(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の駆動パルス、及び前記次の駆動パルスの長さは、ノズルの数、プリミティブの数、印刷要求、またはそれらの組み合わせに基づいている、請求項11に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0005】
詳細な説明
上述のように、プリントヘッド・ダイは、プリントヘッド・ダイ内の複数のノズル噴射ヒーターを使用し、インク滴をノズルを介して印刷媒体上に堆積させる。さらに、ノズル噴射ヒーターは、種々の駆動パルスに基づいてインクを沸騰させ、噴射することができる。プリントヘッド・ダイは、印刷媒体上にインクを噴射するための数千個ものノズルを含む場合がある。多くの場合、駆動パルスはノズル噴射ヒーターによって受信され、プリントヘッド・ダイに関連する全ノズルから同時に、または、ほぼ同時にインクを噴射させる。全てのノズルから同時にインクを噴射することは、プリントヘッド・ダイの電源ライン上の同時過渡電流、及びリンギングを増加させる。
【0006】
本明細書に記載される種々の例によれば、ワイドアレイ・プリントヘッド・モジュールが得られる。ワイドアレイ・プリントヘッド・モジュールは、複数のプリントヘッド・ダイを含み、プリントヘッド・ダイの各々は、印刷媒体上にインクを噴射するための複数のノズルを含む。複数のノズルは、複数のプリミティブを形成している。ノズルの各々に、ノズル噴射ヒーターが結合されている。特定用途向け集積回路(ASIC)を使用して、プリミティブに関連するノズルの各々についてノズル噴射ヒーターを駆動する複数の駆動パルスが制御される。駆動パルスは、内部遅延、及び外部遅延により、プリミティブの各々の間において遅延され、プリントヘッド・ダイの最大電力需要を低減する。ASICは、各プリントヘッド・ダイ内の内部遅延を較正する。このようなワイドアレイ・プリントヘッド・モジュールによれば、電源ライン上の同時過渡電流、及びリンギングを最小限に抑えることができる。その結果、プリントヘッド・ダイの最大電力需要が低減される。
【0007】
本明細書、及び添付の特許請求の範囲において使用される「プリミティブ」という語は、プリントヘッド・ダイの中の一群のノズルを意味するものとして、広く解釈されるべきである。一例において、プリミティブは、8個のノズルを含む場合がある。他の例において、プリミティブは、16個のノズルを含む場合がある。さらに、プリントヘッド・ダイは、複数のプリミティブを含む場合がある。
【0008】
本明細書、及び添付の特許請求の範囲において使用される「駆動パルス」という語は、ノズル噴射ヒーターに送信され、ノズルからインクを噴射できるようにノズル噴射ヒーターを駆動する信号を意味するものとして、広く解釈されるべきである。一例において、駆動パルスは、電圧によって定義される単一のパルスである場合がある。他の例において、駆動パルスは、複数の前駆パルス、及び複数の駆動パルスを含む。前駆パルスは、ノズル噴射ヒーターを駆動してインクを温め、駆動パルスは、ノズル噴射ヒーターを駆動してインクを沸騰させる。さらに別の例において、駆動パルスは、複数の駆動パルスを含むパルス列を含み、駆動パルスの合計によって総駆動エネルギーが形成される。さらに、駆動パルス時間が、時間の長さによって定義される。駆動パルスの時間的長さは、ノズルの数、プリミティブの数、印刷要求、またはそれらの組み合わせに基づいている。
【0009】
本明細書、及び添付の特許請求の範囲において使用される「遅延」という語は、次の駆動パルスが生成される際の、第1の駆動パルスに対する時間間隔を意味するものとして、広く解釈されるべきである。一例において、遅延は、内部遅延である場合もあれば、外部遅延である場合もある。内部遅延は、プリントヘッド・ダイのアナログ要素またはデジタル要素によって制御され、外部遅延は、ASICによってデジタル制御される。さらに、外部遅延は、複数のプリントヘッド・ダイ間におけるインクの噴射間の遅延として定義される。
【0010】
さらに、本明細書、及び添付の特許請求の範囲において使用される「複数の」またはそれに類似する語は、1から無限大までを含む任意の正の数を意味するものとして、広く解釈されるべきである。ゼロは、数ではなく、数の不在を意味している。
【0011】
下記の説明では、本発明のシステム、及び方法を完全に理解してもらうために、例示の目的で、多数の具体的詳細について説明をする。ただし、当業者には明らかであるように、本発明の装置、システム、及び方法は、それらの具体的詳細なしに実施される場合もある。本明細書において「一例」またはそれに類する語は、その例に関係して説明された特定の特徴、構造、または性質が、説明されたように含まれるが、例によってはそれらが含まれない場合もあることを意味している。
【0012】
図1Aは、本明細書に記載される種々の原理の一例による、遅延回路(112)を含む印刷装置(100)を示す図である。印刷装置(100)は、複数のワイドアレイ・プリントヘッド・モジュール(110)を含む。
図1Aには一つのワイドアレイ・プリントヘッド・モジュール(110)が示されているが、印刷装置(100)の中には、任意数のワイドアレイ・プリントヘッド・モジュール(110)が含まれる場合がある。
【0013】
ワイドアレイ・プリントヘッド・モジュール(110)はそれぞれ、複数のプリントヘッド・ダイ(111)、及び特定用途向け集積回路(ASIC)(150)を含む。
図1Aには一つのプリントヘッド・ダイ(111)が示されているが、ワイドアレイ・プリントヘッド・モジュール(110)の各々の中には、複数のプリントヘッド・ダイ(111)を含む任意数のプリントヘッド・ダイ(111)が含まれる場合がある。
【0014】
遅延回路(112)を備えたASIC(150)は、各プリントヘッド・ダイ(111)内の複数の内部遅延を較正するとともに、ASIC(150)から送信される複数の駆動パルス(117)を制御する。駆動パルス(117)は、プリントヘッド・ダイ(111)内の複数のノズル(116)の各々について複数のノズル噴射ヒーター(114)を駆動する。ノズル(116)は、複数のプリミティブ(115)に関連している。
図1Aには一つのプリミティブ(115)が示されているが、プリントヘッド・ダイ(111)の各々の中には、任意数のプリミティブ(115)が含まれる場合がある。プリミティブ(115)は、単一のプリントヘッド・ダイ(111)内の種々のノズル群として定義される。駆動パルス(117)は、内部遅延、及び複数の外部遅延によって、プリミティブ(115)の各々の間において遅延され、プリントヘッド・ダイ(111)の最大電力需要を低減するとともに、電源ライン上の同時過渡電流、及びリンギングを最小限に抑える。
【0015】
図1Bは、本明細書に記載される種々の原理の他の例による、遅延回路(112)を含む印刷装置(100)を示す図である。印刷装置(100)は、電子機器の形で実施される場合がある。印刷装置(100)は、スタンドアロンのハードウェア、モジュール・アプリケーション、コンピューティング・ネットワークを介して、またはそれらの組み合わせを含む任意のデータ処理状況において使用される場合がある。さらに、印刷装置(100)は、コンピューティング・ネットワーク、公衆クラウド・ネットワーク、私設クラウド・ネットワーク、ハイブリッド・クラウド・ネットワーク、他の形態のネットワーク、またはそれらの組み合わせにおいて使用される場合がある。
【0016】
印刷装置(100)は、その望ましい機能を実現するために、種々のハードウェア構成要素を含む。とりわけ、こうしたハードウェア構成要素の例としては、複数のプロセッサ(101)、複数のデータ記憶装置(102)、複数の周辺機器アダプタ(103)、及び複数のネットワーク・アダプタ(104)が挙げられる。これらのハードウェア構成要素は、複数のバス、及び/またはネットワーク接続の使用により相互接続される場合がある。一例において、プロセッサ(101)、データ記憶装置(102)、周辺機器アダプタ(103)、及びネットワーク・アダプタ(104)は、バス(105)を介して通信可能に結合される場合がある。
【0017】
プロセッサ(101)は、データ記憶装置(102)から実行可能コードを読み出し、当該実行可能コードを実行するハードウェア・アーキテクチャを含む場合がある。実行可能コードは、プロセッサ(101)によって実行されたときに、プロセッサ(101)に、少なくとも、第1の駆動パルスを生成する前にプリントヘッド・ダイの第1のプリミティブ遅延を決定し、プリントヘッド・ダイのプリミティブについて第1の駆動パルスを生成する機能を実施させる。プリミティブは、プリントヘッド・ダイの中に画定された複数のノズルに関連している。実行可能コードはプロセッサ(101)に、少なくとも、第1の駆動パルスにより、プリミティブ遅延に基づいて、プリミティブに関連するノズルの各々に結合された複数のノズル噴射ヒーターを駆動し、次の駆動パルスを生成する前に後続のプリミティブ遅延を決定する機能を、さらに実施させる場合がある。実行可能コードは、プロセッサ(101)に、少なくとも、後続のプリミティブ遅延に基づいて、プリントヘッド・ダイの次のプリミティブについて次の駆動パルスを生成する機能を、さらに実施させる場合がある。実行可能コードは、プロセッサ(101)に、本明細書に記載された本明細書の種々の方法にしたがってその機能を実施させる。コードを実行している最中に、プロセッサ(101)は、複数の残りのハードウェア・ユニットから入力を受け取ったり、複数の残りのハードウェア・ユニットに出力を提供したりする場合がある。
