特許第6517945号(P6517945)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6517945最適化された被覆電極を備えた多孔質媒体の含浸装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6517945
(24)【登録日】2019年4月26日
(45)【発行日】2019年5月22日
(54)【発明の名称】最適化された被覆電極を備えた多孔質媒体の含浸装置
(51)【国際特許分類】
   D06M 23/08 20060101AFI20190513BHJP
   D06M 10/00 20060101ALI20190513BHJP
   B29B 15/10 20060101ALI20190513BHJP
   B05D 1/06 20060101ALI20190513BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20190513BHJP
【FI】
   D06M23/08
   D06M10/00 L
   B29B15/10
   B05D1/06 K
   B05D7/00 B
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-549849(P2017-549849)
(86)(22)【出願日】2015年12月8日
(65)【公表番号】特表2018-500481(P2018-500481A)
(43)【公表日】2018年1月11日
(86)【国際出願番号】FR2015053379
(87)【国際公開番号】WO2016092205
(87)【国際公開日】20160616
【審査請求日】2017年11月28日
(31)【優先権主張番号】1462137
(32)【優先日】2014年12月9日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517205376
【氏名又は名称】フィブロリーヌ
(74)【代理人】
【識別番号】100136227
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 玲子
(74)【代理人】
【識別番号】100064724
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 照一
(74)【代理人】
【識別番号】100073302
【弁理士】
【氏名又は名称】神谷 牧
(72)【発明者】
【氏名】マルジュエル,ジョリック
【審査官】 春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−509250(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0233966(US,A1)
【文献】 特表2001−521834(JP,A)
【文献】 米国特許第06733845(US,B1)
【文献】 特表2011−526659(JP,A)
【文献】 特表2009−531507(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0151874(US,A1)
【文献】 特開2008−184701(JP,A)
【文献】 特開2010−287404(JP,A)
【文献】 特表2010−529324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B11/16,15/08−15/14
C08J5/04−5/10,5/24
D06M10/00−11/84,16/00,
19/00−23/18
D21B1/00−1/38
D21C1/00−11/14
D21D1/00−99/00
D21F1/00−13/12
D21G1/00−9/00
D21H11/00−27/42
D21J1/00−7/00
B05D1/00−7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質媒体(16)に粉末(17)を含浸させる装置(2、2’、2”、2”’)であって、
前記多孔質媒体の両側に配置される第一の電極(4A、4A’、4A”、4A”’)および第二の電極(4B、4B’、4B”、4B”’)を含み、前記多孔質媒体を通る交流電界を発生させることができるデバイス(6)を備えてなり、
・第一の電極(4A)は、前記電極(4A)に接触する遮蔽体(8A)で覆われており、前記遮蔽体は、6kV/mmより高絶縁耐力を有すること、および
・第二の電極(4B)は、保護層(10B)で覆われており、前記保護層は、前記第二の電極に固定されており、相対湿度レベルに拘わらず、1×1012Ω/□より高い表面抵抗率を有すること
を特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置(2’)において、
前記保護層(10B)は、250℃より上の温度で構造的安定性を有する
