(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
燃焼室、吸入システム、排出システム、ならびに、前記燃焼室にポートを介して流体的に連接され、更に前記吸入システムおよび前記排出システムに流体的に連接される三方弁を備え、
前記三方弁の第1ポジションにおいて、流体は、前記第1燃焼シリンダ内外へ流れないように防止されており、
前記三方弁の第2ポジションにおいて、吸入システムは、投入燃料が、前記三方弁を介して前記ポートを通じて前記燃焼室へ導入されることが可能なように、前記燃焼室に流体的に連接されており、
前記三方弁の第3ポジションにおいて、吸入排出システムは、燃えた前記投入燃料が、前記三方弁を介して前記ポートを通って前記燃焼室から前記排出システムへ除去されることが可能なように、前記燃焼室に流体的に連接されていることを特徴とする請求項1から25の何れか1項に記載のエンジン。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様は、シリンダ、前記シリンダ内部をピストン軸に沿って運動可能なピストンヘッド、連接棒、および軌道を有するトラックを備え、前記連接棒は、前記ピストンヘッドに結合されている第1端、および前記トラックに結合されている第2端を有し、前記トラックは、前記シリンダに相対的に動かされるように適合されており、前記トラックが前記シリンダに相対的に運動するときに、前記ピストンヘッドが前記トラックの前記軌道に従って前記ピストン軸に沿って往復運動で運動するように、形状形成されており、前記トラックの前記軌道は、前記ピストンヘッドの変位が、前記シリンダに相対的な前記トラックの変位に対して非単調和であるように、形状形成されているピストン配置を提供する。
【0004】
連接棒は、ピストンに結合される細長い部材として規定されており、ピストンのための動力
伝達機構の一部として、ピストンを駆動するおよび/またはピストンによって駆動されるように適合されている。トラックは、軌道を提供する構成要素またはシステムとして規定されており、軌道の特有の形状は、1つ以上の他の構成要素またはシステムの運動を、軌道の形状に従うように誘導または拘束するように適合されている。
【0005】
非単調和運動は、数学的正弦波に完全に従う単調和ではない運動として規定されており、例えば、もしも、ピストンヘッド変位が、シリンダに対するトラックの変位と対照して作図(plat)されたならば、相関性は、完全な正弦波に従わない。前記シリンダに対する前記トラックの前記変位は、以下の概要および説明から明らかになるように、前記トラックが設けられている様式に応じて角度変位であっても、直線変位であってもよい。
【0006】
ピストンヘッドは、シリンダに相対的なトラックの運動に対して単調和運動で運動しないので、もしも、トラックが、一定速度でシリンダに相対的に動かされるものであったならば、ピストンヘッドは、単調和運動を追従しない。なお、本発明は、ピストン配置の正常な使用において、トラックが実際に一定速度でシリンダに相対的に動かされることを要さない。
【0007】
前記トラックポジションに対する前記ピストンヘッドの前記変位プロフィルは、単調和運動と実質的に異なっていればよい。例えば、前記ピストンヘッドが往復運動で運動しているとき、その変位は、前記トラック変位に対する完全な数学的単調和運動から、その運動周期の少なくとも一部に渡り、少なくとも1%、2%、3%、5%、10%、15%、20%または25%を超えるように逸脱してもよい。あるいは、前記トラックの前記軌道は、前記ピストンヘッドの前記変位プロフィルが単調和運動とより顕著に異なるように、形状形成されていてもよい。例えば、前記ピストンヘッド変位プロフィルは、後述のように、a)複数の異なる上死点および/または下死点ポジション、b)ピストンヘッド速度が低減される行程中途期間、c)上死点および/または下死点ポジション近傍で増大された滞留時間、およびd)ピストン行程の前半に渡り相対的に速いまたは遅い平均速度、の少なくとも1つを含んでもよい。故に、ピストンは単調和運動または(従来のクランクシャフトおよび連接棒型ピストン配置を用いた場合のような)歪んだ単調和運動に制限されない、このため、変位および加速は、必要に応じて調整されることができ、ピストン配置の具体的な適用のために最適化されることができる。
【0008】
前記ピストン配置は例えば、内燃エンジンまたは、ポンプまたは、ピストンの往復直線運動を、別の構成要素の回転運動に変換する、あるいはその逆の他のどのようなシステムに用いられてもよい。
【0009】
前記トラックが有する軌道形状は、正弦波形状でなくてもよい。前記トラックは、必要なピストン変位および加速プロフィルを生じれば、どのような軌道形状を有してもよい。前記軌道は、略非正弦波であってもよい。前記軌道は、(必要なピストンヘッド変位プロフィルを生じる特有の形状の軌道を有するのに加えて、)湾曲されていてもよい、しかし、トラックの曲率は、例えば、もしもトラックが円形連続ループとして設けられているならば、軌道の形状に影響する必要はない。
【0010】
前記トラックは、第1極小および、前記第1極小と異なる第2極小を、前記ピストンヘッドが、前記ピストン軸に沿って往復運動で運動するときに、前記ピストンヘッドが、前記トラックの前記第1極小に対応する第1下死点ポジションを通り、続いて、前記トラックの前記第2極小に対応する第2下死点ポジションを通るように、有し、前記ピストンの前記シリンダに対する変位は、前記第1下死点ポジションにおけるときと、前記第2下死点ポジションにおけるときと、で異なってもよい。あるいは、または加えて、前記トラックは、2つの異なる上死点に対応する2つの異なる極大を含んでもよい。前記トラックは一般的に、同一のまたは複数の異なるピストン変位で、各上死点ポジションに対応する極大を幾つ備えてもよい。前記トラックは同様に、同一のまたは複数の異なるピストン変位で、各下死点ポジションに対応する極小を幾つ備えてもよい。故に、前記ピストンヘッドは、前記運転周期の異なる段階むけに異なる行程長さを含む周期で運転してもよく、例えば、内燃エンジンに関連して、短い蒸気動力行程の次に、長い燃焼動力行程を運転してもよい。
【0011】
前記トラックは、前記トラックの極小および前記トラックの隣接する極大の間の位置に、少なくとも1つの傾斜が低減された部分を、前記ピストンヘッドが、前記極小に対応する下死点ポジションおよび前記極大に対応する上死点ポジションの間を運動するときに、速度が低減される期間を少なくとも一度経るように、含んでもよい。速度が低減される前記期間は、比較的ピストン速度が速い期間の中間のピストン速度が低減される長い期間であってもよく、必要に応じてピストン行程の間のいずれかの時点(例えば、下死点の近く、上死点の近く、またはその中間位置)で起きてもよい。ピストン速度が低減される前記期間は、前記ピストンヘッドが略静止している期間を含んでもよい。トラックの傾斜は、傾斜が低減された部分より、傾斜が低減された部分の脇で、どちらの脇でも大きい。
【0012】
前記トラックは、前記トラックの極大近傍または極小近傍に、低傾斜または0傾斜の長い部分を、前記ピストンヘッドが、前記極大に対応する上死点ポジションを通って、または前記極小に対応する下死点ポジションを通って、運動するときに、十分な期間の滞留時間を経るように、含んでもよい。滞留時間の前記期間は、標準的なクランクシャフトおよび連接棒機構を用いるシリンダ内部で運転するピストンにより経る滞留時間よりも、かなり長くてもよい。長くなった滞留時間は、例えば、シリンダ内外へ流体を移送する効率を高めるために用いられる。
【0013】
(連接棒角度による歪みを無視すると)単調和運動で運転する従来のクランクシャフトおよび連接棒配置において、ピストンが、上死点ポジションから離れて次に来る下死点ポジションに向かうように(または、下死点ポジションから離れて次に来る上死点ポジションに向かうように)運動するとき、ピストンがその行程変位の最初の2.5%を通るのは、クランクシャフトが約18度回転した後であり、これは、上死点ポジションおよび下死点ポジションの間で必要なクランクシャフトの回転の約10%に等しい。同様に、ピストンがその行程変位の最初の5%を通るのは、クランクシャフトが約26度回転した後であり、これは、TDCおよびBDCの間のクランクシャフトの回転の約14%に等しい。
また、ピストンがその行程変位の最初の10%を通るのは、クランクシャフトが約37度回転した後であり、これは、TDCおよびBDCの間のクランクシャフトの回転の約20%に等しい。
【0014】
比較すると、もしも、本発明のトラックが、極大(または極小)近傍に低傾斜または0傾斜である長い部分を含むならば、極大から次に来る極小へ向かう(または極小から次に来る極大へ向かう)前記トラックの相対運動の少なくとも15%、20%、25%または30%まで、前記トラックは前記ピストンを、前記対応する上死点ポジション(または下死点ポジション)から離れるその変位の最初の2.5%範囲内に留めてもよい。同様に、前記トラックの相対運動の少なくとも20%、25%、30%または35%まで、前記トラックは前記ピストンを、その行程変位の最初の5%範囲内に留めてもよい。また、前記トラックの相対運動の少なくとも25%、30%、35%または40%まで、前記トラックは前記ピストンを、その行程変位の最初の10%範囲内に留めてもよい。