【0018】
データ記憶装置(102)は、プロセッサ(101)その他の処理装置により実行される実行可能プログラムコードのようなデータを記憶している場合がある。後で説明されるように、データ記憶装置(102)は、具体的には、少なくとも本明細書に記載される機能を実施ためにプロセッサ(101)により実行される複数のアプリケーションを表すコンピュータ・コードを記憶している場合がある。
【0019】
データ記憶装置(102)は、揮発性メモリ、及び不揮発性メモリを含む様々なタイプのメモリ・モジュールを含む場合がある。例えば、本例のデータ記憶装置(102)は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)(106)、及びリード・オンリー・メモリ(ROM)(107)を含む。多くの他のタイプのメモリもまた使用されることができ、本明細書は、本明細書に記載される種々の原理の特定の応用形態に適合する限り、データ記憶装置(102)における多数の様々なタイプ(複数可能)のメモリの使用を想定している。特定の例としては、異なるデータ記憶の必要性のために、異なるタイプのメモリがデータ記憶装置(102)において使用される場合がある。例えば、特定の例として、プロセッサ(101)は、リード・オンリー・メモリ(ROM)(107)からブートをする場合があり、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)(106)に記憶されたプログラム・コードを実行する場合がある。
【0020】
データ記憶装置(102)は、とりわけ、コンピュータ読み取り可能媒体、コンピュータ読み取り可能記憶媒体、または非一時的コンピュータ読み取り可能媒体を含み得る。例えば、データ記憶装置(102)は、限定はしないが、電気的、磁気的、光学的、電磁気的、赤外線、または半導体のシステム、器具、または装置、あるいは前記の任意の適当な組み合わせである場合がある。コンピュータ読み取り可能記憶媒体のさらに具体的例としては、例えば、次のものが挙げられる:複数のワイヤーを有する電気的接続、ポータブルコンピュータのフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリー・メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル・リード・オンリー・メモリ(EPROMまたはフラッシュ・メモリ)、ポータブル・コンパクト・ディスク・リード・オンリー・メモリ(CD−ROM)、光学記憶装置、磁気記憶装置、または前記の任意の適当な組み合わせ。本文書の文脈において、コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、命令実行システム、器具、または装置によって使用されるコンピュータ使用可能プログラムコード、またはそれらに関係するコンピュータ使用可能プログラムコードを格納し、または記憶することができる如何なる有形の媒体であってもよい。他の例において、コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、命令実行システム、器具、または装置によって使用されるプログラム、またはそれらに関係するプログラムを格納し、または記憶することができる如何なる非一時的媒体であってもよい。
【0021】
印刷装置(100)におけるハードウェア・アダプタ(103)によれば、プロセッサ(101)を印刷装置(100)の内外にある様々なハードウェア要素と接続することが可能になる。例えば、周辺機器アダプタ(103)によれば、例えば、ユーザ・インタフェース、マウス、またはキーボードのような入出力デバイスに対するインタフェースが得られる。周辺機器アダプタ(103)によれば、外部記憶装置、例えばサーバ、スイッチ、及びルータのような複数のネットワーク・デバイス、クライアント・デバイス、他のタイプのコンピューティング・デバイス、及びそれらの組み合わせのような、種々の他の外部装置に対するアクセスがさらに可能になる場合がある。
【0022】
周辺機器アダプタ(103)は、プロセッサ(101)と、ユーザ・インタフェース、他の印刷装置、または他の媒体出力装置との間のインタフェースをさらに形成する場合がある。ネットワーク・アダプタ(104)によれば、例えばネットワーク内の他のコンピューティング・デバイスに対するインタフェースが得られる場合があり、それによって、印刷装置(100)と、ネットワーク内にある他の装置との間におけるデータの伝送が可能になる場合がある。
【0023】
印刷装置(100)は、プロセッサ(101)によって実行されたときに、データ記憶装置(102)に記憶されている複数のアプリケーションを表す実行可能プログラムコードに関連する複数のグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)を、ユーザ・インタフェース上に表示する場合がある。GUIは、例えば、複数のユーザ対話型印刷オプションを表示する場合がある。
【0024】
印刷装置(100)は、印刷媒体上にインクを噴射するために使用される複数のプリントヘッド(110)をさらに含む。一例において、プリントヘッドは、ワイドアレイ・プリントヘッド・モジュールである。
図1Bには一つのプリントヘッド(110)が示されているが、印刷装置(100)の中には、任意数のプリントヘッドが存在する場合がある。プリントヘッド(110)は、コンピューティング・デバイスから送信されたプリントジョブ内に格納された種々の命令に基づいて動作する。プリントジョブは、例えば文書を印刷するための、種々の命令を含んでいる。プロセッサ(101)は、プリントジョブを解釈し、プリントヘッド(110)に、プリントジョブの中に表された文書が印刷媒体上に表現されるようにインクを印刷媒体上に噴射させる。
【0025】
複数のプリントヘッド(110)の各々は、複数のプリントヘッド・ダイ(111)を含む。プリントヘッド・ダイ(111)は、半導体材料のブロックから作成され、その上に、本明細書に記載される種々の機能的回路が形成される場合がある。一例において、プリントヘッド・ダイ(111)は、フォトリソグラフィのような処理により、電子水準シリコン(EGS: Electronic-Grade Silicon)その他の半導体のウェーハ上に形成される。
図1Bのプリントヘッド(110)の中には一つのプリントヘッド・ダイ(111)が示されているが、任意数のプリントヘッド・ダイ(111)が、印刷装置(100)の種々のプリントヘッド(110)の中に存在する場合もある。
【0026】
印刷装置(100)は、プリントヘッド(110)の各々のプリントヘッド・ダイ(111)の中に形成された遅延回路(112)をさらに含む。遅延回路(112)は、内部遅延を使用して個々のプリントヘッド・ダイ(111)内のプリミティブ間に生成される噴射の遅延、及び外部遅延を使用して異なるプリントヘッド(110)間に生成される噴射の遅延により、印刷装置(100)におけるプリントヘッド・ダイの最大電力需要の制御、及び低減を補助することができる。
【0027】
遅延回路(112)は、第1の駆動パルスを生成する前にプリントヘッド・ダイの第1のプリミティブ遅延を決定し、プリントヘッド・ダイのプリミティブについて第1の駆動パルスを生成することによって、ASIC(150)、及びプロセッサ(101)をさらに補助する。プリミティブは、プリントヘッド・ダイの中に画定された複数のノズルに関連している。遅延回路(112)はさらに、第1の駆動パルスにより、プリミティブ遅延に基づいて、プリミティブに関連するノズルの各々に結合された複数のノズル噴射ヒーターを駆動し、次の駆動パルスを生成する前に後続のプリミティブ遅延を決定する。さらに、遅延回路(112)は、後続のプリミティブ遅延に基づいて、プリントヘッド・ダイの次のプリミティブについて次の駆動パルスを生成する。遅延回路(112)は、本明細書に記載された本明細書の種々の方法にしたがって、ASIC(150)、及びプロセッサ(101)を補助する。本システム、及び方法の機能が無ければ、プリントヘッド・ダイ(111)の最大電力需要の低減は実現されないであろうし、電源ライン上の同時過渡電流、及びリンギングも低減されないであろう。
【0028】
印刷装置(100)は、本明細書に記載されたシステム、及び方法の実施の際、及び、文書を印刷する際に使用される複数のモジュールをさらに含む。印刷装置(100)内の種々のモジュールは、個別に実行されることができる実行可能プログラムコードを含む。この例において、種々のモジュールは、個別のコンピュータ・プログラム製品として記憶される場合がある。別の例では、印刷装置(100)内の種々のモジュールは、複数のコンピュータ・プログラム製品と組み合わされ、各コンピュータ・プログラム製品が、複数のモジュールを含む場合がある。印刷装置(100)は、プロセッサ(101)により実行されたときにASICを制御し、本明細書に記載されるように、個々のプリントヘッド・ダイ(111)内のプリミティブの噴射間に遅延を生成するとともに、異なるプリントヘッド(110)の噴射間に遅延を生成する遅延モジュール(113)を含む場合がある。
【0029】
図1Cは、本明細書に記載される種々の原理の一例による、ワイドアレイ・プリントヘッド・モジュールを示す図である。以下で説明されるように、ワイドアレイ・プリントヘッド・モジュールは、基板上に集積された複数のプリントヘッド・ダイを含む場合がある。さらに、プリントヘッド・ダイの各々は、ASIC、及び遅延回路により生成された駆動パルスに基づいてインクを噴射するための複数のノズルを含む場合がある。