ことを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置(2’)において、
前記第一の電極(4A’)に接触する前記遮蔽体(8A’)は、前記遮蔽体(8A’)に接触する1×1012Ω/□より高い表面抵抗率を有する保護層(10A’)に覆われている
ことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置(2”、2”’)において、
前記第二の電極(4B”、4B”’)と前記保護層(10B”、10B”’)との間に6kV/mmより高い絶縁耐力を有する遮蔽体(8B”、8B”’)が挿入されている
ことを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置(2”’)において、
前記遮蔽体(8A”’)は、1×1012Ω/□より高い表面抵抗率を有する保護層(10A”’)で覆われている
ことを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の装置において、
前記両電極の間に発生さる電界は、0.1〜50kV/mmである
ことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の装置において、
前記電極に電気が供給されたときに前記両電極の間の相対湿度レベルを60%未満に維持するデバイスが設けられている
ことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の装置において、
前記両電極の間に前記多孔質媒体を駆動する駆動装置(18)を備えている
ことを特徴とする装置。
【請求項9】
多孔質媒体(16)を含浸する方法であって、
請求項1〜8のいずれかに記載の含浸装置の中へ前記多孔質媒体を導入し、
電界を印する前に前記多孔質媒体(16)を加熱するステップを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
多孔質媒体(16)を含浸する方法であって、
請求項1〜8のいずれかに記載の含浸装置の中へ前記多孔質媒体を導入し、
電界を印する前に前記多孔質媒体(16)を乾燥空気で乾燥するステップを含む
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電界を印加することにより多孔質媒体に粉末を含浸させる装置に関する。より詳しくは、例えば、不織布、織布、紙、または連続気泡発泡体さえも含む多孔質媒体に含浸させることが可能な装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔質媒体に粉末を含浸させるための種々のタイプの方法が、従来技術において知られている。それらは、媒体を用途に応じて機能的にすることを可能とする。例えば、布地に疎水性の粉末を含浸させて、より不浸透性の衣類の製造を可能とするとか、針で縫ったマットに熱接着型の粉末を含浸させて、そのマットを適切な加熱処理した後で構成繊維の粘着を促進するとか、が挙げられる。もちろん、含浸技術は、自動車、健康、環境、その他の多くの他技術分野において使われる。
【0003】
特許文献1には、交流電界を印加することにより多孔質媒体に含浸させる装置の例が記載されている。その装置は、多孔質媒体の通り道を形成するように向かい合って配置された2枚の金属板を備えている。多孔質媒体は、金属板の間を通る前に予め粉末を振りかけられている。金属板には、当該金属板間に交流電界を発生させるように電圧発生器が接続されていて、システムの当該電極の間を、また場合によっては当該媒体の間を、粉末が移動できるようになっている。当該向かい合った電極の表面は、両電極間で電気アークが形成されないようにガラス遮蔽体で覆われている。装置を起動させて間もなく、遮蔽体に破断箇所の突然の出現が認識され、遮蔽体の破壊、すなわち絶縁破壊が生じた。そうなると、この破壊現象を防止するためにガラス遮蔽体を比較的頻繁に取り替える必要がある。その頻度は、金属電極間の電界の振幅が高い場合は、より高くなりさえする。
【0004】
この老化現象を遅らせ、したがって装置に対する処置を減らすために、特許文献2は、金属板の各々を順次配列されエアナイフで隔てられた複数本の導電性細片に置き換えることを提案している。同一の使用条件に対してガラス遮蔽体がより遅く劣化することが認められている。この改善された老化耐久性は、電気アークによってガラス遮蔽体に対して加わる電気的応力がより小さくなることと関連しているようである。その代わり、電界強度は、導電性細片で覆われていないガラス遮蔽体の表面でより弱くなっている。結果として、ガラス遮蔽体間の電界は、均質ではない。そうなると、この均質性の欠如を補うために電極の長さを延長することが必要であり、および/または上述の装置で同条件下で得られる含浸に匹敵するように多孔質媒体中に粉末を含浸させるためにガラス遮蔽体間に多孔質媒体を通過させる速度を減じることが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際特許公開公報 第WO 99/22920号
