(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を利用しながら、本発明を実施形態について、説明を行なう。
【0013】
〈第1の実施形態〉
図1は、本発明に関わる画像検査データ作成装置1を説明するための図である。画像検査データ作成装置1は、一般的に使用されるコンピュータと同様の構成を備えており、CPU11、表示部12、入力部13、ネットワークI/F14、メディアドライブ15、記憶部16、メモリ17を備えている。
【0014】
CPU11は、画像検査データ作成装置1全体を制御し、特にメディアドライブ15に挿入されたメディアディスク18に記録されているプログラムPをメモリ17において実行することによって、画像検査データ作成装置1の機能を実現している。
表示部12は、画像検査処理に必要な情報を表示するために使用される。
また、表示部12は後述するプロセスで作成されるレポートデータRDの表示を行なうことにより、画像検査の結果を確認するために使用される。
入力部13は、マウスやキーボードで構成されており、画像検査データ作成装置1に対してオペレータが指示を入力するために使用する。
ネットワークI/F14は、画像検査データ作成装置1と図示しないネットワークとを接続するためのものである。ネットワークI/F14を介して、画像検査データ作成装置1はネットワークに接続されている図示しない端末からページデータを格納したジョブデータJD(後述する)を受信することができる。また、図示しないサーバより、画像検査データ作成装置1の機能を実現するプログラムPをダウンロードすることも可能である。さらに、図示しない端末に対して画像検査データ作成装置1が、このネットワークI/F14を介して、レポートデータRDを送信することができる。
メディアドライブ15は、メディアディスク18に記録されているプログラムPを読み取るために使用する。メディアドライブ15で読み取られたプログラムPにより、画像検査データ作成装置1の機能が実現される。
記憶部16は、メディアドライブ15で読み取られたプログラムPを格納する。また、記憶部16は、ジョブデータJDも記憶する。さらに、記憶部16は、後述するプロセスで作成されるレポートデータRDも記憶する。
【0015】
メモリ17は、記憶部16によって記憶されたプログラムPをCPU11が実行するためのワークエリアである。CPU11によってプログラムPが実行された結果、メモリ17において、被検査用ページ画像データ作成部171、検査用ページ画像データ作成部172、画像比較部173、確認用ページ画像データ作成部174、レポートデータ作成部175、ページデータ表示部176の機能が実現する。
【0016】
被検査用ページ画像データ作成部171は、ページデータに対して印刷機で印刷を行なうための印刷用ページ画像データ作成に相当するRIPを行ない、被検査用ページ画像データを作成する。
被検査用ページ画像データ作成部171が行うRIPは、ページデータに基づいて、図示しない印刷装置において印刷を行なうために使用される多値ビットマップ画像を作成するための変換処理であり、
例えば、ページデータのデータ形式がPDFであった場合、被検査用ページ画像データ作成部171は、ADOBE PRINT Engine(ADOBE社の商標)のような印刷用RIPにより実現される。
【0017】
検査用ページ画像データ作成部172は、ページデータに対してページデータ表示装置で表示を行なうための表示用ページ画像データ作成に相当するRIPを行ない、検査用ページ画像データを作成する。
検査用ページ画像データ作成部172が行うRIPは、ページデータに基づいて後述するページデータ表示部176によりページデータ表示装置としての表示部12において表示を行なうために使用される多値ビットマップ画像データを作成するための変換処理であり、例えば、ページデータのデータ形式がPDFであった場合、検査用ページ画像データ作成部172は、PDF表示・作成用アプリケーションACROBAT(ADOBE社の登録商標)と共通のコアを使用したADOBE PDF Library(ADOBE社の商標)のような表示用RIPにより実現される。
【0018】
すなわち、被検査用ページ画像データ作成部171、検査用ページ画像データ作成部172は、それぞれ印刷用RIP、表示用RIPという異なるRIPなので、同一のページデータに対して異なるRIPを行なったことにより得られる被検査用ページ画像データ、検査用ページ画像データが同一の結果となるとは限らない。
【0019】
画像比較部173は、被検査用ページ画像データにより表現される被検査用ページ画像と、検査用ページ画像データにより表現される検査用ページ画像とを比較し、比較の結果差分が生じた場合には差分ページ画像データを作成する。
【0020】
図2は、画像比較部173による画像比較について説明するための図である。同一のページデータに対して異なるRIPを行なったことにより得られる被検査用ページ画像と検査用ページ画像では、ページデータの記述に不適切な部分があった場合、あるいは被検査用ページ画像データ作成部171によるRIPにおいて不具合が生じた場合などは、比較の結果差分ページ画像が生じるので、画像比較部173は差分ページ画像を表現するための差分ページ画像データを作成する。