【0030】
ワイドアレイ・プリントヘッド・モジュール(100)は、基板(140)と、データ、及び電力の伝送を可能にする複数の接続(120)を含む。一例において、ワイドアレイ・プリントヘッド・モジュール(100)は、複数のプリントヘッド・ダイ(160)を含む。
図1Cにおいて、これらのプリントヘッド・ダイ(160)は、3色のインク、及びブラックインクを使用するフルカラー印刷が可能となるように、4個の群に編成されている。これらの群は、プリントヘッド・ダイ(160)上の噴射列間の重なり合いを許容する形で、互い違いに配置されている。
【0031】
一部の例において、特定のインクを使用するプリントヘッド・ダイ(160)は、他のインクを使用するプリントヘッド・ダイの幾何学形状とは異なる幾何学形状を生成するために、特定の製造プロセスにおいて異なる層厚を使用して最適に設計される場合がある。例えば、ブラック、及びカラーのインクを使用する場合、大きな液滴重量を有するブラックインクは、高い高さの噴射室をダイ上に有するのに対し、小さな液滴重量を有するカラーインクは、低い高さの噴射室をダイ上に有する場合がある。その場合でも、これらのカラーインクのプリントヘッド・ダイ(160)は、大きな液滴重量を有するブラックのプリントヘッド・ダイに比べて薄いポリマーの層をカラーインクのプリントヘッド・ダイの製造プロセスに使用して、一つのダイ上に同様に作成される場合がある。一部の例において、プリントヘッド・ダイ(160)は、印刷表面を前後に走査する必要なくページ幅全体を印刷できるように設計される。
【0032】
さらに、ワイドアレイ・プリントヘッド・モジュール(100)は、ASIC(150)を含む。ASIC(150)は、印刷装置上に、プリントヘッド・ダイの群間の隙間に配置される場合がある。基板(140)上にASICを設けることで、プリントヘッド・ダイ(160)とプリンターとの間におけるデータ通信路の数を減らすことができる場合がある。以下で説明されるように、ASIC(150)は、各プリントヘッド・ダイ(160)のノズルに関連するノズル噴射ヒーターを駆動する駆動パルスを制御する。
【0033】
一部の例において、ASIC(150)は、遅延回路(112)を使用して時間的に遅延された駆動パルスを生成することで、単一のプリントヘッド・ダイ(160)から引き出される最大電圧パワーを低減する。一部の例において、ASIC(150)は、時間的に遅延された駆動パルスを生成することで、ワイドアレイ・プリントヘッド(100)から全体として引き出される最大電圧パワーを低減する。その結果、通常ならば大きな電流を生成できなければならないであろうプリンターの種々の物理的構成要素のコストを低減することができる。
【0034】
一部の例において、ASIC(150)は、
図1Cに示されるように配置された単一のデバイスである。他の例において、ASIC(150)は、プリントヘッド・ダイ(160)のノズルの動作を制御、及び調整するための、基板(140)に取り付けられた複数のデバイスである。この例では、これらのデバイスは、プリントヘッド・ダイ(160)の群間の隙間に配置される。
【0035】
一部の例において、ワイドアレイ・プリントヘッド(100)は、ワイドアレイ・プリントヘッド(100)上に配置されたさらに別のメモリ、または専用の熱制御装置を有する。ASIC、及び駆動パルスに関する詳しい情報については、本明細書の他の部分において説明される。
【0036】
図2は、本明細書に記載される種々の原理の一例による、ワイドアレイ・プリントヘッド・モジュールの最大電力需要を低減する方法を示すフロー図である。一例において、方法(200)は、
図1CのASICにより実行される場合がある。他の例において、方法(200)は、他のシステム、及び/またはデバイスにより実行される場合がある。方法(200)は、第1の駆動パルスを生成する前にプリントヘッド・ダイの第1のプリミティブ遅延を決定し(201)、プリントヘッド・ダイのプリミティブについて第1の駆動パルスを生成すること(202)を含み、プリミティブは、プリントヘッド・ダイの中に画定された複数のノズルに関連している。本方法は、第1の駆動パルスにより、第1のプリミティブ遅延に基づいて、プリミティブに関連するノズルの各々に結合された複数のノズル噴射ヒーターを駆動し(203)、次の駆動パルスを生成する前に後続のプリミティブ遅延を決定すること(204)をさらに含む。次いで、本方法は、後続のプリミティブ遅延に基づいて、プリントヘッド・ダイの次のプリミティブについて次の駆動パルスを生成する(205)場合がある。
【0037】
上述のように、方法(200)は、第1の駆動パルスを生成する前にプリントヘッド・ダイの第1のプリミティブ遅延を決定すること(201)を含む。一例において、プリントヘッド・ダイの第1のプリミティブ遅延は、プリントジョブが駆動された時から第1のプリントヘッド・ダイが第1の駆動パルスを受信するまでの遅延である場合がある。他の例においては、ASICが、第1の駆動パルスを生成する前にプリントヘッド・ダイの第1のプリミティブ・遅延を決定する場合がある。
【0038】
上述のように、方法(200)は、プリントヘッド・ダイのプリミティブについて第1の駆動パルスを生成すること(202)を含み、プリミティブは、プリントヘッド・ダイの中に画定された複数のノズルに関連している。第1の駆動パルスは、ASIC(
図1C、150)からプリントヘッド・ダイ(
図1C、160)のプリミティブに関連するノズル噴射ヒーターへ送信される信号であって、ノズルからインクを噴射することができるようにプリミティブのノズル噴射ヒーターを駆動する信号である場合がある。一例において、第1の駆動パルスは、電圧によって定義される単一のパルスである場合がある。他の例において、第1の駆動パルスは、複数の前駆パルス、及び複数の駆動パルスを含む。前駆パルスは、ノズル噴射ヒーターを駆動してインクを温め、駆動パルスは、ノズル噴射ヒーターを駆動してインクを沸騰させる。さらに別の例において、第1の駆動パルスは、複数の駆動パルスを含むパルス列を含み、駆動パルスの合計によって総駆動エネルギーが形成される。さらに、第1の駆動パルス期間が、時間の長さによって定義される。第1の駆動パルスの長さは、ノズルの数、プリミティブの数、印刷要求、またはそれらの組み合わせに基づいている。一部の例においては、ASIC(
図1C、150)が、プリントヘッド・ダイ(
図1C、160)のプリミティブについて第1の駆動パルスを生成する場合がある。
【0039】
上述のように、方法(200)は、第1の駆動パルスにより、第1のプリミティブ遅延に基づいて、プリミティブに関連するノズルの各々に結合された複数のノズル噴射ヒーターを駆動すること(203)を含む。一例において、ノズルは、一行のプリミティブを成すように配置される場合がある。さらに、ノズルの各々は、ノズル噴射ヒーターを含む。ノズル噴射ヒーターの各々が第1の駆動パルスを受信すると、ノズル噴射ヒーターは、駆動パルスに基づいてインクを沸騰させ、噴射することができる。したがって、もしプリントヘッド・ダイが例えば3個のプリミティブを含む場合、第1の駆動パルスは、ノズル噴射ヒーターにより、第1のプリミティブの第1のノズルを駆動する。次に、第1の駆動パルスは、ノズル噴射ヒータにより、第2のプリミティブの第1のノズルを駆動する。さらに、第1の駆動パルスは、ノズル噴射ヒーターにより、第3のプリミティブの第1のノズルを駆動する。このように、駆動パルスは、各プリミティブに伝播し、各プリミティブにおける第1のノズルを駆動する。駆動パルスは、第1のノズルの各々についてのアドレスに基づいて、各プリミティブにおける第1のノズルを駆動する場合がある。
【0040】
上述のように、方法(200)は、次の駆動パルスを生成する前に後続のプリミティブ遅延を決定すること(204)を含む。一例において、後続のプリミティブ遅延は、次の駆動パルスが送信される際の、第1の駆動パルスに対する時間間隔である場合がある。一例において、後続のプリミティブ遅延は、内部遅延または外部遅延に基づく場合がある。さらに、内部遅延は、プリントヘッド・ダイのアナログ要素またはデジタル要素によって制御され、外部遅延は、ASIC(
図1C、150)によってデジタル制御される。さらに、外部遅延は、複数のプリントヘッド・ダイ(
図1C、160)間におけるインクの噴射間の遅延として定義される。
【0041】
上述のように、方法(200)は、次のプリミティブ遅延に基づいて、プリントヘッド・ダイ(
図1C、160)の次のプリミティブについて次の駆動パルスを生成すること(205)を含む。以下で説明されるように、次の駆動パルスについての後続のプリミティブ遅延は、電源ライン上の同時過渡電流を最小限に抑え、及びリンギングを最小限に抑えることによって、当該遅延によりプリントヘッド・ダイの最大電力需要が低減されるような形で、時間的に歪められる。さらに、次の駆動パルスは、上記のように、プリントヘッド・ダイの次のプリミティブに関連するノズルからインクを噴射させる。さらに、次の駆動パルスは、プリミティブの第2のノズルを駆動した後、各プリミティブに伝播し、各プリミティブにおける第2のノズルを駆動する。次の駆動パルスは、第2のノズルの各々についてのアドレスに基づいて、各プリミティブにおける第2のノズルを駆動する場合がある。その後、後続の駆動パルスが続き、各プリミティブにおける最後のノズルが駆動されたときに、各プリミティブの第1のノズルから次の駆動パルスが再び開始される。
