(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つのファスナが、前記内部チャネルの断面の前記平坦部と相互作用して前記ドライブシャフトの前記内部チャネルの前記少なくとも1つのファスナの向きを維持する少なくとも1つの表面を含む、請求項2に記載の手術器具。
前記少なくとも1つのファスナドライバは、前記ドライブシャフトが基端側方向に移動させられる時に、ファスナ留置位置に配置されたファスナの周り及び当該ファスナを越えて変形する、請求項6又は7に記載の手術器具。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
[0003]一実施形態において、手術器具は、ハンドルと、ハンドルから先端側に延出する長尺状シャフトアセンブリと、を含む。手術器具は、また、長尺状シャフトアセンブリ内に配置されたドライブシャフトを含むファスナ留置システムを含む。ドライブシャフトは、ドライブシャフトの内部チャネルを少なくとも部分的に画定する少なくとも1つの案内面を含む。少なくとも1つの案内面はドライブシャフトのチャネル内における少なくとも1つのファスナの向きを維持するような形状にされ且つそのように配置されている。
【0004】
[0004]別の実施形態においては、手術器具を操作する方法は、ハンドルと、ハンドルから先端側に延出する長尺状シャフトアセンブリと、長尺状シャフトアセンブリ内に配置されたドライブシャフトを含む長尺状シャフトアセンブリからファスナを留置するためのファスナ留置システムであって、ドライブシャフトが内部チャネルを含む、ファスナ留置システムと、ドライブシャフトの内部チャネル内に配置された少なくとも1つのファスナと、を含む、手術器具を用意するステップと、ドライブシャフトを移動し、第2のファスナを長尺状シャフトアセンブリから留置するためにファスナ留置システムを作動するステップと、第2のファスナを留置するために、ファスナ留置システムの作動中、ドライブシャフトに対し少なくとも1つのファスナの向きを維持するステップと、を含む。
【0005】
[0005]更に別の実施形態においては、手術器具は、ハンドルと、ハンドルから先端側に延出する長尺状シャフトアセンブリと、を含む。手術器具は、また、長尺状シャフトアセンブリ内に配置されたドライブシャフトを含む長尺状シャフトアセンブリからファスナを留置するためのファスナ留置システムを含む。ドライブシャフトは、少なくとも1つのファスナを含むように適合され且つ配置された内部チャネルを含む。また、ドライブシャフトの先端側に位置する部分内のチャネルの断面は平坦部及び丸み部を含む。
【0006】
[0006]別の実施形態においては、手術器具は、ハンドルと、ハンドルから先端側に延出する長尺状シャフトアセンブリと、を含む。手術器具は、また、長尺状シャフトアセンブリからファスナを留置するためのファスナ留置システムと、長尺状シャフトアセンブリ内に配置され且つ長尺状シャフトアセンブリ内に配置された1つ又は複数のファスナと対応付けられたフォロアと、を含む。ファスナ留置システムの作動によりフォロアが第1の長さから第2の長さへと圧縮し、1つ又は複数のファスナに対し先端側誘導力を印加し、ファスナを先端側方向に移動させる。1つ又は複数のファスナの移動中、フォロアは第2の長さから第1の長さへと伸張する。
【0007】
[0007]更に別の実施形態においては、手術器具は、ハンドル、ハンドルから先端側に延出する長尺状シャフトアセンブリを含む。手術器具は、また、長尺状シャフトアセンブリからファスナを留置するためのファスナ留置システムを含む。ファスナ留置システムは、長尺状シャフトアセンブリ内に配置されたドライブシャフトと、長尺状シャフトアセンブリ内に配置され、且つドライブシャフトに対応付けられたフォロアと、を含む。ドライブシャフトの先端側への移動により、長尺状シャフトアセンブリからファスナが留置し、フォロアが先端側方向に移動し、長尺状シャフトアセンブリ内に配置された1つ又は複数のファスナが先端側方向へと移動する。留置されたファスナにドライブシャフトによって印加される力は1つ又は複数のファスナにフォロアによって印加される力よりも大きい。
【0008】
[0008]別の実施形態においては、手術器具は、ハンドルと、ハンドルから先端側に延出する長尺状シャフトアセンブリと、を含む。手術器具は、また、長尺状シャフトアセンブリからファスナを留置するためのファスナ留置システムと、長尺状シャフトアセンブリ内に配置された、長尺状シャフトアセンブリ内の1つ又は複数のファスナを先端側方向へと移動させるためのフォロアと、を含む。フォロアは、ファスナ留置システムの作動前に1つ又は複数のファスナに第1の力を印加し、ファスナ留置システムの作動により1つ又は複数のファスナが先端側方向へと移動を開始した後に1つ又は複数のファスナに第2の力を印加する。長尺状シャフトアセンブリは、1つ又は複数のファスナに第1の拘束力及び第2の拘束力を印加するように構成されている。第1の力は第1の拘束力よりも小さい。更に、第2の力は第1の拘束力よりも大きく、第2の拘束力よりも小さい。
【0009】
[0009]更に別の実施形態においては、手術器具は、ハンドルと、ハンドルから先端側に延出する長尺状シャフトアセンブリと、を含む。第1の拘束要素及び第2の拘束要素は長尺状シャフトアセンブリと対応付けられている。第2の拘束要素は第1の拘束要素から先端側に配置されている。第1の拘束要素及び第2の拘束要素はファスナ留置位置を画定する。手術器具は、また、長尺状シャフトアセンブリからファスナを留置するためのファスナ留置システムを含む。ファスナ留置システムは、ファスナ留置位置に配置されたファスナに留置力を印加するように適合され且つ配置されたドライブシャフトを含む。
【0010】
[0010]別の実施形態においては、手術器具を操作する方法は、ハンドルと、ハンドルから先端側に延出する長尺状シャフトアセンブリと、長尺状シャフトアセンブリからファスナを留置するためのファスナ留置システムと、長尺状シャフトアセンブリ内に配置され、長尺状シャフトアセンブリ内に配置された1つ又は複数のファスナと対応付けられたフォロアと、を用意するステップと、長尺状シャフトアセンブリからファスナを留置するためにファスナ留置システムを作動するステップと、フォロアを先端側に移動してフォロアを第1の長さから第2の長さへと圧縮し、1つ又は複数のファスナに対し先端側誘導力を印加し、1つ又は複数のファスナを先端側方向に移動させるステップと、を含み、1つ又は複数のファスナの移動中、フォロアは第2の長さから第1の長さへと伸張する。
【0011】
[0011]更に別の実施形態においては、手術器具は、ハンドルと、ハンドルから先端側に延出する長尺状シャフトアセンブリと、を含む。手術器具は、また、長尺状シャフトアセンブリからファスナを留置するためのファスナ留置システムを含む。ファスナ留置システムはドライブシャフトを含む。フォロアは、ファスナのスタックを移動するように構成されており、ドライブシャフト内に配置されている。フォロア及びドライブシャフトは、ファスナ留置システムの各作動サイクル中にフォロアを先端側方向へと順次移動させるためのウォーキングビームアセンブリを形成する。