【0015】
前記トラックは、前記トラックおよび前記シリンダの相対運動と一直線上の方向に、極大と、隣接する極小と、前記極大および隣接する前記極小の間の中間に位置する中間点とを備えてもよい。もしも、トラックが略円形連続ループの様式であるならば、中間点は、極大および隣接する極小の間の角度中間点にあってもよい。前記トラックは、前記極大から前記中間点へ伸びるその全長の第1部分に渡る平均傾斜が、前記中間点から前記極小へ伸びるその全長の2部分に渡る平均傾斜よりも、急勾配であってもよい。それ故、前記ピストンヘッドは、前記極大に対応する上死点ポジションと、前記極小に対応する下死点ポジションと、前記極大および隣接する前記極小の間の前記中間点に対応する第1中間ポジションを有してもよく、前記第1中間ポジションは、前記上死点ポジションよりも前記下死点ポジションに近い。例えば、ピストンヘッドは、第1中間ポジションにあるとき、上死点ポジションから下死点ポジションへの道程の少なくとも52.5%、55%、57.5%、60%、65%、70%または75%にある。あるいは、前記トラックは、前記中間点および前記極小の間で、前記上死点ポジションおよび前記中間点の間でよりも平均傾斜が急勾配であってもよい。それ故、前記ピストン速度および加速は、要求に応じて行程範囲内で変更されてもよい。例えば、内燃エンジンに適用される場合、より効果的に仕事を引出し、ピストン温度を低減するために、前記ピストン速度は、前記動力行程の後半におけるよりも、前記動力行程の前半に渡って早くてもよい。
【0016】
あるいは、前記トラックの平均傾斜は、前記トラックの傾斜が中間点で低傾斜または0傾斜であるトラックの部分端から、隣接する極小の間で、より急勾配またはより緩やかな勾配であってもよい。または、前記トラックの平均傾斜は、前記トラックの傾斜が中間点で低傾斜または0傾斜であるトラックの部分端から、隣接する極大の間で、より急勾配またはより緩やかな勾配であってもよい。
【0017】
前記トラックは、閉鎖ループを形成し、かつ、回転する胴体に設けられてもよい。あるいは、前記トラックは、円弧を形成し、かつ、往復回転する胴体に設けられてもよく、または、回転しない構成要素に設けられてもよく、例えば、直線トラックが、直線的に往復する胴体に設けられてもよい。
【0018】
前記トラックは、前記シリンダに相対的に回転するドラムまたはディスクに設けられてもよい。前記トラックは、ドラムの半径方向内側面または外側面、あるいはドラムの
端面、あるいはディスクの半径方向外側面またはディスクの
端面に設けられてもよい。前記トラックは、前記連接棒が、前記トラックが設けられている前記面に略垂直な方向に、あるいは、前記トラックが設けられている前記面に略平行な方向に運動するように、形状形成されてもよい。あるいは、前記トラックは、固定されてもよく、前記シリンダがディスクの前記ドラムに相対的に回転してもよい。
【0019】
前記トラックは、前記ドラムまたはディスクの表面から陥凹および/または隆起していてもよい。前記トラックは、前記ドラムまたはディスクの部分または少なくとも一部として、一体に形成されてもよく、前記トラックは、1つ以上の別個のトラック構成要素として、前記ドラムまたはディスクに取付けられてもよい。
【0020】
前記連接棒は、前記連接棒の変位を制御するように前記トラックと噛合う1つ以上の従車(follower)を有してもよい。例えば、前記従車は、ベアリング、ローラ、または突起(boss)などを備えてもよい。前記従車は、前記連接棒の一方側のみに位置してもよいが、しかし、好ましくは、少なくとも2つの従車が、前記連接棒の対向する面に位置する。
【0021】
前記連接棒は、前記シリンダ軸に平行な方向に互いから離間している少なくとも2つの従車を有してもよい。前記従車は、前記トラックの突出部の別々の側(alternate sides)に、前記トラックの前記突出部が前記従車の間に伸びるように、位置してもよい。あるいは、前記従車は両方とも、前記トラックの基部および前記トラックの突出部の間に位置してもよい。
【0022】
前記連接棒は、前記連接棒に旋回可能に取り付けられている台車を介して、前記連接棒に取り付けられている少なくとも2つの従車を有してもよい。前記従車は、前記台車に一体に形成されている突起であっても、あるいは、一体の心棒または別個のシャフトを介して前記台車に取り付けられた車輪またはローラであってもよい。前記連接棒は前記台車に、前記台車に1つ以上の従車を取り付けるために用いられている心棒またはシャフトを介して、あるいは、他の位置で取り付けられている。
【0023】
前記トラックは、前記ピストン軸に沿って第1方向に前記ピストンヘッドを動かすように前記従車の1つ以上と噛合う第1面と、前記ピストン軸に沿って前記第1方向と反対の第2方向にピストンヘッドを動かすように前記従車の1つ以上と噛合う、前記第1面と対向する第2面と、を含んでもよい。前記第1面は、前記トラックの基部であってもよく、前記第2面は、対向壁であてもよい。それ故、前記トラックは、前記ピストン軸に沿うどちらかの方向の前記ピストンヘッドの運動によって、第1方向に駆動されてもよく、前記ピストンは、前記トラックが前記第1方向に運動するときに、前記トラックによって前記ピストン軸に沿うどちらの方向に動かされてもよい。1つ以上の従車は、前記第2面でなく前記第1面に噛合うように配置されてもよく、1つ以上の従車は、前記第1面でなく前記第2面に噛合うように配置されてもよい。前記第1および第2面に噛合うように配置された前記従車は、寸法、形状、または各方向に要求される負荷に応じた規格が、異なってもよい。
【0024】
前記連接棒は、ピストンヘッドに相対的に回転することなく、前記シリンダ軸の前記方向に運動するように、略拘束されていてもよい。前記連接棒は、0.5度、1度、2度、3度、または5度よりも大きい角度に、前記ピストンヘッドに相対的に回転することができないように、拘束されていてもよい。例えば、前記連接棒の運動は、前記連接棒が内部を滑動するスリーブによって、拘束されていてもよい。あるいは、前記連接棒は、ローラ、ベアリングまたは拘留面によって拘束されてもよく、1つ以上の振りアームに取り付けられてもよい。前記連接棒は、前記連接棒は、小さな角度の回転運動が可能なように、前記ピストンヘッドに旋回可能に取り付けられてもよい。あるいは、前記連接棒は、前記ピストンンヘッドと一体に形成されても、そうではなく前記ピストンヘッドに堅固に取り付けられてもよい。
【0025】
前記連接棒の長さは、伸びない固定長でもよい。あるいは、前記連接棒の長さは、可変長であってもよい。可変長連接棒は、前記ピストンヘッドの前記変位プロフィルを変遷させるように適合されてもよい。もしも、前記連接棒の前記長さが減少(または増大)するならば、前記上死点および下死点ポジションの前記高さは、対応して減少(または増大)するであろう。それ故、前記変位プロフィルは、前記連接棒長さによって異なる運転条件向けに最適化されてもよい。前記連接棒は、前記ピストン配置が使用中でないときのみに、調整されるように適合されてもよい。あるいは、前記連接棒は、前記ピストンヘッドが運動している使用中に、調整されるように適応されてもよい。
【0026】
前記連接棒は、互いに連接されるネジ連接部を有する少なくとも2つの節を備え、少なくとも1つの前記節は、前記連接棒の前記全長を減少または増大させるために、他の前記節に相対的に回転可能である。例えば、可変長連接棒は、1つ以上の従車および/または台車を介して前記トラックに結合されるトラック追従節と、(例えばガジオンピンを介して)前記ピストンヘッドに結合されるピストン取付け節と、を備えてもよい。前記ピストン取付け節は、前記トラック追従節に連接されるネジ連接部を有してもよく、前記連接棒の長さを変更するために、前記トラック追従節が回転しないように固定され続けている間に、前記ピストン取付け節は回転されるように適合されてもよい。あるいは、可変連接棒はさらに、前記ピストン取付け節を前記トラック追従節に連接する中間節を備えてもよく、前記中間節は、前記ピストン取付け節および前記トラック追従節の両方に連接されるネジ連接部を備え、前記ピストン取付け節および前記トラック追従節が、回転しないように固定され続けている間に、前記中間節は回転されるように適合される。
【0027】
ピストン取付け節、中間節、およびトラック追従節各々に、1つ以上の位置制御要素によって受容される突出部および/または陥凹部が設けられてもよく、前記位置制御要素は、回転運動を引き起こすまたは防止するために用いられていてもよい。伸ばされたスカートを有するピストンヘッドは、前記ピストン取付け節に設けられた突出部および/または陥凹部の代わりに、または加えて、1つ以上の位置制御要素によって受容される突出部または陥凹部を備えてもよい。位置制御要素は、作動されると、前記連接棒の節を回転してもよく、これにより、前記連接棒の長手方向軸について前記ピストン制御要素をを回転させることによって、前記連接棒長さを変化させる。1つ以上のポジション制御要素は、前記連接棒の運動を実質的に前記シリンダ軸の前記方向に拘束するために用いられる前記手段によって設けられてもよい。