【0042】
本明細書の他の部分に記載されるように、方法(200)は、プリントヘッド・ダイ(
図1C、160)の全てのプリミティブについて繰り返される。さらに、方法(200)は、ワイドアレイ・プリントヘッド・モジュールに関連する全てのプリントヘッド・ダイについて繰り返される。
【0043】
図3Aは、本明細書に記載される種々の原理の一例による、複数のノズルに関連する複数のプリミティブ(302)を示す図である。以下で説明されるように、プリントヘッド・ダイ(
図1C、160)は、複数のノズルを含む場合がある。さらに、複数のプリミティブ(302)を形成するために、ノズルは、種々の群に編成される場合がある。プリミティブの各々が駆動パルスを受信すると、ノズル噴射ヒーターが駆動される。ノズル噴射ヒーターの駆動は、インクを沸騰させ、プリミティブに関連するノズルから、インクを印刷媒体上に噴射させる。
【0044】
図3Aに示されるように、プリントヘッド・ダイ(300)は、複数のプリミティブ(302)を含む。一例において、プリントヘッド・ダイ(300)は、第1のプリミティブ(302−1)、第2のプリミティブ(302−2)、第3のプリミティブ(302−3)、及び第4のプリミティブ(302−4)を含む。ただし、プリントヘッド・ダイの中には任意数のプリミティブが含まれる場合があり、本明細書に記載される態様で使用される場合がある。
【0045】
上述のようにに、プリミティブは、一群のノズルとして定義される。図示のように、プリミティブ(302)の各々は、8個のノズルを含む。例えば、第1のプリミティブ(302−1)は、第1の一組の8個のノズル(304)を含む。第2のプリミティブ(302−2)は、第2の一組の8個のノズル(306)を含む。第3のプリミティブ(302−3)は、第3の一組の8個のノズル(308)を含む。第4のプリミティブ(302−4)は、第4の一組の8個のノズル(310)を含む。
【0046】
図3Bにおいて説明されるように、駆動パルスは、バス(312)を介して、プリミティブ(302)の各々に送信される場合がある。駆動パルスは、各プリミティブ(302)について各組のノズル(304、306、308、310)に関連するノズル噴射ヒーターの各々を、プリントヘッド・ダイ(300)の最大電力需要が低減されるような形で駆動する。ASIC(150)の遅延回路(112)は、バス(312)に結合され、プリミティブの駆動間におけるプリミティブ遅延を決定するとともに、複数のプリントヘッド・ダイ(111)の駆動間における遅延を決定する。上述のように、
図3Bは、プリントヘッド・ダイ(111)が遅延回路(112)の機能を利用しない事例を、複数の印刷周期内における遅延回路(112)の使用と対比するために示している。
【0047】
この例は、8個のノズルを含むプリミティブを参照して説明されたが、プリミティブは、もっと多数または少数のノズルを含む場合もある。例えば、各プリミティブは、4個のノズル、または16個のノズルを含む場合がある。
【0048】
図3Bは、本明細書に記載される種々の原理の一例による、
図1Aから
図1Cまでの遅延回路により提供される有効遅延なしに、4個のプリミティブから噴射を行うときのタイミング図である。以下で説明されるように、駆動パルスは、
図3Aのプリミティブにおける複数のノズルの各々について複数のノズル噴射ヒーターを駆動する。さらに、駆動パルスは、プリントヘッド・ダイ(300)の室内のインクがノズルから押し出され、印刷媒体の上に噴射されるまで、ノズル噴射ヒーターを加熱する。
図3Bを
図4Bと対比すると、
図3Bは、遅延回路(112)により提供される有効遅延なしに4個のプリミティブから噴射を行うときのタイミング図を示しているのに対し、
図4Bは、遅延回路(112)の利益がある状態における同タイミング図を示している。
【0049】
図示のように、タイミング図(350)は、複数の時間間隔(356)を含む。時間間隔(356)は、タイミング図(356)の全体を通じて均等な間隔を有している場合がある。時間間隔の各々は、650ナノ秒(nS)を表している。例えば、時間間隔1(356−1)は、タイミング図(350)の開始を表し、時間間隔2(356−2)は、タイミング図の開始から650nS経過を表している。
【0050】
さらに、時間間隔(356)は、印刷周期の決定に使用される場合がある。図示のように、タイミング図は、第1の印刷周期(360−1)を含む。第1の印刷周期(360−1)は、時間間隔1(356−1)から時間間隔5(356−5)までの時間として定義される場合がある。以下で説明されるように、第1の印刷周期(360−1)における種々の駆動パルス(352)は、各プリミティブ(302)における第1のノズルを駆動するために使用される。時間間隔5(356−5)の時点で、印刷周期は、第2の印刷周期(360−2)として繰り返される。以下で説明されるように、第2の印刷周期(360−2)における種々駆動パルスは、各プリミティブ(302)における第2のノズルを駆動するために使用される。さらに、後続の印刷周期において後続の駆動パルスが続き、各プリミティブにおける最後のノズルが駆動されたときに、各プリミティブの第1のノズルから次の駆動パルスが再び開始される。
【0051】
以下で説明されるように、時間間隔(356)は、駆動パルス(352)の長さの決定に使用される場合がある。さらに、時間間隔(356)は、駆動パルス(352)の各々の間における遅延の決定に使用される場合がある。
【0052】
図示のように、タイミング図は、複数の駆動パルス(352)を含む。上述のように、駆動パルスは、ASIC(
図1C、160)からノズル噴射ヒーターへ送信され、ノズルからインクを噴射することができるように当該ノズル噴射ヒーターを駆動する電圧のような信号である。一例において、駆動パルスは、電圧によって定義される信号パルスである場合がある。他の例において、駆動パルスは、複数の前駆パルス、及び複数の駆動パルスを含む。前駆パルスは、ノズル噴射ヒーターを駆動してインクを温め、駆動パルスは、ノズル噴射ヒーターを駆動してインクを沸騰させる。さらに別の例において、駆動パルスは、複数の駆動パルスを含むパルス列を含み、駆動パルスの合計によって総駆動エネルギーが形成される。さらに、駆動パルスが、時間の長さによって定義される。駆動パルス期間の長さは、ノズルの数、プリミティブの数、印刷要求、またはそれらの組み合わせに基づいている。図示のように、駆動パルス(352)の長さは、時間間隔1(356−1)から開始され、時間間隔3(356−3)で終了する種々の時間間隔に関連している。一例において、その長さは、1.3マイクロ秒(μS)である場合がある。
【0053】
図3Bに示されているように、第1の駆動パルス(352−1)は、第1のプリミティブ(302−1)の第1のノズルについて生成され、当該第1のノズルを第1の印刷周期(360−1)の間に駆動する。一例において、第1の駆動パルス(352−1)は、時間の長さに関連している。上述のように、第1の駆動パルス(352−1)の長さは、1.3μSである。さらに、第1の駆動パルス(352−1)の長さは、
図3Aに示されるように、1つのプリミティブ当たり8個のノズル、1つのプリントヘッド・ダイ当たり4個のプリミティブ、印刷要求、またはそれらの組み合わせに基づいている。
【0054】
上述のように、駆動パルス(352)は、内部遅延、及び複数の外部遅延により、プリミティブ(302)の各々の間において遅延され、プリントヘッド・ダイ(300)の最大電力需要を低減する。図示のように、第2の駆動パルス(352−2)は、第2のプリミティブ(302−2)の第1のノズルについて生成され、当該第1のノズルを第1の印刷周期(360−1)の間に駆動する。第2の駆動パルス(352−2)は、第1の駆動パルス(352−1)から時間的に遅延されている。第3の駆動パルス(352−3)は、第3のプリミティブ(302−3)の第1のノズルについて生成され、当該第1のノズルを第1の印刷周期(360−1)の間に駆動する。第3の駆動パルス(352−3)は、第2の駆動パルス(352−2)から遅延されている。さらに、第4の駆動パルス(352−4)は、第4のプリミティブ(302−4)の第1のノズルについて生成され、当該第1のノズルを第1の印刷周期(360−1)の間に駆動する。第4の駆動パルス(352−4)は、第3の駆動パルス(352−3)から時間的に遅延されている。
【0055】
さらに、第2の印刷周期(360−2)における種々の駆動パルス(352)を使用して、各プリミティブ(302)における第2のノズルが駆動される。図示していないが、第3、第4、第5、第6、第7、及び第8の印刷周期における種々の駆動パルスを使用して、各プリミティブ(302)における第3、第4、第5、第6、第7、及び第8のノズルがそれぞれ駆動される。第8の印刷周期が終わった後、次の印刷周期における次の駆動パルスを使用して、各プリミティブ(302)における第1のノズルが駆動される。このパターンが、後続の印刷周期についても繰り返される。
【0056】