【特許文献2】フランス国特許出願公開公報 第2,933,327号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多孔質媒体の中には、臨界的な導電率を有するもの、および/または高い相対湿度を有するものがあり、例えば、天然繊維またはセルロース繊維を主成分とする布地がそうである。それらの布地は、この種の材料中での電界の減衰に対処するために、より高い振幅の電界の使用を必要とする。出願人は、結果として、電極間の電界の均質性の欠如および上述したガラス遮蔽物の破壊現象は、とりわけ高い湿度の下で、より大きいことを観測した。
【0007】
言い換えれば、湿度が高くなると両電極間の電界の良好な品質、とりわけ均質性、にとって不利になるようである。この出願は、改善された老化耐久性を有し、多孔質媒体への粉末のより規則正しい含浸を促進するためにより均質な電界の形成を可能とする、多孔質媒体に粉末を含浸させるための装置を提案しようというものである。
【0008】
この発明は、電界が高い振幅を有するとき、とりわけ、両電極間に存在する空気または気体をプラズマの形で見えるようにイオン化させるレベルにその振幅が到達したときに、前述した技術的課題を解決することを可能とする含浸装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのために、この装置は、多孔質媒体を通る交流電界を発生させることができるデバイスを備えてなり、当該デバイスは、当該多孔質媒体の両側面に、つまり、当該多孔質媒体の方向に配置された少なくとも第一の電極と第二の電極を含んでいる。
【0010】
この発明は、
・第一の電極は、その電極に接触する遮蔽体で覆われており、当該遮蔽体は、6kV/mmより高い、好ましくは9kV/mmより高い絶縁耐力を有し、
・第二の電極は、直接的にまたは間接的に保護層で覆われており、当該保護層は、この第二の電極に固定されていて、相対湿度のレベルに拘わらす、とりわけ、70%を超えるレベルで1×1012Ω/□より高い表面抵抗率を有する
ことを特徴とする。
【0011】
したがって、この発明は、補足的特性を有する少なくとも一つの層で各電極を覆うことで成り立っている。この組合せは、とりわけ、電界の振幅が高いとき、および/または両電極間の相対湿度が高いときに、両電極間に均質な電界の形成を許容する。
【0012】
両電極間に高い振幅でもって電界を形成することを可能にするために、第一の電極は、高い絶縁耐力、すなわち、6kV/mmより高い、さらには9kV/mmよりもさえ高い絶縁耐力を備えた遮蔽体で覆われている。
【0013】
第一の電極に接触している遮蔽体は、ガラス、石英、アルミナ、ムライト、ステアタイト、雲母、その他の誘電体材料で作ることができる。
【0014】
両電極間の電界の均質性を改善するために、保護層が第二の電極を覆っている。表面抵抗率は、電極間距離に等しい長さを有する二つの電極の間で測定した表面抵抗に相当することを想起されたい。表面抵抗率は、抵抗に該当するので、抵抗と同じ単位で表される。しかしながら、混乱を避ける意味で、使われる単位は、Ω・cm/cm、あるいは、正方形の二つの向かい合う辺の間で測定した抵抗に関わることを想起して、この出願で以後使うように、正方形当たりのオーム、つまり、Ω/□である。その電気的表面抵抗率が1×1012Ω/□を超える高い値であるために、両電極の間における電圧の差は、忠実に再現される。というのは、保護層の表面の上を電荷がより移動しにくいからである。したがって、電荷は、第二の電極の幾何学的形状に従って分布する。よって、特に電界が高い振幅を有する場合に、第一と第二の電極の間に均質な電界をより容易に発生させることが可能である。
【0015】
保護層の表面抵抗率が1×1012Ω/□より大きい場合に、保護層の表面上で電荷の移動が制限されることが観測されている。電界を均質化する能力が保護層の表面抵抗率に依存すると仮定すると、保護層の厚さは殆ど影響せず、100分の数mmから数mmまで変えることができる。
【0016】
保護層に関するもう一つの利点は、保護層の表面上における電荷の移動を制限することにより装置の完全な状態をより長く保持できることにある。したがって、電荷が集まって両電極間での放電の形成を助長する蓋然性が低い。「電気放電」とは、両電極の間で起こりより強烈な光る線条の形で視認できる偶発的な電気放電をいう。これらの電気放電は、電極を覆う層に電気的および熱的にストレスを加え、その表面に複数のホットスポットを形成して当該層の老化を速めるという欠点を有する。
【0017】
このように、保護層は、装置の中に均質な電界を作り上げることを可能とし、電界の振幅が第一および第二の電極の間の空気をイオン化するのに十分であるときに、均質なプラズマの形成を促進する。このプラズマの存在は、例えば、気体のタイプ、その圧力、両電極間の電界の周波数および振幅など、複数の異なるパラメータによっても影響を受ける。
【0018】