【0012】
[0012]別の実施形態においては、手術器具は、ハンドルと、ハンドルから先端側に延出する長尺状シャフトアセンブリと、を含む。手術器具は、また、長尺状シャフトアセンブリからファスナを留置するためのファスナ留置システムを含む。ファスナ留置システムはドライブシャフトを含む。後退防止要素は、ファスナ留置システムの作動によりドライブシャフトが先端側に移動し、各作動サイクル中、ドライブシャフトの先端側への動きにより後退防止要素が予め選択した長さまで伸長するように、ドライブシャフトに対応付けられている。
【0013】
[0013]本開示はこの点において限定されないため、前述の概念及び以下に記載する更なる概念は任意の適切な組み合わせにおいて調整してもよいことを認識すべきである。本教示の前述及びその他の態様、実施形態及び特徴については添付の図面とともに以下の説明からより詳細に理解されうる。
【0014】
図面の簡単な説明
[0014]添付の図面は一定の縮尺で描かれることを意図していない。図面では、種々の図に示される各同一の又はほぼ同一の構成要素は同様の符号によって示される場合がある。明確化のため、各図面における全ての構成要素に符号が付されるわけではない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
[0039]本発明者らは、作動中におけるファスナのスタックへの過度の力の印加及び隣接するファスナ間の回転などの相対運動がファスナ留置の妨げになりうることを認識した。
【0017】
[0040]上記に鑑み、本発明者らは、ファスナのスタックに対し制御された力を付与し、ファスナ留置を容易にすることに関する利点を認めた。更に、いくつかの実施形態では、この力は先端側ファスナ留置位置に配置されたファスナに印加されるおおよその作動力よりも小さくてもよい。本発明者らは、また、ファスナのスタック内における個々のファスナの向きを維持すること、及び最先端側ファスナをファスナ留置位置に保持することに関するいくつかの利点を認めた。上記利点は、また、ファスナ留置の一貫性及び手術器具操作の向上につながる場合がある。
【0018】
[0041]一実施形態において、手術器具は、ハンドルと、ハンドルから先端側に延出する長尺状シャフトアセンブリと、を含んでもよい。長尺状シャフトアセンブリは、先端側に位置するファスナ留置位置を含んでもよく、ファスナはそこから留置されてもよい。手術器具は、また、ファスナを長尺状シャフトアセンブリの先端部のファスナ留置位置から出して留置するためのファスナ留置システムを含んでもよい。ファスナ留置システムは任意の数の方法で具現化されてもよい。更に、いくつかの実施形態では、ファスナ留置システムは、マガジン又は複数のファスナを収容するための他の適切な構造体を含んでもよい。特定の実施形態によっては、複数のファスナは入れ子状のファスナのスタックとして配置されてもよいが、他の配置構成もまた想定される。ファスナ留置システムは、また、ファスナ留置システムの作動サイクル中、1つ又は複数のファスナをファスナ留置位置に向かって移動するようにファスナのスタックに対応付けられたフォロア又は他の適切な構成要素を含んでもよい。
【0019】
[0042]ファスナの留置に加え、ファスナ留置システムの作動により、フォロアの先端側への移動も生じ、ファスナのスタックがファスナ留置位置に向かって先端側に移動し、次の最先端側ファスナがファスナ留置位置に配置してもよい。ファスナ留置システムはフォロアを任意の適切な方法で移動してもよい。例えば、一実施形態においては、ドライブシャフトの先端側への移動によりフォロアが先端側に移動するようにフォロアはファスナ留置システムのドライブシャフトと対応付けられてもよい。フォロアの後方への動きもまた、フォロアに対応付けられた適切な後退防止要素の使用により防止されてもよい。フォロアが移動する特定の方法にかかわらず、フォロアは、移動中、制御された力をファスナのスタックに付与するように配置及び構成されてもよい。ファスナのスタックに印加される力は任意の適切な力であってもよく、一実施形態においては、ファスナをファスナ留置位置から留置するために印加される作動力よりも小さくてもよい。
【0020】
[0043]特定の実施形態においては、フォロアは、ファスナ留置システムの後の作動サイクル中にファスナのスタックに同様の力を印加するような任意の適切な方法で作製してもよい。例えば、フォロアは従動要素を含んでもよく、従動要素はファスナ留置システムの作動により従動要素が先端側に移動するようにファスナ留置システムに対応付けられている。従動要素は、また、押込要素に対応付けられた圧縮可能な弾性要素に対応付けられてもよい。弾性要素は、従動要素の移動時に押込要素に対し制御された力を付与するように適合され且つ配置されてもよい。弾性要素は、コイルばね、円すいコイルばね、空気ばね、圧縮可能な材料(例えばゴム)から作製された適切な形状の構成要素、又は圧縮された際にファスナのスタックに力を印加することが可能な任意の他の適切な形状及びサイズの圧縮可能な構成要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ファスナのスタックに対し制御可能な力を付与することに加え、弾性要素は、フォロアがファスナのスタックに力をなお印加しつつも長尺状シャフトアセンブリの関節動作可能部分を通過することを可能にするほど十分に可撓性を付与してもよい。そのような一実施形態においては、従動要素、弾性要素及び押込要素は、また、直線構成及び関節構成の両方において長尺状シャフトアセンブリを通過するようなサイズ及び形状にしてもよい。
【0021】
[0044]本明細書中に記載される実施形態は互いに物理的に対応付けられた別個の構成要素としての従動要素、弾性要素及び押込要素を意味し且つ示すが、本開示は別個の構成要素の使用に限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、従動要素、弾性要素及び押込要素は一体構成要素の一部として提供してもよい。
【0022】
[0045]いくつかの実施形態では、フォロアは、後の作動サイクル中にファスナのスタックに対し同様の力を付与するように構成してもよい。これは任意の数の方法で実現してもよいが、一実施形態においては、フォロアは以下の方法で操作してもよい。ファスナ留置システムの作動時、従動要素は先端側に移動してもよい。従動要素の先端側への移動により、弾性要素を第1の長さから圧縮された第2の長さへと圧縮してもよい。弾性要素の圧縮後、弾性要素は圧縮された第2の長さから元の第1の長さへと伸張してもよい。弾性要素が第2の長さへと伸張するにつれて、ファスナは長尺状シャフトアセンブリに沿ってファスナ留置位置に向かい先端側に移動してもよい。いくつかの実施形態では、第1の長さと第2の長さとの間の差は1つのファスナの長さに相当してもよい。弾性要素が第1の長さに相当する伸張状態にある場合、弾性要素は押込要素及びファスナのスタックに対し第1の力を印加してもよい。その後、弾性要素が第2の長さに相当する圧縮状態にある場合、弾性要素は押込要素及びファスナのスタックに対し第2の力を印加してもよい。圧縮された弾性要素において予想されるように、第2の力は第1の力よりも大きい。いくつかの実施形態では、第1の力はほぼゼロであってもよい。しかしながら、他の実施形態においては、作動サイクル全体にわたりファスナのスタックに先端側への付勢を付与し、ファスナのスタックの後方への動きを防止することが望ましい場合がある。そのような一実施形態においては、第1の力はゼロよりも大きくてもよく、この力は、ファスナ留置システムの作動前における弾性要素の初期圧縮に相当する。