タイミング図(350)に示したように、駆動パルス(352)は、ダイ電力プロファイル(354)を形成する場合がある。ダイ電力プロファイル(354)は、駆動パルス(352)の各々によって生成される電流を定義している。図示のように、駆動パルスのうちの1つが有効である場合、ダイ電力プロファイル(354)は、電流に関して係数1が有効化されていることを示す。駆動パルス(352)のうちの2つが有効である場合、ダイ電力プロファイル(354)は、電流に関して係数2が有効化されていることを示す。駆動パルス(352)のうちの3個が有効である場合、電流に関して係数3が有効化されていることを示す。そして、駆動パルス(352)のうちの4個が有効である場合、ダイ電力プロファイル(354)は、電流に関して係数4が有効化されていることを示す。図示のように、ダイ電力プロファイル(354)は、第1の印刷周期(360−1)、及び第2の印刷周期(360−2)について形成される。
【0057】
一例において、駆動パルス(352)の遅延を最小化した場合、ダイ電力プロファイル(354)の長さは、印刷周期の間に無駄な時間を含むものになる。この例では、第1の印刷周期(360−1)は、
図3Bに示される実線によって定義されている。また、第2の印刷周期(360−2)は、
図3Bに示される破線によって定義されている。タイミング図(350)は、最大電力需要の低減を示しているが、駆動パルス(352)に関連する遅延は、無効である。
【0058】
図4Aは、本明細書に記載される種々の原理の一例による、内部遅延要素を備えた複数のノズルに関連する複数のプリミティブの図である。上述のように、プリントヘッド・ダイは、複数のノズルを含む場合がある。また、ノズルは、複数のプリミティブを形成するように、種々の群に編成される場合がある。プリミティブの各々が駆動パルスを受信すると、ノズル噴射ヒーターが駆動される。ノズル噴射ヒーターの駆動は、インクを沸騰させ、プリミティブに関連するノズルから印刷媒体上へインクを噴射させる。
【0059】
図4Aに示されているように、プリントヘッド・ダイ(400)は、複数のプリミティブ(402)を含む。一例において、プリントヘッド・ダイ(400)は、第1のプリミティブ(402−1)、第2のプリミティブ(402−2)、第3のプリミティブ(402−3)、及び第4のプリミティブ(402−4)を含む。上記のように、ASIC(150)の遅延回路(112)は、バス(412)に結合され、プリミティブの駆動間におけるプリミティブ遅延を決定するとともに、複数のプリントヘッド・ダイ(111)の駆動間における遅延を決定する。
【0060】
上述のように、プリミティブは、一群のノズルとして定義される。図示のように、プリミティブ(402)の各々は、8個のノズルを含む。例えば、第1のプリミティブ(402−1)は、第1の一組の8個のノズル(404)を含む。第2のプリミティブ(402−2)は、第2の一組の8個のノズル(406)を含む。第3のプリミティブ(402−3)は、第3の一組の8個のノズル(408)を含む。第4のプリミティブ(402−4)は、第4の一組の8個のノズル(410)を含む。
図4Bにおいて説明されるように、駆動パルスは、バス(412)を介してプリミティブ(402)の各々に送信され、各組のノズル(404、406、408、410)におけるノズルの各々を、プリントヘッド・ダイの最大電力需要が低減されるような形で駆動することができる。
【0061】
図示のように、プリントヘッド・ダイ(400)は、遅延回路(112)に結合された複数の内部遅延(414)を含む。一例において、内部遅延(414)は、プリントヘッド・ダイ(400)の種々のアナログ要素によって制御される。内部遅延(414)は、プリントヘッド・ダイの最大電力需要を低減するために、プリミティブ(402)の各々の間において駆動パルスを遅延させる。一例において、第1の内部遅延(414−1)は、第1のプリミティブ(402−1)と第2のプリミティブ(402−2)との間において第2の駆動パルスを遅延させる。第2の内部遅延(414−2)は、第2のプリミティブ(402−2)と第3のプリミティブ(402−3)との間において第3の駆動パルスを遅延させる。さらに、第3の内部遅延(414−3)は、第3のプリミティブ(402−3)と第4のプリミティブ(402−4)との間において第4の駆動パルスを遅延させる。
図4Bにおいて説明されるように、内部遅延(414)は、プリントヘッド・ダイ(400)の最大電力需要を低減する。なぜなら、3個または4個のプリミティブ(402)が同時に有効化される代わりに、2個のプリミティブが同時に有効化されるからである。
【0062】
図4Bは、本明細書に記載される種々の原理の一例による、種々の有効内部遅延要素を備えた4個のプリミティブから噴射を行うためのタイミング図である。
図4Bに示されているように、第1の駆動パルス(452−1)は、第1のプリミティブ(402−1)の第1のノズルについて生成され、当該第1のノズルを第1の印刷周期(460−1)の間に駆動する。一例において、第1の駆動パルス(452−1)は、長さに関連している。第1の駆動パルス(452−1)の長さは、時間間隔(456)によって定義されるように1.3μSである場合がある。さらに、第1の駆動パルス(352−1)の長さは、
図4Aに示されるように、1つのプリミティブ当たり8個のノズル、1つのプリントヘッド・ダイ当たり4個のプリミティブ、印刷要求、またはそれらの組み合わせに基づいている。
【0063】
上述のように、駆動パルス(452)は、内部遅延、及び複数の外部遅延により、プリミティブ(402)の各々の間において遅延され、プリントヘッド・ダイ(400)の最大電力需要を低減する。図示のように、第2の駆動パルス(452−2)は、第2のプリミティブ(402−2)の第1のノズルについて生成され、当該第1のノズルを第1の印刷周期(460−1)の間に駆動する。第2の駆動パルス(452−2)は、第1の内部遅延(414−1)によって遅延されてる。第1の内部遅延(414−1)は、時間間隔(456)によって定義されるように、650nSだけ第2の駆動パルス(452−2)を遅延させる。その結果、第2の駆動パルス(452−2)は、第1の駆動パルス(452−1)から時間的に遅延される。
【0064】
図示のように、第3の駆動パルス(452−3)は、第3のプリミティブ(402−3)の第1のノズルについて生成され、当該第1のノズルを第1の印刷周期(460−1)の間に駆動する。第3の駆動パルス(452−3)は、第2の内部遅延(414−2)によって遅延されている。第2の内部遅延(414−1)は、時間間隔(456)によって定義されるように、650nSだけ第3の駆動パルス(452−3)を遅延させる。その結果、第3の駆動パルス(452−3)は、第2の駆動パルス(452−2)から時間的に遅延される。
【0065】
さらに、第4の駆動パルス(452−4)は、第4のプリミティブ(402−4)の第1のノズルについて生成され、当該第1のノズルを第1の印刷周期(460−1)の間に駆動する。第4の駆動パルス(452−4)は、第3の内部遅延(414−3)によって遅延されている。第3の内部遅延(414−3)は、時間間隔(456)によって定義されるように、650nSだけ第4の駆動パルス(452−4)を遅延させる。その結果、第4の駆動パルス(452−4)は、第3の駆動パルス(452−3)から時間的に遅延される。
【0066】
さらに、第2の印刷周期(360−2)における種々の駆動パルス(452)を使用して、各プリミティブ(402)における第2のノズルが駆動される。図示していないが、第3、第4、第5、第6、第7、及び第8の印刷周期における種々の駆動パルスを使用して、各プリミティブ(302)における第3、第4、第5、第6、第7、及び第8のノズルがそれぞれ駆動される。第8の印刷周期が終わった後、次の印刷周期における次の駆動パルスを使用して、各プリミティブ(402)における第1のノズルが駆動される。このパターンが、後続の印刷周期についても繰り返される。
【0067】
図示のように、駆動パルス(452)は、ダイ電力プロファイル(454)を形成する場合がある。上述のように、ダイ電力プロファイル(454)は、駆動パルス(452)の各々によって生成される電流を定義している。駆動パルス(452)間の遅延が650μSである場合、ダイ電力プロファイル(454)の長さは、印刷周期の間に無駄な時間を含まないものになる。この例では、第1の印刷周期(460−1)は、
図4Bに示される実線によって定義されている。第2の印刷周期(460−2)は、
図4Bに示される点線によって定義されている。さらに、第1の印刷周期(460−1)の終わり(458)が、点線によって定義されている。その結果、駆動パルス(452)に関連する遅延が有効になり、プリントヘッド・ダイの最大電力需要は低減される。したがって、
図4A、及び
図4Bの例において、駆動パルス452−1は、時間間隔456−1と456−2の間において高であるが、他の駆動パルス452−2、452−3及び452−4の間において低である。駆動パルス452−1、及び452−2は両方とも、時間間隔456−2と456−3の間において高である。ただし、時間間隔456−3と456−4の間において、駆動パルス452−1は低になり、駆動パルス452−3は高になる。このように、任意の所与の時点において2つの駆動パルス(452)のみが高になる。その結果、プリントヘッド・ダイ(400)の最大電力需要が低減される。
【0068】
図5Aは、本明細書に記載される種々の原理の一例による、内部遅延要素(
図4、414)、及び外部遅延要素(514)を備えた複数のプリントヘッド・ダイ(502−1、502−2、502−3、502−4)を示す図である。上述のように、ワイドアレイ・プリントヘッド・モジュールは、まとめて502で示される複数のプリントヘッド・ダイを含む場合がある。プリントヘッド・ダイの各々が駆動パルスを受信すると、ノズル噴射ヒーターが駆動される。ノズル噴射ヒーターの駆動は、インクを沸騰させ、プリントヘッド・ダイ(502)に関連するノズルから、インクを印刷媒体上に噴射させる。