出願人は、また、処理される材料中に特異点が存在することによって引き起こされる電荷の集中により、電極の表面層が偶発的な温度上昇を受け得ることも確認している。これは、例えば、厚さの変化、または電界中に置かれる繊維性材料中の不純物の存在に関わるかも知れない。これらの温度上昇は、とりわけ保護層として、良好な温度安定性を有する材料、つまり典型的には約250℃の温度閾値を超えて構造的な、したがって電気的な特性を保つような材料を使用することにより抑えることができる。もちろん、当該特徴的な層の電気的特性、とりわけ絶縁耐力は、予め定められた6kV/mmの閾値より上でなければならない。
【0019】
従来技術の装置に対比して、両電極間の電界の均質性がこのように改善されることにより、より高い振幅の電圧の使用が可能になり、電極を覆う層、とりわけ第一の電極を覆う遮蔽体の早期老化を起こすことなく、より速く、より深く含浸させることが可能となるという利点が得られる。確かに、従来知られている装置では、電極がガラスまたはセラミックなどの材料で覆われているので、相対湿度のレベルが70%または80%を超えた場合、表面抵抗率が1010Ω/□未満に、または109 Ω/□未満にさえも低下することが知られている。
【0020】
保護層は、ポリイミド、ポリエーテルケトン、シリコーンまたはフッ素重合体の族に属する材料などのポリマー材料で形成することができる。これらの材料は、単独で使用してもよいし、混合してまたは強化して使用してもよく、先在するフィルムの形を取ってもよいし、または第二の電極の上に堆積させた上層の形を取ってもよい。
【0021】
第一および第二の電極の間の電界の値は、0.1〜50kV/mmの間とすることができ、好ましくは0.5〜30kV/mmとするのがよい。この電圧値の範囲では、電界の周波数は、1〜1000Hzとすることができ、好ましくは10〜300Hzとするのがよい。
【0022】
採用随意であるが、第一および第二の電極の間の電界の均質性を補強するために、第一の電極と接する遮蔽体を上述したような保護層で覆うことを考慮することができる。言い換えれば、遮蔽体を保護層で覆って、遮蔽体の一面が電極と接し、他面が保護層と接するようにしてもよい。したがって、第一の電極は、遮蔽体と保護層の多層で覆われてもよい。
【0023】
別の実施態様によれば、電気的絶縁をより良好にすることにより第二の電極の絶縁耐力を高め、もって両電極間の電界の振幅の増大を可能にするために、第二の電極と保護層の間に上述したような遮蔽体を挿入することを考慮することができる。言い換えれば、第二の電極を遮蔽体と保護層の多層で覆うことができ、それにより内部にエアナイフのない、プラズマに匹敵する高度にイオン化した環境が残留湿度により形成され、コンパクトなアセンブリを形成することができる。
【0024】
同様に、両電極間の電界の均質性を改善するために、上述したような保護層が第一および第二の電極に接して遮蔽隊を覆ってもよい。言い換えれば、第一および第二の電極は、上述したのと同じ多重層で覆われて、互いに機械的に固定された二つの積層体を形成し、そして積層体自体の内部で気体のイオン化現象の出現の可能性なしに、エアナイフのない連続した周囲環境を形成するために、エアナイフを有しない構造としてもよい。
【0025】
採用随意であるが、上述の含浸装置は、第一および第二の電極の間の湿度レベルを減じることを可能にする特定のデバイスを備えていてもよい。有利なことには、装置内で湿度レベルが減じられると、電界の均質性に改善が見られる。この改善は、60%未満の相対湿度でそれに気付く程度であり、50%未満の相対湿度で際立ってくる。例えば、従来技術による装置において45%の相対湿度レベルで得られる均質なプラズマが、この発明による装置において60%の相対湿度レベルで得られることが、観察された。保護層は、有利なことに、この装置において、相対湿度のレベルが60%以上のときにさえ、第一および第二の電極間に均質で安定した電界の形成を可能としている。しかしながら、この装置は、地理的な位置および気候条件に応じて、より高い湿度の下でも正しく作動し得るのでなければならないことに気付かれるであろう。
【0026】
実際面では、相対湿度レベルの測定は、電極が安定した温度に到達するように、そして両電極の間に存在する環境状態が温度パラメータおよび気圧パラメータについて安定状態になるように、一定の時間を置いてから行われるのが好ましい。
【0027】
この発明の装置は、多孔質媒体を駆動して装置の両電極の間を当該媒体を通過させるデバイスを備えていてもよい。この装置の電極の上に保護層があると、電界の振幅が大きくなったときに両電極の間により均質な電界を発生させることができる。結果として、含浸の均質性を損なうことなく、電界の値を大きくすることにより、多孔質媒体が装置内に存在する時間を減らすことができる。このように、例えば、衛生用の紙または不織布の含浸の場合、多孔質媒体の処理時間が現状では数秒であるところ、それを10分の数秒に減じることができる。結果として、多孔質媒体の移動速度は、多孔質媒体の同一のまたは類似の含浸について、この発明による装置においては、従来技術による装置においてよりも高速であり得る。