【0023】
[0046]フォロアによって印加される力が予め選択した閾値力を超えるまでファスナの先端側への動きを防止するため、フォロアによりファスナのスタックに印加される力に加え、スタックファスナに対し拘束力も印加してよい。例えば、第1の拘束力はファスナ留置システムの作動前及び作動中にファスナのスタックに印加してもよい。第1の拘束力はフォロアによりファスナのスタックに印加された第1の力に抗するためにファスナのスタックに印加してもよい。したがって、ファスナ留置システムの作動前、ファスナのスタックは長尺状シャフトアセンブリ内において静止したままであってもよい。しかしながら、作動中、弾性要素は、上に示したようにファスナのスタックに対しより大きな力を印加するために第2の圧縮長さまで圧縮されてもよい。印加される力(例えば第2の力)が第1の拘束力よりも大きくなると、ファスナのスタックはフォロアによって先端側に移動し、次のファスナをファスナ留置位置に配置してもよい。その後、その作動サイクル中におけるファスナのスタックの更なる先端側への動きを拘束するため、第2の拘束力を印加してもよい。
【0024】
[0047]記載した拘束力はいずれも、1つ又は複数の拘束要素によって付与してもよい。更に、拘束要素は任意の数の方法で具現化してもよい。例えば、拘束要素は、長尺状シャフトアセンブリに対し内方向及び先端側に延出する1つ又は複数のタブと、移動止め機構と、他の適切な特徴と、を含んでもよい。更に、拘束要素は長尺状シャフトアセンブリと一体形成してもよく、あるいは、拘束要素は別個に形成し、その後、溶接、はんだ付け、接着剤、機械的なカップリング、ファスナ及びしまり嵌めを含むがこれらに限定されない任意の適切な方法を用いて長尺状シャフトアセンブリに組み付けてもよい。
【0025】
[0048]いくつかの実施形態では、ファスナのスタックに対し拘束力を付与することに加え、拘束要素は、また、ファスナ留置位置を画定するために用いてもよい。例えば、ファスナ留置位置を画定するためにファスナの頭部又は他の適切な特徴を第1の拘束要素と第2の拘束要素との間に保持してもよい。
【0026】
[0049]上に示したようにファスナのスタックに印加される力を制御するためにフォロアを設けることに加え、ファスナのスタックがフォロアによりファスナ留置位置に向かって移動する際の長尺状シャフトアセンブリ内におけるファスナの向きを維持するための機構を提供することが望ましい場合がある。一実施形態においては、案内面は、ファスナの少なくとも一部の対応する表面と相互作用し、長尺状シャフトアセンブリ内を移動する際のファスナの向きを維持するようなサイズ及び形状にしてもよい。場合によっては、ファスナの対応する表面は、形状及びサイズの両方において案内面に相補的となるような形状であってもよい。案内面は、長尺状シャフトアセンブリの任意の適切な構成要素、又は長尺状シャフトアセンブリ内に配置され、長尺状シャフトアセンブリ内を移動する際にファスナと相互作用する構成要素に配置してもよい。更に、本開示は案内面の位置及び範囲に関して限定されないため、案内面はこの構成要素の先端側部分、ファスナのスタックに対応するこの構成要素の一部分、又はこの構成要素の全長に沿って延在してもよい。
【0027】
[0050]案内面及びファスナ上の対応する表面はファスナの向きを維持することが可能な適切な形状及び/又は特徴の任意の組み合わせを含んでもよいことは理解すべきである。例えば、当業者には明らかなように、案内面及びファスナの対応する表面は、対応する平坦面、突起物及び対応する溝、並びに他の相補的な配置構成を含んでもよい。
【0028】
[0051]1つの特定の実施形態においては、ファスナは、基端側方向及び先端側方向に往復運動する往復動ドライブシャフトの内部チャネル内に配置してもよい。更に、案内面はチャネルの内部表面に組み込んでもよい。そのような一実施形態においては、案内面は往復動ドライブシャフト内におけるファスナの向きを維持するためにファスナの対応する表面と相互作用してもよい。ファスナ留置システムの作動中、ドライブシャフトは、基端側方向に移動して次の作動サイクルに備える前に先端側方向に移動し、ファスナを留置してもよい。このドライブシャフトの往復運動中、ドライブシャフトはファスナのスタックに対し移動してもよい。更に、ファスナの留置中又は留置後、ファスナのスタックは任意の適切な付勢要素を用いてドライブシャフトの先端部に向かって移動し、次の最先端側ファスナをファスナ留置位置に配置してもよい。例えば、ファスナのスタックは本明細書中に記載されるフォロアを用いて移動してもよい。スタックファスナがファスナ留置位置に向かって移動する際、及びドライブシャフトがその中に配置されたファスナのスタックに対し移動する際、案内面は、互いに及びドライブシャフトに対し予め選択した向きにファスナを維持してもよい。前述のように、互いに及びドライブシャフトに対し予め選択した向きにファスナを維持することにより、ファスナの適切なアライメントが確実となり、長尺状シャフトアセンブリの関節動作可能部分内においてファスナを移動するのに必要な力を低減してもよい。
【0029】
[0052]明確にするため、ここで開示される実施形態は腹腔鏡下デバイスに関する。しかしながら、本開示は腹腔鏡下デバイスに限定されない。その代わりに、ここで開示されるフォロア、拘束要素及び案内面は組織内へのファスナの留置用の任意の適切なデバイスにおいて使用されうる。例えば、ここで開示される構成要素又は開示される構成要素の組み合わせのいずれも、内視鏡デバイス、ボアスコープデバイス、カテーテル、「開胸腹」術で使用するための手術器具、又は任意の他の適切な手術器具に組み込まれうる。更に、手術器具には、最終使用者に提供される前に1つ又は複数のファスナを装填してもよく、あるいは、手術器具は、使用者が器具に1つ又は複数のファスナを装填することを可能にするように構成してもよい。更に、本明細書中に示される種々の実施形態は特定のファスナとともに使用されるものとして記載されているが、ここで開示される実施形態においては、鋲、クリップ、止め金、ピン、組織アンカー、骨アンカー又は任意の他の適切なタイプのファスナを含む任意の適切なファスナが使用されうる。
【0030】
[0053]ここで図を参照すると、手術器具の特定の実施形態が記載されている。
【0031】
[0054]