【0028】
ピストンシステムは、本発明の前記第1の態様に係る少なくとも2つのピストン配置を含んでもよい。前記複数のピストン配置のそれぞれの前記連接棒は、共通トラックに結合されていてもよい。共通トラックに連接され、共通トラックに沿って離間されるピストン配置は、必要に応じて幾つでもよい。あるいは、ピストンシステムが含む本発明の前記第1態様に記載の2つのピストン配置は、前記トラックそれぞれが互いに相対的に固定されているまたは運動可能であると共に、共通シリンダ内部の対向するピストンを運転してもよい。あるいは、ピストンシステムは、本発明の前記第1態様に記載の第1ピストン配置および第2ピストン配置を備え、前記第1ピストン配置の前記シリンダは、前記ピストンヘッドに対向する固定頭壁を有してもよく、前記第2ピストン配置の前記シリンダは、前記第1ピストン配置の前記固定頭壁への開口を有してもよい。
を有してもよく、
本発明の前記第1の態様に係る第1および第2ピストン配置を含んでもよく、前記第1および第2ピストン配置の連接棒はそれぞれ、別個の第1および第2トラックに結合されていると共に、前記第1および第2トラックは、前記第1および第2ピストン配置のぞれぞれの前記ピストンヘッドの前記相対的なタイミングを変化させるように、互いに対して運動可能であってもよい。
【0029】
内燃エンジンは、本発明の前記第1の態様に係るピストン配置を備えてもよい。
【0030】
本発明の第2の態様は、シリンダ、前記シリンダ内部をピストン軸に沿って運動可能なピストンヘッド、連接棒、およびトラックを備え、前記連接棒は、前記ピストンヘッドに結合されている第1端、および前記トラックに結合されている第2端を有し、前記トラックは、前記シリンダに相対的に動かされるように適合されており、前記トラックが前記ピストンに相対的に運動するときに、前記ピストンが前記トラックの前記形状に従って前記軸に沿って往復運動で運動するように、形状形成されており、前記連接棒は、前記連接棒の変位を制御するように、前記トラックと噛合う少なくとも2つの従車と、前記連接棒に旋回可能に取り付けられている台車を介して、前記連接棒に取り付けられている少なくとも2つの従車と、を有するピストン配置を提供する。
【0031】
本発明の第3の態様は、本発明の前記第1の態様に係る第1および第2ピストン配置を備え、前記第1および第2ピストン配置はそれぞれ、共通シリンダ内部を運動可能な第1および第2ピストンヘッドを備え、前記第1および第2ピストンヘッドは、前記第1および第2ピストンヘッドの間に室が形成されるように、互いに対向している内燃エンジンを提供する。
【0032】
前記第1ピストン配置の前記トラックは、第1回転ディスクまたはドラムに設けられていてもよく、前記第2ピストン配置の前記トラックは、第2回転ディスクまたはドラムに設けられていてもよい。前記共通シリンダは、前記第1および第2回転ディスクまたはドラムの間に位置してもよい。好ましくは、前記共通シリンダは、共通回転軸に沿って離間している第1および第2ディスクの間に位置する。あるいは、前記共通シリンダは、前記第1および第2ピストン配置の一方の前記トラックが設けられる内側シャフトまたはドラムと、前記第1および第2ピストン配置の他方の前記トラックが設けられる中空外側ドラムと、の間に位置してもよく、前記中空外側ドラムは、前記内側シャフトまたはドラムと同軸に配置されていてもよい。前記内側ドラムは、中空であってもよく、前記中空内側ドラム内部には、エンジンの他の構成要素が収納されていてもよい。
【0033】
本発明の前記第3の態様に係る第1配置において、前記共通シリンダは、吸入ポートと、排出ポートと、着火プラグまたは燃料噴射器と、を備える。前記吸入および排出ポートは、前記共通シリンダの長手方向軸に沿って互いから離間していてもよく、前記着火プラグまたは燃料噴射器は、前記吸入ポートおよび前記排出ポートの間の中間位置に位置してもよい。
【0034】
前記第1配置の前記内燃エンジンは、a)前記室の前記容積が増大し、投入燃料が前記室内へ引き込まれるように、前記第1および第2ピストンヘッドは、前記吸入ポートの一方側および他方側(one on either side)に位置し、前記第2ピストンヘッドは、前記共通シリンダ軸に平行な第1方向に前記第1ピストンヘッドから離れるように運動する吸入段階と、b)それから、前記室の前記容積が減少し、前記投入燃料が圧縮されるように、前記第1ピストンヘッドは、前記第1方向に前記第2ピストンヘッドへ向かうように運動する圧縮段階と、c)それから、前記投入燃料は、燃え、前記第2ピストンヘッドは、前記第1方向に前記第1ヘッドから離れるように運動する動力段階と、d)それから、前記室の前記容積が減少し、燃えた前記投入燃料が前記室から前記排出ポートを介して除去されるように、前記第1および第2ピストンヘッドは、前記排出ポートの一方側および他方側に位置し、前記第1ピストンヘッドは、前記第1方向に前記第2ピストンヘッドへ向かうように運動する排出段階と、e)それから、次に来る当該周期の前記吸入段階に備えて、前記第1および第2ピストンヘッドは両方とも、前記第1方向に反平行な第2方向に前記吸入ポートへ戻るように運動する回復段階と、を含む運転周期に従って機能してもよい。
【0035】
前記運転周期は更に、水および/または水蒸気は、前記室内へ噴射され、仕事は、前記第1および/または第2ピストンヘッドによって、引出される水蒸気段階を含んでもよい。前記水蒸気段階は、前記動力段階の間および/または前記排出段階と前記回復段階との間に起きてもよい。
【0036】
本発明の前記第3の態様に係る第2配置において、前記共通シリンダは、吸入ポートと、前記共通シリンダの長手方向軸に沿って略同様の位置にある排出ポートと、を備える。前記吸入および排出ポートは、記シリンダ軸に沿う同様の高さにあれば、前記共通シリンダの対向する側に離間していてもよい。あるいは、前記吸入および排出ポートは、本発明の第8の態様に関連して説明されるように、弁によって運転される単一の複合吸排ポートを包含してもよい。
【0037】
前記第2配置の前記内燃エンジンは、a)前記共通シリンダの前記内腔内の吸入弁は開放されており、前記第1ピストンヘッドは、第1方向に前記第2ピストンヘッドから離れるように運動し、前記第2ピストンヘッドは、第2方向に前記第1ピストンヘッドから離れるように運動し、これにより、前記第1および第2ピストンの間に形成された前記室内へ投入燃料を引き込む吸入段階と、b)前記第1ピストンヘッドは、前記第2方向に前記第2ピストンヘッドへ向かうように運動し、前記第2ピストンヘッドは、前記第1方向に前記第1ピストンヘッドへ向かうように運動し、これにより、前記投入燃料を圧縮する圧縮段階と、c)前記第1ピストンヘッドは、前記第1方向に前記第2ピストンヘッドから離れるように運動し、前記第2ピストンヘッドは、前記第2方向に前記第1ピストンヘッドから離れるように運動し、これにより、仕事を引き出す動力段階と、d)排出段階:前記共通シリンダの前記内腔内の排出弁は開放されており、前記第1ピストンヘッドは、前記第2方向に前記第2ピストンヘッドへ向かうように運動し、前記第2ピストンヘッドは、前記第1方向に前記第1ピストンヘッドへ向かうように運動し、これにより、前記室から燃えた前記投入燃料を除去する排出段階と、を含む運転周期に従って機能してもよい。燃焼は、着火点火、圧縮点火、または均一投入燃料圧縮点火によって開始されてもよい。水蒸気段階は、前記動力段階の間、または前記排出段階の後の分離水蒸気動力行程の何れに含まれてもよい。
【0038】
前記第2配置の前記内燃エンジンは、a)前記共通シリンダの前記内腔内の吸入弁は開放されており、前記第1ピストンヘッドは、第1方向に前記第2ピストンヘッドから離れるように運動し、前記第2ピストンヘッドは、第2方向に前記第1ピストンヘッドから離れるように運動し、これにより、前記第1および第2ピストンの間に形成された前記室内へ投入燃料を引き込む吸入段階と、b)前記第1ピストンヘッドは、前記第2方向に前記第2ピストンヘッドへ向かうように運動し、前記第2ピストンヘッドは、前記第1方向に前記第1ピストンヘッドへ向かうように運動し、これにより、前記投入燃料を圧縮する圧縮段階と、c)前記第1ピストンヘッドは、前記第1方向に前記第2ピストンヘッドから離れるように運動し、前記第2ピストンヘッドは、前記第2方向に前記第1ピストンヘッドから離れるように運動し、これにより、仕事を引き出す動力段階と、d)排出段階:前記共通シリンダの前記内腔内の排出弁は開放されており、前記第1ピストンヘッドは、前記第2方向に前記第2ピストンヘッドへ向かうように運動し、前記第2ピストンヘッドは、前記第1方向に前記第1ピストンヘッドへ向かうように運動し、これにより、前記室から燃えた前記投入燃料を除去する排出段階と、を含む運転周期に従って機能してもよい。燃焼は、着火点火、圧縮点火、または
予混合圧縮着火によって開始されてもよい。水蒸気段階は、前記動力段階の間、または前記排出段階の後の分離水蒸気動力行程の何れに含まれてもよい。
【0039】