【0028】
採用随意であるが、この発明の装置は、多孔質媒体を第一および第二の電極の間に通す前に多孔質媒体を前処理して、多孔質媒体の電気抵抗率を増加させるようにもよい。そのために、前処理デバイスに、乾燥デバイスおよび/または加熱デバイスを組み込んで、当該媒体内に存在する残留湿気の放出および/または蒸発を促進することにより、多孔質媒体がこの装置に挿入される前に多孔質媒体を処理することができるようにしてもよい。例えば、綿などの親水性繊維にポリプロピレン粉末を含浸させる場合に、その親水性繊維を乾燥させると、その電気抵抗率を増加さて、したがって、両電極間に放電が形成される恐れを制限することができる。同様に、ポリエステル繊維で出来たマットを相対湿度レベル40%未満に空調された囲いの中を通すと、その電気抵抗率を増加させることができ、それにより、マットに例えばエポキシドを含浸させる場合に、含浸品質および速度を改善することができる。
【0029】
通常、この発明の装置は、粉末堆積デバイスを備えていて、多孔質媒体がこの装置の第一および第二の電極の間を通過する前に多孔質媒体と接触する当該粉末を堆積させることができるようになっている。その堆積デバイスは、前述した前処理デバイスと両電極との間に配置されるのが好ましい。しかしながら、この発明の配置構成は、前処理デバイスより前に粉末が当該媒体の表面に予め堆積される場合にも使うことができる。
【0030】
この出願は、上述したような装置を使用して多孔質媒体に含浸する方法にも関し、その方法は、多孔質媒体を通して交流電界を印加する前に、空気乾燥または加熱乾燥により当該媒体を乾燥する前段ステップを含んでいてもよい。そのステップは、好ましくは、
・媒体が天然繊維またはセルロース繊維などの親水性繊維を含む場合に、加熱するステップ、
・媒体が湿度に敏感な静電防止スプレー膜で被覆された合成繊維などの疎水性繊維を含む場合に、空気乾燥するステップ、
である。
【0031】
この発明は、限定する意図でなく単なる例として記載する以下の説明を読み、添付の図面を参照すると、よりよく理解されるであろう。図面では、同じ符号は、同一のまたは同様の要素を示す。
【発明の効果】
【0032】
多孔質媒体に均質な電界を印加しながら粉末を含浸させることにより、多孔質媒体に粉末を規則正しく含浸させ、老化耐久性の優れた装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1A】この発明による含浸装置の一実施態様を線図的に示す長手方向図。
図1B】この発明による含浸装置の他の実施態様を線図的に示す長手方向図。
図1C】この発明による含浸装置の他の実施態様を線図的に示す長手方向図。
図1D】この発明による含浸装置の他の実施態様を線図的に示す長手方向図。
図2】先行技術による装置の電極に接する部品および図1に示す装置の電極に接する部品それぞれの温度変化を時間の関数として示す。
図3図1Aに示す装置の代替態様を示す。
図4図3に示す装置の代替態様を示す。
図5A】先行技術による装置の長手方向図であり、プラズマが発生する場合に電極間のプラズマ分布を示す。
図5B】この発明による装置の長手方向図であり、プラズマが発生する場合に電極間のプラズマ分布を示す。
図6図4に示す装置の代替態様を示す。
図7A】この発明による装置の長手方向図であり、プラズマが発生する場合に電極間のプラズマ分布を、両電極間に存在する多孔質媒体の湿度レベルの関数として示す。
図7B図7Aに示す多孔質媒体の上面図であり、多孔質媒体が両電極間を通過して粉末が含浸された後の状態を示す。
図8A】この発明による装置の長手方向図であり、プラズマが発生する場合に電極間のプラズマ分布を、両電極間に存在する多孔質媒体の湿度レベルの関数として示す。
図8B図8Aに示す多孔質媒体の上面図であり、多孔質媒体が両電極間を通過して粉末が含浸された後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
前でも述べたが、この発明は、より耐久性があり、多孔質媒体の中に粉末のより規則的な含浸を促進すべくより均質な電界の形成が可能である、多孔質媒体に粉末を含浸させる装置を提案することを目的とする。
【0035】
この発明による含浸装置2の実施態様の一例を図1Aに線図的に示す。この実施例によると、この装置は、互いに向かい合って実質的に平行な二つの電極4Aと4Bを含んでいる。第一の電極4Aは、絶縁体力が6kV/mmより高いことを特徴とする遮蔽体8Aに接している。
【0036】
遮蔽体8Aは、電極同士を互いに電気的に分離することを可能にしている。遮蔽体の厚さD8は、電極4Aを支持するように適合させることができる。そのために、その厚さは、1〜20mmの間であってもよい。この例の場合は、遮蔽体8Aは、厚さが5mmに等しい水晶板である。
【0037】