【0021】
図2(a)は、被検査用ページ画像HIを示した図である。被検査用ページ画像データ作成部171がページデータを印刷用RIPに相当するRIPを行なった結果、被検査用ページ画像HIを表現する被検査用ページ画像データが作成される。
ここで、被検査用ページ画像データにより、ページS内に三つの画像領域A1、A2、A3を有する被検査用ページ画像HIが表現されている。被検査用ページ画像データ作成部171は印刷用ページ画像データ作成と同様のRIPを行なうことから、ページデータを印刷した結果得られる印刷物は、
図2(a)のような表現が行なわれた印刷物となる。
【0022】
一方、
図2(b)は、検査用ページ画像KIを示した図である。検査用ページ画像データ作成部172がページデータを表示用RIPに相当するRIPを行なった結果、検査用ページ画像KIを表現する検査用ページ画像データが作成される。
ここで、検査用ページ画像データKIDにより、ページS内にやはり三つの画像領域A1、A2、A4が表現されている。検査用ページ画像データ作成部172は表示用ページ画像データ作成と同様のRIPを行なうことから、
図2(b)に示す検査用ページ画像KIが表現するページ画像は、ページデータの作成者が作成したページ内容を表現したものと同じ画像である。
【0023】
すなわち、
図2(a)、(b)に示すように、同じページデータを被検査用ページ画像データ作成部171、検査用ページ画像データ作成部172でRIPしたとしても、作成された被検査用ページ画像HI、検査用ページ画像KIが同じ画像になるとは限らない。ページデータの作成者は、本来検査用ページ画像KIのようなページを表現するためのページデータを作成しているが、印刷用RIPと表示用RIPとでは異なるリソースを使用してRIPを行なっていることから、ページデータの処理内容が異なることがある。
【0024】
例えば、ページデータの作成時、画像領域A4に対して印刷に使うCMYK以外のインク色(特色と称する)を指定した場合、検査用ページ画像データ作成部172は、特色が使用されている画像領域A4について正しい処理を行なうことにより、
図2(b)において画像領域A4が存在している。
一方、被検査用ページ画像データ作成部171は、印刷に使うCMYKのインク色が指定されている領域のみを処理するので、
図2(a)において特色が使用されている画像領域A4は存在していない。
【0025】
逆に、ページデータ作成時に画像領域A3を作成していない場合、検査用ページ画像データ作成部172は、当然画像領域A3について処理を行なわないので、
図2(b)において画像領域A3は存在しない。
一方、被検査用ページ画像データ作成部171は、RIP時のトラブルにより画像領域A2と同じ形状の画像領域A3が存在するものとして処理を行なったことにより、
図2(a)において本来は存在していないはずの画像領域A3が存在している。
【0026】
従って、画像比較部173が、被検査用ページ画像HIと検査用ページ画像KIとを比較した結果、
図2(c)に示すような差分ページ画像SIを作成する。差分ページ画像SIは、
図2(a)、(b)に共通して存在する画像領域A1、A2を有さず、
図2(a)のみに存在する画像領域A3、
図2(b)のみに存在する画像領域A4を有する画像となる。
【0027】
画像比較部173は、検査用ページ画像HIと検査用ページ画像KIとの比較による差分ページ画像データ作成において、様々な条件を設定することが可能である。
【0028】
画像比較部173による画像比較品質として、例えば、
検査強度・弱:大きな差異のみチェック
検査強度・中:中間品質でチェック
検査強度・強:文字の欠落もチェック
検査強度・カスタム:所望の品質でチェック
のように、画像比較を行なう際に比較検査の強度の設定を行なうことができる。
ここで、「検査強度・弱」は、一定サイズ以上の領域において差異が生じている場合のみ、画像比較部173が被検査用ページ画像HIと検査用ページ画像KIとの比較結果を差分と見なす。逆に「検査強度・強」は、文字フォントのセリフの違いなど、実用的な意味では問題がない詳細な点についても差異が生じていた場合に、画像比較部173が比較結果を差分と見なす。「検査強度・中」は、その中間的な強度で比較を行なう。
【0029】
また、「検査強度・カスタム」では、検査強度・弱〜検査強度・強の範囲内で、検査強度を変化させることを示している。「検査強度・カスタム」では、「ゆすらせ量」、「許容値」、「孤立点除去」などの設定を可能とする。
「ゆすらせ量」とは、被検査用ページ画像HIと検査用ページ画像KIとを比較する際に、いわゆる画素ズレを起こしている場合にどちらかの画像の配置位置を仮想的にずらして両画像の比較を行なって、画素ズレをキャンセルして本来の差分値等を検出する際、仮想的にずらす量である。ゆすらせ量が小さければ画像比較の結果生じる差分は多くなり、ゆすらせ量が大きければ差分は少なくなる。