図1は、手術器具2の一実施形態を示す。手術器具は、ハンドル4と、ハンドル4から先端側に延出する長尺状シャフトアセンブリ6と、を含む。長尺状シャフトアセンブリの先端部から留置されるファスナに加え、長尺状シャフトアセンブリ6は関節動作可能部分8を含んでもよい。手術器具2は、また、対応するファスナ留置システム15(
図2を参照)を作動し、且つファスナを組織内に留置するためのトリガ14を含んでもよい。
【0032】
[0055]関節動作可能部分8は、関節動作制御部10を用いて、非関節(すなわち直線)動作位置などの第1の位置と、完全関節動作位置などの第2の位置との間において関節式に動作してもよい。いくつかの実施形態では、関節動作可能部分8は第1の位置と第2の位置との間においてのみ関節式に動作してもよい。本開示はこの方法において限定されないため、他の実施形態においては、関節動作可能部分8は、1つ又は複数の予め選択した関節動作位置又は任意の(すなわち予め選択されていない)関節動作位置に関節式に動作してもよい。更に、実施形態によっては、関節動作可能部分8は1つの方向のみに関節式に動作しても、2つの方向に関節式に動作してもよい。例えば、関節動作可能部分8は約0°〜90°、0°〜45°、−90°〜90°、−180°〜180°又は任意の他の適切な角度範囲において関節式に動作してもよい。加えて、いくつかの実施形態では、関節動作可能部分8は2つの異なる軸線の周りにおいて関節式に動作してもよい(例えば、水平方向及び垂直方向における関節動作)。
【0033】
[0056]いくつかの実施形態では、先端側先端の位置決めを容易にするために長尺状シャフトアセンブリ6を回転させることが望ましい場合がある。そのような実施形態の1つは
図1及び
図12に示される。長尺状シャフトアセンブリ6の回転は任意の適切な方法で提供してもよい。例えば、長尺状シャフトアセンブリ6は単にハンドル4の少なくとも一部に対し回転可能となるように構成してもよい。あるいは、長尺状シャフトアセンブリ6を含むハンドル4の一部はグリップを含む部分などのハンドル4の別の部分に対して回転可能であってもよい。そのような実施形態の1つを
図1に示す。示される実施形態においては、手術器具2は、第1のハンドル部16と、長尺状シャフトアセンブリ6を含む第2のハンドル部18と、を含む。第1のハンドル部16及び第2のハンドル部18は互いに対して回転可能となるように任意の適切な方法で構成及び配置してもよい。図には回転可能な長尺状シャフトアセンブリ6又はハンドル4を含む手術器具を示すが、本開示はこの方法に限定されないため、一体型ハンドル及び/又はハンドルに対し固定された長尺状シャフトアセンブリ6を含む手術器具もまた可能であることは理解すべきである。
【0034】
[0057]特定の用途においては、関節動作可能部分8から先端側に配置された剛性直線部12を含むと有利な場合がある。例えば、理論に拘束されることを望むものではないが、ファスナがカーブを進む際にドライブシャフトがファスナに力を印加する場合、ドライブシャフトによってファスナの基端側部分に印加される力はファスナの留置方向と整列していない場合がある。これにより、印加される力の一部が長尺状シャフトアセンブリ6の側面に対し誘導されることとなる場合がある。これに対し、ドライブシャフトがファスナに対し直線部分に沿って力を印加する場合、印加される力はファスナの留置方向と整列する。したがって、関節動作可能部分8から特定の長さだけ先端側に延出する剛性直線部12を含むことにより、印加される作動力は留置方向と整列することができるため、ファスナを留置するためにドライブシャフトが印加する作動力が低下することを可能としてもよい。更に、留置方向と整列した作動力の印加により、手術器具が様々な関節角度間において変化するため、ファスナ留置の一貫性もまた向上してよい。上記の利点に加え、剛性直線部12は、また、手術器具からのファスナの位置決め及び留置を補助するために他の構成要素又は特徴を組み込んでもよい。先端側剛性直線部12を含む手術器具2が本明細書中に記載され且つ図に示されるが、手術器具が先端側剛性直線部を含まないように関節動作可能部分8が長尺状シャフトアセンブリ6の先端部まで延在する実施形態も想定されることは理解すべきである。
【0035】
[0058]前述のように、手術器具2は、また、
図2に示されるようなファスナ留置システム15を含んでもよい。ファスナ留置システム15は任意の数の異なる方法で具現化してもよい。しかしながら、
図2に示される特定の実施形態においては、ファスナ留置システムは、トリガ14と、剛性リンク20と、シャトル22と、パワーアシストデバイス24と、往復動ドライブシャフト26と、図示しない他の構成要素と、を含んでもよい。トリガ14の作動により、剛性リンク20が先端側に移動し、シャトル20が先端側に移動して、パワーアシストデバイス24にエネルギーを蓄積してもよい。予め選択した量の動作後,パワーアシストデバイス24は蓄積されたエネルギーを放出し、ドライブシャフト26を先端側へと加速させ、長尺状シャフトアセンブリ6の先端部からファスナを留置してもよい。
【0036】
[0059]特定のパワーアシストデバイス24が示されるが、パワーアシストデバイス24は手術器具の長尺状シャフトアセンブリ6からのファスナの留置を補助することが可能な任意の適切な構造に対応してもよい。特定の実施形態によっては、パワーアシストデバイス24は、トリガ14の作動に応答してファスナを留置するのに必要な動力の全てを供給しても、ファスナを留置するのに必要な動力の一部のみを供給してもよい。1つの特定の実施形態においては、パワーアシストデバイス24は、本出願と同日に出願された手術器具用のパワーアシストデバイス(POWER ASSIST DEVICE FOR A SURGICAL INSTRUMENT)という名称の米国特許出願第13/804,043号に開示されているパワーアシストデバイスに一致してもよい。パワーアシストデバイスを含む手術器具が示されているが、いくつかの実施形態では,手術器具2はパワーアシストデバイスを含まなくてもよく、この場合、トリガ12の作動により、適切な変速機の使用により直接的又は間接的のいずれかにおいてドライブシャフト26を移動し、長尺状シャフトアセンブリ6の先端部からファスナを留置してもよい。
【0037】
[0060]
図3は、長尺状シャフトアセンブリ6及び長尺状シャフトアセンブリ内に配置された種々の構成要素の一実施形態の分解図を示す。示される実施形態においては、ドライブシャフト26は長尺状シャフトアセンブリ6内に配置されている。
図2及び
図3によって示されるように、長尺状シャフトアセンブリ6内に配置されている場合、ドライブシャフト26は長尺状シャフトアセンブリ6から基端側へとハンドル4内に延在する。手術器具は、また、ファスナのスタック28と、フォロア34と、ドライブシャフト26の内部チャネル内に配置された後退防止要素と、を含む。ファスナのスタック28は1つ又は複数のファスナ30を含んでもよく、場合によっては、複数のファスナ30であってもよい。
【0038】