この装置の第二の電極4Bは、1×1012Ω/□より高い電気的表面抵抗率を特徴とする保護層10Bで覆われている。電気的表面抵抗率、すなわち面抵抗率は、電圧差の存在下で材料の表面上の電流の流れを遅くする能力を特徴とする。電気的表面抵抗率は、「ASTM D 257−99」規格に従って当該規格の図4に記載された同心円状の2つの電極を使用して測定される。電気的表面抵抗率の値は、オームで、または面抵抗率に関することを示すためにオーム/□で表される。言い換えれば、高い面抵抗率を有する表面は、その表面上で電子の移動度が低いことを特徴とする。
【0038】
したがって、第二の電極4Bと接触している保護層10Bは、好都合なことに、その面上での電荷の移動を制限することを可能としており、それにより、両電極4Aと4Bの間に放電の確立を促進する高い電圧の点を形成し得る電荷の集中を局所的に避けることができる。その結果、その表面に存在する電荷は、例えば、石英遮蔽体の表面上に存在する電荷に相対して、高い電圧の局所的な点を形成するように集まることがより起こりにくくなる。
【0039】
保護層10Bの厚さD10は、100分の数mm〜数mmとすることができる。この実施例では、保護層はシリコーンで出来ており、その厚さは、約1mmに等しい。
【0040】
電極4Aおよび4Bは、多孔質媒体16の通り道14を画定するように配置されている。この装置は、両保護層を隔てる距離D14を調節できるように、ラックその他のタイプ(図示せず)の調節デバイスを備えていてもよい。この距離は、1〜50mmとすることができる。ここで考えられている例では、距離D14は、15mmに等しい。
【0041】
電極4Aおよび4Bは、両者間に均質な電界を形成するように、一様な導電板であることが好ましい。これらの導電性電極は、例えば、銅またはアルミニウムの板、真空金属蒸着層、シルバーラッカー(laque d'argent)その他の適切な導電体で作ることができる。
【0042】
この発明は、電極の特定の形や配置に限定されない。電極は中実であってもよいし中空であってもよく、凹面状または凸面状または筒状など多種多様な形とすることができ、また、互いに接続された数個の導電素子で構成することも選択随意である。例えば、この発明は、特許文献2の第5〜6頁に記載されているように、一定の範囲に並べられた複数の導電性細片で構成された不連続の電極群を備えていてもよい。
【0043】
図示していないが、この発明の別の実施態様によれば、第一の電極および/または第二の電極は、一連の異なる断面の円筒形電極に置き換えて、それら電極の間を通過する多孔質媒体を通して電界を加えることが可能になるようにすることができる。この場合、第一の一連の電極は、6kV/mmより大きい絶縁耐力を有する遮蔽体で覆われることができ、第二の一連の電極は、1×1012Ω/□より大きい表面抵抗率を有する保護層で覆われることができる。図1A〜1Dについてと同様に、第一の一連の電極は、随意に、遮蔽体に加えて1×1012Ω/□より大きい表面抵抗率を有する保護層を有していてもよく、また、第二の一連の電極は、その電極と保護層との間に挿入された6kV/mmより大きい絶縁耐力を有する遮蔽体を有していてもよい。これら、第一の一連の電極と第二の一連の電極は、逆であってもよい。
【0044】
図示していないが、この発明の別の実施態様によれば、第一の電極4Aは、円柱形であってその回転軸を中心に回転するのでもよく、第二の電極4Bは、内面を金属被覆した長方形断面のガラス遮蔽体を備えて第一の電極4Aの反対側に位置させた数個の円筒形の電極で構成されていてもよい。第一の電極4Aを構成する円柱は、保護層10Aとして役立つシリコーンの層で覆われている。保護層および/またはガラス遮蔽体は、第一の電極4Aと第二の電極4Bの間に形成される空間の中へ粉末を放出する前に一時的に当該粉末を溜め置くことができるように、表面に凹凸のざらざら面または凹凸の模様を有していてもよい。
【0045】
両電極間に電界Eを発生させるために、両電極は、1〜1000Hzの周波数で1〜100kVの電圧を供給できる同じ交流電圧発生器6に接続されている。
【0046】
図1Bは、この発明による他の実施形態の含浸装置2’を図解しており、互いに向かい合って実質的に平行な2つの電極4A’および4B’を含んでいる。第一の電極4A’は、上述した遮蔽体8Aと同様の特性を有する遮蔽体8A’と接触している。第二の電極4B’および遮蔽体8A’は、それぞれ保護層10B’および保護層10A’で覆われている。両保護層は、保護層10Bと同様のものである。有利なことには、保護層が各々の電極の上に堆積されて、両電極間に生じる電界の均質性を強化している。
【0047】
図1Cは、この発明による他の実施形態の含浸装置2”を図解しており、互いに向かい合って実質的に平行な2つの電極4A”および4B”を含んでいる。第一の電極4A”および第二の電極4B”は、それぞれ上述した遮蔽体8Aと同様の特性を有する遮蔽体8A”および8B”と接触している。第二の電極4B”と接触している遮蔽体8B”は、保護層10Bと同様の保護層10B”で覆われている。有利なことには、各々の電極と接触している遮蔽体8A”および8B”は、両電極の間に図1Bに示す含浸装置2’に比較してより高い振幅の電界を発生させる。
【0048】