「許容値」とは、被検査用ページ画像HIと検査用ページ画像KIとを比較する際に、画像サイズの差異、画像位置の差異、あるいは画像の濃度差について、許容する範囲である。許容値が小さければ画像比較の結果生じる差分は多くなり、許容値が大きければ差分は少なくなる。
「孤立点除去」は、画像比較時に検出された、本来は存在しないはずの小サイズの画像を検出した際に、該画像を除去するかしないかを決定するための設定である。孤立点除去を設定した場合、別途設定した孤立点サイズに基づいて、該サイズ以下の孤立点については差分とせず除去することにより、差分ページ画像SIの検査を容易にすることができる。
【0030】
また、画像比較部173による条件設定としては、他に比較対象ページの設定が存在する。比較対象ページ設定とは、例えば、
自動:可変印刷を行なう際の独立した画像である再利用部品や複数RIP使用時の負荷を考慮したページ分割範囲に基づいたページデータの数を画像比較対象ページとして決定する指定ページ:画像検査データ作成装置1のオペレータが指定したページデータを画像比較対象ページとして決定する。
全ページ:全てのページデータを画像比較対象ページとして決定する。
このように、画像比較を行なうページデータの数を設定することができるので、画像比較部173による画像比較時間を所望の範囲に収めることができる。
【0031】
画像比較部173は、差分画像ページ画像データによって表現される差分ページ画像SIの確認を容易に行なうために、差分ページ画像属性情報作成部1731、注釈画像作成部1732、差分位置情報作成部1733を備える。
【0032】
差分ページ画像属性情報作成部1731は、画像比較部173による比較の結果得られた差分ページ画像データによって表現される差分ページ画像SIに対応する被検査用ページ画像HIの画像領域、および検査用ページ画像KIの画像領域それぞれにおける属性情報を被検査用ページ画像データ、および検査用ページ画像データから取得することにより差分ページ画像属性情報STDを作成する。
【0033】
差分ページ画像属性情報作成部1731は、被検査用ページ画像データから、該差分ページ画像SIに対応する被検査用ページ画像HIの画像領域から属性情報として被検査用ページ画像HIの色濃度を抽出する。
また、差分ページ画像属性情報作成部1731は、検査用ページ画像データから、該差分ページ画像SIに対応する検査用ページ画像KIの画像領域から属性情報として検査用ページ画像KIの色濃度、オーバープリントの指定、特色の指定を抽出する。
差分ページ画像属性情報作成部1731は、被検査用ページ画像データから抽出した属性情報、検査用ページ画像データから抽出した属性情報を組み合わせて、差分ページ画像属性情報STDを作成する。
【0034】
作成された差分ページ画像属性情報STDは、画像検査データとして、差分ページ画像SIが生じた原因を特定するための情報であり、後述するプロセスにおいて、確認用ページ画像データのコメントとして使用される。
【0035】
図3は、差分ページ画像SIに対する差分ページ画像属性情報STDを説明するための図である。
図3では、
図2(c)で作成された差分ページ画像SIにおける画像領域A3、A4に対して、二つの差分ページ画像属性情報STDが付された状態を示している。
【0036】
図3の差分ページ画像SIにおける画像領域A3に対して、差分ページ画像属性情報作成部1731が被検査用ページ画像HI、検査用ページ画像KIからそれぞれ色濃度情報を抽出したことにより、「HI:C100,M100,Y100,K100」、「KI:C0,M0,Y0,K0」という差分ページ画像属性情報STDが表示されている。これにより、検査用ページ画像KI(本来所望されたページ)では画像領域A3について色濃度が存在していない(=領域がない)のに対して、被検査用ページ画像HIでは画像領域A3について色濃度が存在していることがわかるので、差分ページ画像属性情報STDを確認することにより、画像検査データ作成装置1のオペレータは被検査用ページ画像HIを作成したRIPに問題があると判断することができる。
【0037】
一方、
図3の差分ページ画像SIにおける画像領域A4に対して、差分ページ画像属性情報作成部1731は、検査用ページ画像KIから画像領域A4について「Spot Color(特色)」が指定されていることを抽出しているのに対して、被検査用ページ画像HIの画像領域A4に対応する領域からは属性情報を抽出できなかったことを示す「none」とする差分特徴情報STDとしている。これにより、画像検査データ作成装置1のオペレータは作成されたページデータの画像領域A4に印刷を行なうことができない特色が指定されたことが問題であると判断することができる。
【0038】
注釈画像作成部1732は、
画像比較部173が作成した差分ページ画像SIの存在を強調するための注釈画像TIを作成する。
図4は、差分ページ画像SIに注釈画像TIが付された状態を説明するための図である。
図4では、