前記内燃エンジンが圧縮シリンダを含む場合、前記内燃エンジンは、a)前記移送弁は、開放されており、前記圧縮シリンダは、前記第1および第2ピストンヘッドの間に形成された前記共通シリンダ内の前記室内へ、与圧された投入燃料を移送するように運転される投入段階と、b)前記投入燃料は、燃え、前記第1ピストンヘッドは、第1方向に前記第2ピストンヘッドから離れるように運動し、仕事を引き出し、前記第2ピストンヘッドは、第2方向に前記第1ピストンヘッドから離れるように運動し、仕事を引き出す動力段階と、c)前記第1ピストンヘッドは、前記第2方向に前記第2ピストンヘッドへ向かうように運動し、前記第2ピストンヘッドは、前記第1方向に前記第1ピストンヘッドへ向かうように運動し、これにより、前記共通シリンダの内腔内に形成された排出弁を介しても得た前記投入燃料を除去する排出段階と、を含む運転周期に従って機能してもよい。前記投入燃料は、空気(もしも、エンジンが燃料噴射によって運転するならば)または燃料/空気混合物を包含してもよい。圧縮された前記投入燃料は、前記共通シリンダの前記内腔内に位置する着火プラグによって点火されても、あるいは圧縮によって点火されてもよい。圧縮点火は、前記移送弁が閉鎖されているときに、前記第1ピストンヘッドの前記第2ピストンヘッドに向かう運動によって得られても、前記第2ピストンヘッドの前記第1ピストンヘッドに向かう運動によって得られてもよい。前記移送弁は、流体が実質的に前記移送弁を介して前記共通シリンダ内外へ移動することができないように、前記弁が封止される閉鎖ポジションと、投入燃料が前記圧縮シリンダから前記共通シリンダ内へ移送されることができる吸入ポジションと、燃えた投入燃料が前記共通シリンダから排出流路へ移送されることができる排出段階と、を有する3ポジション弁であってもよい。
【0040】
本発明の第4の態様は、本発明の前記第1の態様に係る第1ピストン配置によって運転される燃焼シリンダと、本発明の前記第1の態様に係る第2ピストン配置によって運転される圧縮シリンダと、を備え、前記圧縮シリンダは、投入燃料を受容し、前記投入燃料を圧縮し、圧縮された前記導入燃料を前記燃焼シリンダへ供給するように、適合されている内燃エンジンを提供する。
【0041】
本発明の第4の態様は、本発明の前記第1の態様に係る第1ピストン配置によって運転される燃焼シリンダと、本発明の前記第1の態様に係る第2ピストン配置によって運転される圧縮シリンダと、を備え、前記圧縮シリンダは、投入燃料を受容し、前記投入燃料を圧縮し、圧縮された前記
投入燃料を前記燃焼シリンダへ供給するように、適合されている内燃エンジンを提供する。
【0042】
本発明の前記第4の態様の前記内燃エンジンは、a)前記移送弁は、開放されており、前記圧縮シリンダは、前記第1ピストン配置の前記ピストンヘッドが上死点ポジション近傍にある間、前記燃焼シリンダ内へ与圧された燃料を移送するように運転されている投入段階と、b)前記投入燃料は、燃え、前記第1ピストン配置の前記ピストンヘッドは、下死点ポジションに向かうように動かされ、仕事を引き出す動力段階と、c)前記第1ピストン配置の前記ピストンヘッドは、上死点ポジションに向かって運動し、これにより、前記燃焼シリンダから排出弁を介して燃えた前記投入燃料を除去する排出段階と、を含む運転周期に従って機能してもよい。
【0043】
前記運転周期は更に、水および/または水蒸気は、前記室内へ噴射され、仕事は、前記第1ピストン配置の前記ピストンヘッドによって、引出される水蒸気段階を含んでもよい。前記水蒸気段階は、前記動力段階の間および/または、前記排出段階と次に来る前記導入段階との間の追加水蒸気周期段階の間に起きてもよい。もしも、前記水蒸気段階が前記動力段階の間に起きるならば、前記水および/または水蒸気は、上死点から下死点への前記ピストン行程の途中で、前記燃焼シリンダ内へ噴射されてもよい。もしも、前記エンジンがHCCI点火を用いて運転するように適合されているならば、前記水および/または水蒸気は、前記燃料/空気混合物の自走点火の後、および前記燃料/空気混合物において前記燃料の大部分が燃えた後に、導入される。もしも、前記水蒸気段階が追加水蒸気周期段階の間に起きるならば、前記エンジンは、排出段階の間に燃えた前記導入燃料のほぼ全てを放出し、前記ピストンは、分離水蒸気動力段階において上死点から離れるように運動する。前記水蒸気段階において、前記水および/または水蒸気は、前記燃焼シリンダ内へ噴射され、気化および膨張し、これにより、前記ピストンヘッドに仕事をし、前記エンジンを冷却する。前記水蒸気動力段階に続いて、前記ピストンヘッドは、上死点へ戻るように運動し、これにより、前記水蒸気を前記燃焼シリンダから前記排出弁または分離水蒸気回収弁を通じて除去する。前記水蒸気は、回収され、再循環されてもよい。前記水蒸気動力段階の前記動力行程は、前記主動力段階の前記動力行程よりも短くて良い。これを実現するトラック形状は、異なる変位にある前記ピストンヘッドの2つの異なる下死点ポジションに対応する2つの異なる極小を有してもよい。
【0044】
前記運転周期は更に、水および/または水蒸気は、前記室内へ噴射され、仕事は、前記第1ピストン配置の前記ピストンヘッドによって、引出される水蒸気段階を含んでもよい。前記水蒸気段階は、前記動力段階の間および/または、前記排出段階と次に来る前記導入段階との間の追加水蒸気周期段階の間に起きてもよい。もしも、前記水蒸気段階が前記動力段階の間に起きるならば、前記水および/または水蒸気は、上死点から下死点への前記ピストン行程の途中で、前記燃焼シリンダ内へ噴射されてもよい。もしも、前記エンジンがHCCI点火を用いて運転するように適合されているならば、前記水および/または水蒸気は、前記燃料/空気混合物の自走点火の後、および前記燃料/空気混合物において前記燃料の大部分が燃えた後に、導入される。もしも、前記水蒸気段階が追加水蒸気周期段階の間に起きるならば、前記エンジンは、排出段階の間に燃えた前記
投入燃料のほぼ全てを放出し、前記ピストンは、分離水蒸気動力段階において上死点から離れるように運動する。前記水蒸気段階において、前記水および/または水蒸気は、前記燃焼シリンダ内へ噴射され、気化および膨張し、これにより、前記ピストンヘッドに仕事をし、前記エンジンを冷却する。前記水蒸気動力段階に続いて、前記ピストンヘッドは、上死点へ戻るように運動し、これにより、前記水蒸気を前記燃焼シリンダから前記排出弁または分離水蒸気回収弁を通じて除去する。前記水蒸気は、回収され、再循環されてもよい。前記水蒸気動力段階の前記動力行程は、前記主動力段階の前記動力行程よりも短くて良い。これを実現するトラック形状は、異なる変位にある前記ピストンヘッドの2つの異なる下死点ポジションに対応する2つの異なる極小を有してもよい。
【0045】
前記圧縮シリンダは、前記燃焼シリンダに流体的に連接されている移送シリンダによって前記燃焼シリンダに連接されていてもよく、移送ピストンは、前記圧縮ピストンを前記移送ピストンへ連接する移送ポートを閉じたり開いたりするように、前記移送シリンダの前記内腔内部を往復運動で運動可能であり、これにより、圧縮された燃料の前記燃焼シリンダ内への前記流れを制御してもよい。前記移送シリンダの内腔は、前記燃焼シリンダの頭部内へ開口してもよい。あるいは、前記移送ピストンは、前記燃焼シリンダの前記頭部または前記内腔内の開口で、前記燃焼シリンダに接続されるポートされた(ported)接続部を有してもよい。
【0046】
本発明の第5の態様は、均一投入燃料圧縮点火内燃エンジンであり、燃焼シリンダ、前記燃焼シリンダに流体的に連接されている圧縮点火シリンダ、および前記圧縮点火シリンダ内部を往復運動で運動可能な圧縮点火ピストンを備え、前記圧縮点火ピストンは、前記圧縮点火シリンダの最小容積に対応する上死点ポジションから前記圧縮点火シリンダの最大容量に対応する下死点ポジションの間を動かされると、前記圧縮シリンダ内部に圧力スパイクを生じるように適合されており、これにより、前記燃焼シリンダ内部で燃料/空気混合物の自動点火を引き起こす内燃エンジンを提供する。
【0047】
本発明の第5の態様は、
予混合圧縮着火内燃エンジンであり、燃焼シリンダ、前記燃焼シリンダに流体的に連接されている圧縮点火シリンダ、および前記圧縮点火シリンダ内部を往復運動で運動可能な圧縮点火ピストンを備え、前記圧縮点火ピストンは、前記圧縮点火シリンダの最小容積に対応する上死点ポジションから前記圧縮点火シリンダの最大容量に対応する下死点ポジションの間を動かされると、前記
燃焼シリンダ内部に圧力スパイクを生じるように適合されており、これにより、前記燃焼シリンダ内部で燃料/空気混合物の自動点火を引き起こす内燃エンジンを提供する。
【0048】
前記圧縮点火シリンダの内腔は、前記燃焼シリンダの頭部内に開口してもよい。あるいは、前記圧縮点火シリンダは、前記燃焼シリンダの前記内腔または頭部内に開口を有するポートによって、前記燃焼シリンダに流体的に連接されてもよい。前記圧縮点火ピストンは、本発明の前記第1の態様に係るトラックシステムによって運転されてもよく、あるいはカムおよび従車配置または他のどのようなタイプの作動装置によって運転されてもよい。前記圧縮点火ピストンを運転する前記カム面またはトラックは、回転ディスクまたはドラムに設けられてもよく、前記回転ディスクまたはドラムには、1つ以上の他のトラックおよび/またはカム面が、設けられて、エンジンの他の構成要素を駆動するために用いられてもよい。前記圧縮点火ピストンを運転する前記カム面またはトラックは、前記カム面またはトラックが取付けられる前記ディスまたはドラムに対して運動可能であってもよく、これにより、前記圧縮点火ピストンの前記タイミングを前記燃焼シリンダの前記ピストンに対して変更することができる。それ故、前記自動点火タイミングは、前記エンジンの操作中、前記運転状況および必要にしたがって