[0061]上記構成要素に加え、手術器具は、また、ファスナのスタック28、フォロア34及びドライブシャフト26の内部チャネル内の後退防止要素36のアライメントの維持を補助するためのファスナガイド32を含んでもよい。任意の適切な構造を用いてもよいが、示される実施形態においては、ファスナガイド32は、ドライブシャフトのチャネルのほぼ中心に配置された、先端側に延在するワイヤである。ファスナガイド32は任意の適切な方法でチャネル内に保持されてもよい。例えば、ファスナガイド32は後退防止要素36の一部、ハンドル4の一部又は任意の他の適切な構造に取り付けてもよい。更に、より速いガイド32は、接着剤、機械的な干渉、クランプ、はんだ付け及び溶接を含むがこれらに限定されない任意の適切な方法を用いて取り付けてもよい。
【0039】
[0062]トリガを作動すると、ファスナ留置システムが作動され、ドライブシャフト26の先端側への移動が生じてもよい。以下に更に詳細に記載するように、ドライブシャフト26の先端側への移動により、ファスナ留置位置に配置された最先端側ファスナが留置される。ドライブシャフト26は、また、フォロア34を先端側に移動し、ファスナのスタック28を移動して、次の最先端側ファスナをファスナ留置位置に配置する。フォロイング34の先端側への移動により、先端側方向に延在する後退防止要素がフォロア34の基端側への動きを妨げるようにフォロア34と後退防止要素36とは対応付けられてもよい。ファスナの留置及び次のファスナのファスナ留置位置への配置後、ドライブシャフト26は、ファスナのスタック28、フォロア34及び後退防止要素36の基端側への動きを妨げつつ、基端側方向に移動し、手術器具を次の作動に備えてもよい。
【0040】
[0063]フォロア34とドライブシャフト26との間の相互作用を
図4〜6に示す。
【0041】
[0064]示される実施形態においては、フォロア34は、従動要素100と、弾性要素102と、押込要素104と、を含む。従動要素100はドライブシャフト26と相互作用してフォロア34を先端側方向に移動するように構成されている。従動要素100はドライブシャフト26上の開口部124と相互作用するタブ106を含む。タブ106は可撓性であってもよく、従動要素100から外側及び先端側に延出してもよい。加えて、タブ106は、従動要素100がドライブシャフト26内を先端側に移動する際にタブ106が開口部124内に配置されうるようなサイズにしても、形状にしても、配置にしてもよい。従動要素100は、また、先端側部分108a及び肩部110を含んでもよい。先端側部分108a及び肩部110は弾性要素102の先端部を先端側部分108a上において保持するようなサイズ及び形状にしてもよい。先端側部分108aは、また、1つ又は複数の保持特徴部116を含んでもよい。示される保持特徴部116は、先端側部分108aに配置され、弾性要素102を妨げて先端側部分108a上に弾性要素を保持する突起物である。あるいは、弾性要素102は、機械的な干渉、インターロック機能、接着剤、溶接、はんだ付け及びろう付けを含むがこれらに限定されない任意の適切な方法を用いて従動要素100上に保持してもよい。従動要素100は、また、基端側部分108bに配置されたカップリング118を含んでもよい。カップリング118はフォロア34を後退防止要素36に取り付けるように適合され且つ配置されてもよい。
【0042】
[0065]示される弾性要素102は従動要素100と押込要素104との間に延在するコイルばねである。上に示したように、コイルばねが示されるが、コイルばねの代わりに他のばね及び適切な構成要素を用いることもできる。弾性要素102として使用される特定の構成要素にかかわらず、弾性要素102は、従動要素100及び押込要素104の両方に対応付けられるようなサイズにしても、形状にしても、配置にしてもよい。更に、ばね又は他の適切な圧縮可能な構成要素の使用により、従動要素が先端側方向に移動すると、弾性要素102が圧縮されて押込要素104に力を印加する。押込要素104の動作前における従動要素100の移動が大きいほど弾性要素102の圧縮が大きくなってもよく、同様に、力が大きくなってもよい。本開示はこの方法において限定されないため、特定の実施形態によっては、弾性要素102は移動関係に対し直線力又は移動関係に対し非直線力を示してもよい。
【0043】
[0066]従動要素100と同様に、押込要素104は、弾性要素102の先端部を保持するようなサイズ及び形状の基端側部分112b及び肩部114を含んでもよい。押込要素104は、また、従動要素100に関して上述したものに類似する、弾性要素102を保持するための1つ又は複数の保持特徴部116を含んでもよい。押込要素104は、また、ファスナスタックの最も基端側に配置されたファスナに力を印加するように適合され且つ配置された先端側部分112aを含んでもよい。いくつかの実施形態では、先端側部分112aはファスナのスタック内の少なくとも最基端側ファスナに直接接触してもよいが、先端側部分112aがファスナのスタックに間接的に力を印加する実施形態もまた想定される。
【0044】
[0067]
図5に示されるように、ドライブシャフト26はドライブシャフト26の先端部に配置された1つ又は複数のファスナ駆動要素120を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ファスナ駆動要素120はドライブシャフト26の先端部から内方向及び先端側に延出する1つ又は複数の可撓性タブであってもよい。ファスナ駆動要素120は、ファスナ留置位置に配置されたファスナに力を印加し、長尺状シャフトアセンブリの先端部からファスナを留置するように構成してもよい。ドライブシャフトは、また、長尺状シャフトアセンブリの関節動作可能部分内における往復動ドライブシャフトの動きに適応するために可撓性部分122を含んでもよい。示される実施形態においては、可撓性部分122はあるパターンのスロット又は切り込みをドライブシャフト26に設けることによって形成される。上に示したように、ドライブシャフト26は、また、伸張位置において従動要素100のタブ106を収容するようなサイズ及び形状の開口部124を含んでもよい。1つ又は複数組の開口部124がドライブシャフト124の1つ又は複数の表面に沿って軸方向に間隔を空けて配置されてもよい。いくつかの実施形態では、開口部124間の軸方向の間隔は1つのファスナの長さに相当してもよい。本実施形態においては、2組の開口部124がドライブシャフト26の両側に沿って延在し、従動要素100のタブ106の両方を収容する。開口部124はドライブシャフト24の全体に沿って延在してもよく、あるいは、図に示されるように、開口部124は、フォロア34の初期基端側位置及び全てのファスナが手術器具から留置された後のフォロア34の最終先端側位置に相当するドライブシャフト24の一部に沿って延在してもよい。
【0045】
[0068]ドライブシャフト26及びフォロア34の対応する特徴を記載したが、1つの可能な実施形態における、作動中のこれら2つの構成要素の相互作用についてここで記載する(