図2(c)で作成された差分ページ画像SIにおける画像領域A3、A4に対して、二つの注釈画像TIが付された状態を示している。注釈画像TIによって差分ページ画像SIにおける画像領域A3、A4が強調されるので、差分ページ画像SIの表示時に画像検査データ作成装置1のオペレータが容易に注目することができる。
注釈画像作成部1732は、差分ページ画像SIにおける画像領域の外接矩形を取得して、該外接矩形における輪郭線を表示するようにして、注釈画像TIを作成する。注釈画像TIについて、外接矩形の位置情報と合わせて、注釈画像データ作成部1732が注釈画像データとして作成する。
なお、注釈画像TIの形状は、外接矩形に限定されることはなく、画像領域の重心点を中心とした所定半径を有する円であってもよい。
【0039】
あるいは、注釈画像作成部1732は、差分ページ画像SI本来の画素が有する色情報とは別の色情報を設定することにより、注釈画像TIとするようにしてもよい。注釈画像作成部1732によるこのような処理によっても、差分ページ画像SIにおける画像領域A3、A4が表示された場合に、画像検査データ作成装置1のオペレータが容易に注目することができる。
【0040】
注釈画像作成部1732が差分ページ画像SIを強調する注釈画像TIを作成することにより、後述するプロセスにおいて、被検査用ページ画像HIと検査用ページ画像KIとの差異を容易に確認することができる。
作成された注釈ページ画像データは、後述するプロセスにおいて、確認用ページ画像データに追加するために使用される。
【0041】
差分位置情報作成部1733は、注釈画像TIの位置について、被検査用ページ画像HIあるいは検査用ページ画像KIの基準点に基づいたオフセット情報を取得して、差分位置情報を作成する。差分位置情報作成部1733はさらに、差分ページ画像SIに付された注釈画像TIの位置情報を特定するために、注釈画像TIが付された差分ページ画像SIを作成する元となったページデータのジョブデータJDにおけるページ番号、ページデータを格納したジョブデータJDの名称、加えて該ジョブデータJDが保存されているパス名なども作成した差分位置情報で取り扱う。
作成された差分位置情報は、後述するプロセスにおいて、確認用ページ画像データのコメントとして使用される。
【0042】
確認用ページ画像データ作成部174は、被検査用ページ画像HI、検査用ページ画像KI、および差分ページ画像SIを切替表示が可能なように階層構造化した確認用ページ画像CIを含む確認用ページ画像データを作成する。
確認用ページ画像データ作成部174は、確認用ページ画像データをページデータと同形式のデータ形式で作成する。例えば、ページデータがPDFの場合、確認用ページ画像データ作成部174は、確認用ページ画像データをPDF形式のデータ形式で作成する。この時、被検査用ページ画像HI、検査用ページ画像KI、差分ページ画像SIについては、PDFの様式に則って階層構造化される。従って、後述するページデータ表示部176として機能するADOBE reader(ADOBE社の商標)において確認用ページ画像データを表示することが可能であると共に、階層構造化された被検査用ページ画像HI、検査用ページ画像KI、差分ページ画像SIそれぞれについて、切替表示を行なって表示することが可能となる。
【0043】
確認用ページ画像データ作成部174では、差分ページ画像属性情報作成部1731が作成した差分ページ画像属性情報STDについて、確認用ページ画像データを作成する際にコメントとして追加する。
これにより、差分ページ画像SIにおける差分領域の属性情報を確認することが容易となる。
【0044】
また、確認用ページ画像データ作成部174では、注釈画像作成部1732が作成した注釈画像データについても階層構造化することができるので、差分ページ画像SIを容易に確認することができる。
また、確認用ページ画像データ作成部174では、差分位置情報作成部1733が作成した差分位置情報について、確認用ページ画像データを作成する際にコメントとして追加することができるので、差分ページ画像SIにおける差分領域の位置情報を確認することが容易となる。
【0045】
図5は、確認用ページ画像データ作成部174によって作成された確認用ページ画像データCIDを説明するための図である。図示しているように、レイヤーL1、L2、L3、L4が階層構造化されており、これらを全て重ね合わせることにより、確認用ページ画像データCIDは確認用ページ画像CIを表現している。
【0046】
確認用ページ画像データ作成部174は、被検査用ページ画像データHIDを最下層であるレイヤーL1に格納する。続いて、検査用ページ画像データKIDをレイヤーL2に格納する。同様に、差分ページ画像データSIDをレイヤーL3、注釈画像作成部1732が作成した注釈画像データTIDをレイヤーL4に格納することにより、階層構造化された確認用ページ画像データCIDを作成する。確認用ページ画像データ作成部174は、各画像について切替表示可能なように階層構造化する。