【0069】
図5Aに示されるように、ワイドアレイ・プリントヘッド・モジュール(500)は、複数のプリントヘッド・ダイ(502)を含む。上述のように、プリントヘッド・ダイ(502)は、複数のプリミティブ(
図4、402)を含み、プリミティブは、種々のノズル群として定義される。さらに、上記のように、プリントヘッド・ダイ(502)の各々は、複数の内部遅延を含む場合がある。
【0070】
図5Aに示されるように、ワイドアレイ・プリントヘッド・モジュール(500)は、4個のプリントヘッド・ダイ(502)を含む。例えば、ワイドアレイ・プリントヘッド・モジュール(500)は、プリントヘッド・ダイ1(502−1)、プリントヘッド・ダイ2(502−2)、プリントヘッド・ダイ3(502−3)、及びプリントヘッド・ダイ4(502−4)を含む。図示のように、複数の外部遅延(514)、及び遅延回路(112)は、プリントヘッド・ダイ(502)の各々の間において駆動パルスを遅延させ、ワイドアレイ・プリントヘッド・モジュール(500)の最大電力需要を低減する。後の図面において説明されるように、外部遅延(514)は、ASIC(
図1C、150)によってデジタル制御される。図示のように、第1の外部遅延(514−1)は、プリントヘッド・ダイ1(502−1)とプリントヘッド・ダイ2(502−2)の間に接続されている。第2の外部遅延(514−2)は、プリントヘッド・ダイ2(502−2)とプリントヘッド・ダイ3(502−3)の間に接続されている。さらに、第3の外部遅延(514−3)は、プリントヘッド・ダイ3(502−3)とプリントヘッド・ダイ4(502−4)の間に接続されている。
【0071】
図5Bにおいて説明されるように、駆動パルスは、バス(512)を介してプリントヘッド・ダイ(502)の各々に送信され、プリミティブの各々を、ワイドアレイ・プリントヘッド・モジュール(500)の最大電力需要が低減されるような形で駆動することができる。
図4A、及び
図4Bに関連して上で説明したように、内部遅延信号を各プリントヘッド・ダイ(502)内の種々のプリミティブに送信することをに加え、外部遅延信号を複数のプリントヘッド・ダイ(502)に送信するために、遅延回路(112)がバス(512)に結合されている。このように、電源ライン上の同時過渡電流、及びリンギングを最小限に抑えるために内部遅延と外部遅延の両方がプリントヘッド・ダイ(502)及びそれらの個々のプリミティブに提供され、それによって、プリントヘッド・ダイ(502)の最大電力需要が低減される場合がある。
【0072】
この例は、4個のプリントヘッド・ダイ(502)を含むワイドアレイ・プリントヘッド・モジュールを参照して説明されているが、ワイドアレイ・プリントヘッド・モジュールは、もっと多数または少数のプリントヘッド・ダイを含む場合もある。例えば、ワイドアレイ・プリントヘッド・モジュールは、40個のプリントヘッド・ダイを含む場合がある。
【0073】
図5Bは、本明細書に記載される種々の原理の一例による、有効な内部遅延要素、及び外部遅延要素を備えた4個のプリントヘッド・ダイ(502)から噴射を行うためのタイミング図(550)である。以下で説明されるように、駆動パルスは、
図5Aのプリントヘッド・ダイにおける複数のノズルの各々について、複数のノズル噴射ヒーターを駆動する。
【0074】
図5Bに示されているように、第1の駆動パルス(552−1)は、第1のプリントヘッド・ダイ(
図5A、502−1)の種々のプリミティブについて生成され、上記のように、
図5Aのプリミティブに関連するノズルを駆動する。一例において、第1の駆動パルス(552−1)は、長さに関連している。第1の駆動パルス(552−1)の長さは、時間間隔(556)によって定義されるように1.3μSである場合がある。さらに、第1の駆動パルス(552−1)の長さは、
図5Aに示されるように、1つのプリミティブ当たり8個のノズル、1つのプリントヘッド・ダイ当たり4個のプリミティブ、印刷要求、または、それらの組み合わせに基づいている。図示していないが、他の駆動パルスもまた、第1のプリントヘッド・ダイ(502−1)に関連するプリミティブについて生成される場合がある。さらに、他の駆動パルスは、上記のように内部遅延により、時間的に遅延される場合がある。図示のように、第1の駆動パルス(552−1)、並びに第1のプリントヘッド・ダイ(502−1)に関連する他の駆動パルスは、第1のダイ電力プロファイル(562−1)を形成する場合がある。第1のダイ電力プロファイル(562−1)は、第1のプリントヘッド・ダイ(502−1)についての駆動パルス(352)の各々によって生成される電流を定義している。したがって、第1のダイ電力プロファイル(562−1)は、第1のプリントヘッド・ダイ(502−1)の低減された最大電力需要を示している。
【0075】
さらに、第2の駆動パルス(552−2)は、第2のプリントヘッド・ダイ(502−2)の種々のプリミティブについて生成され、
図5Aのプリミティブに関連するノズルを駆動する。図示のように、第2の駆動パルス(552−2)の長さは、第1の駆動パルス(552−1)と同じ長さである。図示のように、第2の駆動パルス(552−2)は、第1の外部遅延(514−1)によって遅延されている。
図6Aにおいて説明されるように、第1の外部遅延(514−1)は、ASIC(
図1C、150)、及びASIC内の遅延回路(112)によって生成される。図示していないが、他の駆動パルスもまた、第2のプリントヘッド・ダイ(502−2)に関連するプリミティブについて生成される場合がある。さらに、他の駆動パルスは、上記のように内部遅延により、時間的に遅延される場合がある。第1の内部遅延は、第2の駆動パルス(552−2)を時間間隔(556)によって定義されるように650nSだけ遅延させる。図示のように、第2の駆動パルス(552−2)、並びに第2のプリントヘッド・ダイ(502−2)に関連する他の駆動パルスは、第2のダイ電力プロファイル(562−2)を形成する場合がある。第2のダイ電力プロファイル(562−2)は、第2のプリントヘッド・ダイ(502−2)についての駆動パルスの各々によって生成される電流を定義している。したがって、第2のダイ電力プロファイル(562−2)は、第2のプリントヘッド・ダイ(502−2)の低減された最大電力需要を示している。
【0076】
第3の駆動パルス(552−3)は、第3のプリントヘッド・ダイ(502−3)の種々のプリミティブについて生成され、
図5Aのプリミティブに関連するノズルを駆動する。図示のように、第3の駆動パルス(552−3)の長さは、第1の駆動パルス(552−1)と同じ長さである。図示のように、第3の駆動パルス(552−3)は、第2の外部遅延(514−2)によって遅延されている。
図6Aにおいて説明されるように、第2の外部遅延(514−2)は、ASIC(
図1C、150)、及びASIC内の遅延回路(112)によって生成される。図示していないが、他の駆動パルスもまた、第3のプリントヘッド・ダイ(502−3)に関連するプリミティブについて生成される場合がある。さらに、他の駆動パルスは、上記のように内部遅延により、時間的に遅延される場合がある。第2の内部遅延は、第3の駆動パルス(552−3)を時間間隔(556)によって定義されるように650nSだけ遅延させる。図示のように、第3の駆動パルス(552−3)、並びに第3のプリントヘッド・ダイ(502−3)に関連する他の駆動パルスは、第3のダイ電力プロファイル(562−3)を形成する場合がある。第3のダイ電力プロファイル(562−3)は、第3のプリントヘッド・ダイ(502−3)についての駆動パルスの各々によって生成される電流を定義している。したがって、第3のダイ電力プロファイル(562−3)は、第3のプリントヘッド・ダイ(502−3)の低減された最大電力需要を示している。
【0077】
タイミング図(550)は、第4の駆動パルス(552−4)をさらに示している。第4の駆動パルス(552−4)は、第4のプリントヘッド・ダイ(502−4)の種々のプリミティブについて生成され、
図5Aのプリミティブに関連するノズルを駆動する。図示のように、第4の駆動パルス(552−4)の長さは、第1の駆動パルス(552−1)と同じ長さである。図示のように、第4の駆動パルス(552−4)は、第3の外部遅延(514−3)によって遅延されている。
図6Aにおいて説明されるように、第3の外部遅延(514−3)は、ASIC(
図1C、150)、及びASIC内の遅延回路(112)によって生成される。図示していないが、他の駆動パルスもまた、第4のプリントヘッド・ダイ(502−4)に関連するプリミティブについて生成される場合がある。さらに、他の駆動パルスは、上記のように内部遅延により、時間的に遅延される場合がある。第3の内部遅延は、第4の駆動パルス(552−4)を時間間隔(556)によって定義されるように650nSだけ遅延させる。図示のように、第4の駆動パルス(552−4)、並びに第4のプリントヘッド・ダイ(502−4)に関連する他の駆動パルスは、第4のダイ電力プロファイル(562−4)を形成する場合がある。第4のダイ電力プロファイル(562−4)は、第4のプリントヘッド・ダイ(502−4)についての駆動パルスの各々によって生成される電流を定義する。したがって、第4のダイ電力プロファイル(562−4)は、第4のプリントヘッド・ダイ(502−3)の低減された最大電力需要を示している。