変更されてもよい。前記圧縮点火シリンダ配置は、本発明の他の前記態様の何れと併せて用いられてもよい。
【0049】
前記圧縮点火ピストンは、当該エンジンの
燃焼周期毎に少なくとも1回、その下死点ポジションからその上死点ポジションへ運動し、その下死点ポジションへ戻るように適合されていてもよい。
【0050】
本発明の第6の態様は、燃焼室、吸入システム、排出システム、ならびに、前記燃焼室にポートを介して流体的に連接され、更に前記吸入システムおよび前記排出システムに流体的に連接される三方弁を備え、前記三方弁の第1ポジションにおいて、流体は、前記燃焼シリンダ内外へ流れないように防止されており、前記三方弁の第2ポジションにおいて、吸入システムは、投入燃料が、前記三方弁を介して前記ポートを通じて前記燃焼室へ導入されることが可能なように、前記燃焼室に流体的に連接されており、前記三方弁の第3ポジションにおいて、吸入排出システムは、燃えた前記投入燃料が、前記三方弁を介して前記ポートを通って前記燃焼室から前記排出システムへ除去されることが可能なように、前記燃焼室に流体的に連接されている内燃エンジンを提供する。
【0051】
本発明の様々な態様は、単独で用いられても、互いに組み合わさって用いられてもよいと、当業者によって理解されるものである。異なる実施形態のそれぞれの実施例が図面に示され、詳細に説明されるが、しかし、他の組み合わせも可能であると当業者によって理解されるものである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
〔実施形態の詳細な説明〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る内燃エンジンの断面図を示す。エンジンは、燃焼シリンダ内部を往復する主ピストン2を有する燃焼シリンダ1と、圧縮シリンダ内部を往復する圧縮ピストン4を有する圧縮シリンダ3と、を備える。圧縮シリンダ3は、移送流路(duct)を開放したり閉鎖したりするための移送弁6によって運転される移送流路5によって、燃焼シリンダ1へ流体的に連接されている。
【0054】
エンジンは更に、HCCI圧縮点火シリンダ内部を往復するHCCI圧縮点火ピストンを有するHCCI圧縮点火シリンダ7を備える。HCCI圧縮点火シリンダ7は、圧縮シリンダ1の頭壁または上側壁内へ開口する開放端を有する。エンジンは更に、頭壁を通じて圧縮シリンダ内へ水および/または水蒸気を噴射するように適合された水および/または水蒸気噴射装置9と、排出(exhaust)弁によって運転される圧縮シリンダの内腔(bore)に形成された排出ポート10と、を備える。
【0055】
上述の構成要素およびシステムは全て、中央シャフト11および中空外側ドラム12の間に位置する。シャフト11およびドラム12は、連結壁11aによって互いに対して回転しないように固定(rotationally fix)されているが、しかし、エンジンの中央軸13の周りにエンジンシリンダに対して回転するように適合されている。エンジンは、中央軸13の周りの周囲に離間されて、シャフト11およびドラムの間に放射状に配置された同様のピストン配置を幾つ備えてもよい。明確さを高めるために、1つのみの配置が、図面および詳細な説明に、示される。
【0056】
主ピストン2は、固定されたスリーブ23内に滑動可能に受容されている連接棒14に連接されており、スリーブは、主ピストン2に対してほとんど回転しない圧縮シリンダ軸と一直線上の方向にのみ実質的に運動するように連接棒を拘束する。連接棒は、台車15へその反対端で結合されており、
図2により詳細に示されるように、台車は、台車の第1側面に車輪16a、16bとして働く第1対のベアリングと、台車の第2側面に車輪17a、17bとして働く第2対のベアリングと、を担持する。上側車輪16a、17aは、第1車軸18に取り付けられており、下側車輪16b、17bは、第2車軸19に取り付けられている。なお、用語上側および下側は、図解のためだけに用いられており、車輪の実際の空間的位置は、エンジンのポジションに応じて変化する。連接棒14は、第1シャフト18で台車15へ連接されており、台車は、連接棒に対して第1シャフト18の軸の周りに回転可能である。
【0057】
台車15およびその車輪16a、16b、17a、17bは、トラック20内に受容されており、トラックは、ドラム12の内側面に取り付けられており、連続閉鎖ルーブ状態でドラムの周囲の周りに伸びている。トラック20は、第1対の車輪16a、16bの間に伸びる突出部21を担持する第1アームと、第2対の車輪17a、17bの間に伸びる突出部22を担持する第2アームと、を含む。突出部21、22は、トラックが、回転トラックの働きによってトラックから離れるように伸びる方向にピストンを押すことができるように、かつ、ピストンが、トラックへ向かうように動く往復ピストンの働きによってトラックが回転するように、トラックを押すことができるように、上側車輪16a、17aと噛合う。同様に、突出部21、22は、トラックが、回転トラックの働きによってトラックへ向かうように伸びる方向にピストンを引くことができるように、かつ、ピストンが、トラックから離れるように動く往復ピストンの働きによってトラックが回転するように、トラックを押すことができるように、下側車輪16b、17bと噛合う。上側車輪は、下側車輪よりも大きな負荷を伝達する必要があり、このため、より大きくかつより強い。
【0058】
突出部のドラム12の内側面から離れるように伸びる方向の高さHは、トラック20の周囲の周りに変化しており、ドラムは回転することによって、圧縮シリンダ1に相対的にトラックを動かすので、主ピストン2は、トラックの変化する高さHに応じて前記圧縮シリンダ内部でその軸に沿って往復運動で、運動するようになる。トラック20の高さHは、主ピストン20が、トラックの回転角に対する単調和運動に追従しないように、ドラム12の回転角に対して非正弦波形状である。
【0059】
トラックの概略軌道は、
図3aおよび
図3bに示される。エンジン周期の異なる段階(phase)に対応するトラックの軌道の高さにおける変化をより明確に図解するために、トラックの寸法は誇張されており、その他の構成要素はこれらの図から省略されている。実際のトラックは、その内部最高点の内側に十分な余裕を残し、これによって、
図1に示されるようなピストン配置は、トラックの範囲内部に放射状に1つ以上配置されることが可能になる。
図3aは、エンジン軸13と一直線上の方向から見られたときに現れるであろうトラック20の形状を示し、
図3bは、トラック軌道をより明確に図解するために、トラックがその湾曲形状から巻を解かれたならば、トラックの形状がどのように現れるかを示す。トラックの形状の理由は、以下に説明されるエンジン運転周期の観点において明白になるであろう。
図3aに示されるトラックは、トラックの各完全循環(revolution)のための1回のエンジン周期に対応する連続軌道形状を有する。他の実施形態において、トラックは、トラックの各循環のための複数周期に対応する軌道形状を有してもよい。なお、車輪16a、16b、17a、17bは、回転台車に取り付けられているので、突出部は、トラックの周囲の周りに一定(または略一定)の厚さTを有してもよい。
【0060】
圧縮ピストン4は、連接棒24を介して第2トラック25へ結合されているおり、第2トラックも、ドラム12の内側面に設けられている。移送弁6、HCCI圧縮点火ピストン8および排出バルブは、それぞれの連接棒26、28、30を介して、シャフト11の外側面に設けられたそれぞれのトラック27、29、31へそれぞれ結合されている。圧縮ピストン4、移送弁6、HCCI圧縮点火ピストン8および排出弁の結合配置および駆動機構は、主ピストン2に関して説明したのとそれぞれ同様であり、このため、個々に詳細に図示および説明しない。
【0061】
HCCI圧縮点火ピストン配置のトラック27は、その他のトラック20、25、29、31に対するHCCI圧縮点火ピストントラックのポジションを変化させるための利用において、シャフト11を中心に回転されるように配置される。例えば、HCCI圧縮点火ピストン配置トラックは、エンジンの運転の第1期間の間、第1ポジションに静止保持(held stationary)されてよく、それから、その分だけHCCI圧縮点火ピストンの先行または遅延運転に必要な角度、中央軸12の周りに回転されて、運転の第2期間に、その新しいポジションに静止保持されてよい。これによって、HCCI圧縮点火ピストン8のタイミングは、点火タイミングがエンジンの運転状況におうじて変化できるように、他のピストンに比べて、変化可能になる。トラックの運動は、任意の適する作動システム(例えばラックアンドピニオンシステム)によって制御されてもよい。HCCI圧縮点火ピストンは以下に説明される。
【0062】