確認用ページ画像データ作成部174による確認用ページ画像データCIDの階層構造化は、被検査用ページ画像データHID、検査用ページ画像データKID、差分ページ画像データSIDあるいは注釈画像データTIDを直接格納したものではなく、各画像を表現するためのデータ、すなわち被検査用ページ画像データHID、検査用ページ画像データKID、差分ページ画像データSID、注釈画像データTIDをリンクすることによって実現してもよい。
また、確認用ページ画像データ作成部174は、差分ページ画像属性情報STD、差分位置情報が作成されていたならば、それらを確認用ページ画像データCIDにおいてコメントとして追加する。
【0047】
確認用ページ画像データ作成部174は、確認用ページ画像データCIDをページデータと同形式のデータ形式で作成しているので、被検査用ページ画像HI、検査用ページ画像KI、差分ページ画像SI、注釈画像TIはそれぞれPDFレイヤーとして表示されることになり、確認用ページ画像データCIDは、後述するページデータ表示部176として機能するADOBE readerなどのPDFを表示するためのアプリケーションにおいて表示することができると共に、レイヤーL1、L2、L3、L4の表示/非表示を切り替えることができる。
【0048】
レポートデータ作成部175は、確認用ページ画像データ作成部174によって作成された確認用ページ画像データを格納したレポートデータRDを作成する。
レポートデータ作成部175は、格納した確認用ページ画像データそれぞれについて、該確認用ページ画像データの作成元であるページデータと関連付けを行なう。確認用ページ画像データと、該確認用ページデータを作成するために使用した被検査用ページ画像データおよび検査用ページ画像データを得るためにRIPを行なったページデータとを、レポートデータ作成部175は関連付ける。
レポートデータ作成部175による確認用ページ画像データとページデータとの関連付けは、ページデータに対してリンクを行なうための画像となるリンクページ画像を作成し、該リンクページ画像を確認用ページ画像データに切替表示可能なように階層構造化して追加することによって実現する。
このような関連付けを行なうことにより、確認用ページデータによる検査を行なった後、該検査の対象となったページデータに対するアクセスを容易に行なうことができるので、該ページデータに対する修正作業等に有益である。
【0049】
レポートデータ作成部175は、確認用ページ画像データを格納してレポートデータRDを作成するに際して、表紙データを作成する。表紙データは、レポートデータRD表示時に最初に表示されるページについてのデータであり、レポートファイル名、検査結果、検査条件、確認用ページ画像データの作成元であるページデータの名称を表示する。
【0050】
レポートデータ作成部175は、表紙データを作成するに際して、レポートファイル名として、レポートデータRD自体の名称を決定する。レポートファイル名の決定は、検査を行なった時間情報とジョブデータJDの名称とから、「(日付)(ジョブデータJD名称)レポート」とする。また、ユニークな名称を画像検査データ作成装置1のオペレータに促してもよい。
レポートを行なったジョブデータJDの名称については、検査を行なった対象であるジョブデータJDのファイル名を使用する。
検査結果として、画像検査データ作成装置1によって行なった検査結果についての情報として、レポートを行なった対象であるジョブデータJDの名称に加え、検査を行なったページ数、検査を行なった日時、差分画像データの数、レポートファイル名を使用する。
検査条件については、レポートデータ作成部175が画像比較部173において設定された検査条件の情報を取得し、それらを表紙データの作成に使用する。
確認用ページ画像データの作成元であるページデータの名称は、上記のように確認用ページ画像データと、該確認用ページ画像データの作成元であるページデータの関連付けをレポートデータ作成部175が行なっているので、その時の情報を使用する。
【0051】
レポートデータ作成部175は、表紙データを確認用ページ画像データCIDと同じデータ形式で作成し、該表紙データを格納した確認用ページ画像データの先頭に配置して、レポートデータRDを作成する。
図6は、レポートデータRDの構成を説明するための図である。図示しているように、レポートデータRDは表紙データFDを先頭とし、検査を行なった結果作成された確認用ページ画像データCIDを含むデータとなる。このレポートデータRDがPDF形式で作成されたデータである場合、ADOBE readerによるページ表示が行なわれるので、一般的に使用されているPDFファイル同様に、レポートデータRDを表示することができる。
すなわち、レポートデータRDもまたページデータと同形式のデータなので、後述するページデータ表示部176による表示を行なうことができる。例えば、ページデータがPDF形式のデータであるならば、レポートデータRDもPDF形式のデータとなることから、ADOBE readerによるレポートデータRDの表示を可能とする。
【0052】