【0078】
これらのダイ電力プロファイル(562)は、上記のように結合されてもよく、それによってワイドアレイ・プリントヘッド電力プロファイル(554)が得られる。ワイドアレイ・プリントヘッド電力プロファイル(554)は、任意の所与の時点において、2つの完全に有効なプリントヘッド・ダイのみが有効であることを示している。
【0079】
この例において、第1の印刷周期は、
図5Bに示される実線によって定義されている。第2の印刷周期は、
図5Bに示される点線によって定義されている。さらに、第1の印刷周期の終わり(558)は、点線によって定義されている。したがって、駆動パルス(552)に関連する遅延は有効であり、プリントヘッド・ダイの最大電力需要は低減される。
【0080】
図6Aは、本明細書に記載される種々の原理の一例による、ASIC(604)、及びASIC内の遅延回路(112)により制御される複数のプリントヘッド・ダイを示す図である。以下で説明されるように、ASIC(604)は、各プリントヘッド・ダイ内における複数の内部遅延の較正、及び駆動パルスの制御に使用される。上述のように、駆動パルスは、複数のノズルの各々について複数のノズル噴射ヒーターを駆動し、ノズルは、複数のプリミティブに関連している。
【0081】
図示のように、ワイドアレイ・プリントヘッド・モジュール(600)は、ASIC(604)を含む。ASIC(604)は、内部アナログ遅延の較正に使用される。一例において、ASIC(604)は、ASIC(604)が駆動パルスの往復経路長を測定することができるモードを選択することによって、較正されるべきプリントヘッド・ダイ(602)を設定する。ASIC(604)は、このモードにある間に、駆動パルスをプリントヘッド・ダイ(602)に送信し、クロックの分解能の中でASICクロック遅延ユニットの最適数を決定することで、プリントヘッド・ダイ(602)についてのプリミティブの遅延を最適化する。これによって、最大システム電力が最小化される。この特徴づけの後、印刷の前に、ASIC(604)は、クロックの分解能でデジタルレジスタをセットすることによって、各プリントヘッドを設定する。通常印刷動作において、プリントヘッド・ダイ(602)の各々は、基板上のデジタル・アナログ・コンバータ(DAC)を使用して、内部プリミティブ遅延をプログラムされた値にセットするためのバイアス信号を生成する場合がある。
【0082】
他の例において、ASIC(604)は、駆動パルスを送信することによる内部アナログ遅延の較正に使用される。この例では、プリントヘッド・ダイ(602)上の噴射ラインの端部から、リターン信号がASIC(604)に送り返される。駆動パルスは、開始点、及び終了点を有するプリントヘッド・ダイ(602)の種々のプリミティブの中を、バス(606)に沿って内部遅延を受けながら通過する。ここで、各プリミティブは、バス(606)に沿って遅延をもって接続されている。ASIC(604)は、バス(606)の端部からリターン遅延を測定し、ASIC内の遅延回路(112)を使用して、内部遅延について制御設定を調節する。制御設定は、各プリントヘッド・ダイについて固有であり、内部遅延をプログラムするための種々の制御ビットまたは電圧としてプリントヘッド・ダイ(602)に記憶されている。ASIC(604)は、遅延回路(112)を使用して遅延を目標遅延に調節し、調節は、測定、及び調節される遅延の十分な精度を確保するために十分に高い周波数で動作しているカウンタに基づいて行われることがある。もしリターン遅延が短すぎる場合、内部遅延は、より長くなるようにプログラムされる。もしバスのリターン遅延が長すぎる場合、内部遅延は、より短くなるようにプログラムされる。したがって、較正は、システムの精度内にセットされる。この較正によって、プロセス、電圧、及び熱の変化が補償される。一例においては、デフォルトの電圧設定、及び温度設定のもとで種々の構成要素のプロセス変化に対処するために、デフォルト較正を使用する場合がある。さらに、現場の電圧環境や温度環境に対処するために、ASIC(604)は、現場較正を使用する場合がある。
【0083】
図6Aに示されているように、ワイドアレイ・プリントヘッド・モジュール(600)は、複数のプリントヘッド・ダイ(602)を含む。上述のように、プリントヘッド・ダイ(602)は、複数のプリミティブを含み、プリミティブは、種々のノズル群として定義されている。さらに、上記のように、プリントヘッド・ダイ(602)の各々は、複数の内部遅延を含む場合がある。
【0084】
図6Aに示されているように、ワイドアレイ・プリントヘッド・モジュール(600)は、6個のプリントヘッド・ダイ(602)を含む。例えば、ワイドアレイ・プリントヘッド・モジュール(600)は、プリントヘッド・ダイ1(602−1)、プリントヘッド・ダイ2(602−2)、プリントヘッド・ダイ3(602−3)、プリントヘッド・ダイ4(602−4)、プリントヘッド・ダイ5(602−5)、及びプリントヘッド・ダイ6(602−6)を含む。
【0085】
プリントヘッド・ダイ(602)の各々は、バス(606)を介してASIC(604)に接続されている。例えば、プリントヘッド・ダイ1(602−1)は、バス1(606−1)を介してASIC(604)に接続され、プリントヘッド・ダイ2(602−2)は、バス2(606−2)を介してASIC(604)に接続され、残りのプリントヘッド・ダイ(602−3、602−4、602−5、602−6)は、それぞれのバス(606−3、606−4、606−5、606−6)を介してASIC(604)に接続されている。
【0086】
図6B、
図6C,及び
図6Dにおいて説明されるように、駆動パルスは、バス(606)を介してプリントヘッド・ダイ(602)の各々に送信され、プリミティブの各々を、ワイドアレイ・プリントヘッド・モジュール(600)の最大電力需要が低減されるような形で駆動することができる。
【0087】
図6Bは、本明細書に記載される種々の原理の一例による、0.33マイクロ秒(μS)の遅延に基づいて複数のプリントヘッド・ダイを制御し、プリントヘッド・ダイの最大電力需要を低減するためのタイミング図である。以下で説明されるように、
図6AのASIC(604)は、複数の駆動パルスを制御して、プリントヘッド・ダイのプリミティブの各々に関連するノズルの各々についてノズル噴射ヒーターを駆動する。
【0088】
図6Bに示されているように、第1の駆動パルス(622−1)は、第1のプリントヘッド・ダイ(602−1)のプリミティブについて生成され、
図6Aのプリミティブに関連するノズルを駆動する。第1の駆動パルス(622−1)は、ASIC(604)、及び遅延回路(112)によって生成され、バス1(606−1)を介して第1のプリントヘッド・ダイ(602−1)に対して生成される場合がある。一例において、第1の駆動パルス(622−1)は、長さに関連している。第1の駆動パルス(622−1)の長さは、時間間隔(626)によって定義されるように1.3μSである場合がある。さらに、第1の駆動パルス(622−1)の長さは、
図6Aに示されるように、1つのプリミティブ当たり8個のノズル、1つのプリントヘッド・ダイ当たり4個のプリミティブ、6個のプリントヘッド・ダイ、印刷要求、または、それらの組み合わせに基づいている。図示していないが、他の駆動パルスもまた、第1のプリントヘッド・ダイ(602−1)に関連するプリミティブについて生成される場合がある。さらに、他の駆動パルスは、上記のように内部遅延により、時間的に遅延される場合がある。図示のように、第1の駆動パルス(622−1)、並びに第1のプリントヘッド・ダイ(602−1)に関連する他の駆動パルスは、第1のダイ電力プロファイル(632−1)を形成する場合がある。第1のダイ電力プロファイル(632−1)は、第1のプリントヘッド・ダイ(602−1)についての駆動パルスの各々によって生成される電流を定義している。したがって、第1のダイ電力プロファイル(632−1)は、第1のプリントヘッド・ダイ(602−1)の低減された最大電力需要を示している。
【0089】
さらに、第2の駆動パルス(622−2)は、第2のプリントヘッド・ダイ(602−2)のプリミティブについて生成され、
図6Aのプリミティブに関連するノズルを駆動する。第2の駆動パルス(622−2)は、ASIC(604)、及び遅延回路(112)によって生成され、バス2(606−2)を介して第2のプリントヘッド・ダイ(602−2)に対して生成される場合がある。図示のように、第2の駆動パルス(622−2)の長さは、第1の駆動パルス(622−1)と同じ長さである。図示のように、第2の駆動パルス(622−2)は、ASIC(604)、及び遅延回路(112)によって遅延されている。図示していないが、他の駆動パルスもまた、第2のプリントヘッド・ダイ(602−2)に関連するプリミティブについて生成される場合がある。さらに、他の駆動パルスは、上記のように内部遅延により、時間的に遅延される場合がある。内部遅延、及び外部遅延は、第2の駆動パルス(622−2)を第1の駆動パルス(622−1)に対して時間間隔(626)によって定義されるように0.33μSだけ遅延させる。図示のように、第2の駆動パルス(622−2)、並びに第2のプリントヘッド・ダイ(602−2)に関連する他の駆動パルスは、第2のダイ電力プロファイル(632−2)を形成する場合がある。第2のダイ電力プロファイル(632−2)は、第2のプリントヘッド・ダイ(602−2)についての駆動パルスの各々によって生成される電流を定義している。したがって、第2のダイ電力プロファイル(632−2)は、第2のプリントヘッド・ダイ(602−2)の低減された最大電力需要を示している。