図6を参照)。作動前、従動要素100のタブ106は伸張状態においてドライブシャフト26の対応する開口部124の任意の1つ内に配置されてもよい。タブ106が対応する開口部124内において伸張状態にある間、開口部の基端側縁端などのドライブシャフト124aの基端側部分はタブ106の基端側側面106aと軸方向に整列してもよい。したがって、作動中、ドライブシャフト26が先端側方向に移動すると、基端側ドライブシャフト部124aはタブ106の基端側側面106aに先端側誘導力を印加し、従動要素100の先端側への移動が生じる。ファスナが留置された後、ドライブシャフト26は続いて基端側方向に移動する。ドライブシャフト26の基端側への動きの最中、開口部124の先端側縁端などのシャフト124bの先端側部分はタブの外部表面などの外部側面106b上に引き出されてもよい。以下に更に詳細に記載するように、従動要素100はドライブシャフト26と従動要素100との相対運動中に後方に移動することを妨げられてもよい。更に、上に示したように、タブ106は可撓性である。したがって、先端側ドライブシャフト部124bがタブの外部側面106b上に引き出されている際、タブ106は内方向に移動し、開口部124から出て従動要素100とドライブシャフト26との相対運動を可能にしてもよい。ドライブシャフト26の基端側への移動は、タブ106が次の先端側に配置された開口部124の組と整列し、且つタブ106が開口部124内において伸張状態になるまで継続してもよい。後の作動サイクルでは、従動要素100がドライブシャフトの次の対応する開口部124の組と係合するため、従動要素100が先端側方向に継続的に移動してもよい。上記に鑑み、フォロア34の従動要素100及びドライブシャフト26は、ファスナ留置システムの各作動サイクル中フォロア34を先端側方向に順次移動するように構成されたウォーキングビームアセンブリの2つの別個の構成要素を形成するものとして記載されうる。
【0046】
[0069]
図7A〜7Bは、ファスナ留置システムの作動サイクル中におけるファスナのスタック28、フォロア34及び後退防止要素36の相互作用を示す。図に示されるように、押込要素104はファスナスタック28の基端側に配置されたファスナと接触してもよい。弾性要素102は、また、押込要素104の基端側部分及び従動要素100の先端側部分と対応付けられてもよい。従動要素100はカップリング130によって後退防止要素36のラックアーム126に結合されてもよい。従動要素100とラックアーム126とは、従動要素100の先端側への動きによりラックアーム126が後退防止要素36の爪付きアーム128に対して先端側に伸展しうるような状態で結合されてもよい。したがって、フォロア34が長尺状シャフトアセンブリ内において先端側に移動すると、後退防止要素36は同様に伸長する。したがって、フォロア34の基端側への動きは作動サイクル全体にわたり後退防止要素36によって妨げられてもよい。図に示されるように、カップリング130はピン連結に相当する。しかしながら、インターロック式の機械的な特徴、止めねじ、ファスナ、接着剤、溶接、ろう付け及びしまり嵌めを含むがこれらに限定されない任意の適切な連結を使用してもよい。
【0047】
[0070]作動前、
図7Aに示されるように、フォロア34の弾性要素102は第1の長さに相当する伸張状態にあり、先端側に配置された押込要素104及びファスナのスタック28に第1の先端側誘導力を印加してもよい。フォロア34及びファスナのスタック28は後退防止要素36によって先端側方向への移動が妨げられる。示される実施形態においては、後退防止要素36は、先端側方向に移動してもよいラックアーム126と、手術器具の作動中静止したままの爪付きアーム128と、を含む。
【0048】
[0071]
図7Bを参照すると、ファスナ留置システムが作動されると、不図示のドライブシャフトは従動要素100のタブ106に力F
Dを印加してもよく、これにより、上述のように従動要素100を先端側方向に駆動する。基端側に誘導される第1の拘束力F
R1がファスナのスタック28に印加されてもよい。当初、第1の拘束力F
R1は力F
Dに等しくてもよい。したがって、動作の初期部分の間、ファスナのスタック28は静止したままであってもよく、その結果、押込要素104と従動要素100との間の弾性要素102の圧縮が生じる。作動が継続する際、弾性要素102が更に圧縮されるにつれて従動要素100に印加される力は増加し続けてもよい。この継続的な弾性要素102の圧縮により、ファスナのスタック28に対し増加する先端側誘導力を印加する。作動中のある時点において、ばねは弾性要素102に相当する第2の長さまで圧縮され、押込要素104及び対応するファスナのスタック28に対し第2の先端側誘導力を印加してもよい。この第2の先端側誘導力は第1の拘束力F
R1よりも大きく、弾性要素102の伸張並びに押込要素104及び対応するファスナのスタック28の先端側への移動を生じてもよい(
図7B〜7Cを参照)。
【0049】
[0072]図によって示されるように、ファスナのスタック28が先端側方向に移動するにつれて弾性要素102は第2の長さから第1の長さへと伸張し続ける。弾性要素102が伸張した第1の長さに近づくと、ファスナのスタック28に対し基端側に誘導される第2の拘束力F
R2が印加され、ファスナのスタックの先端側への更なる動きを妨げてもよい。弾性要素102によってファスナのスタック28に印加される力と、ファスナのスタック28及びフォロア34が先端側に移動する際それらに蓄積される、予想される運動エネルギーとの両方に抗するため、第2の拘束力F
R2は第1の拘束力よりも大きくてもよい。第2の拘束力は、また、長尺状シャフトアセンブリからファスナを留置するために作動力よりも小さくてもよい。いくつかの実施形態では、スタックファスナ20のうちの先端側に配置されたファスナがファスナ指定位置に配置されると、第2の拘束力F
R2が印加されてもよい。ファスナのスタック28が先端側に移動し、ファスナ留置システムがリセットされた後、手術器具が再度作動され、その結果、フォロア34及び対応するファスナのスタック28の更なる先端側への移動が生じてもよい。
【0050】
[0073]フォロア34及び対応するファスナのスタック28の移動に加え、ファスナ留置システムの作動により、また、上に示したように後退防止要素36の伸長が生じてもよい。より具体的には、従動要素100及びラックアーム126が結合されているため、従動要素100の先端側への移動により爪付きアーム128に対する、ラックアーム126の対応する先端側への移動が生じてもよい。ファスナのスタック28が先端側に移動した後、ラックアーム126の先端側への動きにより後退防止要素36が先端側方向に伸長し、従動要素100の後方への動きを妨げてもよい。ラックアーム126と爪付きアーム128との相互作用を
図8A及び