レポートデータ作成部175が作成したレポートデータRDは、記憶部16に記憶される。レポートデータRDは、画像検査データ作成装置1のオペレータによって、ページデータ表示部176によって表示部12に表示することによる検査の他、ジョブデータJDの作成者、あるいはジョブデータJDに基づく印刷を行なうRIP作業者が必要とした場合、記憶部16に記憶されたレポートデータRDはメディアディスク18に格納されて搬送されるか、あるいはネットワークI/F14を介して、画像検査データ作成装置1外部のページデータ表示装置による表示に供される。
【0053】
ページデータ表示部176は、ページ記述言語で記述されたページデータ、レポートデータRDについて、表示用のRIPを行ない、表示用ページ画像、表示用レポート画像を作成して、表示部12に表示する。
ページデータ表示部176は、レポートデータRDに格納された確認用ページ画像データが複数の画像を切替表示可能に階層構造化されていることから、切替表示を制御する。また、確認用ページ画像データCIDに含まれるコメントについて、表示を制御する。
ページデータ表示部176が、レポートデータRDの内容を表示部12に表示することにより、画像検査データ作成装置1における被検査用ページ画像HIと検査用ページ画像KIとの差異の確認を実行することが可能となる。
【0054】
図7は、ページデータ表示部176が、レポートデータRDを表示部12に表示した状態を示すための図である。
【0055】
図7では、レポートデータRDに格納された、ある確認用ページ画像データが表現する確認用ページ画像CIが表示されている。また、表示部12には、ページデータ表示部176により、レイヤー切替欄La、コメント切替欄Naが表示されている。
【0056】
レイヤー切替欄Laは、階層構造化された確認用ページ画像データの階層について表示を選択するために使用される。レイヤー切替欄Laでは、表示部12に表示される確認用ページ画像CIの表示について、階層構造化されている被検査用ページ画像データを格納しているL1、検査用ページ画像データを格納しているL2、差分ページ画像データを格納しているL3、注釈画像データを格納しているL4、を表示するか否かを入力部13の入力により選択する。レイヤー切替欄Laの選択は排他的なものではなく、レイヤーL1〜L4を複数選択、あるいは全てを同時に表示することができる。
図7では、レイヤー切替欄Laの選択において、レイヤーL3、L4が選択されているので、ページデータ表示部176は、確認用ページ画像CIとしてレイヤーL3に格納された差分ページ画像データによって表現される差分ページ画像SI、レイヤーL4に格納された注釈画像データによって表現される注釈画像TIを表示部12に表示している。
【0057】
コメント切替欄Naは、確認用ページ画像データに含まれる差分画像データSIDによって表示される画像領域A3、A4に付与された差分ページ画像属性情報STD、差分位置情報SPDを選択するために使用される。コメント切替欄Naでは、画像領域A3、A4に付与された差分ページ画像属性情報STD、差分位置情報SPDを一まとめにした選択欄Na3、Na4として表示している。
【0058】
ここでは、コメント切替欄Naの選択欄Na3において、画像領域A3に付与された差分ページ画像属性情報STDとして、「HI:C100,M100,Y100,K100」、「KI:C0,M0,Y0,K0」が表示されており、差分位置情報SPDとしてジョブデータJDにおける2ページであることを示す「JD_PD2」が表示されている。
また、コメント切替欄Naの選択欄Na4では、画像領域A4に付与された差分ページ画像属性情報STD、差分位置情報SPDが表示されている。
【0059】
コメント切替欄Naに対して、入力部13によって選択欄Na3を選択すると、ページデータ表示部176は画像領域A3についてズームアップ表示を行なう。また、コメント切替欄Naに表示されている選択欄Na4を入力部13によって選択することで、ズームアップ表示のまま画像領域A3から画像領域A4へ表示を切り替えることができる。
なお、コメント切替欄Naを表示しない場合、差分ページ属性情報STD、差分位置情報SPDは、画像領域に付与されるバルーン内に表示するようにしてもよい。
【0060】
また、確認用ページ画像データでは、ページデータに対する関連付けとして、リンクページ画像もまた階層構造化されて格納されている。それに従って、
図7に示すレイヤー切替欄では、レイヤーL5としてリンクページ画像が選択可能である。入力部13による選択により、レイヤーL5の表示が選択されると、差分ページ画像SIの表示において、リンクページ画像の表示が追加され、確認用ページ画像データに関連付けられているページデータ、すなわち該差分ページ画像SIの作成元でもあるページデータに対するリンク情報が表示される。
【0061】
画像検査データ作成装置1のオペレータは必要に応じて、リンク情報を入力部13によって入力することにより、ページデータ表示部176によりページデータを表示部12に表示することができる。ページデータの表示を行なうことにより、ページデータの表現するページ画像を確認することができる。
【0062】