図1Dは、この発明による他の実施形態の含浸装置2”’を図解しており、互いに向かい合って実質的に平行な2つの電極4A”’および4B”’を含んでいる。各電極は、遮蔽体8A”’および8B”’と接触しており、遮蔽体は、それぞれ保護層10A”’および10B”’で覆われている。この例の実施態様によれば、各電極は、遮蔽体と接触していて、両電極間の電気的絶縁を改善して両電極間の電界の振幅を増大できるようになっている。これら2つの遮蔽体は、各々が保護層10A”’および10B”’で覆われていて、両電極4A”’および4B”’の間の電界を均質化できるようになっている。
【0049】
上述の装置を作り上げている両電極の間を通過する多孔質媒体16は、例えば、合成および/または天然の繊維網(reseau de fibres synthetiques et/ou naturelles)、不織布または織布、紙であってもよいし、または連続気泡発泡体でさえあってもよい。多孔質媒体は、例えば、ポリエステル繊維または綿、麻、羊毛などの天然繊維で作り上げられた針で縫ったマットであってもよい。
【0050】
多孔質媒体16に含浸させる粉末17は、ポリアミド粉末またはエポキシド粉末など、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂でもよい。用語「粉末」は、異なるタイプのおよび異なるサイズの粉末の混合物をも意味する。
【0051】
図2は、含浸装置に上述の保護層を使用した場合の利点を図解している。より具体的には、図2は、保護層を有しない従来技術による装置の遮蔽体上で測定した温度変化曲線と図1Dに図解したこの発明による装置の遮蔽体上で測定した温度変化曲線を示す。もちろん、温度測定は、両タイプの装置について同じ使用条件および同じ設備の下で行われた。より具体的には、両電極に接触している両ガラス板は、3mmの厚さで20mmの距離で隔てられている。50Hzで45kVの電圧が両電極間に印加されている。図2は、上述したようにガラス遮蔽体が保護層で覆われていない場合に、装置の15分使用後にガラス遮蔽体の温度が、90℃を超えるところまで急激に上昇することを示し(Curve 1)、そこで遮蔽体の破壊が見られる。逆に、ガラス遮蔽体8A”’および8B”’がそれぞれ保護層10A”’および10B”’で覆われている場合は、ガラス遮蔽体の温度は、60℃を超えず(Curve 2)、両電極4A”’および4B”’の間に放電は見られない。したがって、保護層は、時間経過に伴う装置の破壊の恐れを抑えることができ、この恐れが低ければ低いほど、この発明による装置は、老化に対してより耐久性が優れている。
【0052】
保護層の電気的表面抵抗率の値に関する他の利点は、装置の第一および第二の電極の間に形成される通り道14の中により均質な電界Eを形成させることにある。実際、電界は、両電極の配置に忠実である。というのは、電極によって生じる電荷は、保護層の表面上を僅かに移動するだけだからである。よって、例えば図1A内の電極4Bの表面上に発生される電荷の分布は、通り道14を画定する保護層10Bの表面上と実質的に同じである。多孔質媒体への含浸は、このようにより良好に制御できる。
【0053】
電極がガラス層タイプの誘電体遮蔽物で覆われただけの従来技術の配置構成の場合の図5Aに図解されたような電界に比較して、図1Cの配置構成の場合には、第一および第二の電極の間に、図5Bに示すようなより均質な4kV/mmの電界が発生される。従来技術を図解する図5Aと比較して、この発明の構成に対応する図5Bでは、透明な垂直なバンド(bandes claires verticales)により具現化されて両電極間には、少ししか電気放電が形成されないことが、実際に見られる。図5Aおよび5Bは、以下のパラメータでの配置構成について行われた。すなわち、
・厚さ5mmの金属電極4A、4B、
・厚さ5mmのガラス製の誘電体遮蔽層8A、8B、
・厚さ2mmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の保護層10B(図5Bにのみ存在)、
・電極の対向面の間に設けたエアナイフ14:10mm、
・電極間に印加された電界:50Hzで4kV/mmの交流正弦波、
・周囲の相対湿度:75%、
・室温:19℃。
【0054】
図1Aに示すような含浸装置2の一代替態様によると、装置は、図3に図解されているように多孔質媒体16を駆動するための駆動デバイス18を備えていてもよい。例えば、当該デバイスは、上に多孔質媒体を載せることができて当該媒体を両電極の間を前進方向Fに通過させるベルトコンベアを備えていてもよい。駆動デバイスは、例えば、多孔質媒体を従来技術の含浸速さよりも高速の20〜500m/分の速さで移動させてもよい。
【0055】
図3に示す装置の代替態様によると、含浸装置は、図4に示すように従来技術において知られている閉じ込め室タイプの特定のデバイス20を含んでいて、通り道14内に存在する気体の特性をモニターできるようにしてもよい。当該特定のデバイスは、例えば、相対湿度レベルを調整して30%〜60%の間に、好ましくは30%〜50%の間に、維持するものであってもよい。
