)の開放端に弁筐61の内部空間を介して第2ポート612が連通し、弁室614の軸方向一方の半部(
図1で右方の半部)の周面の一部(
図1で下部)に、第1ポート611に連通する主弁用連通口641が設けられ、弁室614の軸方向他方の半部(
図1で左方の半部)の周面の一部(
図1で上部)に、第3ポート613に連通する副弁用連通口651が設けられている。
【0016】
弁室614には、軸方向一端(
図1で右端)のスポーク部661で弁軸63に連結される円筒状の弁体66が回転自在に内挿されている。そして、弁体66の軸方向一方の半部(
図1の右方の半部)に、主弁用連通口641に重なって弁室614に対する第1ポート611の連通開度を可変する主弁用弁孔642が形成されると共に、弁体66の軸方向他方の半部(
図1の左方の半部)に、副弁用連通口651に重なって弁室614に対する第3ポート613の連通開度を可変する副弁用弁孔652を形成して、弁体66の軸方向一方の半部と他方の半部とで夫々主弁64と副弁65とが構成されるようにしている。
【0017】
弁体66の周方向を上下方向として弁体66を展開した図である
図2を参照して、主弁用弁孔642は、上下方向中央の「0°」位置近傍から下端の「+180°」位置に向けて次第に幅が狭くなるようにのびる第1孔部642aと、「0°」位置近傍から上端の「−180°」位置に向けて次第に幅が狭くなるようにのびる第2孔部642bとで構成される。また、副弁用弁孔652は、「0°」位置と「−180°」位置との間で周方向に延在する比較的幅狭の第1孔部652aと、「0°」位置と「+180°」位置との間で周方向に延在する比較的幅広の第2孔部652bとで構成されている。
【0018】
ここで、弁体66の「0°」位置が主弁用連通口641に正対する位相になる弁体66の回転角度を「0°」として、弁体66を「0°」から
図2で上方に移動するように−方向に回転させると、主弁用連通口641に主弁用弁孔642の第1孔部642aが重なって、−方向の回転角度が増加するのに伴い、弁室614に対する第1ポート611の連通開度が次第に減少し、一方、副弁用連通口651に副弁用弁孔652の第1孔部652aが重なって、弁体66の回転角度が−方向の所定範囲θ1内であるときは、弁室614に対する第3ポート613の連通開度が比較的小さな一定値に維持される。
【0019】
また、弁体66を「0°」から
図2で下方に移動するように+方向に回転させると、主弁用連通口641に主弁用弁孔642の第2孔部642bが重なって、+方向の回転角度が増加するのに伴い、弁室614に対する第1ポート611の連通開度が次第に減少し、一方、副弁用連通口651に副弁用弁孔652の第2孔部652bが重なって、弁体66の回転角度が+方向の所定範囲θ2内であるときは、弁室614に対する第3ポート613の連通開度が比較的大きな一定値に維持される。
【0020】
その結果、弁室614に対する第1ポート611の連通開度は
図3のa線で示す如く変化し、バイパス比(=バイパス路5への通水量/熱交換器2とバイパス路5とへの合計通水量)は
図3のb線で示す如く変化する。そして、弁体66の回転角度が−方向の所定範囲θ1内であるときは、バイパス比が比較的小さな第1の所定値B1(例えば、0.2)に維持され、弁体66の回転角度が+方向の所定範囲θ2内であるときは、バイパス比が比較的大きな第2の所定値B2(例えば、0.8)に維持される。
【0021】
ここで、−方向の所定範囲θ1に対応するモータ62の回転角度範囲を第1範囲、+方向の所定範囲θ2に対応するモータ62の回転角度範囲を第2範囲として、本実施形態では、給湯設定温度が所定温度(例えば、45℃)以上である場合は、モータ62を第1範囲内で回転させるように制御し、給湯設定温度が所定温度よりも低い場合は、モータ62を第2範囲内で回転させるように制御する。
【0022】
これによれば、給湯設定温度が所定温度以上の場合は、バイパス比を比較的小さな第1の所定値B1にして、熱交換器2での沸騰を防止することができ、また、給湯設定温度が所定温度より低い場合は、バイパス比を比較的大きな第2の所定値B2にして、熱交換器2でのドレンの発生を防止することができる。更に、給湯設定温度が所定温度以上の場合と所定温度より低い場合との何れにおいても、バーナ1の最大燃焼量で給湯温度が設定温度に達しない場合には、弁体66を各範囲θ1,θ2内で弁室614に対する第1ポート611の連通開度が減少する方向に回転させて合計通水量を減少させることにより、給湯温度を設定温度まで上昇させることができる。
【0023】
次に、
図4、
図5に示す第2実施形態について説明する。第2実施形態では、水量調節弁6の弁軸63を、モータ62により図示省略した送りネジ機構を介して軸方向に進退させるようにしている。弁筐61には、第1ポート611を弁室614に連通する主弁用連通口として、弁室614の一端(
図4で右端)で軸方向に開口する第1連通口641
1と、第1連通口641
1の上流側で第1ポート611に向けて径方向に開口する第2連通口641
2とが設けられている。弁軸63には、第1連通口641