なお、ページデータ表示部176は、ページデータを表示するために一般的に使用されるアプリケーションソフトウェアで実現してもよい。例えばページデータ、レポートデータRDがPDF形式のデータである場合、ADOBE reader(ADOBE社の商標)をページデータ表示部176として使用することができる。
【0063】
図8は、画像検査データ作成装置1の動作を説明するためのフローチャートである。記憶部16に格納されたプログラムPが、画像検査データ作成装置1のCPU11によってメモリ17で実行されることにより、画像検査データ作成装置1は以下のような動作を実行する。
【0064】
ステップS1において、画像検査データ作成装置1がページデータを格納したジョブデータJDを取得する。画像検査データ作成装置1のCPU11は、ネットワークI/F14を介して、図示しない端末から図示しないネットワークを介して、ジョブデータJDを取得する。あるいは、メディアディスク18に格納されたジョブデータJDをメディアドライブ15を介して、画像検査データ作成装置1が取得する。また、図示しないページデータ作成手段を画像検査データ作成装置1が備えており、該ページデータ作成手段で作成されたページデータを格納したジョブデータJDを画像検査データ作成装置1が取得してもよい。
【0065】
ジョブデータJDは、一つの印刷物を作成するために使用されるページデータを1以上格納したデータである。ジョブデータJDに格納されたページデータを、図示しない印刷制御装置がRIPすることにより、1ページ分の印刷を行なうための印刷用ページ画像データが作成される。図示しない印刷制御装置がジョブデータJDに格納されたページデータを全てRIPすると、一つの印刷物を作成するための複数の印刷用ページ画像データが作成されることになる。
画像検査データ作成装置1が取得したジョブデータJDは、記憶部16に記憶される。
【0066】
ステップS2で、被検査用ページ画像データ作成部171が、ステップS1で取得したジョブデータJDに格納されたページデータに対して印刷用RIP相当のRIPを行なうことにより、図示しない印刷制御装置が出力する印刷用ページ画像データに相当する解像度の多値ビットマップ画像である被検査用ページ画像HIを表現する被検査用ページ画像データHIDを作成する。作成された被検査用ページ画像データHIDは、一時的にメモリ17が記憶する。
【0067】
ステップS3では、検査用ページ画像データ作成部172が、ステップS1で取得したジョブデータJDに格納されたページデータに対して表示用RIP相当のRIPを行なうことにより、ページデータ表示部176で表示部12に表示する表示用ページ画像データに相当する解像度の多値ビットマップ画像である検査用ページ画像KIを表現する検査用ページ画像データKIDを作成する。ステップS3において、検査用ページ画像データ作成部172は、ページデータ表示部176の機能を利用して、検査用ページ画像データKIDを作成してもよい。作成された検査用ページ画像データKIDは、一時的にメモリ17が記憶する。
【0068】
ここで、被検査用ページ画像データHIDが印刷用ページ画像データ相当であり、検査用ページ画像データKIDが表示用ページ画像データ相当であるのは、画像検査データ作成装置1により作成される差分ページ画像データによる画像検査の目的が、作成されたページデータのページ画像と同じ見え方を印刷物のページ画像に希望していることから、表示用ページ画像データ(検査用ページ画像データKID)を基準として印刷用ページ画像データ(被検査用ページ画像データHID)が適正か否かを検査するためである。
【0069】
ステップS4は、画像比較部173が、被検査用ページ画像データHIDによって表現される被検査用ページ画像HIと、検査用ページ画像データKIDによって表現される検査用ページ画像KIとを比較し、差分ページ画像SIを表現する差分ページ画像データSIDを作成する。
画像比較部173は、被検査用ページ画像HIおよび検査用ページ画像KIの解像度が一致していない場合、両者の解像度を一致するような処理を行ない、被検査用ページ画像HIを構成する画素と検査用ページ画像KIを構成する画素とを比較し、該画素における画素値の有無に基づいて差分ページ画像SIを取得し、差分ページ画像データSIDを作成する。
画像比較部173による二つの画像比較手法については、公知の手法を適宜使用する。
【0070】
また、ステップS4において、画像比較部173は、差分画像ページ画像データによって表現される差分ページ画像SIの確認を容易に行なうために、差分ページ画像属性情報作成部1731による差分ページ画像属性情報作成、注釈画像作成部1732による注釈画像作成、差分位置情報作成部1733による差分位置情報作成を行なう。
【0071】
ステップS5で、確認用ページ画像データ作成部174が、被検査用ページ画像データHID、検査用ページ画像データKID、および差分ページ画像データSIDに基づいて、被検査用ページ画像HI、検査用ページ画像KI、および差分ページ画像SIを切替表示が可能なように階層構造化した確認用ページ画像CIを表現する確認用ページ画像データCIDを作成する。
