特許第6517999号(P6517999)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6517999
(24)【登録日】2019年4月26日
(45)【発行日】2019年5月22日
(54)【発明の名称】ラバートラック
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/253 20060101AFI20190513BHJP
【FI】
   B62D55/253 A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-500623(P2018-500623)
(86)(22)【出願日】2016年7月11日
(65)【公表番号】特表2018-524232(P2018-524232A)
(43)【公表日】2018年8月30日
(86)【国際出願番号】KR2016007471
(87)【国際公開番号】WO2017010756
(87)【国際公開日】20170119
【審査請求日】2018年1月9日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0101165
(32)【優先日】2015年7月16日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517421253
【氏名又は名称】ディーアールビー インダストリアル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DRB INDUSTRIAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ナム,ユン−テ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジョン−ホ
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−058538(JP,A)
【文献】 特開2001−322576(JP,A)
【文献】 特開2003−137149(JP,A)
【文献】 特開2006−069417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 55/253
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラバートラックであって、
地面と接触する表面にラグが成形され、
裏面両側に外側に行くほど傾斜を有するように傾斜型階段部分が成形され、
一定の曲率半径を有し、屈曲時に前記傾斜型階段部分は、裏面から異物を落とすように異物に外力を加え
前記ラグの外側には、前記ラグの表面から側面を経て裏面まで突出成形される側面突出部が具備され、
前記側面突出部は、前記ラバートラックの裏面側の端部がフォーク形状に二分されて成形される、
ラバートラック。
【請求項2】
前記傾斜型階段部分は、前記側面突出部と連結される請求項に記載のラバートラック。
【請求項3】
ラバートラックであって、
地面と接触する表面にラグが成形され、
前記ラグの外側には、前記ラグの表面から側面を経て裏面まで突出成形される側面突出部が具備され
前記側面突出部は、前記ラバートラックの裏面側の端部がフォーク形状に二分されて成形される、
ラバートラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラバートラックに関するものであり、より詳細には、掘削機またはトラックローダーなどに使用されて牽引力(Traction force)及び培土性を充分に確保しているし、スチールコードの露出及び外郭側で発生することがあるエッジ-カットなどを防止することができる構造を有するラバートラックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ラバートラック(Rubber track)は、掘削機のような重装備だけでなくトラックローダーのような装備にも広く使用されるものであると言えて、地面と接触する表面には牽引力を確保するために多様な形態のラグを形成している。例えば、大韓民国特許10-0725022号及び第10-0638885号によると、走行時牽引力を向上させるために幅方向に多様な形態のラグを提案している。
【0003】
このようなラバートラックは、掘削機及びローダーなどの走行性を確保するために多様な機能が要求されると言える。例えば、一対基本的に円滑な走行が可能にさせる牽引力が必要であるが、これは特に軟弱地盤ではより重要な機能であると言える。そして、このような牽引力のように培土性を要するが、これは走行及び回転が同時に関係されるものであると言えて、その外にも回転時にも安全性を要することは当前であると言える。
【0004】