図8Bにより詳細に示す。歯134はラックアーム126の軸方向長さに沿って間隔を空けて配置してもよい。対応する爪132を爪付きアーム128の先端側部分に配置してもよい。爪132及び対応する歯134は従動要素の先端側への動きに応じてラックアーム126の先端側への動きを可能にするように適合され且つ配置されてもよい。爪132及び対応する歯134は、また、ラックアーム126の基端側への動きを妨げるように適合され且つ配置されてもよい。一実施形態においては、歯134間の距離は1つのファスナ長さにほぼ等しくてもよい。しかしながら、歯134間の距離がファスナ長さの数分の1である又はファスナ長さよりも長い実施形態もまた想定される。上記に加え、後退防止要素36としてラック及び爪システムを示したが、フォロア及びスタックファスナの後方への動きを妨げることが可能な任意の適切な機構が使用されうる。
【0051】
[0074]
図9〜12は、長尺状シャフトアセンブリ6の構成要素である内部管状部材200を示す。内部管状部材200は、長尺状シャフトアセンブリ6の先端部を形成する剛性直線部12を含む。内部管状部材は、また、剛性直線部12内に配置された1つ又は複数の第1の拘束要素202及び1つ又は複数の第2の拘束要素204を含んでもよい。
図9に示されるように、2つの第2の拘束要素204は第1の拘束要素202に対し先端側に配置されている。第1の拘束要素は、作動中、ファスナのスタックに対し第1の拘束力を付与するように適合され且つ配置されてもよい。同様に、第2の拘束要素204は、作動中、スタックファスナに対し第2の拘束力を付与するように適合され且つ配置されてもよい。前述のように、第1の拘束力は第2の拘束力よりも小さくてもよい。本開示はファスナのスタックに対し拘束力が印加される方法に限定されないため、種々の拘束力を任意の数の方法で付与してもよい。いくつかの実施形態では、拘束要素は長尺状シャフトアセンブリ又は長尺状シャフトアセンブリの構成要素と一体形成してもよい。あるいは、拘束要素は別個に形成し、長尺状シャフトアセンブリに対し、溶接、はんだ付け、接着剤、しまり嵌め及びファスナを含むがこれらに限定されない任意の適切な方法で組み付けてもよい。
【0052】
[0075]種々の第1及び第2の拘束力を任意の適切な方法で付与してもよい。例えば、一実施形態においては、異なる第1及び第2の拘束力を付与するために第1及び第2の拘束要素の異なるコンプライアンスを用いてもよい。より具体的には、第2の拘束要素は第1の拘束要素よりもコンプライアンスが低くてもよい。別の実施形態においては、異なる第1及び第2の拘束力を様々な数の第1及び第2の拘束要素を用いて付与してもよい。このような一実施形態においては、第1の拘束要素の数と比較してより多数の第2の拘束要素を用いてもよい。異なる拘束力を提供する特定の方法を上記したが、拘束力を提供する他の方法もまた企図される。
【0053】
[0076]1つの可能な実施形態においては、及び
図9〜12に示されるように、第1の拘束要素202及び第2の拘束要素204は長尺状シャフトアセンブリの内部管状部材200に対し内方向及び先端側に延出するタブに相当してもよい。所望の第1及び第2の拘束力を付与するために、1つのよりコンプライアンスのある第1の拘束要素202及び2つのよりコンプライアンスのない第2の拘束要素204は長尺状シャフトアセンブリの内部管状部材200の剛性直線部12に組み込まれる。第2の拘束要素204に相当するタブは第1の拘束要素202に相当するタブと比べて短い長さ及び/又は広い幅を有してもよい。理論によって拘束されることを望むものではないが、これにより、第2の拘束要素204は第1の拘束要素202よりもコンプライアンスのないものとなる。したがって、1つのよりコンプライアンスのあるタブを第1の拘束要素202として使用することに比べて2つのよりコンプライアンスのないタブを第2の拘束要素204として使用することにより、示される実施形態は第1の拘束力よりも大きい第2の拘束力を付与するように構成されている。第1及び第2の拘束要素の特定の配置構成を図に示し且つ上記したが、第1及び第2の拘束力を付与するための他の実施形態もまた可能であることは理解すべきである。
【0054】
[0077]第1の拘束要素202と、第2の拘束要素204と、ファスナ30と、ファスナ留置システムのドライブシャフト26との間の相互作用を、ファスナ留置システムの作動中における長尺状シャフトアセンブリ6の先端側部分の一連の断面を示す
図13A〜13Cによって示す。作動前、先端側に配置されたファスナ30がファスナ留置位置206に配置される。ファスナ留置位置206は第1の拘束要素202と第2の拘束要素204との相対位置によって画定されてもよい。第1の拘束要素202及び第2の拘束要素204は作動前にそれらの間にファスナ30の頭部30aを保持することによってファスナ留置位置を画定してもよい。拘束要素202及び204を用いてファスナ30をファスナ留置位置206に保持すると、ファスナが長尺状シャフトアセンブリ6から意図せずに移動して出ることを有利に防止しうるとともに、次の留置のためのファスナの一貫した位置を提供する。ファスナ留置システムの作動時、ドライブシャフト26は先端側に移動し、その結果、ファスナ駆動要素120がファスナ留置位置206に配置されたファスナ30に力を印加する。印加される作動力は第2の拘束要素204によって付与される第2の拘束力よりも大きく、その結果、
図13Bに示されるようなファスナの先端側への移動及び留置が生じる。上に示したように、ファスナのスタックは、ファスナのスタックを先端側に移動するために印加される、及び次の作動サイクルのため次のファスナをファスナ留置位置206に配置するために印加される別個の力を有してもよい。ファスナ留置システムを次の作動サイクルのためにリセットするためドライブシャフト26が基端側方向に引き抜かれると、ファスナ駆動要素120はファスナ留置位置206に配置されたファスナ30の頭部30aの周り及びファスナ30の頭部30aを越えて変形する(
図13Cを参照)。図に示されるように、第1の拘束要素202及び第2の拘束要素204に相当するタブは、拘束要素202及び204から先端側に配置されているファスナ30の基端側への動きに耐えるように配置及び構成されてもよい。したがって、ドライブシャフトが基端側方向に移動する際、ファスナ留置位置206に配置されたファスナ30の基端側への動きが第1の拘束要素202によって妨げられてもよい。ドライブシャフト26が基端側方向に完全に移動すると、手術器具は次のファスナを留置する準備ができる。
【0055】
[0078]上記の実施形態は基端側方向及び先端側方向におけるドライブシャフトの往復動動作によって駆動されるフォロアに関するものであるが、他の実施形態も可能である。例えば、一実施形態においては、フォロアは、ドライブシャフトの回転により、フォロア及びドライブシャフト内に配置された対応するファスナの先端側への移動が生じてもよいように回転ドライブシャフトと対応付けられてもよい。別の例示的実施形態においては、フォロアはファスナ留置システムの作動によりフォロアの先端側への動きが生じるようにファスナ留置システムの別の構成要素と対応付けられてもよい。例えば、フォロアはトリガ14、剛性リンク20又はシャトル22と対応付けられてもよい。更に、フォロアは上記構成要素のいずれかと直接的又は間接的に対応付けられてもよい。