確認用ページ画像データ作成部174は、被検査用ページ画像データHIDを最下層であるレイヤーL1に格納する。続いて、検査用ページ画像データKIDをレイヤーL2に格納する。同様に、差分ページ画像データSIDをレイヤーL3、注釈画像作成部1732が作成した注釈画像データTIDをレイヤーL4に格納することにより、ページデータと同じデータ形式の階層構造化された確認用ページ画像データCIDを作成する。確認用ページ画像データ作成部174は、各画像について切替表示可能なように階層構造化する。
また、確認用ページ画像データ作成部174は、差分ページ画像属性情報、差分位置情報が作成されていたならば、それらを確認用ページ画像データCIDにおいてコメントとして追加する。
【0072】
ステップS6において、画像検査データ作成装置1は、ジョブデータJDにおいて検査を行なうべきページデータが存在するか否かを判断する。画像比較部173によって指定されたページ数に基づいて、画像検査データ作成装置1は記憶部16に記憶されたジョブデータJDから検査を行なうべきページデータが残っているか否かを判断し、残っている場合にはステップS1に帰還して、ステップS2〜S5のプロセスを繰り返して確認用ページ画像データCIDの作成を行なう。
ステップS6において、検査を行なうべきページデータが存在しないと画像検査データ作成装置1が判断した場合、ステップS7に移行する。
【0073】
ステップS7は、レポートデータ作成部175が、ステップS5で作成された確認用ページ画像データCIDを格納したレポートデータRDを作成する。レポートデータ作成部175が作成するレポートデータRDは、ページデータと同形式のデータである確認用ページ画像データCIDを格納したものであることから、やはりページデータと同形式のデータとなる。
レポートデータRDの作成が終了したならば、画像検査データ作成装置1は、その動作を完了する。
【0074】
図9は、画像検査データ作成装置1によって作成されたレポートデータRDが、ネットワーク4を介して、ページデータ表示装置2、3に送信される状態を説明するための図である。ページデータ表示装置2は、ジョブデータJDの作成者の元にあり、ページデータ表示装置3はジョブデータJDを印刷するためにRIPを行なうRIP作業者の元にある。
【0075】
ジョブデータJDの作成者は、作成したジョブデータJDによる印刷が適切に実行可能かどうかを判断するため、ジョブデータJDを画像検査データ作成装置1へ、ネットワーク4を介して、送信する。
画像検査データ作成装置1は、受信したジョブデータJDについて
図8に示すフローチャートに基づく処理を行なってレポートデータRDを作成し、ネットワーク4を介して、ジョブデータJDの作成者へ返信する。
ジョブデータJDの作成者は、ページデータ表示装置2においてレポートデータRDを表示することにより、作成したジョブデータJDに含まれるページデータの記述が適切であったか否かを確認することができるので、RIP作業者によるRIP前に適切な印刷が実行可能かどうかを判断することができる。
【0076】
一方、ネットワーク4を介してジョブデータJDを受信しRIPを行なったRIP作業者が、ジョブデータJDをRIPして適切な結果を得られなかった場合に、該ジョブデータJDを画像検査データ作成装置1へネットワーク4を介して送信する。
画像検査データ作成装置1は、受信したジョブデータJDについて
図8に示すフローチャートに基づく処理を行なってレポートデータRDを作成し、ネットワーク4を介して、RIP作業者へ返信する。
RIP作業者は、ページデータ表示装置3においてレポートデータRDを表示することにより、RIPミスがRIP時のトラブルに依るものか、あるいはジョブデータJDの作成時に不適切な記述があったのかを確認することができるので、再度ジョブデータJDをRIPする場合のRIPトラブルを防止することができる。
【0077】
〈変形例〉
これまでの説明では、画像検査条件を設定する前に被検査用ページ画像データHID、検査用ページ画像データKIDの作成を行なってきたが、ステップS4における画像検査条件を設定した後、被検査用ページ画像データHID、検査用ページ画像データKIDの作成を行なうようにしてもよい。
【0078】
また、画像検査データ作成装置1は単体のコンピュータとして説明を行なってきたが、被検査用ページ画像データ作成部171、検査用ページ画像データ作成部172の機能を、別のコンピュータに振り分けてもよい。具体的には、被検査用ページ画像データ作成部171としてジョブデータJDに対して印刷用RIPを行なう印刷制御装置を使用し、検査用ページ画像データ作成部172としてジョブデータJDに対して表示用RIPを行なうページ表示装置を使用することにより、被検査用ページ画像データHID、検査用ページ画像データKIDを作成し、作成された被検査用ページ画像データHID、検査用ページ画像データKIDをネットワークI/F14を介して取得するか、あるいはメディアディスク18を介して取得するようにしてもよい。