このような走行時に要求される機能以外にも、軌道を連続して繰り返し運動しなければならないことを考慮すれば、ある程度の曲率半径に対して充分に柔軟に撓うことができる屈曲性も確保されなければならないことは当然である。そして、長期間の使用によって内部のスチールコードが露出されないで支持されなければならないことは当たり前であり、走行によって発生することができるエッジカットの発生も防止されることができる構造を有することが望ましいと言える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような点を考慮して提案されるものであり、地面と接触する表面に他の構造を有するラグを両側に配列することで、走行性及び回転力、そして培土性を確保することができるラバートラックを提供することを主な目的とする。
【0006】
本発明の他の目的は、軟弱地盤でも十分な牽引力を確保することができるラバートラックを提供することにある。
【0007】
本発明のまた他の目的は、内部のスチールコードが露出されることを防止することができる構造を有するラバートラックを提供することである。
【0008】
本発明のまた他の目的は、ラバートラックの外側部分で発生するエッジカットの発生を防止することができるラバートラックを提供することである。
【0009】
本発明のまた他の目的は、走行によって内面で堆積される異物を自体的に除去することができるラバートラックを提供することであると言える。
【0010】
そして、以下本発明の説明でこのような目的は充分に理解されることができるはずであるし、その他の視覚的効果などに対しても理解されることができるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上のような目的を達成するための本発明のラバートラックは、地面と接触する表面で走行方向に内側または外側のある一側に等間隔で成形され、幅方向に成形された第1溝を具備する第1ラグと、地面と接触する表面で走行方向に内側または外側の他側に等間隔で成形され、走行方向に成形された第2溝を具備する第2ラグで構成される。
【0012】
本発明の実施例によれば、前記第1ラグ及び第2ラグの外側には、表面で側面を経って裏面まで突出成形される側面突出部が具備されている。
【0013】
本発明の他の実施例によれば、前記第1ラグ及び第2ラグのそれぞれの間には幅方向に延長される補助ラグが具備される。
【0014】
本発明のまた他の実施例によれば、前記第1溝はラバートラックの外側には詰まった状態で成形される。
【0015】
本発明のまた他の実施例によれば、前記第1ラグと第2ラグは走行方向に対してお互いに交互に成形されている。
【0016】
本発明の側面突出部に対する実施例によれば、裏面ではフォーク形状に二分されるように成形されている。
【0017】
本発明のまた他の実施例によれば、前記ラバートラックの裏面両側には、傾斜型階段部分が成形されている。
【発明の効果】
【0018】
以上のような構成を有する本発明によれば、ラバートラックで地面と接触する表面に形成された第1ラグと第2ラグはそれぞれ相異な機能を有していて、牽引力の確保及びラバートラックのベンディングが容易な屈曲性を確保していると共に、走行方向への培土性が優秀で側面方向へのスリップを防止することができる機能を同時に有していると言える。
【0019】
そして、本発明による側面突出部は、表面から始めて側面を囲みながら裏面の一部まで突出されるように構成されている。このような側面突出部は、軟弱地盤でも牽引力を提供することができると共に、メインラグの外側に発生することがあるエッジカットの発生を最大限防止することができる長所を期待することができるであろう。そして、このような側面突出部は実質的に運行中で外部に一対目立つように露出される部分であると言える。本発明の側面突出部は、表面と裏面を全体的に囲む形態で成形されるため、視覚的でも牽引力及び接地力などが優秀なものであるという効果を与えることができるものとして期待される。
【0020】
本発明による補助ラグによれば、軟弱地盤でも全体的に牽引力を向上させることができる補助的な機能を有していると共にラグとラグとの間のスチールコッターの露出を防止することができることを分かる。このような補助ラグも中心部分から外側まで延長成形されているため、エッジカットの発生を防止するのに役に立つものとして判断される。
【0021】
本発明のラバートラックの裏面両側で形成される傾斜型階段部分の構成によれば、走行過程などで堆積された異物に対して、ラバートラックのベンディング時に変形されることに基礎した力を加えることで、自体的に異物が分離されて離れることがある長所も期待されると言える。その他、本発明のまた他の付随的な効果などは以下で説明する実施例を通じてより詳細に分かることができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は本発明によるラバートラックの表面を見せた斜視図である。
図2図2は本発明によるラバートラックの裏面を見せた斜視図である。