エンジンは、以下の運転周期に従って機能する。
a)投入段階:投入燃料(charge)は、圧縮シリンダ3から燃焼シリンダ1へ移送流路5を介して、主ピストン2が上死点すなわちTDCポジション近傍(at or near)にある間に、移送される(
図4a〜4b)。
b)動力段階:投入燃料は、燃え、主ピストン2は、下死点すなわちBDCポジションへ向かうように動かされ、仕事を引き出す(
図4b〜4c)。
c)排出段階:主ピストン2は、TDCポジションへ戻るように運動し、これによって、燃えた投入燃料を燃焼シリンダから排出ポート10を介して放出する(
図4c〜4d)。
d)二次水蒸気動力段階:水蒸気および/または水は、燃焼シリンダ内へ噴射装置9により噴射され、主ピストン1は、BDCポジションへ向かうように動かされ、仕事を引き出す(
図4d〜4e)。
e)水蒸気回復段階:主ピストン2は、TDCポジションへ戻るように運動し、これによって、膨張した水蒸気を燃焼シリンダから水蒸気噴出装置9へ戻るように放出し、水蒸気噴出装置は、水蒸気を次の水蒸気周期において用いるために再循環させる(
図4e〜4g)。
【0063】
エンジンは、以下の運転周期に従って機能する。
a)投入段階:投入燃料(charge)は、圧縮シリンダ3から燃焼シリンダ1へ移送流路5を介して、主ピストン2が上死点すなわちTDCポジション近傍(at or near)にある間に、移送される(
図4a〜4b)。
b)動力段階:投入燃料は、燃え、主ピストン2は、下死点すなわちBDCポジションへ向かうように動かされ、仕事を引き出す(
図4b〜4c)。
c)排出段階:主ピストン2は、TDCポジションへ戻るように運動し、これによって、燃えた投入燃料を燃焼シリンダから排出ポート10を介して放出する(
図4c〜4d)。
d)二次水蒸気動力段階:水蒸気および/または水は、燃焼シリンダ内へ噴射装置9により噴射され、主ピストン1は、BDCポジションへ向かうように動かされ、仕事を引き出す(
図4d〜4e)。
e)水蒸気回復段階:主ピストン2は、TDCポジションへ戻るように運動し、これによって、膨張した水蒸気を燃焼シリンダから水蒸気噴出装置9へ戻るように放出し、水蒸気噴出装置は、水蒸気を次の水蒸気周期において用いるために再循環させる(
図4e〜
4f)。
【0064】
燃焼シリンダ1の投入に続いて、移送弁6は閉鎖し、これにより、燃焼シリンダ1を封止(seal)し、HCCI圧縮点火ピストンは、BDCポジション(HCCI圧縮点火シリンダの最大容積に対応する圧縮シリンダに対する外側ポジション)からTDCポジション(HCCI圧縮点火シリンダの最小容積に対応する燃焼室へ更に向かう、または燃焼室内へ更に伸びる内側ポジション)へ運動し、これにより、燃焼室の全体的な容積を減少し、圧力の急速な増大を引き起こす。圧力の急速な増大は、均一燃料/空気混合物の自動点火を引き起こし、主ピストン2は、主ピストン2が仕事を引き出す動力行程におけるBDCポジションへ向かうように運動し(
図4b〜4c参照)、トラック20を介してドラム12を駆動し、これにより、動力段階においてシャフト11へ仕事を移送する。HCCI圧縮点火ピストン8は、ピーク圧力が生じたときに主ピストン2が既にBDCへ向かうように運動しているように、主ピストン2がそのTDCポジションから離れるように運動し始めた直後に、作動してもよい。トラック20は、ピストン速度が、シリンダ圧力が最高である行程の前半の間により早いように、動力行程の前半に渡ってより急勾配(steeper)である。燃料/空気混合物の自動点火の後の時点で(燃料が実質的に全部燃えたときに)、噴射装置9は、燃焼シリンダ1内へ水および/または水蒸気を噴射し、水および/または水蒸気は、気化および膨張し、これにより、エンジンを冷却し、主ピストン2に更なる仕事をし、その仕事は、主ピストンがBDCポジションに到達する(
図4c)までトラック20およびドラム12を介してシャフトへ移送される。動力段階の間に、圧縮ピストン4は、BDCポジションへ向かうように運動し、これにより、圧縮シリンダ3内へ新たな投入燃料を引き込む。
【0065】
動力段階の終わりに、主ピストン2がBDCに到達した(
図4c)後に、排出弁は排出ポートを開放し、トラックは排出段階におけるTDCへ戻るように主ピストンを押し、これにより、燃焼シリンダの燃えた燃料および空気および膨張した蒸気(vapour)を水蒸気段階から除去する(
図4c〜4d)。
【0066】
排出段階の終わりに、主ピストン2がTDC近傍にある(
図4d)ときに、排出弁は閉鎖し、水蒸気および/または水は、噴射装置9によって二度目に燃焼シリンダ内へ噴射される。再度、水蒸気および/または水は気化および膨張し、これにより、エンジンを冷却し、主ピストンに更なる仕事をし、主ピストンは、二次水蒸気動力段階におけるTDCから離れるように(
図4d〜4e)、第2BDCポジションへ向かうように運動する。二次水蒸気動力段階のために必要とされるピストン変位は、複合(combined)燃焼水蒸気動力(combustion and steam power)段階のために必要とされるよりも、少ないので、第2BDCポジションは、主動力段階の終わりに到達される第1BDCポジションとは異なる位置にある。異なるBDCポジションを可能にするトラック形状は、複合燃焼水蒸気動力段階の終わりのBDCポジションに対応する第1高さHである第1極小と、二次水蒸気動力段階の終わりの異なるBDCポジションに対応する第1と異なる第2高さHである第2極小と、を含む。二次水蒸気動力段階に続いて、それから、主ピストンは、水蒸気回復段階におけるTDC(
図4f)へ戻るように運動し、燃焼シリンダの膨張した蒸気を二次水蒸気動力段階から除去する。膨張した水蒸気は、噴射装置9によって(あるいは、分離水蒸気排出ポートを介して)回収され、故に、再循環および更なる水蒸気周期において用いられることができる。
【0067】
水蒸気回復段階に続いて、主ピストン2は、TDC近傍にあり、次のエンジン手記を始める用意ができており、続く投入段階を開始し、TDCから僅かに離れるように運動して、新たな圧縮された投入燃料のために燃焼シリンダ1内に空間を設ける。主ピストン2の動力段階、排出段階、二次水蒸気動力段階、おおび水蒸気回復段階の間、圧縮ピストン4は、BDCへ向かうように運動し続けて、吸込(inlet)ポートを介して圧縮シリンダ内へ投入燃料を引き込む。吸込弁は、BDCの辺りで閉鎖し、それから、圧縮ピストンは、そのTDCポジションへ戻るように運動し、これにより、投入燃料を圧縮する。トラック25のかなりの部分は、圧縮シリンダの吸入(intake)段階の間に圧縮シリンダ内へ、および投入段階の間に圧縮シリンダから燃焼シリンダ内へ、投入燃料をより完全に移送する時間を考慮に入れたBDCおよびTDCポジションに対応する低傾斜または0傾斜である。圧縮ピストン4は、主ピストン2が水蒸気回復段階を終える時の辺りに、TDCに接近し、故に、移送弁6は、続くエンジンサイクルの投入段階において燃焼シリンダ内へ圧縮された投入燃料を移送するために開放されてもよい。
【0068】
上述の実施形態において、エンジンは、専用HCCI圧縮点火ピストンを含むHCCI圧縮点火型エンジンである。別の実施形態において、エンジンは、この余分なピストンを含まなくてもよく、点火は、主ピストン2単独の働きによる圧縮によって、または、燃焼シリンダ1の頭部内に取り付けられた着火プラグによって、なされてもよい。主ピストン単独の働きによる圧縮によって、点火される場合、移送弁6が閉鎖された後に、TDCへ向かう急速に運動によって、投入燃料の点火を引き起こすために必要とされる圧力の決定的な増大を生じさせる前に、燃焼室1内へ投入燃料を移送可能にするために、TDCへ向かうその道程を減速させたり、休止させたり、その道程の方向を短時間逆転させさえしたり、してもよい。
【0069】
上述の実施形態において、
図2に示されるように、連接棒14は、台車の各側面に対の縦方向に間隔が開いた車輪を有する台車配置15によって、トラックに結合されている。別の実施形態において、
図5aに示されるように、車輪16a、16b、17a、17bは、心棒(spindle)で台車に結合されてもよく、連接棒14は、分離シャフトによって取り付けられてもよい。あるいは、車輪は、
図5bに示されるように、連接棒に直接取り付けられてもよい。この場合、トラックの傾斜が変化して、上側16a、17aおよび下側16b、17b車輪の間の距離を占めるので、トラック20の突出部21、22の厚さTは、トラックの長さに沿ってかなり変化するであろう。あるいは、車輪は、
図5cに示されるように、台車または連接棒の一側面のみに設けられてもよい。あるいは、台車または連接棒は、トラックの突出部をそれぞれ挟む縦方向に間隔が開いた対の車輪を含まず、むしろ、
図5dに示されるように、一輪の車輪が台車または連接棒の一側面または両側面に採用されてもよく、
図5eに示されるように、同軸車輪が台車または連接棒の一側面または両側面に採用されてもよい。
【0070】