【0056】
通り道14内の気体の成分も、当該特定のデバイス20により調整されてもよく、例えば、以下の気体、すなわち、アルゴン、窒素、酸素の何れか、を含むようにしてもよい。気体の圧力も、当該デバイスにより10-7〜1,000hPa(10-7〜1,000mbar)に、好ましくは10-3〜1,000hPa(10-3〜1,000mba)の値の範囲に設定してもよい。
【0057】
電界の振幅条件および印加時間条件ならびに通り道14内に存在する気体次第で、プラズマの存在が第一電極と第二電極の間に存在する材料の表面張力に変化を生じさせ得ること(材料の物理化学的変化)に注目すべきである。この表面張力の変化は、例えば材料の親水性または疎水性を増加させる得るかも知れない。
【0058】
図6に示す一代替態様の装置によると、含浸装置2は、前処理デバイス22を備えて、含浸する前に多孔質媒体16の準備をすることが可能なようにしてもよい。前処理デバイスは、両電極間に均質な電界の形成を助長するために、多孔質媒体の体積抵抗率の値を109 Ω・cmより上の値に調整するように多孔質媒体を準備してもよい。例えば、前処理デバイスは、湿度レベルを下げおよび/または多孔質媒体を通して乾燥空気を拡散させるために多孔質媒体を余熱することができる。
【0059】
含浸装置は、多孔質媒体16が電極4Aと4Bの間を通る前に粉末17を多孔質媒体16に接触させて堆積できるように、粉末17を堆積させるデバイス24を備えていてもよい。堆積装置は、好ましくは、前述した前処理デバイスと電極との間に配置される。
【0060】
この出願は、粉末17で覆われた多孔質媒体16に0.1〜50kV/mmの電界を印加することを含む、多孔質媒体に粉末を含浸させる方法にも関する。
【0061】
多孔質媒体16は、例えば、不織布または織布、紙、または連続気泡発泡体など、繊維網(reseau fibreux)であってもよい。
【0062】
粉末は、化学組成や粒子サイズの点で異なる成分を、および粉末に特定の特性を付与する意図の添加物または補足成分を混ぜることができる。
【0063】
この発明の含浸方法は、多孔質媒体16を加熱することまたは媒体を通して乾燥空気を吹きつけて乾燥することによって媒体を前処理する準備ステップを含むことができ、それにより媒体を横切る電界の減衰を制限することが可能になる。このステップは、これらの成分の1つが天然繊維、ポリアミドまたは湿度感応性の静電気防止スプレー膜などのように一定の湿度吸収レベルを有すると分かっている場合に、媒体の湿度レベルを下げるステップであことができる。この加熱および/または乾燥のステップは、有利なことに、電界の乱れを極力少なくするように多孔質媒体の体積抵抗率を増大させることを可能にして、多孔質媒体の中に粉末の均質な含浸を助長する。例えば、媒体を作り上げている天然繊維の体積抵抗率を109 Ω・mより上に増大させるために、媒体を前もって乾燥させてもよい。媒体が前もってスプレー膜で覆われた合成繊維を含み、空気中に湿気が存在する中で静電気防止特性を有する場合は、乾燥空気による前処理は、媒体の体積抵抗率を1×109 Ω・mより上に増大させることを可能とする。
【0064】
図7Aおよび図8Aは、それぞれ、20℃で約70%の相対湿度レベルの場合と、同様の媒体を21℃で相対湿度レベルが32%に等しくなるように調整した場合の、多孔質媒体16を取り囲む電界の分布を図解している。図8Aは、図7Aと比較して、前処理した媒体の周りにより均質な電界の分布を示している。それぞれ、図7Aおよび図8Aの媒体の上での粉末の分布を図解する図7Bおよび図8Bに示すように、粉末は、媒体の湿度レベルが下げられたときに媒体16の中により均質に含浸される。
【0065】
もちろん、ここに記載した含浸方法は、上述した1つまたは数個の含浸装置2、2’、2”、2”’によって実施されてもよい。
【0066】
最後にまとめると、この出願は、電界を使用しながら多孔質媒体に含浸させるための装置を提案するものである。この発明の装置は、装置の電極を保護する1つまたは2つの誘電体遮蔽体とともに、1つまたは2つの保護層を備えてなり、有利である。保護層は、その表面上の電子の移動を制限し、もって、当該層の間の電界の分布を空間的にも時間的にも精密に制御することを可能にしている。その結果、電極の間に放電が形成されるなどの装置を損なう電気的現象が制限される。もって、装置は長年月にわたって耐久性がよい。この発明は、電極間によりよい均質な電界を形成することも可能にしており、それにより電極の間を通過する粉末で覆われた多孔質媒体のより規則的な含浸が助長される。
【符号の説明】
【0067】
2…含浸装置、4A…第一の電極、4B…第二の電極、6…電界を発生させるデバイス、8A…遮蔽体、8B…遮蔽体、10A…保護層、10B…保護層、16…多孔質媒体、17…粉末、18…駆動デバイス、20…閉じ込め室デバイス、22前処理デバイス。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B