【0056】
[0079]前述のように、次のファスナをファスナ留置位置に配置するためにファスナのスタックを移動することに加え、いくつかの実施形態では、長尺状シャフトアセンブリ内においてファスナの特定の向きを維持することが望ましい場合がある。
図14は、長尺状シャフトアセンブリ6及び長尺状シャフトアセンブリ6の内部内に配置されてもよいドライブシャフト26の概略分解図を示す。示される長尺状シャフトアセンブリ6の外側に形成されたスロットのパターンは、関節動作可能部分8に相当する長尺状シャフトアセンブリ6の部分に可撓性を付与する。示される実施形態においては、ドライブシャフトはその中に配置される1つ又は複数のファスナ30を収容するための内部チャネルを含む。ドライブシャフト26は、また、案内面136を含んでもよい。案内面136は任意の適切な形状であってもよく、図に示されるように、ドライブシャフト26の軸方向に延在する平坦面に相当してもよい。ファスナ30がドライブシャフト26内に配置されている間、及び作動中、ドライブシャフトが先端側位置と基端側位置との間において往復運動する際、案内面136はファスナの向きを維持するためにファスナ30の対応する表面と相互作用してもよい。案内面136に加え、ドライブシャフト26は、また、ファスナ30がファスナ留置位置に配置される際にファスナ30の向きを維持するためにファスナ30の対応する表面と相互作用するファスナ駆動要素120aを含んでもよい。
【0057】
[0080]示される実施形態においては、案内面136に相当する平坦面はドライブシャフト26の内部チャネルの内側表面にある。更に、案内面136は任意選択的にドライブシャフト26の外部表面にも存在してよい。案内面136の特定の形状を示したが、ドライブシャフト26内に配置されるファスナ30の向きを維持するための任意の適切な形状又は特徴の組み合わせがドライブシャフト26上に存在しうる。例えば、案内面136は、突起物、溝又は任意の他の適切な形状に相当してもよい。更に、案内面136はドライブシャフト26の任意の適切な部分に沿って延在してもよい。例えば、本開示はこの方法において限定されないため、案内面136はドライブシャフトの先端側部分、ドライブシャフトの可撓性部分122、ドライブシャフト内に配置されたファスナのスタックに対応するドライブシャフトの部分、又はドライブシャフトの長さ全体に沿って延在してもよい。
【0058】
[0081]
図15〜17は、ドライブシャフト26とともに使用するためのファスナ30の1つの可能な実施形態を示す。示されるファスナ30の実施形態は、頭部30aと、頭部30aから延出するシャフト30bと、シャフト30bの先端部にある返しの付いた端部30cと、を含む。ドライブシャフトの案内面136に対応する表面138が頭部30aに配置されてもよい。ファスナ30がドライブシャフト26の内側表面と滑らかに接合するように表面138は案内面136ドライブシャフトを補完するようなサイズ及び形状にしてもよい。示される実施形態においては、表面138は、頭部30aの断面がドライブシャフトの内部チャネルの断面の対応する平坦部及び丸み部を補完するようなサイズ及び形状の平坦部及び丸み部を含むような平坦面に相当する。案内面136に対応する表面138はファスナの頭部30aに位置するものとして示したが、表面138はファスナ30の任意の適切な部分に位置してもよい。例えば、シャフト30bの一部又は返しの付いた端部30cはファスナ30の向きを維持するためにドライブシャフトの案内面136と相互作用するような形状、サイズ及び配置にされた対応する表面又は特徴を含みうる。
【0059】
[0082]ファスナ30上に存在する、案内面136に対応する表面138に加え、ファスナ30は、また、頭部30aの基端側表面からシャフト30b及び返しの付いた端部30cを通過して先端側に延出する貫通穴140を含んでもよい。上述のように、長尺状シャフトアセンブリ内におけるファスナ30のアライメントを維持するために貫通穴140はファスナガイドを収容するようなサイズ及び形状にしてもよい。本開示は貫通穴140がどこに配置されるかについては限定されないため、貫通穴140は中心に配置しても、半径方向にオフセットしても、又は任意の他の適切な位置に配置してもよい。長尺状シャフトアセンブリ内におけるファスナ30のアライメントの維持を補助するために貫通穴140を含むことが望ましい場合があるが、また、特定の実施形態においては、図に示されるようにファスナに尖頭の先端142を設けることが望ましい場合がある。しかしながら、尖頭でない先端及び対応する針を用いた実施形態もまた想定される。貫通穴140を収容するため、尖頭の先端142は貫通穴140に対し半径方向にオフセットしてもよい。
【0060】
[0083]
図18は、ドライブシャフト26の内部チャネル140内に配置された、先端側に配置されたファスナ30を示す。図によって示されるように、ドライブシャフト26の案内面136及びファスナ駆動要素120aはファスナ30の対応する表面138と整列している。内部チャネル断面の平坦部とファスナ頭部の平坦部(すなわち案内面136と対応する表面138)及び内部チャネル断面の丸み部とファスナ頭部の丸み部との相互作用により、ファスナ30はドライブシャフト26の長さ全体にわたり予め選択した向きに維持されてもよい。
【0061】
[0084]
図19は、長尺状シャフトアセンブリ6内に配置された
図18のファスナ30及びドライブシャフト26を示す。
図13Bによって最も良く示されるように、いくつかの実施形態では、ファスナを留置するためにドライブシャフト26が先端側に移動される際、ファスナ駆動要素120は第1の拘束要素202及び第2の拘束要素204に対し先端側に延在してもよい。したがって、ファスナ駆動要素120並びに第1の拘束要素202及び第2の拘束要素204を、ドライブシャフトの先端側への移動中、それらが互いに妨げることのないように配置することが望ましい場合がある。示される実施形態においては、ドライブシャフトの先端側への移動中、ファスナ駆動要素122が第1の拘束要素202及び第2の拘束要素204を妨げることのないようにファスナ駆動要素120はドライブシャフト26の先端部に三角形のパターンで配置されており、第1の拘束要素202及び第2の拘束要素204は長尺状シャフトアセンブリ6の内側表面周囲に別の対応する三角形のパターンで配置されている。特定の数及び配置のファスナ駆動要素及び拘束要素を図に示し且つ本明細書中に記載してきたが、本開示はこのように限定されないことは理解すべきである。代わりに、任意の適切な数及び配置のファスナ駆動要素及び拘束要素を使用してもよい。更に、他の適切な種類のファスナ駆動要素及び拘束要素もまた使用してよい。
【0062】
[0085]本教示を種々の実施形態及び例とともに記載してきたが、本教示はそのような実施形態又は例に限定されることを意図しない。逆に、当業者には理解されるように、本教示は種々の代替物、変更形態及び均等物を含む。したがって、前述の記載及び図面は単に例である。