図3図3は本発明によるラバートラックの表面を見せた平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次には図面に示した実施例に基礎しながら本発明に対して詳細に説明することにする。本発明のラバートラックの表面を見せた図1に示したように、ラバートラックの表面には、第1ラグ10及び第2ラグ20がそれぞれ内側及び外側で列をなしながら配列されている。
【0024】
本明細書で“表面2”とは、地面と接触するラバートラックの面を意味して“裏面4”とは地面と接触しない面、すなわち表面2の反対面を意味する。そして、ラバートラックの“外側”とは装置に設置される一対のラバートラックで外部分を意味するものであり、“内側”とは一対のラバートラックでお互いに近距離にある内側部分を意味するものとして定義する。
【0025】
本発明のラバートラックの表面2で基本的に牽引力を発揮できるように成形されるメインラグは、第1ラグ10と第2ラグ20であると言える。そして、前記第1ラグ10と第2ラグ20は実質的にお互いに異なる形状を有している。
【0026】
第1ラグ10は幅方向に成形された第1溝12を具備しているし、第2ラグ20は走行方向に成形された第2溝22を具備している。
【0027】
このようにそれぞれ相異な構造を有する第1ラグ10と第2ラグ20を内側と外側にそれぞれ成形することによって、それぞれのラグ10、20が機能を独立的に発揮することができるであろう。先ず、第1ラグ10はラバートラックの幅方向の第1溝12を有するように成形することで、基本的な牽引力を確保するためのものであると言える。そして、前記第1溝12が幅方向に成形されることで、軌道上で円弧形にベンディングされる場合、ラバートラックが柔軟に特定曲率半径を有するように変形されるのに有利なものとして期待されるが、このような機能を本明細書上ではラバートラックが柔軟に撓うことができる屈曲性を有していると言うことにする。
【0028】
前記第1ラグ10と第2ラグ20は、図3でより明白に分かるように、お互いに左右対称をなすものではなく非対称で成形されている。ここで、第1ラグ10と第2ラグ20が非対称で成形されるということは、図示されたように、係止部38を基準でお互いに交互に配置されるか、または走行方向に対してお互いに交互に配置されることを意味することを理解することができるであろう。
【0029】
そして、前記第1ラグ10の第1溝12は、外側で閉まっている状態、すなわち、例えて説明すれば外側が閉まっていて、前記第1ラグ10がU字形をなしていることを分かる。このように第1溝12が外側では閉まった状態になるように成形するようになれば、実質的に第1ラグ10の表面積がより確保されることができるはずなのは当たり前であると言える。そして、このように外側が閉まった状態の第1溝12を有する第1ラグ10を通じて、装備(掘削機など)の回転時または傾斜地域で安全性を提供することが可能になるものとして期待される。
【0030】
第1ラグ10の他側に成形された第2ラグ20には走行方向の第2溝22が成形されていることは上述したところのようである。ここで、第1ラグ10と第2ラグ20の内外側位置は選択的であるが、例えば、第1ラグ10がラバートラックの内側に成形されれば第2ラグ20は外側に成形され、第1ラグ10がラバートラックの外側に成形されれば第2ラグ20は内側に成形される。前記第2溝22が第2ラグ20から走行方向に成形されているため、回転時遠心力に対して堅固に支持されることができると共に傾斜地で側面に滑ることを防止することができるようになる。
【0031】
前記第2ラグ20が傾斜地で発生することがある側面スリップ現象を防止することができることは、前記第2溝22が走行方向に十分な長さを有して成形されていると共に第2溝22の前後方にすべて開かれた状態で成形されるためであると言える。このような第2溝22の構造によって、走行時培土性が優秀であると共に十分な側面支持力が確保されることができることを理解することができるであろう。
【0032】
以上でのような第1ラグ10と第2ラグ20とは、実質的にメインラグであると言えて、これらメインラグが走行時地面と接触する接触面14、24の大きさは走行などに必要な面積を計算することで決まることができるであろう。そしてこのようなメインラグ10、20は走行方向に等間隔を有して繰り返し的に配列されていて、このような第1ラグ10と第2ラグ20との間にはそれぞれ補助ラグ30が複数個成形されている。このような補助ラグ30は幅方向に成形されることで、前記第1ラグ10または第2ラグ20に比べて低く小さく成形されるものであるが、次のような機能を有する。
【0033】
前記補助ラグ30は、弱い地盤で牽引力を補助する機能を遂行することができる。補助ラグ30は上述した第1ラグ10及び第2ラグ20に比べて低く成形されることはあるが、湿地のような軟弱地盤ではラバートラックがそれ以上抜けないながらも牽引力を発揮することができる補助的な手段としての機能は有することができると言える。
【0034】
そして、補助ラグ30は実質的に第1ラグ10及び第2ラグ20との間で凹な部分に成形されるものであると言える。また、前記メインラグ10、20もそうであるが、補助ラグ30は、ラバートラックでスープラケットがかかって動力をラバートラックに伝達する係止部38、より外側に延長成形されるものである。このような補助ラグ30は、メインラグ10、20の間でラバートラックに内蔵されるスチールコードの露出を防止する機能も有している。