上述の実施形態において、連接棒14は、実質的に燃焼シリンダの軸の方向に沿って並進運動するように、スリーブ23によって拘束されている。あるいは、または加えて、振りアームが、エンジン内の固定された点および連接棒14(例えば、台車15近傍)に旋回可能に取り付けられてもよい。連接棒の運動を拘束する助けになるのと同様に、振りアームは、トラックによって台車におよび側面負荷の一部または大部分またはほぼ全部に対処するように適合されてもよく、これにより、連接棒に伝達される負荷をかなり低減する。振りアームは、その長さに沿って給油路もそなえてもよく、給油路は、連接棒の遠心端および台車配置の周りに位置する種々のベアリングの表面へ、潤滑油を供給するために用いられてもよい。
【0071】
水蒸気段階は、燃焼シリンダ1を更に冷却する必要がない程十分に、エンジンを冷却してもよい。水蒸気段階は、必要に応じて、作動されても、無効とされてもよい、例えば、もしもエンジンが、水蒸気段階が適切に機能するために十分に高い温度で、動いていないならば、蒸気段階の一方または両方は無効とされてもよい。別の実施形態において、最初の水蒸気段階および/または二次水蒸気動力段階は、省略されてもよい。もしも二次水蒸気動力段階が省略されているならば、エンジンは、排出段階の完了に続く次の投入段階を始める用意ができているので、主ピストン2は、上述の4ピストン行程の代わりに、エンジン周期ごとに2ピストン行程のみを動作する。
【0072】
上述の実施形態において、移送弁6、HCCI圧縮点火ピストン8および排出弁は、主ピストン2および圧縮ピストン4に用いられているのと同様の連接棒およびトラック配置によって、全て作動されている。別の実施形態において、移送弁HCCI圧縮点火ピストン8および排出弁のうち1つ以上は、どのような弁またはピストンのための既知の別の作動システムによって、作動されてもよい。
【0073】
上述の実施形態において、エンジンは、圧縮シリンダ3を燃焼シリンダ1へ連接する移送流路内に移送弁6、および同様に分離排出ポートを含む。別の実施形態において、移送弁は、三方弁106(
図6a〜6c参照)によって置換されて、1個のポートが燃焼シリンダ101のための吸入ポートおよび排出ポート両方として働くことを可能にしてもよい。
図6aに示されるような弁106の第1ポジションにおいて、第1流路106aは、投入燃料が、三方弁を通って圧縮シリンダから燃焼シリンダ内へ渡されることができるように、燃焼シリンダ101の複合吸排(intake and exhaust)ポート105aおよび圧縮シリンダ103の移送流路105bと一直線上に揃えられている。
図6bに示されるような弁106の更なる第2ポジションにおいて、閉鎖部106bは、複合吸排ポートが、略封止されるように、燃焼シリンダ101の複合吸排ポート105aと一直線上に揃えられている。
図6cに示されるような弁106の更なる第3ポジションにおいて、第2流路106bは、燃えた投入燃料が、三方弁を通じて圧縮シリンダから排出システム内へ渡されることができるように、燃焼シリンダ101の複合吸排ポートと一直線上に揃えられており、排出システム110内へ開口する。
図6a〜6cに示される実施形態において、弁は、その3つのポジションの間を直線的に運動し、閉鎖ポジションは、吸入ポジションおよび排出ポジションの間に位置するが、しかし、他の実施形態において、弁は並進する代わりに回転してもよく、吸入、閉鎖および排出ポジションは、どのような順番であってもよい。この弁配置は、燃焼シリンダを運転するために必要なポートおよび弁の数を有利に低減し、専用燃焼シリンダを有さないが、三方弁がその第1ポジションにあるときに燃焼シリンダへ流体的に連接される従来の吸入システムを代わりに有するエンジン配置に、同等に適用されてもよい。なお、三方弁の配置は
図1に示されたエンジンへの使用に制限されず、一般的に、ピストンが吸気および排気ポート両方を有する必要があるどのようなピストンシステムに採用されてもよい。
【0074】
上述の実施形態において、圧縮シリンダ3は、移送弁6によって運転される移送流路5によって、燃焼シリンダ1へ連接されている。別の実施形態において、移送弁は、
図7aおよび
図7bに示されるような移送シリンダ配置によって置換されてもよい。移送シリンダ201の内腔は、燃焼シリンダ1の頭部内へ開口し、移送ポート202は、移送シリンダを圧縮シリンダ3へ流体的に連接する。移送ピストン203は、移送ポート202を開放したり閉鎖したりする移送シリンダ201の内腔内部の往復運動で運動可能であり、これにより、燃焼シリンダ内への圧縮された投入燃料の流を制御する。移送ピストン203は、
図7aに示されるような移送ポート202が封止されるTDCポジションと、
図7bに示されるような移送ポートが開放しているBDCポジションと、の間を運動する。移送ピストン203は、そのBDCポジションへ向かうように運動すると、移送ポートを露にし、これにより、圧縮された投入燃料は、圧縮シリンダ3から燃焼シリンダ1内へ流れることができて、投入段階が開始される。それから、移送ピストン203は、そのTDCポジションへ向かうように運動すると、投入段階の終わりに移送ポート202を覆い、これにより、燃焼シリンダはその動力段階および排出段階の間封止され、圧縮室3はその吸入および圧縮段階の間封止される。移送ピストンは、HCCI圧縮点火ピストンとして機能するように適合されて、そのTDCポジションへ向かうその運動の最終パートで、均一燃料/空気混合物の自動点火を起こす圧力スパイク(spike)を引き起こしてもよい。この場合、
図1に示されるような、分離HCCI圧縮点火シリンダ配置7を含まなくてよい。移送ピストン203は、主ピストン2に関して説明したのと同様の連接棒およびトラック機構によって作動されてもよく、あるいは、どのような他の既知のピストン動作配置によって作動されてもよい。
【0075】
図8および
図9a〜9fは、本発明の第2実施形態に係る内燃エンジン500の概略図を示す。エンジン500は、共通シリンダ501を備え、共通シリンダ501は、その内腔内に形成された吸入ポート502と、その内腔内に形成され、共通シリンダの長手方向軸に沿って吸入ポートから離間された排出ポート503と、吸入ポートおよび排出ポートの間の中間位置に設けられた着火プラグ504と、を有する。エンジン500は更に、共通シリンダ内部を往復運動で運動可能な第1ピストン505と、共通シリンダ内部を往復運動で同様に運動可能な、ピストン間に燃焼室が形成されるように第1ピストンに対向する第2ピストン506と、を備える。第1および第2ピストン505、506は両方とも、連接棒507、508を介して、回転ディスク511、512に設けられたトラック509、510に連接されている。ディスク511、512は、互いに対して回転しないように固定されており、エンジンの中央軸513の周りに共通シリンダ501に相対的に回転する。運転周期の以下の説明を参照して明白になるように、ディスク511、512の回転は、運転サイクルの一部の段階の間、ピストン505、506を駆動し、ディスク511、512は、その他の段階においてピストンの直線運動によって駆動される。第1および第2ピストンの連接棒およびトラック配置は、本発明の第1実施形態における主ピストン配置に関して既に説明したのと同様である、このため詳細に図示も説明もしない。トラック509、510の形状は、しかしながら、第1および第2ピストンのそれぞれに必要な異なるピストン変位プロフィルに起因して、第1実施形態における主ピストンに用いられたトラック20の形状と、かなり異なる。
【0076】
第2実施形態のエンジン500は、以下の運転周期に従って機能する。
a)吸入段階:室の容積が増大し、投入燃料が室内へ引き込まれるように、第1および第2ピストン505、506は、吸入ポート502の別々の側(alternate sides)に位置し、第2ピストン506は、共通シリンダ軸に平行な第1方向に第1ピストン505から離れるように運動する(
図9a〜9b)。
b)圧縮段階:それから、室の容積が減少し、投入燃料が圧縮されるように、第1ピストン505は、第1方向に第2ピストン506へ向かうように運動する(
図9b〜
図9c)
c)動力段階:それから、投入燃料は、着火部ラグ504による点火に続いて燃え、第2ピストン506は、第1方向に第1ピストン505から離れるように運動し、仕事を引き出す(
図9c〜9d)。
d)排出段階:それから、室の容積が減少し、燃えた投入燃料が室から排出ポートを介して除去されるように、第1および第2ピストン505、506は、排出ポート504の別々の側に位置し、第1ピストン505は、第1方向に第2ピストンへ向かうように運動する(
図9d〜9e)。
e)回復段階:それから、次に来る周期の吸入段階に備えて、第1および第2ピストン505、506は両方とも、第1方向に反平行な第2方向に吸入ポート502へ戻るように運動する(
図9e〜9f)。
【0077】
上述の連接棒およびトラック動力移行機構を用いることによって、第1および第2ピストン505,506は、(クランクシャフトおよび連接棒機構のような従来の動力移送機構では不可能な)独特の変位プロフィルに追従することが可能になり、これにより、上述の運転周期が可能になった。この場合、第1ピストン505は、周期の始めおよび吸入段階の間BDCの周りで遅かったり、静止していたりし、圧縮段階の間第1方向に運動し、動力段階の間かなり遅く(または休止したり、第2方向に僅かに運動したりさえし)、排出段階において第1方向に運動し、それから、回復段階において第2方向に運動する。第1ピストンは動力段階の間に、圧縮段階および排出段階よりも、遅く運動し、故に、ピストン速度を、圧縮および動力段階の間のその速度と比較して、低減する期間を経る。