1に対向する第1弁体部64aと、第2連通口641
2を開閉する筒状の第2弁体部64bと、第2弁体部64bを第1弁体部64aに連結するスポーク部64cとを有する主弁64が連結されている。尚、主弁64は、弁軸63に取付けた止輪643に第1弁体部64aの先端が当接するようにバネ644で付勢した状態で弁軸63に外挿されており、弁軸63と一体に軸方向に進退する。また、第1弁体部64aは、第1連通口641
1に隙間を存して挿入されるように、第1連通口641
1よりも若干小径に形成されている。
【0024】
弁軸63を
図4に示す左方のストローク端位置(左端位置)に移動させた状態では、第1弁体部64aが第1連通口641
1に挿入されて、第1連通口641
1の開度が最小になり、第2連通口641
2の開度は大きいが、第1連通口641
1と第2連通口641
2とのトータル開度である弁室614に対する第1ポート611の連通開度は最小になる。弁軸63を左端位置から右方に移動させると、第1弁体部64aが第1連通口641
1から抜け出て、第1連通口641
1の開度が次第に増加するが、第2弁体部64bにより第2連通口641
2の開度が次第に狭められる。また、弁軸63を
図5(b)に示す右方のストローク端位置(右端位置)に移動させた状態では、第2連通口641
2の開度が最小になり、第1連通口641
1の開度は大きいが、弁室614に対する第1ポート611の連通開度は最小になる。そして、弁軸63が
図5(a)に示す中間位置に存する状態では、弁室614に対する第1ポート611の連通開度が最大になる。その結果、弁室614に対する第1ポート611の連通開度は
図6のa線で示す如く変化する。
【0025】
また、弁室614の他端(
図4で左端)には、第3ポート613に連通する副弁用連通口651を開設した弁座651aが設けられており、この弁座651aに対向するように副弁65が弁軸63に連結されている。尚、副弁65は、その先端が弁軸63に取付けた止輪653に当接するようにバネ654で付勢した状態で弁軸63に外挿されている。また、副弁65には、弁座651aに副弁65が着座した状態でも弁室614と第3ポート613とを連通するバイパス孔65aが形成されている。
【0026】
図6のb線はバイパス比の変化を示している。弁軸63が
図4に示す左端位置から
図5(a)に示す中間位置までのストローク範囲S1内に存するときは、副弁65が弁座651aに着座して、弁室614に対する第3ポート613の連通開度はバイパス孔65aにより規定される最小開度になり、バイパス比は比較的小さい第1の所定値B1に維持される。弁軸63が中間位置から右方に移動すると、副弁65が弁座651aが離れて、弁室614に対する第3ポート613の連通開度が次第に増加し、バイパス比が漸増する。弁軸63が中間位置から右方に所定距離移動すると、バイパス路5への通水量が副弁用連通口651で律速されなくなる全開位置に副弁65が到達する。そして、弁軸63がこの位置から
図5(b)に示す右端位までのストローク範囲S2内に存するときは、弁室614に対する第3ポート613の連通開度は全開開度(バイパス路5への通水量が副弁用連通口651で律速されなくなる開度)になり、バイパス比は比較的大きい第2の所定値B2に維持される。
【0027】
ここで、ストローク範囲S1に対応するモータ62の回転角度範囲を第1範囲、ストローク範囲S2に対応するモータ62の回転角度範囲を第2範囲として、給湯設定温度が所定温度以上である場合は、モータ62を第1範囲内で回転させるように制御し、給湯設定温度が所定温度よりも低い場合は、モータ62を第2範囲内で回転させるように制御する。これにより、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0028】
但し、第2実施形態では、主弁64と副弁65とを各別の弁体で構成する必要があるのに対し、第1実施形態では、主弁64と副弁65とを単一の弁体66で構成して、構造の簡素化を図ることができ、コストダウンを図る上で有利である。
【0029】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、水量調節弁6の弁筐61の第1ポート611に給湯路4のバイパス路5合流部よりも下流部分4aを接続すると共に、第2ポート612に給湯路4のバイパス路5合流部よりも上流部分4bを接続し、更に、第3ポート613にバイパス路5を接続して、弁室614により給湯路4のバイパス路5合流部を構成することも可能である。
【符号の説明】
【0030】
1…バーナ、2…熱交換器、3…給水路、3a…給水路のバイパス路分岐部よりも上流部分、3b…給水路のバイパス路分岐部よりも下流部分、4…給湯路、4a…給湯路のバイパス路合流部よりも下流部分、4b…給湯路のバイパス路合流部よりも上流部分、5…バイパス路、6…水量調節弁、61…弁筐、611…第1ポート、612…第2ポート、613…第3ポート、614…弁室、62…モータ、63…弁軸、64…主弁、641…主弁用連通口、642…主弁用弁孔、65…副弁、651…副弁用連通口、652…副弁用弁孔、66…弁体。