【0035】
また、補助ラグ30は前記係止部38を中心に内側及び外側に延長成形されるが、これは実質的にラバートラックの中央部分と外郭側部分を連結する機能を有することだと言えて、これによってラバートラックのエッジ部分で発生することがあるエッジカットの発生を最大限防止することに役に立つことがあり得る。
【0036】
そして、本発明によれば、前記第1ラバー10と第2ラバー20との側面を囲むように側面突出部40が成形されている。前記側面突出部40は第1ラバー10及び第2ラバー20の表面2から始めて側面を経った後、図2に示したように、ラバートラックの裏面4まで延長成形される。したがって、前記側面突出部40はラバートラックの表面2及び裏面4まで囲みながら成形されていることを分かって、このような構成によって実質的に、メタルコア36の終り部分外側に発生することがあるエッジカットの発生を予防することができるようになる。
【0037】
このような側面突出部40は、特に軟弱地盤で十分な牽引力を発揮する機能も有している。すなわち、軟弱地盤でラバートラックがある程度抜けるようになれば、ラバートラックの側面に位置した側面突出部40が走行のための牽引力を発揮することができるようになるものであり、これは実質的にラバートラックの側面全体を囲みながら突出された構造に基礎する機能であると言える。
【0038】
図2を参照すれば、前述したように前記側面突出部40がラバートラックの側面全体を囲みながら突出成形されていることを確認することができる。そして、ラバートラックの裏面4では、前記側面突出部40の端部は二分されていることを確認することができる。このように側面突出部40の裏面4側端部を二分化されたフォーク形状で成形することで、走行時に側面突出部40にかかる荷重を分散させることで応力集中を防止することができるものとして期待される。
【0039】
そして、本発明のラバートラックの裏面4をよく見れば、両側面に階段のように連続的に段差を有する階段部分48が形成されていることを分かる。このような階段部分は、特に、外側に行くほど傾斜を有するように成形されていることを分かる。このような傾いた階段部分48は走行によって堆積されることができる異物を外部にとり除くためのものであると言えるが、ある意味で見ればセルフクリーニング機能を有するとも言える。
【0040】
走行装置の走行によって、ラバートラックの裏面4には異物が積もるようになる。ここで前記ラバートラックが軌道の前方または後方に進入しながら円弧形でベンディングされると、前記階段部分48の内側に積もっている異物はベンディングされる階段部分48の変形によって所定の外力を受けるようになるが、このような外力が異物をラバートラックの裏面4から外部に落とす力で作用するようになるであろう。
【0041】
前記階段部分48自体の構造及び傾いた構造によって、階段部分に積もる異物は厚さを異にするようになるが、このように他の厚さで堆積された異物はラバートラックの階段部分48が円弧形でベンディングされる過程で受ける外力によってより手軽く離脱するようになるであろう。ここで、ラバートラックの裏面4まで延長されながらフォーク形態で二分された側面突出部40の端部は、ラバートラックがベンディングされる過程で前記階段部分40と協力して異物が易しく離れることができるように異物に外力を加えることができるようになれることは当然である。
【0042】
このような階段部分48の構造に代わりをして山と谷が繰り返される構造にすることも等しい機能及び作用効果を有することができるものとして期待される。そして、このような場合にも、ラバートラックの両側縁に行くほど少し厚さが減少するように成形することが望ましいであろう。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明による補助ラグによれば、軟弱地盤でも全体的に牽引力を向上させることができる補助的な機能を有していると共にラグとラグとの間のスチールコッターの露出を防止することができることを分かる。このような補助ラグも中心部分から外側まで延長成形されているため、エッジカットの発生を防止するのに役に立つものとして判断される。
【0044】
本発明のラバートラックの裏面両側で形成される傾斜型階段部分の構成によれば、走行過程などで堆積された異物に対して、ラバートラックのベンディング時に変形されることに基礎した力を加えることで、自体的に異物が分離されて離れることがある長所も期待されると言える。その他、本発明のまた他の付随的な効果などは以下で説明する実施例を通じてより詳細に分かることができるであろう。
【0045】
以上で詳しく見たところのような本発明の技術的範疇内で当業界の通常の技術者においては他のさまざまな変形が可能であることは勿論である。そして、本発明の保護範囲は添付した特許請求の範囲に基礎して解釈されなければならないであろう。
図1
図2
図3