【0090】
第3の駆動パルス(622−3)、第4の駆動パルス(622−4)、第5の駆動パルス(622−5)、及び第6の駆動パルス(622−6)は全て、
図6の第1及び第2の駆動パルスに関係して上で説明したように、それぞれのプリントヘッド・ダイ(602−3、602−4、602−5、602−6)のそれぞれのプリミティブについて生成される。残りの駆動パルス(622−3、622−4、622−5、622−6)の各々に関し、内部遅延、及び外部遅延は、これらの駆動パルスをそれぞれの時間間隔(626)によって定義されるように0.33μSだけ遅延させる。したがって、ダイ電力プロファイル(632−3、632−4、632−5、632−6)は、それぞれのプリントヘッド・ダイ(602−3、602−4、602−5、602−6)の低減された最大電力需要を示している。
【0091】
これらのダイ電力プロファイル(632)は、上記のように結合されてもよく、それによってワイドアレイ・プリントヘッド電力プロファイル(624)が得られる。ワイドアレイ・プリントヘッド電力プロファイル(624)は、任意の所与の時点において、4個の完全に有効なプリントヘッド・ダイのみが有効であることを示している。駆動パルス(622)の分散によって、同時過渡電流を最小化するような形で過渡電流が低減され、及びプリントヘッド・ダイ(602)の各々の電源ライン上に生じるリンギングを最小限に抑えることができ、したがって、リンギングを制御するための空間、及びコストを最小限に抑えることができる。
【0092】
この例では、第1の印刷周期は、
図6Bに示される実線によって定義されている。次の印刷周期は、
図6Bに示される点線によって定義されている。さらに、第1の印刷周期の終わり(628)は、点線によって定義されている。したがって、駆動パルス(622)に関連する遅延は有効であり、プリントヘッド・ダイの最大電力需要は低減される。
【0093】
図6Cは、本明細書に記載される種々の原理の一例による、0.5マイクロ秒(μS)の遅延に基づいて複数のプリントヘッド・ダイを制御し、プリントヘッド・ダイの最大電力需要を低減するためのタイミング図を示している。以下で説明されるように、
図6AのASICは、複数の駆動パルスを制御して、プリントヘッド・ダイのプリミティブの各々に関連するノズルの各々についてノズル噴射ヒーターを駆動する。
【0094】
図6Cに示されているように、第1から第6までの駆動パルス(642−1、642−2、642−3、642−4、642−5、642−6)は、それぞれのプリントヘッド・ダイ(602−1、602−2、602−3、602−4、602−5、602−6)のそれぞれのプリミティブについて生成され、
図6Aのそれぞれのプリミティブに関連するノズルを駆動する。駆動パルス(642−1、642−2、642−3、642−4、642−5、642−6)の長さは、時間間隔(646)によって定義されるように1.3μSである場合がある。さらに、駆動パルス(642−1、642−2、642−3、642−4、642−5、642−6)の各々の間における遅延は、0.5μSである。
【0095】
図示のように、駆動パルス(642−1、642−2、642−3、642−4、642−5、642−6)、並びにプリントヘッド・ダイ(602−1)に関連する他の駆動パルスは、それぞれダイ電力プロファイル(652−1、652−2、652−3、652−4、652−5、652−6)を形成する場合がある。ダイ電力プロファイル(652)は、それぞれのプリントヘッド・ダイ(602−1、602−2、602−3、602−4、602−5、602−6)について駆動パルスの各々によって生成される電流を定義している。したがって、ダイ電力プロファイル(652)は、それぞれのプリントヘッド・ダイ(602)の低減された最大電力需要を示している。
【0096】
これらのダイ電力プロファイル(652)は、上記のように結合されてもよく、それによってワイドアレイ・プリントヘッド電力プロファイル(654)が得られる。ワイドアレイ・プリントヘッド電力プロファイル(654)は、任意の所与の時点において、3個の完全に有効なプリントヘッド・ダイのみが有効であることを示している。駆動パルス(642)の分散によって、同時過渡電流を最小化するような形で過渡電流が低減され、及びプリントヘッド・ダイ(602)の各々の電源ライン上に生じるリンギングを最小限に抑えることができ、したがって、リンギングを制御するための空間、及びコストを最小限に抑えることができる。
【0097】
この例では、第1の印刷周期は、
図6Cに示される実線によって定義されている。次の印刷周期は、
図6Cに示される点線によって定義されている。さらに、第1の印刷周期の終わり(648)は、点線によって定義されている。したがって、駆動パルス(642)に関連する遅延は有効であり、プリントヘッド・ダイの最大電力需要は低減される。
【0098】
図6Dは、本明細書に記載される種々の原理の一例による、0.65μSの遅延に基づいて複数のプリントヘッド・ダイを制御し、プリントヘッド・ダイの最大電力需要を低減するためのタイミング図を示している。以下で説明されるように、
図6AのASICは、複数の駆動パルスを制御して、プリントヘッド・ダイのプリミティブの各々に関連するノズルの各々についてノズル噴射ヒーターを駆動する。
【0099】
図6Dに示されているように、第1から第6までの駆動パルス(662−1、662−2、662−3、662−4、662−5、662−6)は、それぞれのプリントヘッド・ダイ(602−1、602−2、602−3、602−4、602−5、602−6)のそれぞれのプリミティブについて生成され、
図6Aのそれぞれのプリミティブに関連するノズルを駆動する。駆動パルス(662−1、662−2、662−3、662−4、662−5、662−6)の長さは、時間間隔(666)によって定義されるように1.3μSである場合がある。さらに、駆動パルス(662−1、662−2、662−3、662−4、662−5、662−6)の各々の間における遅延は、0.65μSである。
【0100】
図示のように、駆動パルス(662−1、662−2、662−3、662−4、662−5、662−6)、並びにプリントヘッド・ダイ(602−1)に関連する他の駆動パルスは、それぞれダイ電力プロファイル(672−1、672−2、672−3、672−4、672−5、672−6)を形成する場合がある。ダイ電力プロファイル(672)は、それぞれのプリントヘッド・ダイ(602−1、602−2、602−3、602−4、602−5、602−6)について駆動パルスの各々によって生成される電流を定義している。したがって、ダイ電力プロファイル(672)は、それぞれのプリントヘッド・ダイ(602)の低減された最大電力需要を示している。
【0101】
これらのダイ電力プロファイル(672)は、上記のように結合されてもよく、それによってワイドアレイ・プリントヘッド電力特性(664)が得られる。ワイドアレイ・プリントヘッド電力特性(664)は、大半の時間にわたって、2つの完全に有効なプリントヘッド・ダイのみが有効であり、短い時間だけ、3個のみが有効であることを示している。駆動パルス(662)の分散によって、同時過渡電流を最小化するような形で過渡電流が低減され、及びプリントヘッド・ダイ(602)の各々の電源ライン上に生じるリンギングを最小限に抑えることができ、したがって、リンギングを制御するための空間、及びコストを最小限に抑えることができる。
【0102】
この例では、第1の印刷周期は、
図6Dに示される実線によって定義されている。次の印刷周期は、
図6Dに示される点線によって定義されている。さらに、第1の印刷周期の終わり(668)は、点線によって定義されている。したがって、駆動パルス(662)に関連する遅延は有効であり、プリントヘッド・ダイの最大電力需要は低減される。
【0103】
図7は、本明細書に記載される種々の原理の他の例による、ワイドアレイ・プリントヘッド・モジュール(110)の最大電力需要を低減する方法(700)を示すフロー図である。ブロック701から705までは、
図2に関係して上で説明したようなブロック201から205までに関係して上で説明したものと同様に進められる。ブロック706において、印刷装置(100)は、印刷物の他の部分の印刷するために次のプリントヘッドを使用すべきか否かを判定する。もし印刷物の他の部分を印刷するために次のプリントヘッドを使用すべきではない場合(ブロック706、判定いいえ)、この方法は終了する。
【0104】
もし印刷物の他の部分を印刷するために次のプリントヘッドを使用すべき場合(ブロック706、判定はい)、次のプリントヘッドからインクを噴射する前に第1の外部遅延を決定する(ブロック707)。方法(700)は次に、ブロック701へループバックし、次のプリントヘッドの種々のプリミティブについて内部遅延を決定する。このように、内部遅延は、任意の回数だけ、任意数のプリントヘッドについて実施される場合がある。さらに、複数のプリントヘッドの間における外部遅延を決定する場合がある。
【0105】
先の説明は、記載した原理の種々の例を図示説明するために提示している。説明は、それらの原理を、網羅的に記載することを意図するものでも、開示された何れかの厳密な形に制限することを意図するものでもない。上記の教示に鑑みて、多数の修正、及び変形が可能である。