【0078】
上述の連接棒およびトラック動力
伝達機構を用いることによって、第1および第2ピストン505,506は、(クランクシャフトおよび連接棒機構のような従来の動力
伝達機構では不可能な)独特の変位プロフィルに追従することが可能になり、これにより、上述の運転周期が可能になった。この場合、第1ピストン505は、周期の始めおよび吸入段階の間BDCの周りで遅かったり、静止していたりし、圧縮段階の間第1方向に運動し、動力段階の間かなり遅く(または休止したり、第2方向に僅かに運動したりさえし)、排出段階において第1方向に運動し、それから、回復段階において第2方向に運動する。第1ピストンは動力段階の間に、圧縮段階および排出段階よりも、遅く運動し、故に、ピストン速度を、圧縮および動力段階の間のその速度と比較して、低減する期間を経る。
【0079】
別の実施形態において、エンジン500は、着火プラグおよび直接噴射を使う機能の代わりに燃料噴射器を備えてもよい。さらに別の実施形態、エンジン500は、HCCI圧縮点火型エンジンであってもよく、燃料および空気が良く混合された均一投入燃料の自動点火は、第2ピストン506へ向かう第1ピストン505の運動および/または第1ピストンへ向かう第2ピストンの運動によって、引き起こされることができる。
【0080】
図10および
図11a〜11eは、本発明の第3実施形態に係る内燃エンジン600の概略図を示す。エンジン600は、共通シリンダ601を備え、共通シリンダ601は、その内腔内に形成された吸入ポート602と、その内腔内に共通シリンダの長手方向軸に沿って略同様の位置に形成された排出ポート603と、共通シリンダの長手方向軸に沿って略同様の位置に同様に設けられた着火プラグ604と、を有する。
エンジン600は更に、共通シリンダ内部を往復運動で運動可能な第1ピストン605と、共通シリンダ内部を往復運動で同様に運動可能な、ピストン間に燃焼室が形成されるように第1ピストンに対向する第2ピストン606と、を備える。第1および第2ピストン605、606は両方とも、連接棒607、608を介して、回転ディスク611、612に設けられたトラック609、610に連接されている。ディスク611、612は、互いに対して回転しないように固定されており、エンジンの中央軸613の周りに共通シリンダ601に相対的に回転する。運転周期の以下の説明を参照して明白になるように、ディスク611、612の回転は、運転サイクルの一部の段階の間、ピストン605、606を駆動し、ディスク611、612は、その他の段階においてピストンの直線運動によって駆動される。第1および第2ピストンの連接棒およびトラック配置は、本発明の第1実施形態における主ピストン配置に関して既に説明したのと同様である、このため詳細に図示も説明もしない。トラック609、610の形状は、しかしながら、第1および第2ピストンのそれぞれに必要な異なるピストン変位プロフィルに起因して、第1実施形態における主ピストンに用いられたトラック20の形状と、かなり異なる。
【0081】
第2実施形態のエンジン600は、以下の運転周期に従って機能する。
a)吸入段階:吸入弁602は開放されており、第1ピストン605は、第1方向に第2ピストン606から離れるように運動し、第2ピストン606は、第2方向に第1ピストン605から離れるように運動し、これにより、第1および第2ピストンの間に形成された室内へ投入燃料を引き込む(
図11a〜11b)。
b)圧縮段階:第1ピストン605は、第2方向に第2ピストン606へ向かうように運動し、第2ピストン606は、第1方向に第1ピストン605へ向かうように運動し、これにより、投入燃料を圧縮する(
図11b〜
図11c)。
c)動力段階:第1ピストン605は、第1方向に第2ピストン606から離れるように運動し、第2ピストン606は、第2方向に第1ピストン605から離れるように運動し、これにより、仕事を引き出す(
図11c〜11d)。
d)排出段階:排出弁603は開放されており、第1ピストン605は、第2方向に第2ピストン606へ向かうように運動し、第2ピストン606は、第1方向に第1ピストン605へ向かうように運動し、これにより、室から燃えた投入燃料を除去する(
図11d〜11e)。
【0082】
吸入段階の終わりに第1および第2ピストン605、606が到達するBDCボジション(
図11b)は、動力段階の終わりに到達するBDCボジション(
図11d)と同じ位置であっても、異なる位置であってもよい。圧縮段階の終わりに第1および第2ピストン605、606が到達するTDCボジション(
図11c)は、排出段階の終わりに到達するTDCボジション(
図11e)と同じ位置であっても、異なる位置であってもよい。
【0083】
燃焼は、着火プラグ604によって、開始される。別の実施形態において、エンジンは、圧縮点火エンジンまたはHCCI圧縮点火エンジンであってもよい。この場合、点火は、第2ピストン606へ向かう第1ピストン605の運動および/または第1ピストンへ向かう第2ピストンの運動によって、得ることができる。
【0084】
別の実施形態において、吸入および排出ポートは、
図6a〜6cに示されるような三方弁によって運転される複合吸排ポートに置換されてもよい。別の実施形態において、共通シリンダは、上述の他の実施形態と同様に、圧縮シリンダによって提供される圧縮された吸入空気を供給されることができる。もしも、圧縮シリンダがそう含まれるならば、吸入および圧縮段階は、圧縮された投入燃料が圧縮シリンダから共通シリンダ内へ移送される単一投入段階に、除外および置換されてもよい。投入段階は、圧縮された投入燃料の移送を補助するために、第1および第2ピストン605、606の互いから離れる僅かな運動を伴ってもよい。それから、圧縮された変化は、着火プラグ、あるいは、圧縮点火を引き起こすような互いへ向かうピストンの運動、または、HCCI実施形態における自動点火によって、点火されてもよい。
【0085】
水蒸気段階は、動力段階の間、または排出段階の後の分離水蒸気動力行程のどちらかに含まれる。
【0086】
上述のエンジンは何れも、可変長連接棒を有するように変形されてもよい。可変長連接棒は、エンジンの運転中ピストンの変位プロフィルを、例えば圧縮比を変化させるために、シリンダ頭部へ向かうようにまたはシリンダ頭部から離れるように、変遷させることができるように適合されてもよい。
【0087】
図12aが示す第1配置において、ピストンヘッド701は、可変長連接棒703によってトラック702に結合されている。可変長連接棒703は、ピストンヘッドに結合されたピストン取付け節704と、従車(follower)705aを介してトラックに結合されたトラック追従節705と、ピストン取付け節およびトラック追従節にそれぞれ連接されたネジ連接部707、708を有する中間節706と、を備える。ピストン取付け節704およびトラック追従節705がそれぞれ備える隆起部709および710は、ピストン取付け節およびトラック追従節が連接棒軸711の周りに回転しないように防止するエンジン内のポジション制御溝内部に、滑動可能に受容されている。中間節706が有する隆起部712は、回転可能な胴体内に設けられたポジション制御溝内部に、滑動可能に受容されている。回転可能な胴体は、(例えば電気モータを用いて、)連接棒軸711について回転可能であってもよく、これにより、中間節を回転させる。中間節が第1方向に回転されているとき、ネジ連接部707、708は、ピストン取付け節704およびトラック追従節705を互いから離れるように動かし、これにより、連接棒703を長くする。中間節が第1方向の反対の第2方向に回転されているとき、ネジ連接部707、708は、ピストン取付け節704およびトラック追従節705を互いへ向かうように動かし、これにより、連接棒703を短くする。
【0088】
図12bが示す第2配置において、ピストンヘッド801は、可変長連接棒803によってトラック802に結合されている。可変長連接棒803は、ピストンヘッドに結合されたピストン取付け節804と、従車805aを介してトラックに結合されたトラック追従節805と、を備える。ピストン取付け節804は、トラック追従節805に連接されたネジ連接部807を有する。トラック追従節805が備える隆起具810は、トラック追従節が連接棒軸811の周りに回転しないように防止するエンジン内のポジション制御溝内部に、滑動可能に受容されている。ピストンヘッドは、隆起部809を伴う伸ばされたスカートを有し、隆起部809は、ポジション制御溝内部に滑動可能に受容されており、ポジション制御溝は、シリンダの固定された内腔よりも下に取り付けられた回転可能な胴体821内に設けられている。回転可能な胴体は、連接棒軸811について回転されて、トラック追従節805に相対的にピストン取付け節804を回転させてもよく、これにより、所望に応じて連接棒803を長くしたり短くしたりする。
【0089】
本発明を、好ましい実施形態を参照して上述したが、請求項に規定される本発明の範囲から逸脱しない範囲で、種々の変化および変更が可能である。